説明

熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置及び表面メッキ処理方法

【課題】熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、該扁平多孔チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることのできる、熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る表面メッキ処理装置1は、無電解亜鉛メッキ液11が含浸された軟質体2A、2Bと、熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ50をその長さ方向に沿って移送する移送手段3と、を備え、前記移送手段3によって移送される前記チューブ50の外面の少なくとも一部に、前記軟質体2A、2Bが接触するように配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用途等の用途で空調機器用熱交換器(エバポレーター、コンデンサ、ラジエーター等)に使用されるアルミニウム製扁平多孔チューブに孔食防止のための表面亜鉛メッキ処理を行う表面亜鉛メッキ処理装置及び処理方法に関する。
【0002】
なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
【0003】
また、この明細書及び特許請求の範囲において、「軟質体」の語は、扁平多孔チューブとの接触により接触部位の外形形状が凹み変形可能なものは全て包含する意味で用いており、例えば、連続気泡構造の発泡樹脂軟質成形体のほか、刷毛体等も含む意味で用いている。
【背景技術】
【0004】
自動車に設置される空調機器用熱交換器(エバポレーター、コンデンサ、ラジエーター等)に使用されるアルミニウム製扁平多孔チューブは、屋外の様々な雰囲気、環境に晒されるので、腐食防止性、特に孔食防止性に優れていることが要求される。
【0005】
このような孔食防止のために、従来より、アルミニウム芯材の表面に該芯材よりも電位の卑な材料を皮付けして犠牲陽極とし、これによって孔食の進行を皮層(犠牲陽極)のみで制御できるようにし、アルミニウム芯材が腐食されずに残存するようにした技術が種々提案されている。
【0006】
例えば、アルミニウム芯材の表面に金属亜鉛を鍍着した後、熱処理により亜鉛をアルミニウム中に拡散せしめ、アルミニウム表面に亜鉛濃度が表面から内部に向かって漸減するような亜鉛の濃度勾配を有するアルミニウム−亜鉛合金拡散層を形成せしめることによって、孔食発生を防止する技術が公知である(特許文献1参照)。
【0007】
しかして、自動車用の熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの表面にこのような亜鉛メッキをする場合には、例えば特許文献2に記載されているように、扁平多孔チューブを、フッ化亜鉛を含有したメッキ液からなる浸漬浴に浸漬することによって、チューブの表面に亜鉛析出層を形成させる方法が一般的であるが、このような浸漬法を採用した場合には、チューブに微小な孔状欠陥が存在すると、この孔状欠陥からメッキ液がチューブの内部に侵入して、チューブ内部に意図しない亜鉛メッキ層が形成されて、チューブが腐食しやすくなるという問題があった。このアルミニウム製扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬して亜鉛メッキする場合には、押出加工によって連続して押し出されてくる扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬する方法や、コイル状に巻き取られたチューブを連続して引き出しつつメッキ液に浸漬する方法があるが、このような長く連続したチューブの1箇所でも微小な貫通孔(ピンホール)が存在すると、チューブ内部へメッキ液が侵入し、このために例えば数キロメートルにも及ぶチューブの全体が不良品として廃棄処分されることになるから、このような浸漬法は、コスト、生産性、環境等の観点から大きな問題を抱えていた。
【0008】
このような大きな問題があることから、メッキ液への浸漬による湿式法は、実施されていなかった。
【0009】
これに対し、押出直後のアルミニウム多孔チューブの表面に亜鉛の粉末を吹き付けて、該押出材の余熱を利用して亜鉛を溶融、拡散せしめ、押出と同時に表面に亜鉛を連続的に被覆する乾式法が提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
また、乾式法による亜鉛被覆方法としては、押出直後のアルミニウム多孔チューブの表面に、座屈を生じない厚みを有する金属亜鉛スラブを直角に押し付けることによって、押出と同時に表面に亜鉛を連続的に被覆する方法も提案されている(特許文献4参照)。
【0011】
また、乾式法による亜鉛被覆方法としては、アルミニウム製扁平多孔チューブの表面に亜鉛を溶射することによって表面に亜鉛を被覆する方法(特許文献5参照)が公知であり、近年はこの亜鉛溶射法が多く採用されている。
【特許文献1】特公昭43−22166号公報
【特許文献2】特開昭59−205467号公報
【特許文献3】特開昭64−280号公報
【特許文献4】特開昭58−157522号公報
【特許文献5】特開2004−83954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、自動車に設置される空調機器用熱交換器(エバポレーター、コンデンサ、ラジエーター等)に使用されるアルミニウム製扁平多孔チューブは、自動車の走行性能を向上させるために、従来よりもさらなる軽量化を図ることが求められており、このような軽量化のためには扁平多孔チューブの薄肉化を実現することが不可欠となっている。
【0013】
しかるに、上記亜鉛溶射法により表面に亜鉛被覆層が形成されたアルミニウム製扁平多孔チューブでは、このような薄肉化の要請に十分に対応することはできなかった。即ち、溶射法によりアルミニウム製扁平多孔チューブの表面に亜鉛を被覆した場合、表面に溶射された亜鉛は粒状であるが、この粒状亜鉛(101)の大きさは均一ではなく大きさがばらついており、図9に示すように、溶射された亜鉛粒の大きさが小さい箇所では腐食シロ(Zn拡散層)が浅いものの、溶射された亜鉛粒の大きさが大きい箇所では腐食シロ(Zn拡散層)(D)が深くなるので、この亜鉛粒の大きさが大きい箇所での深い腐食シロ(D)を十分に考慮してチューブの管壁(102)の残留肉厚(T)を設計しなければならないために、チューブをさらに薄肉化することができない、即ちチューブの軽量化を十分に図ることができないという問題があった。
【0014】
勿論、溶射される亜鉛粒の大きさを小さく均一に制御することが可能であれば、この溶射技術を用いて、さらなる薄肉化の実現も可能と考えられるが、現状の溶射技術では溶射亜鉛の液滴の大きさを現状より小さく且つ均一に制御するのは困難である。
【0015】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、該扁平多孔チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることのできる、熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置及び表面メッキ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0017】
[1]無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体と、
熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って移送する移送手段と、を備え、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記軟質体が接触するように配置されていることを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0018】
[2]上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って略水平状態で移送する移送手段と、
前記チューブが移送される途中位置に配置され、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体と、
前記第1軟質体に対して前記チューブ移送方向の前方位置に配置され、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体と、を備え、
前記移送手段によって移送されている前記チューブは、前記第1軟質体と前記第2軟質体の間において、該チューブの軸線を回転中心として捻りが加えられることによって、上下反転するものとなされ、
前記チューブは、前記上下反転前において、その一方の扁平面が下側になった状態で略水平状態で移送され、該チューブの下側の一方の扁平面に、前記第1軟質体が接触するように配置され、
前記チューブは、前記上下反転後において、その他方の扁平面が下側になった状態で略水平状態で移送され、該チューブの下側の他方の扁平面に、前記第2軟質体が接触するように配置されていることを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0019】
[3]前記移送手段は、少なくとも押出機を備えてなり、
前記チューブは、前記押出機から押し出されることによって移送されるものとなされている前項2に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0020】
[4]前記移送手段は、少なくとも巻取コイルを備えてなり、
前記チューブは、前記巻取コイルに巻き取られた状態から引き出されて移送されるものとなされている前項2に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0021】
[5]前記移送手段は、少なくとも押出機を備えてなり、
前記チューブは、前記押出機から押し出されることによって略水平状態で移送されるものとなされ、該略水平状態で移送される前記チューブの下面に、前記軟質体が接触するように配置されている前項1に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0022】
[6]前記移送手段は、少なくとも巻取コイルを備えてなり、
前記チューブは、前記巻取コイルに巻き取られた状態から引き出されて略水平状態で移送されるものとなされ、該略水平状態で移送される前記チューブの下面に、前記軟質体が接触するように配置されている前項1に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0023】
[7]前記軟質体は、多孔質軟質体からなり、該多孔質軟質体の外表面に、前記チューブとの接触の際に面接触することが可能な平面部が形成され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記多孔質軟質体の平面部が面接触するように配置されている前項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0024】
[8]前記軟質体は、多孔質軟質体からなり、該多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成されると共に該軟質体の中心軸線を回転軸として回転可能に支持され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記多孔質軟質体の外周面が接触するように配置されている前項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0025】
[9]無電解亜鉛メッキ液を含んだメッキ浴槽をさらに備え、
前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の少なくとも一部が、前記メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されている前項8に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0026】
[10]前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の内部に前記無電解亜鉛メッキ液が供給されるものとなされている前項8に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0027】
[11]前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体は、前記チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して回転する前項8〜10のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0028】
[12]前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体を所定の回転速度で回転させる回転駆動手段をさらに備える前項8〜10のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0029】
[13]前記軟質体は、無端ベルト状に形成された多孔質軟質体からなり、該無端ベルト状の多孔質軟質体は、周回移動可能に支持され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記無端ベルト状の多孔質軟質体の外周面が接触するように配置されている前項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0030】
[14]無電解亜鉛メッキ液を含んだメッキ浴槽をさらに備え、
前記無端ベルト状の多孔質軟質体の少なくとも一部が、前記メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されている前項13に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0031】
[15]前記無端ベルト状の多孔質軟質体の内周面に前記無電解亜鉛メッキ液が供給されるものとなされている前項13に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0032】
[16]前記無端ベルト状の多孔質軟質体は、前記チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して周回移動する前項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0033】
[17]前記無端ベルト状の多孔質軟質体を所定の周回移動速度で移動させる周回駆動手段をさらに備える前項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0034】
[18]前記メッキ浴槽内に無電解亜鉛メッキ液が供給されると共に、前記メッキ浴槽から無電解亜鉛メッキ液がオーバーフロー可能なように構成され、前記メッキ浴槽内におけるメッキ液の液面が一定高さに維持されるものとなされている前項9または14に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【0035】
[19]移送されている熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの外面の少なくとも一部に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体を接触させることによって、前記チューブの外面の少なくとも一部に無電解亜鉛メッキを行うことを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理方法。
【0036】
[20]上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って略水平状態で移送し、該略水平状態で移送されるチューブの下側の一方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体を接触させる工程と、
前記チューブをさらに移送しながら該チューブの軸線を回転中心として捻りを加えることによって該チューブを上下反転させる工程と、
前記上下反転後において略水平状態で移送されるチューブの下側の他方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体を接触させる工程と、を含むことを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理方法。
【0037】
[21]前項19または20に記載の表面メッキ処理方法で処理して得られた熱交換器用扁平多孔チューブ。
【発明の効果】
【0038】
[1]の発明では、移送手段によって移送される扁平多孔チューブの外面の少なくとも一部に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体が接触するように構成されているから、該チューブの外面の少なくとも一部に無電解亜鉛メッキを行うことができて、従来の亜鉛溶射法と比較してより薄く且つ均一に亜鉛を付着させることができる。また、従来の浸漬法のように扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬するものではないから、該チューブに微小な貫通孔(ピンホール)が存在したとしても、チューブ内部へのメッキ液の侵入は防止される。このように本発明のメッキ処理装置によれば、チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができて、チューブの管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。
【0039】
[2][3][4]の発明では、上下反転前の略水平状態で移送されるチューブの下側の一方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体が接触し、上下反転後の略水平状態で移送されるチューブの下側の他方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体が接触するから、チューブの上下両方の扁平面に無電解亜鉛メッキを行うことができ、チューブの上下の扁平面に、従来の亜鉛溶射法と比較してより薄く且つ均一に亜鉛を付着させることができる。また、従来の浸漬法のように扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬するものではないから、該チューブに微小な貫通孔(ピンホール)が存在したとしても、チューブ内部へのメッキ液の侵入は防止される。このように本発明のメッキ処理装置によれば、チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができて、チューブの管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。また、チューブの上下反転の前後のいずれにおいても、略水平状態で移送されるチューブの下側に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体が接触するので、重力によりメッキ液が軟質体から液垂れしてもチューブ内部へのメッキ液の侵入は確実に防止される。更に、移送されているチューブに対してその軸線を回転中心として捻りが加えられることによってチューブが上下反転するものとなされているから、連続した一連の移送途中においてチューブの上下両方の扁平面に無電解亜鉛メッキを行うことができるので、処理効率を向上できて生産性に優れている。
【0040】
[5]及び[6]の発明では、略水平状態で移送されるチューブの下面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体が接触するように配置されているので、重力によりメッキ液が軟質体から液垂れしてもチューブ内部へのメッキ液の侵入は確実に防止される。
【0041】
[7]の発明では、多孔質軟質体の外表面に、チューブとの接触の際に面接触することが可能な平面部が形成されているから、チューブに多孔質軟質体が接触する際の接触面積を増大させることができ、亜鉛メッキの処理効率を向上させることができる。
【0042】
[8]の発明では、回転可能に支持された外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の外周面に、移送されているチューブの外面が接触するものとなされているから、チューブに多孔質軟質体が接触する際に該チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液を均一に塗布することができる。
【0043】
[9]の発明では、多孔質軟質体の少なくとも一部が、メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されているから、多孔質軟質体の外周面に無電解亜鉛メッキ液を安定して供給することができ、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液をより均一に塗布することができる。
【0044】
[10]の発明では、多孔質軟質体の内部に無電解亜鉛メッキ液が供給されるので、多孔質軟質体の外周面に無電解亜鉛メッキ液を安定して供給することができ、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液をより均一に塗布することができる。
【0045】
[11]の発明では、多孔質軟質体は、チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して回転する構成であるから、例えば回転駆動手段等を付設する必要がなく、装置の構成を簡略化することができ、設備コストを低減できる利点がある。
【0046】
[12]の発明では、多孔質軟質体を所定の回転速度で回転させる回転駆動手段をさらに備えた構成であるから、回転速度を調整することにより、チューブの外面への無電解亜鉛メッキ液の塗布量を精度高く所定量に調整することができる。
【0047】
[13]の発明では、周回移動可能に支持された無端ベルト状の多孔質軟質体の外周面に、移送されているチューブの外面が接触するものとなされているから、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液を均一に塗布することができる。
【0048】
[14]の発明では、多孔質軟質体の少なくとも一部が、メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されているから、多孔質軟質体の外周面に無電解亜鉛メッキ液を安定して供給することができ、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液をより均一に塗布することができる。
【0049】
[15]の発明では、多孔質軟質体の内周面に無電解亜鉛メッキ液が供給されるので、多孔質軟質体の外周面に無電解亜鉛メッキ液を安定して供給することができ、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液をより均一に塗布することができる。
【0050】
[16]の発明では、多孔質軟質体は、チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して周回移動する構成であるから、例えば回転駆動手段等を付設する必要がなく、装置の構成を簡略化することができ、設備コストを低減できる利点がある。
【0051】
[17]の発明では、無端ベルト状の多孔質軟質体を所定の周回移動速度で移動させる周回駆動手段をさらに備えた構成であるから、周回移動速度を調整することによって、チューブの外面への無電解亜鉛メッキ液の塗布量を精度高く所定量に調整することができる。
【0052】
[18]の発明では、メッキ浴槽内に無電解亜鉛メッキ液が供給されると共に、メッキ浴槽から無電解亜鉛メッキ液がオーバーフロー可能なように構成され、メッキ浴槽内におけるメッキ液の液面が一定高さに維持されるものとなされているから、多孔質軟質体の外周面に無電解亜鉛メッキ液をより安定して供給することができ、チューブの外面に無電解亜鉛メッキ液をより一層均一に塗布することができる。なお、前記メッキ浴槽内に供給される無電解亜鉛メッキ液としては、所定濃度に濃度調整されたものであるのが好ましく、この場合にはメッキ浴槽内のメッキ液の濃度をより安定させることができる。
【0053】
[19]の発明では、移送されている熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの外面の少なくとも一部に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体を接触させることによって、チューブの外面の少なくとも一部に無電解亜鉛メッキを行うから、従来の亜鉛溶射法と比較してより薄く且つ均一に亜鉛を付着させることができる。また、従来の浸漬法のように扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬するものではないから、該チューブに微小な貫通孔(ピンホール)が存在したとしても、チューブ内部へのメッキ液の侵入は防止される。このように本発明のメッキ処理方法によれば、チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができて、チューブの管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。
【0054】
[20]の発明では、略水平状態で移送されるチューブの下側の一方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体を接触せしめ、チューブをさらに移送しながら該チューブの軸線を回転中心として捻りを加えていくことによって該チューブを上下反転させた後、略水平状態で移送されるチューブの下側の他方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体を接触させるから、チューブの上下両方の扁平面に無電解亜鉛メッキを行うことができ、従来の亜鉛溶射法と比較してより薄く且つ均一に亜鉛を付着させることができる。また、従来の浸漬法のように扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬するものではないから、該チューブに微小な貫通孔(ピンホール)が存在したとしても、チューブ内部へのメッキ液の侵入は防止される。このようにこのメッキ処理方法によれば、チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができて、チューブの管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。また、チューブの上下反転の前後のいずれにおいても、略水平状態で移送されるチューブの下側に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体を接触させるので、重力によりメッキ液が軟質体から液垂れしてもチューブ内部へのメッキ液の侵入は確実に防止される。更に、チューブを移送しながら該チューブの軸線を回転中心として捻りを加えていくことによって該チューブを上下反転させるから、連続した一連の移送途中においてチューブの上下両方の扁平面に無電解亜鉛メッキを行うことができて、メッキ処理の処理効率を向上させることができる。
【0055】
[21]の発明に係る熱交換器用扁平多孔チューブは、孔食防止性に優れると共に、管壁の薄肉化により十分に軽量化されたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
この発明に係る、熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置(1)の一実施形態を図1に示す。この図1において、(2A)(2B)は軟質体、(3)は移送手段である。
【0057】
前記移送手段(3)は、熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ(50)をその長さ方向に沿って略水平状態で移送する手段であり、本実施形態では、押出機(21)を備えてなる。即ち、上下両面に扁平面(51)(52)を有した熱交換器用扁平多孔チューブ(50)は、図1に示すように、この押出機(21)の押出口から押し出されることによって略水平状態で移送されるものとなされている。
【0058】
前記押出機(21)の押出方向の前方位置に、即ち前記扁平多孔チューブ(50)の移送方向の前方位置に、第1多孔質軟質体(2A)が配置されている。前記第1多孔質軟質体(2A)としては、例えば多孔連通構造を備えた保水性の多孔質軟質体等が用いられる。本実施形態では、前記第1多孔質軟質体(2A)は外形形状が略円柱形状に形成され、該略円柱形状の第1多孔質軟質体(2A)の軸線位置に回転軸(17)が挿通されて接合固定されている。前記第1多孔質軟質体(2A)は、その軸線方向が、前記チューブ(50)の移送方向に対して直交する状態に配置されている。この回転軸(17)は、回転駆動手段(15)によって所定の回転速度で回転するように制御される。
【0059】
なお、前記第1多孔質軟質体(2A)は、前記扁平多孔チューブ(50)の外面が第1多孔質軟質体(2A)の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して回転するように構成されていても良い。
【0060】
前記第1多孔質軟質体(2A)の下方位置には、中に無電解亜鉛メッキ液(11)を有したメッキ浴槽(10)が配置されている。しかして、前記第1多孔質軟質体(2A)の一部が、前記メッキ浴槽(10)内の無電解亜鉛メッキ液(11)に浸漬されている(図1参照)。前記メッキ浴槽(10)には、供給管(12)を介して所定濃度に調整された無電解亜鉛メッキ液(11)が供給されるものとなされる一方、前記メッキ浴槽(10)の側壁の上方位置に排出管(13)が取り付けられ、該メッキ浴槽(10)からこの排出管(13)を介して無電解亜鉛メッキ液(11)がオーバーフロー可能なように構成され、こうして前記メッキ浴槽(10)内におけるメッキ液(11)の液面が一定高さに保持されるものとなされている。
【0061】
また、前記第1多孔質軟質体(2A)に対して前記チューブ(50)の移送方向の前方位置に第2多孔質軟質体(2B)が配置されている。前記第2多孔質軟質体(2B)としては、例えば多孔連通構造を備えた保水性の多孔質軟質体等が用いられる。本実施形態では、前記第2多孔質軟質体(2B)は外形形状が略円柱形状に形成され、該略円柱形状の第2多孔質軟質体(2B)の軸線位置に回転軸(18)が挿通されて接合固定されている。前記第2多孔質軟質体(2B)は、その軸線方向が、前記チューブ(50)の移送方向に対して直交する状態に配置されている。この回転軸(18)は、回転駆動手段(15)によって所定の回転速度で回転するように制御される。
【0062】
なお、この第2多孔質軟質体(2B)は、前記扁平多孔チューブ(50)の外面が第2多孔質軟質体(2B)の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して回転するように構成されていても良い。
【0063】
前記第2多孔質軟質体(2B)の下方位置にも、中に無電解亜鉛メッキ液(11)を有したメッキ浴槽(10)が配置されている。また、前記第2多孔質軟質体(2B)の一部が、前記メッキ浴槽(10)内の無電解亜鉛メッキ液(11)に浸漬されている(図1参照)。前記メッキ浴槽(10)には、供給管(12)を介して所定濃度に調整された無電解亜鉛メッキ液(11)が供給されるものとなされる一方、前記メッキ浴槽(10)の側壁の上方位置に排出管(13)が取り付けられ、該メッキ浴槽(10)からこの排出管(13)を介して無電解亜鉛メッキ液(11)がオーバーフロー可能なように構成され、こうして前記メッキ浴槽(10)内におけるメッキ液(11)の液面が一定高さに保持されるものとなされている。
【0064】
しかして、上記表面メッキ処理装置(1)を用いて熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ(50)の上下両面の扁平面(51)(52)に無電解亜鉛メッキ処理を行うに際しては、図2(a)に示すように、前記押出機(21)の押出口から押し出されることによって略水平状態で移送されている扁平多孔チューブ(50)の先端部をヤットコ(30)で挟んだ後、前記第1多孔質軟質体(2A)と前記第2多孔質軟質体(2B)の間の位置において(図1参照)、前記挟み付け状態のヤットコ(30)を約180度回転させることによって、前記チューブ(50)の軸線を回転中心(捻り中心)として捻りを加えて該チューブ(50)を上下反転せしめる(図2(b)参照)。しかる後、図2(c)に示すように、チューブ(50)の先端部を巻取コイル(31)に巻き付けていくと、前記押出機(21)から押し出された扁平多孔チューブ(50)は、前記巻取コイル(31)に巻き取られていく。
【0065】
しかして、前記押出機(21)からの扁平多孔チューブ(50)の押出が継続されると、図1に示すように、チューブ(50)は、前記第1多孔質軟質体(2A)と前記第2多孔質軟質体(2B)の間の位置において自然に(即ち何らの手段を要することなく)その軸線を回転中心(捻り中心)として捻りが加えられて上下反転するものとなる。
【0066】
即ち、前記チューブ(50)は、前記押出機(21)から押し出されたのち上下反転するまでは、その一方の扁平面(51)が下側になった状態で略水平状態で移送され、このチューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に、前記第1多孔質軟質体(2A)が接触するように配置されている。この時、第1多孔質軟質体(2A)は、軟質であるので、チューブ(50)との接触によって窪んでチューブ(50)の下側の扁平面(51)に十分な接触状態を確保することができる(図3参照)と共に、第1多孔質軟質体(2A)の一部が前記メッキ浴槽(10)内の無電解亜鉛メッキ液(11)に浸漬されているから、チューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に無電解亜鉛メッキ液(11)が均一に塗布される。また、第1多孔質軟質体(2A)は、回転駆動手段(15)により所定の回転速度で回転させることができるので、この回転速度を調整することによって、チューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)への無電解亜鉛メッキ液(11)の塗布量を精度高く所定量に調整することができる。こうしてチューブ(50)の一方の扁平面(51)に無電解亜鉛メッキが行われる。第1多孔質軟質体(2A)と接触した後の移送中のチューブ(50)においても亜鉛メッキの反応は進行する。この後、チューブ(50)の一方の扁平面(51)を水洗した後、熱風で乾燥させる。前記水洗により、亜鉛メッキの反応は終了する。
【0067】
次いで、チューブ(50)は、図1に示すように、その軸線を回転中心(捻り中心)として捻りが加えられて上下反転し、この状態で略水平状態で移送されて、該チューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に、前記第2多孔質軟質体(2B)が接触する。この時、第2多孔質軟質体(2B)は、軟質であるので、チューブ(50)との接触によって窪んでチューブ(50)の下側の扁平面(52)に十分な接触状態を確保することができる(図3参照)と共に、第2多孔質軟質体(2B)の一部が前記メッキ浴槽(10)内の無電解亜鉛メッキ液(11)に浸漬されているから、チューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に無電解亜鉛メッキ液(11)が均一に塗布される。また、第2多孔質軟質体(2B)は、回転駆動手段(15)により所定の回転速度で回転させることができるので、この回転速度を調整することによって、チューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)への無電解亜鉛メッキ液(11)の塗布量を精度高く所定量に調整することができる。こうしてチューブ(50)の他方の扁平面(52)に無電解亜鉛メッキが行われる。第2多孔質軟質体(2B)と接触した後の移送中のチューブ(50)においても亜鉛メッキの反応は進行する。この後、チューブ(50)の他方の扁平面(52)を水洗した後、熱風で乾燥させる。前記水洗により、亜鉛メッキの反応は終了する。
【0068】
次いで、前記チューブ(50)を例えば所定長さに順次カットすることによって、本発明の熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ(50)を製造することができる。
【0069】
上記表面メッキ処理装置(1)では、上下反転前の略水平状態で移送されるチューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第1多孔質軟質体(2A)が接触し、上下反転後の略水平状態で移送されるチューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第2多孔質軟質体(2B)が接触するから、チューブ(50)の上下両方の扁平面(51)(52)に無電解亜鉛メッキを行うことができ、チューブ(50)の上下の扁平面(51)(52)に、従来の亜鉛溶射法と比較してより薄く且つ均一に亜鉛を付着させることができる。また、従来の浸漬法のように扁平多孔チューブをメッキ液に浸漬するものではないから、該チューブに微小な貫通孔(ピンホール)が存在したとしても、チューブ(50)の内部へのメッキ液の侵入は防止される。このように本発明のメッキ処理装置(1)によれば、チューブ(50)の内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブ(50)の外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができて、チューブ(50)の管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。また、チューブ(50)の上下反転の前後のいずれにおいても、略水平状態で移送されるチューブ(50)の下側に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された多孔質軟質体(2A)(2B)が接触するので、重力によりメッキ液(11)が多孔質軟質体(2A)(2B)から液垂れしてもチューブ(50)内部へのメッキ液(11)の侵入は確実に防止される。更に、移送されているチューブ(50)に対してその軸線を回転中心として捻りが加えられることによってチューブ(50)が上下反転するものとなされているから、連続した一連の移送途中においてチューブ(50)の上下両方の扁平面(51)(52)に無電解亜鉛メッキを行うことができる(図1参照)ので、処理効率を向上できて生産性に優れている。
【0070】
なお、上記実施形態では、移送手段(3)は、押出機(21)を備えてなる構成が採用されていたが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、前記移送手段(3)としては、図4に示すように、巻取コイル(22)を備えてなる構成が採用されても良い。即ち、図4に示す表面メッキ処理装置(1)では、チューブ(50)は、前記巻取コイル(22)に巻き取られた状態から引き出されて略水平状態で移送されるものとなされ、該略水平状態で移送されるチューブ(50)の下面に、多孔質軟質体(2A)(2B)が接触するように配置されている。また、図4のメッキ処理装置では、第1多孔質軟質体(2A)及び第2多孔質軟質体(2B)は、いずれも、扁平多孔チューブ(50)の外面が該多孔質軟質体(2A)(2B)の外周面に接触しつつ移送されるのに応じて従動回転するように設計されている。また、この図4のメッキ処理装置では、扁平多孔チューブ(50)は、上下反転の直前位置及び直後位置において、それぞれ、上下一対の従動ローラー(60)(60)で挟み付けられているので、扁平多孔チューブ(50)の上下反転のための軸線まわりの捻りの動きがより安定化する利点がある。なお、図4のメッキ処理装置において、前記図1の実施形態と同一の構成部については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0071】
また、上記実施形態では、前記第1多孔質軟質体(2A)と前記第2多孔質軟質体(2B)の間の位置においてチューブ(50)が捻りによって上下反転することにより、連続した一連の移送途中においてチューブ(50)の上下両方の扁平面(51)(52)に無電解亜鉛メッキを行うものとなされているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、2段階の工程に分割された構成を採用しても良い。即ち、図5に示す表面メッキ処理装置(1)では、図5(a)に示すように、押出機(21)から押し出された扁平多孔チューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第1多孔質軟質体(2A)を接触させて、この一方の扁平面(51)に無電解亜鉛メッキを行い、これを一旦巻取コイル(23)に巻き取る(第1の工程)。次に、図5(b)に示すように、前記巻取コイル(23)に巻き取られた扁平多孔チューブ(50)を引き出して略水平状態で移送し、該扁平多孔チューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第2多孔質軟質体(2B)を接触させて、該他方の扁平面(52)に無電解亜鉛メッキを行う(第2の工程)。このような2工程で行うようにしても良い。即ち、扁平多孔チューブ(50)の上下反転を行わないように構成しても良い。
【0072】
また、上記実施形態では、扁平多孔チューブ(50)の上下両方の扁平面(51)(52)に無電解亜鉛メッキを行うように構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、扁平多孔チューブ(50)の上下のいずれか一方の扁平面のみに無電解亜鉛メッキが行われるように構成されても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、多孔質軟質体(2)は、上下反転前に1個配置され、上下反転後に1個配置された構成が採用されているが(図1、4、5参照)、特にこのような配置数に限定されるものではなく、例えば上下反転前に複数個配置され、上下反転後に複数個配置された構成が採用されても良い。例えば図6に示すように、多孔質軟質体(2A)(2B)が複数個並列状に配置された構成を採用すれば、チューブ(50)と多孔質軟質体(2A)(2B)との接触時間を増大させたり、適宜調整することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、多孔質軟質体(2)は、外形形状が略円柱形状(例えばロール状)に形成されていたが、特にこのような形状に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、多孔質軟質体は、無端ベルト状に形成されていても良い。即ち、図7では、無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)の一部が、メッキ浴槽(10)内の無電解亜鉛メッキ液(11)に浸漬され、この無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)は周回移動可能に支持されていて、移送されるチューブ(50)の下面に、無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)の外周面が接触するように配置されている。前記無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)は、周回駆動手段(16)によって所定の周回移動速度で移動するように制御されている。勿論、この無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)は、前記チューブ(50)の外面が該多孔質軟質体(2C)の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して周回移動するように構成されていても良い。なお、前記無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)は、図7に示すように、周回移動の際の上側の水平移動している部分が、支持板(70)によって下側から支承されているので、移送されるチューブ(50)の下面と、無端ベルト状の多孔質軟質体(2C)の外周面とが十分に面接触するものとなる。前記支持板(70)は、前記メッキ浴槽(10)に取付固定されている。
【0075】
或いは、図8に示すように、前記多孔質軟質体は、その外表面に、前記扁平多孔チューブ(50)との接触の際に面接触することが可能な平面部(8)が形成された構成を採用しても良い。即ち、図8に示す多孔質軟質体(2)は、上面側に平面部(8)を有してなり、該多孔質軟質体(2)の内部に供給管(40)を介して無電解亜鉛メッキ液が供給されるものとなされている。こうして内部に供給された無電解亜鉛メッキ液は、多孔質軟質体(2)の表面から順次流出するので、前記多孔質軟質体(2)の平面部(8)に接触したチューブ(50)の扁平面に無電解亜鉛メッキ液が塗布される。この平面部(8)の面積を大きくすることで、チューブ(50)に多孔質軟質体(2)が接触する際の接触面積を増大させることができる。
【0076】
この発明において、前記軟質体としては、多孔質軟質体が好適に用いられるが、この多孔質軟質体(2)(2A)(2B)(2C)としては、例えば、多孔連通構造を備えた保水性の多孔質軟質体が好ましく用いられる。中でも、連続気泡構造の発泡樹脂成形体が好適である。前記連続気泡構造の発泡樹脂成形体の樹脂素材としては、特に限定されないが、例えばPVA(ポリビニルアルコール)、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、海綿等が挙げられる。
【0077】
なお、前記軟質体(2)(2A)(2B)(2C)としては、上記実施形態のような多孔質軟質体に限定されるものではなく、前記扁平多孔チューブ(50)との接触により接触部位の外形形状が凹み変形可能なものは全て包含される。即ち、前記軟質体としては、連続気泡構造の発泡樹脂成形体等の多孔質軟質体のほか、例えば、図1に示した回転軸(17)(18)と同様の回転軸の外周面に多数本の毛が植設されてなる外形形状が略円柱形状の刷毛体等が挙げられる。このような刷毛体は、前記扁平多孔チューブ(50)との接触により接触部位の外形形状が凹み変形可能であると共に無電解亜鉛メッキ液の含浸も可能である(多数本の毛の隙間にメッキ液が含浸される)から、前記多孔質軟質体を採用した場合と同等の効果が得られる。
【0078】
また、前記無電解亜鉛メッキ液(ジンケート液)(11)としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液に亜鉛華を溶解してなるメッキ液、或いは水酸化ナトリウム水溶液に亜鉛華、塩化鉄(3価)、ロッシェル塩を添加してなるメッキ液等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0079】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0080】
<実施例1〜9>
A1050のアルミニウムビレット(Al:99.5質量%以上含有)を、押出温度520℃、押出速度50m/分で押出機から押出すことによって、上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ(幅:16mm、高さ:1.5mm、管壁の肉厚:0.25mm、孔の個数:6個)を得、これを巻取コイルに巻き取った。
【0081】
次に、上述した図4に示す表面メッキ処理装置(1)を用いて上記扁平多孔チューブに亜鉛メッキ処理を行った。即ち、図4に示すように、前記巻取コイル(22)に巻き取られたチューブ(50)を引き出して略水平状態で移送し、該略水平状態で移送されているチューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第1多孔質軟質体(2A)を表1に示す時間(無電解メッキ処理時間)接触させた後、表1に示す放置時間そのまま移送し、しかる後、チューブ(50)の下側の一方の扁平面(51)に水をシャワー状に吹き付けて水洗し、熱風乾燥し、次いでチューブ(50)をさらに移送しながら該チューブ(50)の軸線を回転中心として捻りを加えていくことによって該チューブ(50)を上下反転させ、引き続きチューブ(50)を略水平状態で移送し、該略水平状態で移送されているチューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に、無電解亜鉛メッキ液(11)が含浸された第2多孔質軟質体(2B)を表1に示す時間(無電解メッキ処理時間)接触させた後、表1に示す放置時間そのまま移送し、しかる後、チューブ(50)の下側の他方の扁平面(52)に水をシャワー状に吹き付けて水洗し、熱風乾燥した後、長さ60cmに順次カットすることによって、本発明の熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブを得た。
【0082】
なお、第1多孔質軟質体(2A)及び第2多孔質軟質体(2B)は、いずれも、扁平多孔チューブ(50)の外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに応じて従動回転するように設定されている。
【0083】
また、第1多孔質軟質体(2A)及び第2多孔質軟質体(2B)としては、いずれも、連続気泡構造の発泡ポリウレタン製の成形体を用いた。
【0084】
上記無電解亜鉛メッキ液(11)としては、濃度150g/LのNaOH水溶液20Lに亜鉛華600gを溶解してなる液を用い、30℃に温度調節して使用した。
【0085】
また、第1多孔質軟質体(2A)との接触による無電解メッキ処理時間(第1多孔質軟質体との接触時間)は、第1多孔質軟質体(2A)の並列配置数を1〜6個の範囲で適宜調整することによって、表1に示す所定時間に設定した。また、第2多孔質軟質体(2B)との接触による無電解メッキ処理時間(第2多孔質軟質体との接触時間)は、第2多孔質軟質体(2B)の並列配置数を1〜6個の範囲で適宜調整することによって、表1に示す所定時間に設定した。
【0086】
また、実施例1、4、7では、放置時間を0秒に設定しており、多孔質軟質体(2A)(2B)との接触の後、直ちに水洗を行った。
【0087】
【表1】

【0088】
<比較例1>
A1050のアルミニウムビレット(Al:99.5質量%以上含有)を、押出温度520℃、押出速度50m/分で押出機から押出すことによって、上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブ(幅:16mm、高さ:1.5mm、管壁の肉厚:0.25mm、孔の個数:6個)を得、これを巻取コイルに巻き取った。
【0089】
前記巻取コイルに巻き取られたチューブを引き出して略水平状態で移送し、該略水平状態で移送されているチューブの上下両面の扁平面に亜鉛溶射を行った後、長さ60cmに順次カットすることによって、扁平多孔チューブを得た。
【0090】
なお、亜鉛溶射は、亜鉛線として線径1.6mmの亜鉛線を用い、溶射電圧30V、溶射エアー圧80psiの条件で行った。
【0091】
上記のようにして得られた各扁平多孔チューブに対して下記評価法に基づいて評価を行った。
【0092】
<付着亜鉛層の均一性評価>
扁平多孔チューブの付着亜鉛層(実施例1〜9:亜鉛メッキ層、比較例1:亜鉛溶射層)の均一性を目視により下記判定基準で評価した。
「◎」…付着亜鉛層にムラがなく均一性に特に優れている
「○」…付着亜鉛層にムラが殆どなく均一性に優れている
「△」…付着亜鉛層にムラが少なくて層の均一性が良好である
「×」…付着亜鉛層にムラが多くて層の均一性が不十分である。
【0093】
<総合評価>
付着亜鉛層の均一性評価及び表1の亜鉛付着量から判断される薄肉化実現の程度を総合的に考慮して下記3段階で評価した。
「◎」…付着亜鉛層の均一性に優れていて、従来と比較してチューブの薄肉化を十分に図り得る
「○」…付着亜鉛層の均一性が良好で、従来と比較してチューブの薄肉化を十分に図り得る
「×」…付着亜鉛層の均一性が不十分で、従来と比較してチューブを薄肉化することが困難である。
【0094】
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜9の表面メッキ処理方法によれば、チューブの内部にメッキ液を侵入させることなく、チューブの外面に亜鉛をより薄く且つ均一に付着させることができ、これによりチューブの管壁の薄肉化を実現できるので、孔食防止性に優れると共に十分に軽量化された、熱交換器用扁平多孔チューブを製造することができる。
【0095】
これに対し、溶射法により付着亜鉛層を形成する比較例1では、付着亜鉛層の均一性が不十分であり、チューブの管壁を薄肉化することは困難である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
この発明に係る表面メッキ処理装置や表面メッキ処理方法で処理して得られた、熱交換器用扁平多孔チューブは、自動車等に設置される空調機器用熱交換器(エバポレーター、コンデンサ、ラジエーター等)のチューブとして用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明に係る表面メッキ処理装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】チューブを上下反転させるための初期操作を説明する説明図であって、(a)はヤットコでチューブの先端部を把持した状態、(b)はチューブを把持したヤットコを回転させることによってチューブに軸線回りの捻りを加えて該チューブを上下反転させた状態、(c)は、(b)の工程を経たチューブの先端部を巻取コイルに巻き取らせた状態をそれぞれ示す。
【図3】図1におけるX−X線の断面図である。
【図4】この発明に係る表面メッキ処理装置の他の実施形態を示す側面図である。
【図5】この発明に係る表面メッキ処理装置のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図6】多孔質軟質体の他の例を示す側面図である。
【図7】多孔質軟質体のさらに他の例を示す側面図である。
【図8】多孔質軟質体のさらに他の例を示す斜視図である。
【図9】従来の亜鉛溶射チューブの管壁の腐食シロを説明する模式的説明図である。
【符号の説明】
【0098】
1…表面メッキ処理装置
2、2A、2B、2C…多孔質軟質体
3…移送手段
8…平面部
10…メッキ浴槽
11…無電解亜鉛メッキ液
15…回転駆動手段
16…周回駆動手段
21…押出機
22…巻取コイル
50…扁平多孔チューブ
51…一方の扁平面
52…他方の扁平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体と、
熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って移送する移送手段と、を備え、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記軟質体が接触するように配置されていることを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項2】
上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って略水平状態で移送する移送手段と、
前記チューブが移送される途中位置に配置され、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体と、
前記第1軟質体に対して前記チューブ移送方向の前方位置に配置され、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体と、を備え、
前記移送手段によって移送されている前記チューブは、前記第1軟質体と前記第2軟質体の間において、該チューブの軸線を回転中心として捻りが加えられることによって、上下反転するものとなされ、
前記チューブは、前記上下反転前において、その一方の扁平面が下側になった状態で略水平状態で移送され、該チューブの下側の一方の扁平面に、前記第1軟質体が接触するように配置され、
前記チューブは、前記上下反転後において、その他方の扁平面が下側になった状態で略水平状態で移送され、該チューブの下側の他方の扁平面に、前記第2軟質体が接触するように配置されていることを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項3】
前記移送手段は、少なくとも押出機を備えてなり、
前記チューブは、前記押出機から押し出されることによって移送されるものとなされている請求項2に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項4】
前記移送手段は、少なくとも巻取コイルを備えてなり、
前記チューブは、前記巻取コイルに巻き取られた状態から引き出されて移送されるものとなされている請求項2に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項5】
前記移送手段は、少なくとも押出機を備えてなり、
前記チューブは、前記押出機から押し出されることによって略水平状態で移送されるものとなされ、該略水平状態で移送される前記チューブの下面に、前記軟質体が接触するように配置されている請求項1に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項6】
前記移送手段は、少なくとも巻取コイルを備えてなり、
前記チューブは、前記巻取コイルに巻き取られた状態から引き出されて略水平状態で移送されるものとなされ、該略水平状態で移送される前記チューブの下面に、前記軟質体が接触するように配置されている請求項1に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項7】
前記軟質体は、多孔質軟質体からなり、該多孔質軟質体の外表面に、前記チューブとの接触の際に面接触することが可能な平面部が形成され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記多孔質軟質体の平面部が面接触するように配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項8】
前記軟質体は、多孔質軟質体からなり、該多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成されると共に該軟質体の中心軸線を回転軸として回転可能に支持され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記多孔質軟質体の外周面が接触するように配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項9】
無電解亜鉛メッキ液を含んだメッキ浴槽をさらに備え、
前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の少なくとも一部が、前記メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されている請求項8に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項10】
前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の内部に前記無電解亜鉛メッキ液が供給されるものとなされている請求項8に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項11】
前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体は、前記チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して回転する請求項8〜10のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項12】
前記外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体を所定の回転速度で回転させる回転駆動手段をさらに備える請求項8〜10のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項13】
前記軟質体は、無端ベルト状に形成された多孔質軟質体からなり、該無端ベルト状の多孔質軟質体は、周回移動可能に支持され、
前記移送手段によって移送される前記チューブの外面の少なくとも一部に、前記無端ベルト状の多孔質軟質体の外周面が接触するように配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項14】
無電解亜鉛メッキ液を含んだメッキ浴槽をさらに備え、
前記無端ベルト状の多孔質軟質体の少なくとも一部が、前記メッキ浴槽内の無電解亜鉛メッキ液に浸漬されている請求項13に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項15】
前記無端ベルト状の多孔質軟質体の内周面に前記無電解亜鉛メッキ液が供給されるものとなされている請求項13に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項16】
前記無端ベルト状の多孔質軟質体は、前記チューブの外面が該多孔質軟質体の外周面に接触しつつ移送されるのに従動して周回移動する請求項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項17】
前記無端ベルト状の多孔質軟質体を所定の周回移動速度で移動させる周回駆動手段をさらに備える請求項13〜15のいずれか1項に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項18】
前記メッキ浴槽内に無電解亜鉛メッキ液が供給されると共に、前記メッキ浴槽から無電解亜鉛メッキ液がオーバーフロー可能なように構成され、前記メッキ浴槽内におけるメッキ液の液面が一定高さに維持されるものとなされている請求項9または14に記載の熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理装置。
【請求項19】
移送されている熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブの外面の少なくとも一部に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された軟質体を接触させることによって、前記チューブの外面の少なくとも一部に無電解亜鉛メッキを行うことを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理方法。
【請求項20】
上下両面に扁平面を有した熱交換器用アルミニウム製扁平多孔チューブをその長さ方向に沿って略水平状態で移送し、該略水平状態で移送されるチューブの下側の一方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第1軟質体を接触させる工程と、
前記チューブをさらに移送しながら該チューブの軸線を回転中心として捻りを加えることによって該チューブを上下反転させる工程と、
前記上下反転後において略水平状態で移送されるチューブの下側の他方の扁平面に、無電解亜鉛メッキ液が含浸された第2軟質体を接触させる工程と、を含むことを特徴とする熱交換器用扁平多孔チューブの表面メッキ処理方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の表面メッキ処理方法で処理して得られた熱交換器用扁平多孔チューブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−97041(P2009−97041A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270278(P2007−270278)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】