説明

照明装置

【課題】結露が生じるような室内状況下であっても、光源の点灯に影響を及ぼし難くすることができる照明装置を提供する。
【解決手段】LED灯具3のLED及び電源回路20を、車内天井への取付状態においてレンズ10の上方位置に配置する。よって、レンズユニット6とハウジング5の隙間から結露が浸入しても、結露が電源回路20まで至り難くなるので、結露付着を要因とする故障からLEDや電源回路20を保護することが可能となる。また、ハウジング5においてレンズ10の周囲一帯に第1防水壁42を形成する。よって、LED灯具3内に浸入した結露が第1防水壁42に堰き止められてレンズ10側に流出し難くなるので、レンズ10の周囲の隙間から結露が下方に流れ落ち難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指向性光源の光により周囲を照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDを光源とする照明装置、いわゆるLED灯具が広く普及している。LEDには小型でしかも長寿命という利点があるため、LED灯具は更に普及が進むものと想定され、最近は車両の室内灯として使用されている(特許文献1等参照)。LED灯具を長時間点灯させたときは、LEDや電源回路が熱を持つため、これが故障の原因となる可能性がある。よって、LEDや電源回路の熱を、例えば熱伝導や熱伝達の現象を利用して外に逃がす放熱対策が種々考案されている(特許文献2,3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−137793号公報
【特許文献2】特開2010−102997号公報
【特許文献3】特開2010−098204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年開発されている車両では、車内外の気密性が高く、しかも、車両内に搭載されている冷暖房機による急速冷暖房機能が非常に優れている。従って、例えば、寒冷地において、急速暖房を行うことによって、室内気中の水分が凝縮(結露)し、それが車体の天井壁面に付着し流出するという問題が発生する可能性があると考えられる。
【0005】
車両用のLED灯具は、車内の天井等に取り付けられるため、外気と内気との温度境界に近い位置に配置される可能性が高い。LED灯具の点灯時においては、上述のような放熱対策を施しているため、仮に室内の急速暖房が行われるような状態になるとすれば、灯具周辺は、外気と比較してさらに大きな温度差を生じ易くなり、結露問題が大きくなることが懸念される。車体の天井等に結露が生じれば、灯具を取り付けるためのブラケット等を伝って灯具内に進入することが懸念される。そうなると当然のことながら、電源回路や発光体等に悪影響を与え、不点灯や故障の原因となることが考えられる。
【0006】
そこで、発明者等は、この種のLED灯具に関し、車両への組み付け作業やメンテナンス作業が従来通り簡単に実施でき、しかも、上述の放熱対策や結露に対する懸念点を払拭するにはどうすればよいか、灯具の構造について種々検討を重ねた結果、本発明を完成した。
【0007】
本発明の目的は、結露が生じるような室内状況下であっても、光源の点灯に影響を及ぼし難くすることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットとを備えた照明装置において、装置ケースの外部で発生した結露が、前記ハウジング、前記レンズユニット、又はこれら部材の間の隙間から、当該装置ケースの内部に流入しても、前記光源の点灯が正常に可動することを確保する結露流入保護機構を備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、照明装置の装置ケース内に結露が流入しても、結露が装置ケース内の更に奥に浸入してしまうことを、結露流入保護機構によって抑制することが可能となる。このため、結露が照明装置の電子部品に至り難くなるので、電子部品の故障を生じ難くすることが可能となる。また、結露がレンズにも至り難くなるので、レンズ周囲の隙間から結露が下方に流れ落ちることも生じ難くすることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記結露流入保護機構は、前記電源回路又は前記光源が、前記ハウジング及び前記レンズユニットの間の隙間と前記装置ケースの内部とを連通する結露流入口よりも、照明装置の取り付け状態において上方に配置される構造であることを要旨する。
【0011】
この構成によれば、結露がハウジングとレンズユニットとの隙間から装置ケース内に浸入しても、結露が電源回路や光源に至り難くなる。よって、結露付着を要因とする電源回路や光源の故障を防止することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記結露流入保護機構は、前記レンズユニットに設けられ、前記装置ケース内に流入した前記結露が前記レンズまで至らないように途中で堰き止める壁部であることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、結露が装置ケース内に浸入しても、レンズ手前に形成された壁部によって結露が堰き止められるので、結露がレンズ側に至り難くなる。よって、レンズ周囲の隙間から結露が装置ケース内から外に流れ落ちることを生じ難くすることが可能となる。
【0014】
本発明では、前記ハウジングに形成された配線引き出し用の配線通し孔の上部に形成された庇部と、前記配線通し孔から引き出された前記配線を下に傾斜する状態で前記ハウジングに係止する配線止め部とを有する結露流入抑制機構を備えたことを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、結露が上から配線通し孔に落ちてきたとしても、この結露は庇部によって遮られるので、結露が配線通し孔から装置ケース内に浸入することを生じ難くすることが可能となる。また、配線通し孔から外部に引き出された配線の先を、低い位置の配線止め部に係止するので、配線に適度な勾配ができる。このため、配線に付着した結露が配線を伝って下方に流れ落ちるので、配線通し孔への結露の浸入を生じ難くすることが可能となる。
【0016】
本発明では、前記電源回路を前記レンズに対して重ね方向に配置し、当該電源回路から発生した熱を、該電源回路に取り付けられた金属部材から、該金属部材に触れる空気層を通じて、当該電源回路から逃がす放熱機構を備えたことを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、仮に電源回路が熱を有しても、この熱が放熱機構によって電源回路から放熱されるので、電源回路が過度に温度上昇しない。よって、電源回路に温度上昇を要因とする故障を生じ難くすることが可能となる。また、電源回路が熱を持ち難くなれば、照明装置の周囲において空気に温度差が生じ難くなる。よって、これが結露発生の抑止となるので、結露問題に対して非常に効果が高くなる。
【0018】
本発明では、前記ハウジングに形成された係止爪を取り付け先の被係止部に係止するとともに、当該ハウジングにおいて前記係止爪とは反対側部位を、締結部により前記取り付け先に固定する取付機構を備えたことを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、係止爪を取り付け先の被係止部に係止しつつ、その反対側部位を締結部によって止めることにより、照明装置を取り付け先に取り付ける。よって、取り付けの全箇所に締結部を使用せずに済むので、照明装置の取り付けに必要な締結部の数を少なく抑えることが可能となる。また、締結部の数が少なく抑えられれば、組付作業を簡素化することも可能となる。
【0020】
本発明では、前記装置ケース内には、電子部品の収納領域と、前記締結部の取り付けスペースと、を区分けする区画部が形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、仮に締結部の挿込孔から結露が装置ケース内に浸入しても、この結露は区画部によって堰き止められて、電子部品側に流入しない。よって、電子部品に結露が付着し難くなるので、電子部品の故障防止に効果が高い。
【0021】
本発明では、前記取付機構は、前記締結部の取り付けスペースにおいて、前記取り付け先への取付け作業を行うときに指を添えることが可能な支持部を備えることを要旨とする。
【0022】
この構成によれば、照明装置を取り付けるとき、ハウジングの支持部に指を添えることにより、ハウジングをしっかと固定しながら、締結部の取り付けが可能となる。よって、照明装置を取り付け先に取り付けるときの作業性を向上することが可能となる。
【0023】
本発明では、前記装置ケースの表面の光出口として前記レンズを持ち、当該装置ケースの内部において該レンズの少なくとも一方の端部に、照射光が指向性を持つ前記光源としての指向性光源を配置し、当該指向性光源から前記レンズのもう一方の端部に向かって照射される前記照射光を前記レンズから導出する照明装置であって、前記レンズの表面及び裏面のいずれか一方に、透光性の光調整部材を配置するとともに、前記装置ケースの底面の内面側において前記光調整部材に対し間隔を開けて反射部材を配置し、前記光調整部材は、前記指向性光源から該光調整部材に入射した照射光を、前記指向性光源の照射軸と直交する方向に拡散する拡散効果と、その入射側に折り返す反射効果とを有し、前記反射部材が有する反射効果と、前記光調整部材が有する反射効果との互いの光反射効果によって、前記照射光を前記レンズの他端まで導く導光効果と、前記光調整部材の前記拡散効果との複合効果によって、前記レンズを面全体に亘って光らせることにより照明を行うことを要旨とする。
【0024】
ここで、「光源の照射軸」とは、光源からの配光(光束)分布の中心軸を言い、この照射軸上では、光源から等距離の位置において、単位面積当たりの光束量がおよそ最大となるような性質を有する。なお、この中心軸は、例えば、電球や砲弾型のLEDにおける構造的(幾何学的)な対称軸を必ずしも意味するものではない。
【0025】
この構成によれば、レンズ(発光面)に指向性光源が映り込んで見栄えが悪くならないように、レンズの端部に照明光源が配置される。そして、この指向性光源が発光した際、この照射光の一部が光調整部材の拡散効果により指向性光源の照射軸に対して垂直に交わる直交方向に拡散されて、レンズから外部に放射される。また、反射効果をも有する光調整部材と反射部材とを向き合わせて配置することにより生じる導光効果により、この2者間に通した照射光が、その照射方向(照射軸方向)に導かれるので、指向性光源の反射光の多くがケース反対側の端部にまで届くようになる。このため、指向性光源の光がレンズに広く行き渡るので、例えば高価な部品である導光板を使用せずとも、レンズを均一に面発光させることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、露が生じるような室内状況下であっても、光源の点灯に影響を及ぼし難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態のLED灯具の外観図。
【図2】LED灯具をハウジング側から見た斜視図。
【図3】ハウジング側から見たときのLED灯具の分解斜視図。
【図4】レンズ側から見たときのLED灯具の分解斜視図。
【図5】LED灯具の灯具幅方向の断面図。
【図6】LED灯具の灯具長さ方向の断面図。
【図7】LED灯具の平断面図。
【図8】内側から見たレンズ及び蓋部の平面図。
【図9】拡散フィルムの外観を示す平面図及びその部分拡大図。
【図10】コネクタ取付部及びその周囲の拡大斜視図。
【図11】LED灯具の電気構成図。
【図12】光拡散フィルムの表面形状を示す拡大斜視図。
【図13】光拡散フィルムで光が拡散及び屈折する状態を示す説明図であり、(a)は入射角が臨界角よりも小さい場合、(b)は入射角が臨界角よりも大きい場合、(c)は入射が臨界角とほぼ同じ値をとる場合の説明図。
【図14】LED灯具に結露が付着したときの状態図。
【図15】(a)〜(d)はLED灯具を車内天井に取り付けるときの作業工程を示す説明図。
【図16】別例におけるLED灯具の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した照明装置の一実施形態を図1〜図15に従って説明する。
図1に示すように、車内天井1には、LED2(図4等参照)を光源として車内(照明場所)を照明するLED灯具3が取り付けられている。LED灯具3は、灯具幅方向(図4のY軸方向)の端に置いたLED2の光を、灯具厚さ方向(図3のZ軸方向)に引き出すものである。なお、車内天井1が取り付け先に相当し、LED2が光源(指向性光源)及び電子部品を構成し、LED灯具3が照明装置に相当する。
【0029】
図1〜図4に示すように、LED灯具3には、外枠部品として長細い箱状の本体ケース4が設けられている。図2〜図4に示すように、本体ケース4には、LED灯具3の電子部品の収納先として樹脂製のハウジング5が設けられている。ハウジング5は、レンズユニット6及び蓋部7の2部品により蓋がされている。レンズユニット6には、樹脂製の枠部8が備えられ、この枠部8の開口孔9にレンズ10が取り付けられている。LED灯具3は、レンズ10の表面を光照射面として光を室内に照明する。なお、本体ケース4が装置ケースに相当する。
【0030】
図3及び図4に示すように、枠部8の内面においてレンズ10の周囲には、ハウジング5を内側にて係止するための係止枠11が立設されている。係止枠11の所定位置には、スナップフィット構造の取付片12が所定間隔を空けて複数形成されている。レンズユニット6は、これら取付片12を、ハウジング5の側壁5aの外面に形成された各突部13に係止することにより、ハウジング5に組み付けられる。
【0031】
蓋部7の縁部には、蓋部7の平面方向に突出する一対の突片14,14が突設されている。また、蓋部7の内面には、上方向に突出する一対の爪部15,15が突設されている。蓋部7は、突片14,14を枠部8の端の一対の溝部16,16(図3参照)に挿し込みながら、ハウジング5の端縁に形成された一対の係止部17,17に爪部15,15を係止することによって、ハウジング5及びレンズユニット6に組み付けられる。
【0032】
図4〜図6に示すように、ハウジング5の内部には、LED灯具3の電子部品を収納する第1部品収納室18が凹設されている。第1部品収納室18の中央には、凹みが更に深くなった第2部品収納室19が凹設されている。なお、第1部品収納室18が電子部品の収納領域に相当する。なお、部品収納室18,19が開口部を構成する。
【0033】
第2部品収納室19には、LED灯具3の電源回路20が収納されている。電源回路20は、電源基板21と、電源基板21に実装された素子群22(ともに図3参照)とを備える。電源基板21の裏面には、電源回路20に発生した熱を電源回路20から逃がす金属製の放熱板23が、例えばテープ等により取り付けられている。放熱板23は、薄い板状をなすとともに、電源基板21と略同一面積に形成されている。なお、電源回路20が電子部品を構成し、放熱板23が金属部材に相当する。
【0034】
図4及び図6に示すように、第2部品収納室19の側壁には、電源回路20と放熱板23とが一体となった電源ユニット24を係止可能な係止溝25が形成されている。よって、電源ユニット24は、灯具長さ方向(図3のX軸方向)の端部を係止溝25に止めつつ、その反対側をねじ26により固定することで、ハウジング5に組み付けられている。
【0035】
図4、図5及び図7に示すように、ハウジング5の第1部品収納室18において灯具幅方向(図7のY軸方向)の両端には、互いに向き合う状態で一対の光源ユニット27,27が組み付けられている。光源ユニット27,27は、灯具長さ方向に等間隔に配置された複数のLED2,2…と、これらLED2,2…が実装された細長い板状のLED基板28とを備える。LED基板28は、配線29を介して電源基板21に接続されている。LED基板28の裏面には、LED基板28に発生した熱をLED基板28から逃がす放熱板30が、例えばテープ等により取り付けられている。放熱板30は、薄い板形状をなすとともに、LED基板28と略同一面積に形成されている。
【0036】
図4〜図7に示すように、ハウジング5の内部において側壁5aの隣位置には、光源ユニット27を取り付けるための係止壁31が複数並設されている。光源ユニット27は、側壁5aと係止壁31との間に縦向きに挿し込まれることにより、ハウジング5に組み付けられている。
【0037】
図7に示すように、LED2は、レンズ10の発光面に対して平行方向(以降、発光方向Kcと記す)に光を照射する。つまり、LED2の照射軸は、レンズ10の発光面に対して平行な位置関係をとる。なお、発光方向Kcは、LED2の照射軸をとることに加え、LED灯具3の灯具長さ方向に対して垂直方向をとることも含む。また、LED2は、灯具幅方向において一方の側に位置するものと、もう一方の側に位置するものとが、灯具長さ方向(発光方向Kcの直交方向)において互い違いに配置されている。
【0038】
図3〜図5に示すように、電源基板21の放熱板23の下方位置には、表面に光反射作用を持つシート状の反射板32が取り付けられている。反射板32は、一対の光源ユニット27,27の間に、灯具厚さ方向においてレンズ10から所定間隔を空けて配置されている。反射板32は、LED2の照射光をレンズ10側に反射させるためのもので、例えばPET(Polyethylene terephthalate)により形成されている。反射板32は、ハウジング5の内面に形成された複数(本例は計4つ)の掛止部33に係止することにより、ハウジング5に組み付けられている。なお、反射板32が反射部材に相当する。
【0039】
レンズ10の裏面には、入力光を集光して照射する透明かつシート状の光拡散フィルム34が取り付けられている。光拡散フィルム34は、例えばプリズムシートとも呼ばれ、薄い樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。更に詳述すると、表面側(レンズ10側)がアクリル系樹脂により形成されるとともに、裏面側(反射板32側)がポリエステルフィルム層からなる2層構造をとっている。図5に示すように、反射板32と光拡散フィルム34との間には、所定間隔を空けて配置されることにより空間領域が形成され、この空間領域がLED2の照射光が通る光通過領域となっている。なお、光拡散フィルム34が光調整部材に相当する。
【0040】
図3及び図8に示すように、枠部8の内部において開口孔9の周縁一帯には、所定の厚みを持つ縁部35がレンズ10を囲むように環状に形成されている。光拡散フィルム34は、縁部35の長辺側に形成された複数の引掛孔36に、自身の対応する舌片37を挿し込むことにより、枠部8に組み付けられている。また、レンズ10は、自身の舌片10aを引掛孔36と短辺側の引掛孔36aとに係止することで、レンズ10に組み付けられている。
【0041】
図9に示すように、光拡散フィルム34の表面には、フィルム幅方向に一帯に延びる線の細い溝38,38…が、フィルム長さ方向に等間隔に配置されている。これら溝38,38…は、奥に向かうに従い幅が連続的に小さくなる断面三角形状の穴となっている。溝38の角度θは、例えば60〜120度の範囲内の値に設定されている。隣同士の溝38,38の間には、断面三角形状の山部39が形成されている。以上により、光拡散フィルム34の表面には、溝38と山部39とがフィルム長さ方向に交互に配置されている。光拡散フィルム34は、溝方向McがLED2の発光方向Kcと平行となる向きに配置されている。
【0042】
ところで、LED灯具3は、車内天井1という外気と内気との境界付近に配置されるので、この内外の温度差によって生じる結露がLED灯具3に付着する可能性も否めない。よって、本例のLED灯具3には、LED灯具3に流入してしまった結露が、更にケース内部側に流れ込むことを抑制する結露流入保護機構40が設けられている。
【0043】
図5及び図6に示すように、レンズユニット6とハウジング5との隙間から本体ケース4内に浸入した結露が本体ケース4の内部(第2部品収納室19)に入り込むときの入口を結露流入口41とすると、結露流入保護機構40は、LED2及び電源回路20を結露流入口41よりも上方に配置する構造を備える。このため、結露が結露流入口41から本体ケース4の内部に流入しても、この位置よりも上に存在するLED2及び電源回路20には結露が到達し難くなる。
【0044】
図3及び図8に示すように、枠部8の内部において縁部35の周囲一帯には、結露流入口41から流入した結露を堰き止める第1防水壁42が立設されている。このため、結露流入口41の隙間から結露が本体ケース4内に流入しても、結露が第1防水壁42にて堰き止められるので、結露が引掛孔36を通じて枠部8とレンズ10との連結部分まで至り難くなる。よって、結露が枠部8とレンズ10との間の隙間から流出し難くなる。なお、第1防水壁42が壁部を構成する。
【0045】
図3及び図8に示すように、各引掛孔36の近傍には、同じく結露を堰き止める第2防水壁43が立設されている。第2防水壁43は、結露流入口41から流入した結露を手前の第1防水壁42と協同して堰き止めるものである。なお、第2防水壁43が壁部を構成する。
【0046】
また、枠部8の蓋部7側の端には、同じく結露を堰き止め可能な区画壁44が立設されている。区画壁44は、一対の溝部16,16の間に、大きめの壁として形成されている。区画壁44は、蓋部7側から浸入してきた結露を、レンズ10側(第2部品収納室19)に浸入し難くするとともに、LED2の光漏れを防ぐ働きもする。なお、区画壁44が壁部及び区画部を構成する。
【0047】
図2及び図3に示すように、ハウジング5において第2部品収納室19の外面には、電源回路20の配線45を本体ケース4外に導出する配線通し孔46が形成されている。配線通し孔46の上部には、配線通し孔46への結露の浸入を抑制する庇部47が突出形成されている。庇部47は、側視において例えば半円形状をなしている。また、ハウジング5の上面には、配線通し孔46から引き出した配線45を係止可能な配線止め部48が設けられている。配線止め部48は、配線通し孔46から引き出された配線45を、所定の傾斜を持って係止するものである。配線45は、この配線止め部48の他に、隣接するもう1つの配線止め部49にも係止されている。なお、庇部47及び配線止め部48が結露流入抑制機構を構成する。
【0048】
図10に示すように、ハウジング5の上面の端縁には、LED灯具3の電気接続箇所としてコネクタ50が取り付けられている。コネクタ50は、ハウジング5に突設された板状のコネクタ取付部51に取り付けられている。コネクタ取付部51の根元には、コネクタ取付部51を補強する一対の補強リブ52(図4参照)が形成されている。また、ハウジング5の内部には、ハウジング5内からコネクタ取付部51を補強する複数の補強部53が形成されている。コネクタ取付部51の先端裏面には、コネクタ50の取付爪54が止め孔51a(図3参照)に係止される際に、この取付爪54の挿し込みを案内する斜面状の案内部55が設けられている。
【0049】
ところで、従来のLED灯具は、ねじのみで車内天井1に取り付けていたため、必要なねじ個数が多くなる現状があった。そこで、本例のLED灯具3は、必要最低限のねじにより、車内天井1への取り付けを可能とする取付機構56が設けられている。
【0050】
この場合、図2、図3及び図6に示すように、ハウジング5の上面においてコネクタ50寄りの位置には、車内天井1に引っ掛け可能な係止爪57が突設されている。係止爪57は、ハウジング5に一体形成されている。また、係止爪57は、爪部分が側方に飛び出す形状をとるとともに、根元が複数の補強リブ58にて補強されている。
【0051】
ハウジング5は、係止爪57の反対側部位がねじ59の取付部(ねじ取付部)60となっている。よって、LED灯具3は、係止爪57がルーフライニング61に係止され、その反対側がねじ59により車内天井1に固定されることで、車内天井1に取り付けられる。ねじ取付部60は、蓋部7によって全域が蓋をされる。なお、ねじ59が締結部に相当し、ルーフライニング61が被係止部に相当する。
【0052】
ハウジング5においてねじ59の取り付けスペース62と第2部品収納室19との間には、LED灯具3を車内天井1に取り付けるときに指を添えることが可能な支持壁63が形成されている。支持壁63は、ハウジング5の側壁5aと同等の高さを有するとともに、第2部品収納室19とねじ取り付けスペース62との各領域を区画する。なお、ねじ取り付けスペース62は、ハウジング5の側壁5aと支持壁63と囲まれる領域により形成される。また、支持壁63は、第2部品収納室19への結露浸入を抑制するとともに、LED2の照射光の側方への漏れも抑制する。なお、ねじ取り付けスペース62が締結部の取り付けスペースに相当し、支持壁63が壁部、区画部及び支持部を構成する。
【0053】
図6に示すように、本例のLED灯具3には、電子部品に発生した熱を熱伝達効果により放熱する放熱機能が設けられている。この場合、電源回路20の放熱板23と反射板32との間には、空気層66が形成されるとともに、反射板32と光拡散フィルム34との間にも空気層67が形成されている。これら空気層66,67は、区画壁44及び支持壁63によってできる通路68を通り、蓋部7及びハウジング5の間の隙間69や、ねじ孔64の隙間を介して外部と連通されている。ねじ孔64の孔周囲には、孔強度を確保するために肉厚部64aが形成されている。なお、空気層66,67、通路68、隙間69、ねじ孔64の隙間等が、放熱機構を構成する。
【0054】
空気層66,67には、ねじ孔64や隙間69が外部と導通することによって対流が発生する。このため、LED2や電源回路20の発生熱は、空気が通路68を通ってねじ孔64や隙間69から外部に流れ出す空気の流れ(図6の太線矢印の流れ)によって放熱される。
【0055】
図4及び図10に示すように、ハウジング5の縁において係止部17,17の手前位置には、蓋部7の一対の爪部15,15の挿し込みを案内する一対の案内部70,70が設けられている。案内部70,70は、奥に向かうに連れて昇り坂となる斜面である。よって、蓋部7をハウジング5に組み付けるとき、爪部15,15の挿入を案内部70,70が案内し、爪部15,15がスムーズに係止部17,17に入り込む。
【0056】
図3及び図8に示すように、蓋部7の内面には、電子部品側への結露浸入を抑制する防水用突片71が2箇所(2重構造)に設けられている。防水用突片71は、仮にねじ孔64から結露が浸入しても、この結露がLED2や電源回路20に至り難くするものである。一対の防水用突片71は、突片14,14と爪部15,15との間に並ぶように配置されている。
【0057】
図11に示すように、電源回路20には、LED灯具3の電源をオン又はオフするときに操作する電源スイッチ72と、LED灯具3の光量を調節するときに操作する光量ボリューム73とが接続されている。電源スイッチ72や光量ボリューム73は、例えば運転席周辺に設置されている。電源回路20は、電源スイッチ72や光量ボリューム73からの操作信号を基にLED灯具3の動作状態や照明光量等を制御する。
【0058】
次に、本例のLED灯具3の照明原理を、図12及び図13に従って説明する。
光拡散フィルム34において自身の裏面(下面34a:図12参照)から入り込む入射光(LED2からの光)は、そのときの入射角によって、光拡散フィルム34の境界面(図13では境界面75)における光の拡散成分(屈折光)や反射成分(反射光)が変わるという性質がある。
【0059】
ここで、屈折率が大きい媒質から小さい媒質に光が入るときに、入射光が境界面を透過せず、全て反射する現象を全反射といい、入射角(境界面の垂線に対してなす角度)が、ある一定の角度以上の場合、全反射が起こる。この角度は、臨界角θxとして知られている。光拡散フィルム34から外面(空気中)側に光が進む場合は、屈折率が大きい媒質(光拡散フィルム34)から小さい媒質(空気)に光が入る場合に相当するため、前述の全反射が起こる場合がある。
【0060】
ここで、図13(a)に示すように、境界面75に入射される入射光は、この境界面75の垂線Laに対してなす角度を入射角とする。このとき、臨界角θxよりも小さな入射角α(θx>α)をとる場合、この一部が溝38の境界面から屈折して上側に屈折角α1の角度を持って抜け出る(光の拡散効果)とともに、入射光の一部が境界面75において同じ入射角αで反射しつつ、この反射光がその照射先である向かい側の境界面76で反射する。
【0061】
図13(b)に示すように、境界面75に対する入射光は、臨界角θxよりも大きな入射角β(θx<β)をとる場合、全てが溝38の境界面75で以て反射しつつ、この反射光がその照射先である向かい側の境界面76に照射される。そして、この反射光が例えば臨界角θxよりも小さい入射角β1で境界面76に到達したとすると、この反射光は、この一部が溝38の境界面76から屈折して上側に屈折角β2の角度を持って抜け出るとともに、反射光の一部が境界面76で同じβ1の角度で更に反射して、光拡散フィルム34の内側に向かって反射される(光の反射効果)。
【0062】
よって、光拡散フィルム34の裏面34aから入射された入射光においてその一部は、この光の拡散効果により光拡散フィルム34の表面から抜け出る光によって、光拡散フィルム34の表側ではフィルム長さ方向に広がって見える。このため、本例では、図9に示すように、光拡散フィルム34を枠部8に取り付けるに際して、LED2の発光方向Kcと光拡散フィルム34の溝方向Mcをとを平行とすることにより、LED2の1本の照射光を、光拡散フィルム34により2本の照明光(図12参照)として映し出している。これにより、光拡散フィルム34の表面側においては、人の目に見える光の本数が多くなり、レンズ10の発光面をその長手方向(図3のX軸方向)に広がらせることが可能となる。
【0063】
一方、図13(c)に示すように、境界面75に対する入射光は、臨界角θxと同じ、或いは僅かに大きい入射角γ(θx≦γ<β)をとる場合、溝38の境界面75において同じ入射角γで全反射するとともに更に境界面76でも全反射して、入射光の全成分が光拡散フィルム34の裏面側に抜け出る特性(光の反射効果)がある。よって、本例の光拡散フィルム34では、光の入射角が臨界角θxよりも僅かに大きい場合には、透過光がなく全てが全反射することから、反射効率が非常に高いものであるといえる。
【0064】
次に、本例のLED灯具3の作用・効果を図14及び図15に従って説明する。
図14に示すように、LED灯具3に結露が付着したとき、この結露が結露流入口41から本体ケース4内に浸入しても、LED2及び電源回路20は結露流入口41よりも上方に位置しているので、結露がLED2及び電源回路20に付着し難い。よって、結露付着を原因とするLED2及び電源回路20の故障が生じ難い。また、結露は第1防水壁42、第2防水壁43及び区画壁44によって堰き止められる。よって、結露がレンズ10側に至り難くなるので、レンズ10の隙間から結露が流れ落ちることも防止される。
【0065】
ここで、例えばレンズの隙間に埃等が蓄積されて、ケース内に浸入した結露が下に落ちずにケース内に溜まったとき、結露の水位が高くなっていく懸念がある。しかし、本例の場合は、図14の円内に示すように、係止枠11の最も低い枠部11aが、電源回路20及びLED2よりも低い高さとなっている(光源ユニット27と枠部11aとの間に距離Lを確保する)ので、溜まった結露がケース外に排出される。よって、結露がLED2や電源回路20に付着することを抑制することが可能となる。
【0066】
また、LED灯具3を車内天井1に取り付けるときは、図15(a)に示すように、蓋部7の付いていないLED灯具3を用意し、まずはコネクタ50を車体側コネクタ74に接続する。そして、図15(b)に示すように、係止爪57を車体のルーフライニング61の縁に係止し、図15(c)に示すように、支持壁63に指を添えて本体ケース4を固定しながら、本体ケース4をねじ59により車内天井1に固定する。そして最後に、図15(d)に示すように、ねじ取付部60に蓋部7を取り付ける。LED灯具3を車内天井1に組み付けたとき、レンズ10及び蓋部7の周縁がヘッドライニング77の開口縁に上から重なり、ヘッドライニング77の縁が外部に露出しないようになる。
【0067】
よって、LED灯具3の端部を、係止爪57により車内天井1に引っ掛ける係止構造をとるので、必要となるねじ数が少なく済む。また、支持壁63を設けたので、取り付けに際して指を添えることが可能となる。このため、ねじ止め作業性も向上する。また、区画壁44と支持壁63とによって、電子部品が収納される部屋と、ねじ59を取り付ける部屋とが、それぞれ別の部屋として形成される。従って、ドライバー等でねじ59を取り付け先に螺着する際、ドライバーがLEDユニット等に接触(干渉)しないので、ねじ59を安全に取り付けることも可能となる。
【0068】
また、電子部品に発生した熱は、放熱機能によって本体ケース4の外部に逃がされる(図5参照)。このため、電子部品(LED2や電源回路20)の温度上昇を抑制することが可能となるので、過熱による部品劣化を防ぎ、装置としての寿命を延ばすことが可能となる。
【0069】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)LED灯具3に結露流入保護機構40を種々設けたので、結露がLED灯具3の内部に浸入し難くなり、仮に結露が浸入したとしても、これが灯具下流側に流出し難くなる。よって、結露付着を要因とする部品故障を生じ難くすることができ、更にレンズ10の周囲の隙間から結露が下方に流れ出ることも生じ難くすることができる。
【0070】
(2)結露流入口41よりもLED2及び電源回路20を上方に配置したので、結露流入口41から結露が灯具内に浸入したとしても、結露がLED2及び電源回路20に付着し難くなる。よって、結露付着を要因とする電源回路20の故障を生じ難くすることができる。
【0071】
(3)ハウジング5においてレンズ10の周囲に第1防水壁42や第2防水壁43を設けたので、仮に結露流入口41から結露が浸入したとしても、第1防水壁42や第2防水壁43にて結露が堰き止められる。よって、結露がレンズ10側に至り難くなるので、レンズ10の周囲から結露が下方に流れ落ちることを生じ難くすることができる。
【0072】
(4)ハウジング5の配線通し孔46の上部に庇部47を設けたので、結露を配線通し孔46からハウジング5内に浸入し難くすることができる。よって、結露付着を要因とする電子部品の故障を、より効果的に防止することができる。また、配線通し孔46よりも低い位置に配線止め部48を設け、配線通し孔46から引き出された配線45を、この配線止め部48に係止することにより、配線45に傾斜(勾配)を持たせた。よって、仮に配線45に結露が付着しても、結露は配線45を伝って下方に流れ落ちるので、結露が配線通し孔46に浸入し難くなる。このため、結露がハウジング5内に浸入することを、より効果的に防止することができる。
【0073】
(5)ハウジング5を樹脂製としたので、例えば金属製とする場合と比較して、ハウジング5の部品コストを低く抑えることができる。ところで、例えば金属製ハウジングの場合、電源回路20やLED2の駆動熱は金属製ハウジングに逃がすことが可能となるが、樹脂製ハウジング5とすると、この放熱は期待できなくなる。しかし、本例の場合は、電源回路20に放熱板23を取り付け、LED2に放熱板30を取り付けたので、熱をこれら放熱板23,30によって放出することができる。また、電源回路20の放熱板23と反射板32との間に空気層66を設け、この空気層66の対流効果にて電源回路20の熱を外部に放出可能としたので、電源回路20の熱をより効果的に本体ケース4の外部に放熱することもできる。
【0074】
(6)ハウジング5を樹脂製(例えばポリプロピレン)にすると、樹脂にはテープが貼り付き難い性質があるため、電源回路20や光源ユニット27をテープでハウジング5に直付けすることができない。そこで、本例の場合は、電源回路20をハウジング5の掛止部33に係止してねじ止めする機構を設けたので、ハウジング5を樹脂製にしても、電源回路20をハウジング5に取り付けることができる。また、ハウジング5に光源ユニット27を挟み込むための係止壁31を設けたので、ハウジング5を樹脂製にしても、光源ユニット27をハウジング5に取り付けることができる。
【0075】
(7)係止爪57とねじ59とを利用した取付機構56によりLED灯具3を車内天井1に取り付けるので、少ない個数のねじでLED灯具3を車内天井1に取り付けることができる。また、取り付けに必要なねじ個数が少なく済めば、その分だけ取付作業も簡素化することができる。
【0076】
(8)第1部品収納室18とねじ取り付けスペース62とを、区画壁44や支持壁63にてそれぞれ別領域としたので、仮にねじ孔64から結露が灯具内に浸入したとしても、この結露が第1部品収納室18まで至り難くなる。よって、結露付着を要因とする電子部品の故障を発生し難くすることができる。
【0077】
(9)ねじ取付部60と第1部品収納室18との間に、LED灯具3を車内天井1にねじ止めするときに指を添えることが可能な支持壁63を設けたので、LED灯具3を車内天井1に取り付けるとき、支持壁63に指を添えてLED灯具3を位置決め状態で支持することができる。よって、LED灯具3を車内天井1に取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0078】
(10)レンズ10の裏面に光拡散フィルム34を取り付け、この光拡散フィルム34が持つ溝38の直交方向における光の拡散効果と、光拡散フィルム34及び反射板32の間の領域を通る光をこれらにより反射し合わせて遠くに導く導光効果とにより、LED2の光をレンズ10の平面方向(X軸方向及びY軸方向)に広げる。このため、指向性を持つLED2の光を面状に広げることが可能となるので、この光源を使用してレンズ10を面発光させることができる。
【0079】
(11)区画壁44や支持壁63によってLED2の光漏れを抑えることが可能となるので、LED灯具3の充分な照明光量を確保することできる。
(12)ハウジング5の先端寄りの位置に配線止め部49を設けたので、配線45が係止爪57に対して距離をとって位置する。よって、係止爪57を車内天井1の縁に係止するとき、係止爪57に配線45が噛み合うことがない。
【0080】
(13)レンズ10と電源回路20とを重ね配置したので、レンズ面が電源回路20に影響を受けなくなる。よって、本体ケース4の表面全域をレンズ10の配置スペースとして使用することが可能となるので、レンズ面を極力大きくとることができる。
【0081】
(14)コネクタ取付部51の根元を補強リブ52や補強部53により補強したので、コネクタ取付部51が根元からの変形、破損を生じ難くすることができる。また、コネクタ取付部51の先端にコネクタ50を取り付けるための案内部55を設けたので、コネクタ50をコネクタ取付部51にスムーズに取り付けることができる。
【0082】
(15)ハウジング5の周縁に蓋部7の取り付けを案内する案内部70を設けたので、蓋部7をハウジング5にスムーズに取り付けることができる。
(16)区画壁44と支持壁63の2重の壁で結露浸入を防ぐので、仮にねじ孔64から結露がケース内に浸入しても、結露が電子部品側に至ることをより効果的に防止することができる。
【0083】
(17)ねじ孔64の孔周囲に補強用の肉厚部64aを形成したので、ねじ孔64にねじ59を螺着するときに、ねじ孔64を破損し難くすることができる。また、ワッシャも不要となるので、部品点数を削減することもできる。
【0084】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・光源ユニット27(LED2)は、ハウジング5側に取り付けられることに限定されない。例えば図16に示すように、光源ユニット27(LED2)をレンズユニット6に設けてもよい。この場合、レンズユニット6の係止枠11の高さがとれるので、結露をケース内に浸入し難くすることができる。また、同図の破線で示すように、ハウジング5の側壁5aに通し孔91を設けて、隙間から浸入した結露を、この通し孔91から外部に放出してもよい。このとき、通し孔91は、ケース外側が低くなるように斜面状に形成されてもよい。こうすると、結露を浸入し難くでき、かつ隙間に入り込んだ結露を、積極的に外部に放出することができる。
【0085】
・結露流入保護機構40は、実施形態に述べたものに限定されず、本体ケース4内への結露浸入を抑制するもの、或いは本体ケース4内に浸入した結露を電子部品やレンズ10に到達し難くするものであれば、どのような構造、形状のものを採用してもよい。
【0086】
・ハウジング5は、樹脂製に限らず、例えば金属製としてもよい。
・LED灯具3は、蓋部7のない構造としてもよい。
・第1防水壁42、第2防水壁43及び区画壁44の形状や高さは、浸入した結露を堰き止めることができれば、種々変更可能である。
【0087】
・レンズユニット6の枠部8に通気孔を形成して本体ケース4内に空気の流れを作ることにより、放熱効果を促進してもよい。
・係止爪57の配置位置や個数は、適宜変更可能である。また、ねじ59の個数も1つに限らず、複数にしてもよい。
【0088】
・放熱板23,30の一部をハウジング5の外に露出して、放熱効果を高めてもよい。
・放熱機構は、空気層66,67、通路68、ねじ孔64の隙間により構成されることに限定されず、熱を逃がすことが可能であれば、その構造は特に限定されない。
【0089】
・締結部は、ねじに限定されず、例えばピン等の他の部品を使用してもよい。
・区画部は、例えば単に枠部8の区画壁44からなるものでもよい。
・電子部品は、LED2や電源回路20に限定されず、他の部品を採用してもよい。
【0090】
・LED灯具3のスイッチは、電源スイッチ72及び光量ボリューム73のみに限定されず、例えば照明の色彩を切り換えるスイッチや、タイマを設定するスイッチでもよい。
・放熱用の金属部材は、板状のものに限定されず、例えば棒状の部材を採用してもよい。
【0091】
・結露流入抑制機構は、庇部47と配線止め部48とから構成されるものに限定されず、本体ケース4内への結露流入を防ぐためのものならば、どのような構造のものを採用してもよい。
【0092】
・光調整部材としてシート材からなる光拡散フィルム34を使用した場合、これは必ずしもプリズムシートに限定されず、例えば光拡散シートや集光シートを採用してもよい。また、光調整部材は、必ずしもこの種の樹脂シート材に限るものではなく、例えば樹脂板やガラスを使用してもよい。
【0093】
・光調整部材は、必ずしも複数の規則正しく並んだ溝38…を表面に持つものに限らず、光の拡散機能及び反射機能を持つものであれば、形状や材質は特に限定されない。
・光拡散フィルム34は、表側がアクリル系樹脂で、裏面側がポリエステルフィルム層からなる2重構造をとるものに限定されず、1層の材質からなるものでもよい。また、2重構造をとる場合、これらの材質はアクリル及びポリエステルフィルムに限定されず、これら以外の材質を使用してもよい。
【0094】
・結露流入口41よりも上方に配置する部材は、LED2及び電源回路20のどちらか一方でもよい。
・LED灯具3は、照明の機能単位が必ずしも1つであることに限らず、照明機能単位を複数設けてもよい。
【0095】
・LED2は、本体ケース4の幅方向両側に配置されることに限らず、一方のみに配置されるものでもよい。
・LED2は、本体ケース4の幅方向において左右で互い違いに配置されることに限らず、同じ位置に並ぶものでもよい。
【0096】
・指向性光源は、必ずしもLED2を複数もつものに限らず、1つで高い輝度が得られる場合は、1つのLED2から構成されるものでもよい。
・指向性光源は、必ずしも複数配置されたLED2に限定されず、光源から出される光に指向性があるものであれば、どのような種のものを使用してもよい。例えば、ひとつのLEDであっても良いし、あるいは、ライン型の光源としては、アーパーチャー型冷陰極管などであってよい。
【0097】
・レンズ10は、必ずしも表面が平面になっているものに限らず、表面が若干の丸みを帯びた曲面形状をとっていてもよい。
・反射部材は、必ずしも板形状の反射板32に限定されず、光を反射できるものであれば、その形状は特に限定されない。また、反射部材の材質も、樹脂であることに限定されるものではなく、光反射作用を持つもつものであれば、どのようなものを採用してもよい。
【0098】
・LED灯具3は、必ずしも車両の室内灯に使用されることに限らず、種々の灯具に応用可能であることは言うまでもない。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0099】
(イ)光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットとを備えた照明装置において、樹脂製の前記ハウジングに形成された係止爪を、前記取り付け先の被係止部に係止するとともに、当該ハウジングにおいて前記係止爪と反対側部位を、締結部により前記取り付け先に固定する取付機構を備えた。
【0100】
ところで、照明装置を締結部のみで取り付け先に取り付ける場合、締結部が複数必要となるので、部品コストがかかる。また、複数箇所で締結部の止め作業が必要となるため、取付作業も面倒である。しかし、本構成によれば、照明装置の取り付けに必要な締結部の個数を少なく抑えることが可能となるので、部品コスト抑制や取付作業簡素化に寄与する。
【0101】
(ロ)光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットとを備え、締結部を用いて取り付け先に取り付け可能な照明装置において、装置ケース内には、電子部品の収納領域と、前記締結部の取り付けスペースと、を区分けする区画部が形成されている。
【0102】
ところで、照明装置が締結部により固定される構造の場合、ハウジングには締結部の挿込孔(例えば、ねじ孔)が形成されるが、この挿込孔から結露が装置ケース内に浸入する可能性も否めない。そこで、本構成では、電子部品の収納領域と締結部の取り付けスペースとが区画部により区画されるので、挿込孔から浸入した結露が電子部品に至り難い。よって、結露付着を要因とする電子部品の故障を生じ難くすることが可能となる。
【0103】
(ハ)光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットとを備えた照明装置において、前記締結部の取り付けスペースにて、前記取り付け先への取付け作業を行うときに指を添えることが可能な支持部を備える。この構成によれば、照明装置を取り付け先に取り付けるとき、支持部に指を添えて照明装置をしっかりと固定することが可能となるので、照明装置の取り付けの作業性を向上することが可能となる。
【0104】
(二)光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットとを備えた照明装置において、前記光源に発生する熱、又は前記電源回路に発生する熱を、外部に放熱可能な放熱機構を備えた。
【0105】
ところで、例えばハウジングを樹脂製とした場合、指向性光源や電源回路の熱の逃がし所がなくなるが、本構成の場合は、放熱機構によって熱を外に逃がすことが可能となるので、ハウジングを樹脂製としても何ら問題はない。
【0106】
(ホ)請求項5〜9、前記技術的思想(二)のいずれかにおいて、前記放熱機構は、電子部品(光源や電源回路)に取り付けられた金属体である。この構成によれば、金属体を電子部品に取り付けるという簡素な構造で、電子部品に発生する熱を外に放熱することが可能なる。
【0107】
(へ)請求項5〜9、前記技術的思想(二)のいずれかにおいて、前記放熱機構は、前記金属体に触れる空気層の対流によって熱を外に逃がすものである。この構成によれば、電子部品に発生した熱を、金属体及び空気対流によって効果的に逃がすことが可能となるので、電子部品の温度上昇をより効果的に抑えることが可能となる。
【0108】
(ト)請求項1〜9、前記技術的思想(イ)〜(へ)のいずれかにおいて、樹脂製の前記ハウジングと、前記光源に電源を供給する電源回路又は該指向性光源を、少なくとも部材の係止により前記ハウジングに係止する係止機構とを備えた。この構成によれば、ハウジングを樹脂製(例えばポリプロピレン)にすると、テープ等でハウジングに部品取り付け難くなる(又は剥がれ易い)が、本構成の場合は、部品取り付け用の係止機構を設けたので、電源回路を問題なくハウジングに取り付けることが可能となる。
【0109】
(チ)請求項1〜9、前記技術的思想(イ)〜(ト)のいずれかにおいて、前記光源の光が前記レンズ外の箇所から漏れ出ないように、光漏れを防止する光漏れ防止手段を備えた。この構成によれば、レンズに通す光量が確保されるので、照明の輝度を確保することが可能となる。
【0110】
(リ)請求項6〜9、前記技術的思想(イ)、(ホ)〜(チ)のいずれかにおいて、前記係止爪には、当該係止爪を破損し難くする補強リブが形成されている。この構成によれば、係止爪の強度を補強リブにて確保することが可能となる。
【0111】
(ヌ)請求項6〜9、前記技術的思想(イ)、(ホ)〜(リ)のいずれかにおいて、前記反対側部位には、前記締結部を隠す蓋部が取り付けられている。この構成によれば、締結部が外部に露出しなくなるので、外観を確保することが可能となる。
【0112】
(ル)請求項8又は9、前記技術的思想(ハ)、(ホ)〜(ヌ)のいずれかにおいて、前記支持部は、前記結露が前記レンズ側に至らないようにする防水壁の役割も兼ねている。この構成によれば、結露を要因とする電子部品の故障を一層生じ難くすることが可能となる。
【0113】
(ヲ)請求項8又は9、前記技術的思想(ハ)、(ホ)〜(ル)のいずれかにおいて、前記支持部は、前記指向性光源の光漏れを防止する壁の役割も兼ねている。この構成によれば、レンズに通す光量が確保されるので、照明輝度を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0114】
1…取り付け先としての車内天井、2…光源(指向性光源)及び電子部品を構成するLED、3…照明装置としてのLED灯具、4…装置ケースとしての本体ケース、5…ハウジング、6…レンズユニット、10…レンズ、18…電子部品の収納領域及び開口部を構成する第1部品収納室、19…開口部を構成する第2部品収納室、20…電子部品を構成する電源回路、23…金属部材としての放熱板、32…反射部材としての反射板、34…光調整部材としての光拡散シート、40…結露流入保護機構、41…結露流入口、42…壁部を構成する第1防水壁、43…壁部を構成する第2防水壁、44…壁部及び区画部を構成する区画壁、45…配線、46…配線通し孔、47…結露流入抑制機構を構成する庇部、48…結露流入抑制機構を構成する配線止め部、56…取付機構、57…係止爪、59…締結部としてのねじ、61…被係止部としてのルーフライニング、62…締結部の取り付けスペースとしてのねじ取り付けスペース、63…壁部、区画部及び支持部を構成する支持壁、64…放熱機構を構成するねじ孔、66,67…放熱機構を構成する空気層、68…放熱機構を構成する通路、69…放熱機構を構成する隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照明側に開口された開口部内に、光源を点灯するために電気的に接続された電源回路を備えたハウジングと、
前記光源から照射される光を外部に透過するレンズを有するとともに、前記ハウジングの前記開口部を開口側から閉じるレンズユニットと
を備えた照明装置において、
装置ケースの外部で発生した結露が、前記ハウジング、前記レンズユニット、又はこれら部材の間の隙間から、当該装置ケースの内部に流入してしまっても、前記光源の点灯が正常に可動することを確保する結露流入保護機構を備えた
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記結露流入保護機構は、前記電源回路又は前記光源が、前記ハウジング及び前記レンズユニットの間の隙間と前記装置ケースの内部とを連通する結露流入口よりも、照明装置の取り付け状態において上方に配置される構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記結露流入保護機構は、前記レンズユニットに設けられ、前記装置ケース内に流入した前記結露が前記レンズまで至らないように途中で堰き止める壁部である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ハウジングに形成された配線引き出し用の配線通し孔の上部に形成された庇部と、前記配線通し孔から引き出された前記配線を下に傾斜する状態で前記ハウジングに係止する配線止め部とを有する結露流入抑制機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記電源回路を前記レンズに対して重ね方向に配置し、当該電源回路から発生した熱を、該電源回路に取り付けられた金属部材から、該金属部材に触れる空気層を通じて、当該電源回路から逃がす放熱機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ハウジングに形成された係止爪を取り付け先の被係止部に係止するとともに、当該ハウジングにおいて前記係止爪とは反対側部位を、締結部により前記取り付け先に固定する取付機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記装置ケース内には、電子部品の収納領域と、前記締結部の取り付けスペースと、を区分けする区画部が形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記取付機構は、前記締結部の取り付けスペースにおいて、前記取り付け先への取付け作業を行うときに指を添えることが可能な支持部を備える
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記装置ケースの表面の光出口として前記レンズを持ち、当該装置ケースの内部において該レンズの少なくとも一方の端部に、照射光が指向性を持つ前記光源としての指向性光源を配置し、当該指向性光源から前記レンズのもう一方の端部に向かって照射される前記照射光を前記レンズから導出する照明装置であって、
前記レンズの表面及び裏面のいずれか一方に、透光性の光調整部材を配置するとともに、前記装置ケースの底面の内面側において前記光調整部材に対し間隔を開けて反射部材を配置し、
前記光調整部材は、前記指向性光源から該光調整部材に入射した照射光を、前記指向性光源の照射軸と直交する方向に拡散する拡散効果と、その入射側に折り返す反射効果とを有し、
前記反射部材が有する反射効果と、前記光調整部材が有する反射効果との互いの光反射効果によって、前記照射光を前記レンズの他端まで導く導光効果と、
前記光調整部材の前記拡散効果と
の複合効果によって、前記レンズを面全体に亘って光らせることにより照明を行う
ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−66727(P2012−66727A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213958(P2010−213958)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】