熱交換器
【課題】空調用水冷熱交換ユニットを車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても兼用できる熱交換器を提供する。
【解決手段】エンジン2用の冷却水を冷却するラジエータ3、および前記の冷却水と車両用空調装置4の圧縮機5から吐出される空調用冷媒との熱交換を行なう水冷コンデンサ6を備え、この水冷コンデンサ6を、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8より下流側に配置した。
【解決手段】エンジン2用の冷却水を冷却するラジエータ3、および前記の冷却水と車両用空調装置4の圧縮機5から吐出される空調用冷媒との熱交換を行なう水冷コンデンサ6を備え、この水冷コンデンサ6を、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8より下流側に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット、および前記の第1冷媒と車両用空調装置の圧縮機から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニットを備えた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用駆動装置としてのエンジンから送出される高温の冷却水をラジエータで冷却するとともに、この冷却された低温の冷却水を用いて空調用の水冷熱交換ユニットにて高温の空調用冷媒との熱交換を行ない、当該空調用冷媒を冷却して車室内の冷房を行なうようにした熱交換器が提案されている。(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特許第3358303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来技術では、ラジエータから流出する冷却水とラジエータをバイパスする冷却水とが合流する合流部の上流側に、空調用水冷熱交換ユニットが配設されているので、上述したようにラジエータで冷却した低温の冷却水により空調用の水冷熱交換ユニットにて圧縮機で高圧、高温となった空調用冷媒を冷却することができる。すなわち、空調用の水冷熱交換ユニットを冷房用として用いることができるが、暖房用としては用いることができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、空調用水冷熱交換ユニットを車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができる熱交換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1にあっては、車両用駆動装置(2)で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット(3)、および上記第1冷媒と車両用空調装置(4)の圧縮機(5)から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニット(6)を備えた熱交換器(1、1A〜1F)において、上記第1熱交換ユニット(3)から流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニット(3)をバイパスする第1冷媒とが合流する合流部(8)より下流側に、上記第2熱交換ユニット(6)を配置したことを特徴とする。
【0006】
請求項2にあっては、上記合流部(8)より下流側に、主流管路(13)から分岐して上記第1冷媒が流通する分岐管路(14)を設けて、この分岐管路(14)に、上記第2熱交換ユニット(6)を配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項3にあっては、上記分岐管路(14)を流通する上記第1冷媒の流量を調整する流量調整弁(15)を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4にあっては、上記合流部(8)にて上記第1冷媒の温度を検出する第1温度センサ(16)と、上記圧縮機(5)の出口側にて上記第2冷媒の温度を検出する第2温度センサ(17)と、上記第1冷媒の温度および上記第2冷媒の温度を比較して上記流量調整弁(15)を制御する制御部(18)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5にあっては、上記主流管路(13)から上記分岐管路(14)側への上記第1冷媒の流れを促進する流れ促進手段(19)を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6にあっては、上記主流管路(13)が途中で折り曲げられ、当該折り曲げ部(13a)の上流側と上記分岐管路(14)の入口(14a)側とが一直線上に配置されて互いに対向していることを特徴とする。
【0011】
請求項7にあっては、上記主流管路(13)の中央部に、上記分岐管路(14)の入口(14a)が配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項8にあっては、上記分岐管路(14)側から上記主流管路(13)側に上記第1冷媒を負圧で吸引することを特徴とする。
【0013】
請求項9にあっては、上記主流管路(13)に設けられ、上記第1冷媒の流れで回転駆動されるタービン(20)と、このタービン(20)に連結され、上記分岐管路(14)に設けられるプロペラ(21)とを備え、上記タービン(20)の駆動で上記プロペラ(21)を回転させることにより、上記分岐管路(14)側での上記第1冷媒の流れを促進することを特徴とする。
【0014】
請求項10にあっては、上記主流管路(13)に、上記タービン(20)の付近における上記第1冷媒の流れを絞る絞り部(13b)を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、車室の冷房時には、車両用駆動装置から送出される高温の第1冷媒を第1熱交換ユニットで冷却した後、前記の合流部を通過した低温の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することにより、この第2熱交換ユニットにて空調用の第2冷媒を冷却する。一方、車室の暖房時には、車両用駆動装置から送出される高温の第1冷媒を第1熱交換ユニットで冷却せずにバイパスさせた後、前記の合流部を通過した高温の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することにより、この第2熱交換ユニットにて空調用の第2冷媒を加熱する。これにより、空調用の第2熱交換ユニットを車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、第1熱交換ユニットから流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニットをバイパスする第1冷媒とが合流する合流部の下流側の主流管路から、分岐管路が分岐しているので、主流管路を流通する第1冷媒の流量とかかわりなく、分岐管路を介して適切な流量の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することができる。
【0017】
また、請求項3によれば、車両用駆動装置の回転数変化に伴って第1冷媒の流量が増減する場合であっても、分岐管路を流通する第1冷媒の流量を流量調整弁で調整することにより、第1冷媒を第2熱交換ユニットへ所定の流量で精度よく供給することができる。
【0018】
また、請求項4によれば、第1熱交換ユニットから流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニットをバイパスする第1冷媒とが合流する合流部にて第1冷媒の温度を検出するとともに、圧縮機の出口側にて第2冷媒の温度を検出して、この検出の結果に応じて、制御部で流量調整弁を制御することにより、主流管路から分岐管路への第1冷媒の流量調整を行なう。例えば、車室の暖房時には、第2冷媒の温度が第1冷媒の温度より高い場合、主流管路から分岐管路へ第1冷媒の分流を行なうことにより、比較的高温の第2冷媒を第2熱交換ユニットへ供給して第1冷媒を加熱し、一方、第2冷媒の温度が第1冷媒の温度より低い場合には、前記の第2冷媒による第1冷媒の加熱効果がないので、第1冷媒の分流を停止する。また、車室の冷房時には、第1冷媒の温度が第2冷媒の温度より低い場合、主流管路から分岐管路へ第1冷媒の分流を行なうことにより、比較的低温の第1冷媒を第1熱交換ユニットへ供給して第2冷媒を冷却し、一方、第1冷媒の温度が第2冷媒の温度より高い場合には、前記の第1冷媒による第2冷媒の冷却効果がないので、第1冷媒の分流を停止する。すなわち、車室の暖房時および冷房時に、それぞれ第2熱交換ユニットを効果的に使用できる。
【0019】
また、請求項5によれば、流れ促進手段で主流管路から分岐管路側への冷媒の流れを促進することができるので、ポンプなどの特別な動力を要せずに、効率よく第1冷媒を分岐管路側で循環させることができる。
【0020】
また、請求項6によれば、主流管路の折り曲げ部の上流側と一直線上に配置されて対向する分岐管路の入口側で、主流管路の折り曲げ部の上流側からの動圧を受けるため、折り曲げ部の上流側から第1冷媒が分岐管路に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0021】
また、請求項7によれば、主流管路の中央部に配置された分岐管路の入口から第1冷媒が分岐管路に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0022】
また、請求項8によれば、分岐管路側から主流管路側に第1冷媒が戻る際に当該第1冷媒を負圧で吸引することにより、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0023】
また、請求項9によれば、主流管路に設けられるタービンが第1冷媒の流れで回転駆動されるとともに、このタービンに連結されるプロペラが分岐管路で連動することにより、分岐管路で第1冷媒を確実に流通させることができる。
【0024】
また、請求項10によれば、主流管路の絞り部でタービンの付近における第1冷媒の流れを絞ることによりタービンの付近で第1冷媒の流れが速くなるので、タービンをより高速で回転駆動することができ、これに伴い、プロペラの高速回転により分岐管路で流通する第1冷媒の流量を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように本実施形態の熱交換器1は、車両用駆動装置、例えばエンジン2の冷却水(第1冷媒)を冷却するラジエータ(第1熱交換ユニット)3と、前記の冷却水と車両用空調装置4の圧縮機5から吐出される空調用冷媒(第2冷媒)との熱交換を行なう水冷コンデンサ(第2熱交換ユニット)6とを備え、この水冷コンデンサ6は、ラジエータ3から流出する冷媒とパイパス管路7を介してラジエータ3をバイパスする冷媒とが合流する合流部8より下流側に配置されている。
【0028】
また、エンジン2からは車室内暖房用に冷却水の一部を分岐させ、車室内に設けた熱交換器としてのヒーターコア22へ流す流路が設けられている。
【0029】
車両用空調装置4では、圧縮機5から吐出される空調用冷媒が水冷コンデンサ6で熱交換されるとともに、空冷コンデンサ9でも熱交換された後、膨張弁10を介してエバポレータ11へ送られて、このエバポレータ11にて暖房時の放熱あるいは冷房時の吸熱を行ない、次いで、冷媒はアキュームレータ12を介して圧縮機5へ再び流入する。
【0030】
この第1実施形態にあっては、車室の冷房時には、エンジン2から送出される高温の冷却水をラジエータ3で冷却した後、合流部8を通過した低温の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給し、この水冷コンデンサ6にて低温の冷却水と空調用の冷媒との熱交換を行なうことにより空調用の冷媒を冷却する。
【0031】
一方、車室の暖房時には、エンジン2から送出される冷却水をラジエータ3で冷却せずにパイパス管路7を介してバイパスさせた後、合流部8を通過した冷却水を水冷コンデンサ6へ供給し、この水冷コンデンサ6にて、圧縮機にて高圧、高温となった空調用の冷媒と冷却水との熱交換を行なうことにより冷却水を加熱する。
【0032】
したがって、上述したエンジン2から分岐してヒーターコア22へ流れる冷却水の温度が速やかに高まり、車室内暖房が効果的に行われる。
【0033】
すなわち、上記のように構成した第1実施形態によれば、合流部8より下流側に水冷コンデンサ6を配置したため、空調用の水冷コンデンサ6を車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができ、迅速に車室内の暖房を行なって即暖性の向上を図ることができる。
【0034】
(第2実施形態)図2は、本発明の第2実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Aは、上記第1実施形態にかかる熱交換器1と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0035】
本実施形態の熱交換器1Aは、エンジン2用の冷却水が合流する合流部8より下流側に、主流管路13から分岐して冷却水を流す分岐管路14を有し、この分岐管路14に、水冷コンデンサ6が配設されている。
【0036】
この第2実施形態によれば、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8より下流側の主流管路13から、分岐管路14が分岐しているので、主流管路13を流通する冷却水の流量にかかわりなく、分岐管路14を介して適切な流量の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給することができる。
【0037】
(第3実施形態)図3は、本発明の第3実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Bは、上記第2実施形態にかかる熱交換器1Aと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態の熱交換器1Bは、分岐管路14を流通する冷却水の流量を調整する流量調整弁15を有している。
【0039】
この第3実施形態によれば、エンジン2の回転数変化に伴って冷却水の流量が増減するような場合であっても、分岐管路14を流通する冷却水の流量を流量調整弁15で調整することにより、冷却水を水冷コンデンサ6へ所定の流量で精度よく供給することができる。
【0040】
(第4実施形態)図4は、本発明の第4実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Cは、上記第3実施形態にかかる熱交換器1Bと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0041】
本実施形態の熱交換器1Cは、冷却水が合流する合流部8にて冷却水の温度Twを検出する第1温度センサ16と、圧縮機5の出口側にて冷媒の温度Tdを検出する第2温度センサ17と、冷却水の温度Twおよび冷媒の温度Tdを比較して流量調整弁15を制御する制御部18とを備えている。
【0042】
この第4実施形態にあっては、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8にて冷却水の温度Twを検出するとともに、圧縮機5の出口側にて冷媒の温度Tdを検出して、この検出の結果に応じて制御部18で流量調整弁15を制御する。
【0043】
例えば、車室の暖房時には、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより低い場合、主流管路13から分岐管路14へ冷却水の分流を行ない、比較的高温の空調用の冷媒を水冷コンデンサ6へ供給して冷却水を加熱し、一方、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより高い場合には、前記の冷媒による冷却水の加熱効果がないので冷却水の分流を停止する。
【0044】
また、車室の冷房時には、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより低い場合、主流管路13から分岐管路14へ冷却水の分流を行なうことにより、比較的低温の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給して冷媒を冷却し、一方、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより高い場合には、前記の冷却水による冷媒の冷却効果がないので、冷却水の分流を停止する。
【0045】
すなわち、このように構成した第4実施形態によれば、車室の暖房時および冷房時にそれぞれ水冷コンデンサ6を効果的に使用できる。
【0046】
(第5実施形態)図5は、本発明の第5実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図6は、本実施形態に設けられる各熱交換ユニットの配置状態を示す図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Dは、上記第2実施形態にかかる熱交換器1Aと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0047】
図5に示すように、本実施形態の熱交換器1Dでは、主流管路13から分岐管路14側への冷却水の流れを促進する流れ促進手段、例えば、可変または固定型の絞り弁19が主流管路13に設けられるとともに、分岐管路14にサブラジエータ3aが設けられ、このサブラジエータ3aは、水冷コンデンサ6より冷却水の上流側に位置している。
【0048】
また、図6に示すように、ラジエータ3の冷却風方向の上流側に、空冷コンデンサ9およびサブラジエータ3aが配置されるとともに、空冷コンデンサ9上にサブラジエータ3aが搭載されており、サブラジエータ3aに水冷コンデンサ6が付設されている。
【0049】
すなわち、この第5実施形態によれば、主流管路13を流通する冷却水の流れが絞り弁19で絞られ、主流管路13から分岐管路14側への冷却水の流れが促進されるので、分岐管路14側の通路抵抗が比較的高い場合であっても、ポンプなどの動力を特別に要せずに、効率よく冷却水を分岐管路14側で循環させることができる。
【0050】
(第6実施形態)図7は、本発明の第6実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図8は、図7のA部を拡大して示す断面図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Eは、上記第5実施形態にかかる熱交換器1Dと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0051】
図7および図8に示すように、本実施形態の熱交換器1Eでは、主流管路13が途中で直角に折り曲げられ、当該折り曲げ部13aの上流側と分岐管路14の入口14a側とが一直線上に配置されて互いに対向しており、折り曲げ部13aの下流側は上流側に対して直交している。
【0052】
この第6実施形態によれば、分岐管路14の入口14a側で主流管路13の折り曲げ部13aの上流側からの動圧を受けるため、折り曲げ部13aの上流側からの冷却水が分岐管路14に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。
【0053】
(第7実施形態)図9は、本発明の第7実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図10は、本実施形態に設けられる分岐管路の入口部および出口部を示す断面図、図11は、タービンとプロペラを備えた変形例を示す断面図、図12は、タービンとプロペラとタービン付近の絞り部を備えた他の変形例を示す断面図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Fは、上記第5実施形態にかかる熱交換器1Dと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0054】
図9および図10に示すように、本実施形態の熱交換器1Fでは、分岐管路14の入口14aは主流管路13の中央部に配置されるとともに、入口14aが冷却水の上流側に向かって延びている。また、分岐管路14の出口14bは主流管路13の中央部に配置されるとともに、出口14bが冷却水の下流側に向かって延びている。
【0055】
この第7実施形態にあっては、主流管路13の中央部に配置された分岐管路14の入口14aから冷却水が分岐管路14に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。また、分岐管路14の出口14bから主流管路13側に冷却水が戻る際に、主流管路13の冷却水の流れに伴い分岐管路14の出口14bで負圧が発生するので、分岐管路14の出口14bより冷却水が吸引されるので、この点でも簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。
【0056】
なお、上記第7実施形態では、分岐管路14の入口14aが主流管路13の中央部に配置されるとともに冷却水の上流側に向かって延びている場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、図11に示すように、冷却水の流れで回転駆動されるタービン20を主流管路13に設けるとともに、タービン20に連結されるプロペラ21を分岐管路14に設けて、タービン20の駆動でプロペラ21を回転させることにより、分岐管路14で冷却水をより確実に流通させることができる。
【0057】
さらに、図12に示すように、主流管路13に、タービン20の付近における冷却水の流れを絞る絞り部13bを設けることにより、タービン20の付近で冷却水の流れが速くなるのでタービン20を高速で回転駆動することができ、これに伴い、プロペラ21の高速回転により分岐管路14で流通する冷却水の流量を増やすことができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について例示したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図5】本発明の第5実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図6】第5実施形態に設けられる各熱交換ユニットの配置状態を示す図である。
【図7】本発明の第6実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図8】図7のA部を拡大して示す断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図10】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器に設けられる分岐管路の入口部および出口部を示す断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器の別の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A〜1F 熱交換器
2 エンジン
3 ラジエータ(第1熱交換ユニット)
3a サブラジエータ
4 車両用空調装置
5 圧縮機
6 水冷コンデンサ(第2熱交換ユニット)
7 パイパス管路
8 合流部
13 主流管路
13a 折り曲げ部
13b 絞り部
14 分岐管路
14a 入口
14b 出口
15 流量調整弁
16 第1温度センサ
17 第2温度センサ
18 制御部
19 絞り弁(流れ促進手段)
20 タービン
21 プロペラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット、および前記の第1冷媒と車両用空調装置の圧縮機から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニットを備えた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用駆動装置としてのエンジンから送出される高温の冷却水をラジエータで冷却するとともに、この冷却された低温の冷却水を用いて空調用の水冷熱交換ユニットにて高温の空調用冷媒との熱交換を行ない、当該空調用冷媒を冷却して車室内の冷房を行なうようにした熱交換器が提案されている。(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特許第3358303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来技術では、ラジエータから流出する冷却水とラジエータをバイパスする冷却水とが合流する合流部の上流側に、空調用水冷熱交換ユニットが配設されているので、上述したようにラジエータで冷却した低温の冷却水により空調用の水冷熱交換ユニットにて圧縮機で高圧、高温となった空調用冷媒を冷却することができる。すなわち、空調用の水冷熱交換ユニットを冷房用として用いることができるが、暖房用としては用いることができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、空調用水冷熱交換ユニットを車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができる熱交換器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1にあっては、車両用駆動装置(2)で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット(3)、および上記第1冷媒と車両用空調装置(4)の圧縮機(5)から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニット(6)を備えた熱交換器(1、1A〜1F)において、上記第1熱交換ユニット(3)から流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニット(3)をバイパスする第1冷媒とが合流する合流部(8)より下流側に、上記第2熱交換ユニット(6)を配置したことを特徴とする。
【0006】
請求項2にあっては、上記合流部(8)より下流側に、主流管路(13)から分岐して上記第1冷媒が流通する分岐管路(14)を設けて、この分岐管路(14)に、上記第2熱交換ユニット(6)を配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項3にあっては、上記分岐管路(14)を流通する上記第1冷媒の流量を調整する流量調整弁(15)を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4にあっては、上記合流部(8)にて上記第1冷媒の温度を検出する第1温度センサ(16)と、上記圧縮機(5)の出口側にて上記第2冷媒の温度を検出する第2温度センサ(17)と、上記第1冷媒の温度および上記第2冷媒の温度を比較して上記流量調整弁(15)を制御する制御部(18)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5にあっては、上記主流管路(13)から上記分岐管路(14)側への上記第1冷媒の流れを促進する流れ促進手段(19)を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6にあっては、上記主流管路(13)が途中で折り曲げられ、当該折り曲げ部(13a)の上流側と上記分岐管路(14)の入口(14a)側とが一直線上に配置されて互いに対向していることを特徴とする。
【0011】
請求項7にあっては、上記主流管路(13)の中央部に、上記分岐管路(14)の入口(14a)が配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項8にあっては、上記分岐管路(14)側から上記主流管路(13)側に上記第1冷媒を負圧で吸引することを特徴とする。
【0013】
請求項9にあっては、上記主流管路(13)に設けられ、上記第1冷媒の流れで回転駆動されるタービン(20)と、このタービン(20)に連結され、上記分岐管路(14)に設けられるプロペラ(21)とを備え、上記タービン(20)の駆動で上記プロペラ(21)を回転させることにより、上記分岐管路(14)側での上記第1冷媒の流れを促進することを特徴とする。
【0014】
請求項10にあっては、上記主流管路(13)に、上記タービン(20)の付近における上記第1冷媒の流れを絞る絞り部(13b)を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、車室の冷房時には、車両用駆動装置から送出される高温の第1冷媒を第1熱交換ユニットで冷却した後、前記の合流部を通過した低温の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することにより、この第2熱交換ユニットにて空調用の第2冷媒を冷却する。一方、車室の暖房時には、車両用駆動装置から送出される高温の第1冷媒を第1熱交換ユニットで冷却せずにバイパスさせた後、前記の合流部を通過した高温の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することにより、この第2熱交換ユニットにて空調用の第2冷媒を加熱する。これにより、空調用の第2熱交換ユニットを車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、第1熱交換ユニットから流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニットをバイパスする第1冷媒とが合流する合流部の下流側の主流管路から、分岐管路が分岐しているので、主流管路を流通する第1冷媒の流量とかかわりなく、分岐管路を介して適切な流量の第1冷媒を第2熱交換ユニットへ供給することができる。
【0017】
また、請求項3によれば、車両用駆動装置の回転数変化に伴って第1冷媒の流量が増減する場合であっても、分岐管路を流通する第1冷媒の流量を流量調整弁で調整することにより、第1冷媒を第2熱交換ユニットへ所定の流量で精度よく供給することができる。
【0018】
また、請求項4によれば、第1熱交換ユニットから流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニットをバイパスする第1冷媒とが合流する合流部にて第1冷媒の温度を検出するとともに、圧縮機の出口側にて第2冷媒の温度を検出して、この検出の結果に応じて、制御部で流量調整弁を制御することにより、主流管路から分岐管路への第1冷媒の流量調整を行なう。例えば、車室の暖房時には、第2冷媒の温度が第1冷媒の温度より高い場合、主流管路から分岐管路へ第1冷媒の分流を行なうことにより、比較的高温の第2冷媒を第2熱交換ユニットへ供給して第1冷媒を加熱し、一方、第2冷媒の温度が第1冷媒の温度より低い場合には、前記の第2冷媒による第1冷媒の加熱効果がないので、第1冷媒の分流を停止する。また、車室の冷房時には、第1冷媒の温度が第2冷媒の温度より低い場合、主流管路から分岐管路へ第1冷媒の分流を行なうことにより、比較的低温の第1冷媒を第1熱交換ユニットへ供給して第2冷媒を冷却し、一方、第1冷媒の温度が第2冷媒の温度より高い場合には、前記の第1冷媒による第2冷媒の冷却効果がないので、第1冷媒の分流を停止する。すなわち、車室の暖房時および冷房時に、それぞれ第2熱交換ユニットを効果的に使用できる。
【0019】
また、請求項5によれば、流れ促進手段で主流管路から分岐管路側への冷媒の流れを促進することができるので、ポンプなどの特別な動力を要せずに、効率よく第1冷媒を分岐管路側で循環させることができる。
【0020】
また、請求項6によれば、主流管路の折り曲げ部の上流側と一直線上に配置されて対向する分岐管路の入口側で、主流管路の折り曲げ部の上流側からの動圧を受けるため、折り曲げ部の上流側から第1冷媒が分岐管路に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0021】
また、請求項7によれば、主流管路の中央部に配置された分岐管路の入口から第1冷媒が分岐管路に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0022】
また、請求項8によれば、分岐管路側から主流管路側に第1冷媒が戻る際に当該第1冷媒を負圧で吸引することにより、簡単な構成で分岐管路側での第1冷媒の流れを促進できる。
【0023】
また、請求項9によれば、主流管路に設けられるタービンが第1冷媒の流れで回転駆動されるとともに、このタービンに連結されるプロペラが分岐管路で連動することにより、分岐管路で第1冷媒を確実に流通させることができる。
【0024】
また、請求項10によれば、主流管路の絞り部でタービンの付近における第1冷媒の流れを絞ることによりタービンの付近で第1冷媒の流れが速くなるので、タービンをより高速で回転駆動することができ、これに伴い、プロペラの高速回転により分岐管路で流通する第1冷媒の流量を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように本実施形態の熱交換器1は、車両用駆動装置、例えばエンジン2の冷却水(第1冷媒)を冷却するラジエータ(第1熱交換ユニット)3と、前記の冷却水と車両用空調装置4の圧縮機5から吐出される空調用冷媒(第2冷媒)との熱交換を行なう水冷コンデンサ(第2熱交換ユニット)6とを備え、この水冷コンデンサ6は、ラジエータ3から流出する冷媒とパイパス管路7を介してラジエータ3をバイパスする冷媒とが合流する合流部8より下流側に配置されている。
【0028】
また、エンジン2からは車室内暖房用に冷却水の一部を分岐させ、車室内に設けた熱交換器としてのヒーターコア22へ流す流路が設けられている。
【0029】
車両用空調装置4では、圧縮機5から吐出される空調用冷媒が水冷コンデンサ6で熱交換されるとともに、空冷コンデンサ9でも熱交換された後、膨張弁10を介してエバポレータ11へ送られて、このエバポレータ11にて暖房時の放熱あるいは冷房時の吸熱を行ない、次いで、冷媒はアキュームレータ12を介して圧縮機5へ再び流入する。
【0030】
この第1実施形態にあっては、車室の冷房時には、エンジン2から送出される高温の冷却水をラジエータ3で冷却した後、合流部8を通過した低温の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給し、この水冷コンデンサ6にて低温の冷却水と空調用の冷媒との熱交換を行なうことにより空調用の冷媒を冷却する。
【0031】
一方、車室の暖房時には、エンジン2から送出される冷却水をラジエータ3で冷却せずにパイパス管路7を介してバイパスさせた後、合流部8を通過した冷却水を水冷コンデンサ6へ供給し、この水冷コンデンサ6にて、圧縮機にて高圧、高温となった空調用の冷媒と冷却水との熱交換を行なうことにより冷却水を加熱する。
【0032】
したがって、上述したエンジン2から分岐してヒーターコア22へ流れる冷却水の温度が速やかに高まり、車室内暖房が効果的に行われる。
【0033】
すなわち、上記のように構成した第1実施形態によれば、合流部8より下流側に水冷コンデンサ6を配置したため、空調用の水冷コンデンサ6を車室の冷房用のみならず、車室の暖房用としても使用することができ、迅速に車室内の暖房を行なって即暖性の向上を図ることができる。
【0034】
(第2実施形態)図2は、本発明の第2実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Aは、上記第1実施形態にかかる熱交換器1と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0035】
本実施形態の熱交換器1Aは、エンジン2用の冷却水が合流する合流部8より下流側に、主流管路13から分岐して冷却水を流す分岐管路14を有し、この分岐管路14に、水冷コンデンサ6が配設されている。
【0036】
この第2実施形態によれば、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8より下流側の主流管路13から、分岐管路14が分岐しているので、主流管路13を流通する冷却水の流量にかかわりなく、分岐管路14を介して適切な流量の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給することができる。
【0037】
(第3実施形態)図3は、本発明の第3実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Bは、上記第2実施形態にかかる熱交換器1Aと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態の熱交換器1Bは、分岐管路14を流通する冷却水の流量を調整する流量調整弁15を有している。
【0039】
この第3実施形態によれば、エンジン2の回転数変化に伴って冷却水の流量が増減するような場合であっても、分岐管路14を流通する冷却水の流量を流量調整弁15で調整することにより、冷却水を水冷コンデンサ6へ所定の流量で精度よく供給することができる。
【0040】
(第4実施形態)図4は、本発明の第4実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Cは、上記第3実施形態にかかる熱交換器1Bと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0041】
本実施形態の熱交換器1Cは、冷却水が合流する合流部8にて冷却水の温度Twを検出する第1温度センサ16と、圧縮機5の出口側にて冷媒の温度Tdを検出する第2温度センサ17と、冷却水の温度Twおよび冷媒の温度Tdを比較して流量調整弁15を制御する制御部18とを備えている。
【0042】
この第4実施形態にあっては、ラジエータ3から流出する冷却水とラジエータ3をバイパスする冷却水とが合流する合流部8にて冷却水の温度Twを検出するとともに、圧縮機5の出口側にて冷媒の温度Tdを検出して、この検出の結果に応じて制御部18で流量調整弁15を制御する。
【0043】
例えば、車室の暖房時には、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより低い場合、主流管路13から分岐管路14へ冷却水の分流を行ない、比較的高温の空調用の冷媒を水冷コンデンサ6へ供給して冷却水を加熱し、一方、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより高い場合には、前記の冷媒による冷却水の加熱効果がないので冷却水の分流を停止する。
【0044】
また、車室の冷房時には、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより低い場合、主流管路13から分岐管路14へ冷却水の分流を行なうことにより、比較的低温の冷却水を水冷コンデンサ6へ供給して冷媒を冷却し、一方、冷却水の温度Twが冷媒の温度Tdより高い場合には、前記の冷却水による冷媒の冷却効果がないので、冷却水の分流を停止する。
【0045】
すなわち、このように構成した第4実施形態によれば、車室の暖房時および冷房時にそれぞれ水冷コンデンサ6を効果的に使用できる。
【0046】
(第5実施形態)図5は、本発明の第5実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図6は、本実施形態に設けられる各熱交換ユニットの配置状態を示す図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Dは、上記第2実施形態にかかる熱交換器1Aと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0047】
図5に示すように、本実施形態の熱交換器1Dでは、主流管路13から分岐管路14側への冷却水の流れを促進する流れ促進手段、例えば、可変または固定型の絞り弁19が主流管路13に設けられるとともに、分岐管路14にサブラジエータ3aが設けられ、このサブラジエータ3aは、水冷コンデンサ6より冷却水の上流側に位置している。
【0048】
また、図6に示すように、ラジエータ3の冷却風方向の上流側に、空冷コンデンサ9およびサブラジエータ3aが配置されるとともに、空冷コンデンサ9上にサブラジエータ3aが搭載されており、サブラジエータ3aに水冷コンデンサ6が付設されている。
【0049】
すなわち、この第5実施形態によれば、主流管路13を流通する冷却水の流れが絞り弁19で絞られ、主流管路13から分岐管路14側への冷却水の流れが促進されるので、分岐管路14側の通路抵抗が比較的高い場合であっても、ポンプなどの動力を特別に要せずに、効率よく冷却水を分岐管路14側で循環させることができる。
【0050】
(第6実施形態)図7は、本発明の第6実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図8は、図7のA部を拡大して示す断面図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Eは、上記第5実施形態にかかる熱交換器1Dと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0051】
図7および図8に示すように、本実施形態の熱交換器1Eでは、主流管路13が途中で直角に折り曲げられ、当該折り曲げ部13aの上流側と分岐管路14の入口14a側とが一直線上に配置されて互いに対向しており、折り曲げ部13aの下流側は上流側に対して直交している。
【0052】
この第6実施形態によれば、分岐管路14の入口14a側で主流管路13の折り曲げ部13aの上流側からの動圧を受けるため、折り曲げ部13aの上流側からの冷却水が分岐管路14に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。
【0053】
(第7実施形態)図9は、本発明の第7実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図、図10は、本実施形態に設けられる分岐管路の入口部および出口部を示す断面図、図11は、タービンとプロペラを備えた変形例を示す断面図、図12は、タービンとプロペラとタービン付近の絞り部を備えた他の変形例を示す断面図である。なお、本実施形態にかかる熱交換器1Fは、上記第5実施形態にかかる熱交換器1Dと同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0054】
図9および図10に示すように、本実施形態の熱交換器1Fでは、分岐管路14の入口14aは主流管路13の中央部に配置されるとともに、入口14aが冷却水の上流側に向かって延びている。また、分岐管路14の出口14bは主流管路13の中央部に配置されるとともに、出口14bが冷却水の下流側に向かって延びている。
【0055】
この第7実施形態にあっては、主流管路13の中央部に配置された分岐管路14の入口14aから冷却水が分岐管路14に流入しやすくなり、簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。また、分岐管路14の出口14bから主流管路13側に冷却水が戻る際に、主流管路13の冷却水の流れに伴い分岐管路14の出口14bで負圧が発生するので、分岐管路14の出口14bより冷却水が吸引されるので、この点でも簡単な構成で分岐管路14での冷却水の流れを促進できる。
【0056】
なお、上記第7実施形態では、分岐管路14の入口14aが主流管路13の中央部に配置されるとともに冷却水の上流側に向かって延びている場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、図11に示すように、冷却水の流れで回転駆動されるタービン20を主流管路13に設けるとともに、タービン20に連結されるプロペラ21を分岐管路14に設けて、タービン20の駆動でプロペラ21を回転させることにより、分岐管路14で冷却水をより確実に流通させることができる。
【0057】
さらに、図12に示すように、主流管路13に、タービン20の付近における冷却水の流れを絞る絞り部13bを設けることにより、タービン20の付近で冷却水の流れが速くなるのでタービン20を高速で回転駆動することができ、これに伴い、プロペラ21の高速回転により分岐管路14で流通する冷却水の流量を増やすことができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について例示したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図5】本発明の第5実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図6】第5実施形態に設けられる各熱交換ユニットの配置状態を示す図である。
【図7】本発明の第6実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図8】図7のA部を拡大して示す断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器を示すブロック図である。
【図10】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器に設けられる分岐管路の入口部および出口部を示す断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態にかかる熱交換器の別の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A〜1F 熱交換器
2 エンジン
3 ラジエータ(第1熱交換ユニット)
3a サブラジエータ
4 車両用空調装置
5 圧縮機
6 水冷コンデンサ(第2熱交換ユニット)
7 パイパス管路
8 合流部
13 主流管路
13a 折り曲げ部
13b 絞り部
14 分岐管路
14a 入口
14b 出口
15 流量調整弁
16 第1温度センサ
17 第2温度センサ
18 制御部
19 絞り弁(流れ促進手段)
20 タービン
21 プロペラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用駆動装置(2)で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット(3)、および前記第1冷媒と車両用空調装置(4)の圧縮機(5)から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニット(6)を備えた熱交換器(1、1A〜1F)において、
前記第1熱交換ユニット(3)から流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニット(3)をバイパスする第1冷媒とが合流する合流部(8)より下流側に、前記第2熱交換ユニット(6)を配置したことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記合流部(8)より下流側に、主流管路(13)から分岐して前記第1冷媒が流通する分岐管路(14)を設けて、この分岐管路(14)に、前記第2熱交換ユニット(6)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記分岐管路(14)を流通する前記第1冷媒の流量を調整する流量調整弁(15)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記合流部(8)にて前記第1冷媒の温度を検出する第1温度センサ(16)と、前記圧縮機(5)の出口側にて前記第2冷媒の温度を検出する第2温度センサ(17)と、前記第1冷媒の温度および前記第2冷媒の温度を比較して前記流量調整弁(15)を制御する制御部(18)とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記主流管路(13)から前記分岐管路(14)側への前記第1冷媒の流れを促進する流れ促進手段(19)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記主流管路(13)が途中で折り曲げられ、当該折り曲げ部(13a)の上流側と前記分岐管路(14)の入口(14a)側とが一直線上に配置されて互いに対向していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記主流管路(13)の中央部に、前記分岐管路(14)の入口(14a)が配置されたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記分岐管路(14)側から前記主流管路(13)側に前記第1冷媒を負圧で吸引することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記主流管路(13)に設けられ、前記第1冷媒の流れで回転駆動されるタービン(20)と、このタービン(20)に連結され、前記分岐管路(14)に設けられるプロペラ(21)とを備え、
前記タービン(20)の駆動で前記プロペラ(21)を回転させることにより、前記分岐管路(14)側での前記第1冷媒の流れを促進することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記主流管路(13)に、前記タービン(20)の付近における前記第1冷媒の流れを絞る絞り部(13b)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項1】
車両用駆動装置(2)で用いられる第1冷媒を冷却する第1熱交換ユニット(3)、および前記第1冷媒と車両用空調装置(4)の圧縮機(5)から吐出される第2冷媒との熱交換を行なう第2熱交換ユニット(6)を備えた熱交換器(1、1A〜1F)において、
前記第1熱交換ユニット(3)から流出する第1冷媒と当該第1熱交換ユニット(3)をバイパスする第1冷媒とが合流する合流部(8)より下流側に、前記第2熱交換ユニット(6)を配置したことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記合流部(8)より下流側に、主流管路(13)から分岐して前記第1冷媒が流通する分岐管路(14)を設けて、この分岐管路(14)に、前記第2熱交換ユニット(6)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記分岐管路(14)を流通する前記第1冷媒の流量を調整する流量調整弁(15)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記合流部(8)にて前記第1冷媒の温度を検出する第1温度センサ(16)と、前記圧縮機(5)の出口側にて前記第2冷媒の温度を検出する第2温度センサ(17)と、前記第1冷媒の温度および前記第2冷媒の温度を比較して前記流量調整弁(15)を制御する制御部(18)とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記主流管路(13)から前記分岐管路(14)側への前記第1冷媒の流れを促進する流れ促進手段(19)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記主流管路(13)が途中で折り曲げられ、当該折り曲げ部(13a)の上流側と前記分岐管路(14)の入口(14a)側とが一直線上に配置されて互いに対向していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記主流管路(13)の中央部に、前記分岐管路(14)の入口(14a)が配置されたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記分岐管路(14)側から前記主流管路(13)側に前記第1冷媒を負圧で吸引することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記主流管路(13)に設けられ、前記第1冷媒の流れで回転駆動されるタービン(20)と、このタービン(20)に連結され、前記分岐管路(14)に設けられるプロペラ(21)とを備え、
前記タービン(20)の駆動で前記プロペラ(21)を回転させることにより、前記分岐管路(14)側での前記第1冷媒の流れを促進することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記主流管路(13)に、前記タービン(20)の付近における前記第1冷媒の流れを絞る絞り部(13b)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−143266(P2008−143266A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330811(P2006−330811)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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