熱アシスト磁気ヘッド及びその製造方法
【課題】 高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッド、その製造方法を提供する。
【解決手段】
第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bにレーザ光などのエネルギー線LBが照射されると、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極6Aの少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bの間の領域を含むスポット領域LS内に位置しているので、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端と主磁極6Aは極めて近接し、高密度の記録が可能となる。
【解決手段】
第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bにレーザ光などのエネルギー線LBが照射されると、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極6Aの少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bの間の領域を含むスポット領域LS内に位置しているので、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端と主磁極6Aは極めて近接し、高密度の記録が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気抵抗(MR)効果素子等の磁気検出素子と電磁コイル素子等の磁気記録素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクにデータ信号が読み書きされる。
【0003】
一般に、磁気記録媒体は、いわば磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
【0004】
磁化の熱安定性の目安は、KUV/kBTで与えられる。ここで、KUは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKUV/kBTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この問題への対策として、同時にKUを大きくすることが考えられるが、このKUの増加は、記録媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保磁力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
【0005】
このような磁化の熱安定性の問題を解決する方法として、KUの大きな磁性材料を用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって、保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この方式は、磁気ドミネント記録方式と光ドミネント記録方式とに大別される。磁気ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は電磁コイル素子であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)に比べて大きくなっている。一方、光ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は光放射部であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)とほぼ同じとなっている。すなわち、磁気ドミネント記録方式は、空間分解能を磁界に持たせているのに対し、光ドミネント記録方式は、空間分解能を光に持たせている。
【0006】
下記特許文献1は、固体イマージョンレンズを用いた磁気ヘッドを利用し、光磁気ディスクに超微細な光ビームスポットで超微細な磁区信号を記録する技術を開示している。下記非特許文献1には、水晶のスライダー上に形成されたU字型の近接場プローブを用いてエバネッセント光と磁界を発生させ、70nm程度の記録パターンを形成する技術が開示されている。
【0007】
特許文献2〜4には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生部を配置し、これに対して媒体側とは反対の側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。近接場光発生部の一端には尖った先端部が形成されており、近接場光は主としてこの先端部から放射される。
【0008】
特許文献5には、近接場プローブを構成する散乱体を、記録媒体に垂直となるように、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極に接して形成する技術が開示されている。この従来技術では、近接場光の発生素子と、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極との距離が線記録方向に離れている。それと同時に、主磁極が近接場光発生素子よりも基板側に位置した構造となっている(光照射部は磁極のトレーリング側に位置している)。この場合には、従来までのハードディスクドライブにおけるディスク回転方向を採用した場合、媒体を加熱した後に、加熱部がディスク上を約1回転した後に磁界が印加される事になる。これは、媒体の冷却効率を相当に悪くしないと実現しない使い方であり、書き込み速度を勘案すると非現実的な構造である。なお、特許文献5の構造では印加できる磁界の大きさは十分ではなく、特に、非特許文献2にあるような2段階の保磁力の温度特性を有するような記録媒体には、このヘッドを適用することは困難である。
【0009】
特許文献6には、記録磁極のトレーリング側終端近傍に光照射部が設けられている。この技術では、記録磁界勾配等を改良することで加熱部に磁界が印加可能となるが、その設計マージンは決して大きくなく実現は容易ではない。
【0010】
近接場光発生素子が主磁極よりも基板側に位置している場合、媒体が加熱された後に磁極からの記録磁界が与えられるので好ましいが、2つの素子があまりに距離を隔てていると、加熱の効果が消失してしまう。また、近接場光発生素子が主磁極よりも基板側に位置した構造とする為には、光の通り道、すなわち光導波路も垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの下側(基板側)に設ける必要がある。このような構造は、例えば、下記特許文献7に示されている。
【0011】
特許文献8には、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極の中に光導波路を埋め込むという技術が開示されているが、記録密度が1Tbits/in2で20nm以下となる磁極幅の中にそのような光素子を形成するというのは非常に困難であり、光利用効率という点からも好ましくない。
【特許文献1】特開平10−162444号公報
【特許文献2】特開2001−255254号公報
【特許文献3】特開2003−114184号公報
【特許文献4】特開2006−185548号公報
【特許文献5】特開2004−158067号公報
【特許文献6】特開2005−4901号公報
【特許文献7】特開2005−190655号公報
【特許文献8】特開2006−18554号公報
【非特許文献1】Miyanishi,S.et al.「Near−field assisted magnetic recording」、IEEE Transactions on Magnetics、2005、Vol.41、pp.2817−2821
【非特許文献2】Jan−Ulrich Thiele et al.「Magnetic and structural properties of FePt/FeRh exchange spring films for thermally assisted magnetic recording media」、IEEE Transactions on Magnetics、2004、Vol.40、No.4、pp.2537−2542
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、複数の技術が知られているものの、現実的に高密度記録を行うことが可能な熱アシスト磁気ヘッドは得られていない。そこで、近接場光発生部(プラズモン・プローブ)にレーザ光を照射する構造について考えると、レーザ光が伝播する光導波路のコアの先端面に、近接場光発光部を設けることが好ましいと考えられる。光導波路は、屈折率の高い領域(コア)をそれより屈折率の低い領域(クラッド)で包む事により形成されている。ここで、それぞれの領域の厚みは、光導波路としての機能を持たせる為には、使用する光の波長と同程度かそれ以上に設計する必要がある。
【0013】
したがって、高密度光記録に使用されている例えば青色レーザを光源として用いる場合には、コアおよびクラッドの厚みは400nm程度かそれ以上とする事が要求され、この場合には、近接場光発生部と主磁極とが大きく離隔することとなり、加熱された媒体領域に効果的に磁界を与えることが出来ないという問題が生じる。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッド、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面上で離隔して配置された第1及び第2の近接場光発生部と、第1及び第2の近接場光発生部の間に少なくとも一部分が位置する主磁極とを備えることを特徴とする。
【0016】
この熱アシスト磁気ヘッドでは、第1及び第2の近接場光発生部にレーザ光などのエネルギー線が照射されると、双方の近接場光発生部の先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極の少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部の間の領域に位置しているので、双方の近接場光発生部の先端と主磁極は極めて近接することになる。すなわち、加熱された磁気記録媒体の記録領域と主磁極とが極めて近接する。したがって、加熱された状態の記録領域の冷却前に主磁極から十分な磁界を与えることができるため、記録領域内の磁性微粒子が小さくても情報の書き込みを行うことができ、高密度の記録が可能となる。
【0017】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、第1近接場光発生部と第2の近接場光発生部との間の領域に、レーザ光などのエネルギー線を照射する発光素子を更に備えることを特徴とする。すなわち、エネルギー線の照射により近接場光発生部において十分な近接場光を発生させることができる。
【0018】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、第1及び第2の近接場光発生部が先端面に設けられるコアと、コアの周囲に設けられたクラッドとを備え、主磁極は、コア内に最深部が位置する溝内に設けられ、溝の両側面に隣接して第1及び第2の近接場光発生部がそれぞれ位置することを特徴とする。
【0019】
コア内の伝播するエネルギー線は周囲のクラッドによって反射されながらその端面まで進行する。端面には第1及び第2の近接場光発生部が設けられているので、これらへのエネルギー線の照射に呼応して、近接場光が発生する。従来の構造では、近接場光発生部と主磁極とを近づけることができなかったが、本発明では、コア内に最深部が位置する溝が設けられており、その内部に主磁極が設けられているため、第1及び第2の近接場光発生部と主磁極とを近づけることができ、しかも、製造時の溝の位置決め機能により、これらの位置決め精度が極めて高くなるという利点がある。
【0020】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、主磁極内に磁束を通すための情報書き込み用コイルを更に備えることを特徴とする。情報書き込み用コイルの位置は特に限定されない。すなわち、コイルに通電すると、内部に磁束が発生するが、これが適当なコア材としての磁性材料内部を通って、主磁極の先端から外部に流れるようにすればよい。コイルに流れる電流の量と向きを制御することで、所望の情報を磁気記録媒体に書き込むことができる。
【0021】
上述の如く精密な位置決めを行いつつ、主磁極と近接場光発生部を近づけることができる製造方法は、本願発明者らによって初めて見出された。
【0022】
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドの製造方法は、クラッド上にコアを形成する工程と、コア上に金属層を形成する工程と、金属層上にスリットパターンを有するマスクを形成する工程と、マスクを介して、スリットパターン直下のコア内に到達するまで、金属層及びコアをエッチングする工程と、エッチングによって形成された溝内に絶縁層を形成する工程と、溝内の絶縁層上に主磁極となる磁性材料を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0023】
このエッチングによって、金属層はマスク直下の領域で分断され、第1及び第2の近接場光発生部が形成される。絶縁層の厚みは高精度に制御できるため、溝内に位置する主磁極と第1及び第2近接場光発生部の距離は極めて精密に近接させることができ、しかも、これらはエッチングよる溝を用いた自己整合によって、精密に位置決めされることとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドによれば高密度記録が可能であり、その製造方法は高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッドを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、実施の形態に係る近接場光発生素子、熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【0027】
ハードディスク装置100は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備えている。
【0028】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0029】
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
【0030】
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0031】
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0032】
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【0033】
サスペンション20の先端部に熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられている。熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダー1と光源ユニット2とを貼りあわせてなる。スライダー1は、スライダー基板1AのYZ平面上に形成された磁気ヘッド部1Bを備えている。磁気ヘッド部1Bの−Z方向のXY平面は媒体対向面Sを成している。一方、光源ユニット2は、光源支持基板2AのYZ平面上に絶縁層2Bを備えており、絶縁層2BのYZ平面上に発光素子3が固定されている。
【0034】
磁気ヘッド部1Bは、絶縁体内に埋設された複数の素子を備えている。これらの素子は、電流の供給によって磁界を発生する螺旋状のコイル5と、情報書き込み用のコイル5において発生した磁束を媒体対向面Sまで導くようにコイル中心から延びた主磁極6Aと、媒体対向面S上に露出した磁気感応面を有する磁気抵抗効果素子(MR素子)7と、周囲の絶縁体をクラッドとしてZ軸方向に沿って延びる導波路のコア4である。
【0035】
コア4は屈折率の異なる複数の誘電体層を積層して形成することもでき、この場合、単位厚み当りの平均屈折率が高い方へ、内部を伝播する光が屈折する。なお、コアは全体の平均屈折率がクラッドよりも高屈折率の誘電体層からなり、クラッドはコア全体よりも低屈折率の誘電体層からなる。コアが多層の誘電体層からなる場合、複数の誘電体層の厚みと屈折率は、内部を伝播する光が近接場光発生部に近づくように設定される。すなわち、近接場光発生部に近づくほどコア4内の単位厚み当りの平均屈折率が高くなる。
【0036】
なお、主磁極6Aは媒体対向面S上に露出しているが、主磁極6Aは磁気ディスク10の表面にある記録領域Rに磁界を与えることができる位置であれば、媒体対向面S上に露出している必要はない。また、主磁極6Aの近傍には必要に応じて副磁極が設けられ、主磁極6Aからの磁力線(磁束)MFが記録領域Rを介して副磁極に流れるようにしてもよい(図5参照)。
【0037】
コア4は、発光素子3からの光が入射する光入射面4AをZ軸の正方向のXY平面上に有しており、負方向のXY平面、すなわち媒体対向面S上に光出射面4Bを備えている。発光素子3は、本例では端面発光型のレーザダイオードであり、XY平面に平行な端面から出射されたレーザ光は、光入射面4Aを介してコア4内に入り、光出射面4B上に形成された近接場光発生素子8(近接場光発生部8A,8B)に照射される。なお、一対の近接場光発生部8A,8Bは、Y軸に沿って離隔している(図6参照)。
【0038】
近接場光発生素子8は、入射光に共鳴して近接場光を発生し、この近接場光によって記録領域Rが加熱される。加熱された記録領域Rに主磁極6Aの先端からの磁力線が入ると、記録領域Rに情報が書き込まれる。
【0039】
磁気ヘッド部1BのX軸の負方向のYZ平面上には、複数の電極パッドからなる電極パッド群G1が形成されている。それぞれの電極パッドは、コイル5の両端、MR素子7の上下の電極に接続されている。MR素子7は、磁化の向きが固定された固定層と、周辺の磁界に応じて磁化の向きが偏向するフリー層を積層してなり、フリー層と固定層の磁化の向きの相違に応じて、磁気抵抗が変化する。すなわち、記録領域Rの周囲に発生する磁界に感応して、MR素子7の磁気抵抗が変化し、電極パッド群G1の中の一対の電極パッド間を流れる電流が変化する。なお、フリー層のY軸方向両端にはハードマグネットが配置されている。
【0040】
書き込み時には、電極パッド群G1の中の別の一対の電極パッド間に電流を流し、コイル5の両端間を電流が流れるようにする。なお、磁気記録素子は垂直磁気記録型のものが好ましい。電極パッド群G1内の電極パッドは、サスペンション20上に形成された第2の電極パッド群G2に電気的に接続され、配線部材203を介して外部に接続されている。なお、配線部材203に接続される第2の電極パッド群G2には、発光素子3に駆動電流を供給するための一対の電極パッドも含まれており、この電極パッド間に駆動電流を流すことで、発光素子3は発光し、エネルギー線としてのレーザ光が出射される。
【0041】
なお、コア4の形状としては様々ものが挙げられるが、本例ではZ軸に沿って直線的に延びている。なお、説明の明確化のため、コア4は発光素子3からの光LB(図4参照)の光路と同一符号で示している。
【0042】
スライダー基板1A及び光源支持基板2Aは、例えばアルティック(Al2O3−TiC)から構成されている。これらの基板1A,2Aに熱伝導性が高い基板を使用した場合には、基板が放熱機能を有することになる。光源支持基板2AのZ軸の正方向側のXY面は、サスペンション20の裏面に貼り付けられている。
【0043】
磁気ヘッド部1BはMR素子7、クラッド、コア4、コイル5及び主磁極6AをX軸に沿って積層してなるが、この積層方向はトラック内の記録領域Rの配列方向に沿っており、トラック幅はY軸に平行である。
【0044】
図4は、図3に示した熱アシスト磁気ヘッドのIV−IV矢印断面図である。
【0045】
絶縁層2B上には、発光素子3が接着・固定されており、発光素子3から−Z方向に出射されたエネルギー線がコア4の光入射面4Aを介してコア4の内部に入射し、コア4の光出射面4Bに設けられた近接場光発生素子8に照射される。
【0046】
近接場光発生素子8のY軸方向の隣には、主磁極6Aの先端が隣接している。主磁極6Aは、磁束伝達用の磁性材料層6Cに物理的に連続しており、磁性材料層6Cは、これよりも大きな体積の上部磁性材料層6Dに物理的に連続している。上部磁性材料層6Dは、貫通磁性材料6Eを介して、副磁極を構成する下部磁性材料層6Bに物理的に連続している。貫通磁性材料6Eは、コア4を埋設するクラッドとしての絶縁層1B2内をX軸方向に沿って貫通するスルーホール内に、設けられている。なお、クラッドとしての絶縁層1B2は、コア4の周囲を囲んでいる。
【0047】
上部磁性材料層6D上には、絶縁材料からなるオーバーコート層1B3が設けられている。下部磁性材料層6Bと基板1Aとの間には下部絶縁体層1B1が介在している。下部絶縁体層1B1内には、MR素子7が埋設されている。MR素子7は、上部シールド電極7a、下部シールド電極7c、及び、上部シールド電極7aと下部シールド電極7cとの間に介在するMR素子層7bからなる。MR素子層7bは、フリー層及び固定層をトンネル障壁層を介して積層してなる。本例の絶縁体層1B1,1B2,1B3は、低屈折率のAl2O3からなり、コア4は高屈折率のタンタル酸化物(TaOX)からなる。磁極の材料はNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
【0048】
図5は、熱アシスト磁気ヘッドの電気的接続を示す図である。
【0049】
発光素子3、コイル5、MR素子7の両端は、それぞれ配線部材203に接続されている。配線部材203を介して発光素子3及びコイル5に通電が行われ、MR素子7からの出力は配線部材203を介して読み出される。
【0050】
発光素子3に通電を行うと、エネルギー線LBが、近接場光発生素子8に照射され、これに近接する磁気ディスク10の記録領域Rが加熱される。磁気ディスク10は、図の矢印ARの方向に移動するので、加熱の直後、主磁極6Aの先端が加熱された記録領域R上に位置する。このとき、コイル5に通電すると、磁性材料6E内を通る磁束が、磁性材料6Dを介して主磁極6Aの先端に至り、主磁極6Aの先端から出る磁力線MFが磁気ディスク10を通って、副磁極6B及び貫通磁性材料6Eに帰還する。したがって、磁気ディスク10の記録領域R内に情報が書き込まれる。
【0051】
このように、熱アシスト磁気ヘッドは、第1近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間の領域に、レーザ光などのエネルギー線を照射する発光素子3を更に備えており、エネルギー線LBの照射により近接場光発生部8A,8Bにおいて十分な近接場光を発生させることができる。
【0052】
情報の書き込まれた記録領域RがMR素子7に対向した場合には、記録領域Rからの磁界に感応してMR素子7内のフリー層の磁化の向きが変化し、MR素子7の磁気抵抗が変化する。したがって、記録領域R内に書き込まれた情報を読み出すことができる。
【0053】
図6は、近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【0054】
近接場光素子8は、媒体対向面上で離隔して配置された第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bを備えている。主磁極6Aの先端は、第1の近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間に位置している。主磁極6Aの先端の全てが、第1の近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間に位置してもよい。主磁極6Aの先端のXY平面内における形状は略三角形であり、その底辺から頂点に向かう方向がX軸に一致している。略三角形とは、三角形の角部が丸くなったものや五角形の角部が丸くなった図形である。
【0055】
主磁極6Aの上部に位置する磁気ヨークとしての磁性材料層6Cは、概ね直方体のものが図示されているが、その形状は主磁極6Aよりも体積が大きければ特に限定されない。なお、磁性材料層6Cの媒体対向面(XY平面)からの最短距離は、媒体対向面から主磁極6Aの先端の位置までの距離(略零)よりも大きい。エネルギー線LBとしてのレーザ光は、コア内を通って近接場光発生部8A、8Bの対向部8A1、8B1に照射される。コアの光出射面における光のスポット領域LS内に、対向部8A1、8B1が位置する。対向部8A1、8B1は、XY平面内において尖った形状をしており、これらの先細り部の先細りの方向が共に主磁極6Aの先端へと向いている。
【0056】
なお、エネルギー線LBがレーザ光である場合、そのファーフィールドパターンの短軸径はY軸方向に一致しており、これはTE偏波の向きとなる。また、Auなどの金属体からなる近接場光発生部8A,8Bに光を照射すると、近接場光発生部8A,8Bを構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じる。近接場光のそれぞれの拡がりは、それぞれの対向部(先端部)8A1、8B1の半径程度となるため、それぞれの対向部8A1、8B1の半径をトラック幅以下とし、対向部8A1、8B1の離隔距離をトラック幅以下とすれば、擬似的に出射光が回折限界以下にまで絞り込まれた効果を奏する。なお、説明の便宜上、各要素の寸法は実際のものとは異なって記載されている。
【0057】
なお、コイル5に通電した場合には、磁性材料6E,6D,6C,6A,6Bを順次介する磁気回路が構成され、主磁極6Aの先端から延びる磁力線MFの通り道のXY平面への投影像は、スポット領域LSと重複している。
【0058】
以上、説明したように、上述の熱アシスト磁気ヘッドでは、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bにレーザ光などのエネルギー線LBが照射されると、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極6Aの少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bの間の領域を含むスポット領域LS内に位置しているので、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端と主磁極6Aは極めて近接することになる。すなわち、加熱された磁気記録媒体の記録領域と主磁極6Aとが極めて近接する。したがって、加熱された状態の記録領域の冷却前に主磁極6Aから十分な磁界を与えることができるため、記録領域内の磁性微粒子が小さくても情報の書き込みを行うことができ、高密度の記録が可能となる。
【0059】
なお、主磁極6Aの先端部のZ軸方向の長さZ0(主磁極6AのZ方向の露出した先端から、磁気ヨークを構成する磁性材料層6CまでのZ方向に沿った最短距離:図4参照)は、0μm以上0.5μm以下とすることで、十分な光強度と磁界強度を得ることが出来る。また、近接場光発生部8A,8Bと主磁極6AのY軸方向の離隔距離Y0(図6参照)の最小値は、0.001μm以上0.1μm以下とする。これらは接触しない。これにより、近接場光発生部8A,8Bを効果的に機能させつつ、加熱された媒体領域に効果的に磁界を与える事が出来るようになる。これにより、1Tbits/in2以上の記録密度を実現することが期待できる。
【0060】
次に、上述の熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0061】
図7〜図10は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。なお、斜視図で示される素子の周辺にも他の要素が存在するが、同図中では特徴部の明確化のため、その記載を省略している。
【0062】
図7(A)に示すように、副磁極(補助磁極)6B上に、低屈折率材料からなる絶縁層(クラッド)1B2、低屈折率材料からなるコア層4X、近接場光発生部形成用の金属層8(説明の簡略化のため近接場光発生素子8と同一符号で示す)、研磨停止層50を順次形成する。本例ではコア層4XとしてTaOX、金属層8としてAu、研磨停止層50としてTaを用いることとする。これらの層の形成法としてはスパッタ法を用いることができる。
【0063】
次に、図7(B)に示すように、エッチング液に対する溶解度が異なる2層のレジストRE1,RE2を順次積層し、所望のパターンでこれを露光し、現像処理を行うことで、パターニングされたレジストRE1,RE2を研磨停止層50上に形成する。なお、下方のレジストRE1のエッチング液に対する溶解度は、上方のレジストRE2の溶解度よりも高く、現像時にレジストRE1がレジストRE2よりも多く侵食され、2層のレジストの下部が括れることとなる。このような2層のレジストは剥離が容易という利点がある。
【0064】
レジストRE1,RE2に形成されるパターンは、概略五角形の基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有している。スリットパターンP2は、後述のラッピング後に媒体対向面となる積層体の端面に対して垂直に延びている。レジストRE1,RE2は、ドライエッチング用のマスクとして用いる。
【0065】
次に、図7(C)に示すように、2層のレジストRE1,RE2をマスクとして研磨グ停止層50、金属層8、コア層4Xに反応性イオンエッチング(RIE)を施す。RIEのエッチングガスとしてはCF4を用いることができる。これらの層は、レジストRE1,RE2に形成されたパターンをトレースしながらエッチングされ、それぞれの層が基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有することとなる。
【0066】
このエッチングは、コア層4Xに到達するまで進行し、スリットパターンP2の直下にはV型の溝GRが形成され、溝GRの最深部がコア層4X内に位置することとなる。溝GRの形成によって金属層8の端面の中央部は分断される。
【0067】
次に、レジストRE1,RE2からなるマスクをアセトン等の有機溶剤で剥離する。
【0068】
次に、図8(A)に示すように、CVD(化学的気相成長)法で絶縁層51を溝GRの内面及び研磨停止層50の上に堆積し、続いて、磁極を構成する磁性材料を絶縁層51上に堆積し、その露出表面が研磨停止層50に到達するまで化学機械研磨(CMP)を実行する。なお、研磨停止層50は、磁極を構成する磁性材料及び絶縁層51よりも高硬度の材料からなる。
【0069】
基部パターンP1内及びスリットパターンP2内に絶縁層51が残留し、絶縁層51上に磁性材料が形成されると、スリットパターンP2の直下の溝GR内には主磁極6Aが形成されることとなる。
【0070】
次に、図8(B)に示すように、レジストRE3を研磨停止層50及び主磁極6A上に塗布した後、レジストRE3をパターニングし、レジストRE3がスリットパターンP2を覆うようにこれを研磨停止層50及び主磁極6A上に残留させる。
【0071】
次に、図8(C)に示すように、レジストRE3をマスクとして、周囲の研磨停止層50、金属層8及び磁性材料を、コア層4Xに到達するまでArスパッタによるミリングなどを用いてエッチングすることで、金属層8から近接場光発生部8A,8Bを切り出す。次に、ここでエッチングされた領域上にコア層4Yを堆積し、続いて、有機溶剤を用いてレジストRE3を除去する。なお、完成品においては、図8(C)に示すように、エネルギー線LBがコア層4X,4Y内を通って主磁極6Aの方向へ伝播するが、後述の製造の最終工程では図示の研磨ラインLPまで素子は研磨される。研磨ラインLPは主磁極6AのスリットパターンP2と基部パターンP2との間の境界部位に近くエネルギー線LBの進行方向と垂直、すなわち媒体対向面に平行となるように設定される。
【0072】
次に、図9(A)に示すように、コア層4Y及び研磨停止層50を含む基板露出表面上にレジストRE4を塗布し、スリットパターンP2の基部パターンP1側が開口するようにレジストRE4のパターニングを行い、開口OPを形成する。次に、図9(B)に示すように、レジストRE4をマスクとして、この上に磁性材料を堆積し、レジストRE4を剥離すると、磁気ヨークとなる磁性材料層6Cが主磁極6Aに一部で物理的に接触した状態で形成される。
【0073】
次に、図9(C)に示すように、磁性材料層6C及びコア層4Yを含む基板の露出表面上にコア層4Zを更にスパッタ法で堆積し、コア層4Zの露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。しかる後、導波路を形成するため、光伝播経路から横方向に所定距離離隔した領域のコア層4Z、4Y、4Xを、クラッドとしての絶縁層1B2に到達するまでエッチングする。エッチングしない領域には、レジストパターンを形成しておく。このエッチングには、上述のRIEを用いることができる。
【0074】
しかる後、コア層4Z、4Y、4Xからなるコア4の周囲に、クラッドとなる絶縁層1B4を堆積し、再び、その露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。このようにして平坦化された磁性材料層6C及び絶縁層1B4上に、上部磁性材料層6Dを形成し(図10参照)、しかる後、その上にクラッドとなる絶縁層1B3を堆積する(図4参照)。
【0075】
なお、上部磁性材料層6Dの形成に先立って、絶縁層1B4に副磁極を構成する下部磁性材料層6Bに到達するコンタクトホールを形成し、貫通磁性材料6Eをコンタクトホール内に形成しておき、貫通磁性材料6Eと下部磁性材料層6Bとも物理的に接触させておく。したがって、上部磁性材料層6Dを絶縁層1B4上に堆積すると、貫通磁性材料6Eと上部磁性材料層6Dとが物理的に接触し、下部磁性材料層6B、貫通磁性材料6E及び上部磁性材料層6Dが磁気的に結合する。なお、貫通磁性材料6Eは、螺旋状に巻かれた平面コイル5の渦巻きの中心に配置される。なお、各磁性材料層は、メッキ法によって形成することができる。
【0076】
最後に、媒体対向面を図10の矢印の方向にラッピング(研磨)して、図3に示した磁気ヘッド部1Bがスライダー基板1A上に形成される。図3に示したように、スライダー1に、光源ユニット2を貼り合せると、熱アシスト磁気ヘッドが完成する。
【0077】
図11は、上述の熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0078】
この熱アシスト磁気ヘッドは、第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bが先端面に設けられるコア4と、コア4の周囲に設けられたクラッド(絶縁層1B2,1B4,1B3)とを備え、主磁極6Aはコア4内に最深部が位置する溝GR内に設けられ、溝GRの両側面に隣接して第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bがそれぞれ位置している。
【0079】
コア4内の伝播するエネルギー線は周囲のクラッド(絶縁層1B2,1B4,1B3)によって反射されながらその端面(媒体対向面)まで進行する。この端面には第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bが設けられているので、これらへのエネルギー線の照射に呼応して、近接場光が発生する。従来の構造では、近接場光発生部と主磁極とを近づけることができなかったが、本例では、コア4内に最深部が位置する溝GRが設けられており、その内部に主磁極6Aが設けられているため、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bと主磁極6Aとを近づけることができ、しかも、製造時の溝GRの位置決め機能により、これらの位置決め精度が極めて高くなるという利点がある。なお、絶縁層51はAl2O3からなるが、これはスペーサーとして機能している。
【0080】
以上、説明したように、上述の実施の形態に係る熱アシスト磁気ヘッドの製造方法は、クラッド(絶縁層1B2)上にコア(コア層4X)を形成する工程と、コア(コア層4X)上に金属層8を形成する工程と、金属層8上にスリットパターンP2を有するマスクを形成する工程と、マスクを介して、スリットパターンP2直下のコア(コア層4X)内に到達するまで、金属層8及びコア(コア層4X)をエッチングする工程と、エッチングによって形成された溝GR内に絶縁層51を形成する工程と、溝GR内の絶縁層51上に主磁極6Aとなる磁性材料を形成する工程とを備えている。
【0081】
この際のエッチングによって、金属層8はマスク直下の領域で分断され、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bが形成される。スパッタ法なで形成される絶縁層51の厚みは高精度に制御できるため、溝GR内に位置する主磁極6Aと第1及び第2近接場光発生部8A,8Bの距離は極めて精密に近接させることができ、しかも、これらはエッチングよる溝GRを用いた自己整合によって、精密に位置決めされることとなる。
【0082】
次に、溝GRが上部のクラッドからコア内部にまで延びている例について説明する。
【0083】
図12は、この場合の熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0084】
下部クラッドとなる絶縁層1B2上にはコア層4Xが位置し、コア層4X上には、近接場光発生部8A,8Bが位置しており、その上にはコア層4X2が位置し、コア層4X2上には上部クラッドとなる絶縁層52が位置している。絶縁層52上には研磨停止層50が形成されている。
【0085】
また、コア4を構成するコア層4X,4X2の両側にはコアとなる別の絶縁層40Yが位置しており、絶縁層40Yの上にはクラッド41Yが位置している。すなわち、絶縁層41Y,1B4、1B2から構成されるクラッド内に、コア層4X、40Y、4X2からなるコア4が位置しており、エネルギー線はコア4内を伝播し、近接場光発生部8A,8Bの少なくとも対向部8A1,8B1に照射される。エネルギー線は、近接場光発生部8A,8Bの全体に照射されてもよい。コア材料はTaOX、クラッド材料はAl2O3からなる。
【0086】
次に、図12に示した熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0087】
図13〜図16は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。なお、斜視図で示される素子の周辺にも他の要素が存在するが、同図中では特徴部の明確化のため、その記載を省略している。
【0088】
まず、図13(A)に示すように、副磁極(補助磁極)6B上に、低屈折率材料からなる絶縁層(クラッド)1B2、低屈折率材料からなるコア層4X、近接場光発生部形成用の金属層8(説明の簡略化のため近接場光発生素子8と同一符号で示す)、コア層4X2、クラッドとなる絶縁層52、研磨停止層50を順次形成する。本例ではコア層4X、4X2としてTaOX、金属層8としてAu、研磨停止層50としてTaを用いることとする。これらの層の形成法としてはスパッタ法を用いることができる。
【0089】
次に、図13(B)に示すように、エッチング液に対する溶解度が異なる2層のレジストRE1,RE2を順次積層し、所望のパターンでこれを露光し、現像処理を行うことで、パターニングされたレジストRE1,RE2を研磨停止層50上に形成する。これらのレジスト材料の特性、レジストRE1,RE2に形成されるパターンは、上述のものと同一である。
【0090】
次に、図13(C)に示すように、2層のレジストRE1,RE2をマスクとして研磨グ停止層50、絶縁層52、コア層4X2、金属層8、コア層4Xに反応性イオンエッチング(RIE)を施す。RIEのエッチングガスの材料としてはCF4を用いることができる。これらの層は、レジストRE1,RE2に形成されたパターンをトレースしながらエッチングされ、それぞれの層が基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有することとなる。
【0091】
このエッチングは、コア層4Xに到達するまで進行し、スリットパターンP2の直下にはV型の溝GRが形成され、溝GRの最深部がコア層4X内に位置することとなる。溝GRの形成によって金属層8の端面の中央部は分断される。
【0092】
次に、レジストRE1,RE2からなるマスクをアセトン等の有機溶剤で剥離する。
【0093】
次に、図14(A)に示すように、CVD法で絶縁層51を溝GRの内面及び研磨停止層50の上に堆積し、続いて、磁極を構成する磁性材料を絶縁層51上に堆積し、その露出表面が研磨停止層50に到達するまで化学機械研磨(CMP)を実行する。なお、研磨停止層50は、磁極を構成する磁性材料及び絶縁層51よりも高硬度の材料からなる。
【0094】
基部パターンP1内及びスリットパターンP2内に絶縁層51が残留し、絶縁層51上に磁性材料が形成されると、スリットパターンP2の直下の溝GR内には主磁極6Aが形成されることとなる。
【0095】
次に、図14(B)に示すように、レジストRE3を研磨停止層50及び主磁極6A上に塗布した後、レジストRE3をパターニングし、レジストRE3がスリットパターンP2を覆うようにこれを研磨停止層50及び主磁極6A上に残留させる。
【0096】
次に、図14(C)に示すように、レジストRE3をマスクとして、周囲の研磨停止層50、クラッドとなる絶縁層52、コア層4X2、金属層8、磁性材料及びコア層4Xを、絶縁層1B2に到達するまでArスパッタによるミリングなどを用いてエッチングすることで、金属層8から近接場光発生部8A,8Bを切り出す。次に、ここでエッチングされた領域上にコア層40Y、絶縁層41Yを順次堆積し、続いて、有機溶剤を用いてレジストRE3を除去する。なお、完成品においては、図14(C)に示すように、エネルギー線LBがコア層4X,4X2,40Y内を通って主磁極6Aの方向へ伝播するが、後述の製造の最終工程では図示の研磨ラインLPまで素子は研磨される。研磨ラインLPは上述の如く設定される。
【0097】
次に、図15(A)に示すように、クラッドとなる絶縁層41Y及び研磨停止層50を含む基板露出表面上にレジストRE4を塗布し、スリットパターンP2の基部パターンP1側が開口するようにレジストRE4のパターニングを行い、開口OPを形成する。次に、図15(B)に示すように、レジストRE4をマスクとして、この上に磁性材料を堆積し、レジストRE4を剥離すると、磁気ヨークとなる磁性材料層6Cが主磁極6Aに一部で物理的に接触した状態で形成される。
【0098】
次に、図15(C)に示すように、磁性材料層6C及び絶縁層41Yを含む基板の露出表面上にコア層4Zを更にスパッタ法で堆積し、コア層4Zの露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。しかる後、導波路を形成するため、光伝播経路から横方向に所定距離離隔した領域のコア層4Z、絶縁層41Y、コア層40Yを、クラッドとしての絶縁層1B2に到達するまでエッチングする。エッチングしない領域には、レジストパターンを形成しておく。このエッチングには、上述のRIEを用いることができる。
【0099】
しかる後、コア層4Z、4X2、コア層40Yを含むコア4の周囲に、クラッドとなる絶縁層1B4を堆積し、再び、その露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。このようにして平坦化された磁性材料層6C及び絶縁層1B4上に、上部磁性材料層6Dを形成し(図16参照)、しかる後、その上にクラッドとなる絶縁層1B3を堆積する(図4参照)。
【0100】
なお、図16に示す貫通磁性材料6Eの製造方法は上述のものと同一である。なお、各磁性材料層は、メッキ法によって形成することができる。
【0101】
最後に、媒体対向面を図16の矢印の方向にラッピング(研磨)して、図3に示した磁気ヘッド部1Bがスライダー基板1A上に形成される。図3に示したように、スライダー1に、光源ユニット2を貼り合せると、熱アシスト磁気ヘッドが完成する。
【0102】
図17は、変形例に係る熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0103】
上述の近接場光発生部8A,8Bの平面形状は四角形であったが、これは同図に示すように、三角形であってもよい。この場合、近接場光発生部8A,8Bとコア層40Yとの間に適当なコア層4X3を介在させることができる。なお、上述のコア4は、屈折率の異なる複数の誘電体層からなることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【図2】HGA17の斜視図である。
【図3】図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【図4】図3に示した熱アシスト磁気ヘッドのIV−IV矢印断面図である。
【図5】熱アシスト磁気ヘッドの電気的接続を示す図である。
【図6】近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【図7】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図8】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図9】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図10】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図11】熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【図12】熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【図13】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図14】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図15】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図16】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図17】変形例に係る熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【符号の説明】
【0105】
8A,8B・・・近接場光発生部、6A・・・主磁極、4・・・コア、5・・・コイル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気抵抗(MR)効果素子等の磁気検出素子と電磁コイル素子等の磁気記録素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクにデータ信号が読み書きされる。
【0003】
一般に、磁気記録媒体は、いわば磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
【0004】
磁化の熱安定性の目安は、KUV/kBTで与えられる。ここで、KUは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKUV/kBTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この問題への対策として、同時にKUを大きくすることが考えられるが、このKUの増加は、記録媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保磁力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
【0005】
このような磁化の熱安定性の問題を解決する方法として、KUの大きな磁性材料を用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって、保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この方式は、磁気ドミネント記録方式と光ドミネント記録方式とに大別される。磁気ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は電磁コイル素子であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)に比べて大きくなっている。一方、光ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は光放射部であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)とほぼ同じとなっている。すなわち、磁気ドミネント記録方式は、空間分解能を磁界に持たせているのに対し、光ドミネント記録方式は、空間分解能を光に持たせている。
【0006】
下記特許文献1は、固体イマージョンレンズを用いた磁気ヘッドを利用し、光磁気ディスクに超微細な光ビームスポットで超微細な磁区信号を記録する技術を開示している。下記非特許文献1には、水晶のスライダー上に形成されたU字型の近接場プローブを用いてエバネッセント光と磁界を発生させ、70nm程度の記録パターンを形成する技術が開示されている。
【0007】
特許文献2〜4には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生部を配置し、これに対して媒体側とは反対の側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。近接場光発生部の一端には尖った先端部が形成されており、近接場光は主としてこの先端部から放射される。
【0008】
特許文献5には、近接場プローブを構成する散乱体を、記録媒体に垂直となるように、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極に接して形成する技術が開示されている。この従来技術では、近接場光の発生素子と、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極との距離が線記録方向に離れている。それと同時に、主磁極が近接場光発生素子よりも基板側に位置した構造となっている(光照射部は磁極のトレーリング側に位置している)。この場合には、従来までのハードディスクドライブにおけるディスク回転方向を採用した場合、媒体を加熱した後に、加熱部がディスク上を約1回転した後に磁界が印加される事になる。これは、媒体の冷却効率を相当に悪くしないと実現しない使い方であり、書き込み速度を勘案すると非現実的な構造である。なお、特許文献5の構造では印加できる磁界の大きさは十分ではなく、特に、非特許文献2にあるような2段階の保磁力の温度特性を有するような記録媒体には、このヘッドを適用することは困難である。
【0009】
特許文献6には、記録磁極のトレーリング側終端近傍に光照射部が設けられている。この技術では、記録磁界勾配等を改良することで加熱部に磁界が印加可能となるが、その設計マージンは決して大きくなく実現は容易ではない。
【0010】
近接場光発生素子が主磁極よりも基板側に位置している場合、媒体が加熱された後に磁極からの記録磁界が与えられるので好ましいが、2つの素子があまりに距離を隔てていると、加熱の効果が消失してしまう。また、近接場光発生素子が主磁極よりも基板側に位置した構造とする為には、光の通り道、すなわち光導波路も垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの下側(基板側)に設ける必要がある。このような構造は、例えば、下記特許文献7に示されている。
【0011】
特許文献8には、垂直磁気記録用単磁極書き込みヘッドの主磁極の中に光導波路を埋め込むという技術が開示されているが、記録密度が1Tbits/in2で20nm以下となる磁極幅の中にそのような光素子を形成するというのは非常に困難であり、光利用効率という点からも好ましくない。
【特許文献1】特開平10−162444号公報
【特許文献2】特開2001−255254号公報
【特許文献3】特開2003−114184号公報
【特許文献4】特開2006−185548号公報
【特許文献5】特開2004−158067号公報
【特許文献6】特開2005−4901号公報
【特許文献7】特開2005−190655号公報
【特許文献8】特開2006−18554号公報
【非特許文献1】Miyanishi,S.et al.「Near−field assisted magnetic recording」、IEEE Transactions on Magnetics、2005、Vol.41、pp.2817−2821
【非特許文献2】Jan−Ulrich Thiele et al.「Magnetic and structural properties of FePt/FeRh exchange spring films for thermally assisted magnetic recording media」、IEEE Transactions on Magnetics、2004、Vol.40、No.4、pp.2537−2542
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、複数の技術が知られているものの、現実的に高密度記録を行うことが可能な熱アシスト磁気ヘッドは得られていない。そこで、近接場光発生部(プラズモン・プローブ)にレーザ光を照射する構造について考えると、レーザ光が伝播する光導波路のコアの先端面に、近接場光発光部を設けることが好ましいと考えられる。光導波路は、屈折率の高い領域(コア)をそれより屈折率の低い領域(クラッド)で包む事により形成されている。ここで、それぞれの領域の厚みは、光導波路としての機能を持たせる為には、使用する光の波長と同程度かそれ以上に設計する必要がある。
【0013】
したがって、高密度光記録に使用されている例えば青色レーザを光源として用いる場合には、コアおよびクラッドの厚みは400nm程度かそれ以上とする事が要求され、この場合には、近接場光発生部と主磁極とが大きく離隔することとなり、加熱された媒体領域に効果的に磁界を与えることが出来ないという問題が生じる。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッド、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決するため、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、媒体対向面上で離隔して配置された第1及び第2の近接場光発生部と、第1及び第2の近接場光発生部の間に少なくとも一部分が位置する主磁極とを備えることを特徴とする。
【0016】
この熱アシスト磁気ヘッドでは、第1及び第2の近接場光発生部にレーザ光などのエネルギー線が照射されると、双方の近接場光発生部の先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極の少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部の間の領域に位置しているので、双方の近接場光発生部の先端と主磁極は極めて近接することになる。すなわち、加熱された磁気記録媒体の記録領域と主磁極とが極めて近接する。したがって、加熱された状態の記録領域の冷却前に主磁極から十分な磁界を与えることができるため、記録領域内の磁性微粒子が小さくても情報の書き込みを行うことができ、高密度の記録が可能となる。
【0017】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、第1近接場光発生部と第2の近接場光発生部との間の領域に、レーザ光などのエネルギー線を照射する発光素子を更に備えることを特徴とする。すなわち、エネルギー線の照射により近接場光発生部において十分な近接場光を発生させることができる。
【0018】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、第1及び第2の近接場光発生部が先端面に設けられるコアと、コアの周囲に設けられたクラッドとを備え、主磁極は、コア内に最深部が位置する溝内に設けられ、溝の両側面に隣接して第1及び第2の近接場光発生部がそれぞれ位置することを特徴とする。
【0019】
コア内の伝播するエネルギー線は周囲のクラッドによって反射されながらその端面まで進行する。端面には第1及び第2の近接場光発生部が設けられているので、これらへのエネルギー線の照射に呼応して、近接場光が発生する。従来の構造では、近接場光発生部と主磁極とを近づけることができなかったが、本発明では、コア内に最深部が位置する溝が設けられており、その内部に主磁極が設けられているため、第1及び第2の近接場光発生部と主磁極とを近づけることができ、しかも、製造時の溝の位置決め機能により、これらの位置決め精度が極めて高くなるという利点がある。
【0020】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、主磁極内に磁束を通すための情報書き込み用コイルを更に備えることを特徴とする。情報書き込み用コイルの位置は特に限定されない。すなわち、コイルに通電すると、内部に磁束が発生するが、これが適当なコア材としての磁性材料内部を通って、主磁極の先端から外部に流れるようにすればよい。コイルに流れる電流の量と向きを制御することで、所望の情報を磁気記録媒体に書き込むことができる。
【0021】
上述の如く精密な位置決めを行いつつ、主磁極と近接場光発生部を近づけることができる製造方法は、本願発明者らによって初めて見出された。
【0022】
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドの製造方法は、クラッド上にコアを形成する工程と、コア上に金属層を形成する工程と、金属層上にスリットパターンを有するマスクを形成する工程と、マスクを介して、スリットパターン直下のコア内に到達するまで、金属層及びコアをエッチングする工程と、エッチングによって形成された溝内に絶縁層を形成する工程と、溝内の絶縁層上に主磁極となる磁性材料を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0023】
このエッチングによって、金属層はマスク直下の領域で分断され、第1及び第2の近接場光発生部が形成される。絶縁層の厚みは高精度に制御できるため、溝内に位置する主磁極と第1及び第2近接場光発生部の距離は極めて精密に近接させることができ、しかも、これらはエッチングよる溝を用いた自己整合によって、精密に位置決めされることとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドによれば高密度記録が可能であり、その製造方法は高密度記録が可能な熱アシスト磁気ヘッドを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、実施の形態に係る近接場光発生素子、熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【0027】
ハードディスク装置100は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備えている。
【0028】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0029】
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
【0030】
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0031】
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0032】
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【0033】
サスペンション20の先端部に熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられている。熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダー1と光源ユニット2とを貼りあわせてなる。スライダー1は、スライダー基板1AのYZ平面上に形成された磁気ヘッド部1Bを備えている。磁気ヘッド部1Bの−Z方向のXY平面は媒体対向面Sを成している。一方、光源ユニット2は、光源支持基板2AのYZ平面上に絶縁層2Bを備えており、絶縁層2BのYZ平面上に発光素子3が固定されている。
【0034】
磁気ヘッド部1Bは、絶縁体内に埋設された複数の素子を備えている。これらの素子は、電流の供給によって磁界を発生する螺旋状のコイル5と、情報書き込み用のコイル5において発生した磁束を媒体対向面Sまで導くようにコイル中心から延びた主磁極6Aと、媒体対向面S上に露出した磁気感応面を有する磁気抵抗効果素子(MR素子)7と、周囲の絶縁体をクラッドとしてZ軸方向に沿って延びる導波路のコア4である。
【0035】
コア4は屈折率の異なる複数の誘電体層を積層して形成することもでき、この場合、単位厚み当りの平均屈折率が高い方へ、内部を伝播する光が屈折する。なお、コアは全体の平均屈折率がクラッドよりも高屈折率の誘電体層からなり、クラッドはコア全体よりも低屈折率の誘電体層からなる。コアが多層の誘電体層からなる場合、複数の誘電体層の厚みと屈折率は、内部を伝播する光が近接場光発生部に近づくように設定される。すなわち、近接場光発生部に近づくほどコア4内の単位厚み当りの平均屈折率が高くなる。
【0036】
なお、主磁極6Aは媒体対向面S上に露出しているが、主磁極6Aは磁気ディスク10の表面にある記録領域Rに磁界を与えることができる位置であれば、媒体対向面S上に露出している必要はない。また、主磁極6Aの近傍には必要に応じて副磁極が設けられ、主磁極6Aからの磁力線(磁束)MFが記録領域Rを介して副磁極に流れるようにしてもよい(図5参照)。
【0037】
コア4は、発光素子3からの光が入射する光入射面4AをZ軸の正方向のXY平面上に有しており、負方向のXY平面、すなわち媒体対向面S上に光出射面4Bを備えている。発光素子3は、本例では端面発光型のレーザダイオードであり、XY平面に平行な端面から出射されたレーザ光は、光入射面4Aを介してコア4内に入り、光出射面4B上に形成された近接場光発生素子8(近接場光発生部8A,8B)に照射される。なお、一対の近接場光発生部8A,8Bは、Y軸に沿って離隔している(図6参照)。
【0038】
近接場光発生素子8は、入射光に共鳴して近接場光を発生し、この近接場光によって記録領域Rが加熱される。加熱された記録領域Rに主磁極6Aの先端からの磁力線が入ると、記録領域Rに情報が書き込まれる。
【0039】
磁気ヘッド部1BのX軸の負方向のYZ平面上には、複数の電極パッドからなる電極パッド群G1が形成されている。それぞれの電極パッドは、コイル5の両端、MR素子7の上下の電極に接続されている。MR素子7は、磁化の向きが固定された固定層と、周辺の磁界に応じて磁化の向きが偏向するフリー層を積層してなり、フリー層と固定層の磁化の向きの相違に応じて、磁気抵抗が変化する。すなわち、記録領域Rの周囲に発生する磁界に感応して、MR素子7の磁気抵抗が変化し、電極パッド群G1の中の一対の電極パッド間を流れる電流が変化する。なお、フリー層のY軸方向両端にはハードマグネットが配置されている。
【0040】
書き込み時には、電極パッド群G1の中の別の一対の電極パッド間に電流を流し、コイル5の両端間を電流が流れるようにする。なお、磁気記録素子は垂直磁気記録型のものが好ましい。電極パッド群G1内の電極パッドは、サスペンション20上に形成された第2の電極パッド群G2に電気的に接続され、配線部材203を介して外部に接続されている。なお、配線部材203に接続される第2の電極パッド群G2には、発光素子3に駆動電流を供給するための一対の電極パッドも含まれており、この電極パッド間に駆動電流を流すことで、発光素子3は発光し、エネルギー線としてのレーザ光が出射される。
【0041】
なお、コア4の形状としては様々ものが挙げられるが、本例ではZ軸に沿って直線的に延びている。なお、説明の明確化のため、コア4は発光素子3からの光LB(図4参照)の光路と同一符号で示している。
【0042】
スライダー基板1A及び光源支持基板2Aは、例えばアルティック(Al2O3−TiC)から構成されている。これらの基板1A,2Aに熱伝導性が高い基板を使用した場合には、基板が放熱機能を有することになる。光源支持基板2AのZ軸の正方向側のXY面は、サスペンション20の裏面に貼り付けられている。
【0043】
磁気ヘッド部1BはMR素子7、クラッド、コア4、コイル5及び主磁極6AをX軸に沿って積層してなるが、この積層方向はトラック内の記録領域Rの配列方向に沿っており、トラック幅はY軸に平行である。
【0044】
図4は、図3に示した熱アシスト磁気ヘッドのIV−IV矢印断面図である。
【0045】
絶縁層2B上には、発光素子3が接着・固定されており、発光素子3から−Z方向に出射されたエネルギー線がコア4の光入射面4Aを介してコア4の内部に入射し、コア4の光出射面4Bに設けられた近接場光発生素子8に照射される。
【0046】
近接場光発生素子8のY軸方向の隣には、主磁極6Aの先端が隣接している。主磁極6Aは、磁束伝達用の磁性材料層6Cに物理的に連続しており、磁性材料層6Cは、これよりも大きな体積の上部磁性材料層6Dに物理的に連続している。上部磁性材料層6Dは、貫通磁性材料6Eを介して、副磁極を構成する下部磁性材料層6Bに物理的に連続している。貫通磁性材料6Eは、コア4を埋設するクラッドとしての絶縁層1B2内をX軸方向に沿って貫通するスルーホール内に、設けられている。なお、クラッドとしての絶縁層1B2は、コア4の周囲を囲んでいる。
【0047】
上部磁性材料層6D上には、絶縁材料からなるオーバーコート層1B3が設けられている。下部磁性材料層6Bと基板1Aとの間には下部絶縁体層1B1が介在している。下部絶縁体層1B1内には、MR素子7が埋設されている。MR素子7は、上部シールド電極7a、下部シールド電極7c、及び、上部シールド電極7aと下部シールド電極7cとの間に介在するMR素子層7bからなる。MR素子層7bは、フリー層及び固定層をトンネル障壁層を介して積層してなる。本例の絶縁体層1B1,1B2,1B3は、低屈折率のAl2O3からなり、コア4は高屈折率のタンタル酸化物(TaOX)からなる。磁極の材料はNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から構成されている。
【0048】
図5は、熱アシスト磁気ヘッドの電気的接続を示す図である。
【0049】
発光素子3、コイル5、MR素子7の両端は、それぞれ配線部材203に接続されている。配線部材203を介して発光素子3及びコイル5に通電が行われ、MR素子7からの出力は配線部材203を介して読み出される。
【0050】
発光素子3に通電を行うと、エネルギー線LBが、近接場光発生素子8に照射され、これに近接する磁気ディスク10の記録領域Rが加熱される。磁気ディスク10は、図の矢印ARの方向に移動するので、加熱の直後、主磁極6Aの先端が加熱された記録領域R上に位置する。このとき、コイル5に通電すると、磁性材料6E内を通る磁束が、磁性材料6Dを介して主磁極6Aの先端に至り、主磁極6Aの先端から出る磁力線MFが磁気ディスク10を通って、副磁極6B及び貫通磁性材料6Eに帰還する。したがって、磁気ディスク10の記録領域R内に情報が書き込まれる。
【0051】
このように、熱アシスト磁気ヘッドは、第1近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間の領域に、レーザ光などのエネルギー線を照射する発光素子3を更に備えており、エネルギー線LBの照射により近接場光発生部8A,8Bにおいて十分な近接場光を発生させることができる。
【0052】
情報の書き込まれた記録領域RがMR素子7に対向した場合には、記録領域Rからの磁界に感応してMR素子7内のフリー層の磁化の向きが変化し、MR素子7の磁気抵抗が変化する。したがって、記録領域R内に書き込まれた情報を読み出すことができる。
【0053】
図6は、近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【0054】
近接場光素子8は、媒体対向面上で離隔して配置された第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bを備えている。主磁極6Aの先端は、第1の近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間に位置している。主磁極6Aの先端の全てが、第1の近接場光発生部8Aと第2の近接場光発生部8Bとの間に位置してもよい。主磁極6Aの先端のXY平面内における形状は略三角形であり、その底辺から頂点に向かう方向がX軸に一致している。略三角形とは、三角形の角部が丸くなったものや五角形の角部が丸くなった図形である。
【0055】
主磁極6Aの上部に位置する磁気ヨークとしての磁性材料層6Cは、概ね直方体のものが図示されているが、その形状は主磁極6Aよりも体積が大きければ特に限定されない。なお、磁性材料層6Cの媒体対向面(XY平面)からの最短距離は、媒体対向面から主磁極6Aの先端の位置までの距離(略零)よりも大きい。エネルギー線LBとしてのレーザ光は、コア内を通って近接場光発生部8A、8Bの対向部8A1、8B1に照射される。コアの光出射面における光のスポット領域LS内に、対向部8A1、8B1が位置する。対向部8A1、8B1は、XY平面内において尖った形状をしており、これらの先細り部の先細りの方向が共に主磁極6Aの先端へと向いている。
【0056】
なお、エネルギー線LBがレーザ光である場合、そのファーフィールドパターンの短軸径はY軸方向に一致しており、これはTE偏波の向きとなる。また、Auなどの金属体からなる近接場光発生部8A,8Bに光を照射すると、近接場光発生部8A,8Bを構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じる。近接場光のそれぞれの拡がりは、それぞれの対向部(先端部)8A1、8B1の半径程度となるため、それぞれの対向部8A1、8B1の半径をトラック幅以下とし、対向部8A1、8B1の離隔距離をトラック幅以下とすれば、擬似的に出射光が回折限界以下にまで絞り込まれた効果を奏する。なお、説明の便宜上、各要素の寸法は実際のものとは異なって記載されている。
【0057】
なお、コイル5に通電した場合には、磁性材料6E,6D,6C,6A,6Bを順次介する磁気回路が構成され、主磁極6Aの先端から延びる磁力線MFの通り道のXY平面への投影像は、スポット領域LSと重複している。
【0058】
以上、説明したように、上述の熱アシスト磁気ヘッドでは、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bにレーザ光などのエネルギー線LBが照射されると、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端で近接場光が発生する。発生した近接場光によって、媒体対向面に対向する磁気記録媒体が加熱され、磁気記録媒体の保持力が低下する。主磁極6Aの少なくとも一部が第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bの間の領域を含むスポット領域LS内に位置しているので、双方の近接場光発生部8A,8Bの先端と主磁極6Aは極めて近接することになる。すなわち、加熱された磁気記録媒体の記録領域と主磁極6Aとが極めて近接する。したがって、加熱された状態の記録領域の冷却前に主磁極6Aから十分な磁界を与えることができるため、記録領域内の磁性微粒子が小さくても情報の書き込みを行うことができ、高密度の記録が可能となる。
【0059】
なお、主磁極6Aの先端部のZ軸方向の長さZ0(主磁極6AのZ方向の露出した先端から、磁気ヨークを構成する磁性材料層6CまでのZ方向に沿った最短距離:図4参照)は、0μm以上0.5μm以下とすることで、十分な光強度と磁界強度を得ることが出来る。また、近接場光発生部8A,8Bと主磁極6AのY軸方向の離隔距離Y0(図6参照)の最小値は、0.001μm以上0.1μm以下とする。これらは接触しない。これにより、近接場光発生部8A,8Bを効果的に機能させつつ、加熱された媒体領域に効果的に磁界を与える事が出来るようになる。これにより、1Tbits/in2以上の記録密度を実現することが期待できる。
【0060】
次に、上述の熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0061】
図7〜図10は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。なお、斜視図で示される素子の周辺にも他の要素が存在するが、同図中では特徴部の明確化のため、その記載を省略している。
【0062】
図7(A)に示すように、副磁極(補助磁極)6B上に、低屈折率材料からなる絶縁層(クラッド)1B2、低屈折率材料からなるコア層4X、近接場光発生部形成用の金属層8(説明の簡略化のため近接場光発生素子8と同一符号で示す)、研磨停止層50を順次形成する。本例ではコア層4XとしてTaOX、金属層8としてAu、研磨停止層50としてTaを用いることとする。これらの層の形成法としてはスパッタ法を用いることができる。
【0063】
次に、図7(B)に示すように、エッチング液に対する溶解度が異なる2層のレジストRE1,RE2を順次積層し、所望のパターンでこれを露光し、現像処理を行うことで、パターニングされたレジストRE1,RE2を研磨停止層50上に形成する。なお、下方のレジストRE1のエッチング液に対する溶解度は、上方のレジストRE2の溶解度よりも高く、現像時にレジストRE1がレジストRE2よりも多く侵食され、2層のレジストの下部が括れることとなる。このような2層のレジストは剥離が容易という利点がある。
【0064】
レジストRE1,RE2に形成されるパターンは、概略五角形の基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有している。スリットパターンP2は、後述のラッピング後に媒体対向面となる積層体の端面に対して垂直に延びている。レジストRE1,RE2は、ドライエッチング用のマスクとして用いる。
【0065】
次に、図7(C)に示すように、2層のレジストRE1,RE2をマスクとして研磨グ停止層50、金属層8、コア層4Xに反応性イオンエッチング(RIE)を施す。RIEのエッチングガスとしてはCF4を用いることができる。これらの層は、レジストRE1,RE2に形成されたパターンをトレースしながらエッチングされ、それぞれの層が基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有することとなる。
【0066】
このエッチングは、コア層4Xに到達するまで進行し、スリットパターンP2の直下にはV型の溝GRが形成され、溝GRの最深部がコア層4X内に位置することとなる。溝GRの形成によって金属層8の端面の中央部は分断される。
【0067】
次に、レジストRE1,RE2からなるマスクをアセトン等の有機溶剤で剥離する。
【0068】
次に、図8(A)に示すように、CVD(化学的気相成長)法で絶縁層51を溝GRの内面及び研磨停止層50の上に堆積し、続いて、磁極を構成する磁性材料を絶縁層51上に堆積し、その露出表面が研磨停止層50に到達するまで化学機械研磨(CMP)を実行する。なお、研磨停止層50は、磁極を構成する磁性材料及び絶縁層51よりも高硬度の材料からなる。
【0069】
基部パターンP1内及びスリットパターンP2内に絶縁層51が残留し、絶縁層51上に磁性材料が形成されると、スリットパターンP2の直下の溝GR内には主磁極6Aが形成されることとなる。
【0070】
次に、図8(B)に示すように、レジストRE3を研磨停止層50及び主磁極6A上に塗布した後、レジストRE3をパターニングし、レジストRE3がスリットパターンP2を覆うようにこれを研磨停止層50及び主磁極6A上に残留させる。
【0071】
次に、図8(C)に示すように、レジストRE3をマスクとして、周囲の研磨停止層50、金属層8及び磁性材料を、コア層4Xに到達するまでArスパッタによるミリングなどを用いてエッチングすることで、金属層8から近接場光発生部8A,8Bを切り出す。次に、ここでエッチングされた領域上にコア層4Yを堆積し、続いて、有機溶剤を用いてレジストRE3を除去する。なお、完成品においては、図8(C)に示すように、エネルギー線LBがコア層4X,4Y内を通って主磁極6Aの方向へ伝播するが、後述の製造の最終工程では図示の研磨ラインLPまで素子は研磨される。研磨ラインLPは主磁極6AのスリットパターンP2と基部パターンP2との間の境界部位に近くエネルギー線LBの進行方向と垂直、すなわち媒体対向面に平行となるように設定される。
【0072】
次に、図9(A)に示すように、コア層4Y及び研磨停止層50を含む基板露出表面上にレジストRE4を塗布し、スリットパターンP2の基部パターンP1側が開口するようにレジストRE4のパターニングを行い、開口OPを形成する。次に、図9(B)に示すように、レジストRE4をマスクとして、この上に磁性材料を堆積し、レジストRE4を剥離すると、磁気ヨークとなる磁性材料層6Cが主磁極6Aに一部で物理的に接触した状態で形成される。
【0073】
次に、図9(C)に示すように、磁性材料層6C及びコア層4Yを含む基板の露出表面上にコア層4Zを更にスパッタ法で堆積し、コア層4Zの露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。しかる後、導波路を形成するため、光伝播経路から横方向に所定距離離隔した領域のコア層4Z、4Y、4Xを、クラッドとしての絶縁層1B2に到達するまでエッチングする。エッチングしない領域には、レジストパターンを形成しておく。このエッチングには、上述のRIEを用いることができる。
【0074】
しかる後、コア層4Z、4Y、4Xからなるコア4の周囲に、クラッドとなる絶縁層1B4を堆積し、再び、その露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。このようにして平坦化された磁性材料層6C及び絶縁層1B4上に、上部磁性材料層6Dを形成し(図10参照)、しかる後、その上にクラッドとなる絶縁層1B3を堆積する(図4参照)。
【0075】
なお、上部磁性材料層6Dの形成に先立って、絶縁層1B4に副磁極を構成する下部磁性材料層6Bに到達するコンタクトホールを形成し、貫通磁性材料6Eをコンタクトホール内に形成しておき、貫通磁性材料6Eと下部磁性材料層6Bとも物理的に接触させておく。したがって、上部磁性材料層6Dを絶縁層1B4上に堆積すると、貫通磁性材料6Eと上部磁性材料層6Dとが物理的に接触し、下部磁性材料層6B、貫通磁性材料6E及び上部磁性材料層6Dが磁気的に結合する。なお、貫通磁性材料6Eは、螺旋状に巻かれた平面コイル5の渦巻きの中心に配置される。なお、各磁性材料層は、メッキ法によって形成することができる。
【0076】
最後に、媒体対向面を図10の矢印の方向にラッピング(研磨)して、図3に示した磁気ヘッド部1Bがスライダー基板1A上に形成される。図3に示したように、スライダー1に、光源ユニット2を貼り合せると、熱アシスト磁気ヘッドが完成する。
【0077】
図11は、上述の熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0078】
この熱アシスト磁気ヘッドは、第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bが先端面に設けられるコア4と、コア4の周囲に設けられたクラッド(絶縁層1B2,1B4,1B3)とを備え、主磁極6Aはコア4内に最深部が位置する溝GR内に設けられ、溝GRの両側面に隣接して第1の近接場光発生部8A及び第2の近接場光発生部8Bがそれぞれ位置している。
【0079】
コア4内の伝播するエネルギー線は周囲のクラッド(絶縁層1B2,1B4,1B3)によって反射されながらその端面(媒体対向面)まで進行する。この端面には第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bが設けられているので、これらへのエネルギー線の照射に呼応して、近接場光が発生する。従来の構造では、近接場光発生部と主磁極とを近づけることができなかったが、本例では、コア4内に最深部が位置する溝GRが設けられており、その内部に主磁極6Aが設けられているため、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bと主磁極6Aとを近づけることができ、しかも、製造時の溝GRの位置決め機能により、これらの位置決め精度が極めて高くなるという利点がある。なお、絶縁層51はAl2O3からなるが、これはスペーサーとして機能している。
【0080】
以上、説明したように、上述の実施の形態に係る熱アシスト磁気ヘッドの製造方法は、クラッド(絶縁層1B2)上にコア(コア層4X)を形成する工程と、コア(コア層4X)上に金属層8を形成する工程と、金属層8上にスリットパターンP2を有するマスクを形成する工程と、マスクを介して、スリットパターンP2直下のコア(コア層4X)内に到達するまで、金属層8及びコア(コア層4X)をエッチングする工程と、エッチングによって形成された溝GR内に絶縁層51を形成する工程と、溝GR内の絶縁層51上に主磁極6Aとなる磁性材料を形成する工程とを備えている。
【0081】
この際のエッチングによって、金属層8はマスク直下の領域で分断され、第1及び第2の近接場光発生部8A,8Bが形成される。スパッタ法なで形成される絶縁層51の厚みは高精度に制御できるため、溝GR内に位置する主磁極6Aと第1及び第2近接場光発生部8A,8Bの距離は極めて精密に近接させることができ、しかも、これらはエッチングよる溝GRを用いた自己整合によって、精密に位置決めされることとなる。
【0082】
次に、溝GRが上部のクラッドからコア内部にまで延びている例について説明する。
【0083】
図12は、この場合の熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0084】
下部クラッドとなる絶縁層1B2上にはコア層4Xが位置し、コア層4X上には、近接場光発生部8A,8Bが位置しており、その上にはコア層4X2が位置し、コア層4X2上には上部クラッドとなる絶縁層52が位置している。絶縁層52上には研磨停止層50が形成されている。
【0085】
また、コア4を構成するコア層4X,4X2の両側にはコアとなる別の絶縁層40Yが位置しており、絶縁層40Yの上にはクラッド41Yが位置している。すなわち、絶縁層41Y,1B4、1B2から構成されるクラッド内に、コア層4X、40Y、4X2からなるコア4が位置しており、エネルギー線はコア4内を伝播し、近接場光発生部8A,8Bの少なくとも対向部8A1,8B1に照射される。エネルギー線は、近接場光発生部8A,8Bの全体に照射されてもよい。コア材料はTaOX、クラッド材料はAl2O3からなる。
【0086】
次に、図12に示した熱アシスト磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0087】
図13〜図16は、熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。なお、斜視図で示される素子の周辺にも他の要素が存在するが、同図中では特徴部の明確化のため、その記載を省略している。
【0088】
まず、図13(A)に示すように、副磁極(補助磁極)6B上に、低屈折率材料からなる絶縁層(クラッド)1B2、低屈折率材料からなるコア層4X、近接場光発生部形成用の金属層8(説明の簡略化のため近接場光発生素子8と同一符号で示す)、コア層4X2、クラッドとなる絶縁層52、研磨停止層50を順次形成する。本例ではコア層4X、4X2としてTaOX、金属層8としてAu、研磨停止層50としてTaを用いることとする。これらの層の形成法としてはスパッタ法を用いることができる。
【0089】
次に、図13(B)に示すように、エッチング液に対する溶解度が異なる2層のレジストRE1,RE2を順次積層し、所望のパターンでこれを露光し、現像処理を行うことで、パターニングされたレジストRE1,RE2を研磨停止層50上に形成する。これらのレジスト材料の特性、レジストRE1,RE2に形成されるパターンは、上述のものと同一である。
【0090】
次に、図13(C)に示すように、2層のレジストRE1,RE2をマスクとして研磨グ停止層50、絶縁層52、コア層4X2、金属層8、コア層4Xに反応性イオンエッチング(RIE)を施す。RIEのエッチングガスの材料としてはCF4を用いることができる。これらの層は、レジストRE1,RE2に形成されたパターンをトレースしながらエッチングされ、それぞれの層が基部パターンP1の一端に連続したスリットパターンP2を有することとなる。
【0091】
このエッチングは、コア層4Xに到達するまで進行し、スリットパターンP2の直下にはV型の溝GRが形成され、溝GRの最深部がコア層4X内に位置することとなる。溝GRの形成によって金属層8の端面の中央部は分断される。
【0092】
次に、レジストRE1,RE2からなるマスクをアセトン等の有機溶剤で剥離する。
【0093】
次に、図14(A)に示すように、CVD法で絶縁層51を溝GRの内面及び研磨停止層50の上に堆積し、続いて、磁極を構成する磁性材料を絶縁層51上に堆積し、その露出表面が研磨停止層50に到達するまで化学機械研磨(CMP)を実行する。なお、研磨停止層50は、磁極を構成する磁性材料及び絶縁層51よりも高硬度の材料からなる。
【0094】
基部パターンP1内及びスリットパターンP2内に絶縁層51が残留し、絶縁層51上に磁性材料が形成されると、スリットパターンP2の直下の溝GR内には主磁極6Aが形成されることとなる。
【0095】
次に、図14(B)に示すように、レジストRE3を研磨停止層50及び主磁極6A上に塗布した後、レジストRE3をパターニングし、レジストRE3がスリットパターンP2を覆うようにこれを研磨停止層50及び主磁極6A上に残留させる。
【0096】
次に、図14(C)に示すように、レジストRE3をマスクとして、周囲の研磨停止層50、クラッドとなる絶縁層52、コア層4X2、金属層8、磁性材料及びコア層4Xを、絶縁層1B2に到達するまでArスパッタによるミリングなどを用いてエッチングすることで、金属層8から近接場光発生部8A,8Bを切り出す。次に、ここでエッチングされた領域上にコア層40Y、絶縁層41Yを順次堆積し、続いて、有機溶剤を用いてレジストRE3を除去する。なお、完成品においては、図14(C)に示すように、エネルギー線LBがコア層4X,4X2,40Y内を通って主磁極6Aの方向へ伝播するが、後述の製造の最終工程では図示の研磨ラインLPまで素子は研磨される。研磨ラインLPは上述の如く設定される。
【0097】
次に、図15(A)に示すように、クラッドとなる絶縁層41Y及び研磨停止層50を含む基板露出表面上にレジストRE4を塗布し、スリットパターンP2の基部パターンP1側が開口するようにレジストRE4のパターニングを行い、開口OPを形成する。次に、図15(B)に示すように、レジストRE4をマスクとして、この上に磁性材料を堆積し、レジストRE4を剥離すると、磁気ヨークとなる磁性材料層6Cが主磁極6Aに一部で物理的に接触した状態で形成される。
【0098】
次に、図15(C)に示すように、磁性材料層6C及び絶縁層41Yを含む基板の露出表面上にコア層4Zを更にスパッタ法で堆積し、コア層4Zの露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。しかる後、導波路を形成するため、光伝播経路から横方向に所定距離離隔した領域のコア層4Z、絶縁層41Y、コア層40Yを、クラッドとしての絶縁層1B2に到達するまでエッチングする。エッチングしない領域には、レジストパターンを形成しておく。このエッチングには、上述のRIEを用いることができる。
【0099】
しかる後、コア層4Z、4X2、コア層40Yを含むコア4の周囲に、クラッドとなる絶縁層1B4を堆積し、再び、その露出表面を磁性材料層6Cが露出するまで化学機械研磨する。このようにして平坦化された磁性材料層6C及び絶縁層1B4上に、上部磁性材料層6Dを形成し(図16参照)、しかる後、その上にクラッドとなる絶縁層1B3を堆積する(図4参照)。
【0100】
なお、図16に示す貫通磁性材料6Eの製造方法は上述のものと同一である。なお、各磁性材料層は、メッキ法によって形成することができる。
【0101】
最後に、媒体対向面を図16の矢印の方向にラッピング(研磨)して、図3に示した磁気ヘッド部1Bがスライダー基板1A上に形成される。図3に示したように、スライダー1に、光源ユニット2を貼り合せると、熱アシスト磁気ヘッドが完成する。
【0102】
図17は、変形例に係る熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【0103】
上述の近接場光発生部8A,8Bの平面形状は四角形であったが、これは同図に示すように、三角形であってもよい。この場合、近接場光発生部8A,8Bとコア層40Yとの間に適当なコア層4X3を介在させることができる。なお、上述のコア4は、屈折率の異なる複数の誘電体層からなることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【図2】HGA17の斜視図である。
【図3】図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【図4】図3に示した熱アシスト磁気ヘッドのIV−IV矢印断面図である。
【図5】熱アシスト磁気ヘッドの電気的接続を示す図である。
【図6】近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【図7】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図8】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図9】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図10】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図11】熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【図12】熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【図13】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図14】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図15】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図16】熱アシスト磁気ヘッドの製造方法を説明するための熱アシスト磁気ヘッド中間体の斜視図である。
【図17】変形例に係る熱アシスト磁気ヘッドの主磁極6A近傍の媒体対向面の平面図である。
【符号の説明】
【0105】
8A,8B・・・近接場光発生部、6A・・・主磁極、4・・・コア、5・・・コイル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アシスト磁気ヘッドにおいて、
媒体対向面上で離隔して配置された第1及び第2の近接場光発生部と、
前記第1及び第2の近接場光発生部の間に少なくとも一部分が位置する主磁極と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項2】
前記第1近接場光発生部と前記第2の近接場光発生部との間の領域に、エネルギー線を照射する発光素子を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項3】
前記第1及び第2の近接場光発生部が先端面に設けられるコアと、前記コアの周囲に設けられたクラッドとを備え、
前記主磁極は、前記コアに最深部が位置する溝内に設けられ、
前記溝の両側面に隣接して前記第1及び第2の近接場光発生部がそれぞれ位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項4】
前記主磁極内に磁束を通すための情報書き込み用コイルを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項5】
熱アシスト磁気ヘッドの製造方法において、
クラッド上にコアを形成する工程と、
前記コア上に金属層を形成する工程と、
前記金属層上にスリットパターンを有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを介して、前記スリットパターン直下の前記コア内に到達するまで、前記金属層及び前記コアをエッチングする工程と、
前記エッチングによって形成された溝内に絶縁層を形成する工程と、
前記溝内の前記絶縁層上に主磁極となる磁性材料を形成する工程と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッドの製造方法。
【請求項1】
熱アシスト磁気ヘッドにおいて、
媒体対向面上で離隔して配置された第1及び第2の近接場光発生部と、
前記第1及び第2の近接場光発生部の間に少なくとも一部分が位置する主磁極と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項2】
前記第1近接場光発生部と前記第2の近接場光発生部との間の領域に、エネルギー線を照射する発光素子を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項3】
前記第1及び第2の近接場光発生部が先端面に設けられるコアと、前記コアの周囲に設けられたクラッドとを備え、
前記主磁極は、前記コアに最深部が位置する溝内に設けられ、
前記溝の両側面に隣接して前記第1及び第2の近接場光発生部がそれぞれ位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項4】
前記主磁極内に磁束を通すための情報書き込み用コイルを更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項5】
熱アシスト磁気ヘッドの製造方法において、
クラッド上にコアを形成する工程と、
前記コア上に金属層を形成する工程と、
前記金属層上にスリットパターンを有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを介して、前記スリットパターン直下の前記コア内に到達するまで、前記金属層及び前記コアをエッチングする工程と、
前記エッチングによって形成された溝内に絶縁層を形成する工程と、
前記溝内の前記絶縁層上に主磁極となる磁性材料を形成する工程と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−163806(P2009−163806A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341103(P2007−341103)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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