説明

熱交換器

【課題】内燃機関用熱交換器取付のための部品の種類を低減する。
【解決手段】内燃機関に固定された底板2を備える熱交換器1に関し、供給縦溝3が底板を通っている。少なくとも1つのシール要素4が底板に直接に射出成形又は加硫成形されており、それによって、構成部品との強固な結合が生じている。これにより、以前に要求されたシール板が除去されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る、構成部品に固定するための底板を備える熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、底板を備える一般的な熱交換器は、当該底板を介して、例えば内燃機関のような他の部品に接続されることが知られている。ここで、底板と他の部品との間に、射出成形されたシール要素を備える金属板が設けられており、この金属板全体は、熱交換器の底板と他の部品、例えば内燃機関との間をシールするのに用いられている。
【0003】
特許文献2から、内燃機関の潤滑油用のオイルフィルタは、同じくシーリング・プレートを介して内燃機関に接続され、又は、それぞれ、内燃機関に対して前記シーリング・プレートを介してシールされていることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2006 027 725号明細書
【特許文献2】独国特許発明第42 42 997号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一般的な熱交換器に適した改良された実施形態、特に部品の種類を減らすことによって特徴づけられた実施形態を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立の請求項1の主題による発明によって解決される。有利な実施形態は、従属項の主題である。
【0007】
本発明は、従来のように他の部品に対して熱交換器をシールするために射出成形又は加硫成形されたシール要素を備える別の金属板を用いるのではなく、熱交換器の底板に上記シール要素を直接に射出成形又は加硫成形することによって、直接的であって、同時に、強固な結合を生じさせるという概念に基づいている。従って、本発明の概念を用いることによって、運搬台として使われていた従来の金属板は除去されてもよく、それによって、部品の種類及び組立コストが抑制される。上記熱交換器の上記底板への少なくとも1つのシール要素の射出成形及び加硫成形は、大抵、半田付け温度よりもかなり低い温度において実行されるので、射出成形工程又は加硫成形工程によって生じる上記熱交換器の最終的な構造へのダメージの可能性はない。従って、本発明に係る熱交換器によって、部品コスト、組立コスト及び製造コストを一般に削減できる。
【0008】
本発明に係る解決手段の有利な発展において、上記溝構造は上記熱交換器の上記底板に設けられ、上記溝構造において、少なくとも1つのシール要素が伸びている。上記溝構造は、例えば、上記熱交換器の上記底板にエンボス加工又は圧延され、上記少なくとも1つのシール要素の後の伸び具合を予め規定してもよい。特に上記溝構造の下からくり抜く構造によって、上記溝構造に射出成形された上記シール要素は上記溝構造に重なり合って、上記底板にこの方式で確かに固定されている。このような溝構造の製造は、適切な圧延工具を用いてシンプルなやり方で実現される。
【0009】
更に、本発明の重要な特徴及び有利な点は、従属項、図面、及び図面に基づく形態の関連する記載から生じる。
【0010】
上記の特徴及び下記に説明する特徴は、それぞれ言及した組合せだけでなく、本発明の範疇から逸脱しないような他の組合せ又は単独で利用されてもよい。
【0011】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示され、以下の記載において一層詳細に説明されており、同一の参照番号は、同一の、同様の、又は機能的に同一の構成要素を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】底板に直接に射出成形されたシール要素を備える熱交換器を示す図である。
【図2】底板の可能な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2によると、本発明に係る熱交換器1は、図示しない他の部品、特に内燃機関に固定するための底板2を備え、供給縦溝3が底板2を縦断している。本発明によると、少なくとも1つのシール要素4が底板2に射出成形又は加硫成形されており、それによって構成部品、例えば内燃機関との強固な結合が、以前見られたシール要素を備えた別の金属板を必要とすることなく、成立する。
【0014】
シール要素4は、プラスチック、特にエラストマー製である。シール要素4を底板2に収容するために、溝5又は溝構造5が、シール要素4が伸びるように設けられている。溝構造5は、図1及び図2に示されているように、用水路のように形成されてもよく、又は、下からくり抜くように形成されてもよく、溝構造5に射出成形されたシール要素4の重ね合わせが実現されてもよい。
【0015】
溝(溝構造)5は、例えば図1及び図2に示すように、底板2にエンボス加工され又は圧延されてもよい。この代替案として、底板2は2枚の層6及び7、即ち第1層6及びこれに半田付けされた第2層7で構成されてもよく、この場合に、第1層6は貫通開口状の溝構造5を有する。第1層6の溝構造5は打ち抜かれてもよく、これにより、コスト効率がよく、しかも精度よく製造される。各溝構造5へのシール要素4の射出成形又は加硫成形は、上記2層の半田付け温度よりも低い温度でなされるのが好ましく、底板2への少なくとも1つのシール要素の射出成形又は加硫成形は、2枚の層6,7の間の半田結合に悪影響を一切与えない。
【0016】
一般に、熱交換器1は図示しないフィルタ、特にオイルフィルタに接続されてもよく、理論的には底板2はオイルフィルタのような欠くことのできない部分でもよく、射出成形されたシール要素を備える、以前に要求された金属板の除去が、他の領域、例えばフィルタ領域において実現されてもよい
図1に示すように、溝構造5に射出成形されたシール要素4は、右側の図に示されており、左側の図には、未だ空の溝構造5が示されている。
【0017】
本発明に係る熱交換器1を用いると、射出成形されたシール要素を有する、以前に用いられ要求された金属板を除くことによって、部品の種類が著しく減少し、それによって製造コスト及び組立コストを減少させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品、特に内燃機関に固定するための底板(2)を備え、供給溝(3)が当該底板(2)を通る熱交換器(1)であって、
少なくとも1つのシール要素(4)が上記底板(2)に射出成形又は加硫成形され、それによって上記構成部品との強固な結合が生じることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の熱交換器において、
上記シール要素(4)は、プラスチック、特にエラストマーで構成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の熱交換器において、
溝構造(5)が上記底板(2)に設けられ、
当該溝構造(5)には、上記少なくとも1つのシール要素(4)が伸びていることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項3記載の熱交換器において、
上記溝構造(5)は、下からくり抜く方法で形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項3又は4記載の熱交換器において、
上記溝構造(5)は、エンボス加工又は圧延されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
請求項3又は4記載の熱交換器において、
上記底板(2)は2層(6,7)構造であって、
第1層(6)は、貫通開口状の上記溝構造(5)を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項7】
請求項6記載の熱交換器において、
上記第1層(6)の上記溝構造(5)は打ち抜かれ、及び/又は、上記2層(6,7)は、互いに半田付けされていることを特徴とする熱交換器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の熱交換器において、
上記熱交換器(1)は、フィルタ、特にオイルフィルタに接続されていることを特徴とする熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−241821(P2011−241821A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−101882(P2011−101882)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(506292974)マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26−46, D−70376 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】