説明

熱交換装置の制御装置及び熱交換装置の制御方法

【課題】液体を散布する時間内は確実に熱交換器に液体を散布し続ける熱交換装置の制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】熱交換装置の制御装置は、熱交換器2a、2bに液体を散布し、液体の蒸発熱を利用して熱交換器2a、2bを冷却する装置であって、散布する液体の量と液体を散布する時間に基づいて液体の単位時間あたりの散布量を演算する手段と、液体の単位時間あたりの散布量に基づいて液体を散布する熱交換器2a、2bの範囲を決定する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置の制御装置及び制御方法に関し、特に、熱交換器の表面に散布した液体の蒸発潜熱を利用して熱交換率を制御する制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱交換器の表面に水を散布し、水の蒸発潜熱を利用して熱交換器の冷却能力を向上させる熱交換装置が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、熱交換器とは、高温の熱伝達媒体がもつ熱エネルギーを低温の媒体に伝えるものであって、例えば、家庭用或いは車用のラジエタなどがこれに含まれる。
【0003】
特許文献1では、散布された水を効率的に蒸発させるためには、熱交換器のできるだけ広範囲に水を散布すること、特に熱交換器の表面温度が高い部分に水を散布することが有効であることを着目し、複数の散水ノズルを備える散水装置を用いた熱交換装置を開示している。
【特許文献1】特開2002−372385
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、散水装置が単位時間あたりに散布する水量が一定である場合について考える。水の散布が必要な時間に対して熱交換装置が蓄える水の量が少ない場合、当該時間よりも短い時間で貯水量がなくなり、熱エネルギーを奪われる高温側の媒体の温度が上昇してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、熱交換器に液体を散布し、前記液体の蒸発熱を利用して前記熱交換器を冷却する熱交換装置の制御装置及び制御方法であって、散布する液体の量と当該液体を散布する時間に基づいて液体の単位時間あたりの散布量を演算する手段と、液体の単位時間あたりの散布量に基づいて液体を散布する熱交換器の範囲を決定する手段とを備えることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液体を散布する時間内は確実に熱交換器に液体を散布し続ける熱交換装置の制御装置及び制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
【0008】
[構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる熱交換装置の構成を説明する。実施の形態に係わる熱交換装置(ミスト冷却システム)は、熱交換装置が取り扱う熱エネルギーを生成する発熱体1と、発熱体1を冷却する媒体(例えば、冷却水)が流通する冷却流路と、冷却流路上に配置された熱交換器(2a、2b、10a〜10c)と、冷却流路内に冷却水を循環させる第1のポンプ3と、冷却水の温度を検知する水温センサ4と、熱交換器(2a、2b)に液体(例えば、水)を散布する散布器(5a〜5f、6a〜6f)と、熱交換器(2a、2b)に散布する水を蓄える貯水タンク8と、貯水タンク8内の水量を検知する水位センサ9と、貯水タンク8内の水を散布器へ圧送する第2のポンプ7とを備える。
【0009】
熱交換器は、上流側の熱交換器2aと、熱交換器2aに対して略平行に配置された下流側の熱交換器2bと、熱交換器2aと熱交換器2bの両端にそれぞれ配置されたタンク10a〜10cとを備える。タンク10bは、熱交換器2aと熱交換器2bを直列に接続している。このように、熱交換器は、1箇所(タンク10b)で曲がっている管状の流路(2a、2b)を形成している。
【0010】
散布器は、熱交換器2a、2bの異なる複数の領域にそれぞれ水を霧(ミスト)状に散布する複数のノズル5a〜5fと、複数のノズル5a〜5fへそれぞれ水を供給するか否かを制御する複数のバルブ6a〜6fとを備える。
【0011】
貯水タンク8は第2のポンプ7に水流路により接続され、バルブ6a〜6fは第2のポンプ7に対して並列に接続されている。ノズル5a〜5fは、バルブ6a〜6fにそれぞれ直列に接続されている。貯水タンク8の水は第2のポンプ7によりバルブ6a〜6fへ向けて輸送され、バルブ6a〜6fが開いていれば、各ノズル5a〜5fへ供給され、熱交換器2a、2bの異なる複数の領域に向けて散布される。
【0012】
熱交換器2a、2bは、管状の流路からなり、流路壁の内側を流れる冷却水を高温側の媒体とし、流路壁の外側を流れる大量の冷却風を低温側の媒体として、熱交換器2a、2bは、冷却水が有する熱エネルギーを流路壁を介して冷却風へ伝達する。
【0013】
熱交換器2a、2bの表面に散布された水が蒸発することにより、流路壁から気化熱を奪う。この気化熱は、流路壁を介して冷却水から供給される。つまり、散布された水の蒸発熱を利用して冷却水から冷却風への熱伝達率を制御する。
【0014】
発熱体1には、内燃機関、燃料電池、電動機、変電器、変圧器等、一定の範囲での温度の調整が必要とされる発熱体が含まれる。
【0015】
次に、図1の熱交換装置を制御する制御装置について説明する。図1の熱交換装置の制御装置は、散布する水の量と水を散布する時間に基づいて水の単位時間あたりの散布量を演算する散布量演算部と、水の単位時間あたりの散布量に基づいて水を散布する熱交換器2a、2bの範囲を決定する散布範囲決定部と、水を散布する時間及び1つのノズル5a〜5fの単位時間あたりの散布量を予め決められた値として記憶するデータ記憶部とを少なくとも備える。
【0016】
「散布する水の量」とは、貯水タンク8に蓄えられている水の量に相当する。「水を散布する時間」は、熱交換器2a、2bへ水を散布したい期間を示す。例えば、水を散布したい時間(T)は代表的な上り坂路(箱根ターンパイクなど)の走行時間で設定することができる。「1つのノズル5a〜5fの単位時間あたりの散布量」とは、各バルブ6a〜6fを開くことにより各ノズル5a〜5fから単位時間あたり散布される水の量を示し、総てのノズル5a〜5fについて共通した量である。このような制御装置は、中央演算処理装置(CPU)、主記憶装置、入出力装置、補助記憶装置を備えるコンピュータシステムに対して、上記の機能を備えたコンピュータプログラム及びデータをインストールすることにより実現可能である。
【0017】
散布範囲決定部は、熱交換器2a、2bの異なる複数の領域にそれぞれ水を散布する複数のノズル5a〜5fのうち動作させるノズルを決定する。これにより、水を散布する熱交換器2a、2bの範囲を決定することができる。実施の形態では、動作させるノズルの数を決定することにより水を散布する熱交換器2a、2bの範囲を決定する。動作させるノズルの数を決定することにより、予め決められた優先順位に従って各ノズルを動作させるか否かを決定することができる。これにより、処理内容が簡素化され、処理速度が向上する。詳細については、図3を参照して説明する。
【0018】
図2を参照して、水の散布量と散布された水による冷却効果(ミスト冷却効果)との関係について説明する。ミスト冷却効果は水散布量の累乗に比例し、水散布量が0.61l/minより大きい範囲ではミスト冷却効果があまり変化しない、つまりサチュレートすることを実験により明らかにしている。水散布量が0.61l/minより大きい範囲では水を無駄に使うことになるため、水散布量(U)は0<U<0.6の範囲で設定することが望ましい。なお、図2のグラフに示す特性は、冷却水の温度、冷却水量、冷却風の温度、冷却風量などの条件によって変化する。但し、ミスト冷却が必要な時は、発熱体1の発熱量が比較的多く、冷却水の温度が比較的高い状態であるため、その時の特性を考慮することが望ましい。
【0019】
図3(a)に示すように、発熱体から流れてきた冷却水は、先ず熱交換器2a内を流れ、その後熱交換器2b内を流れる。冷却水の流れの上流側から、ノズル5d、ノズル5e、ノズル5f、ノズル5a、ノズル5b、ノズル5cの順に配置され、熱交換器2a、2bの各領域に水を噴射する。一方、冷却風は、冷却水に対して垂直に、先ず熱交換器2a外を流れ、その後熱交換器2b外を流れる。
【0020】
図3(b)において、冷却水温(2a)は、熱交換器2aにおける冷却水の温度を示し、冷却水温(2b)は、熱交換器2bにおける冷却水の温度を示す。冷却風温(2a)は、冷却風の流れからみて下流側に位置する熱交換器2aにおける冷却風の温度を示し、冷却風温(2b)は、冷却風の流れからみて上流側に位置する熱交換器2bにおける冷却風の温度を示す。温度差Ddは、ノズル5dが水を散布する熱交換器2aの領域における冷却水と冷却風の温度差を示す。同様にして、温度差De、Df、Da、Db、Dcは、ノズル5e、5f、5a、5b、5cが水を散布する熱交換器2a、2bの領域における冷却水と冷却風の温度差を示す。温度差を大きい順に並べると、Da、Db、Dc、Dd、De、Dfとなる。
【0021】
散布範囲決定部は、動作させるノズル5a〜5fの数を決定する際に、熱交換器2a、2bにおいて熱交換が行われる冷却水と冷却風間の温度差が大きい熱交換器2a、2bの領域に水を散布するノズル5a〜5fを優先的に動作させる。即ち、ノズル5a、5b、5c、5d、5e、5fの順番で優先的に動作させる。これにより、冷却水と冷却風間の温度差が大きい熱交換器2a、2bの領域に優先的に水を散布することができ、動作させるノズル5a〜5fの数に対する熱交換器2a、2bの交換効率が高くなる。
【0022】
このように、水散布範囲の優先度設定方法は、冷却風と冷却水の温度差の大きい領域順とする。熱交換器2a、2bの表面温度を(Td)、冷却風温(Ta)とおくと、ミスト冷却の効果(△H) は、△H ∝Td − Ta となることが一般的に知られている。また、冷却水温を(Tw) とおくと、Td ∝ Twとなることが一般的に知られており、△H ∝ Tw - Ta となるため、冷却風と冷却水の気水温度差が大きい範囲でミスト冷却の効果が大きくなる。
【0023】
なお、本実施例の横流れUターンラジエータ(熱交換器2a、2b)は、冷却水が冷却風に対して車両横方向に流れるとともに、冷却風下流側の熱交換器コアから冷却風上流側の熱交換器コアにUターンして流れるように構成されたラジエータである。
【0024】
図3(b)の特性は概略の推定値であり、厳密な机上検討値でも、実測値でもない。ただし、燃料電池自動車に図1の熱交換装置を適用した場合、ラジエータ(熱交換器)入口と出口間の冷却水温度の減少代が小さい(最大10℃程度)ため、直線近似することができる。よって、ず3(b)に示すグラフを推定することができる。
【0025】
散布範囲決定部は、水を散布する熱交換器2a、2bの範囲を決定する際に、熱交換器において熱が奪われる側の媒体(冷却水)の温度を考慮することがのぞましい。
【0026】
[動作]
図4を参照して、実施の形態に係わる熱交換装置の制御方法を説明する。
【0027】
(イ)先ずS1段階において、制御装置は、水温センサ4で検知した水温が目標水温(B)以上であるか否かを判断する。水温が目標水温(B)以上である場合(S1にてYES)S2段階に進み、水温が目標水温(B)未満である場合(S1にてNO)、熱交換器2a、2bに水を散布しないまま処理を終了する。つまり、熱交換器において熱が奪われる側の媒体(冷却水)の温度が第1の閾値(目標水温)未満である場合、散布範囲決定部は、熱交換器に水を散布しないように制御する。
【0028】
(ロ)S2段階において、散布量演算部は、水を散布する時間(T)をデータ記憶部から読み込む。S3段階において、散布量演算部は、水位センサ9を用いて貯水タンク8内の貯水量(S)(散布する水の量)を検出する。
【0029】
(ハ)S4段階において、散布量演算部は、貯水タンク8内の貯水量(S)と水を散布する時間(T)から水の単位時間あたりの散布量(U)を演算する。貯水タンク8内の貯水量(S)を水を散布する時間(T)で割ることにより散布量(U)を演算する。
【0030】
(ニ)S5段階において、散布範囲決定部は、1つのノズルの単位時間あたりの散布量(V)をデータ記憶部から読み込む。S6段階において、散布範囲決定部は、1つのノズルの単位時間あたりの散布量(V)及び散布量演算部が演算した単位時間あたりの散布量(U)に基づいて、動作させるノズルの数(W)を決定する。散布量演算部が演算した単位時間あたりの散布量(U)を1つのノズルの単位時間あたりの散布量(V)で割ることにより、動作させるノズルの数(W)を決定する。
【0031】
(ホ)最後に、制御装置は、バルブ6a〜6fを制御して、数(W)のノズルから熱交換器へ水を散布する。
【0032】
[効果]
以上説明したように、熱交換装置の制御装置は、散布する液体の量と当該液体を散布する時間に基づいて液体の単位時間あたりの散布量を演算する散布量演算部と、単位時間あたりの散布量に基づいて、液体を散布する熱交換器の範囲を決定する散布範囲決定部とを備える。これにより、水量が少ない場合でも、指定時間熱交換器に水を散布し続けることができ、水温上昇をゆるやかにすることができ、オーバーヒートに至る確率を低下させることができる。
【0033】
散布範囲決定部は、熱交換器の異なる複数の領域にそれぞれ液体を散布する複数のノズルのうち動作させるノズルを決定する。これにより、動作させるノズルを決定することにより、液体を散布する熱交換器の範囲を明確に決定することができる。なお、動作させるノズルを決定することには、各ノズルを動作させるか否かをそれぞれ個別に決定すること、及び動作させるノズルの数のみを決定し、予め決められた優先順位に従って動作させるノズルを決定することが含まれる。
【0034】
散布範囲決定部は、動作させるノズルの数を決定することにより、予め決められた優先順位に従って各ノズルを動作させるか否かを決定することができる。これにより、処理内容が簡素化され、処理速度が向上する。
【0035】
動作させるノズルの数を決定する際に、熱交換器において熱交換が行われる媒体間の温度差が大きい熱交換器の領域に液体を散布するバルブを優先的に動作させる。これにより、媒体間の温度差が大きい熱交換器の領域に優先的に液体を散布することができ、動作させるノズルの数に対する熱交換器の交換効率が高くなる。
【0036】
散布範囲決定部は、液体を散布する熱交換器の範囲を決定する際に、熱交換器において熱が奪われる側の媒体(冷却水)の温度を考慮する。これにより、水温が上昇して許容水温に達する可能性がある場合、水散布範囲を拡大し、水散布量を増加させることで、オーバーヒートに至る確率を低下させることができる。
【0037】
熱交換器において熱が奪われる側の媒体の温度が第1の閾値(目標水温)未満である場合、散布範囲決定部は、熱交換器に液体を散布しないように範囲を決定する。無駄な水の使用を回避できる。
【0038】
散布範囲決定部は、1つのノズルの単位時間あたりの散布量及び散布量演算部が演算した単位時間あたりの散布量に基づいて、動作させるノズルの数を決定する。これにより、動作させるノズルの数を容易に決定することができる。
【0039】
制御装置は液体を散布する時間及び1つのノズルの単位時間あたりの散布量を記憶するデータ記憶部を更に備える。散布量演算部は、散布する液体の量を検出し、液体を散布する時間をデータ記憶部から読み込んだ上で、液体の単位時間あたりの散布量を演算する。そして、散布範囲決定部は、1つのノズルの単位時間あたりの散布量をデータ記憶部から読み込んだ上で、動作させるノズルの数を決定する。水量が少ない場合でも、指定時間熱交換器に水を散布し続けることができ、水温上昇をゆるやかにすることができ、オーバーヒートに至る確率を低下させることができる。
【0040】
散布量演算部は、散布する液体の量を液体を散布する時間で割ったものを前記液体の単位時間あたりの散布量とする。散布範囲決定部は、液体の単位時間あたりの散布量を1つのノズルの単位時間あたりの散布量で割ったものを動作させるノズルの数とする。これにより、動作させるノズルの数を正確に算出することができる。
【0041】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0042】
図5に示すように、熱交換器において熱が奪われる側の媒体(冷却水)の温度が第1の閾値(目標水温)より大きい第2の閾値(基準水温)以上であって且つ第3の閾値(許容水温)未満である場合、散布範囲決定部は、総てのノズルを動作させることを決定する。つまり、水温が基準水温以上、許容水温未満の時は、貯水タンク8の貯水量(S)によらず、設置した全ノズル5a〜5fから水を散布しても構わない。これにより、オーバーヒートに至る確率をより低下させることができる。なお、水温が目標水温以上、基準水温未満の時は、S2段階に進み、上述した手順により処理を進める。
【0043】
また、データ記憶部が、水を散布したい時間(T)と単一ノズルでの水散布量(V)を予め新た得られた定数として記憶している場合について説明したが、本発明はこれに限定されること無く、所定の演算手段を用いて演算しても構わない。
【0044】
また、単一ノズルでの水散布量(V)を水散布量(U)/使用ノズル数(W)とし、水の散布量を増加させる必要があるときは、水の散布範囲を拡大して水の散布量を増加させることが望ましい。
【0045】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係わる熱交換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】水の散布量と散布された水による冷却効果との関係を示すグラフである。
【図3】図3(a)は各ノズルが水を噴射する熱交換器の各領域と冷却風の流れとの位置関係を示す模式図であり、図3(b)は熱交換器の各領域における冷却水の温度と冷却風の温度との関係を示すグラフである。
【図4】実施の形態に係わる熱交換装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図5】その他の実施例に係わる水温の時間変化示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1…発熱体
2a、2b…熱交換器
3…第1のポンプ
4…水温センサ
5a〜5f…ノズル
6a〜6f…バルブ
7…第2のポンプ
8…貯水タンク
9…水位センサ
10a〜10c…タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器に液体を散布し、前記液体の蒸発熱を利用して前記熱交換器を冷却する熱交換装置の制御装置であって、
散布する前記液体の量と当該液体を散布する時間に基づいて、前記液体の単位時間あたりの散布量を演算する散布量演算部と、
前記単位時間あたりの散布量に基づいて、前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を決定する散布範囲決定部
とを備えることを特徴とする熱交換装置の制御装置。
【請求項2】
前記散布範囲決定部は、前記熱交換器の異なる複数の領域にそれぞれ前記液体を散布する複数のノズルのうち動作させるノズルを決定することを特徴とする請求項1記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項3】
前記散布範囲決定部は、前記動作させるノズルの数を決定することを特徴とする請求項2記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項4】
前記散布範囲決定部は、前記動作させるノズルの数を決定する際に、前記熱交換器において熱交換が行われる媒体間の温度差が大きい前記熱交換器の領域に前記液体を散布するバルブを優先的に動作させることを特徴とする請求項3記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項5】
前記散布範囲決定部は、前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を決定する際に、前記熱交換器において熱が奪われる側の媒体の温度を考慮することを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項6】
前記熱交換器において熱が奪われる側の媒体の温度が第1の閾値未満である場合、前記散布範囲決定部は、前記熱交換器に前記液体を散布しないように前記範囲を決定することを特徴とする請求項5記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項7】
前記散布範囲決定部は、1つの前記ノズルの単位時間あたりの散布量及び散布量演算部が演算した単位時間あたりの散布量に基づいて、前記動作させるノズルの数を決定することを特徴とする請求項3記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項8】
前記液体を散布する時間及び前記1つのノズルの単位時間あたりの散布量を記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記散布量演算部は、散布する前記液体の量を検出し、前記液体を散布する時間を前記データ記憶部から読み込んだ上で、前記液体の単位時間あたりの散布量を演算し、
前記散布範囲決定部は、前記1つのノズルの単位時間あたりの散布量を前記データ記憶部から読み込んだ上で、前記動作させるノズルの数を決定する
ことを特徴とする請求項2記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項9】
前記散布量演算部は、散布する前記液体の量を前記液体を散布する時間で割ったものを前記液体の単位時間あたりの散布量とし、
前記散布範囲決定部は、前記液体の単位時間あたりの散布量を前記1つのノズルの単位時間あたりの散布量で割ったものを前記動作させるノズルの数とする
ことを特徴とする請求項8記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項10】
前記熱交換器において熱が奪われる側の媒体の温度が第1の閾値より大きい第2の閾値以上であって且つ第3の閾値未満である場合、前記散布範囲決定部は、総ての前記ノズルを動作させることを決定することを特徴とする請求項2記載の熱交換装置の制御装置。
【請求項11】
熱交換器に液体を散布し、前記液体の蒸発熱を利用して前記熱交換器を冷却する熱交換装置の制御方法であって、
散布する前記液体の量と当該液体を散布する時間に基づいて、前記液体の単位時間あたりの散布量を演算し、
前記単位時間あたりの散布量に基づいて、前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を決定する
ことを特徴とする熱交換装置の制御方法。
【請求項12】
前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を決定することは、前記熱交換器の異なる複数の領域にそれぞれ前記液体を散布する複数のノズルのうち動作させるノズルを決定することであることを特徴とする請求項11記載の熱交換装置の制御方法。
【請求項13】
前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を制御することは、前記動作させるノズルの数を決定することであることを特徴とする請求項12記載の熱交換装置の制御方法。
【請求項14】
前記動作させるノズルの数を決定する際に、前記熱交換器において熱交換が行われる媒体間の温度差が大きい前記熱交換器の領域に前記液体を散布するバルブを優先的に動作させることを特徴とする請求項13記載の熱交換装置の制御方法。
【請求項15】
前記液体を散布する前記熱交換器の範囲を決定する際に、前記熱交換器において熱が奪われる側の媒体の温度を考慮することを特徴とする請求項11乃至14何れか1項記載の熱交換装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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