説明

照明装置

【課題】自身のランプの光出力に応じた調光制御が可能な照明装置であって、発熱量の大きいランプを用いても、その発熱による信頼性低下を抑制することができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、筐体2と、筐体2内に収容されたランプ3と、筐体2内に収容されランプ3の光出力を反映した照度を検出する照度センサ4と、筐体内に収容され照度センサ4からの検出信号に基づいてランプ3を調光制御する調光制御部5と、ランプ3と調光制御部5との間に介装された遮熱板6と、筐体2内に収容されランプ3からの光Lを照度センサ4へ導く導光部7とを備える。照度センサ4は、遮熱板6に対して調光制御部5の側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身のランプの光出力に応じた調光制御が可能な照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自身のランプの光出力に応じた調光制御が可能な照明装置として、蛍光ランプと、該蛍光ランプの光出力を反映した照度を検出する照度センサと、前記照度センサからの検出信号に基づいて前記蛍光ランプを調光制御する調光制御部とを有する照明装置が開示されている。この照明装置では、照度センサにより検出される照度を一定に保つように調光量がフィードバック制御されている。
【0003】
この照明装置によれば、経時変化等によりランプの光出力が低下しようとしても、ランプの光出力を一定に保つことができる。したがって、経時変化等によるランプの光出力の低下を見込んで初期照度を適正照度よりも高く設定しておく必要がなくなり、初期状態から適正照度を得ることができる。このため、無駄な電力の消費が抑えられ、省電力を図ることができる。
【特許文献1】特開2000−315589号公報の図15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、ランプ、調光制御部及び照度センサの配置等については何ら言及されていなかった。前記従来の照明装置では、ランプとして蛍光ランプが用いられ、発熱量の小さいランプを用いることを想定したものであったため、それらの配置等に特別に配慮する必要がない。
【0005】
ところが、例えば、トンネル入口照明に用いる照明装置などでは、ランプとして高圧ナトリウムランプなどの高出力(したがって、発熱量の大きい)ランプが用いられている。したがって、このような照明装置に特許文献1に開示されたような技術を適用しようとすると、その発熱が大きな問題となり、その発熱によって調光制御部や照度センサが故障してしまい、装置の信頼性が低下してしまう。一方で、このような高出力のランプを用いた照明装置こそ、前述したような省電力効果が大きくなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、自身のランプの光出力に応じた調光制御が可能な照明装置であって、発熱量の大きいランプを用いても、その発熱による信頼性低下を抑制することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による照明装置は、筐体と、前記筐体内に収容されたランプと、前記筐体内に収容され前記ランプの光出力を反映した照度を検出する照度センサと、前記筐体内に収容され前記照度センサからの検出信号に基づいて前記ランプを調光制御する調光制御部と、前記ランプと前記調光制御部との間に介装された遮熱板と、前記筐体内に収容され前記ランプからの光を前記照度センサへ導く導光部と、を備え、前記照度センサは、前記遮熱板に対して前記調光制御部の側に配置されたものである。
【0008】
この第1の態様によれば、照度センサにより検出される照度を一定に保つようにランプの調光量をフィードバック制御することができる。したがって、経時変化等によりランプの光出力が低下しようとしても、ランプの光出力を一定に保つことができる。したがって、経時変化等によるランプの光出力の低下を見込んで初期照度を適正照度よりも高く設定しておく必要がなくなり、初期状態から適正照度を得ることができる。このため、無駄な電力の消費が抑えられ、省電力を図ることができる。
【0009】
そして、前記第1の態様によれば、ランプと調光制御部との間に遮熱板が介装されているので、調光制御部に対してランプによる熱が遮熱される。このため、発熱量の大きいランプを用いても、その発熱による調光制御部の信頼性低下を抑制することができる。また、前記第1の態様によれば、照度センサが遮熱板に対して前記調光制御部の側に配置されているので、照度センサに対してランプによる熱が遮熱される。このため、発熱量の大きいランプを用いても、その発熱による照度センサの信頼性低下を抑制することができる。照度センサは、照度検出の点のみに着目すれば、ランプに近接して配置されてしまうのが通例であるが、前記第1の態様では、あえてランプから離れた場所である、遮熱板に対して前記調光制御部の側に照度センサを配置し、導光部によってランプの光をその離れた場所まで導くことで、照度センサに対する遮熱効果を得て、照度センサの信頼性低下を抑制しているのである。
【0010】
第2の態様による照明装置は、前記第1の態様において、前記遮熱板に採光窓が形成され、前記導光部は前記ランプからの光を前記採光窓を介して前記照度センサへ導くものである。前記採光窓は、単なる孔でもよいし、ガラス部材等の透明部材で構成したものでもよい。
【0011】
この第2の態様は遮熱板に形成した採光窓を利用する例を挙げたものであるが、前記第1の態様ではこの例に限定されるものではない。
【0012】
第3の態様による照明装置は、前記第1又は第2の態様において、前記ランプからの光を前方へ反射させる反射板を備え、前記反射板に採光窓が形成され、前記導光部は、前記遮熱板に対して前記ランプの側に配置され前記ランプからの光のうち前記反射板の前記採光窓を通過した光を反射させる反射鏡を含むものである。
【0013】
この第3の態様は導光部の例を挙げたものであるが、前記第1及び第2の態様ではこの例に限定されるものではない。例えば、前記導光部として光ファイバ等を用いてもよい。
【0014】
第4の態様による照明装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記ランプが高圧ナトリウムランプ又はメタルハライドランプであるものである。
【0015】
この第4の態様はランプの例を挙げたものであるが、前記第1乃至第3の態様ではこの例に限定されるものではない。例えば、前記ランプとしてLEDランプ等を用いてもよい。
【0016】
第5の態様による照明装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、トンネル入口照明に用いられるものである。
【0017】
この第5の態様は、前記第1乃至第4の態様による照明装置の用途の例を挙げたものであるが、その用途はこの例に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自身のランプの光出力に応じた調光制御が可能な照明装置であって、発熱量の大きいランプを用いても、その発熱による信頼性低下を抑制することができる照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による照明装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態による照明装置としての、トンネル入口照明に用いられるトンネル入口照明装置1を示す前方(照明光の射出側)から見た概略平面図である。図2は、図1中のA矢視側面図である。図3は、図1中のB−B矢視断面図である。図4は、図1中のC−C矢視断面図である。図5は、図3中の一部を抜き出して、ランプ3から照度センサ4に至る光Lの様子を示す概略図である。図5において、後述する遮熱板6及び反射板16の図示は省略している。
【0021】
本実施の形態によるトンネル入口照明装置1は、前後方向(図1中の紙面に垂直な方向)に扁平した箱状の筐体2と、筐体2内に収容されたランプ3と、筐体2内に収容されランプ3の光出力を反映した照度を検出する照度センサ4と、筐体内に収容され照度センサ4からの検出信号に基づいてランプ3を調光制御する調光制御部5と、ランプ3と調光制御部5との間に介装された遮熱板6と、筐体2内に収容されランプ3からの光Lを照度センサ4へ導く導光部7とを備えている。
【0022】
筐体2は、ステンレス板等で構成され前方の大部分が開口した箱状の本体11と、本体11の前方を覆うガラス板等からなる透明カバー12とから構成されている。透明カバー12の一方側が金具13によって本体11にヒンジ結合され、透明カバー12は、ランプ3等の交換が容易となるように開閉自在となっている。透明カバー12の他方側には、透明カバー12を本体11に対して取り外し自在に固定する留め金具14が設けられている。なお、図面には示していないが、筐体2内の空間を外部に対して水密に保つことができるように、透明カバー12と本体11との間にパッキンが設けられている。本体11の背面には、トンネルの壁面に取り付けるための取り付け脚15が固定されている。
【0023】
本実施の形態では、遮熱板6は、ステンレス板等の金属板で構成され、筐体2の内部空間を、図1及び図3中の左側室及び右側室の2つにほぼ仕切っている。図面には示していないが、遮熱板6は、L金具等によって本体11の底面部に固定されている。前記左側室にはランプ3が配置され、前記右側室には調光制御部5(後述する電子安定器23及び制御部24)及び照度センサ4が配置されている。これにより、ランプ3と調光制御部5及び照度センサ4との間に、遮熱板6が介装されている。本実施の形態では、遮熱板6は、平板により構成されているが、2重板や波板等により構成してもよい。
【0024】
本実施の形態では、ランプ3として高圧ナトリウムランプが用いられている。もっとも、本発明では、ランプ3として、例えば、メタルハライドランプを用いてもよいし、LEDランプを用いてもよい。前記左側室には、ランプ3から後方及び側方へ発した光を前方に反射させて照明光にする概略半円筒状の反射板16が設けられている。反射板16は、図示しない取り付け部材を介して本体11に固定されている。ランプ3は、反射板16にそれぞれ固定されたソケット17及びランプ保持金具18によって、保持されるようになっている。ランプ3は、発光管3aを内蔵している。
【0025】
反射板16における発光管3aの直下の位置に円形状の採光窓16b(図1参照)が形成されている。本実施の形態では、本実施の形態では、採光窓16bは、孔であるが、ガラス部材等の透明部材で構成したものでもよい。採光窓16bの直下には、ランプ3から発して採光窓16bを通過した光を、照度検出用光として、遮熱板6に形成された採光窓6a(図4参照)へ向けて反射させる反射鏡21が設けられている。本実施の形態では、採光窓6aは孔であるが、ガラス部材等の透明部材で構成したものでもよい。反射板16の背面に断面コ字状の反射部材22が設けられ、反射部材22の一端部に反射鏡21が設けられ、反射部材22の他端部が遮熱板6の採光窓6a付近に配置されている。反射部材22の内面と反射板16の背面とによって反射角筒が構成され、反射鏡21で反射された照度検出用光が効率良く遮熱板6の採光窓6aに向かうようになっている。照度センサ4は、前記右側室において遮熱板6の採光窓6a付近に配置され、採光窓6aを介して照度検出用光を受光して、ランプ3の光出力を反映した照度を検出する。
【0026】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、ランプ3からの光Lを照度センサ4へ導く導光部7は、反射鏡21及び反射部材22によって構成されている。もっとも、導光部7は、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。例えば、反射部材22は、ランプ3からの光Lを照度センサ4へ効率良く導くために設けることが好ましいが、必ずしも設けなくてもよい。また、導光部7は、光ファイバを用いて構成してもよい。
【0027】
本実施の形態では、調光制御部5は、ランプ3を駆動するインバータ等からなる電子安定器23と、電子安定器23を制御する制御部24とから構成されている。制御部24は、ランプ3の光出力の目標値を示す光出力指令信号を外部から受けて、照度センサ4により検出される照度(すなわち、ランプ3の光出力)が光出力指令信号が示す目標値に応じた照度となるように、照度センサ4からの検出信号に基づいてフィードバック制御を行うように、電子安定器23を制御する。本実施の形態によるトンネル入口照明装置1の電気的な概略構成は、後述する図6に示す通りである。
【0028】
電子安定器23及び制御部24は、取り付け台25を介して、本体11の底面部に固定されている。なお、各部間の電気的な配線は、端子台26を経由して行われるようになっている。
【0029】
本実施の形態によれば、調光制御部5によって、照度センサ4により検出される照度を一定に(ここでは、光出力指令信号が示す目標値に応じた値に)保つようにランプ3の調光量をフィードバック制御することができる。したがって、経時変化等によりランプの光出力が低下しようとしても、ランプの光出力を一定に保つことができる。したがって、経時変化等によるランプの光出力の低下を見込んで初期照度を適正照度よりも高く設定しておく必要がなくなり、初期状態から適正照度を得ることができる。このため、無駄な電力の消費が抑えられ、省電力を図ることができる。
【0030】
そして、本実施の形態によれば、ランプ3と調光制御部5との間に遮熱板6が介装されているので、調光制御部5に対してランプ3による熱が遮熱される。このため、発熱量の大きいランプ3を用いても、その発熱による調光制御部5の信頼性低下を抑制することができる。また、本実施の形態によれば、照度センサ4が遮熱板6に対して調光制御部5の側に配置されているので、照度センサ4に対してランプ3による熱が遮熱される。このため、発熱量の大きいランプ3を用いても、その発熱による照度センサ4の信頼性低下を抑制することができる。照度センサ4は、照度検出の点のみに着目すれば、ランプ3に近接して配置されてしまうのが通例であるが、本実施の形態では、あえてランプ3から離れた場所である、遮熱板6に対して調光制御部5の側に照度センサ4を配置し、導光部7によってランプ3の光をその離れた場所まで導くことで、照度センサ4に対する遮熱効果を得て、照度センサ4の信頼性低下を抑制しているのである。
【0031】
図6は、本実施の形態によるトンネル入口照明装置1を複数用いたトンネル入口照明システムの一例を示す概略ブロック図である。このトンネル入口照明システムは、複数のトンネル入口照明装置1の他に、トンネル外部の照度を検出する外部照度センサ31と、統括制御部32とを備えている。複数のトンネル入口照明装置1は、トンネル入口から所定距離に渡って所定間隔でトンネル内に配置されている。統括制御部32は、外部照度センサ31からの検出信号に基づいて、トンネル外部の照度に応じてトンネル入口照明による照度が適切な照度となるように、前記光出力指令信号を各トンネル入口照明装置1に供給する。なお、前記光出力指令信号は、トンネル外部の照度に応じて2段階以上の段階的な目標値を示すように作成してもよいし、トンネル外部の照度に応じて連続的な目標値を示すように作成してもよい。
【0032】
このトンネル入口照明システムによれば、本実施の形態によるトンネル入口照明装置1を用いているので、省電力を図りながら信頼性を高めることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施の形態によるトンネル入口照明装置とそれを用いたトンネル入口照明システムについて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明による照明装置は、トンネル入口照明装置のみならず他の種々の用途の照明装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態によるトンネル入口照明装置を示す前方から見た概略平面図である。
【図2】図2は、図1中のA矢視側面図である。
【図3】図3は、図1中のB−B矢視断面図である。
【図4】図1中のC−C矢視断面図である。
【図5】図3中の一部を抜き出して、ランプから照度センサに至る光の様子を示す概略図である。
【図6】図1乃至図5に示すトンネル入口照明装置を複数用いたトンネル入口照明システムの一例を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1 トンネル入口照明装置
2 筐体
3 ランプ
4 照度センサ
5 調光制御部
6 遮熱板
7 導光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容されたランプと、
前記筐体内に収容され前記ランプの光出力を反映した照度を検出する照度センサと、
前記筐体内に収容され前記照度センサからの検出信号に基づいて前記ランプを調光制御する調光制御部と、
前記ランプと前記調光制御部との間に介装された遮熱板と、
前記筐体内に収容され前記ランプからの光を前記照度センサへ導く導光部と、
を備え、
前記照度センサは、前記遮熱板に対して前記調光制御部の側に配置されたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記遮熱板に採光窓が形成され、前記導光部は前記ランプからの光を前記採光窓を介して前記照度センサへ導くことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記ランプからの光を前方へ反射させる反射板を備え、
前記反射板に採光窓が形成され、
前記導光部は、前記遮熱板に対して前記ランプの側に配置され前記ランプからの光のうち前記反射板の前記採光窓を通過した光を反射させる反射鏡を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記ランプが高圧ナトリウムランプ又はメタルハライドランプであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
トンネル入口照明に用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−67392(P2010−67392A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230896(P2008−230896)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(504160655)日本組織電気株式会社 (1)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】