説明

照明装置及び照明器具

【課題】 消灯期間の長さに応じた動作が可能でありながらも大型化が避けられる照明装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 光源を点灯させる点灯回路に電力が入力され光源が点灯されている点灯期間中にのみ充電される計時用コンデンサC3並びに計時用コンデンサC3の両端間に接続された放電用抵抗R2を有する時定数回路6を備える。点灯回路を制御する制御回路3は、点灯期間の開始時点での計時用コンデンサC3の両端電圧Vcが所定の切替電圧よりも高いか否かに応じて該点灯期間中の制御の内容を異ならせる。計時用コンデンサC3としては、消灯期間の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合に消灯期間中の発振器及びカウンタの電源として必要なコンデンサよりも容量が小さく小型なものを用いることができる。つまり、消灯期間の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合に比べて大型化が避けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部の電源からの電力の供給がオフされ光源が消灯されている期間(以下、「消灯期間」と呼ぶ。)の長さに応じて、次に光源が点灯されたときの動作を切り替える照明装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、消灯期間の長さが所定時間よりも長ければ光源を定格電力で点灯させ、消灯期間の長さが上記の所定時間よりも短ければ光源を予め設定された電力で点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3508175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、制御に用いられるマイコンが一般的に有するような発振器及びカウンタを用いて消灯期間の長さを計時する場合、電力の供給がオフされてから少なくとも上記の所定時間は発振器及びカウンタに電力が供給される必要がある。すなわち、少なくとも上記の所定時間にわたる発振器及びカウンタの動作に必要な電力を蓄積しておくために、比較的にキャパシタンスが大きいコンデンサ等を用いる必要があり、これは大型化の原因となり得る。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、消灯期間の長さに応じた動作が可能でありながらも大型化が避けられる照明装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、外部の電源から入力された電力を変換した電力により光源を点灯させる点灯回路と、前記点灯回路を制御する制御回路と、前記電源から前記点灯回路に電力が入力されているか否かを判定するとともに、前記電源から前記点灯回路に電力が入力されていると判定されている期間中にのみ、前記制御回路を動作させるための電力を生成する制御電源回路と、前記電源から前記点灯回路に電力が入力されている期間中にのみ充電される計時用コンデンサ及び前記計時用コンデンサの両端間に接続された放電用抵抗を有して少なくとも前記電源から前記点灯回路に電力が入力されていない期間中には前記放電用抵抗を介して前記計時用コンデンサを放電させる時定数回路とを備え、前記制御回路は、前記電源から前記点灯回路への電力の入力が開始された時点での前記計時用コンデンサの両端電圧が所定の切替電圧よりも高いか否かに応じて以後の前記点灯回路に対する制御の内容を異ならせることを特徴とする。
【0008】
この照明装置において、前記制御電源回路によって充電されて前記制御回路の電源となる電源用コンデンサを備えることが望ましい。
【0009】
また、本発明の照明器具は、上記のいずれかの照明装置と、前記照明装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、時定数回路により、電源から点灯回路に電力が入力されていない消灯期間の長さに応じた制御が可能となっている。また、計時用コンデンサとしては、消灯期間の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合に消灯期間中の発振器及びカウンタの電源として必要なコンデンサよりもキャパシタンスが小さく小型なものを用いることができる。つまり、消灯期間の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合に比べて大型化が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の要部を示す回路ブロック図である。
【図2】同上を示す回路ブロック図である。
【図3】同上の動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態は、図2に示すように、外部の交流電源7から入力された交流電力を整流する例えばダイオードブリッジからなる整流回路11と、整流回路11の出力を平滑化及び昇圧することで所定電圧の直流電力を生成する周知のブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)12と、ブーストコンバータ12が出力した直流電力を交流電力に変換して放電灯21に出力することにより放電灯21を点灯させるインバータ回路13とを備える。ブーストコンバータ12は出力端間に接続されたコンデンサC1を有し、このコンデンサC1の両端電圧(すなわち出力電圧)Vdcを図3に示すように所定の目標電圧Vdc1に維持するように動作する。
【0014】
さらに、本実施形態は、マイコンからなりインバータ回路13を制御する制御回路3と、ブーストコンバータ12の出力を降圧することで、制御回路3の動作に必要な電力を生成する制御電源回路4と、制御電源回路4によって充電され制御回路3の電源となるコンデンサ(以下、「電源用コンデンサ」と呼ぶ。)C2とを備える。制御電源回路4は、例えば周知のバックコンバータ(降圧チョッパ回路)において出力端間のコンデンサを省略したような回路である。また、制御電源回路4は、ブーストコンバータ12の出力電圧Vdcを監視するとともに、ブーストコンバータ12の出力電圧Vdcが所定の動作電圧Vdc2以上である期間中にのみ、交流電源7から整流回路11に電力が入力されていると判定して電源用コンデンサC2への電力の出力を行う。さらに、制御電源回路4は、電力の出力中には、周知のフィードバック制御により、電源用コンデンサC2の両端電圧Vddを所定の制御電圧Vdd1に維持する。上記の制御電圧Vdd1は、制御回路3が動作するために最低限必要な電圧(以下、「必須電圧」と呼ぶ。)Vdd2よりもある程度高くされる。ブーストコンバータ12のコンデンサC1や、電源用コンデンサC2としては、それぞれ例えばアルミ電解コンデンサを用いることができる。
【0015】
また、本実施形態は発光ダイオード22を有する。この発光ダイオード22は、例えば制御回路3を介して制御電源回路4の出力を供給されることによって点灯される。制御回路3は、制御電源回路4から発光ダイオード22への給電路に挿入されたスイッチング素子(図示せず)を含んでおり、このスイッチング素子をオンオフ制御することで、発光ダイオード22を点灯・消灯制御する。つまり、本実施形態によって点灯される光源は放電灯21と発光ダイオード22とであり、整流回路11とブーストコンバータ12とインバータ回路13と制御電源回路4とが点灯回路を構成する。
【0016】
さらに、制御回路3は、交流電源7から整流回路11への電力の入力が開始されたとき、交流電源7から整流回路11への電力の入力が停止されてからの経過時間(以下、「オフ時間」と呼ぶ。)に応じて動作を切り替える。上記の動作を可能とするために、本実施形態は、交流電源7から整流回路11への電力の入力を検出する給電検出回路5と、オフ時間を計時するための時定数回路6とを備える。
【0017】
給電検出回路5は、それぞれアノードが整流回路11の一方ずつの入力端に接続された2個のダイオードDa,Dbのカソードに接続されている。そして、給電検出回路5は、上記2個のダイオードDa,Dbからの入力に基いて整流回路11への交流電力の入力の有無を判定するとともに、判定結果に応じて制御回路3への入力電圧を切り替える。上記のような給電検出回路5は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0018】
時定数回路6は、図1に示すように、コンデンサ(以下、「計時用コンデンサ」と呼ぶ。)C3とその放電用の抵抗(以下、「放電用抵抗」と呼ぶ。)R2との並列回路を備える。制御回路3は、計時用コンデンサC3を充電させるための電圧を出力する充電端子31を有し、この充電端子31は逆流防止用のダイオードD1と抵抗R1との直列回路を介して上記の並列回路の一端に接続されている。また、上記の並列回路の他端はグランドに接続されている。
【0019】
さらに、制御回路3は、計時用コンデンサC3の両端電圧Vcが入力される計時入力端子32と、計時入力端子32への上記両端電圧の入力をオンオフ切替させるための入力切替端子33とを有する。計時入力端子32はPNP型の第1トランジスタQ1を介して上記の並列回路の一端に接続されている。また、第1トランジスタQ1のベースはNPN型の第2トランジスタQ2を介してグランドに接続されており、入力切替端子33は第2トランジスタQ2のベースに接続されている。
【0020】
以下、本実施形態の動作を説明する。
【0021】
制御回路3は、電源用コンデンサC2の両端電圧Vddが必須電圧Vdd2以上である期間(以下、「制御期間」と呼ぶ。)Tc1中にのみ動作し、その他の期間Tc0中には停止する。さらに、制御期間Tc1中であって且つ整流回路11に交流電力が入力されていることが給電検出回路5によって判定されている期間(以下、「点灯期間」と呼ぶ。)Tp1中には、制御回路3は、発光ダイオード22は消灯させる一方でインバータ回路13を動作させて放電灯21を点灯させる放電灯点灯動作、又は、放電灯21を消灯させる一方で発光ダイオード22を点灯させる発光ダイオード点灯動作の、いずれか一方の動作を択一的に行う。さらに、制御回路3は、点灯期間Tp1中にのみ、充電端子31の出力電圧V31をHレベルとすることによって計時用コンデンサC3を所定電圧Vc1まで充電する。計時用コンデンサC3が充電される期間Tcc1は点灯期間Tp1にほぼ一致し、計時用コンデンサC3が放電される期間Tcc0は消灯期間Tp0にほぼ一致する。
【0022】
整流回路11への交流電力の入力が停止されると、制御回路3は、給電検出回路5の出力の変化に基いて、放電灯21と発光ダイオード22とのうち点灯していたものを消灯させるとともに、充電端子31の出力電圧V31をLレベルとして計時用コンデンサC3の充電を停止する。このように放電灯21と発光ダイオード22との両方が消灯されている期間(以下、「消灯期間」と呼ぶ。)Tp0中には、計時用コンデンサC3の両端電圧Vcは、計時用コンデンサC3のキャパシタンスと放電用抵抗R2の抵抗値とに応じた時定数で低下する。
【0023】
次に、整流回路11への交流電力の入力が再開され、電源用コンデンサC2の両端電圧Vddが必須電圧Vdd2に達すると、制御回路3は、通常はLレベルに維持される入力切替端子33の出力電圧V33を一時的にHレベルとする。すると、第1トランジスタQ1がオンされ、計時用コンデンサC3の両端電圧(以下、「計時電圧」と呼ぶ。)Vcが計時入力端子32に入力される。このときの計時電圧Vcは、直前の消灯期間Tp0が長いほど低くなる。制御回路3は、計時入力端子32に入力された計時電圧Vcを所定の切替電圧Vc2と比較し、この比較結果に応じて、以後に放電灯点灯動作を行うか発光ダイオード点灯動作を行うかを決定する。具体的には、制御回路3は、整流回路11への交流電力の入力が停止される前に放電灯点灯動作と発光ダイオード点灯動作とのいずれを行っていたかを記憶する不揮発性メモリ(図示せず)を有している。そして、制御回路3は、上記の比較の際、計時電圧Vcが切替電圧Vc2以上であれば、以後は上記の不揮発性メモリに記憶された動作とは異なる動作を行い、また、適宜のタイミングで上記の不揮発性メモリを書き換える。一方、制御回路3は、上記の比較の際、計時電圧Vcが切替電圧Vc2未満であれば、以後は上記の不揮発性メモリに記憶された動作を行う。図3の例でいえば、2回目の点灯期間Tp1には、開始時に計時電圧Vcが切替電圧Vc2以上であることにより、制御回路3は1回目の点灯期間Tp1とは異なる動作を行う。また、3回目の点灯期間Tp1には、開始時に計時電圧Vcが切替電圧Vc2未満であることにより、制御回路3は2回目の点灯期間Tp1と同じ動作を行う。例えば、制御回路3は、整流回路11への交流電力の入力が停止される前に放電灯点灯動作を行っていた場合において、計時用コンデンサC3の両端電圧Vcが切替電圧Vc2以上であれば以後は発光ダイオード点灯動作を行い、計時電圧Vcが切替電圧Vc2未満であれば以後は放電灯点灯動作を行う。上記の切替電圧Vc2は、例えば、消灯期間Tp0の長さが2秒であるときの計時用コンデンサC3の両端電圧とする。この場合、長さが2秒未満であるような消灯期間Tp0の前後では異なる動作が行われ、長さが2秒以上であるような消灯期間Tp0の前後では共通の動作が行われる。
【0024】
上記構成によれば、時定数回路6により、消灯期間Tp0の長さに応じた制御が可能となっている。
【0025】
ここで、本実施形態では、制御回路3は電源用コンデンサC2を電源としているので、消灯期間Tp0の開始に伴って制御電源回路4の動作が停止された後にも、電源用コンデンサC2の両端電圧Vddが必須電圧Vdd2に低下するまでの時間(以下、「動作維持時間」と呼ぶ。)の間は制御回路3が動作可能となっている。しかしながら、本実施形態では消灯期間Tp0の長さの計時が制御回路3ではなく時定数回路6によって行われるので、上記の動作維持時間は、動作が切り替えられるような消灯期間Tp0の長さ(すなわち、計時電圧Vcが切替電圧Vc2に達するまでの時間)よりも短く(例えば0.2秒に)することができる。つまり、消灯期間Tp0の長さの計時に制御回路3中の発振器及びカウンタ(図示せず)を用いる場合よりも、電源用コンデンサC2としてキャパシタンスが小さい小型のものを用いることができる。そして、本実施形態における電源用コンデンサC2と時定数回路6とを合わせた寸法形状は、消灯期間Tp0の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合における電源用コンデンサC2の寸法形状よりも小型化が可能である。つまり、消灯期間Tp0の長さの計時に発振器及びカウンタを用いる場合に比べて大型化が避けられる。
【0026】
上記の照明装置は、適宜形状の器具本体に保持されて照明器具(図示せず)を構成することができる。
【0027】
なお、消灯期間Tp0の長さに応じた制御としては、上記のような点灯させる光源21,22の切り替えに限られず、例えば、消灯期間Tp0の長さに応じて放電灯21などの光源の光出力を切り替えるという制御も可能である。
【符号の説明】
【0028】
3 制御回路
4 制御電源回路
6 時定数回路
7 交流電源(外部の電源)
11 整流回路(点灯回路の一部)
12 ブーストコンバータ(点灯回路の一部)
13 インバータ回路(点灯回路の一部)
21 放電灯(光源)
22 発光ダイオード(光源)
C2 電源用コンデンサ
C3 計時用コンデンサ
R2 放電用抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電源から入力された電力を変換した電力により光源を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を制御する制御回路と、
前記電源から前記点灯回路に電力が入力されているか否かを判定するとともに、前記電源から前記点灯回路に電力が入力されていると判定されている期間中にのみ、前記制御回路を動作させるための電力を生成する制御電源回路と、
前記電源から前記点灯回路に電力が入力されている期間中にのみ充電される計時用コンデンサ及び前記計時用コンデンサの両端間に接続された放電用抵抗を有して少なくとも前記電源から前記点灯回路に電力が入力されていない期間中には前記放電用抵抗を介して前記計時用コンデンサを放電させる時定数回路とを備え、
前記制御回路は、前記電源から前記点灯回路への電力の入力が開始された時点での前記計時用コンデンサの両端電圧が所定の切替電圧よりも高いか否かに応じて以後の前記点灯回路に対する制御の内容を異ならせることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記制御電源回路によって充電されて前記制御回路の電源となる電源用コンデンサを備えることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかの照明装置と、前記照明装置を保持した器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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