説明

熱アシスト磁気記録ヘッドおよびその製造方法

【課題】高密度記録に好適なTAMRヘッドを提供する。
【解決手段】本発明のTAMRヘッドは、主磁極層、光導波路、プラズモンアンテナおよび磁性層を備える。主磁極層は、記録動作の際に磁気記録媒体上に及ぶ記録磁界を生成する。プラズモンアンテナは、主磁極層と面する第1の側面を形成する磁性コアと、その磁性コアを覆い光導波路と対向する尖端部へ向かうように収束し第2および第3の側面を形成するプラズモン生成層とを含む。プラズモン生成層は、光導波路からの電磁放射と結合したときに尖端部の近傍にエッジプラズモンモードを形成する。磁性層は、磁性コアと磁気的に結合し、プラズモン生成層とエアベアリング面との間に位置する。磁性層は、主磁極層からの磁束およびエッジプラズモンモードのエネルギーを磁気記録媒体における局所領域に導き、その局所領域を加熱し、その保磁力および磁気異方性を低下させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録(TAMR:thermally assisted magnetic recording)に基づく磁気再生記録複合ヘッドに関し、特に、磁性コアアンテナ(MCA:magnetic core antenna)が、エアベアリング面(ABS:air bearing surface)からリセスされたプラズモン生成層(plasmon generator layer)を有することによって、磁気記録媒体における磁界ピークと加熱プロファイルピークとの間隔を最小化し、それにより、記録効率を向上させるとともに、データ密度を増加させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
TAMRは、次世代の磁気記録技術の1つとして期待されており、これを用いれば、1インチ四方あたり最大1〜10テラビットのデータ密度での記録が可能となるであろう。TAMRにおいては、磁気記録媒体の小さな領域の温度を、キュリー温度近くまで上昇させる。キュリー温度においては、保磁力および磁気異方性の双方が大幅に低下し、高記録密度スキームの微小な記録ヘッドにおいて特徴的にみられる弱い記録磁界によってでも、磁気記録をより容易に実現することができる。TAMRでは、記録処理の際、光源からの光パワーを変換して、磁気記録媒体を局所的に加熱する。それにより、媒体粒子の磁化をスイッチングするのに要する記録磁界の強度を一時的に低下させる。このようにして、記録技術の現状を鑑みると、TAMR単独で作用する場合、または高磁界勾配とともに作用する場合における鋭い温度勾配によって、データ記録密度をより向上させることができる。
【0003】
TAMRヘッドは、従来の記録ヘッドの構成要素に加えて、通常、光導波路(WG:optical wave guide)と、プラズモンアンテナ(PA:plasmon antenna)またはプラズモンジェネレータ(PG:plasmon generator)とを備えている。WGは中間経路として機能し、外部からのレーザ光を、PAまたはPGへと導く。PAもしくはPGにおいて、光学モードは、PAの局所的なプラズモンモード、またはPGの伝播プラズモンモードと結合する。光エネルギーがプラズモンエネルギーに変換されると、PAにおける局所的なプラズモン励起、またはPGに沿ったエネルギー変換によって、プラズモンエネルギーは磁気記録媒体における加熱が必要な箇所に集中する。最適なTAMR性能を実現するためには、記録ヘッドからの磁界によって、加熱スポットを正確に位置合わせすることが理想的である。しかしながら、現在のTAMRヘッドでは、このような位置合わせの実現は困難である。このため、マイクロ波アシスト磁気記録(MAMR:microwave assisting magnetic recording)ヘッドのような他の磁気記録形態に対抗するため、TAMRヘッドの構成を改善する必要がある。
【0004】
特許文献1に開示されている熱アシスト磁気ヘッド構造は、例えば図1(A)に示したように、光導波路に結合するエッジプラズモンモードを用いている。この従来の磁気記録構造の構成要素としては、主磁極1と、リターンポール3と、記録コイル5とが含まれ、これらは、エアベアリング面に沿って形成されている。エアベアリング面(ABS)8から眺めると、左側の図に示したようにプラズモンジェネレータ(PG:plasmon generator)2は三角形状をなしている。また、図1(A)の右側の図(断面図)に示したように、PG2は、光導波路(WG)4に近接する端部を備えている。WG4は、入力された光波6をABS8へと導くとともに、ABS8から一定の距離を有する位置まで後退している。光波6は、励起されたエッジプラズモン(EP:edge plasmon)モード7と結合するとともに、WG4と対向するPG2の尖ったエッジ9に沿って伝播する。EPモード7は、さらに、ABS8へと光パワーを移動させ、PG2の下方に配置された磁気記録媒体(図示せず)を局所的に加熱する。PG2は、通常、Ag(銀)およびAu(金)などの貴金属からなる。これらの貴金属は、光学的に駆動される表面プラズモンモードを生じさせるのに優れているとされている。EPモード7の局所的な閉じ込めは、PG2の三角形の尖端部の角度および丸みの大きさによって決定される。
【0005】
理論上、エッジプラズモンジェネレータ(EPG:edge plasmon generator)は、TAMRスキーム用媒体において、高温度勾配とともに、非常に微小な光スポットを実現するように設計可能である。さらに、PGは、ABSに対して垂直な方向に十分な長さを有すれば、それを構成する金属の体積が大きくなる。これにより、体積の小さなPA単独の場合とは異なり、TAMR記録の際、局所的な加熱による損傷を回避することができる。TAMRにおいて、記録ビットは、記録層の熱スポットの大きさと形状、および磁界勾配と熱勾配間との配向に大きく影響される。磁気記録媒体は、EPGによって加熱される。EPGでは、光エネルギーを、EPGの2つの側面が収束して形成される尖端部(尖端部)周辺に閉じ込め、それにより、いわゆるエッジプラズモン(EP)モードを形成する。この設計の光スポット、またはEPモードの閉じ込めは、明らかに、尖端部の形状、角、および大きさ、EPGを構成する金属の組成、ならびに尖端部を取り囲む意誘電体材料に依存する。
【0006】
従来技術において、光加熱プロファイル(optical heating profile)を磁界プロファイルに対して正確に配置するという目的は、十分に達成されていない。図1(B)の上方のグラフは、一般的なTAMRヘッドにおける主磁極からの記録磁界プロファイル12を表し、図1(B)の下方のグラフは、一般的なTAMRヘッドにおける加熱プロファイル13を表す。図1(B)の各グラフの横軸は、図1(A)に示したTAMRヘッドのY軸方向に対応している。図1(B)の上方のグラフの縦軸は磁界強度Hzを表し、図1(B)の下方のグラフの縦軸は熱強度Pheatを表している。なお、図1(B)には、PG2および主磁極1の、ABSにおける形状および位置が各グラフに対応して記載されている。
【0007】
図1(B)に示したように、ヒートスポットは主磁極1のリーディングエッジから離れた位置に生じている。この構成であっても、磁気記録媒体が十分に加熱されれば記録を行うことができるが、最適なものではない。TAMRヘッドの機能を最大限に活用するには、加熱プロファイル13の傾斜が記録磁界プロファイル12における最大の傾斜部分10,11と一致していることが必要である。その場合、結果として、磁気記録の際、磁界勾配(magnetic gradient)と熱勾配(thermal gradient)とは互いに補助し合い、最も効果的な勾配を実現する。厚さおよび構成などの光導波路における構造的制限、ならびにアンテナ設計の選択肢のために、TAMR技術においては、まだ、非常に効果的な磁界勾配と熱勾配との配置は実現されていない。前述のダウントラック方向における不適切な配置の問題に加えて、クロストラック方向における配置もまた、アンテナ加熱スポットの最も高いヘッド磁界へのオーバーレイ(overlay)によって影響を受ける。よって、光エネルギーをプラズモンモードに結合させる効果を損ねることなく、記録処理の際に、加熱スポットと磁界との配置を向上させるために、より優れたPA設計、および最適なTAMR構造が望まれている。
【0008】
特許文献2には、近接場光を最小限の領域に対して用いる近接場光ジェネレータが説明されている。
【0009】
特許文献3には、直径数十ナノメートルの微小なスポットを有するナノ開口アンテナ(nano aperture antenna)について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開2010/0103553号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開2010/0128376号明細書
【特許文献3】米国特許第7710686号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の目的は、プラズモンモードの効果を低下させることなく、磁気記録媒体において、磁界プロファイルと加熱プロファイルとの間隔を減少させることのできる熱アシスト磁気記録ヘッドを提供することにある。
【0012】
本発明の第2の目的は、既存のツールおよび材料を用いて容易に実現可能であるとともに、さまざまな形状のプラズモンジェネレータ層を可能とするような柔軟性を有する、上記熱アシスト磁気記録ヘッドを製造するための熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、本発明において達成される。本発明の第1の熱アシスト磁気記録ヘッドは、
(a)エアベアリング面と直交する第1の側面と、前記第1の側面と反対側に位置する第2の側面と、エアベアリング面に露出し、クロストラック方向における幅を有する第1のエッジを前記第1の側面と共に構成し、かつ、前記第2の側面と共に第2のエッジを構成する端面とを有する主磁極層と、
(b)光導波路と、
(c)前記主磁極層と面する第1の側面を形成する磁性コアと、前記磁性コアを覆い、前記光導波路と対向する尖端部へ向かうように収束し第2および第3の側面を形成するプラズモン生成層と、エアベアリング面に沿った端面とを含むプラズモンアンテナと、
(d)前記磁性コアと磁気的に結合し、前記プラズモン生成層とエアベアリング面との間に位置する磁性層と
を備える。ここで主磁極層は、記録動作の際に磁気記録媒体上に及ぶ記録磁界を生成する。光導波路は、光源からプラズモンアンテナへ電磁放射を導くものである。プラズモン生成層は、光導波路からの電磁放射と結合したときに尖端部の近傍にエッジプラズモンモードを形成するものである。磁性層は、主磁極層からの磁束およびエッジプラズモンモードからのエネルギーを磁気記録媒体における局所領域に導き、その局所領域を加熱し、その保磁力および磁気異方性を低下させるものである。
【0014】
本発明の第2の熱アシスト磁気記録ヘッドは、
(a)エアベアリング面に露出した端面を有し、記録動作の際に磁気記録媒体上に及ぶ記録磁界を生成する主磁極層と、
(b)光導波路と、
(c)前記光導波路に対向する尖端部を含む三角形状の断面の下部、および前記主磁極層と接すると共に溝を有する上面を含む上部を有するプラズモン生成層と、前記溝を埋める磁性コアとを備えたプラズモンアンテナと、
(d)前記磁性コアと磁気的に結合し、前記プラズモン生成層とエアベアリング面との間に位置する磁性層と
を備える。ここで、光導波路は、プラズモンアンテナと対向する側面を有し、光源からプラズモンアンテナへ電磁放射を導くものである。プラズモン生成層の下部および上部は、エアベアリング面に近い側において共通の傾斜した端面を構成する。プラズモン生成層は、光導波路からの電磁放射と結合したときに尖端部の近傍にエッジプラズモンモードを形成するものである。磁性層は、主磁極層からの磁束およびエッジプラズモンモードからのエネルギーを磁気記録媒体における局所領域に導き、その局所領域を加熱し、その保磁力および磁気異方性を低下させるものである。
【0015】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、プラズモン生成(PG)層を備えた2つの収束する側面の上を覆う磁性コアアンテナ(MCA:magnetic core antenna)と一体化された主磁極層を含む。MCAは、主磁極のトレーリングサイド、またはリーディングサイドのいずれかの一部に隣接して形成されている。MCAは、高導電性の非磁性金属によって構成されたPG層からなり、おおよそ直線状に延びるエッジである尖端部(vertex)において交わる2つの側面を備えた三角柱状を有することが好ましい。三角柱の第3の側面、およびPG層の2つの側面に挟まれたコアは、磁性材料からなる。ある実施の形態において、第3の側面、および磁性コアは、主磁極層の側面に隣接してもよく、例えば主磁極層の材料と同じ磁性材料からなる。あるいは、MCAの第3の側面と、主磁極との間に非磁性分離層を形成してもよい。好適な実施の形態においては、尖端部は、ABSに対して基本的に垂直に形成されるとともに、光漏れを減少させるために、ABSから一定の距離だけ後退して設けられた光導波路(WG)と対向している。あるいは、WGは、ABSに露出した端部を有していてもよい。尖端部は、MCAおよびWGの長手方向に対して平行な長手方向に、TAMRヘッドの後端に向かって延在している。PG層は、誘電体層(dielectric layer)によって覆われている。誘電体層は、MCAをWGから分離させるとともに、低屈折率を有し、光放射をWGからMCAへ効果的に送ることを可能とする。
【0016】
本発明の重要な特徴は、ABSに対向するPG層の端面が、ABSから一定の距離を隔てるように後退している点である。実際には、MCAの磁性コアがABSまで延在し、PG層の端部とABSとの間に形成された磁性層が、ABSから見ると、MCAと同じ形状を有している。すなわち、磁性層の一部が、PG層の端部からABSまで、PG層のV字形を踏襲している。もう1つの実施の形態において、PG層の端部とABSとの間にある磁性層は、ABSから見ると、台形状をなす磁極先端部領域の一部となっている。磁極先端部のトレーリングエッジは、MCAの尖端部とおおよそ同一平面上に形成されている。
【0017】
1つの実施態様においては、ABSに対向するPG層の端部は、ABSに対して平行である平面に形成されてもよい。もう1つの実施態様においては、ABSと対向するPG層の端部は、尖端部が、三角形状をなすMCAの、第3の側面まで延在する他の2つのPG層のエッジよりも、ABSに対して垂直な方向において、より大きな長さを有するように傾斜している。PG層を傾斜した形状にすると、PG層とABSとの間にある磁性層へ徐々に磁束を集中させることができるようになる。磁性層は、磁気記録媒体における同じ箇所に記録磁界とプラズモンモードとをもたらし、熱勾配と磁界勾配との重なり領域を増加させる。
【0018】
本発明は、また、WGの端部とABSとの間に、磁気シールドを形成した実施の形態も含む。したがって、磁気シールドは、ABSに沿った第1の側面、MCAの頂点に面する第2の側面、および第1の側面に対しておおよそ平行であるとともに、WGの端部に対向する第3の側面を備えている。
【0019】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、
(a)光導波路の上に誘電体層を形成してなる基体を用意する工程と、
(b)前記誘電体層の上面の一部に、尖端部に収束する1対の内面を含み、第1の方向へ延在する第1の溝を形成する工程と、
(c)第1の磁性層を、前記第1の方向において第1の長さに亘って延在するように、前記第1の溝の内面および前記誘電体層の上面を覆うように形成する工程と、
(d)前記第1の磁性層によって覆われていない領域における前記第1の溝の内面を少なくとも覆うようにプラズモン生成層を形成する工程と、
(e)前記プラズモン生成層および第1の磁性層を覆うように第2の磁性層を堆積させ、プラズモンアンテナを形成する工程と、
(f)前記第1の磁性層、第2の磁性層および誘電体層の端面を研磨することによりエアベアリング面を形成するラッピング工程と
を含むものである。ここで、プラズモン生成層は、第1の溝の尖端部と接する下端よりも上端がエアベアリング面から遠い位置となるように傾斜した端面を有するように形成される。また、ラッピング工程では、プラズモン生成層とエアベアリング面との間に第1の磁性層が残存するように研磨を行う。
【0020】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、ABSからリセスしたPG層を有するMCAの製造方法を含む。誘電体ギャップ層などの非磁性基板に、第1の平面および最終的なABSに対して垂直な方向の長手方向に、V字形の溝を形成する。第1の磁性層を、基板の上に堆積し、溝の側壁を覆う。それから、フォトレジストパターニングおよびエッチング工程を施し、第1の平面の側面に沿った領域にある磁性層を残し、磁性層を取り除く。それから、プラズモンジェネレータ材料を堆積し、第1の磁性層を取り除いた、溝の2つの側壁それぞれの露出部分の上に、PG層を形成する。他の実施の形態においては、PG層が溝の露出部分を埋めるだけでなく、溝のいずれの側の上の基板の一部も覆うように、PG層を堆積する。全ての実施の形態において、PG層は、第1の平面に対向する端部を有する。この端部は、第1の平面に対して平行であってもよく、または、堆積の際にシェーディング効果を用いて傾斜させてもよい。第1の平面に対して垂直であるとともに、溝を長手方向に二分割する平面に沿った断面図によると、傾斜したPGの端部は、WGに面するPG層の上部エッジが、溝の下部において基板に接触する頂点よりも、第1の平面から大きな距離を持ってリセスされている構成を有する。最後に、第2の磁性層を、PG層および、第1の磁性層の上に堆積し、第1および第2の磁性層からなる主磁極を形成する。第2の磁性層は、第1の磁性層と同じ組成としてもよい。第2の磁性層の一部は、PG層と接する磁性コアを形成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドによれば、プラズモン生成層とエアベアリング面との間に磁性層を設けるようにしたので、記録磁界プロファイルのピーク位置と加熱エネルギープロファイルのピーク位置とをより近づけることができる。よって、記録磁界の強度を低減しつつ、効率的な高密度記録を実現することができる。また、本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法によれば、上記本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドを簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のTAMRヘッドの構成を表す模式図、ならびに、そのTAMRヘッドにおける磁気プロファイルおよび加熱プロファイルを模式的に示す特性図である。
【図2】本出願の発明者らが先に出願したTAMRヘッドにおけるプラズモンアンテナおよび光導波路構造を示す模式図である。
【図3】図2に示したプラズモンアンテナおよび光導波路構造を有するTAMRヘッドの構成、ならびに、そのTAMRヘッドにおける記録磁界プロファイルおよび加熱プロファイルを表す特性図である。
【図4】各種プラズモン生成層の厚さと、プラズモンモードに結合した光エネルギーとの関係を表す特性図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図6】図5に示したTAMRヘッドの変形例を表す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図8】図7に示したTAMRヘッドの変形例を表す模式図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態としてのTAMRヘッドを表す模式図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態としてのTAMRヘッドの要部を表す斜視図および分解斜視図である。
【図16】図15に示したTAMRヘッドの製造方法における一工程を表す断面図である。
【図17】図16に続く一工程を表す断面図である。
【図18】図17に続く一工程を表す断面図である。
【図19】図18に続く一工程を表す断面図である。
【図20】図19に続く一工程を表す断面図である。
【図21】図20に続く一工程を表す断面図である。
【図22】従来のMCA構造を有するTAMRヘッドの要部を表す模式図、およびそのTAMRヘッドから磁気記録媒体に及ぶプラズモン強度に関する特性図である。
【図23】本発明のMCA構造を有するTAMRヘッドの要部を表す模式図、およびそのTAMRヘッドから磁気記録媒体に及ぶプラズモン強度に関する特性図である。
【図24】本発明のMCA構造の、ダウントラック方向における有効記録磁界強度を表す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、特徴および利点は、以下に記載の好適な実施の形態の説明に照らして理解される。好適な実施の形態の説明は、添付図面に照らして理解される。なお、本発明は、先に出願された米国特許出願第12/456290号および米国特許出願第12/802096号に関連するものである。
【0024】
本実施の形態の熱アシスト磁気記録(TAMR)ヘッドは、磁性コアの2つの側面上に形成されるとともに、光導波路(WG)に面する尖端部に収束するプラズモン生成(PG)層を含む磁性コアアンテナ(MCA:magnetic core antenna)を備えたものである。PG層の端部を、ABSからリセスすることによって、プラズモン結合効果を大きく減少させることなく、磁気記録媒体における加熱スポットと記録磁界分布のピークとの重なり領域を、より大きくすることができる。以下の実施の形態においては、主磁極のトレーリングサイドに隣接した、または隣接するように形成された、三角形状の断面を有するMCAを示すが、本発明はこれに限定されず、他の多角形状の断面を有するMCAを採用することができる。また、このTAMRヘッドは、再生ヘッドと一体化された再生/記録複合ヘッドの一部であってもよい。
【0025】
図2は、本発明者らが先に出願(米国特許出願12/456290)したMCA22を含むTAMRヘッドの要部構成を表す概略図である。MCA22が三角柱状をなすことによって、エッジプラズモンモード(edge plasmon mode)27をWG23からの入射光26に結合させている。従来の技術とは異なり、MCA22は、磁性コア21と、エッジプラズモンジェネレータとしても知られるプラズモン生成(PG)層24とを含む。PG層24は、光導波路(WG)23と対向した磁性コア21の2つの側面を覆い、厚さcを有するように形成されている。光レーザなどによって生成された入射光Lは、光導波路23に入射し、その内部を光周波数電磁放射(optical frequency electromagnetic radiation)26として伝播する。エッジプラズモンモード27は、光周波数電磁放射26と放射結合することによって生成され、PG層24の内部をABSへ向かうように伝播する。一方、磁性コア21は、MCAの加熱ポイント付近に磁束を集中させ、記録の際に、磁気記録媒体の加熱箇所における磁界(図示せず)を増強する。このようにして、MCA22は、効果的に磁極の延長となり、PG層24で生成されたエッジプラズモンによって加熱される磁気記録媒体領域とオーバーラップする最大勾配を有する磁界を生成する。このような重なりにより、主磁極層からの記録磁界が有する、磁気記録媒体の局所的な磁化を変化させる効果を向上させる。それにより、磁気記録性能は大幅に向上し、微小な表面領域に制限することが可能となる。
【0026】
図3(A)は、図2に示したMCAを有するTAMRヘッド構造を表す図である。図3(A)に示したように、このTAMRヘッドは、主磁極層19と、この主磁極層19と離間して対向し、プラズモンを伝播するエッジを有するMCA22とを備える。ここで、主磁極19および磁性コア21は例えばCoFeからなり、PG層24は例えばAu(金)からなる。主磁極19からの記録磁界28の一部は、ABS20に近接するMCA22の端部を通って、磁気記録媒体(図示せず)へと送られる。このように、磁性コア21は、記録動作の際、磁界生成構造の一部となる。光導波路23は、プラズモンモード27を伝播するMCA22のエッジ(尖端部)に面し、光周波数電磁放射26をAuからなるPG層24の内部のエッジプラズモンモード27と結合させる。
【0027】
図3(B)は、図3(A)に示したMCA22を備えたTAMRヘッドの記録磁界プロファイル(曲線29)、およびMCA22の代わりに、純金アンテナ(図1(A))を用いた例の記録磁界プロファイル(曲線25)を表した特性図である。図3(B)において、横軸はダウントラック方向における磁極の中心からの距離をミクロン単位で表わし、縦軸は磁界強度を表している。曲線29は、磁性コア21があることから、主磁極19のエッジを越えた位置に、さらに磁界ピークPを有する。それゆえ、従来の構造の例(曲線25)と比較すると、ピーク磁界とPG層24のエッジ(破線A)との間の距離が大幅に減少している。しかしながら、ピーク磁界および磁性コア21からの記録磁界における最も鋭い勾配の位置は、通常、磁性コア21の外側のエッジの内部(PG層24の左のエッジの左側)にあるのに対して、加熱スポットは、通常、PG層24のエッジ、または図の破線Aの右側に位置する。
【0028】
そこで、記録磁界ピーク位置と加熱スポット(エネルギーピーク位置)との距離をさらに減少させるために考えられる解決策としては、MCAのPG層24をより薄くすることが挙げられる。図4は、図3に示したTAMRヘッドの、さまざまな厚さのMCAのPG層24におけるエッジプラズモンモードを通して送られるパワーに関するシミュレーション結果を表すグラフである。この際、MCAにおいて、磁性コアの大きさ、および長手方向に沿ったPG層の厚さは同一であるとする。Ag(銀)合金の場合(曲線51)、およびAu膜の場合(曲線52)の双方を、PG層として検討している。パワー値を、MCAの代わりに、固体のAg合金アンテナを使用する場合に、プラズモンモードに送られるパワーのパーセンテージとして示している。明らかにわかることは、MCAのPG層24の厚さが減少するにしたがって、プラズモンモードへと結合した光エネルギーの効果が大幅に減少するということである。従って、PG層の厚さを薄くした場合、磁気記録媒体の加熱も減少させることが望ましい。それゆえ、現在のTAMRヘッドにおいては、記録磁界ピーク位置と加熱ピーク位置との間隔を減少させることと、磁気記録媒体の効果的な加熱を実現することとの間で板挟みになっている。TAMRが高密度記録スキームとして検討されるためには、プラズモン結合効果を大幅に低下させることなく、記録磁界ピーク位置と加熱ピーク位置との間隔を減少させることが望ましい。
【0029】
ここで、前段落に示したTAMR設計における課題に対処するための、MCA構造の変形例を開示する。具体的には、ここに説明するさまざまな実施の形態においては、PG層はABSから一定の距離を持ってリセスされており、他方、磁性層はPG層の端部からABSへと延在するとともに、ABSから見ると、MCAと同じ形状をなしている。さらに他の実施の形態においては、磁性層は、ABSから見ると、MCAの形状とは異なる形状をなしている。全ての実施の形態における主な特徴は、PG層の端部とABSとの間の磁性層が、プラズモンモードと主磁極からの磁界とを同時に送り、それによって、磁気記録媒体における加熱効果を大幅に損なうことなく、記録磁界ピークと加熱スポット(エネルギーピーク位置)とをより接近させ、重なり領域を拡大することができることである。
【0030】
[第1の実施の形態]
図5(A)〜5(C)は、本発明の第1の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。図5(A)は、本実施の形態のTAMRヘッドの側面図(上側の図)、およびABSから眺めた図(下側の図)である。図5(B)は、図5(A)に示したABSから眺めた図(下側の図)のB−B線に沿った断面を表している。このB−B線に沿った断面は、ABS30からZ軸方向に延在し、このTAMRヘッドを二分割するものである。さらに、図5(C)は、図5(B)のA−A線に沿った断面を表している。なお、図5(A)〜5(C)では、磁気コイルおよびシールドなど、TAMRヘッドの他の層の図示を省略している。
【0031】
このTAMRヘッドは、主磁極層31と、磁性コア33およびPG層32からなるMCA構造34と、光導波路37と、磁性層31eとを備えている。以下で示される図において、X軸はクロストラック方向を示し、Y軸はダウントラック方向を示し、Z軸は、ABS30と直交する方向を示している。主磁極層31は、磁性材料によって構成され、記録動作の際に磁気記録媒体(図示せず)に及ぶ記録磁界を生成するものである。主磁極層31は、ABS30に露出した磁極先端部と呼ばれる端面31pと、この端面31p(ABS30)と直交する側面31S1と、この側面31S1と反対側に位置し、端面31p(ABS30)と直交する側面31S2とを有している。端面31pは、クロストラック方向に幅を有するエッジ31aを側面31S1と共に構成し、かつ、側面31S2と共にエッジ31bを構成している。
【0032】
光導波路37は、光源(図示せず)からMCA構造へ電磁放射を導くものであり、例えばABS30から後退した端面37Pを有している。光導波路37の端面37Pと、ABS30との間には、誘電体層35が形成されている。なお、端面37PがABS30に露出するようにしてもよい。
【0033】
MCA構造34は、ABS30と平行な断面において三角形状をなしている。MCA構造34における主磁極層31と面する側面34S1は、主磁極層31の側面31S2と接している。PG層32は、光導波路37からの電磁放射と結合したときに、尖端部32v(後出)の近傍にエッジプラズモンモードを形成するものである。PG層32は、例えば約10nm以上100nm以下の厚みを有し、Au(金),Ag(銀),Cu(銅),Al(アルミニウム),Ti(チタン),Ta(タンタル)およびGe(ゲルマニウム)のうちの1種以上を含む非磁性材料層である。PG層32は、5nm以上100nm以下の距離sだけABS30から後退(リセス)した位置に設けられている。
【0034】
磁性層31eは、MCAとABS30との間に形成され、磁性層31eの後方に設けられたMCAと接しており、ABS30と平行な断面形状がMCAと実質的に同じ大きさおよび形状の三角形状となっている。磁性層31eは、主磁極層31からの磁束およびPG層32からのエッジプラズモンモードのエネルギーを磁気記録媒体(図示せず)における所定の局所領域に導き、その局所領域を加熱することで保磁力および磁気異方性を低下させるものである。さらに、その加熱された局所領域に、それと実質的にオーバーラップするように主磁極層31からの記録磁界を伝達する機能をも有する。磁性層31e、主磁極層31、および磁性コア33は、例えば、Co(コバルト),Fe(鉄)およびNi(ニッケル)のうちの1種以上の元素からなり、または、Co,FeおよびNiのうちの1種以上の元素と、B(ボロン),Si(ケイ素),Al(アルミニウム),Ta(タンタル),Ru(ルテニウム),O(酸素)およびN(窒素)のうちの1種以上の元素との化合物からなる。ここで、主磁極層31、磁性層31e、および磁性コア33は、互いに同じ組成であってもよい。
【0035】
主磁極31およびPG層32は、誘電体層39によって光導波路37から分離されている。
【0036】
図5(B)に示したように、PG層32は、光導波路37に面するエッジ(尖端部32v)と、ABS30と対向する端面32eとを有する。尖端部32vは、ABS30に対して垂直に延びている。端部32eは、例えばABS30と平行である。但し、後述するように、端部32eは、ABS30に対して傾斜していてもよい。磁性コア33は、ABS30と平行な断面形状が三角形であり、Z軸方向に延在する三角柱状の部材である。磁性コア33は、一の側面が主磁極層31の側面31S1と接しており、エッジ33tを形成する他の2つの側面はPG層32によって覆われている。すなわち、PG層32は、磁性コア33を覆い、光導波路37と対向する尖端部32vへ向かうように収束する2つの側面34S234S3を形成している。
【0037】
また、このTAMRヘッドでは、主磁極層31におけるエッジ31aがリーディングエッジである場合は、エッジ31bがトレーリングエッジとなり、エッジ31aがトレーリングエッジとなる場合は、エッジ31bがリーディングエッジとなる。
【0038】
<第1の実施の形態の変形例>
図6(A)〜6(C)は、第1の実施の形態の変形例としてのTAMRヘッドの要部をそれぞれ表している。図6(A)は本変形例のTAMRヘッドの側面図であり、図6(B)は本変形例のTAMRヘッドをABSから眺めた図である。さらに、図6(C)は、図6(B)に示したB−B線に沿った断面を表している。このB−B線に沿った断面は、ABS30からZ軸方向に延在し、このTAMRヘッドを二分割するものである。
【0039】
本変形例としてのTAMRヘッドは、PG層32の端面32eを、ABS30に対して傾斜した端面32sに置き換えたものである。図5(B)においては、磁性コア33のエッジ33tと接する上端32tおよび尖端部32vは、ABS30から互いに等しい距離分だけ後退するようにした。これに対し、本変形例では、上端32tが尖端部32vと比べ、ABS30からより離れた位置まで後退している。磁性コア33が主磁極層31と同じ材料によって構成されている場合、磁性コア33および主磁極層31を同時に形成し、両者を一体化してもよい。製造容易性という観点からは単一磁性層の形成が好ましいが、磁性コア33を、主磁極層31とは異なる材料を用いて別の工程において形成してもよい。本変形例では、傾斜した端面32eを有することにより、PG層32とABS30との間の磁性層31eに入る磁束を徐々に集中させることを可能にする。光導波路37と尖端部32vとの間隔は、Y軸方向における誘電体層39の厚さであり、50nm未満であることが好ましい。
【0040】
[第2の実施の形態]
図7(A)〜7(C)は、本発明の第2の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドでは、非磁性分離層(non-magnetic separation layer)38が主磁極層31と磁性コア33との間に形成されている。すなわち、主磁極層31と磁性コア33とが非磁性分離層38によって分離された構造を有している。これにより、記録(書き込み)処理の際、主磁極層31は磁性コア33を磁化する。磁化された磁性コア33は、主磁極層31によって生成された記録磁界とは別に、磁気記録媒体(図示せず)に対する記録磁界を生成する。非磁性分離層38の厚さは、100nm未満であることが好ましい。PG層32は、第1の実施の形態と同様に、ABS30から後退した位置にある。図7(A)の上方の図は本実施の形態の側面図であり、図7(A)の下方の図はABS30から眺めた図である。磁性層33eは、事実上、磁性コア33の延長であり、PG層32とABS30との間に形成されている。よって、磁性層33eは、磁性コア33と同じ材料によって構成してもよい。さらに、磁性層33e、主磁極層31、および磁性コア33は、全て、同じ組成によって構成してもよい。この場合、磁性層33eは、ABS30から見て、リセスされたMCAと基本的に同じ大きさの三角形状をなしている。誘電体層39は、PG層32を光導波路37から分離させている。尖端部32vは、最も近い光導波路37の側面から、50nm未満の位置にあることが好ましい。主磁極層31のエッジ31aは、第1の実施の形態と同様に、リーディングエッジ、またはトレーリングエッジのいずれであってもよい。
【0041】
図7(B)は、図5(B)と対応した断面図である。PG層32の端部32eは、ABS30に対して平行に形成されている。但し、後述するように、端部32eは、ABS30に対して傾斜していてもよい。尖端部32vは、誘電体層39を挟んで光導波路37と対向し、光導波路37と平行に延在している。誘電体層39は、アルミナ、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはMgF2などの低屈折率材料によって構成し、それにより、プラズモンモード(図示せず)が尖端部32vに沿って最適に送られるようにしてもよい。
【0042】
<第2の実施の形態の変形例>
図8(A)〜8(C)は、第2の実施の形態の変形例としてのTAMRヘッドの要部をそれぞれ表している。図8(A)は本変形例のTAMRヘッドの側面図であり、図8(B)は本変形例のTAMRヘッドをABSから眺めた図である。さらに、図8(C)は、図8(B)に示したB−B線に沿った断面を表している。このB−B線に沿った断面は、ABS30からZ軸方向に延在し、このTAMRヘッドを二分割するものである。
【0043】
本変形例としてのTAMRヘッドは、PG層32の端面32eを、ABS30に対して傾斜した端面32sに置き換えたものである。図7(B)においては、磁性コア33のエッジ33tと接する上端32tおよび尖端部32vは、ABS30から互いに等しい距離分だけ後退するようにした。これに対し、本変形例では、上端32tが尖端部32vと比べ、ABS30からより離れた位置まで後退している。磁性層33eは、PG層32からのプラズモンモードをABS30へ伝達すると同時に、主磁極層31および磁性コア33からの磁束をABS30および磁気記録媒体(図示せず)へ導くものである。
【0044】
[第3の実施の形態]
図9(A)〜9(C)は、本発明の第3の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁気シールド36を追加したことを除き、他は上記第1の実施の形態の変形例(図6(A)〜6(C))と同様の構成である。磁気シールド36は、ABS30に露出した端面と、ABS30と反対側にあり光導波路37と対向する端面と、尖端部32vと対向する側面36sとを有する。側面36sは、尖端部32vに面している光導波路37の側面37sと同一平面上にあることが好ましい。ギャップ層35によって、光導波路37は磁気シールド36から分離されている。磁気シールド36は、エッジ31aがリーディングエッジである場合にはトレーリングシールドであり、あるいは、エッジ31aが主磁極層31上のトレーリングエッジである場合にはリーディングシールドとなる。本実施の形態においては、上端32tと尖端部32vとを接続する傾斜面32sを有しているが、PG層32は、図5(B)に示したように、ABS30に対して平行に形成された端面32eを有してもよい。当業者であれば理解できるように、磁気シールド構造をTAMRヘッドに含むことによって、記録処理における光学的性能および磁気的性能の双方を最適化できる場合がある。磁気シールド36は、例えばCo,FeおよびNiのうちの1種以上の元素からなり、または、Co,FeおよびNiのうちの1種以上の元素と、B,Si,Al,Ta,Ru,OおよびNのうちの1種以上の元素との化合物からなる。
【0045】
[第4の実施の形態]
図10(A)〜10(C)は、本発明の第4の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁気シールド36を追加したことを除き、他は上記第2の実施の形態の変形例(図8(A)〜8(C))と同様の構成である。また、磁気シールド36は、上記第3の実施の形態のTAMRヘッドが有するものと同様の構成である。
【0046】
[第5の実施の形態]
図11(A)〜11(C)は、本発明の第5の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁性層31eの形状が異なることの除き、他は上記第1の実施の形態の変形例(図6(A)〜6(C))と同様の構成である。具体的には、上記第1の実施の形態の変形例では、図6(B)に示したように、磁性層31eのABS30と平行な断面形状をMCA構造と同じ三角形とした。これに対し、本実施の形態では、図11(B)に示したように、磁性層31eを台形状とした。磁性層31eの第1の側面は、エッジ31bを含む主磁極31の側面31S2と接するように設けられている。磁性層31eの第1の側面は、クロストラック方向(X軸方向)において、エッジ31bの幅と実質的に同じ幅を有する。磁性層31eのエッジ31bとは反対側の側面31cは、側面31S2に対して平行であるとともに尖端部32vを含む平面に沿って形成されている。側面31cは、クロストラック方向に沿って、第1の側面(エッジ31b)よりも大きな幅を有することが好ましい。さらに、エッジ31bと側面31cとを繋ぐ2つの側面は、主磁極層31においてエッジ31aとエッジ31bと接続する2つの側面の延長上に位置する。
【0047】
[第6の実施の形態]
図12(A)〜12(C)は、本発明の第6の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁性層33eの形状が異なることの除き、他は上記第2の実施の形態の変形例(図8(A)〜8(C))と同様の構成である。具体的には、上記第2の実施の形態の変形例では、図8(B)に示したように、磁性層33eのABS30と平行な断面形状をMCA構造と同じ三角形とした。これに対し、本実施の形態では、図12(B)に示したように、磁性層33eをMCA構造よりも大きな矩形状とした。磁性層33eの第1の側面33aは、非磁性分離層38を挟んでエッジ31bと対向している。さらに、側面33aは、クロストラック方向においてエッジ31bの幅と実質的に同じ幅を有する。磁性層33eの、側面33aとは反対側に位置する第2の側面33bは、Z軸方向へ延在するとともに尖端部32vを含む平面に沿って形成されている。側面33bの幅は、側面33aの幅と基本的に同じである。側面33aを側面33bに接続する2つの側面は、ABS30に対して垂直に形成されるとともに、ABS30からZ軸方向へ延在している。
【0048】
[第7の実施の形態]
図13(A)〜13(C)は、本発明の第7の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁気シールド36を追加したことを除き、他は上記第5の実施の形態(図11(A)〜11(C))と同様の構成である。また、磁気シールド36は、上記第3の実施の形態のTAMRヘッドが有するものと同様の構成である。
【0049】
[第8の実施の形態]
図14(A)〜14(C)は、本発明の第8の実施の形態に係るTAMRヘッドの概略構造を表している。このTAMRヘッドは、磁気シールド36を追加したことを除き、他は上記第6の実施の形態(図12(A)〜12(C))と同様の構成である。また、磁気シールド36は、上記第3の実施の形態のTAMRヘッドが有するものと同様の構成である。
【0050】
[第9の実施の形態]
図15(A)は、本発明の第9の実施の形態に係るTAMRヘッドの要部を表す斜視図である。このTAMRヘッドは、主磁極層31と、光導波路(図示せず)と、磁性コア33およびPG層32を有するMCA構造と、磁性コア33と磁気的に結合した磁性層31eとを備えている。
【0051】
PG層32は、誘電体層39と主磁極層31との間に形成されている。PG層32は、光導波路に対向する尖端部32vを含む三角形状の断面を有する下部と、主磁極層31と接すると共に側壁32wを含む溝が形成された上面32hを含む上部とを有する。磁性コア33は、側壁32wを含む溝を埋めるように設けられている。PG層32の下部および上部は、ABSに近い側において共通の傾斜した端面を構成している。磁性層31eは、磁性コア33の延長として機能し、PG層32の端面32sとABSとの間に形成されている。ABSには、主磁極層31の端面31fと、誘電体層39の端面39fとが含まれている。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較してPG層32が大幅に厚くなっている。具体的には、PG層32は、誘電体層39に形成された2つの側壁39wを有する溝を埋めるように設けられている。図15(B)に示したように、PG層32の下部は、ABSに対して傾斜した端面32sを有し、側壁39wで画定されるV字形の溝の内部に形成されている。PG層32の上部は、その下部と接続されており、一対の側面部32kを含んでいる。一対の側面部32kは、誘電体層39における頂点39vを含む溝の両側の上面39hを覆うように設けられている。一対の側面部32kは、それぞれ、端面32sと同一平面に含まれる傾斜した端面32s2と、上面39hに対して平行に形成された上面32hとを有する。このTAMRヘッドにおいて、側壁32wを含む溝は、PG層32の上面32hに形成されるとともに、磁性コア33によって埋められている。磁性コア33は、主磁極層31と連結されており、主磁極層31は、さらに、磁性コア33の両側にあるPG層32の側面部32kと接している。この場合、磁性層31eは、端面32s,32s2とABSとの間において、ABSに平行な断面がPG層32と同一の形状を有している。磁性層31eは、PG層32からのプラズモンモードと、磁性コア33および上面31tを有する主磁極層31からの磁束とを同時に磁気記録媒体(図示せず)へ導くように機能する。PG層32は、光導波路(図示せず)に対向する尖端部32vまで延在する三角形状の下部と、下部の尖端部32vと反対側の側面に沿って下部に隣接する側面部32kを含む上部とを有する。MCA構造は、PG層32と、側壁32wを含む溝を埋める磁性コア33とを含み、ABSから見ると、おおよそ矩形状をなしている。さらに、磁性層31eは、端面32s,32s2とABSとの間において、PG層32と同一形状を有するとともに、磁性コア33と磁気的に接続している。
【0052】
本発明は、MCAにリセスされたPG層を備えたTAMRヘッドの製造方法を含むものである。本実施の形態のTAMRヘッドの製造方法では、まず、ABSに沿って第1の磁性層を形成し、それに続いて、プラズモン層を堆積する。そののち、第1の磁性層およびプラズモン層の上に、第2の磁性層を堆積することによって、MCAの磁性コアと、それを覆う主磁極層とを同時に形成する。なお、当業者であれば理解できるように、第1〜8の実施の形態のいずれかに示したTAMRヘッドを製造する場合についても実質的に同様である。
【0053】
以下、図16〜21を参照して、本実施の形態(第9の実施の形態)に係るTAMRヘッドを製造するための製造方法について説明する。
【0054】
図16を参照する。誘電体層39としての基板を、下部構造(sub-structure)(図示せず)の上に形成する。下部構造は、通常、AlTiCからなる基板と、センサ構造を含む再生ヘッド(図示せず)とによって構成する。下部構造は、通常、さらに、Z軸方向を長手方向とする光導波路を含む。誘電体層39は、化学気相成長法(CVD:chemical vapor deposition)、またはプラズマ蒸着法(PVD:plasma vapor deposition)などによって堆積し、必要に応じて、CMP(chemical mechanical polishing)工程によって平坦化してもよい。ここにおけるZ軸方向は、TAMRヘッドの後端部へ向かう方向である。側壁39wと頂点39vとを有する溝60を、一般的なフォトレジストパターニング、およびエッチング工程によって、上面39hに形成する。頂点39vは、基本的に、TAMRヘッドのクロストラック方向、およびダウントラック方向に対して垂直に形成されたエッジである。それゆえ、溝60は、後続の工程において形成するABSに対して垂直な方向に、長手方向を有する。平面C−Cは、溝60を二分割する。図16(B)の右図において、平面42−42は、素子の前端部を表す。当然ながら、ABSは、TAMRの層全てを形成し、ラッピング処理(lapping process)が完了した後に、平面42−42に対しておおよそ平行、かつ平面42−42からZ軸方向に形成する。
【0055】
なお、第1〜8の実施の形態では、PG層32の堆積は、溝60に収まるように形成される。これは、適切なフォトレジストマスク(photoresist mask)を用いて、上面39hを覆い、PG材料が、上面39hの領域に堆積しないようにすることによって実現できる。このように、他の実施の形態においては、PG層32は溝60の一部のみを埋める。以下に述べるように、これに続く、第2の磁性層の堆積によって、溝60内の磁性コア33を形成し、それにより、三角形状をなすMCA構造を形成するとともに、磁性コア33の表面に隣接し、それを覆う主磁極層31を形成してもよい。さらに、合計3回の磁性層の堆積を含んでもよい。第2の磁性層の堆積によって、磁性コア33と、それを覆う主磁極層31とを形成するのではなく、磁性コア33を別の工程によって形成してもよい。例えば、第2,4,6,8の実施の形態のTAMRヘッドにおいて、前述したように、第2の磁性層の堆積によって磁性コア33を形成し、それに続いて非磁性分離層38を堆積し、それから、第3の磁性層堆積によって、主磁極層31を形成するようにしてもよい。
【0056】
次に、図17を参照する。磁性層31eを、イオンビーム蒸着(IBD:ion beam deposition)、CVD、またはPVDなどの従来技術を用いて、誘電体層39の上に堆積する。ABSから見た図に示すように、本実施の形態においては、磁性層31eによって溝60を部分的に埋めることにより、頂点31vにおいて収束する側壁31rを形成するとともに、磁性層31eによって表面39hの一部を覆うことにより、部分的に埋められた溝60aのいずれの側の上にも部分31sを形成する。他の実施の形態(図示せず)においては、堆積する時間を延長し、磁性層31eが溝60を完全に埋めるとともに、Y軸方向により大きな厚みを有するようにしてもよい。図17(B)に示したC−C断面図において、磁性層31eは、Z軸方向に相当の距離を持って延在している。
【0057】
次に、図18を参照する。フォトマスクとしても知られるフォトレジスト43を、通常のリソグラフィ技術(lithography technique)を用いて、平面42−42に沿って磁性層31eの一端部上に形成する。フォトレジスト43は、平面42−42から長さdを有するように延在し、それ以外の領域においては、磁性層31eを覆わないように形成される。そののち、エッチング処理を施すことによって、磁性層31eの保護されていない領域を除去し、それにより、上面39hおよび溝60を含む誘電体層39の一部を露出させる。例えば、反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etch)を用いてエッチング処理を行ってもよい。あるいは、イオンビームエッチング(IBE:ion beam etch)を用いて、磁性層31eの保護されていない領域を取り除いてもよい。
【0058】
次に、図19を参照する。PG層32を、図18で行ったエッチング処理の際に生成した、溝60および上面39hの露出した領域の上に堆積する。フォトレジスト43およびPG層32は、クロストラック方向において溝60から距離nの範囲に延在してもよい。図19では、PG層32が、Y軸方向における磁性層31eの厚さよりも実質的に大きい、最大の厚さtを備えるように形成される場合を示している。しかしながら、磁性層31eがPG層32よりも大幅に厚く、t以上の厚さを有するようにしてもよい。そののち、第2の溝を、溝60の上方にある上面32hに形成する。第2の溝は、側壁32wと、実質的に頂点39vと平行に形成された頂点32vとによって規定されるものである。また、第1〜8の実施の形態では、PG層32が溝60の露出部分を完全に埋め、頂点32vを、誘電体層39の上面39hの上方に一定の距離を持って形成してもよい。なお、PG層32は、平面42−42に対して傾斜した端面32sを有することが好ましい。傾斜した端面32sは、堆積の際に、よく知られたシェーディング効果を用いて形成してもよい。例えば、頂点32vは、平面42−42から距離dを有するようにリセスしてもよい。
【0059】
次に、図20に示したように、フォトレジスト43を、従来のストリッピング法(stripping method)によって除去する。これにより、平面42−42に露出した端面を有する磁性層31eが現れる。PG層32は、誘電体層39と接する側において距離dだけ平面42−42から後退している。一方、頂点32vは、距離dよりも平面42−42から離れた位置まで後退している。
【0060】
次に、図21に示したように、主磁極層31を、PG層32および磁性層31eの上に電着(electrodeposite)するか、またはIBD法を用いて形成する。主磁極層31と磁性層31eとは、一体として単一の磁極として機能する。周知のラッピング工程を用いて、平面42−42に沿った端面を所定量研磨することでABS30−30を形成する。すなわち、ラッピング工程によって、主磁極層31、磁性層31e、および誘電体層39の、平面42−42に沿った一部を取り除き、ラッピング工程を施す前にあった平面42−42の位置に対しておおよそ平行であるABS30−30を形成する。
【実施例】
【0061】
図22(A)は、主磁極31に隣接するとともに、Auからなり、ABS30まで延在するPG層32を有するMCA構造を備えた比較例としてのTAMRヘッドの要部断面図である。図22(A)には、ABS30と対向するように配置された磁気記録媒体40を併せて示している。図22(B)は、図22(A)のTAMRヘッドにおいてPG層32の厚さを40nmとした場合の、磁気記録媒体40に及ぶプラズモン強度(plasmon intensity)分布に関するシミュレーション結果を表す特性図である。
【0062】
一方、図23(A)は、MCAのPG層32が磁性層31eによってABS30から分離されたMCA構造を備えた本発明のTAMRヘッドの要部断面図である。PG層32は、厚さ40nmのAu層であり、ABS30から10nmの距離だけ後退している。図23(B)は、図23(A)のTAMRヘッドにおける、磁気記録媒体40に及ぶプラズモン強度分布に関するシミュレーション結果を表す特性図である。図23(B)の最大強度は、図23(B)の最大強度の約86%である。
【0063】
図24は、リセスされたPG層を有する本発明のMCA構造(曲線54)、およびABSに露出したPG層を有する比較例としてのMCA構造(曲線53)の、ダウントラック方向において有効な記録磁界のプロファイルである。曲線54のピーク磁界は、曲線53のピーク磁界と比較して500Oe高く、かつ、加熱スポット位置の方向に約40nm移動しているという利点を有している。よって、図23(A)に示したMCA、および本発明の他の実施の形態は、高密度TAMR記録に望まれる2点、すなわち、磁界をより高くすること、および、磁界勾配の位置と熱勾配の位置との間隔をより狭くすることの双方を実現している。リセスされたPG層を有するMCA構造を用いた場合、磁気記録媒体におけるプラズモンの最大強度が低下する理由としては、磁性層が、金、または他のPG材料ほど、効果的にプラズモンを運ばないことによると考えられる。しかしながら、磁界ピークと加熱ピークとの間隔を減少させることにより、記録の際、リセスされていないPG層構造を用いる場合よりも、磁気記録媒体の磁化反転箇所に対し、より効果的に書込を行うことができると考えられる。すなわち、熱勾配の生じる位置と磁界勾配の生じる位置との重なり領域を増加させることにより、磁気記録媒体における磁化反転が生じやすくなり、より高密度での記録を実現することができる。
【0064】
従来のTAMRヘッドと比較して、本発明が優れている点は、本発明によれば、磁気記録媒体における、加熱スポット領域と、記録磁界の勾配を含む領域との重なりを大きくすることができる点である。したがって、ここに説明した本実施の形態によって生成される熱アシスト特性は、従来よりも効果的であり、記録処理の際、より弱い印加磁界を用いても磁気記録媒体の磁化反転を生じさせることができる。ABSからリセスされたPG層は、磁気性能を向上させるとともに、データ密度を増加させるためのトレーリングシールド、またはリーディングシールドに適合し、PG層とABSとの間にある磁性層へと、徐々に磁束を集中させるように、傾斜されていてもよい。
【0065】
以上、いくつかの実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、本発明の趣旨から外れることがない限りにおいて、製造方法、プロセス、材料、構造などについての種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0066】
31…主磁極層、31e,33e…磁性層、32…プラズモン生成(PG)層、32v…尖端部、33…磁気コア、34…MCA構造、36…磁気シールド、37…光導波路、38…非磁性分離層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エアベアリング面と直交する第1の側面と、前記第1の側面と反対側に位置する第2の側面と、エアベアリング面に露出し、クロストラック方向における幅を有する第1のエッジを前記第1の側面と共に構成し、かつ、前記第2の側面と共に第2のエッジを構成する端面とを有する主磁極層と、
(b)光導波路と、
(c)前記主磁極層と面する第1の側面を形成する磁性コアと、前記磁性コアを覆い、前記光導波路と対向する尖端部へ向かうように収束し第2および第3の側面を形成するプラズモン生成層と、エアベアリング面に沿った端面とを含むプラズモンアンテナと、
(d)前記磁性コアと磁気的に結合し、前記プラズモン生成層とエアベアリング面との間に位置する磁性層と
を備え、
前記主磁極層は、記録動作の際に磁気記録媒体上に及ぶ記録磁界を生成し、
前記光導波路は、光源から前記プラズモンアンテナへ電磁放射を導くものであり、
前記プラズモン生成層は、前記光導波路からの電磁放射と結合したときに前記尖端部の近傍にエッジプラズモンモードを形成するものであり、
前記磁性層は、前記主磁極層からの磁束および前記エッジプラズモンモードのエネルギーを前記磁気記録媒体における局所領域に導き、その局所領域を加熱し、その保磁力および磁気異方性を低下させるものである
熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項2】
前記主磁極層の第1の側面は、前記プラズモンアンテナの第1の側面と接している
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項3】
前記主磁極層の第1の側面と前記プラズモンアンテナの第1の側面との間に設けられた非磁性分離層をさらに備えた
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項4】
前記磁性コアは、Co(コバルト),Fe(鉄)およびNi(ニッケル)のうちの1種以上の元素からなり、または、Co,FeおよびNiのうちの1種以上の元素と、B(ボロン),Si(ケイ素),Al(アルミニウム),Ta(タンタル),Ru(ルテニウム),O(酸素)およびN(窒素)のうちの1種以上の元素との化合物からなる
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項5】
前記プラズモン生成層は、Au(金),Ag(銀),Cu(銅),Al(アルミニウム),Ti(チタン),Ta(タンタル)およびGe(ゲルマニウム)のうちの1種以上を含む非磁性材料からなる
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項6】
前記光導波路は、エアベアリング面に露出した端面を有する
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項7】
前記光導波路は、エアベアリング面から後退した端面を有する
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項8】
前記プラズモン生成層の端面は、エアベアリング面から5nm以上100nm以下の距離に位置する
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記プラズモンアンテナは、エアベアリング面に平行な断面が三角形状を有し、
前記磁性層は、そのエアベアリング面に平行な断面が前記プラズモンアンテナと実質的に同じ三角形状を有し、前記主磁極層の第1のエッジと接している
請求項2記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記プラズモンアンテナは、エアベアリング面に平行な断面が三角形状を有し、
前記磁性層は、そのエアベアリング面に平行な断面が前記プラズモンアンテナと実質的に同じ三角形状を有し、前記主磁極層の第1の側面と対向する側面が前記非磁性分離層と接している
請求項3記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項11】
第1から第3の側面を有する磁気シールド層をさらに備え、
前記磁気シールド層の第1の側面はエアベアリング面に沿った面であり、
前記磁気シールド層の第2の側面は前記第1の側面と反対側に位置し、前記光導波路の端面と対向しており、
前記磁気シールド層の第3の側面は前記プラズモンアンテナの尖端部と対向し、前記光導波路の第1の側面と共通平面を構成している
請求項7記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項12】
前記光導波路はエアベアリング面から後退した端面を有し、
第1から第3の側面を有する磁気シールド層をさらに備え、
前記磁気シールド層の第1の側面はエアベアリング面に沿った面であり、
前記磁気シールド層の第2の側面は前記第1の側面と反対側に位置し、前記光導波路の端面と対向しており、
前記磁気シールド層の第3の側面は前記プラズモンアンテナの尖端部と対向し、前記光導波路の第1の側面と共通平面を構成している
請求項7記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項13】
前記プラズモンアンテナは三角形状の断面を有し、
前記磁性層は、
エアベアリング面と平行な断面が台形であり、
前記主磁極層の第1のエッジと接すると共にクロストラック方向において前記第1のエッジと同じ幅を有する第1の側面と、
前記第1の側面と反対側に位置し、前記第1のエッジよりも大きな幅を有する第2の側面とを含む
請求項2記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項14】
前記プラズモンアンテナは三角形状の断面を有し、
前記磁性層は、
エアベアリング面と平行な断面が長方形であり、
前記非磁性分離層と接すると共にクロストラック方向において前記第1のエッジと同じ幅を有する第1の側面と、
前記第1の側面と反対側に位置し、前記第1のエッジと実質的に同じ幅を有する第2の側面とを含む
請求項3記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項15】
前記光導波路は、エアベアリング面から後退しており、
第1から第3の側面を有する磁気シールド層をさらに備え、
前記磁気シールド層の第1の側面はエアベアリング面に露出しており、
前記磁気シールド層の第2の側面は前記磁気シールド層の第1の側面と反対側に位置し、前記光導波路の端面と対向しており、
前記磁気シールド層の第3の側面は前記プラズモンアンテナの尖端部と対向し、前記光導波路の第1の側面と共通平面を構成している
請求項13記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項16】
前記光導波路は、エアベアリング面から後退しており、
第1から第3の側面を有する磁気シールド層をさらに備え、
前記磁気シールド層の第1の側面はエアベアリング面に露出しており、
前記磁気シールド層の第2の側面は前記磁気シールド層の第1の側面と反対側に位置し、前記光導波路の端面と対向しており、
前記磁気シールド層の第3の側面は前記プラズモンアンテナの尖端部と対向し、前記光導波路の第1の側面と共通平面を構成している
請求項14記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項17】
前記プラズモン生成層の端面は、前記主磁極層から遠ざかり前記尖端部に近づくほどエアベアリング面に近づくように傾斜している
請求項1記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項18】
(a)エアベアリング面に露出した端面を有し、記録動作の際に磁気記録媒体上に及ぶ記録磁界を生成する主磁極層と、
(b)光導波路と、
(c)前記光導波路に対向する尖端部を含む三角形状の断面の下部、および前記主磁極層と接すると共に溝を有する上面を含む上部を有するプラズモン生成層と、前記溝を埋める磁性コアとを備えたプラズモンアンテナと、
(d)前記磁性コアと磁気的に結合し、前記プラズモン生成層とエアベアリング面との間に位置する磁性層と
を備え、
前記光導波路は、前記プラズモンアンテナと対向する側面を有し、光源から前記プラズモンアンテナへ電磁放射を導くものであり、
前記プラズモン生成層の下部および上部は、エアベアリング面に近い側において共通の傾斜した端面を構成し、
前記プラズモン生成層は、前記光導波路からの電磁放射と結合したときに前記尖端部の近傍にエッジプラズモンモードを形成するものであり、
前記磁性層は、前記主磁極層からの磁束および前記エッジプラズモンモードのエネルギーを前記磁気記録媒体における局所領域に導き、その局所領域を加熱し、その保磁力および磁気異方性を低下させるものである
熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項19】
(a)光導波路の上に誘電体層を形成してなる基体を用意する工程と、
(b)前記誘電体層の上面の一部に、尖端部に収束する1対の内面を含み、第1の方向へ延在する第1の溝を形成する工程と、
(c)第1の磁性層を、前記第1の方向において第1の長さに亘って延在するように、前記第1の溝の内面および前記誘電体層の上面を覆うように形成する工程と、
(d)前記第1の磁性層によって覆われていない領域における前記第1の溝の内面を少なくとも覆うようにプラズモン生成層を形成する工程と、
(e)前記プラズモン生成層および第1の磁性層を覆うように第2の磁性層を堆積させ、プラズモンアンテナを形成する工程と、
(f)前記第1の磁性層、第2の磁性層および誘電体層の端面を研磨することによりエアベアリング面を形成するラッピング工程と
を含み、
前記プラズモン生成層は、前記第1の溝の尖端部と接する下端よりも上端が前記エアベアリング面から遠い位置となるように傾斜した端面を有するように形成し、
前記ラッピング工程では、前記プラズモン生成層と前記エアベアリング面との間に前記第1の磁性層が残存するように研磨を行う
熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記プラズモン生成層を形成する工程では、
前記第1の溝と平行に延伸し、かつ前記第1の溝の上方に位置する第2の溝を上面の一部に含む上部をさらに形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項21】
前記第2の溝を埋めるように前記第2の磁性層を形成することで磁性コアを形成する
請求項20記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項22】
前記第1の溝を前記プラズモン生成層によって部分的に満たし、
前記第2の磁性層を、前記第1の溝を埋めることにより、磁性コアと、前記第1の溝と反対側において前記磁性コアと接する主磁極層とを形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項23】
前記第2の磁性層の上に非磁性分離層を形成したのち、その非磁性分離層の上に第3の磁性層を形成することにより主磁極層を形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項24】
前記磁性コアを、Co(コバルト),Fe(鉄)およびNi(ニッケル)のうちの1種以上の元素によって形成し、または、Co,FeおよびNiのうちの1種以上の元素と、B(ボロン),Si(ケイ素),Al(アルミニウム),Ta(タンタル),Ru(ルテニウム),O(酸素)およびN(窒素)のうちの1種以上の元素との化合物によって形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項25】
前記プラズモン生成層を、Au(金),Ag(銀),Cu(銅),Al(アルミニウム),Ti(チタン),Ta(タンタル)およびGe(ゲルマニウム)のうちの1種以上を含む非磁性材料によって形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項26】
エアベアリング面から5nm以上100nm以下の距離に端面が位置するように前記プラズモン生成層を形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。
【請求項27】
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層とを同一の材料によって形成する
請求項19記載の熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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