説明

熱交換器

【課題】受液器のプラグを筒状本体から取り外す際のプラグの飛び出しを防止しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器の受液器7の円筒状本体26の開口端部の内周面に、雌側シール面33およびめねじ32を設ける。受液器7のプラグ28の外周面に、雄側シール面35およびめねじ32とねじ合わされるおねじ34を設ける。円筒状本体26の雌側シール面33とプラグ28の雄側シール面35との間をOリング37によりシールする。プラグ28に、上端面から下方にのび、かつプラグ28を軸線の周りに回すための工具を挿入する有底状の工具挿入穴41を形成する。プラグ28の下端面と工具挿入穴41の底面との間に貫通穴42を形成する。貫通穴42内に、工具を工具挿入穴41内に挿入した際に開き、常時は閉じている安全バルブ43を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえばカーエアコンを構成する冷凍サイクルに用いられる熱交換器に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、車体への組み付け性の向上や、設置スペースの節約を図ること、および冷凍サイクルの冷凍能力の向上を図ることを目的として、カーエアコンを構成する冷凍サイクルの熱交換器として、たとえば互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた上下方向にのびる受液器とを備えており、両タンクがそれぞれ同一高さ位置に設けられた仕切壁によりタンクの長さ方向に2つのヘッダに区画され、両仕切壁よりも上側の部分にコンデンサとしての機能を有する凝縮部が設けられるとともに、両仕切壁よりも下側の部分に過冷却器としての機能を有する過冷却部が設けられた熱交換器が広く知られている。
【0004】
上述した熱交換器においては、受液器内に配置された乾燥剤などを交換する必要があり、たとえば特許文献1記載の熱交換器が知られている。特許文献1記載の熱交換器の受液器は、上下方向にのびかつ少なくとも下端が開口した円筒状本体と、円筒状本体の下端部内にねじ嵌められたプラグとを有し、円筒状本体の下端部の内周面に円筒面状の雌側シール面が設けられるとともに、円筒状本体内の下端部の内周面における雌側シール面の上方に連なった部分にめねじが設けられ、プラグの外周面に前記めねじとねじ合わされるおねじが設けられるとともに、プラグの外周面におけるおねじの下方に連なった部分に円筒面状の雄側シール面が設けられ、円筒状本体の雌側シール面の内径がめねじの内径よりも大きくなるとともに、プラグの雄側シール面の外径がおねじの外径よりも大きくなり、円筒状本体の雌側シール面とプラグの雄側シール面との間が上下2つのOリングによりシールされ、円筒状本体の雌側シール面の下端と上側Oリングとの距離が、プラグのおねじの上端と円筒状本体のめねじの下端との距離よりも長くなっている熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器の受液器においては、円筒状本体の雌側シール面の下端と上側Oリングとの距離が、プラグのおねじの上端と円筒状本体のめねじの下端との距離よりも長くなっているので、冷凍サイクル内、すなわち熱交換器内に冷媒が残留して内圧が高い間にプラグを円筒状本体から取り外す場合に次のような問題が発生する。すなわち、プラグを円筒状本体から取り外す際に、プラグを回し、めねじとおねじとのねじ合わせを解除した時点では、雌側シール面と雄側シール面との間が上側のOリングによりシールされて熱交換器内に冷媒が残留して内圧が高いままの状態であるから、熱交換器内の圧力によりプラグが勢いよく下方に飛び出してしまう。
【特許文献1】特開平9−324962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、受液器のプラグを筒状本体から取り外す際のプラグの飛び出しを防止しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた受液器とを備えており、受液器が、上下方向にのびかつ少なくとも一端が開口した筒状本体、および筒状本体の開口端部内にねじ嵌められたプラグとを有し、筒状本体の開口端部の内周面に、円筒面状の雌側シール面およびめねじが設けられ、プラグの外周面に、雄側シール面およびめねじとねじ合わされるおねじが設けられ、筒状本体の雌側シール面とプラグの雄側シール面との間がOリングによりシールされている熱交換器において、
プラグに、上下方向外側端面から筒状本体の長さ方向にのび、かつプラグを軸線の周りに回すための工具を挿入する有底状の工具挿入穴が形成され、プラグの上下方向内側端面と工具挿入穴の底面との間に貫通穴が形成され、当該貫通穴内に、工具を工具挿入穴内に挿入した際に開き、常時は閉じている安全バルブが配置されている熱交換器。
【0009】
2)安全バルブが、上下方向内側端部が開口するとともに上下方向外側端部が閉鎖された筒状でありかつ内部が冷媒排出路となされたバルブ本体と、バルブ本体の冷媒排出路を開閉するバルブヘッドと、バルブヘッドを閉側に付勢するばねとを備えており、バルブ本体の上下方向外側端部が工具挿入穴内に突出しているとともに、バルブ本体の周壁における工具挿入穴内に突出した部分に冷媒通過穴が形成され、バルブ本体の上下方向内側端部に、バルブヘッドのバルブフェースが密着するバルブシートが形成され、バルブヘッドが、バルブ本体の閉鎖壁を貫通して上下方向外側端部が工具挿入穴内に突出し、かつ筒状本体の長さ方向に移動しうるバルブステムの上下方向内側端部に設けられ、ばねが、バルブステムにおけるバルブ本体から上下方向外側に突出した部分の周囲に配置されている上記1)記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0010】
上記1)の熱交換器によれば、プラグに、上下方向外側端面から筒状本体の長さ方向にのび、かつプラグを軸線の周りに回すための工具を挿入する有底状の工具挿入穴が形成され、プラグの上下方向内側端面と工具挿入穴の底面との間に貫通穴が形成され、当該貫通穴内に、工具を工具挿入穴内に挿入した際に開き、常時は閉じている安全バルブが配置されているので、冷凍サイクル内、すなわち熱交換器内の圧力が未だ比較的高い間にプラグを筒状本体から取り外す場合には、プラグを回すための工具を工具挿入穴内に挿入した際に安全バルブが開き、熱交換器内に残留した冷媒は外部に抜ける。したがって、筒状本体のめねじとプラグのおねじとのねじ合わせを解除した時点では、冷凍サイクル内、すなわち熱交換器内の圧力は低下しているので、プラグが勢いよく飛び出すことが防止される。
【0011】
上記2)の熱交換器によれば、安全バルブの構成が比較的簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
この実施形態は、この発明による熱交換器を、コンデンサの機能を有する凝縮部と、過冷却器の機能を有する過冷却部とが一体化された熱交換器に適用したものである。
【0014】
以下の説明において、図1の左右を左右というものとし、図1の紙面表側を前、これと反対側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0015】
図1は熱交換器の全体構成を示し、図2〜図5はその要部の構成を示す。
【0016】
図1において、熱交換器(1)は、互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる左右1対のアルミニウム製タンク(2)(3)と、両タンク(2)(3)間に幅方向を前後方向に向けるとともに上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ左右両端部が両タンク(2)(3)にそれぞれ接続された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(4)と、隣り合う熱交換管(4)間および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側に配置されてコルゲートフィン(5)にろう付された上下1対のアルミニウム製サイドプレート(6)と、左タンク(2)に取付部材(8)を介して固定された受液器(7)とを備えている。
【0017】
熱交換器(1)の両タンク(2)(3)内は、下部の同一高さ位置においてそれぞれ仕切壁(9)(11)により上下に区画されており、これにより気相の冷媒を凝縮させて液相とするコンデンサの機能を有する凝縮部(12)と、凝縮部(12)で凝縮された液状冷媒を凝縮温度よりも5〜15℃程度低い温度まで過冷却する過冷却器の機能を有する過冷却部(13)とが同一垂直面内において上下に並んで一体に設けられている。
【0018】
ここで、左タンク(2)における仕切壁(9)よりも上方の部分が凝縮部(12)の左ヘッダ(14)であり、右タンク(3)における仕切壁(11)よりも上方の部分が凝縮部(12)の右ヘッダ(15)である。また、左タンク(2)における仕切壁(9)よりも下方の部分が過冷却部(13)の左ヘッダ(16)であり、右タンク(3)における仕切壁(11)よりも下方の部分が過冷却部(13)の右ヘッダ(17)である。
【0019】
凝縮部(12)の右ヘッダ(15)は、上下方向の中程の高さ位置に設けられた通路群形成用のアルミニウム製第1仕切板(18)により上ヘッダ部(15a)と下ヘッダ部(15b)とに区画されており、左ヘッダ(14)は第1仕切板(18)よりも下方の高さ位置に設けられた通路群形成用のアルミニウム製第2仕切板(19)により上ヘッダ部(14a)と下ヘッダ部(14b)とに区画されている。そして、凝縮部(12)に、第1仕切板(18)よりも上方の部分、両仕切板(18)(19)間の部分および第2仕切板(19)よりも下方の部分において、それぞれ上下に連続して並んだ熱交換管(4)からなる通路群(21)(22)(23)が設けられている。各通路群(21)(22)(23)を構成する熱交換管(4)の本数は、上から順次減少している。また、各通路群(21)(22)(23)を構成する全ての熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの通路群(21)(22)および(22)(23)の熱交換管(4)における冷媒の流れ方向が異なっている。
【0020】
凝縮部(12)の右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)の上端部に、図示しない冷媒入口に通じるアルミニウム製冷媒入口部材(24)がろう付され、過冷却部(13)の右ヘッダ(17)に、図示しない冷媒出口に通じるアルミニウム製冷媒出口部材(25)がろう付されている。また、凝縮部(12)の左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)に、受液器(7)に冷媒を送り出す冷媒出口(図示略)が形成されるとともに、過冷却部(13)の左ヘッダ(16)に受液器(7)から冷媒を送り込む冷媒入口(図示略)が形成されている。左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)の冷媒出口は、取付部材(8)に形成された冷媒流入路を介して受液器(7)に形成された冷媒流入口(いずれも図示略)に通じ、左ヘッダ(16)の冷媒入口は、取付部材(8)に形成された冷媒流出路を介して受液器(7)に形成された冷媒流出口(いずれも図示略)に通じている。
【0021】
受液器(7)は、上下両端が開口した円筒状本体(26)と、円筒状本体(26)の下端部にろう付されて下端開口を閉鎖するアルミニウム製下キャップ(27)と、円筒状本体(26)の上端開口を閉鎖する円筒状のアルミニウム製プラグ(28)とを備えている。円筒状本体(26)は、横断面円形のアルミニウム製パイプ(30)と、パイプ(30)の上端部にろう付され、かつ内周面が円筒面状となされたアルミニウム製段付き円筒状めねじ部品(31)とよりなる。パイプ(30)の下部に、図示しない冷媒流入口および冷媒流出口が形成されている。図示は省略したが、受液器(7)内には、乾燥剤、ストレーナなどが配置されている。
【0022】
図2に示すように、パイプ(30)の上端部にろう付されためねじ部品(31)の内周面の上部にめねじ(32)が設けられ、めねじ部品(31)の内周面におけるめねじ(32)の下方(上下方向内方)に連なった部分に円筒面状の雌側シール面(33)が設けられている。めねじ部品(31)の雌側シール面(33)の内径はめねじ(32)の内径よりも小さくなっている。
【0023】
プラグ(28)の外周面における下端部を除いた部分に、円筒状本体(26)のめねじ部品(31)のめねじ(32)とねじ合わされるおねじ(34)が設けられるとともに、プラグ(28)の外周面におけるおねじ(34)の下方に連なった部分に円筒面状の雄側シール面(35)が設けられている。プラグ(28)の雄側シール面(35)の外径はおねじ(34)の外径よりも小さくなっている。プラグ(28)の雄側シール面(35)の外周面には全周にわたる環状溝(36)が形成され、環状溝(36)内にOリング(37)が装着されており、Oリング(37)により円筒状本体(26)のめねじ部品(31)の雌側シール面(33)とプラグ(28)の雄側シール面(35)との間がシールされている。また、プラグ(28)の上端部には、めねじ部品(31)の上端面に接する外向きフランジ(38)が設けられ、外向きフランジ(38)の下面に、外向きフランジ(38)とめねじ部品(31)の上端面との間をシールする複数、ここでは2つのの環状凸条(39)が同心円状に形成されている(図3参照)。
【0024】
プラグ(28)には、その上端面(上下方向外端面)から下方(円筒状本体(26)の長さ方向)にのび、かつプラグを軸線の周りに回すための工具、たとえば六角レンチやトルクスレンチを挿入する有底状の工具挿入穴(41)が形成されている。プラグ(28)の下端面(上下方向内側端面)と工具挿入穴(41)の底面との間に貫通穴(42)が形成され、当該貫通穴(42)内に、工具を工具挿入穴(41)内に挿入した際に開き、常時は閉じている安全バルブ(43)が配置されている。貫通穴(42)の内周面の下部にはめねじ(44)が設けられている。
【0025】
図4に詳細に示すように、安全バルブ(43)は、下端(上下方向内側端部)が開口するとともに上端(上下方向外端部)が閉鎖された筒状で、かつ内部が冷媒排出路(46)となされたバルブ本体(45)と、バルブ本体(45)の冷媒排出路(46)を開閉するバルブヘッド(47)と、バルブヘッド(47)を閉側、ここでは上方に付勢するばね(48)とを備えている。
【0026】
バルブ本体(45)の外周面の下部に、プラグ(28)の貫通穴(42)のめねじ(44)とねじ合わされるおねじ(49)が設けられている。また、バルブ本体(45)の外周面におけるおねじ(49)よりも上方の部分に、環状溝(51)が全周にわたって形成されており、環状溝(51)内に、プラグ(28)の貫通穴(42)の内周面におけるめねじ(44)よりも上方の部分とバルブ本体(45)の外周面におけるおねじ(49)よりも上方の部分との間をシールするOリング(52)が装着されている。バルブ本体(45)の上端部(上下方向外側端部)は工具挿入穴(41)内に突出しており、バルブ本体(45)の周壁における工具挿入穴(41)内に突出した部分に冷媒通過穴(53)が形成されている。また、バルブ本体(45)の下端部(内端部)に、バルブヘッド(47)のバルブフェース(47a)が密着するバルブシート(54)が形成されている。バルブヘッド(47)は、バルブ本体(45)の上端閉鎖壁(45a)を貫通して上端部(上下方向外側端部)が工具挿入穴(41)内に突出し、かつ上下方向に移動しうるバルブステム(55)の下端部(上下方向内側端部)に設けられている。バルブヘッド(47)のバルブフェース(47a)には、環状溝(56)が全周にわたって形成されており、環状溝(56)内にOリングからなるバルブシール(57)が装着されている。ばね(48)は、バルブステム(55)におけるバルブ本体(45)から外側に突出した部分の周囲において、バルブステム(55)の上端部に設けられたばね受け(55a)と、バルブ本体(45)の上端閉鎖壁(45a)との間に配置されている
そして、受液器(7)内に配置された乾燥剤などの交換を目的として、プラグ(28)を回して円筒状本体(26)から取り外す際に、六角レンチ、トルクスレンチなどの棒状の工具をプラグ(28)の工具挿入穴(41)に差し込むと、安全バルブ(43)のバルブステム(55)が工具に押され、ばね(48)の付勢力に抗してバルブステム(55)が下降し、バルブヘッド(47)のバルブフェース(47a)がバルブ本体(45)のバルブシート(54)から離れ、冷媒排出路(46)の下端開口が開く(図5参照)。その結果、冷凍サイクル内、すなわち熱交換器(1)内に冷媒が残留して内圧が未だ比較的高くなっていたとしても、残留した冷媒はバルブ本体(45)の冷媒排出路(46)および冷媒通過穴(53)を通って外部に抜けるので、円筒状本体(26)のめねじ(32)とプラグ(28)のおねじ(34)とのねじ合わせを解除した時点では、冷凍サイクル内、すなわち熱交換器(1)内の圧力は低下しており、プラグ(28)が勢いよく上方に飛び出すことが防止される。
【0027】
熱交換器(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
【0028】
上述した熱交換器(1)において、冷凍サイクルの運転時には、圧縮機により圧縮された高温高圧の気液混相の冷媒が入口部材(24)を通って図示しない冷媒入口から凝縮部(12)の右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)内に流入する。右ヘッダ(15)の上ヘッダ部(15a)内に流入した気液混相の冷媒は、上端通路群(21)の熱交換管(4)を通って左ヘッダ(14)の上ヘッダ部(14a)内に流入した後、中間通路群(22)の熱交換管(4)を通って右ヘッダ(15)の下ヘッダ部(15b)内に流入し、さらに下端通路群(23)の熱交換管(4)を通って左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)内に流入する。
【0029】
凝縮部(12)の左ヘッダ(14)の下ヘッダ部(14b)内に流入した気液混相の冷媒は、下ヘッダ部(14b)に形成された冷媒出口から送り出され、取付部材(8)に形成された冷媒流入路および受液器(7)の円筒状本体(26)のパイプ(30)に形成された冷媒流入口から受液器(7)内に流入する。そして、受液器(7)内において気液分離されるとともに水分が除去される。
【0030】
気相冷媒と分離された液相冷媒は、受液器(7)の円筒状本体(26)のパイプ(30)に形成された冷媒流出口、取付部材(8)に形成された冷媒流出路、および過冷却部(13)の左ヘッダ(16)に形成された冷媒入口を通って左ヘッダ(16)内に入る。過冷却部(13)の左ヘッダ(16)内に流入した冷媒は、熱交換管(4)を通って右ヘッダ(17)内に流入し、図示しない冷媒出口から冷媒出口部材(25)を通して膨張弁を経て蒸発器に送られる。
【0031】
上記実施形態においては、受液器(7)の円筒状本体(26)は、パイプ(30)とパイプ(30)の上端部にろう付された段付き円筒状めねじ部品(31)とからなるが、これに限定されるものではなく、円筒状本体全体が1つの部材からなり、その上端部にめねじ(32)および雌側シール面(33)が設けられていてもよい。
【0032】
また、上記実施形態においては、円筒状本体の上端開口にプラグ(28)がねじ嵌められているが、これとは逆に、円筒状本体の下端開口にプラグ(28)がねじ嵌められていてもよい。この場合、当然のことながら、プラグ(28)は上下逆向きに用いられる。
【0033】
さらに、安全バルブの構成は、図示したものに限定されず、工具を工具挿入穴内に挿入した際に開き、常時は閉じているものであれば、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施形態1の熱交換器の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す熱交換器の受液器の上端部を拡大して示す垂直縦断面図である。
【図3】図2におけるプラグの外向きフランジの部分を拡大して示す図である。
【図4】図2における安全バルブの部分を拡大して示す図である。
【図5】安全バルブが開いた状態を示す図4相当の図である。
【符号の説明】
【0035】
(1):熱交換器
(2)(3):タンク
(4):熱交換管
(5):コルゲートフィン
(7):受液器
(26):円筒状本体
(28):プラグ
(32):めねじ
(33):雌側シール面
(34):おねじ
(35):雄側シール面
(37):Oリング
(41):工具挿入穴
(42):貫通穴
(43):安全バルブ
(45):バルブ本体
(45a):上端閉鎖壁
(46):冷媒排出路
(47):バルブヘッド
(47a):バルブフェース
(48):ばね
(53):冷媒通過穴
(54):バルブシート
(55):バルブステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された上下方向にのびる1対のタンクと、両タンク間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両タンクにそれぞれ接続された複数の熱交換管と、隣り合う熱交換管間に配置されたフィンと、いずれか一方のタンクに取り付けられた受液器とを備えており、受液器が、上下方向にのびかつ少なくとも一端が開口した筒状本体、および筒状本体の開口端部内にねじ嵌められたプラグとを有し、筒状本体の開口端部の内周面に、円筒面状の雌側シール面およびめねじが設けられ、プラグの外周面に、雄側シール面およびめねじとねじ合わされるおねじが設けられ、筒状本体の雌側シール面とプラグの雄側シール面との間がOリングによりシールされている熱交換器において、
プラグに、上下方向外側端面から筒状本体の長さ方向にのび、かつプラグを軸線の周りに回すための工具を挿入する有底状の工具挿入穴が形成され、プラグの上下方向内側端面と工具挿入穴の底面との間に貫通穴が形成され、当該貫通穴内に、工具を工具挿入穴内に挿入した際に開き、常時は閉じている安全バルブが配置されている熱交換器。
【請求項2】
安全バルブが、上下方向内側端部が開口するとともに上下方向外側端部が閉鎖された筒状でありかつ内部が冷媒排出路となされたバルブ本体と、バルブ本体の冷媒排出路を開閉するバルブヘッドと、バルブヘッドを閉側に付勢するばねとを備えており、バルブ本体の上下方向外側端部が工具挿入穴内に突出しているとともに、バルブ本体の周壁における工具挿入穴内に突出した部分に冷媒通過穴が形成され、バルブ本体の上下方向内側端部に、バルブヘッドのバルブフェースが密着するバルブシートが形成され、バルブヘッドが、バルブ本体の閉鎖壁を貫通して上下方向外側端部が工具挿入穴内に突出し、かつ筒状本体の長さ方向に移動しうるバルブステムの上下方向内側端部に設けられ、ばねが、バルブステムにおけるバルブ本体から上下方向外側に突出した部分の周囲に配置されている請求項1記載の熱交換器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate