説明

熱交換器および空気調和機

【課題】扁平管とヘッダ集合管を備える熱交換器において、各扁平管における冷媒流量の差を縮小し、熱交換器の性能を充分に発揮させる。
【解決手段】室外熱交換器23において、各扁平管31,32は、一端が第1ヘッダ集合管60に接続され、他端が第2ヘッダ集合管70に接続される。室外熱交換器23には、主熱交換部51a〜51cと補助熱交換部52a〜52cが形成される。第2ヘッダ集合管70には、複数の部分空間71a〜71c,72a〜72cが形成される。第2ヘッダ集合管70に取り付けられた接続用配管76,77は、第1の端部76a,77aが主熱交換部51b,51cに対応する部分空間71b,71cに接続され、第2の端部76b,77bが補助熱交換部52a,52bに対応する部分空間72a,72bに接続される。各接続用配管76,77の第1の端部76a,77aは、隣接する扁平管31a,31bの中間壁部73,74と対向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のヘッダ集合管と、各ヘッダ集合管に接続する複数の扁平管とを備え、扁平管内を流れる流体を空気と熱交換させる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一対のヘッダ集合管と、各ヘッダ集合管に接続する複数の扁平管とを備えた熱交換器が知られている。特許文献1には、この種の熱交換器が開示されている。具体的に、特許文献1の熱交換器では、熱交換器の左端と右端にヘッダ集合管が一本ずつ立設され、第1のヘッダ集合管から第2のヘッダ集合管に亘って複数の扁平管が配置されている。そして、特許文献1の熱交換器は、扁平管の内部を流れる冷媒を、扁平管の外部を流れる空気と熱交換させる。
【0003】
また、特許文献2にも、扁平管を備える熱交換器が開示されている。特許文献2の熱交換器では、扁平管の伸長方向に複数のフィンが一定の間隔で配置されており、各フィンに形成された細長い挿通孔に扁平管が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−074609公報
【特許文献2】特開2003−00262485公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の熱交換器では、一方のヘッダ集合管に冷媒入口管が接続されており、この冷媒入口管からヘッダ集合管へ流入した冷媒が複数の扁平管へ分配される。ところが、この熱交換器では、ヘッダ集合管の内部空間において、冷媒入口管の端部と扁平管の端部とが対向している。このため、冷媒入口管から流出した冷媒は、主に冷媒入口管の端部と対向する扁平管へ流入することとなり、冷媒入口管の端部と対向しない扁平管へ流入する冷媒の流量が少なくなる。従って、この熱交換器では、各扁平管における冷媒の流量の差が大きくなり、熱交換器の性能が充分に発揮されないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一対のヘッダ集合管と複数の扁平管とを備える熱交換器において、各扁平管における冷媒の流量の差を縮小し、熱交換器の性能を充分に発揮させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、側面が対向するように配列された複数の扁平管(31,32)と、各扁平管(31,32)の一端が接続された第1ヘッダ集合管(60)と、各扁平管(31,32)の他端が接続された第2ヘッダ集合管(70)と、上記扁平管(31,32)に接合された複数のフィン(35,36)とを備え、上記扁平管(31,32)の内部を流れる流体が該扁平管(31,32)の外部を流れる空気と熱交換する熱交換器を対象とする。そして、それぞれが複数の上記扁平管(31,32)を有する主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分され、上記第1ヘッダ集合管(60)と上記第2ヘッダ集合管(70)のそれぞれには、上記主熱交換領域(51)の扁平管(31)が連通する主連通空間(61,71)と、上記補助熱交換領域(52)の扁平管(32)が連通する補助連通空間(62,72)とが形成され、上記第2ヘッダ集合管(70)には、第1の端部(76a,77a)が主連通空間(71)に接続して第2の端部(76b,77b)が補助連通空間(72)に接続する接続用配管(76,77)が取り付けられ、上記補助熱交換領域(52)の扁平管(32)を通過した流体が上記接続用配管(76,77)を通って上記主熱交換領域(51)の扁平管(31)へ流入する動作が可能となっており、上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、上記第2ヘッダ集合管(70)のうち互いに隣り合う二つの上記扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)に対向しているものである。
【0008】
第1の発明では、熱交換器(23)が主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)とに区分される。空気と熱交換する流体が補助熱交換領域(52)から主熱交換領域(51)へと流れる動作中の熱交換器(23)において、この流体は、第1ヘッダ集合管(60)の補助連通空間(62)と、補助熱交換領域(52)の扁平管(32)と、第2ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(72)と、接続用配管(76,77)と、第2ヘッダ集合管(70)の主連通空間(71)と、主熱交換領域(51)の扁平管(31)と、第1ヘッダ集合管(60)の主連通空間(61)とを順に通過する。その際、流体は、第2ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(72)から接続用配管(76,77)の第2の端部(76b,77b)へ流入し、続いて接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から第2ヘッダ集合管(70)の主連通空間(71)へ流入し、その後に主連通空間(71)に連通する複数の扁平管(31)へ分配される。
【0009】
第1の発明において、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、第2ヘッダ集合管(70)のうち互いに隣り合う二つの扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)に対向している。つまり、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、主連通空間(71)に接続する扁平管(31)の端部とは向かい合っておらず、第2ヘッダ集合管(70)のうち隣り合った扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)と向かい合っている。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した流体は、第2ヘッダ集合管(70)の内側面へ向かって吹き出され、その後に各扁平管(31)の内部へ流入する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記主熱交換領域(51)では、上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔が、それ以外の扁平管(31)同士の間隔よりも広くなっているものである。
【0011】
ここで、扁平管(31,32)同士の間隔が広すぎると、熱交換器(23)が大型化する。
一方、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔が狭すぎると、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の口径を充分に確保できなくなり、接続用配管(76,77)を通過する冷媒の圧力損失が増加してしまう。
【0012】
それに対し、第2の発明では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔が、それ以外の扁平管(31)同士の間隔よりも広くなっている。接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、第2ヘッダ集合管(70)のうち隣り合った扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)に対向している。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔を広げることによって、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の口径が確保される。また、それ以外の扁平管(31)同士の間隔を広げる必要がないため、熱交換器(23)の大型化が抑制される。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記主熱交換領域(51)は、それぞれが複数の上記扁平管(31)を有する複数の熱交換部(51a〜51c)に区分され、上記第2ヘッダ集合管(70)には、主連通空間(71)を各熱交換部(51a〜51c)に対応した複数の部分空間(71a〜71c)に仕切る仕切板(39c)が設けられ、上記仕切板(39c)は、上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間に配置されるものである。
【0014】
第3の発明では、主熱交換領域(51)が複数の熱交換部(51a〜51c)に区分される。第2ヘッダ集合管(70)には、その主連通空間(71)を仕切板(39c)で区画することによって、各熱交換部(51a〜51c)に対応した複数の部分空間(71a〜71c)が形成される。仕切板(39c)は、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間に配置される。従って、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、部分空間(71b,71c)の一方の端部に接続している。接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から部分空間(71b,71c)へ流入した流体は、仕切板(39c)とは反対側へ向かって流れ、その後に扁平管(31)の内部へ流入する。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜第3の何れか一つの発明において、上記フィン(36)は、上記扁平管(31,32)を差し込むための切り欠き部(45)が複数設けられた板状に形成され、上記扁平管(31,32)の伸長方向に互いに所定の間隔をおいて配置され、上記切り欠き部(45)の周縁で上記扁平管(31,32)を挟んでいるものである。
【0016】
第4の発明の熱交換器(23)では、複数の板状のフィン(36)が扁平管(31,32)の伸長方向に並んで配置され、これらフィン(36)の間を空気が通過する。フィン(36)には、複数の切り欠き部(45)が形成される。各フィン(36)では、切り欠き部(45)に扁平管(31,32)が差し込まれ、切り欠き部(45)の周縁が扁平管(31,32)を挟んでいる。
【0017】
第5の発明は、空気調和機を対象とする。そして、第1〜第4の何れか一つの発明の熱交換器(23)が設けられた冷媒回路(20)を備え、上記冷媒回路(20)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うものである。
【0018】
第5の発明の空気調和機(10)では、上記第1〜第4の何れか一つの発明の熱交換器(23)が冷媒回路(20)に接続される。熱交換器(23)において、冷媒回路(20)を循環する冷媒は、扁平管(31,32)の内部を流れ、扁平管(31,32)の外部を流れる空気と熱交換する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱交換器(23)において、第2ヘッダ集合管(70)の主連通空間(71)に接続する接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、第2ヘッダ集合管(70)のうち隣り合った扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)に対向している。従って、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した流体は、第2ヘッダ集合管(70)の内側面に当たってから扁平管(31)の内部へ流れ込む。このため、本発明の熱交換器(23)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した流体が一部の扁平管(31)だけに集中的に流れ込むことはない。従って、本発明によれば、各扁平管(31)における流体の流量の差を縮小することができ、熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることが可能となる。
【0020】
特に、上記第2の発明の主熱交換領域(51)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔が、それ以外の扁平管(31)同士の間隔よりも広くなっている。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔を広げることによって、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の口径を拡大することができ、その結果、接続用配管(76,77)を流れる流体の圧力損失を低減できる。また、この発明では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する扁平管(31a,31b)以外の扁平管(31)同士の間隔を広げずに、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の口径を確保できる。従って、この発明によれば、熱交換器(23)の大型化を抑えつつ接続用配管(76,77)を流れる流体の圧力損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態の室外熱交換器を備える空気調和機の概略構成を示す冷媒回路図である。
【図2】実施形態の室外熱交換器の概略構成を示す正面図である。
【図3】実施形態の室外熱交換器の正面を示す一部断面図である。
【図4】図3のA−A断面の一部を示す室外熱交換器の断面図である。
【図5】図3の室外熱交換器の要部を拡大して示す断面図である。
【図6】実施形態の変形例1の室外熱交換器の要部を拡大して示す図5相当の断面図である。
【図7】実施形態の変形例2の室外熱交換器の要部を拡大して示す図5相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
本実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
【0024】
−空気調和機−
空気調和機(10)について、図1を参照しながら説明する。
【0025】
〈空気調和機の構成〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
【0026】
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
【0027】
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出側が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。
【0028】
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
【0029】
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
【0030】
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
【0031】
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
【0032】
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
【0033】
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、図2〜5を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,32)の本数と、主熱交換部(51a〜51c)及び補助熱交換部(52a〜52c)の数は、何れも単なる一例である。
【0034】
〈室外熱交換器の構成〉
図2および図3に示すように、室外熱交換器(23)は、一つの第1ヘッダ集合管(60)と、一つの第2ヘッダ集合管(70)と、多数の扁平管(31,32)と、多数のフィン(36)とを備えている。第1ヘッダ集合管(60)、第2ヘッダ集合管(70)、扁平管(31,32)およびフィン(35)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
【0035】
なお、詳しくは後述するが、室外熱交換器(23)は、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分されている。この室外熱交換器(23)では、一部の扁平管(32)が補助熱交換領域(52)を構成し、残りの扁平管(31)が主熱交換領域(51)を構成している。
【0036】
第1ヘッダ集合管(60)と第2ヘッダ集合管(70)は、何れも両端が閉塞された細長い中空の筒状に形成されている。図2および図3では、室外熱交換器(23)の左端に第1ヘッダ集合管(60)が立設され、室外熱交換器(23)の右端に第2ヘッダ集合管(70)が立設されている。つまり、第1ヘッダ集合管(60)と第2ヘッダ集合管(70)は、それぞれの軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
【0037】
図4にも示すように、扁平管(31,32)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である。なお、図4には主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)だけが図示されているが、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)の形状は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の形状と同じである。ただし、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)と異なる形状のものであってもよい。例えば、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)よりも幅(空気の通過方向の幅)が広くてもよい。
【0038】
図3に示すように、室外熱交換器(23)において、複数の扁平管(31,32)は、その伸長方向が左右方向となり、それぞれの平坦な側面が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管(31,32)は、互いに所定の間隔をおいて上下に並んで配置され、それぞれの伸長方向が実質的に平行になっている。図3に示すように、各扁平管(31,32)は、その一端が第1ヘッダ集合管(60)に挿入され、その他端が第2ヘッダ集合管(70)に挿入されている。
【0039】
図4及び図5に示すように、各扁平管(31,32)には、複数の流体通路(34)が形成されている。各流体通路(34)は、扁平管(31,32)の伸長方向に延びる通路である。各扁平管(31,32)において、複数の流体通路(34)は、扁平管(31,32)の伸長方向と直交する幅方向に一列に並んでいる。各扁平管(31,32)に形成された複数の流体通路(34)は、それぞれの一端が第1ヘッダ集合管(60)の内部空間に連通し、それぞれの他端が第2ヘッダ集合管(70)の内部空間に連通している。室外熱交換器(23)へ供給された冷媒は、扁平管(31,32)の流体通路(34)を流れる間に空気と熱交換する。
【0040】
図4に示すように、フィン(36)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(36)には、フィン(36)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(36)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(45)が、多数形成されている。フィン(36)では、多数の切り欠き部(45)が、フィン(36)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(45)の風下寄りの部分は、管挿入部(46)を構成している。管挿入部(46)は、上下方向の幅が扁平管(31,32)の厚さと実質的に等しく、長さが扁平管(31,32)の幅と実質的に等しい。扁平管(31,32)は、フィン(36)の管挿入部(46)に挿入され、管挿入部(46)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(36)には、伝熱を促進するためのルーバー(40)が形成されている。そして、複数のフィン(36)は、扁平管(31,32)の伸長方向に配列されることで、隣り合う扁平管(31,32)の間を空気が流れる複数の通風路(38)に区画している。
【0041】
図2及び図3に示すように、室外熱交換器(23)は、上下に二つの熱交換領域(51,52)に区分されている。室外熱交換器(23)では、上側の熱交換領域が主熱交換領域(51)となり、下側の熱交換領域が補助熱交換領域(52)となっている。
【0042】
各熱交換領域(51,52)は、上下に三つずつの熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。つまり、室外熱交換器(23)では、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)のそれぞれが、複数且つ互いに同数の熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。なお、各熱交換領域(51,52)に形成される熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)の数は、二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0043】
具体的に、主熱交換領域(51)には、下から上に向かって順に、第1主熱交換部(51a)と、第2主熱交換部(51b)と、第3主熱交換部(51c)とが形成されている。補助熱交換領域(52)には、下から上に向かって順に、第1補助熱交換部(52a)と、第2補助熱交換部(52b)と、第3補助熱交換部(52c)とが形成されている。各主熱交換部(51a〜51c)と各補助熱交換部(52a〜52c)は、扁平管(31,32)が複数本ずつ備えている。また、図3に示すように、各主熱交換部(51a〜51c)を構成する扁平管(31)の本数は、各補助熱交換部(52a〜52c)を構成する扁平管(32)の本数よりも多くなっている。従って、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の本数は、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)の本数よりも多くなっている。
【0044】
主熱交換領域(51)を構成する複数の扁平管(31)は、原則的には互いに一定の間隔Dをおいて上下に配列されている。ただし、図4に示すように、主熱交換領域(51)では、隣り合う二つの主熱交換部(51a〜51c)の境界に位置するフィン(36)の切り欠き部(45)に扁平管(31)が挿入されていない。このため、主熱交換領域(51)では、第1主熱交換部(51a)と第2主熱交換部(51b)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31a)の間隔Dと、第2主熱交換部(51b)と第3主熱交換部(51c)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31b)の間隔Dとが、残りの扁平管(31)同士の間隔Dよりも長くなる(D>D,D>D)。なお、扁平管(31a)同士の間隔Dと扁平管(31b)同士の間隔Dは、互いに等しい(D=D)。
【0045】
図3に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間は、仕切板(39a)によって上下に仕切られている。第1ヘッダ集合管(60)では、仕切板(39a)の上側の空間が上側空間(61)となり、仕切板(39a)の下側の空間が下側空間(62)となっている。
【0046】
上側空間(61)は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間を構成している。上側空間(61)は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の全てと連通する単一の空間である。つまり、上側空間(61)は、各主熱交換部(51a〜51c)の扁平管(31)と連通している。
【0047】
下側空間(62)は、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間を構成している。下側空間(62)は、二枚の仕切板(39b)によって上下に仕切られている。つまり、下側空間(62)は、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では三つ)の連通空間(62a〜62c)に区画されている。最も下方に位置する第1連通空間(62a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第1連通空間(62a)の上方に位置する第2連通空間(62b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第3補助熱交換部(52c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
【0048】
図3に示すように、第2ヘッダ集合管(70)の内部空間は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間(71)と、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間(72)とに区分されている。
【0049】
主連通空間(71)は、二枚の仕切板(39c)によって上下に仕切られている。この仕切板(39c)は、主連通空間(71)を、主熱交換部(51a〜51c)と同数(本実施形態では三つ)の部分空間(71a〜71c)に区画している。最も下方に位置する第1部分空間(71a)は、第1主熱交換部(51a)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第1部分空間(71a)の上方に位置する第2部分空間(71b)は、第2主熱交換部(51b)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。最も上方に位置する第3部分空間(71c)は、第3主熱交換部(51c)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。
【0050】
補助連通空間(72)は、二枚の仕切板(39d)によって上下に仕切られている。この仕切板(39d)は、補助連通空間(72)を、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では三つ)の部分空間(72a〜72c)に区画している。最も下方に位置する第4部分空間(72a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第4部分空間(72a)の上方に位置する第5部分空間(72b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第6部分空間(72c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
【0051】
第2ヘッダ集合管(70)には、二本の接続用配管(76,77)が取り付けられている。これら接続用配管(76,77)は、何れも円管である。
【0052】
第1接続用配管(76)は、第1の端部(76a)が第2主熱交換部(51b)に対応する第2部分空間(71b)に接続され、第2の端部(76b)が第1補助熱交換部(52a)に対応する第4部分空間(72a)に接続される。第2接続用配管(77)は、第1の端部(77a)が第3主熱交換部(51c)に対応する第3部分空間(71c)に接続され、第2の端部(77b)が第2補助熱交換部(52b)に対応する第5部分空間(72b)に接続される。また、第2ヘッダ集合管(70)では、第3補助熱交換部(52c)に対応する第6部分空間(72c)と、第1主熱交換部(51a)に対応する第1部分空間(71a)とが、互いに連続した一つの空間を形成している。
【0053】
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1主熱交換部(51a)と第3補助熱交換部(52c)が直列に接続され、第2主熱交換部(51b)と第1補助熱交換部(52a)が直列に接続され、第3主熱交換部(51c)と第2補助熱交換部(52b)が直列に接続されている。
【0054】
図2に示すように、室外熱交換器(23)には、液側接続部材(80)とガス側接続部材(85)とが設けられている。液側接続部材(80)およびガス側接続部材(85)は、第1ヘッダ集合管(60)に取り付けられている。
【0055】
液側接続部材(80)は、一つの分流器(81)と、三本の細径管(82a〜82c)とを備えている。分流器(81)の下端部には、室外熱交換器(23)と膨張弁(24)を繋ぐ配管が接続されている。分流器(81)の上端部には、各細径管(82a〜82c)の一端が接続されている。分流器(81)の内部では、その下端部に接続された配管と、各細径管(82a〜82c)とが連通している。各細径管(82a〜82c)の他端は、対応する連通空間(62a〜62c)に接続されている。図3にも示すように、各細径管(82a〜82c)は、対応する連通空間(62a〜62c)の下端寄りの部分に開口している。なお、各細径管(82a〜82c)の長さは、各補助熱交換部(52a〜52c)へ流入する冷媒の流量の差がなるべく小さくなるように、個別に設定されている。
【0056】
ガス側接続部材(85)は、比較的大径の一つの配管で構成されている。ガス側接続部材(85)の一端は、室外熱交換器(23)と四方切換弁(22)の第3のポートを繋ぐ配管と接続されている。ガス側接続部材(85)の他端は、第1ヘッダ集合管(60)における上側空間(61)の上端寄りの部分に開口している。
【0057】
各接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の配置について、図5を参照しながら説明する。各接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、第2ヘッダ集合管(70)に対して、扁平管(31)とは逆側から挿入されている。
【0058】
第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)は、第1部分空間(71a)と第2部分空間(71b)を仕切る仕切板(39c)のすぐ上に配置されている。第2ヘッダ集合管(70)の長手方向(本実施形態では、上下方向)において、この仕切板(39c)と第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)とは、第1主熱交換部(51a)と第2主熱交換部(51b)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31a)の間に配置されている。
【0059】
より具体的に説明すると、この仕切板(39c)と第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)とは、第1主熱交換部(51a)と第2主熱交換部(51b)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31a)の一方よりも上方で、且つ他方よりも下方の位置に設けられている。第2ヘッダ集合管(70)では、第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)に隣接するこれら二つの扁平管(31a)の間の部分が、第1の中間壁部(73)となっている。そして、第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)は、隣接する扁平管(31a)の端部とは対向せず、第2ヘッダ集合管(70)の第1の中間壁部(73)と対向している。
【0060】
第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)は、第2部分空間(71b)と第3部分空間(71c)を仕切る仕切板(39c)のすぐ上に配置されている。第2ヘッダ集合管(70)の長手方向(本実施形態では、上下方向)において、この仕切板(39c)と第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)とは、第2主熱交換部(51b)と第3主熱交換部(51c)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31b)の間に配置されている。
【0061】
より具体的に説明すると、この仕切板(39c)と第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)とは、第2主熱交換部(51b)と第3主熱交換部(51c)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31b)の一方よりも上方で、且つ他方よりも下方の位置に設けられている。第2ヘッダ集合管(70)では、第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)に隣接するこれら二つの扁平管(31b)の間の部分が、第2の中間壁部(74)となっている。そして、第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)は、隣接する扁平管(31b)の端部とは対向せず、第2ヘッダ集合管(70)の第2の中間壁部(74)と対向している。
【0062】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/凝縮器の場合〉
空気調和機(10)の冷房運転中には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0063】
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が供給される。圧縮機(21)から送られたガス冷媒は、ガス側接続部材(85)を介して第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入した後、主熱交換領域(51)の各扁平管(31)へ分配される。主熱交換領域(51)の各主熱交換部(51a〜51c)において、扁平管(31)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気へ放熱して凝縮し、その後に第2ヘッダ集合管(70)の対応する各部分空間(71a〜71c)へ流入する。
【0064】
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ送られる。具体的に、主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入した冷媒は、下方へ流れ落ちて補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流れ込む。主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)へ流入し、第1接続用配管(76)を通って補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入する。主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)へ流入し、第2接続用配管(77)を通って補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入する。
【0065】
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。各扁平管(32)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気へ放熱して過冷却液となり、その後に第1ヘッダ集合管(60)の補助連通空間(62)の対応する連通空間(62a〜62c)へ流入する。その後、冷媒は、液側接続部材(80)の対応する細径管(82a〜82c)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0066】
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/蒸発器の場合〉
空気調和機(10)の暖房運転中には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0067】
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が供給される。膨張弁(24)から送られた冷媒は、液側接続部材(80)の分流器(81)へ流入した後に三本の細径管(82a〜82c)へ分かれて流入し、第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)の各連通空間(62a〜62c)へ分配される。
【0068】
第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)の連通空間(62a〜62c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。各扁平管(32)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気から吸熱し、一部の液冷媒が蒸発する。扁平管(32)の流体通路(34)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ流入する。この部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、依然として気液二相状態のままである。
【0069】
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、主連通空間(71)の対応する部分空間(71a〜71c)へ送られる。具体的に、補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)の第2の端部(76b)へ流入し、第1接続用配管(76)を通って主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入する。補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)の第2の端部(77b)へ流入し、第2接続用配管(77)を通って主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入する。補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流入した冷媒は、上方へ向かって流れて主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入する。
【0070】
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、対応する主熱交換部(51a〜51c)の各扁平管(31)へ分配される。各扁平管(31)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、実質的にガス単相状態となった後に、第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入する。その後、冷媒は、ガス側接続部材(85)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
【0071】
ここで、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出する冷媒の流れについて、図5を参照しながら詳しく説明する。
【0072】
上述したように、蒸発器として機能している室外熱交換器(23)の第2ヘッダ集合管(70)では、気液二相状態の冷媒が接続用配管(76,77)を通って主連通空間(71)の対応する部分空間(71b,71c)へ流入する。液冷媒の密度はガス冷媒の密度に比べて非常に大きいため、気液二相状態の冷媒が接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出する場合には、液冷媒が接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から真っ直ぐに噴き出す。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の正面に扁平管(31)の端部が配置されていると、この扁平管(31)へ液冷媒が集中的に流入することとなり、主熱交換部(51b,51c)の各扁平管(31)へ流入する冷媒の質量流量の差が拡大する。
【0073】
それに対し、本実施形態の第2ヘッダ集合管(70)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の正面に、扁平管(31a,31b)の端部ではなく中間壁部(73,74)が位置している。従って、第1接続用配管(76)の第1の端部(76a)から噴き出した冷媒は、先ず第2ヘッダ集合管(70)の第1の中間壁部(73)に衝突し、その後に第2部分空間(71b)内を上向きに流れて第2主熱交換部(51b)の各扁平管(31)へ分配されてゆく。同様に、第2接続用配管(77)の第1の端部(77a)から噴き出した冷媒は、先ず第2ヘッダ集合管(70)の第2の中間壁部(74)に衝突し、その後に第3部分空間(71c)内を上向きに流れて第3主熱交換部(51c)の各扁平管(31)へ分配されてゆく。このため、第2主熱交換部(51b)と第3主熱交換部(51c)のそれぞれでは、各扁平管(31)へ流入する冷媒の質量流量の差が縮小し、第2主熱交換部(51b)及び第3主熱交換部(51c)の性能が充分に発揮される。
【0074】
−実施形態の効果−
本実施形態の室外熱交換器(23)の第2ヘッダ集合管(70)では、各接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)が、第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間の中間壁部(73,74)に対向している。つまり、第2ヘッダ集合管(70)において、各接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)の正面には、扁平管(31)の端部ではなく、第2ヘッダ集合管(70)の一部分である中間壁部(73,74)が位置している。従って、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した冷媒は、中間壁部(73,74)に当たってから各扁平管(31)の流体通路(34)へ流れ込む。
【0075】
このため、本実施形態の室外熱交換器(23)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した冷媒が一部の扁平管(31)だけに集中的に流れ込むことはない。従って、本実施形態によれば、各扁平管(31)へ流入する冷媒の流量の差を縮小することができ、室外熱交換器(23)の性能を充分に発揮させることが可能となる。
【0076】
ところで、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する際には、気液二相状態の冷媒が接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出する。一方、本実施形態の室外熱交換器(23)の第2ヘッダ集合管(70)では、上述したように、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)が中間壁部(73,74)と向かい合っている。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した冷媒は、中間壁部(73,74)に当たることによってその流れが乱され、液冷媒とガス冷媒が混合された状態で各扁平管(33)へ分配される。従って、本実施形態によれば、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出する気液二相状態の冷媒を、各扁平管(33)へなるべく均等に分配することができる。
【0077】
また、本実施形態の室外熱交換器(23)の主熱交換領域(51)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔D,Dが、それ以外の扁平管(31)同士の間隔Dよりも広くなっている。このため、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔D,Dを広げることによって、接続用配管(76,77)の管径を拡大することができ、その結果、接続用配管(76,77)を流れる冷媒の圧力損失を低減できる。また、本実施形態では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する扁平管(31a,31b)以外の扁平管(31)同士の間隔Dを広げずに、接続用配管(76,77)の管径を拡大できる。従って、本実施形態によれば、室外熱交換器(23)の大型化を抑えつつ接続用配管(76,77)を流れる冷媒の圧力損失を低減できる。
【0078】
ところで、複数の扁平管を備える熱交換器としては、本実施形態の室外熱交換器(23)のような板状のフィン(36)を備えるものの他に、波板状に形成されたコルゲートフィンを備えるものが知られている。このコルゲートフィンを備える熱交換器では、上下に配列された扁平管の間にコルゲートフィンが一つずつ配置される。つまり、各コルゲートフィンは、隣り合った二つの扁平管に挟み込まれている。このため、一部の扁平管の間隔を他の扁平管の間隔よりも広げるには、高さの異なる複数種類のコルゲートフィンが必要となる。
【0079】
これに対し、本実施形態の室外熱交換器(23)では、切り欠き部(45)が形成された板状のフィン(36)が、扁平管(31,32)の伸長方向に配列されている。更に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、各フィン(36)の一部の切り欠き部(45)に扁平管(31)を設けない構造を採用することによって、一部の扁平管(31a,31b)同士の間隔D,Dを、他の扁平管(31,32)同士の間隔Dよりも広げている(図4を参照)。従って、本実施形態によれば、一部の扁平管(31a,31b)同士の間隔D,Dが他の扁平管(31,32)同士の間隔Dよりも広くなった構造の室外熱交換器(23)を、一種類のフィン(36)を用いて実現することができる。
【0080】
−実施形態の変形例1−
図6に示すように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)同士の間隔が一定であってもよい。具体的には、第1主熱交換部(51a)と第2主熱交換部(51b)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31a)の間隔Dと、第2主熱交換部(51b)と第3主熱交換部(51c)の境界を挟んで上下に隣り合う二つの扁平管(31b)の間隔Dとが、残りの扁平管(31)同士の間隔Dと等しくてもよい(D=D=D)。
【0081】
接続用配管(76,77)の管径に対して主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)同士の間隔が充分に広い場合は、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する扁平管(31a,31b)同士の間隔D,Dを、他の扁平管(31)同士の間隔Dよりも広げる必要はない。従って、この場合は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)同士の間隔が一定であっても、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)から流出した気液二相状態の冷媒が、その第1の端部(76a,77a)に隣接する扁平管(31a,31b)へ集中的に流入することはない。
【0082】
−実施形態の変形例2−
図7に示すように、本実施形態の室外熱交換器(23)には、板状のフィン(36)に代えて波形のフィン(35)が設けられていてもよい。このフィン(35)は、いわゆるコルゲートフィンであって、上下に蛇行する波形に形成されている。そして、このフィン(35)は、上下に隣り合った扁平管(31,32)の間に一つずつ配置されている。
【0083】
なお、図7は、図5に示す室外熱交換器(23)に本変形例を適用したものを示している。この図7に示す室外熱交換器(23)では、接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間に配置されたフィン(35a)の高さが、残りの扁平管(31)の間に配置されたフィン(35)よりも高くなっている。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、複数の扁平管がヘッダ集合管に接続された熱交換器およびそれを備えた空気調和機について有用である。
【符号の説明】
【0085】
10 空気調和機
20 冷媒回路
23 室外熱交換器(熱交換器)
31,31a,31b 扁平管
32 扁平管
35,36 フィン
39c 仕切板
45 切り欠き部
51 主熱交換領域
51a 第1主熱交換部(熱交換部)
51b 第2主熱交換部(熱交換部)
51c 第3主熱交換部(熱交換部)
52 補助熱交換領域
60 第1ヘッダ集合管
61 上側空間(主連通空間)
62 下側空間(補助連通空間)
70 第2ヘッダ集合管
71 主連通空間
71a 第1部分空間(部分空間)
71b 第2部分空間(部分空間)
71c 第3部分空間(部分空間)
72 補助連通空間
73 第1の中間壁部
74 第2の中間壁部
76 第1接続用配管(接続用配管)
76a 第1の端部
76b 第2の端部
77 第2接続用配管(接続用配管)
77a 第1の端部
77b 第2の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が対向するように配列された複数の扁平管(31,32)と、各扁平管(31,32)の一端が接続された第1ヘッダ集合管(60)と、各扁平管(31,32)の他端が接続された第2ヘッダ集合管(70)と、上記扁平管(31,32)に接合された複数のフィン(35,36)とを備え、
上記扁平管(31,32)の内部を流れる流体が該扁平管(31,32)の外部を流れる空気と熱交換する熱交換器であって、
それぞれが複数の上記扁平管(31,32)を有する主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)に区分され、
上記第1ヘッダ集合管(60)と上記第2ヘッダ集合管(70)のそれぞれには、上記主熱交換領域(51)の扁平管(31)が連通する主連通空間(61,71)と、上記補助熱交換領域(52)の扁平管(32)が連通する補助連通空間(62,72)とが形成され、
上記第2ヘッダ集合管(70)には、第1の端部(76a,77a)が主連通空間(71)に接続して第2の端部(76b,77b)が補助連通空間(72)に接続する接続用配管(76,77)が取り付けられ、
上記補助熱交換領域(52)の扁平管(32)を通過した流体が上記接続用配管(76,77)を通って上記主熱交換領域(51)の扁平管(31)へ流入する動作が可能となっており、
上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)は、上記第2ヘッダ集合管(70)のうち互いに隣り合う二つの上記扁平管(31a,31b)の間の部分(73,74)に対向していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
上記主熱交換領域(51)では、上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間隔が、それ以外の扁平管(31)同士の間隔よりも広くなっていることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項2において、
上記主熱交換領域(51)は、それぞれが複数の上記扁平管(31)を有する複数の熱交換部(51a〜51c)に区分され、
上記第2ヘッダ集合管(70)には、主連通空間(71)を各熱交換部(51a〜51c)に対応した複数の部分空間(71a〜71c)に仕切る仕切板(39c)が設けられ、
上記仕切板(39c)は、上記接続用配管(76,77)の第1の端部(76a,77a)に隣接する二つの扁平管(31a,31b)の間に配置されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
上記フィン(36)は、上記扁平管(31,32)を差し込むための切り欠き部(45)が複数設けられた板状に形成され、上記扁平管(31,32)の伸長方向に互いに所定の間隔をおいて配置され、上記切り欠き部(45)の周縁で上記扁平管(31,32)を挟んでいることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の熱交換器(23)が設けられた冷媒回路(20)を備え、
上記冷媒回路(20)において冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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