説明

照準装置

【課題】小型で軽量とし、銃に装着した状態で、その突出度合いを小さくすることを目的とし、特に小銃の場合、照準装置を装着したままで容易にホルスターに収納することができるという新規な照準装置を提供する。
【解決手段】照準装置本体1は、電源部2と光源部3及びミラーレンズ4とからなり、このミラーレンズ4を起立及び倒して格納可能に軸支してある。上記ミラーレンズ4の起立状態で光源部への通電をONとし、ミラーレンズ4を倒して格納した状態で光源部3への通電をOFFとするように構成してあり、省エネルギータイプとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃、小銃、特に小銃に使用して便利な通称ドットサイトと云われる照準装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銃、小銃等に装着して使用される照準装置は公知である。この公知の照準装置は、装置内に発光体を設け、この発光体から発行する光を装置内に設けたミラーレンズに投射しこのミラーレンズに現出する焦点光を照準点とするものである(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−40913号公報
【特許文献2】特開平10−318700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献の従来技術は、照準装置が全て筒状に構成され、筒内に対物レンズ、接眼レンズ並びにミラーレンズが収められるという構成であり、常にこの筒状の照準装置が銃の上部に突出して装着されるという課題があり、特に小銃の場合、照準装置が邪魔になり、ホルスターに容易に収納できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、小型で軽量とし、銃に装着した状態で、その突出度合いを小さくすることを目的とし、特に小銃の場合、照準装置を装着したままで容易にホルスターに収納することができるという新規な照準装置を提供するものである。
そのために、本発明照準装置は、電源部と光源部及びミラーレンズとからなり、このミラーレンズを起立及び倒して格納可能に軸支してあることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明照準装置は、上記ミラーレンズの起立状態で光源部への通電をONとし、ミラーレンズを倒して格納した状態で光源部への通電をOFFとするように構成してあることを特徴とするものである。
さらに、本発明照準装置は、上記ミラーレンズを挟んで電源部と光源部とを配置し、電源部と光源部との間に窪み部を設け、この窪み部にミラーレンズを倒して格納するようにしてある。
【0007】
また、本発明照準装置は、上記電源部の側方から、電池載置部に電池を載置してこの電池載置部を電源部に着脱自在にしてある。
さらに、本発明照準装置は、上記電源部と光源部とミラーレンズを格納する窪み部とからなる薄い照準装置本体の上記窪み部に回動軸を設け、この回動軸に巻き付けた巻きバネの弾力によりミラーレンズを保持するレンズホルダーを跳ね上げ起立させるようにしてある。
【0008】
また、本発明照準装置は、照準装置本体の光源部側側壁にバネ弾力によりミラーレンズ側に弾圧されたレンズホルダー跳ね上げ操作部を左右方向に移動可能に設けてあり、この操作部の内部に設けた係止片とレンズホルダーに設けた係止部との係合によりレンズホルダーを格納位置に係止格納するようにしてある。
さらに、本発明照準装置は、上記操作部の内側に設けた係止片の上記ミラーレンズの回動軸側の端面を断面円弧面状としてあり、レンズホルダーの係止部の上記操作部の内部に設けた係止片と対向する接触面を傾斜面としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照準装置は、電源部と光源部及びミラーレンズとからなり、このミラーレンズを起立及び倒して格納可能に軸支してあることを特徴とするものであるから、小型で軽量とし、銃に装着した状態でミラーレンズを倒して格納してあれば、その突出度合いを小さくでき、特に小銃の場合、照準装置を装着したままで、ホルスターに容易に収納できるという効果がある。
【0010】
本発明の照準装置は、上記ミラーレンズの起立状態で光源部への通電をONとし、ミラーレンズを倒して格納した状態で光源部への通電をOFFとするように構成してあることを特徴とするものであるから、照準装置の使用時だけ、光源部への通電を行い、ミラーレンズを倒して格納してある状態では、通電を行わないから省エネルギータイプにすることができ、エネルギーを有効に使用できる効果がある。
【0011】
本発明の照準装置は、上記ミラーレンズを挟んで電源部と光源部とを配置し、電源部と光源部との間に窪み部を設け、この窪み部にミラーレンズを倒して格納するようにしてあるから、照準装置全体として薄くし、特にミラーレンズの格納状態ではきわめて薄くすることができ、銃に装着した状態でもその突出度合いをきわめて小さくできた効果がある。
【0012】
本発明の照準装置は、上記電源部の側方から、電池載置部に電池を載置してこの電池載置部を電源部に着脱自在にしてあるから、電池の交換を簡単にできるという効果がある。
また、本発明の照準装置は、上記電源部と光源部とミラーレンズを格納する窪み部とからなる薄い照準装置本体の上記窪み部に回動軸を設け、この回動軸に巻き付けた巻きバネの弾力によりミラーレンズを保持するレンズホルダーを跳ね上げ起立させるようにしてあるから、ミラーレンズの跳ね上げ起立を確実にする効果がある。
【0013】
本発明の照準装置は、照準装置本体の光源部側側壁にバネ弾力によりミラーレンズ側に弾圧されたレンズホルダー跳ね上げ操作部を左右方向に移動可能に設けてあり、この操作部の内部に設けた係止片とレンズホルダーに設けた係止部との係合によりレンズホルダーを格納位置に係止格納するようにしてあるから、ミラーレンズの格納を確実にする効果がある。
また、本発明照準装置は、上記操作部の内側に設けた係止片の上記ミラーレンズの回動軸側の端面を断面円弧面状としてあり、レンズホルダーの係止部の上記操作部の内部に設けた係止片と対向する接触面を傾斜面としてあるから、ミラーレンズを倒して格納する操作を確実、容易とすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明照準装置のミラーレンズを倒して格納させた状態の右側前方から見た斜面図である。
【図2】本発明照準装置のミラーレンズを起立させた状態の右側前方から見た斜面図である。
【図3】本発明照準装置の電池収納部の分解斜面図である。
【図4】本発明照準装置のミラーレンズを倒して格納させた状態の右側後方から見た斜面図である。
【図5】本発明照準装置のミラーレンズを起立させた状態の右側後方から見た斜面図である。
【図6】本発明照準装置のミラーレンズの跳ね上げ操作部の分解斜面図である。
【図7】同上跳ね上げ操作部の裏側を示した拡大分解斜面図である。
【図8】本発明照準装置のミラーレンズと跳ね上げ操作部の断面側面図でミラーレンズの格納状態を示す図である。
【図9】同じくミラーレンズと跳ね上げ操作部の断面側面図でミラーレンズの起立状態を示す図である。
【図10】同じくミラーレンズと跳ね上げ操作部の断面側面図でミラーレンズを倒して格納する状態を示す図である。
【図11】同じくミラーレンズの跳ね上げ操作部の拡大横断平面図である。
【図12】本発明照準装置のミラーレンズを倒して格納状態にあり電源回路のOFF状態を示す断面側面図である。
【図13】同じくミラーレンズを起立させ電源回路のON状態を示す断面側面図である。
【図14】ミラーレンズの軸支部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1及び図2にそれぞれ照準装置1の全体を示してあり、この照準装置1は電源部2と光源部3とミラーレンズ4とからなり、図1にミラーレンズ4が倒れて格納部5に格納された状態を示してあり、図2にミラーレンズ4が起立している状態を示してある。
【0016】
電源部2は、図3に示すように側面に電池出入口6を設け、この電池出入口6の上部に電源部2の上面の切欠き部7を設けてある。電池8は電池載置部に載置して電池出入口6から電源部2に出入するようにしてある。電池載置部9にその外側上部に手掛け部10を設けてあり、電池8をこの電池載置部9に載せて電源部2に挿入した位置で、手掛け部10が上記切欠き部7に入り、電池8を電源部2から取り出す際にこの手掛け部10に手を掛けて容易に引き出すことができるようにしてある。
【0017】
光源部3には、LEDからなる発光源が内臓してあり、この光源部3の格納部5に臨ませて開口した投光部11から起立したミラーレンズ4に向けて発光源からの光を投射するようにしてある。光源部3と窪み部からなる格納部5との間に中段部12を設けてあり、この中段部12に照準装置本体1を銃(図示せず)に装着するためのネジ挿通孔13を設けてある。
【0018】
ミラーレンズ4はレンズホルダー14に取り付けてあり、図14に示すようにこのレンズホルダー14を窪み部からなる格納部5の電源部2側に横架
して設けた中心軸15に対して回動するようにしてある。この中心軸15は、照準装置本体1の両側壁に嵌め込み固定した調整軸16と軸受17との間に架設固定してあり、調整軸16側の中心軸15の位置に固設したバネ係止部材18と、軸受17の中心軸15の位置に回動可能に嵌装したレンズホルダー14に連結した回動バネ係止部材19との間に巻きバネ20を強固に巻き込んで架設してあり、この巻きバネ20の復元力によりレンズホルダー14を跳ね上げ起立するようにしてある。
【0019】
図4乃至図11にレンズホルダー操作部21を示してある。このレンズホルダー操作部21は照準装置本体1の光源部3側の側壁に設けてあり、この側壁に横長の透孔22を設け、この透孔22に、レンズホルダー操作部21を構成する操作片23の内側に設けた係止片24を貫通してこの係止片24を壁の内側に突出させてあり、この係止片24を透孔22に沿って左右に移動するようにしてある。上記操作片23には表側に操作ボタン25を突設してある。
この操作ボタン23を照準装置1の側壁に形成した凹部26に嵌入して左右に移動するようにしてあり、この操作片23を保持するため、保持板27を側壁にネジ止め28し、操作片23の操作ボタン25を保持板27に形成した透孔29から外に出してある。
【0020】
上記レンズホルダー操作部21には、操作片23をミラーレンズ4の方向に移動する弾性力を付与するスプリング30を設けてある。一方、レンズホルダー14にはミラーレンズ4を格納部5に倒して格納したときに、この格納状態を確保するため、操作片23の係止片24と係合する係合部31を設けてある。即ち、図8に示すように、ミラーレンズ4を倒して格納部5に格納した状態で、操作片23の係止片24とレンズホルダー14の係合部31が係合している。
【0021】
操作片23の操作ボタン25を図4から図5に示すようにスプリング30の弾力に抗して右方向に移動すると、操作片23の係止片24とレンズホルダー14の係合部31との係合が解かれ、レンズホルダー14及びミラーレンズ4は中心軸15に巻かれた巻きバネ20の復元力により跳ね上げられ起立する。
また、ミラーレンズ4及びレンズホルダー14を手で倒して容易に格納部5に格納するために、操作片23の係止片24の中心軸15側の端面32を断面円弧状にしてあり、一方のレンズホルダー14の係止部31の上記係止片24と対向する接触面を傾斜面33としてあり、この係止片24の端面32の断面円弧状とレンズホルダー14の係止部31の傾斜面33とにより、ミラーレンズ4及びレンズホルダー14を倒して格納する際、該係止片24と該係止部31との係合を容易にしてある。
【0022】
次に、図12及び図13に、請求項2で示すミラーレンズの起立状態で光源部への通電をONとし、ミラーレンズを倒して格納した状態で光源部への通電をOFFとする構成を示してある。図12及び図13に示すように僅かに折曲した板バネ4を設け、その先端に通電をON,OFFするための接片35を設けてある。上記板バネ34の基端上に照準装置本体1内で上下動し得る操作棒36を設けてあり、一方、レンズホルダー14の基部に上記操作棒36の上端と係合する切欠係止部37を設け、レンズミラー4及びレンズホルダー14が跳ね上げ起立したときに、この切欠き係止部37が上記操作棒36と係合し、この操作棒36を押下するようにしてある。この押下により板バネ34の接片35を押し上げ、電源部2への通電をONにするようにしてある。
【0023】
上記の通り、本発明照準装置では、ミラーレンズを倒して照準装置本体の格納部5に格納して、きわめて薄く小型にしたから、照準装置の銃からの突出度合いを小さくし、コンパクトになし得たものである。
【符号の説明】
【0024】
1 照準装置本体
2 電源部
3 光源部
4 ミラーレンズ
5 格納部
6 電池出入口
7 切欠き部
8 電池
9 電池載置部
10 手掛け部
11 投光部
12 中段部
13 ネジ挿通孔
14 レンズホルダー
15 中心軸
16 調整軸
17 軸受
18 バネ係止部材
19 回動バネ係止部材
20 巻バネ
21 レンズホルダー操作部
22 透孔
23 操作片
24 係止片
25 操作ボタン
26 凹部
27 保持板
28 ネジ止め
29 透孔
30 スプリング
31 係合部
32 端面
33 傾斜面
34 板バネ
35 接片
36 操作棒
37 切欠係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と光源部及びミラーレンズとからなり、このミラーレンズを起立及び倒して格納可能に軸支してあることを特徴とする照準装置。
【請求項2】
上記ミラーレンズの起立状態で光源部への通電をONとし、ミラーレンズを倒して格納した状態で光源部への通電をOFFとするように構成してあることを特徴とする上記請求項1に記載の照準装置。
【請求項3】
上記ミラーレンズを挟んで電源部と光源部とを配置し、電源部と光源部との間に窪み部を設け、この窪み部にミラーレンズを倒して格納するようにしてある上記請求項1又は2に記載の照準装置。
【請求項4】
上記電源部の側方から、電池載置部に電池を載置してこの電池載置部を電源部に着脱自在にしてある上記請求項1乃至3の何れかに記載の照準装置。
【請求項5】
上記電源部と光源部とミラーレンズを格納する窪み部とからなる薄い照準装置本体の上記窪み部に回動軸を設け、この回動軸に巻き付けた巻きバネの弾力によりミラーレンズを保持するレンズホルダーを跳ね上げ起立させるようにしてある上記請求項1乃至4の何れかに記載の照準装置。
【請求項6】
照準装置本体の光源部側側壁にバネ弾力によりミラーレンズ側に弾圧されたレンズホルダー跳ね上げ操作部を左右方向に移動可能に設けてあり、この操作部の内部に設けた係止片とレンズホルダーに設けた係止部との係合によりレンズホルダーを格納位置に係止格納するようにしてある上記請求項1乃至5の何れかに記載の照準装置。
【請求項7】
上記操作部の内側に設けた係止片の上記ミラーレンズの回動軸側の端面を断面円弧面状としてあり、レンズホルダーの係止部の上記操作部の内部に設けた係止片と対向する接触面を傾斜面としてある上記請求項6に記載の照準装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−249339(P2010−249339A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96665(P2009−96665)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(593043392)株式会社東京スコープ (5)
【Fターム(参考)】