説明

照明装置

【課題】光源色がほぼ等しいが、所定条件の分光反射率を有する同一物体を照明した際に、当該物体の色が異なる物体色となる複数の照明手段を有する照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置100は、第1の分光分布をもつ第1の光源色によって照明する照明手段10と、第2の分光分布をもつ第2の光源色によって照明する照明手段20とを備え、第1の分光分布と前記第2の分光分布とが異なり、第1の光源色と前記第2の光源色との色度差の値が同色許容範囲内となる所定範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にほぼ等しい光源色を有する少なくとも2つの光源色を備える照明装置、及び、第2照明手段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明や、ハロゲン照明など、単色光、すなわち、一定の範囲の波長の光のみを発する照明手段が広く用いられつつある。
例えば、特許文献1に示されるように、任意の人工光源から発せられた光を回折光学素子によって光学的特性を制御する方法によって、一般的に複雑化してしまう光学的特性の制御方法を単純化できる。また、例えば、特許文献2に示されるように、異なるLEDを多数組み合わせることで被照射物が一定目的が達成できる程度に視認できるという技術が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献3に示されるように、演色評価数を最適にするためのLEDを複数利用した照明システムがある。また、特許文献4に示されるように、複数のLEDを用いた照明用システムの回路とそれを利用した照明装置が開示されている。また、特許文献5に、白色LEDと有色LEDとを組み合わせた複数のLEDを備える照明装置によって任意の発光色を実現する技術がある。
また、特許文献6に示されるように、白色LEDと有色LEDの組み合わせで、色温度と演色性を制御する技術が開示されている。また、特許文献7に示されるように、特性が異なる複数のLEDの組み合わせで白色光を得る装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002−365675号公報
【特許文献2】特開平10−144126号公報
【特許文献3】特開平10−209504号公報
【特許文献4】特開2001−297888号公報
【特許文献5】特開2004−111104号公報
【特許文献6】WO2003/019072号公報
【特許文献7】特開2006−202494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光の3原色として知られるRGB(赤、緑、青)の3色を組み合わせて、人の目に白色として認識される照明手段や、補色関係にある2色の照明手段を組み合わせて、人の目に白色として認識される照明手段などがある。
また、例えば、人間の視覚特性を関数として表現する等色関数などの関数に基づき、人の目に認識される照明手段の光の色、すなわち、光源色を数値として算出することができることが知られている。また、物体の色は、当該光源色と、物体のもつ分光反射率分布とによって数値として算出することができることも知られている。
また、近年、光源色がほぼ等しく、所定条件の分光反射率分布を有する物体を照明した際に、当該物体の色が異なる物体色として観測者に認識されうる照明装置に対する市場のニーズがあるという課題もあった。
【0005】
ここにおいて、本発明の目的は、光源色がほぼ等しいが、所定条件の分光反射率分布を有する同一物体を照明した際に、当該物体の色が異なる物体色となる複数の照明手段を有する照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、第1の分光分布をもつ第1の光源色によって照明する第1照明手段と、第2の分光分布をもつ第2の光源色によって照明する第2照明手段とを備える照明装置であって、前記第1の分光分布と前記第2の分光分布とが異なり、前記第1の光源色と前記第2の光源色との第1の色度差の値が同色許容範囲内となる第1の所定範囲であることを特徴とする照明装置である。
【0007】
また、本発明は、前記第1の光源色と前記第2の光源色との前記第1の色度差の値が、前記第1の分光分布と等色関数とに基づいて積分して算出するX、Y、Zの三値で表される第1の三刺激値と、前記第2の分光分布と前記等色関数とに基づいて積分して算出する第2の三刺激値との差の値となる第1の色度差であり、当該第1の色度差の値であるΔX、ΔY、ΔZが、下式(式1)の範囲内となることを特徴とする。
【0008】
【数1】

【0009】
また、本発明は、前記第1の分光分布と前記第2の分光分布とが異なる波長領域において、前記第1の光源色によって照明した際の照明対象物体の第1の物体色と前記第2の光源色によって照明した際の前記照明対象物体の第2の物体色との第2の色度差の値が異色範囲内となる第2の所定範囲であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第1の物体色と前記第2の物体色との前記第2の色度差の値が、前記第1の光源色によって照明した際に前記照明対象物体が反射する光の第3の分光分布と等色関数との積に基づいて積分して算出するX、Y、Zの三値で表される第3の三刺激値と、前記第2の光源色によって照明した際に前記照明対象物体が反射する光の第4の分光分布と前記等色関数との積に基づいて積分して算出する第4の三刺激値との差の値である第2の色度差であり、当該第2の色度差の値であるΔX、ΔY、ΔZの絶対値である|ΔX|、|ΔY|、|ΔZ|が、下式(式2)の範囲内となることを特徴とする。
【0011】
【数2】

【0012】
また、本発明は、前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方が、光源色が異なる複数の光源からなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記第1照明手段または前記第2照明手段が備える、光源色が異なる前記複数の光源間の光強度比を前記第1の色度差の値が同色許容範囲内となるように設定したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記第1照明手段または前記第2照明手段が備える、光源色が異なる前記複数の光源間の点灯時間比を前記第1の色度差の値が同色許容範囲内となるように設定したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方が、常時点灯することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方の、明滅点灯する際の点灯周波数を臨界融合周波数以上に設定したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記第1の分光分布、又は、前記第2の分光分布が、紫外光を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、第1の分光分布をもつ第1の光源色によって照明する第1照明手段と共に用いられる第2照明手段であって、第2の分光分布をもつ第2の光源色によって照明し、前記第2の分光分布は、前記第1の分光分布と異なる分光分布であり、前記第2の光源色は、前記第1の光源色との色度差の値が同色許容範囲内となる第1の所定範囲であることを特徴とする第2照明手段である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、分光分布が異なり、かつ、光源色の三刺激値の色度差が同色許容範囲内となる少なくとも2つの照明手段を備える照明装置によって、この分光分布が異なる範囲の分光反射率分布が所定条件を満たす物体を照射した場合に、照射する照明手段ごとに照明光の光源色は変化していないが、物体色が変化したように観測者に認識させることが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態において、CIE(国際照明委員会、Commission Internationale de l'Eclairage)により採択されているXYZ表色系、又は、当該XYZ表色系に基づくL***表色系によって、照明光の光源色、及び、物体色を表すこととする。
次に、本発明の一実施形態による照明装置100を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による照明装置100を示す図である。照明装置100は、分光分布が互いに異なり、かつ、光源色がほぼ等しい照明手段10と、照明手段20とを備える。
【0021】
なお、ここで、照明手段10と照明手段20との光源色がほぼ等しいとは、照明手段10の光源色の三刺激値(X10、Y10、Z10)と、照明手段20の光源色の三刺激値(X20、Y20、Z20)との差である色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)が、以下の(式3)の範囲内となる場合を意味する。
【0022】
【数3】

【0023】
なお、上述した(式3)は、L***表色系において、ΔE*abが5以下となる範囲をXYZ表色系に変換した場合の範囲である。ここで、ΔE*abが5以下となる範囲とは、通常、人が2色を比較した場合に同色許容範囲内、すなわち、同色であると認識される色の範囲であるとされている。
また、白色光の代表として、照明手段10の光源色と、照明手段20の光源色とは、それぞれ、D65光源(太陽光とほぼ同じ色温度の標準光源)の光源色がほぼ等しい場合を例に説明する。
【0024】
照明装置100において、照明手段10は、光源11と、光源12と、光源13とを複数備える。照明手段20は、光源14と、光源15と、光源16とを複数備える。ここで、光源11〜16の適用例として、単色光を有するLEDを適用する場合を例に説明する。なお、図1において、同一の分光分布を有する光源に対して、同一のハッチングを用いて示している。
図2は、光源11と光源12と光源13からなる照明手段10の分光分布41と、光源14と光源15と光源16とからなる照明手段20の分光分布42とを示す分光分布のグラフである。
図2において、符号31で示す範囲(波長幅約570nm〜635nm)は、分光分布41と分光分布42とにおいて、大きく分光分布が異なる範囲を示している。
【0025】
なお、図3(a)は、照明手段10が備える光源11が有する分光分布51、光源12が有する分光分布52、光源13が有する分光分布53であり、おのおのの輝度値Yが100となるように正規化した場合のグラフである。また、図3(b)は、照明手段20が備える光源14が有する分光分布54、光源15が有する分光分布55、光源6が有する分光分布56であり、光源14〜16の輝度値Yが100となるように正規化したグラフである。
【0026】
図4は、CIEによって1931年に定められた10°視野におけるXYZ表色系の標準観測者による色感度特性である等色関数を表すグラフである。
また、図5は、図2〜3にグラフで示した照明手段10、照明手段20、光源11〜16の波長ごとの光強度の相対値、及び、図4に示す等色関数の波長ごとの相対感度値を示す表である。図5に示す等色関数と、照明手段10の分光分布41とに基づき、(式4)により、照明手段10の光源色の三刺激値(X10、Y10、Z10)が算出可能である。具体的には、等色関数と、照明手段10の分光分布41とを乗算して算出した積を、可視光領域の波長について積分することによって算出する。同様にして、図5に示す等色関数と、照明手段20の分光分布42とに基づき、(式4)により、照明手段20の光源色の三刺激値(X20、Y20、Z20)が算出可能である。
【0027】
【数4】

【0028】
ここで、「x(λ)」にバーが付されている関数は、図5に示す等色関数のx10(λ)を示し、同様に「y(λ)」にバーが付されている関数は、図5に示す等色関数のy10(λ)を示し、「x(λ)」にバーが付されている関数は、図5に示す等色関数のz10(λ)を示している。また、S(λ)は、光源の分光分布を示す。
【0029】
上記(式4)に基づき、算出した照明手段10の光源色の三刺激値(X10、Y10、Z10)は(94.38、100.00、109.47)であり、照明手段20の光源色の三刺激値(X20、Y20、Z20)は(94.60、100.00、108.36)である。したがって、色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)は、(−0.22、0.00、1.11)となるため、上述した(式3)の範囲内であることから、照明手段10と照明手段20とは、図2に示すように符号31の範囲において分光分布は異なるが、観測者に同じ色と認識させる照明光を発することとなる。
【0030】
次に、照明装置100の照明手段10による照明光と、照明手段20による照明光とで照射した場合の、物体色の三刺激値について説明する。ここでは、照明手段10と照明手段20とで照射した際、物体色の三刺激値が大きく変化する分光反射率分布を有する例として、DIC(DAINIPPON INK AND CHEMICALS, INCORPORATED)カラーガイド(登録商標)の第17版における5つのカラーパッチを用いて説明する。この5色は、それぞれ、色番号「107」(DIC(17)−107)、色番号「146」(DIC(17)−146)、色番号「150」(DIC(17)−150)、色番号「557」(DIC(17)−557)、色番号「592」(DIC(17)−592)である。また、図6(a)は、この5色の分光反射率分布のグラフである。また、図6(b)は、この5色の波長ごとの分光反射率分布の値を示す表である。
【0031】
ここで、例えば、色番号「107」を照明手段10及び照明手段20で照射した場合の物体色は、以下の手順で算出可能である。図5に示す等色関数と、照明手段10の分光分布41と、図6(b)に示す色番号「107」の分光反射率分布の値とに基づき、(式5)により、照明手段10に照射された場合の色番号「107」のカラーパッチの物体色の三刺激値(X10−107、Y10−107、Z10−107)が算出可能である。具体的には、等色関数と、照明手段10の分光分布41と、図6(b)に示す色番号「107」の分光反射率分布とを乗算して算出した積を、可視光領域の波長について積分することによって算出する。
同様にして、図5に示す等色関数と、照明手段20の分光分布42と、図6(b)に示す色番号「107」の分光反射率分布の値とに基づき、(式5)により、照明手段20に照射された場合の色番号「107」のカラーパッチの物体色の三刺激値(X20−107、Y20−107、Z20−107)が算出可能である。
【0032】
【数5】

【0033】
ここで、R(λ)は物体の波長ごとの分光反射率を示す。
ところで、光源の分光分布S(λ)と、光源の照明対象物体の分光反射率分布R(λ)とを波長ごとに乗算して算出した積は、照明対象物体が照明光を反射する際の反射光の分光分布であることが知られている。すなわち、上述した物体色の三刺激値とは、照明対象物体に対して照射した照明光の反射光の分光分布と、図5の等色関数とを乗算して算出した積を、可視光領域の波長について積分することによって算出した値となる。
【0034】
図7は、上述の5色のカラーパッチを照明手段10で照射した場合の三刺激値と、照明手段20で照射した場合の三刺激値とを、XYZ表色系からL***表色系に変換したL***値と、その差である(ΔL*、Δa*、Δb*)、及び、色差ΔE*abの値を示す表である。
ここで、例えば、色番号「107」を照明手段10で照射した場合の実際の物体色は、薄い青味(例えば、JIS(日本工業規格)に基づく慣用色名「ヒヤシンス」に近い色)のように観測者に視認される三刺激値となるが、同じ色番号「107」を照明手段20で照射した場合には、くすんだ桃色(例えば、JISに基づく慣用色名「あやめ色」に近い色)として観測者に視認される三刺激値となる。
【0035】
このように、同色の光源色と視認される照明手段10と照明手段20とで異なる分光分布となる図2の符号31に示す範囲において、物体の分光反射率分布が図6のグラフ中の符号31に示すように、分光反射率分布が一定ではない場合など、その物体(例えば、色番号「107」の分光反射率分布をもつ物体)は、照明手段10と照明手段20とで大きく異なる色として観測者に視認されうる。
【0036】
しかしながら、照明手段10と、照明手段20とは、上述したように、光源色としては同色として観測者に認知されるため、例えば、照明手段10と照明手段20との照射を切り替えると、光源色は変化していないが、色番号「107」のような分光反射率分布を有する物体の色が、突然薄い青からくすんだ桃色へと変化したような印象を観測者に与えることが可能になるという効果がある。
【0037】
なお、異なる分光分布を有し、光源色が同色許容範囲内となる2つの照明手段と、分光反射率分布を有する物体との組み合わせは、上述した照明手段10、照明手段20、色番号「107」の分光反射率分布に限られず、照明対象の物体の反射光の分光分布と、等色関数とに基づく、各照明手段間の物体の三刺激値の色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)が、観測者に異なる色として認識させる範囲である異色範囲内となる組み合わせであれば、いずれの組み合わせでもよい。
【0038】
ここで、各照明手段間の物体の三刺激値の色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)が、観測者に異なる色として認識させる範囲である異色範囲内とは、当該色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)の絶対値(|ΔX|、|ΔY|、|ΔZ|)が、以下の範囲内となる場合を意味する。
【0039】
【数6】

【0040】
また、上述した、照明装置100における照明手段10と照明手段20とによる光源色の三刺激値が、白色光源の例として、D65光源の光源色の三刺激値である場合を例に説明したが、これに限らず、上述したように、照明手段10の光源色の三刺激値(X10、Y10、Z10)と、照明手段20の光源色の三刺激値(X20、Y20、Z20)との差である色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)が、光源色がほぼ等しい範囲内であり、かつ、照明手段10と照明手段20との分光分布が異なる場合であれば、いずれの光源色であっても適用可能である。
【0041】
<紫外光を用いる例1>
また、上述した図1における照明装置100の照明手段10と、照明手段20とのいずれか、又は両方に、可視光領域外に分光分布を有する光源をさらに用いる構成としてもよい。例えば、光源11と光源12と光源13とを備える照明手段10の構成に加えて、さらに波長400nm(ナノメータ)以下の紫外光を発光する紫外光源を備える紫外照明手段と、照明手段10とを有する構成の第1の紫外照明装置を例に説明する。
ここで、紫外光源が可視光領域外であるため、紫外光源を備える紫外照明手段の光源色の三刺激値と、照明手段10の光源色の三刺激値とが同じ値、すなわち、観測者にとって、同じ光源色として視認されることとなる。
【0042】
ところで、上述したように、物体色の三刺激値は、照明対象物体に対して照射した照明光の反射光の分光分布と、図5の等色関数とを乗算して算出した積を、可視光領域の波長について積分することによって算出した値となる。
【0043】
ここで、照明対象物体の表面に付される塗料(色材)が、蛍光物質(蛍光体、蛍光染料とも呼ばれる)を含む場合、紫外照明手段の紫外光源による蛍光現象によって、照明対象物体に含まれる蛍光物質が発光する。これにより、当該照明対象物体を紫外照明手段で照明した際の反射光は、照明手段10で照明した場合の照明対象物体の反射光と、紫外光源と蛍光物質との蛍光現象によって発せられる光とをあわせた反射光となる。
【0044】
したがって、蛍光物質を含む照明対象物体を照明手段10によって照射した場合の反射光の分光分布と、紫外照明手段によって物体を照明した場合の反射光の分光分布とが異なる。これにより、反射光の分光分布と等色関数とに基づき、上述の(式5)によって算出する物体色の三刺激値は、照明手段10によって照射した場合と、紫外照明手段によって物体を照明した場合とでそれぞれ異なる値となる。
【0045】
これにより、蛍光物質を含む照明対象物体を、照明手段10によって照射した場合と、紫外照明手段によって物体を照明した場合とで、観測者に、照明対象物体の色を異なる色として認識させる効果がある。また、蛍光現象によって、分光反射率分布が100パーセントを超える波長帯域が存在する場合、観測者に対して、当該物体が発光したように感じさせる効果がある。
【0046】
<紫外光を用いる例2>
次に、紫外光源を用いる場合の他の例として、上述の紫外照明手段と照明手段20とを備える第2の紫外照明装置によって、蛍光物質を含む物体を照明する場合について説明する。
ところで、図1の照明手段10と照明手段20との光源色の三刺激値の色度差は、観測者に同じ色として認識される範囲内である。また、紫外照明手段と照明手段10との光源色の三刺激値は、紫外光源が可視光領域外であるため、紫外光源を備える紫外照明手段の光源色の三刺激値と、照明手段10の光源色の三刺激値とは、同じ値となる。
したがって、この紫外照明手段と照明手段20との光源色の三刺激値の色度差の値も、照明手段10と照明手段20との光源色の三刺激値の色度差の値と同じ値、すなわち、観測者にとって、同様の光源色として視認される色度差の値となる。
【0047】
しかしながら、上述したように、照明手段10で当該照明対象物体を照明した場合の物体色の三刺激値と、紫外光源を備える紫外照明手段で当該照明対象物体を照明する場合の物体色の三刺激値とは、紫外照明手段の蛍光現象による蛍光発光によって、異なる三刺激値となる。これにより、照明手段10と照明手段20との物体色の三刺激値の色度差の値よりも、紫外照明手段と照明手段20との物体色の三刺激値の色度差の値を大きくさせることが可能となる効果がある。
【0048】
なお、参考として、以下に、D65光源の光源色とほぼ等しい光源色となる、他の分光分布の例を示す。図8は、上述した光源11〜光源16と同様の光源を含む、光源1〜光源6のLED光源の分光分布を輝度値Yを100として示したグラフである。また、図9は、光源1〜光源6の光源色をxy色度図上にプロットした図である。
【0049】
図10は、それぞれ、D65光源と光源色がほぼ等しい範囲となる上述の分光分布41と、分光分布42と同様の分光分布を含む分光分布61〜分光分布66の分光分布を示すグラフである。図10の分光分布61は、光源1と光源2と光源4との組み合わせによって実現可能である。また、同様に、分光分布62は、光源1と光源2と光源5との組み合わせ、分光分布63は、光源1と光源2と光源6との組み合わせ、分光分布64は、光源1と光源3と光源4との組み合わせ、分光分布65は、光源1と光源3と光源5との組み合わせ、分光分布66は、光源1と光源3と光源6との組み合わせによって実現可能である。
【0050】
図11は、光源1〜光源6、分光分布61〜分光分布66の波長ごとの光強度値を示す表である。また、図12は、分光分布61〜分光分布66を実現する光源1〜光源6の光強度比を示す表である。また、図13は、分光分布61〜分光分布66間の光源色の色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)を示す表である。
【0051】
ここで、上述した分光分布61〜分光分布66ごとの照射時におけるDICカラーガイドの物体色の変化が著しい、すなわち、色差ΔE*abの値が大きくなる場合の例を以下に示す。なお、用いるカラーパッチは、図6と同様である。
図14は、図6の5色のカラーパッチを分光分布61〜分光分布66によって照明した場合におけるXYZ表色系の三刺激値をL***表色系に変換したL***値の値を示す表である。
【0052】
次に、図14に示すL***値の中で、色差ΔE*abの値が大きい例を示す。
図15(a)は、分光分布63と分光分布64とにおけるL***値と、その差の値である(ΔL*、Δa*、Δb*)、及び、色差ΔE*abの値を示す表である。図15(b)は、分光分布63と分光分布66とにおけるL***値と、その差の値である(ΔL*、Δa*、Δb*)、及び、色差ΔE*abの値を示す表である。図15(c)は、分光分布63と分光分布65とにおけるL***値と、その差の値である(ΔL*、Δa*、Δb*)、および、色差ΔE*abの値を示す表である。
【0053】
なお、上記において、同様の色として観測者が認識しうる色度差の範囲として、(式2)の範囲として説明したが、望ましくは、以下の(式7)の範囲である場合、より同色として認識される効果がある。
【0054】
【数7】

【0055】
さらに望ましくは、以下の(式8)の範囲である場合、より同色として認識される効果がある。
【0056】
【数8】

【0057】
さらに望ましくは、以下の(式9)の範囲である場合、実用上同色として認識される効果がある。
【0058】
【数9】

【0059】
また、上記において、観測者に異なる色として認識させる異色範囲として、各照明手段間の物体の三刺激値の色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)が、(式6)となる場合を例に説明したが、望ましくは、以下の(式10)の範囲である場合、より異なる色として認識される効果がある。
【0060】
【数10】

【0061】
さらに望ましくは、以下の(式11)の範囲である場合、より異なる色として認識される効果がある。
【0062】
【数11】

【0063】
さらに望ましくは、以下の(式12)の範囲である場合、実用上異なる色として認識される効果がある。
【0064】
【数12】

【0065】
次に、図10に示す分光分布61〜分光分布66によって、D65光源と同様の光源色を有する照明手段を実現する際の、光源1〜光源6の制御方法の例を示す。なお、分光分布61〜分光分布66は、いずれも同様の制御方法を適用することが可能であるため、代表として分光分布61の照明手段を例に説明する。
【0066】
<常時点灯による制御方法の例>
図16は、図10の分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4が全て常時点灯する場合のタイミングチャートを示している。図16において、各光源が点灯している状態を白で示す。この場合、光源1、光源2、光源4が発光する際の光強度比は、図12に示す比率となる。
これにより、光源1、光源2、光源4が全て常時点灯するため、明滅点灯させる場合に比して、観測者に照明光のちらつきを感じさせないという効果がある。
【0067】
<明滅点灯による制御方法の例>
次に、図10の分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4が明滅点灯した場合の例を示す。ここで、光源1、光源2、光源4が発光する際の光強度比は、図12に示す比率とする。図17(a)は、分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4のいずれかの光源の点灯のタイミングチャートの一例を示す。図17(a)〜(d)において、各光源が点灯している状態を白で示し、消灯している状態を斜線のハッチングで示す。
【0068】
光源1の明滅後、次に光源2が点灯するまでの周波数が40Hz(ヘルツ)であってもよい。光源1が明滅し、光源2の明滅後、光源4が点灯するまでの周波数、すなわち、3つの光源のうち、2光源分の明滅周波数が40Hzである場合なおよい。より望ましくは、3光源分の明滅周波数が40Hzであるとさらに観測者にとって、連続点灯として視認されやすくなる。なお、明滅点灯する場合には、観測者が連続点灯と認識する臨界融合周波数以上であれば、40Hzに限らず、いずれの明滅点灯の周波数であっても適用可能である。
【0069】
図17(b)は、常に分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4のいずれかの光源が点灯する場合のタイミングチャートの一例を示す。
図17(c)は、常に分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4のいずれかの2光源が点灯する場合のタイミングチャートの一例を示す。
図17(d)は、常に分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4のいずれかの2光源または1光源が点灯する場合のタイミングチャートの一例を示す。
【0070】
図17(b)〜(d)のいずれについても、明滅の周波数は、図17(a)と同様に、観測者が連続点灯と認識する臨界融合周波数以上であれば、40Hzに限らず、いずれの明滅点灯の周波数であっても適用可能である。
また、各光源の明滅周波数は、例えば、光源1の明滅周波数が40Hz、光源2の明滅周波数が50Hz、光源4の明滅周波数が60Hzとするなど、各々異なる周波数であってもよい。この場合、各々の光源の光量比、すなわち、各光源の光強度比は図12に示す比率となる。
これにより、光源1、光源2、光源4が臨界融合周波数以上の周波数によって明滅点灯させることで、常時点灯させる場合と同様に、観測者に照明光のちらつきを感じさせないという効果がある。
【0071】
<発光強度による光源色の制御方法>
上述した実施形態において、光源1〜光源6の光強度の値は、輝度値Yが100で場合を想定した場合を例に説明したが、例えば、光源の種類ごとに、1つの光源素子で出力可能な輝度値に差がある場合の照明手段が備える光源の制御方法について説明する。
図18(a)は、例えば、光源1と、光源2と、光源4とのいずれかが、一定周期で点灯する場合において、1つのLED素子で発光可能な輝度値比率が1対2対3である場合の明滅パターンの例を示している。図18(a)〜(c)において、各光源が点灯している状態を白で示し、消灯している状態を斜線のハッチングで示す。
【0072】
このとき、例えば、照明手段の光源色をD65光源とほぼ等しい光源色として観測者に認識させるには、照明手段が有する各々の光源の光量比、すなわち、各光源の光強度比を図12に示す比率となるように、光源1と、光源2と、光源4の1回の点灯における発光強度比率を算出し、算出した光強度比の値によって、光源1、光源2、光源4を明滅させることにより、各光源の光強度を制御することが可能である。
【0073】
これにより、照明手段の光源色を制御することが可能になるという効果がある。なお、ここでは、D65光源を例に説明したが、これに限らず、照明手段として組み合わせる複数の光源をxy色度図上にプロットし、その複数の光源のプロット点によって囲まれる範囲内であれば、任意の光源色を実現する照明手段を提供することが可能である。
なお、光強度の値は例えば、カンデラ(Cd)などの単位により示される値である。
【0074】
<点灯時間による光源色の制御方法>
図18(b)は、図18(a)と同様に、光源1と、光源2と、光源4とにおいて、1つのLED素子で発光可能な輝度値比率が1対2対3である場合の明滅パターンの例を示している。
【0075】
このとき、例えば、D65光源とほぼ等しい光源色として観測者に認識させるには、各々の光源の光量比、すなわち、各光源の光強度比を図12に示す比率となるように、光源1と、光源2と、光源4の1回の点灯における点灯時間を算出し、算出した値によって、光源1、光源2、光源4の発光時間に基づいて明滅させることにより、各光源の光強度を制御することが可能である。これにより、照明手段の光源色を制御することが可能になるという効果がある。
【0076】
なお、図18(a)と、図18(b)とによる制御方法を組み合わせてもよい。すなわち、図18(c)に示すように、各光源の光強度比を図12に示す比率となるように、光源1と、光源2と、光源4の各光源の光強度と、各光源の1回の点灯時間とを算出し、算出した各光源間の点灯時間比の値によって、各光源の強度比を制御してもよい。これにより、照明手段の光源色を制御することが可能になるという効果がある。
【0077】
なお、本実施形態において、異なる分光分布であるが、ほぼ等しい光源色となる照明手段を3つの光源による構成として説明したが、図19の色度図上に示すように、照明手段10、照明手段20に適用する光源は、いずれか一方が2光源以上であれば、実現可能である。すなわち、符号71の光源と符号72の光源とを組み合わせた照明手段と、符号73の光源と符号74の光源とを組み合わせた照明手段とのいずれによっても、符号71と、符号72とを通る直線と、符号73と符号74とを通る直線との、交点90に示す光源色をもつ照明光を実現することが可能となる。
また、照明装置100は、照明手段10と、照明手段20との2つの照明手段を備えることとしたが、異なる分光分布であるが、ほぼ等しい光源色となる3以上の照明手段を備えることとしてもよい。
【0078】
上述した本実施形態の照明装置における照明手段によれば、例えば、アミューズメント施設などにおいて、図20に示すように、図10の分光分布61〜66のいずれかの分光分布を有する照明装置を各所に設置する施設に用いることができる。そして、複数のカラーパッチが印刷された固有のカードを付与された遊戯者は、カラーパッチの物体色が変化する照明装置を探すといった新たなアトラクション等を提供することが可能となる効果がある。
【0079】
さらに、店舗などに備えられる商品陳列棚やリーチインクーラーの照明装置として本実施形態の照明装置を用いることもできる。このとき、例えば、色番号「107」の分光反射率分布を有するカラーを含む複数のカラーによって印刷された商品の物体色は、照明手段10と照明手段20との切り換えにより、一部の色が変化したこととして観測者である消費者に認識させることが可能になるという効果がある。これにより、陳列されている商品への消費者の注目度、すなわち、アイキャッチ性を高めることができる。
【0080】
また、本実施形態の照明装置によって大きく物体色の三刺激値が変化する色材を、商品パッケージとして用いることが可能である。これにより、当該照明装置に対応するアイキャッチ性の高い商品パッケージを提供することができ、当該照明装置に対応する商品パッケージに対するニーズが高まり、この商品パッケージに対する市場を創出することが可能になるという効果がある。
【0081】
<応用例1>
次に、応用例1と、応用例2として、室内の生活空間において広い面積を有する壁や、床など、建材に対する適用例を説明する。
また、図21に示すように、照明手段10が常時点灯している際に、上述した色番号「107」の分光反射特性を有する床に対し、スポットライト状の照明手段20を照射すると、観測者にとっては、照明手段10と照明手段20とはほぼ同一の光源色として認識されているにもかかわらず、スポットされた箇所の色が突然大きく変化したように認識させることが可能となるため、観測者の注目を集めたり、驚きを与えたりすることが可能となる効果があり、新たな広告手段を提供することが可能となるという効果がある。また、例えば、室内に設置される上述の色番号「107」の分光反射特性を有するテーブルなどの家具に対して、スポットライト状の照明手段20を照射するか否かによって、観測者が認識する家具の色、すなわち、家具の物体色を切り替えることが可能になるという効果がある。
【0082】
また、上述した応用例1は、コンビニエンスストアなどに備えられる商品陳列棚やリーチインクーラーに対して適用してもよい。
図21と同様に、照明手段10が常時点灯している際、上述した色番号「107」の分光反射率分布を有する飲料缶等に対し、スポットライト状の照明手段20を照射すると、観測者にとっては、照明手段10と照明手段20とはほぼ同一の光源色として認識されているにもかかわらず、スポットされた箇所の色が突然大きく変化したように認識させることが可能となるため、購買者の注目を集めたり、驚きを与えたりすることが可能となる効果があり、新たな販売促進手段を提供することが可能になるという効果がある。
【0083】
<応用例2>
また、応用例2として、室内の壁紙に、例えば、上述の色番号「107」の分光反射特性を有する色材を適用することも可能である。
例えば、図1の照明装置100が備える照明手段10で壁紙を照射した場合、図7に示すように、壁紙の(L*、a*、b*)値は、薄い青(例えば、JISに基づく慣用色名「ヒヤシンス」に近い色)のように観測者に認識されうる値(58.72、10.33、−33.03)となる。
【0084】
一方、図1に示す照明手段20で壁紙を照射した場合、図7に示すように、壁紙の(L*、a*、b*)値は、くすんだ桃色(例えば、JISに基づく慣用色名「あやめ色」に近い色)のように観測者に認識されうる値(65.58、36.01、−20.74)となる。
これにより、例えば、夏季には照明装置100の照明手段10の照明光によって上述の壁紙を照射することにより、寒色系の涼しげな印象を与え、冬季には、照明手段20の照明光によって壁紙を照射することにより、暖色系の温かみのある印象を観測者に与える生活空間を提供することが可能である。
【0085】
上述した床や、壁、そして、天井の色は、室内に占める面積の割合が大きいため、室内全体の印象を大きく左右する。これにより、上述した照明手段10と照明手段20と色番号「107」の色材の組み合わせのように、色差ΔE*abの値が大きい場合に限らず、色差ΔE*abの値がより小さい照明手段と色材との組み合わせであっても、観測者に与える印象を大きく変えることが可能になるという効果がある。
【0086】
なお、照明手段の切り換えは、上述したような季節ごとの切り換えに限らず、来客時や、くつろぐ時間帯など、その部屋を使用するシーン(場面、状況)ごとに切り換えることにより、床や、壁紙、天井などの色を変化させて、室内の雰囲気を切り換えることも可能である。この場合、照明手段を2つではなく、3以上の照明手段を備える照明装置を用いる構成とすることにより、室内の観測者に3色以上の色変化を視認させることも可能である。
また、上述した実施形態において、JISに基づく慣用色名は、“JIS Z 8102:2001「物体色の色名」“に規定される色名である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による照明装置100の全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態による照明手段10と照明手段20とによる分光分布を示すグラフである。
【図3】同実施形態による照明手段10が備える光源11〜13、照明手段20が備える光源14〜16による分光分布を示すグラフである。
【図4】CIEによる10度視野における等色関数を示すグラフである。
【図5】一実施形態における照明手段10、照明手段20、光源11〜16、10度視野における等色関数における波長ごとの光強度の値を示す表である。
【図6】DICカラーガイドから選出した5色の分光反射率分布のグラフ、及び、波長ごとの分光反射率分布の値を示す表である。
【図7】DICカラーガイドから選出した5色を照明手段10と照明手段20とで照射した場合のL***値、色差ΔE*abを示す表である。
【図8】光源1〜光源6による分光分布を示すグラフである。
【図9】光源1〜光源6をxy色度図上にプロットしたグラフである。
【図10】D65光源と光源色がほぼ等しい分光分布61〜分光分布66の分光分布を示すグラフである。
【図11】光源1〜光源6、分光分布61〜分光分布66の波長ごとの光強度値を示す表である。
【図12】分光分布61〜分光分布66を実現する光源1〜光源6の光強度比を示す表である。
【図13】分光分布61〜分光分布66間の光源色の色度差(ΔX、ΔY、ΔZ)を示す表である。
【図14】図6の5色のカラーパッチを分光分布61〜分光分布66によって照明した場合におけるL***値の値を示す表である。
【図15】分光分布63と分光分布64、分光分布63と分光分布65、分光分布63と分光分布66のL***値と、その差である(ΔL*、Δa*、Δb*)、及び、色差ΔE*abの値を示す表である。
【図16】分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4が常時点灯させて光源色を制御する場合のタイミングチャートである。
【図17】分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4が明滅点灯させて光源色を制御する場合のタイミングチャートである。
【図18】分光分布61を構成する光源1、光源2、光源4が明滅点灯する場合の光強度、発光時間長を変化させて光源色を制御する場合のタイミングチャートである。
【図19】照明手段が有する光源が2光源の場合におけるxy色度図である。
【図20】本発明をアミューズメント施設に適用した場合を示した図である。
【図21】本発明の応用例を示した図である。
【符号の説明】
【0088】
1、2、3、4、5、6、11、12、13、14、15、16 光源
10、20 照明手段
41、42、43、44、45、46、51、52、53、54、55、56、61、62、63、64、65、66 分光分布
100 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の分光分布をもつ第1の光源色によって照明する第1照明手段と、第2の分光分布をもつ第2の光源色によって照明する第2照明手段とを備える照明装置であって、
前記第1の分光分布と前記第2の分光分布とが異なり、
前記第1の光源色と前記第2の光源色との第1の色度差の値が同色許容範囲内となる第1の所定範囲である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の光源色と前記第2の光源色との前記第1の色度差の値は、
前記第1の分光分布と等色関数とに基づいて積分して算出するX、Y、Zの三値で表される第1の三刺激値と、前記第2の分光分布と前記等色関数とに基づいて積分して算出する第2の三刺激値との差の値となる第1の色度差であり、
当該第1の色度差の値であるΔX、ΔY、ΔZが、下式の範囲内となる
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【数1】

【請求項3】
前記第1の分光分布と前記第2の分光分布とが異なる波長領域において、
前記第1の光源色によって照明した際の照明対象物体の第1の物体色と前記第2の光源色によって照明した際の前記照明対象物体の第2の物体色との第2の色度差の値が異色範囲内となる第2の所定範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の物体色と前記第2の物体色との前記第2の色度差の値は、
前記第1の光源色によって照明した際に前記照明対象物体が反射する光の第3の分光分布と等色関数との積に基づいて積分して算出するX、Y、Zの三値で表される第3の三刺激値と、前記第2の光源色によって照明した際に前記照明対象物体が反射する光の第4の分光分布と前記等色関数との積に基づいて積分して算出する第4の三刺激値との差の値である第2の色度差であり、
当該第2の色度差の値であるΔX、ΔY、ΔZの絶対値である|ΔX|、|ΔY|、|ΔZ|が、下式の範囲内となる
ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【数2】

【請求項5】
前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方が、光源色が異なる複数の光源からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1照明手段または前記第2照明手段が備える、光源色が異なる前記複数の光源間の光強度比を
前記第1の色度差の値が同色許容範囲内となるように設定した
ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1照明手段または前記第2照明手段が備える、光源色が異なる前記複数の光源間の点灯時間比を
前記第1の色度差の値が同色許容範囲内となるように設定した
ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方が、常時点灯することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1照明手段または前記第2照明手段のいずれか、または両方の、明滅点灯する際の点灯周波数を臨界融合周波数以上に設定した
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1の分光分布、又は、前記第2の分光分布が、
紫外光を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
第1の分光分布をもつ第1の光源色によって照明する第1照明手段と共に用いられる第2照明手段であって、
第2の分光分布をもつ第2の光源色によって照明し、
前記第2の分光分布は、前記第1の分光分布と異なる分光分布であり、
前記第2の光源色は、前記第1の光源色との色度差の値が同色許容範囲内となる第1の所定範囲である
ことを特徴とする第2照明手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−282755(P2008−282755A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127816(P2007−127816)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】