説明

照明装置

【課題】 ユーザに大きな違和感を与えることなく、装置の温度に応じた発光制限を行う。
【解決手段】 照明装置は、照明光を発光する光源部と、装置の過熱部分の温度を取得する温度取得部と、制御部とを備える。制御部は、光源部の前回発光からの経過時間に応じて、光源部の発光量制限値を段階的に減少させる。また、制御部は、上記の温度に応じて、経過時間に対する発光量制限値の減少率を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影時に使用される照明装置は、例えば連続使用時の発光や充電等によって装置に大きな発熱が生じる。そのため、閃光発光装置の温度が閾値以上となる場合には、連続発光時の閃光発光量を制限するカメラシステムも提案されている(一例として特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−156793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閾値の温度を超えたか否かで照明装置の発光を制限すると、照明装置の挙動が閾値の温度の前後で大きく変化するため、ユーザに大きな違和感を与える制御となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である照明装置は、照明光を発光する光源部と、装置の過熱部分の温度を取得する温度取得部と、制御部とを備える。制御部は、光源部の前回発光からの経過時間に応じて、光源部の発光量制限値を段階的に減少させる。また、制御部は、上記の温度に応じて、経過時間に対する発光量制限値の減少率を変化させる。
【0006】
上記の一態様において、制御部は、温度の高さに比例して、上記の減少率を小さくしてもよい。
【0007】
上記の一態様において、制御部は、光源部の前回発光での発光量に応じて、光源部の発光終了時点での発光量制限値を決定してもよい。
【0008】
上記の一態様の照明装置は、光源部からの照明光を透過させる光学部材と、光源部および光学部材の相対距離を調節して、照明光の配光角を変化させる移動部とをさらに備えていてもよい。そして、制御部は、相対距離に応じて、上記の減少率を変化させてもよい。
【0009】
上記の一態様の照明装置は、光源部に出力する電荷を蓄積するキャパシタをさらに備えていてもよい。そして、制御部は、光源部の発光終了時点からキャパシタへの充電を開始する制御を行ってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、ユーザに大きな違和感を与えることなく、装置の温度に応じた発光制限を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一の実施形態の照明装置を含むカメラシステムの概要を示す斜視図
【図2】一の実施形態での照明装置の構成例を示す図
【図3】照明装置のヘッド部の部分拡大図
【図4】一の実施形態での照明装置の動作例を示す流れ図
【図5】発光量制限値の経過時間による変化の一例を示す図
【図6】図5からキセノン管およびフレネルレンズの相対距離を近づけた状態を示す図
【図7】図5からキセノン管およびフレネルレンズの相対距離を遠ざけた状態を示す図
【図8】発光量制限値の変動履歴の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<一の実施形態の説明>
図1は、一の実施形態の照明装置を含むカメラシステムの概要を示す斜視図である。図1に示すカメラシステム1は、カメラ本体2と、照明装置3と、レンズ鏡筒4とを備える。カメラ本体2には、照明装置3およびレンズ鏡筒4がそれぞれ交換可能に装着される。カメラ本体2は、レンズ鏡筒4のレンズによって結像された被写体の像を撮像素子(不図示)で撮像する。
【0013】
照明装置3は、撮像時に被写体に対して直接的または間接的に照明光を照射するモジュールである。照明装置3は、照明光を照射するヘッド部10と、ヘッド部10を支持するとともにヘッド部10の発光等を制御する本体部11とを有している。照明装置3のヘッド部10は、図中X方向に延長する回転軸を中心として、本体部11に対して回動可能に支持されている。なお、一の実施形態の照明装置3は、照明光の照射角を変更することができる。
【0014】
一の実施形態での照明装置3は、本体部11の下部に設けられた取付脚12により、カメラ本体2のアクセサリーシュー2aに装着される。なお、取付脚12およびアクセサリーシュー2aにはそれぞれ接続端子(不図示)が設けられている。照明装置3をカメラ本体2へ装着したときには、上記の接続端子間で電気的な接続が確立する。これにより、カメラ本体2と照明装置3との間で情報の伝達が行われることとなる。なお、一の実施形態での照明装置3は、カメラ本体2から離れた位置で照明光を発光するリモート照明装置として機能させることもできる。
【0015】
図2は、一の実施形態での照明装置の構成例を示す図である。図3は、照明装置のヘッド部の部分拡大図である。照明装置3は、光源部の一例であるキセノン管21と、メインキャパシタ22と、リフレクタ23と、リフレクタホルダ24と、光学部材の一例であるフレネルレンズ25と、第1温度センサ26と、移動部27と、照明装置3に電力を供給する電源部28と、発光回路29と、第2温度センサ30と、操作部31と、制御部32とを有している。
【0016】
ここで、キセノン管21、メインキャパシタ22、リフレクタ23、リフレクタホルダ24、フレネルレンズ25、第1温度センサ26および移動部27は、照明装置3のヘッド部10に収容される。電源部28、発光回路29、第2温度センサ30、操作部31および制御部32は、照明装置3の本体部11に収容される。また、制御部32は、第1温度センサ26、移動部27、電源部28、発光回路29、第2温度センサ30、操作部31および取付脚12の接続端子とそれぞれ接続されている。
【0017】
キセノン管21は、メインキャパシタ22から高電圧を印加された場合に放電し、照明光(閃光)を発光する。メインキャパシタ22は、キセノン管21に出力する電荷を蓄積するとともに、発光回路29の制御によりキセノン管21に電力を供給する。
【0018】
リフレクタ23は、ヘッド部10の前方(図2、図3の左側)に向けて開口しており、キセノン管21の発光した照明光を照射対象の被写体に向けて反射する。リフレクタ23の縦断面は、ヘッド部10の後方側が放物線状または半円状の凹面をなしており、その凹面の焦点の位置にキセノン管21が配置されている。一の実施形態でのリフレクタ23は、例えば金属の薄板を加工して形成されており、キセノン管21と相対するリフレクタ23の表面は反射面をなしている。
【0019】
リフレクタホルダ24は、リフレクタ23を保持する樹脂性の部材である。リフレクタホルダ24の図中左側の面はリフレクタ23の形状に対応し、リフレクタ23を裏側から保持する保持面をなしている。また、リフレクタホルダ24の保持面の背面側(図中右側)には、くぼみ部24aと雌ねじ部24bとが形成されている。リフレクタホルダ24の雌ねじ部24bには、図中水平方向にねじ穴が形成されており、後述の雄ねじ(34)と螺合する。リフレクタホルダ24のくぼみ部24aは、第1温度センサ26を配置するための凹部であって、リフレクタ23の凹面の頂点に対応する位置に形成されている。なお、リフレクタホルダ24のくぼみ部24aの厚みは、リフレクタホルダ24のくぼみ部24a以外の部分よりも薄く形成されている。
【0020】
フレネルレンズ25は、例えば、同心円状のフレネル溝を備えた透明または半透明の樹脂性レンズである。フレネルレンズ25は、キセノン管21に対して被写体の方向(図2、図3の左側)に配置されている。キセノン管21の発光時には、フレネルレンズ25は、キセノン管21からの直接光およびリフレクタ23で反射した反射光を透過させて、照明光を外部に拡散させる。
【0021】
第1温度センサ26は、リフレクタ23の反射面裏面側に配置され、リフレクタ23を隔ててキセノン管21の近傍温度を取得する。ここで、一の実施形態での第1温度センサ26は、リフレクタホルダ24のくぼみ部24aに固定されて配置されている。上記のくぼみ部24aはリフレクタ23の凹面の頂点部分に形成されているので、ヘッド部10の縦断面(図2、図3)でみたときに、第1温度センサ26はフレネルレンズ25の光軸中心とキセノン管21とを通過する直線上に配置されることとなる。
【0022】
移動部27は、キセノン管21とフレネルレンズ25との相対距離を調節して、照明光の配光角を変化させる。移動部27は、雄ねじ34と、雄ねじ34を回転させる駆動部35とを有している。雄ねじ34は、フレネルレンズ25の光軸方向(Y方向)に延在し、リフレクタホルダ24の雌ねじ部24bと螺合する。駆動部35によって雄ねじ34が回転すると、リフレクタホルダ24はY方向に移動することとなる。これにより、キセノン管21およびリフレクタ23はY方向に沿って移動し、キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離が調節される。なお、駆動部35は、雄ねじ34の回転量を検出するエンコーダ(不図示)を内蔵する。エンコーダで検出された雄ねじ34の回転量は、Y方向でのキセノン管21の位置(キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離)を求めるために使用される。
【0023】
発光回路29は、電源部28の電圧を所定の充電電圧まで昇圧する昇圧回路と、メインキャパシタ22に充電した電荷をキセノン管21に出力する出力回路とを有している(昇圧回路および出力回路の図示は省略する)。この発光回路29の動作は、制御部32により制御される。
【0024】
第2温度センサ30は、装置周囲の環境温度を取得するための温度センサである。第2温度センサ30は、光源から離れた位置に配置される。なお、第1温度センサ26および第2温度センサ30には、例えばサーミスタ等の公知の温度センサを用いることができる。
【0025】
操作部31は、照明装置3の電源スイッチと、調光モードや照明角を設定するダイヤルと、一定量の充電完了時に点灯するレディランプ(31a)と、各種の情報表示を行う液晶パネルとを有するユーザインターフェースである。なお、操作部31は、本体部11の背面(図2の右側)に配置される。
【0026】
制御部32は、照明装置3の統括的な制御を行う回路である。例えば、制御部32は、発光回路29を介してキセノン管21の発光制御を行う。また、制御部32は、移動部27を制御して照明光の照射角を変更する。このとき、制御部32は、レンズ鏡筒4の焦点距離が短い場合には照射角を広角にし、レンズ鏡筒4の焦点距離が長い場合には照射角を狭角にしてもよい。なお、照射角を広角にするときには、制御部32はキセノン管21とフレネルレンズ25との相対距離を短くすればよい。また、照射角を狭角にするときには、制御部32はキセノン管21とフレネルレンズ25との相対距離を長くすればよい。
【0027】
さらに、制御部32は、温度取得部の一例である温度推定部33を有している。温度推定部33は、第1温度センサ26、第2温度センサ30およびエンコーダの出力を用いて、フレネルレンズ25の温度を推定する。なお、制御部32は、キセノン管21の発光に伴うフレネルレンズ25の熱変形を抑制するために、温度推定部33が求めたフレネルレンズ25の温度に応じて照明装置3の発光量を制限する(図4参照)。
【0028】
ここで、フレネルレンズ25での温度勾配は、第1温度センサ26で取得したキセノン管21の近傍温度と、第2温度センサ30で取得した環境温度から求めることができる。また、キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離は、エンコーダの出力を用いて求めることができる。各種の熱伝導率やヘッド部10の寸法等は予め既知であり、キセノン管21から直接赤外線として照射されるエネルギーは照明装置3の発光量等から演算できる。よって、上記のパラメータを用いることで、温度推定部33が公知の熱伝導方程式からフレネルレンズ25の温度を導出できることが分かる。
【0029】
次に、図4の流れ図を参照しつつ、一の実施形態での照明装置の動作例を説明する。なお、図4の流れ図の処理は、電源スイッチがオンされたときに制御部32によって開始される。
【0030】
ステップ#101:発光回路29は、制御部32の制御によりメインキャパシタ22への充電を開始する。なお、一の実施形態において、制御部32は、フル発光時と比べて1/2の発光が可能になった段階でレディランプ31aを点灯させる。
【0031】
ステップ#102:制御部32は、カメラ本体2から発光を指示する発光信号を受信したか否か判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には#103に処理が移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)には#106に処理が移行する。
【0032】
ステップ#103:発光回路29は、制御部32の制御によりキセノン管21を発光させる。これにより、被写体に照明光が照射されることとなる。
【0033】
ステップ#104:発光回路29は、制御部32の制御により、発光終了直後からメインキャパシタ22への充電を再開する。
【0034】
ステップ#105:制御部32は、キセノン管21の発光量を発光量制限値以下に制限する制御を発光終了直後から開始する。その後、制御部32は#102に戻って上記動作を繰り返す。
【0035】
図5は、発光量制限値の経過時間による変化の一例を示す図である。図5の縦軸は発光量制限値を示し、図5の横軸は時間を示す。
【0036】
一の実施形態において、発光量制御値(Evlim)は、フル発光時の発光量を基準としたEv値の段数で表現される。発光量制限値が「n(但しnは自然数)」のとき、フル発光時の発光量に対してEv値のn段分の制限(発光量1/2n)がかかった状態となる。例えば、発光量制限値が「0」のときは発光量の制限がなく、フル発光が可能な状態となる。また、発光量制限値が「1」のときはフル発光時の発光量に対してEv値の1段分の制限がかかり、発光量の上限がフル発光時の1/2となる。そして、発光量制限値が1増加するごとに、発光量の上限がさらに1/2されることとなる。
【0037】
#105での制御部32は、キセノン管21の前回発光からの経過時間に応じて、発光量制限値を段階的に減少させてゆく。これにより、照明装置3の最大発光量は発光終了直後には発光量制限値で大きく制限される。しかし、経過時間に伴う発光量制限値の減少によって、照明装置3の最大発光量は経過時間とともに徐々に元の状態に近づく。図5では、発光量制限値と経過時間とが線形的に比例する例を示している。
【0038】
#105での制御部32は、照明装置3の過熱部分の温度(温度推定部33から取得したフレネルレンズ25の温度)に応じて、上記の経過時間に対する発光量制限値の減少率をそれぞれ変化させる。具体的には、制御部32は、フレネルレンズ25の温度が低い場合には経過時間に対する発光量制限値の減少率を大きくする。一方、制御部32は、フレネルレンズ25の温度が高い場合には経過時間に対する発光量制限値の減少率を小さくする。
【0039】
図5の例において、フレネルレンズ25の温度がT1<T2<T3の関係にあるときに、経過時間に対する発光量制限値の減少率(図中の直線の傾き)は、温度T1のものが最も大きくなる。そして、経過時間に対する発光量制限値の減少率は、温度T2、T3の順に小さくなっていく。すなわち、フレネルレンズ25の温度が低いほど発光量制限値がより短い時間で減少し、発光終了時点からレディランプ31aが点灯するまでの所要時間(レディ時間)も短くなる。
【0040】
また、#105での制御部32は、キセノン管21の前回発光での発光量に応じて、キセノン管21の発光終了時点での発光量制限値を決定する。制御部32は、前回発光での発光量が大きい場合には発光量制限値を大きくする。一方、前回発光での発光量が小さい場合には、メインキャパシタ22に電力が多く残っているため、制御部32はその分発光量制限値を小さくする。
【0041】
また、#105での制御部32は、エンコーダの出力で求めたキセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離に応じて、経過時間に対する発光量制限値の減少率を変化させる。
【0042】
図6は、図5からキセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離を近づけた状態を示す図である。図7は、図5からキセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離を遠ざけた状態を示す図である。キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離が近い場合(図6)には、図5の場合よりもフレネルレンズ25が過熱しやすくなる。そのため、制御部32は、同じ温度条件下での経過時間に対する発光量制限値の減少率を、図5と比べてそれぞれ低くする(図中の直線の傾きは小さくなる)。一方、キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離が遠い場合(図7)には、図5の場合よりもフレネルレンズ25が過熱しにくくなる。そのため、制御部32は、同じ温度条件下での経過時間に対する発光量制限値の減少率を、図5と比べてそれぞれ高くする(図中の直線の傾きは大きくなる)。
【0043】
なお、#105の制御部32は、発光終了時点からの任意の時間tでの発光量制限値Evlimを以下の式(1)で求めればよい。
Evlim=Evlims−(3/RDYT)t …(1)
上記の式(1)の「Evlims」は、前回発光の発光量に応じて決定される発光終了時点での発光量制限値である。前回発光がフル発光の場合にはEvlimsは「4」となり、前回発光がフル発光の1/2の発光量の場合にはEvlimsは「3」となる。また、「RDYT」は、フレネルレンズ25の温度等に応じて変動するレディ時間である。
【0044】
図8は、発光量制限値の変動履歴の一例を示す図である。図8の縦軸は発光量制限値を示し、図8の横軸は時間を示す。照明装置3の発光量が大きい場合(1回目の発光)には、発光直後の発光量制限量Evlimの変化が大きくなる。一方、照明装置3の発光量が小さい場合(2回目の発光)には、発光直後の発光量制限量Evlimの変化が相対的に小さくなる。なお、フレネルレンズ25の温度や、キセノン管21およびフレネルレンズ25の相対距離の変化に応じて、図8における発光量制限量Evlimの減少率は随時変化しうる。
【0045】
ステップ#106:制御部32は、電源スイッチがオフにされたか否か判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、制御部32は図4の流れ図の処理を終了させる。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)には、制御部32は#102に戻って上記動作を繰り返す。以上で、図4の説明を終了する。
【0046】
以下、一の実施形態の照明装置3での作用効果を述べる。
【0047】
一の実施形態の照明装置3は、過熱部分(フレネルレンズ25)の温度で決定される減少率の関係に基づいて、キセノン管21の前回発光からの経過時間に応じて発光量制限値を段階的に減少させてゆく(#105)。すなわち、前回発光からの経過時間が長いほど発光量を大きくし、過熱部分の温度が高い場合にはレディ時間を相対的に長くする制御が行われる。そのため、閾値の温度に達したときに充電停止や発光禁止を行う制御と比べて、ユーザに大きな違和感を与えずに、照明装置3の過熱部分を保護するための発光制御を行うことができる。
【0048】
また、一の実施形態の照明装置3では、発光量制限値による発光制御(#105)を行う一方で、発光終了直後からメインキャパシタ22への充電を再開する(#104)。そのため、発光量制限値で発光量が制限される期間中に充電はほぼ完了するので、例えば、閾値の温度に達したときに充電を停止させて、温度が低下したときに充電を再開する場合等と比べて、迅速に照明装置3を発光させることができる。
【0049】
また、照明装置に外部電源を用いる場合には充電の制御が比較的に困難であるが、一の実施形態では発光量制限値を用いて発光制御を行うため、外部電源を適用する場合でも比較的容易に照明装置3の過熱部分を保護するための発光制御を行うことができる。
【0050】
<実施形態の補足事項>
(補足1)上記実施形態では光源部にキセノン管を使用する照明装置の例を説明したが、本発明の照明装置は光源部にLEDを使用する照明装置であってもよい。
【0051】
(補足2)上記実施形態ではカメラ本体に外付けされる照明装置の例を説明したが、本発明の照明装置はカメラに内蔵されるものであってもよい。
【0052】
(補足3)上記実施形態ではフレネルレンズの温度に応じて発光量制限値を求める例を説明したが、本発明の照明装置は、装置内の他の過熱部分(例えば、昇圧回路、メインキャパシタ、電源部など)の温度に基づいて発光量制限値を求めるものであってもよい。なお、本発明の照明装置は、装置の過熱部分の温度を温度センサで直接取得するものであってもよい。
【0053】
(補足4)上記実施形態では照明光の照射角を変更する機能を有する照明装置の例を説明したが、本発明は上記機能を有しない照明装置にも勿論適用できる。
【0054】
(補足5)上記実施形態では、発光量制限値と経過時間とを線形的に比例させた例を説明したが、本発明での発光量制限値と経過時間との比例関係は非線形であってもよい。例えば、メインキャパシタの充電特性曲線を用いて発光量制限値と経過時間との比例関係を決定してもよい。
【0055】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…カメラシステム、2…カメラ本体、2a…アクセサリーシュー、3…照明装置、4…レンズ鏡筒、10…ヘッド部、11…本体部、12…取付脚、21…キセノン管、22…メインキャパシタ、23…リフレクタ、24…リフレクタホルダ、24a…くぼみ部、24b…雌ねじ部、25…フレネルレンズ、26…第1温度センサ、27…移動部、28…電源部、29…発光回路、30…第2温度センサ、31…操作部、31a…レディランプ、32…制御部、33…温度推定部、34…雄ねじ、35…駆動部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発光する光源部と、
装置の過熱部分の温度を取得する温度取得部と、
前記光源部の前回発光からの経過時間に応じて、前記光源部の発光量制限値を段階的に減少させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度に応じて、前記経過時間に対する前記発光量制限値の減少率を変化させることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記温度の高さに比例して、前記減少率を小さくすることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記光源部の前回発光での発光量に応じて、前記光源部の発光終了時点での前記発光量制限値を決定することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記光源部からの照明光を透過させる光学部材と、
前記光源部および前記光学部材の相対距離を調節して、前記照明光の配光角を変化させる移動部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記相対距離に応じて、前記減少率を変化させることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記光源部に出力する電荷を蓄積するキャパシタをさらに備え、
前記制御部は、前記光源部の発光終了時点から前記キャパシタへの充電を開始する制御を行うことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88765(P2013−88765A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231909(P2011−231909)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】