説明

照明装置

【課題】照度センサが照明器具の近くにあっても適切に照度を測定し、照明光源の発光レベルを制御することができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、室内に設置される照明装置であって、筐体に配置された光源100と、前記筐体に配置され、光源100からの発光を瞬間的に停止して、その停止期間内に室内の照度を測定する測定部200と、前記照度に基づいて光源100の発光レベルを設定する設定部300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に設置される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会生活において、照明器具はなくてはならない必需品といえる。そうした中、照明器具を高い発光レベルで長時間点灯させ続けることによる電力消費が問題となっている。下記特許文献1には、建物の外側に照度センサを取り付け、建物内に差し込む外光の照度を検知することによって、室内照明の調光制御を行い、照明器具の点灯照度を最適化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−12679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な照明器具では、外光の差し込み等により室内の照度がある程度確保できている状態であっても、照明器具の光源発光レベルは一定であり、必要以上の明るさをもって照明してしまうことがある。そこで前記特許文献1のような、照度センサによる検知照度を基に照明の光源出力を制御する技術が開発されている。
【0005】
しかしながら、照度センサを設置する場所が照明光源の近くでは、照明光源が点灯状態にあるときは自身の照明光により、室内の照度を正確に計ることができないという問題があり、照明光源が点灯状態で適切に照明できているかの判定は難しいものであった。また、この問題を避けるために照度センサと照明光源とを離して設置すると、その配線等に余計な手間やコストがかかるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、照度センサが照明器具の近くにあっても適切に照度を測定し、照明光源の発光レベルを制御することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る照明装置は、室内に設置される照明装置であって、筐体に配置された光源と、前記筐体に配置され、前記光源からの発光を瞬間的に停止して、その停止期間内に室内の照度を測定する測定手段と、前記照度に基づいて前記光源の発光レベルを設定する設定手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
第1の態様に係る照明装置によれば、光源からの発光を瞬間的に停止し、その停止期間内に測定手段が照度の測定をすることで、光源からの発光に影響されることなく適切に室内の照度を計測することが可能となる。さらに、設定部が当該照度に基づいて光源の発光レベルを設定することで、光源の発光レベルを、照明装置の設置場所の照度に応じて適切に制御することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る照明装置は、第1の態様に係る照明装置において特に、当該照明装置が複数であり、前記設定手段は、隣接する照明装置における前記発光レベルを参照することにより、自身の照明装置における前記発光レベルを設定することを特徴としている。
【0010】
第2の態様に係る照明装置によれば、隣接する照明装置の光源の発光レベルを参照することにより、隣接する照明装置同士の発光レベル差を制御すれば、室内の照明装置の発光レベルを均一化する等の処理が可能となる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る照明装置は、第2の態様に係る照明装置において特に、前記設定手段は、隣接する照明装置における前記発光レベルとの差が所定値以下となるように、自身の照明装置における前記発光レベルを設定することを特徴としている。
【0012】
第3の態様に係る照明装置によれば、隣接する照明装置の光源同士の発光レベルの差を所定値以下となるように設定することにより、室内の照明装置の発光レベルを均一化することで視覚的美観を保つことができ、また、隣接する照明装置の一方のみが強く光り続けるといった偏った使用による照明装置の消耗を防ぐことができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る照明装置は、第2又は第3の態様に係る照明装置において特に、前記設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える前記測定手段を受信手段とする可視光通信によって、隣接する照明装置における前記発光レベルを取得することを特徴としている。
【0014】
第4の態様に係る照明装置によれば、設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える測定手段を受信手段とする可視光通信を行い、隣接する照明装置における前記発光レベルを取得することが可能となる。従って、照明装置に別途、通信装置等を取り付けることなく、隣接する照明装置の情報を参照することができ、照明装置の構成を簡略化することが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る照明装置は、第2から第4のいずれかひとつの態様に係る照明装置において特に、前記測定手段による照度測定の実行タイミングを制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、隣接する照明装置における照度測定の実行タイミングとは異なる実行タイミングで、自身の照明装置における照度測定を実行することを特徴としている。
【0016】
第5の態様に係る照明装置によれば、制御手段の制御により、隣接する照明装置における照度測定の実行タイミングとは異なる実行タイミングで、自身の照明装置における照度測定を実行することにより、隣接する照明装置同士が同時に照度測定を行うことを防ぐことが可能となる。このことにより隣接する照明装置の光源の発光レベルを適切に参照することができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る照明装置は、第5の態様に係る照明装置において特に、前記設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える前記測定手段を受信手段とする可視光通信によって、隣接する照明装置における前記実行タイミングの情報を取得することを特徴としている。
【0018】
第6の態様に係る照明装置によれば、設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える測定手段を受信手段とする可視光通信を行い、隣接する照明装置における前記実行タイミングの情報を取得することが可能となる。従って、照明装置に別途、通信装置等を取り付けることなく、隣接する照明装置の情報を参照することができ、照明装置の構成を簡略化することが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る照明装置は、第1から第6のいずれかひとつの態様に係る照明装置において特に、前記測定手段はさらに、前記光源の発光期間内に前記発光レベルを測定し、当該発光レベルに基づいて、前記発光レベルを制御するための発光制御信号を補正する補正手段をさらに備えることを特徴としている。
【0020】
第7の態様に係る照明装置によれば、補正手段により光源の発光期間内に前記発光レベルを測定し、当該発光レベルに基づいて、発光レベルを制御するための発光制御信号を補正することができる。このことにより照明装置は、発光レベルを制御するための発光制御信号によって企図している発光レベルと、光源の実際の発光レベルとに差があるとき、その差を補正することができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る照明装置は、第1から第7のいずれかひとつの態様に係る照明装置において特に、前記設定手段は、前記照明装置の設置場所に応じて、前記発光レベルを異なる値に設定可能であることを特徴としている。
【0022】
第8の態様に係る照明装置によれば、照明装置の設置場所に応じて、適切な発光レベルとなるよう照明装置の光源を設定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光源からの発光に影響されることなく適切に室内の照度を計測し、当該照度に基づいて光源の発光レベルを制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る照明装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照明装置における発光レベル制御の動作を示すフローチャートである。
【図3】照明装置の光源における発光状態の時間経過を示したタイムチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る照明装置の設置状況を模式的に示した図である。
【図5】隣接する照明装置の位置関係を模式的に示した図である。
【図6】第1の変形例における発光レベル差減殺制御の動作を示すフローチャートである。
【図7】発光レベル差減殺制御における隣接した照明装置の発光レベルの変化を示した図である。
【図8】隣接する照明装置の照度測定における光源の点灯状態を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一または相応する要素を示すものとする。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように照明装置1は、CPU等の信号処理部10、光源100、測定部200、メモリ等の記憶部600を備える。さらに、信号処理部10は、光源制御部150、設定部300、タイミング制御部400、補正部500を有している。また、光源制御部150の出力は、光源100の入力に接続されている。測定部200の出力は、設定部300とタイミング制御部400と補正部500との入力に接続されている。設定部300の出力は、光源100と補正部500と記憶部600との入力に接続されている。タイミング制御部400の出力は、光源制御部150と測定部200との入力に接続されている。補正部500の出力は、設定部300の入力に接続されている。記憶部600の出力は設定部300の入力に接続されている。
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る照明装置1の動作の説明を行う。照明装置1は通常の照明装置と同じく、電源が投入されると照明を行う装置である。さらに、照明装置1は照明を行う際に照度測定を行い、その照度に基づいて光源100の発光レベル制御を行う。
【0028】
図2は本発明の実施の形態に係る照明装置1における、発光レベル制御の動作を示すフローチャートである。ステップSP100において、照明装置1のタイミング制御部400は、発光レベル制御を行うために光源制御部150へ制御タイミング情報S20を出力する。制御タイミング情報S20を受け取った光源制御部150は、光源100の発光を停止する旨の光源制御信号S10を光源100に送り、これを受け取った光源100は発光停止状態(つまり消灯状態)となる。この光源100には、即応性の高いLED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro-Luminescence)などの素子が使われており、光源100は光源制御信号S10によって、瞬時に点灯状態と消灯状態とを切り換えることができる。
【0029】
次に、ステップSP110において、照明装置1のタイミング制御部400は、測定部200に対し測定タイミング信号S13を送る。測定タイミング信号S13を受け取った測定部200は、測定部200の有する照度センサにより、光源100が消灯状態のときの照度をサンプリング測定する。照明装置1は同一筐体に光源100と測定部200を備えており、測定部200が有する照度センサにより、照明装置1の設置場所における室内の照度を測定することができる。光源100が消灯状態のときの室内の照度を得た測定部200は、照度情報S11を設定部300に出力する。
【0030】
次に、ステップSP120において、照明装置1の光源制御部150は、光源100に発光を再開する旨の光源制御信号S10を送り、これを受け取った光源100は点灯状態となる。
【0031】
次に、ステップSP130において、照明装置1のタイミング制御部400は、所定の回数のサンプリング測定が行われた否かを判定する。所定回数のサンプリング測定が行われた場合「YES」と判定し、ステップSP140に進む。一方、所定回数のサンプリング測定がまだ行われていない場合は「NO」と判定し、ステップSP100に戻る。
【0032】
ステップSP130にて所定回数のサンプリング測定が行われ「YES」と判定された場合、ステップSP140において、照明装置1の測定部200は、所定回数分サンプリングされた照度に基づき、例えば、サンプリング測定した照度の内、最大のものと最小のものとを削除し、残りの照度を平均化するなどの誤差是正手法を用い、適切な照度を算出する(当該所定のサンプリング回数は、必ずしも複数回である必要はなく、一度の測定で適切な照度を得られる場合は、所定のサンプリング回数を1回としてもよい)。この算出された照度を、測定部200は照度情報S11として設定部300へ出力する。
【0033】
次に、ステップSP150において、照明装置1の設定部300は、受け取った照度情報S11に基づいて、適切な発光レベルを設定する発光レベル制御信号S12を生成し、光源100に出力する。具体的には、照度情報S11を受け取った設定部300は、記憶部600に対して問い合わせ信号S18を送り、照度情報S11の照度の場合に適切である発光レベルを問い合わせる。記憶部600は、照度毎に適切であると設定された発光レベルがまとめられたデータテーブル650を保持しており、このデータテーブル650に基づき、照度情報S11の照度の場合に適切である発光レベル情報S19を設定部300に出力する。この発光レベル情報S19を受け取った設定部300は、当該発光レベル情報S19に基づいた発光レベル制御信号S12を出力し、光源100を適切な発光レベルに設定する。
【0034】
また、照明装置1は、この発光レベル制御を一定期間ごとに行う。照明装置1はその都度、照明装置1の設置場所における照度を計測し発光レベルを設定することで、照明装置1の設置場所における照度が変化しても、適切な発光レベルでの照明が行えるように制御する。
【0035】
以上のように、照明装置1は発光レベル制御を行い、光源100の発光レベルは、測定部200にて測定される照度に合った発光レベルに設定される。図3に、発光レベル制御時の光源100における発光状態の時間経過を表したタイムチャートの一例を示す。発光レベル制御の照度のサンプリング測定中は光源100が消灯状態となる。なお、図3においては、一度の照度測定で5回のサンプリング測定が行われている場合を例示しているが、サンプリング測定の回数はこの限りではなく、また、タイムチャートにおける各時間も例示である。
【0036】
図3で示すように、ステップSP100にて光源100を消灯状態にしてから、ステップSP130にて光源100を点灯状態にするまでの時間を数ミリ秒程度にすることで、消灯期間は瞬間的なものとなり、人間の視覚的には消灯されていることが認識されず、見た目上、照明装置1は点灯状態を保っているように見せることができる。このことにより、人間の視覚的には点灯状態を保ちながら、光源100を瞬間的に消灯状態にした場合の室内の照度を測定することが可能となる。
【0037】
照明が点灯状態の室内の照度はJIS(Japanese Industrial Standards)などの基準規格により、ある程度の照度を確保することが求められおり、照明装置としての役割を果たすためにも、室内の照度を一定値以上に保つことが必要である。しかしながら、照度を確保するために照明装置1の光源100を必要以上の発光レベルで使用することは、消費エネルギーの無駄となるため望ましくない。そこで本発明の実施の形態に係る照明装置1では、照度測定時に光源100を消灯状態にして測定を行うことで、照明装置1が消灯状態のときの照度を取得し、光源100をその照度にあった発光レベルに設定することで、消費エネルギーの無駄がない照明を行うことができる。
【0038】
また、JIS規格によると、照明装置の設置場所に応じて、適切な室内照度が異なる値に設定されている。従って、設置部600には、照明装置1の設置場所に応じて複数のデータテーブル650が保持されていることが望ましい。この場合には、設定部300に入力される設置場所情報S30を用いて、発光レベル情報S19の問い合わせ先のデータテーブル650を切り換えることが出来る。したがって、照明装置1はデータテーブル650を切り換えることによって、設置場所に応じて適切な発光レベルとなるよう照明装置1の光源100を設定することができる。
【0039】
さらに、照明装置1の光源100を消灯させて照度測定を行うことで、自身の照明光に左右されず、室内の照度を測定することができるため、光源100と測定部200とを距離が近い場所に設置することが可能となる。よって、光源100と測定部200との位置関係を固定化できるため、照度センサを照明装置から切り離して照度を測定する場合よりも、室内の環境条件に左右されず照度を測定し、光源100を測定照度に対して適切な発光レベルに制御することが可能である。
【0040】
<第1の変形例>
図4は、本発明の実施の形態に係る第1の変形例に関する照明装置1の設置状況を模式的に示した図である。照明装置1は、室内で複数設置される照明装置であって、図4に示した例では、照明装置1Aと照明装置1Bと照明装置1Cとが設置されている。また、各々の照明装置の設置場所は、外光に起因する直射光及び反射光などの光S21や、隣接する他の照明装置からの照明光の影響により照度が異なっている。
【0041】
ここで、照明装置1Aと照明装置1Bと照明装置1Cとが互いの発光レベルの参照を行わず、それぞれ独立に発光レベル制御を行った場合、室内の照度は他の照明装置1からの照明光の合成値に影響されるので、ある照明装置が高い発光レベルで点灯し、また一方、他の照明装置が低い発光レベルで点灯するといった状態になるおそれがある。この照明装置毎に、発光レベルが大きく異なる状態は、室内に必要な照度の基準を満たしてはいても、見た目上の美観を損なうことがあり、さらに、特定の照明装置だけが高い発光レベルで点灯し続ければ、発光レベルが高い照明装置だけが消耗し、照明装置の寿命を縮めるおそれがある。第1の変形例では、隣接する他の照明装置1の光源における発光レベルを得ることで、隣接する照明装置1同士の発光レベルの差を制御を行い、これらの問題を解決する。
【0042】
図5に、隣接する照明装置1Aと照明装置1Bとの位置関係を模式的に表した図を示す。照明装置1Aは、信号処理部10A、光源100A、測定部200A、記憶部600Aを備えており、信号処理部10Aは、光源制御部150A、設定部300A、タイミング制御部400A、補正部500Aを有している。同様に、照明装置1Bは、信号処理部10B、光源100B、測定部200B、記憶部600Bを備えており、信号処理部10Bは、光源制御部150B、設定部300B、タイミング制御部400B、補正部500Bを有している。
【0043】
このとき、照明装置1Aが備える測定部200Aが測定する照度は、照明装置1Bの光源100Bが発する照明光に起因する光S22により変化する。したがって、照明装置1Aの測定部200Aは、隣接する照明装置1Bの光源100Bの発光レベルの変化を検知することが出来る。このことを用い、照明装置1Aと照明装置1Bは、照明装置1Aの測定部200Aを受信手段とし、照明装置1Bの光源100Bを送信手段とする可視光通信を行うことができる。また逆に、照明装置1Bの測定部200Bを受信手段とし、照明装置1Aの光源100Aを送信手段とすることで双方向に通信が可能となる。この可視光通信では、発光レベル変化の検知を利用してデータ通信を行い、送信側から受信側にデータを送ることができる。
【0044】
第1の変形例では、可視光通信により隣接する他の照明装置1の光源における発光レベルを得ることで、隣接する照明装置1Aと照明装置1Bとは発光レベルの差を減殺する制御を行う。図6は、第1の変形例における発光レベル差減殺制御の動作を示すフローチャートである。本発明の実施の形態に係る第1の変形例の動作の説明を、図6を用いて行う。
【0045】
まず、ステップSP200において、照明装置1AはステップSP100からステップSP150で示した発光レベル制御を行う。測定部200Aは光源100Aが消灯状態のときの照度を測定し、当該照度に基づいて、光源100Aの発光レベルを設定する。
【0046】
次に、ステップSP210において、照明装置1Aは可視光通信を用いて照明装置1Bから光源100Bの発光レベル情報を得る。このときの可視光通信で送受される情報データには、送り元である照明装置1BのID情報も含まれているため、照明装置1Aは、周りに他の照明装置1があった場合でも送られてきた情報が照明装置1Bのものであることを判別することができる。光源100Bの発光レベル情報を受け取った測定部200Aは、設定部300Aにその情報を送る。
【0047】
次に、ステップSP220において、照明装置1Aの設定部300Aは受け取った光源100Bの発光レベルと自身の光源100Aの発光レベルとを比べ、その差が所定値以下か否かを判定する。光源100Aの発光レベルと光源100Bの発光レベルとの差が所定値以下の場合、「YES」と判定し、発光レベル差減殺制御を終了する。一方、光源100Aの発光レベルと光源100Bの発光レベルとの差が所定値を超えている場合、「NO」と判定しステップSP230に進む。
【0048】
ステップSP220にて「NO」と判定された場合、ステップSP230において、照明装置1Aの設定部300Aは、自身の光源100Aの発光レベルが、隣接する照明装置1Bの光源100Bの発光レベルと比べ高いか否かを判定する。光源100Aの発光レベルが光源100Bの発光レベルを超えている場合は「YES」と判定され、ステップSP250に進む。光源100Aの発光レベルが光源100Bの発光レベル以下の場合は「NO」と判定され、ステップSP240に進む。
【0049】
ステップSP230にて「NO」と判定された場合、ステップSP240において、照明装置1Aの設定部300Aは光源100Aに対して発光レベルを上げる旨の発光レベル制御信号S12を送る。この発光レベル制御信号S12を受け取った光源100Aは、所定レベルだけ発光レベルを上げ、ステップSP250に進む。
【0050】
次に、ステップSP250において、ステップSP200からステップSP240にて示した発光レベル差減殺制御が照明装置1Bでも同様に行われる。ここで光源100Aの発光レベルが光源100Bの発光レベルと比べ、その差が所定値を越え、光源100Bの発光レベルの方が高かったとすると、照明装置1AではステップSP240が実行され、光源100Aの発光レベルが上がる。従って、光源100Aが発する照明光に起因する光によって、隣接する照明装置1Bの測定部200Bが測定する照度も明るくなる。すると、ステップSP250において照明装置1Bが行う発光レベル制御により、照明装置1Bの光源100Bは、明るくなった照度に対応して発光レベルを低く設定し直す。よって、隣接する照明装置1Bの光源100Bに比べ発光レベルが低かった光源100Aは発光レベルを上げ、隣接する照明装置1Aの光源100Aに比べ発光レベルが高かった光源100Bは発光レベルを下げる。この発光レベル変更は照明装置1Aと照明装置1Bとの発光レベルの差が所定値以下になるまで繰り返される。
【0051】
一方、光源100Aの発光レベルが光源100Bの発光レベルと比べ、その差が所定値を越え、光源100Aの発光レベルの方が高かったとすると、照明装置1Aの発光レベル差減殺制御は、ステップSP230にて「NO」と判断されステップSP250に進む。このステップSP250において照明装置1Bで発光レベル差減殺制御が行われると、当該制御により光源100Bの発光レベルが所定レベルだけ上がる。光源100Bの発光レベルが上げられることで、光源100Bが発する照明光に起因する光S22により、照明装置1Aの測定部200Aによって測定される照度が明るくなる。この後、照明装置1AにてステップSP200が実行されると、照明装置1Aは発光レベル制御を行い、明るくなった照度に対応して、発光レベルを下げる制御が行われる。よって、隣接する照明装置1Bの光源100Bに比べ発光レベルが高かった光源100Aは発光レベルを下げ、隣接する照明装置1Aの光源100Aに比べ発光レベルが低かった光源100Bは発光レベルを上げることになる。この発光レベル変更は照明装置1Aと照明装置1Bとの発光レベルの差が所定値以下になるまで繰り返される。
【0052】
以上のように、照明装置1Aと照明装置1BとがステップSP200からステップSP240を交互に繰り返し、光源の発光レベル差が所定値以下になるまで繰り返すことで、隣接する照明装置の発光レベルの差が所定値を越えないように制御を行うことができる。図7に隣接する照明装置1同士が発光レベル差減殺制御を行ったときの発光レベルの変化の一例を示す。図中、時刻T1、時刻T3、時刻T5は照明装置1Bが発光レベル差減殺制御を行った時刻である。時刻T2、時刻T4は照明装置1Aが発光レベル差減殺制御を行った時刻である。発光レベルが低かった照明装置1Bの光源100Bは所定のレベルDずつ発光レベルを増加させ、対する発光レベルが高かった照明装置1Aの光源100Aは、測定部200Aが測定する照度の変化に応じて、発光レベルを制御している。
【0053】
なお、第1の変形例として照明装置1同士が可視光通信を行う例をあげたが、本発明の実施の形態では、照明装置1が隣接する他の照明装置1の発光レベル情報を得る手段を可視光通信に限るものではなく、有線による通信や他の無線通信を用いて発光レベル情報を得てもよい。
【0054】
<第2の変形例>
本発明の実施の形態に係る第2の変形例では、隣接する照明装置1同士の照度測定の実行タイミングをずらす制御が行われる。
【0055】
第2の変形例に係る照明装置1は、第1の変形例と同様に可視光通信によって隣接する照明装置の照度測定の実行タイミング情報を得る。また、実行タイミング情報に併せ、送信元の照明装置のIDも得るので、送信元照明装置の判別が可能である。このとき、照明装置1の測定部200は受信した実行タイミング情報S14をタイミング制御部400に送る。
【0056】
隣接する他の照明装置1の照度測定の実行タイミング情報が入力されたタイミング制御部400は、その情報を基に、自身の照度測定の実行タイミングが隣接する他の照明装置の実行タイミングと重ならないように、自身の照度測定タイミングを設定する測定タイミング制御信号S13を測定部200に出力する。測定部200が測定タイミング制御信号S13に基づいて照度測定を行うことで、第2の変形例に係る照明装置1は、隣接する照明装置1同士の照度測定の実行タイミングをずらすことができる。図8は隣接する照明装置1の照度測定における光源の点灯状態を示したタイムチャートである。隣接する照明装置1Aと照明装置1Bと照明装置1Cの照度測定による光源の消灯期間は重ならないように設定されている。
【0057】
本発明の実施の形態に係る照明装置1では、測定部200が測定した照度に基づき、光源100の発光レベル制御が行われるため、隣接する照明装置1同士が同じタイミングで消灯を行ったときに照度を測定すれば、測定部200は隣接する照明装置1に起因する照明を考慮にいれない照度を測定してしまい、発光レベル制御に支障を来すおそれがある。そこで第2の変形例では、隣接する他の照明装置1の照度測定の実行タイミングを得ることで、自身の照度測定のタイミングをずらし、これらの問題を解決することができる。
【0058】
なお、第2の変形例として照明装置1同士が可視光通信を行う例をあげたが、本発明の実施の形態では、照明装置1が隣接する他の照明装置1の発光レベル情報を得る手段を可視光通信に限るものではなく、有線による通信や他の無線通信を用いて発光レベル情報を得てもよい。さらに、ずれた実行タイミングの設定は、通信によって近接する他の照明装置1の照度測定の実行タイミングを得る方法に限らず、照明装置1に実装されたスイッチ等によって、照明装置1それぞれに別の実行タイミングを指定するなどの方法を用いてもよい。
【0059】
<第3の変形例>
本発明の実施の形態に係る第3の変形例では、測定部200の照度測定結果から、自身の発光レベルを算出し、設定部300で設定される発光レベル制御信号S12の値を補正することができる。
【0060】
第3の変形例に係る照明装置1は、光源100が点灯状態のときに測定部200によって照度を測定し、自身の光源100が点灯状態の照度を得る。さらに光源100が消灯状態の照度を測定する(ステップSP100からステップSP140までの場合と同様の測定)。光源100が点灯状態の照度から、光源100が消灯状態の照度を減算することで、測定部200は光源100の発光レベルの測定値を得る。
【0061】
次に、測定部200は算出された発光レベルを測定発光レベル情報S15として補正部500に出力する。また、設定部300は、発光レベル制御信号S12により光源100に対して現在設定している設定発光レベル情報S16を補正部500に出力する。測定発光レベル情報S15と設定発光レベル情報S16とを得た補正部500は、その両者にずれがないかを判断し、ずれがあった場合、そのずれを補正する為の補正情報S17を設定部300に出力する。補正情報S17を受け取った設定部300は、補正情報S17に基づいて、発光レベル制御信号S12の設定値を補正する。
【0062】
以上のように、第3の変形例の照明装置1では、測定部200による発光レベル測定の結果を用いて、光源100に対して発光レベルの指定を行う発光レベル制御信号S12の値の補正を行うことが可能である。この補正により、光源100に使われている素子が消耗等により、設定した発光レベルよりも低い発光レベルで発光を行うようになった場合など、設定した発光レベルと実際の発光レベルとに差が生じた場合にその補正を行うことが可能となる。
【0063】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲にとって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 照明装置
10 信号処理部
100 光源
150 光源制御部
200 測定部
300 設定部
400 タイミング制御部
500 補正部
600 記憶部
650 データテーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置される照明装置であって、
筐体に配置された光源と、
前記筐体に配置され、前記光源からの発光を瞬間的に停止して、その停止期間内に室内の照度を測定する測定手段と、
前記照度に基づいて前記光源の発光レベルを設定する設定手段と
を備える、照明装置。
【請求項2】
前記照明装置は複数であり、
前記設定手段は、隣接する照明装置における前記発光レベルを参照することにより、自身の照明装置における前記発光レベルを設定する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記設定手段は、隣接する照明装置における前記発光レベルとの差が所定値以下となるように、自身の照明装置における前記発光レベルを設定する、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える前記測定手段を受信手段とする可視光通信によって、隣接する照明装置における前記発光レベルを取得する、請求項2又は3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記測定手段による照度測定の実行タイミングを制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、隣接する照明装置における照度測定の実行タイミングとは異なる実行タイミングで、自身の照明装置における照度測定を実行する、請求項2から4のいずれかひとつに記載の照明装置。
【請求項6】
前記設定手段は、隣接する照明装置が備える前記光源を送信手段とし、自身の照明装置が備える前記測定手段を受信手段とする可視光通信によって、隣接する照明装置における前記実行タイミングの情報を取得する、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記測定手段はさらに、前記光源の発光期間内に前記発光レベルを測定し、
当該発光レベルに基づいて、前記発光レベルを制御するための発光制御信号を補正する補正手段をさらに備える、請求項1から6のいずれかひとつに記載の照明装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記照明装置の設置場所に応じて、前記発光レベルを異なる値に設定可能である、請求項1から7のいずれかひとつに記載の照明装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−23177(P2011−23177A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166068(P2009−166068)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】