熱交換装置及びその製造方法
【課題】部品コスト及び製造コスト双方の大幅なコストダウンを図るとともに、品質や特性(性能)面における製品間のバラツキを低減する。また、製品の前後方向の厚さ(寸法)を薄くする。
【解決手段】冷凍サイクルにおける冷媒rが循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置を構成するに際して、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向に対する直交方向に並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成した熱交換ユニット2を備える。
【解決手段】冷凍サイクルにおける冷媒rが循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置を構成するに際して、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向に対する直交方向に並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成した熱交換ユニット2を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続する熱交換装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気の温度及び湿度を調整する空気調和装置は知られており、通常、この種の空気調和装置には、冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続し、内部に流れる冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを用いた熱交換装置(ファンコイルユニット)を備えている。また、この熱交換装置は、空気の温度及び湿度を調整することから、空気の冷却を行う冷却器及び加熱を行う加熱器の双方を備えている。
【0003】
従来、冷却器及び加熱器の双方を備える熱交換装置を用いた空気調和装置としては、特許文献1に開示される空調システム及び特許文献2に開示される温湿度調整装置が知られており、特許文献1には、吸気側に配置された除湿用の冷却コイルと、この冷却コイルの下流に配置され、冷却後の空気を加熱する廃熱媒体コイルとを備え、廃熱媒体コイルに別系装置で加熱された熱媒体を流通させて、廃熱媒体コイルを流通する別系装置の熱媒体と冷却コイルで冷却された空気との間で熱交換して、該空気を加熱するとともに、別系装置の熱媒体を冷却する空調システムが開示され、また、特許文献2には、空間ユニットの送風路内における上流側に冷却器を配し、かつ当該送風路内における下流側に加熱器を配した温湿度調整装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−198070号公報
【特許文献2】特開2010−007960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した空気調和装置に備える従来の熱交換装置は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、冷却器と加熱器は、それぞれ別体の部品として構成されることから、少なくとも二つの独立した完成部品が必要になる。したがって、単一の部品と比較した場合、部品点数が倍増するとともに、組付工数も倍増することになり、部品コスト及び製造コストの双方において大幅なコストアップを招くとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを生じやすい。
【0007】
第二に、この種の空気調和装置の場合、室内等に対して設定温度に調整した空気を供給する必要があるため、冷却器と加熱器は、送風路に沿ってその前後(上流側と下流側)に配置するとともに、両者間における無用な干渉を回避するため、ある程度の間隔を置いて配置している。したがって、製品の前後方向の寸法が大きくなり、製品の薄化を図るにも限界がある。結局、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請に十分に応えることができない。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した熱交換装置及びその製造方法の提供を目的するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換装置1は、上述した課題を解決するため、冷凍サイクルCにおける冷媒rが循環する冷媒回路Ccに接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気Aとの熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置を構成するに際して、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成した熱交換ユニット2を備えることを特徴とする。
【0010】
一方、本発明に係る熱交換装置の製造方法は、冷凍サイクルCにおける冷媒rが循環する冷媒回路Ccに接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気Aとの熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置1を製造するに際し、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部3に複数のフィン部4…を組付けるフィン組付工程と、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置してフィン部4…に組付ける熱交換器組付工程とを経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニット2を得ることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、好適な実施の態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方には、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bをそれぞれ配設することができるとともに、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファン12a,12bをそれぞれ配設することができる。さらに、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成することができ、この際、第二除湿モードMdyの使用時において第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を設けることができる。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定することができる。他方、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積は、同一又は異ならせることができ、この際、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bは、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成することができる。なお、熱交換装置1は、植物栽培を行う植物栽培室Hの空気調和を行う空気調和装置50に用いて好適である。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る熱交換装置1及びその製造方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成してなる熱交換ユニット2を備えるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが含まれるも、実質的には単一の部品として構成できる。したがって、部品点数の半減及びこれに伴う組付工数の半減により、部品コスト及び製造コスト双方の大幅なコストダウンを図れるとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを低減できる。
【0014】
(2) 単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備えるため、製品の前後方向の厚さ(寸法)を薄くすることができ、例えば、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請にも十分に応えることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方に、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bをそれぞれ配設すれば、例えば、上側の第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側の第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、第一熱交換器5aのルーバ11aにより斜め下方に送風し、第二熱交換器5bのルーバ11bにより斜め上方に送風することにより、ルーバ11a,11bから排出された空気Aを直後に混合(撹拌)することができる。したがって、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、空気Aの温度の安定性を確保できる。
【0016】
(4) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方に、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファン12a,12bをそれぞれ配設すれば、例えば、上側に配する第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配する第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、加熱空気と冷却空気の量的な比率を容易に変更することができる。
【0017】
(5) 好適な態様により、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成すれば、第一除湿モードMdxと第二除湿モードMdyを利用できることに加え、冷却モードMc時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方の冷却動作により冷却に係わる最大能力を発揮できるとともに、加熱モードMh時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方を加熱動作により加熱に係わる最大能力を発揮できるなど、使用時の多様性及び応用性を高めることができる。
【0018】
(6) 好適な態様により、第二除湿モードMdyの使用時において第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を設ければ、別途の加湿機能を設けることなく、ある程度の加湿が可能となり、熱交換装置1の付加価値(機能性)をより高めることができる。
【0019】
(7) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqを、冷媒rの流出口に選定すれば、隣り合う接続口5aqと5bq間の温度勾配を最小にできるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5b間における熱的な干渉を最小限に抑えることができる。
【0020】
(8) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積を異ならせれば、各種使用環境等に対応させた熱交換装置1の最適化を図ることができる。
【0021】
(9) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成すれば、各コイルメンバKm,Kn,Koの組合わせ変更(接続変更)により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積の比率を容易に変更(選択)することができる。
【0022】
(10) 好適な態様により、熱交換装置1を、植物栽培を行う植物栽培室Hの空気調和を行う空気調和装置50に用いれば、特に、植物栽培における適切な湿度環境を確保する観点から最適なパフォーマンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適実施形態に係る熱交換装置に有する熱交換ユニットの正面構成図、
【図2】同熱交換装置の側面構成図、
【図3】同熱交換ユニットの部品図、
【図4】本発明の変更実施形態に係る熱交換ユニットの正面構成図、
【図5】本発明の他の変更実施形態に係る熱交換ユニットの正面構成図、
【図6】同熱交換ユニットの側面の一部を断面で示す機能説明図、
【図7】同熱交換装置を利用した空気調和装置の全体回路図、
【図8】同空気調和装置に備える制御系のブロック系統図、
【図9】同空気調和装置の設置例を示す植物栽培室の斜視図、
【図10】同空気調和装置を霜取モードに切換えた状態を示す一部回路図、
【図11】同空気調和装置の冷却モードにおける一部回路図、
【図12】同空気調和装置の加熱モードにおける一部回路図、
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る熱交換装置1の構成について、図1〜図6を参照して具体的に説明する。
【0026】
本実施形態に係る熱交換装置1は、図2に示すように、主要部品類として、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備える熱交換ユニット2、第一ルーバ11a,第二ルーバ11b,第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを備えて構成する。
【0027】
熱交換ユニット2は、単一のフレーム部3,第一熱交換器5a,第二熱交換器5b及び複数のフィン部4…を備える。フレーム部3は、図3に示すように、縦長の長方形状に一体構成する。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bは、図3に示す単一の冷媒管コイルKを利用して製作できる。即ち、冷媒管コイルKは、冷媒配管Lをジグザグ経路に湾曲形成するため、この冷媒管コイルKの中央部における半円形となる湾曲部分Krをカッティングし、二分割することにより、一対の熱交換器となる第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを得ることができる。なお、冷媒配管L自体は、熱伝導性の高い素材により形成し、内部に冷媒rを流通させることにより外部の空気Aとの熱交換を行うことができる公知の冷媒配管を利用できる。さらに、フィン部4は、熱伝導性の高い素材により形成した細長い短冊状プレートであり、複数枚用意する。このように、熱交換ユニット2は、図3に示す三種類の部品により構成できる。
【0028】
したがって、熱交換ユニット2を製作するに際しては、図3に示す単一のフレーム部3,単一の冷媒管コイルK及び複数のフィン部4…を含む三種類の部品を用意し、単一のフレーム部3の内側面に、複数のフィン部4…を組付けるとともに、このフィン部4…に冷媒管コイルKを組付け、この後、冷媒管コイルKの中央部における半円形の湾曲部分Krをカッティングすればよく、これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが、組付けと同時に得られるとともに、フレーム部3の長手方向に、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが順次配される。即ち、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bは、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置され、図1に示す目的の熱交換ユニット2を得ることができる。なお、このような製作手法は、一例であり、予め、冷媒管コイルKの湾曲部分Krをカッティングして第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作し、この第一熱交換器5aと第二熱交換器5bをフィン部4…を組付けてもよいし、予め、冷媒管コイルKをフィン部4…に組付け、このアッセンブリをフレーム部3に組付けてもよい。
【0029】
このように、熱交換ユニット2は、基本的な製造工程として、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部3に複数のフィン部4…を組付けるフィン組付工程と、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置してフィン部4…に組付ける熱交換器組付工程とを備え、これらの製造工程を経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニット2を得ることができる。
【0030】
そして、第一熱交換器5aの両端開口には、それぞれ継手等を取付けることにより、接続口5ap,5aqを設けるとともに、第二熱交換器5bの両端開口には、それぞれ継手等を取付けることにより、接続口5bp,5bqを設ける。この際、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定する。これにより、隣り合う接続口5aqと5bq間の温度勾配を最小にできるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5b間における熱的な干渉を最小限に抑えることができる。
【0031】
一方、熱交換ユニット2に対しては、第一ルーバ11a及び第二ルーバ11b、さらには、第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを組付ける。即ち、図2に示すように、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方に、角度を独立して変更可能な第一ルーバ11a及び第二ルーバ11bをそれぞれ配設する。この場合、第一ルーバ11a及び第二ルーバ11bは、フレーム部3の内面を利用して取付けることができる。これにより、各ルーバ11a,11bは、独立して角度を変更させ、それぞれ上下方向における送風方向を任意に変更することができる。このような独立した第一ルーバ11aと第二ルーバ11bを設ければ、例えば、上側の第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側の第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、第一ルーバ11aにより斜め下方に送風し、第二ルーバ11bにより斜め上方に送風することにより、各ルーバ11a,11bから排出された空気Aを直後に混合(撹拌)することができる。したがって、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、空気Aの温度の安定性を確保できる。
【0032】
また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bをそれぞれ配設する。この場合、各送風ファン12a,12bは、図2に示すように、仮想線で示す補助フレーム31a,31bを利用し、フレーム部3の後端に取付けることができる。このような独立した第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを設ければ、例えば、上側に配する第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配する第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、加熱空気と冷却空気の量的な比率を容易に変更することができる。
【0033】
ところで、熱交換ユニット2は、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを備えるため、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成できる。これにより、第一除湿モードMdxと第二除湿モードMdyを利用できることに加え、冷却モードMc時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方の冷却動作により冷却に係わる最大能力を発揮できるとともに、加熱モードMh時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方を加熱動作により加熱に係わる最大能力を発揮できるなど、使用時の多様性及び応用性を高めることができる。
【0034】
特に、図2は、上側に配した第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配した第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdxの使用態様を示している。この場合、第一ルーバ11aの設定により、斜め下方に加熱された空気Aを送風するとともに、第二ルーバ11bの設定により、斜め上方に冷却された空気Aを送風することができる。したがって、前述したように、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bから送られる冷却空気Aと加熱空気Aを直後に混合(撹拌)することができ、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、温度の安定した空気Aが供給される。その他、図中、32は、第二熱交換器5bから落下するドレン水Wを受けるドレン水トレイを示す。
【0035】
次に、熱交換装置1の変更実施形態について説明する。図1に示した実施形態は、単一の冷媒管コイルKの中央部の位置をカッティングすることにより二分割した場合を示したものであり、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積は同一となる。これに対して、必要により冷媒管コイルKの中央部以外の位置をカッティングしてもよい。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積を異ならせることができるため、各種使用環境等に対応させた熱交換装置1の最適化を図ることができる。
【0036】
また、図4に示す変更実施形態は、単一の冷媒管コイルKを三つに分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを構成するものである。特に、図4は、中間のコイルメンバKnを上側のコイルメンバKmに直列に接続したものであり、これにより、第一熱交換器5aの熱交換面積を第二熱交換器5bの熱交換面積よりも大きくすることができる。これに対して、中間のコイルメンバKnを下側のコイルメンバKoに直列に接続すれば、第二熱交換器5bの熱交換面積を第一熱交換器5aの熱交換面積よりも大きくすることができる。図4中、仮想線で示すLjは、接続用の冷媒配管を示す。なお、このような接続の切換は、人為的に切換えてもよいし、電磁開閉弁等を利用して自動で切換えてもよい。図4は、単一の冷媒管コイルKを三つに分割した場合を示したが、必要により四つ以上に分割してもよい。このように、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成すれば、各コイルメンバKm,Kn,Koの組合わせ変更(接続変更)により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積の比率を容易に変更(選択)することができる。
【0037】
さらに、図5及び図6に示す変更実施形態は、第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdyの使用を前提とし、この第二除湿モードMdyの使用時に、第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を付設したものである。この場合、図5及び図6に示すように、上下中間位置におけるフィン部4…の一部を切断することにより所定の空間を形成し、この空間内に一対のドレン水回収板41,42を配設するとともに、ドレン水回収板41と42間にはスリット43を設ける。また、スリット43の下方には、断面が半円形の樋44を配設する。この樋44は、スリット43に沿わせ、やや傾斜させるとともに、樋44の一端に結合したロータリソレノイド45により、軸心を支点に180〔゜〕回動変位可能に構成する。さらに、樋44の下方における第一熱交換器5aの適所には、吸水紙等の吸水材46…を配設する。なお、47は、樋44から流れ出たドレン水Wをドレン水トレイ32に導く縦樋を示す。
【0038】
これにより、ロータリソレノイド45を制御し、図6(a)に示すように、樋44を回収位置Xuにセットすれば、第二熱交換器5b(冷却器)から落下したドレン水Wは、樋44により回収され、縦樋47を通してドレン水トレイ32に導かれるため、簡易加湿器13は機能しない。これに対して、ロータリソレノイド45を制御し、図6(b)に示すように、樋44を非回収位置Xnにセットすれば、第二熱交換器5bのドレン水Wは、樋44により回収されることなく下方へ落下し、吸水材46…に吸水保持される。吸水材46…は、第一熱交換器5a(加熱器)により加熱されているため、吸水材46…により保持されるドレン水Wは蒸発する。このように、図5(図6)に示す室内側熱交換器4は、ドレン水Wを利用した簡易加湿器13として機能させることができる。したがって、何らかの要因により空気Aが乾燥し過ぎている場合には、この簡易加湿器13を使用することにより、簡易的な加湿を行うことができるとともに、ドレン水Wの回収を不要にすることができる。よって、このような簡易加湿器13を設ければ、別途の加湿機能を設けることなく、ある程度の加湿が可能となり、熱交換装置1の付加価値(機能性)をより高めることができる。
【0039】
このように、本実施形態に係る熱交換装置1及びその製造方法によれば、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成してなる熱交換ユニット2を備えるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが含まれるも、実質的には単一の部品として構成できる。したがって、部品点数の半減及びこれに伴う組付工数の半減により、部品コスト及び製造コスト双方の大幅なコストダウンを図れるとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを低減できる。また、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備えるため、製品の前後方向の厚さ(寸法)を薄くすることができ、例えば、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請にも十分に応えることができる。
【0040】
次に、このような構成を有する本実施形態に係る熱交換装置1を用いて好適な空気調和装置50について、図7〜図9を参照して説明する。
【0041】
空気調和装置50は、図9に示すように、室外機Uo,室内機Ui及びコントローラUcを備え、この室外機Uoと室内機Uiにより冷媒回路Ccを有する冷凍サイクルCを構成する。
【0042】
室外機Uoは、図7に示すように、冷媒回路Ccに接続する主要部品として、圧縮機51,室外側熱交換器52,モード切換用の電磁式三方弁53,モード切換用の電磁式四方弁54,室外側第一電子膨張弁55p及び室外側第二電子膨張弁55qを備える。この場合、圧縮機51は冷媒rを吐出する吐出口51s及び戻された冷媒rを吸入する吸入口51iを有し、この吐出口51sは、室外側第一ストレーナ(フィルタ)57p及び室外側第一電子膨張弁55pの直列接続を介して三方弁53の第一接続口53aに接続するとともに、さらに、吐出口51sは、室外側第二ストレーナ57q及び室外側第二電子膨張弁55qの直列接続を介して四方弁54の第一共有接続口54xに接続する。
【0043】
また、圧縮機51の吸入口51iは、三方弁53の第二接続口53b及び四方弁54の第二共有接続口54yにそれぞれ接続する。一方、室外側熱交換器52の一端の接続口52pは、室外機Uoの第一外部接続口58に接続するとともに、室外側熱交換器52の他端の接続口52qは、四方弁54の第一接続口54aに接続する。さらに、四方弁54の第二接続口54bは、室外機Uoの第二外部接続口59に接続するとともに、三方弁53の共有接続口53xは、室外機Uoの第三外部接続口60に接続する。なお、室外機Uoにおいて、61は室外側熱交換器52に対して送風を行う送風ファンを示す。
【0044】
他方、室内機Uiは、図7に示すように、冷媒回路Ccに接続する主要部品として、本実施形態に係る熱交換装置(室内側熱交換器)1,室内側第一電子膨張弁71p,室内側第二電子膨張弁71q,電磁開閉弁72p,72q及び霜取用の電磁式四方弁73を備える。図7中、熱交換装置1は仮想線で囲んだ部分となり熱交換ユニット2を備える。熱交換ユニット2は第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを有し、この第一熱交換器5aの他端の接続口5aqは、室内側第一電子膨張弁71p及び室内側第一ストレーナ74pの直列接続を介して室内機Uiの第一外部接続口75に接続するとともに、第二熱交換器5bの一端の接続口5bpは、室内側第二電子膨張弁71q及び室内側第二ストレーナ74qの直列接続を介して室内機Uiの第一外部接続口75に接続する。また、室内側第一電子膨張弁71pには、電磁開閉弁72pを並列接続するとともに、室内側第二電子膨張弁71qには、電磁開閉弁72qを並列接続する。
【0045】
一方、第一熱交換器5aの一端の接続口5apは、四方弁73の第一接続口73aに接続するとともに、第二熱交換器5bの他端の接続口5bqは、四方弁73の第二接続口73bに接続する。四方弁73の第一共有接続口73xは、室内側ストレーナ78を介して室内機Uiの第二外部接続口76に接続するとともに、四方弁73の第二共有接続口73yは、室内機Uiの第三外部接続口77に接続する。なお、図7中、11a及び11bは前述した第一ルーバ及び第二ルーバを示すとともに、12a及び12bは前述した第一送風ファン及び第二送風ファンをそれぞれ示す。また、送風路となる送風ファン12a,12bの後方には、温度センサ81及び湿度センサ82を配設する。
【0046】
他方、コントローラUcは、空気調和装置1の全体制御を司るとともに、少なくとも、上述した三方弁53及び四方弁54,73をそれぞれ切換制御する。コントローラUcは、図8に示すように、マイクロコンピュータ等を利用したコントローラ本体83を備え、このコントローラ本体83は、各種制御処理及び演算処理等を行うコンピューティング機能を有する。特に、後述する第一除湿モードMdx,第二除湿モードMdy,冷却モードMc及び加熱モードMh等の各種制御を実行するためのプログラムを格納したプログラムメモリ83pを備えるとともに、各種データ(設定データ及びデータベースを含む)を書込んだデータメモリ83dを備えている。また、コントローラ本体83には、温度及び湿度等の各種データを表示可能な表示部84が付属するとともに、各種操作キーを有する入力部85が付属し、この入力部85には、温度設定部85t,湿度設定部85h及びモード切換部85s等が含まれる。
【0047】
したがって、コントローラ本体83の入力ポートには、前述した温度センサ81及び湿度センサ82をそれぞれ接続するとともに、コントローラ本体83の出力ポートには、圧縮機51、三方弁53、四方弁54,73、室外側第一電子膨張弁55p、室外側第二電子膨張弁55q、室内側第一電子膨張弁71p、室内側第二電子膨張弁71q、電磁開閉弁72p,72q、送風ファン61,12p,12qをそれぞれ接続する。これにより、コントローラ本体83から、圧縮機51、室外側第一電子膨張弁55p、室外側第二電子膨張弁55q、室内側第一電子膨張弁71p、室内側第二電子膨張弁71q、送風ファン61,12p,12qに対して、それぞれ制御信号が付与されるとともに、電磁開閉弁72p,72q、三方弁53、四方弁54,73は、それぞれ切換信号が付与される。
【0048】
次に、本実施形態に係る熱交換装置1を含む空気調和装置50の設置例及び動作について、図1〜図12を参照して説明する。
【0049】
図9は、空気調和装置50の設置例を示す。本実施形態に係る空気調和装置50は、特に、図9に示すような植物栽培を行う園芸ハウス等の植物栽培室Hに付設して最適である。通常、この種の植物栽培室Hでは、植物や土壌から発生する蒸気により湿度が上昇し、湿度が高い場合には、植物の表面に結露を生じ、植物の割れ等の品質低下や病害等を招きやすい。本実施形態に係る空気調和装置50は、温度及び湿度(除湿)を正確かつ安定にコントロールできるため、このような植物栽培室Hに付設することにより、植物栽培における適切な湿度環境を確保する観点から最適なパフォーマンスを得ることができる。
【0050】
図9において、Uoは植物栽培室Hの外部に設置した室外機を示すとともに、Uiは植物栽培室Hの内部に設置した室内機を示す。また、コントローラボックスにより構成するコントローラUcは植物栽培室Hの入口Hi付近に設置することができる。そして、コントローラUcは、ケーブルを用いた信号ラインLeを介して室内機Uiに接続するとともに、室内機Uiと室外機Uoは、信号ラインLm及び配管ラインLpにより接続する。この場合、配管ラインLpには、図7に示すように、室外機Uoの第一外部接続口58と室内機Uiの第一外部接続口75を接続する冷媒配管La、室外機Uoの第二外部接続口59と室内機Uiの第二外部接続口76を接続する冷媒配管Lb、室外機Uoの第三外部接続口60と室内機Uiの第三外部接続口77を接続する冷媒配管Lcの三本の冷媒配管が含まれる。なお、例示は、室外機Uoと室内機Uiをそれぞれ一台ずつ(一組)設置した場合を示すが、通常、植物栽培室Hの規模や栽培植物等に応じて複数台(複数組)設置される。
【0051】
次に、空気調和装置1の動作について説明する。今、コントローラUcのモード切換部85sを操作し、第一除湿モードMdxをONにした場合を想定する。これにより、三方弁53,四方弁54及び73は、それぞれ図7に示す除湿側のポジションにセットされる。これにより、圧縮機51の吐出口51sは、三方弁53及び四方弁73を介して第一熱交換器5aの一端の接続口5ap側に接続されるとともに、さらに、吐出口51sは四方弁54を介して室外側熱交換器52の他端の接続口52q側に接続される。また、圧縮機51の吸入口51iは四方弁54及び73を介して第二熱交換器5bの他端の接続口5bq側に接続される。図7中、回路に沿った点線矢印は冷媒rの流通方向を示している。なお、第一除湿モードMdxでは、電磁開閉弁72p,72qはOFFからON(開)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pが閉側に制御される。このように、コントローラUcのモード切換部85sの操作により、第一除湿モードMdxへは容易かつ迅速に切換えることができる。これにより、第一除湿モードMdxでは、第一熱交換器5aは凝縮器として機能、即ち、加熱器(再熱器)として動作するとともに、第二熱交換器5bは蒸発器として機能、即ち、冷却器(除湿器)として動作可能となる。
【0052】
次いで、コントローラUcの湿度設定部85hにより具体的な湿度(設定湿度)の大きさを数値入力又は選択等により設定する。第一除湿モードMdxは、除湿を目的とするため、設定湿度は、通常、現在の湿度、即ち、湿度センサ82により検出される検出湿度よりも低く設定される。したがって、第一除湿モードMdxでは、湿度センサ82により湿度が検出され、検出された湿度(検出湿度)が設定湿度になるように、湿度に対するフィードバック制御が行われる。この場合、コントローラUcにより、室内側第二電子膨張弁71qがより開側に制御される。なお、室内側第二電子膨張弁71qの制御のみでは十分に制御できないときは、必要に応じて、第二送風ファン12bの回転数、圧縮機51の吐出圧力、室外側第二電子膨張弁55qの開度等の制御を併用することができる。このように、第一除湿モードMdxにおいて、湿度センサ82により湿度を検出し、検出した湿度が設定湿度になるように、少なくとも室内側第二電子膨張弁71qを可変することにより、湿度に対するフィードバック制御を行えば、温度制御の安定性を確保しつつ目的の湿度環境を正確かつ安定に維持できる。この後、湿度は、第一除湿モードMdxをOFFにするまで設定湿度に維持される。
【0053】
一方、室内側第二電子膨張弁71qが開側に制御されることにより温度が低下する。温度は、温度センサ81により検出されるため、設定温度に維持する制御が行われる。即ち、通常、温度(設定温度)は、温度設定部85tにより設定され、設定温度になるように、温度に対するフィードバック制御が行われる。この場合、温度を上昇させるため、加熱変更要素となる室内側第一電子膨張弁71pの開度をはじめ、第一送風ファン12aの回転数、圧縮機51の吐出圧力、室外側第一電子膨張弁55pの開度等に対する制御を行う。したがって、温度は、第一除湿モードMdxによる動作状態に拘わらず、常に設定温度に維持される。
【0054】
このように、第一除湿モードMdx時には、第二熱交換器5bを冷却器として機能させ、第一熱交換器5aを加熱器として機能させるとともに、第二熱交換器5bを室内側第二電子膨張弁71qにより制御し、かつ第一熱交換器5aを室内側第一電子膨張弁71pにより制御するようにしたため、室内側第二電子膨張弁71qの制御により湿度を低下させた際に、温度が低下しても室内側第一電子膨張弁71p等の制御により温度を一定に維持することができ、湿度と温度の双方に対する正確かつ安定した制御を同時に実現することができる。
【0055】
ところで、第一除湿モードMdxでは、上側の第一熱交換器5aが加熱器(再熱器)として機能し、下側の第二熱交換器5bが冷却器として機能するため、下側の第二熱交換器5bには霜が発生しやすくなる。第二除湿モードMdyは霜取用に設けたものであり、モード切換部85sを操作し、第二除湿モードMdyをONにすることにより、四方弁73は、図10に示す霜取側のポジションにセットされる。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの機能が反転し、上側の第一熱交換器5aが冷却器として機能するとともに、下側の第二熱交換器5bが加熱器(再熱器)として機能するため、第二熱交換器5bにおける霜取が行われる。なお、第一除湿モードMdxから第二除湿モードMdyへの切換は、四方弁73の切換のみでよい。
【0056】
他方、冷却モードMcを選択した場合には、冷却モードMcによる運転(制御)が行われる。冷却モードMdでは、図11に示すように、三方弁53及び四方弁55はそれぞれ冷却側のポジションにセットされる。即ち、第一除湿モードMdx(図7)に対して、三方弁53の切換が行われ、圧縮機51の吸入口51iは、三方弁53を介して室外機Uoの第三外部接続口60に接続される。なお、室内機Ui側における電磁開閉弁72p,72qは共にOFF(閉)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pは開側に制御される。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5aは、共に蒸発器として機能、即ち、冷却器として動作し、空気Aに対する冷却が行われる。このような冷却モードMcでは、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却動作させるため、冷却に係わる最大能力を発揮させることができる。
【0057】
さらに、加熱モードMhを選択した場合には、加熱モードMhによる運転(制御)が行われる。加熱モードMhでは、図12に示すように、三方弁53及び四方弁55はそれぞれ加熱側のポジションにセットされる。即ち、第一除湿モードMdx(図7)に対して、四方弁54の切換が行われ、圧縮機51の吐出口51sは、四方弁54を介して室外機Uoの第二外部接続口59に接続されるとともに、圧縮機51の吸入口51iは、四方弁54を介して室外側熱交換器52の他端接続口52q側に接続される。なお、室内機Ui側における電磁開閉弁72p,72qは共にOFF(閉)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pは開側に制御される点は、冷却モードMcと同じである。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5aは、共に凝縮器として機能、即ち、加熱器として動作し、空気Aに対する加熱が行われる。このような加熱モードMhでは、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱動作させるため、加熱に係わる最大能力を発揮させることができる。
【0058】
以上、好適実施形態及び変更実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bは、手動タイプであってもよいし、電動(自動)タイプであってもよい。風量を独立して制御可能な二つの送風ファン12a,12bを配設した例を示したが、単一の送風ファンを排除するものではない。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定することが好適であるが、流入口に選定する場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る熱交換装置1は、室外機と室内機により冷凍サイクルを構成する空気調和装置をはじめ、室外機と室内機を一体化した単体の空気調和装置など、各種空気調和装置に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1:熱交換装置,2:熱交換ユニット,3:フレーム部,4…:フィン部,5a:第一熱交換器,5b:第二熱交換器,5aq:接続口,5bq:接続口,11a:ルーバ(第一ルーバ),11b:ルーバ(第二ルーバ),12a:送風ファン(第一送風ファン),12b:送風ファン(第二送風ファン),13:簡易加湿器,50:空気調和装置,C:冷凍サイクル,Cc:冷媒回路,r:冷媒,A:空気,K:冷媒管コイル,Km:コイルメンバ,Kn:コイルメンバ,Ko:コイルメンバ,Fw:送風方向,Fc:直交方向,Wd:ドレン水,H:植物栽培室
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続する熱交換装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気の温度及び湿度を調整する空気調和装置は知られており、通常、この種の空気調和装置には、冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続し、内部に流れる冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを用いた熱交換装置(ファンコイルユニット)を備えている。また、この熱交換装置は、空気の温度及び湿度を調整することから、空気の冷却を行う冷却器及び加熱を行う加熱器の双方を備えている。
【0003】
従来、冷却器及び加熱器の双方を備える熱交換装置を用いた空気調和装置としては、特許文献1に開示される空調システム及び特許文献2に開示される温湿度調整装置が知られており、特許文献1には、吸気側に配置された除湿用の冷却コイルと、この冷却コイルの下流に配置され、冷却後の空気を加熱する廃熱媒体コイルとを備え、廃熱媒体コイルに別系装置で加熱された熱媒体を流通させて、廃熱媒体コイルを流通する別系装置の熱媒体と冷却コイルで冷却された空気との間で熱交換して、該空気を加熱するとともに、別系装置の熱媒体を冷却する空調システムが開示され、また、特許文献2には、空間ユニットの送風路内における上流側に冷却器を配し、かつ当該送風路内における下流側に加熱器を配した温湿度調整装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−198070号公報
【特許文献2】特開2010−007960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した空気調和装置に備える従来の熱交換装置は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、冷却器と加熱器は、それぞれ別体の部品として構成されることから、少なくとも二つの独立した完成部品が必要になる。したがって、単一の部品と比較した場合、部品点数が倍増するとともに、組付工数も倍増することになり、部品コスト及び製造コストの双方において大幅なコストアップを招くとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを生じやすい。
【0007】
第二に、この種の空気調和装置の場合、室内等に対して設定温度に調整した空気を供給する必要があるため、冷却器と加熱器は、送風路に沿ってその前後(上流側と下流側)に配置するとともに、両者間における無用な干渉を回避するため、ある程度の間隔を置いて配置している。したがって、製品の前後方向の寸法が大きくなり、製品の薄化を図るにも限界がある。結局、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請に十分に応えることができない。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した熱交換装置及びその製造方法の提供を目的するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換装置1は、上述した課題を解決するため、冷凍サイクルCにおける冷媒rが循環する冷媒回路Ccに接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気Aとの熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置を構成するに際して、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成した熱交換ユニット2を備えることを特徴とする。
【0010】
一方、本発明に係る熱交換装置の製造方法は、冷凍サイクルCにおける冷媒rが循環する冷媒回路Ccに接続することにより、内部に流通する冷媒rと外部の空気Aとの熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置1を製造するに際し、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部3に複数のフィン部4…を組付けるフィン組付工程と、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置してフィン部4…に組付ける熱交換器組付工程とを経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニット2を得ることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、好適な実施の態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方には、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bをそれぞれ配設することができるとともに、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファン12a,12bをそれぞれ配設することができる。さらに、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成することができ、この際、第二除湿モードMdyの使用時において第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を設けることができる。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定することができる。他方、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積は、同一又は異ならせることができ、この際、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bは、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成することができる。なお、熱交換装置1は、植物栽培を行う植物栽培室Hの空気調和を行う空気調和装置50に用いて好適である。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る熱交換装置1及びその製造方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成してなる熱交換ユニット2を備えるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが含まれるも、実質的には単一の部品として構成できる。したがって、部品点数の半減及びこれに伴う組付工数の半減により、部品コスト及び製造コスト双方の大幅なコストダウンを図れるとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを低減できる。
【0014】
(2) 単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備えるため、製品の前後方向の厚さ(寸法)を薄くすることができ、例えば、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請にも十分に応えることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方に、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bをそれぞれ配設すれば、例えば、上側の第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側の第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、第一熱交換器5aのルーバ11aにより斜め下方に送風し、第二熱交換器5bのルーバ11bにより斜め上方に送風することにより、ルーバ11a,11bから排出された空気Aを直後に混合(撹拌)することができる。したがって、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、空気Aの温度の安定性を確保できる。
【0016】
(4) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方に、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファン12a,12bをそれぞれ配設すれば、例えば、上側に配する第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配する第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、加熱空気と冷却空気の量的な比率を容易に変更することができる。
【0017】
(5) 好適な態様により、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成すれば、第一除湿モードMdxと第二除湿モードMdyを利用できることに加え、冷却モードMc時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方の冷却動作により冷却に係わる最大能力を発揮できるとともに、加熱モードMh時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方を加熱動作により加熱に係わる最大能力を発揮できるなど、使用時の多様性及び応用性を高めることができる。
【0018】
(6) 好適な態様により、第二除湿モードMdyの使用時において第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を設ければ、別途の加湿機能を設けることなく、ある程度の加湿が可能となり、熱交換装置1の付加価値(機能性)をより高めることができる。
【0019】
(7) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqを、冷媒rの流出口に選定すれば、隣り合う接続口5aqと5bq間の温度勾配を最小にできるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5b間における熱的な干渉を最小限に抑えることができる。
【0020】
(8) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積を異ならせれば、各種使用環境等に対応させた熱交換装置1の最適化を図ることができる。
【0021】
(9) 好適な態様により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成すれば、各コイルメンバKm,Kn,Koの組合わせ変更(接続変更)により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積の比率を容易に変更(選択)することができる。
【0022】
(10) 好適な態様により、熱交換装置1を、植物栽培を行う植物栽培室Hの空気調和を行う空気調和装置50に用いれば、特に、植物栽培における適切な湿度環境を確保する観点から最適なパフォーマンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適実施形態に係る熱交換装置に有する熱交換ユニットの正面構成図、
【図2】同熱交換装置の側面構成図、
【図3】同熱交換ユニットの部品図、
【図4】本発明の変更実施形態に係る熱交換ユニットの正面構成図、
【図5】本発明の他の変更実施形態に係る熱交換ユニットの正面構成図、
【図6】同熱交換ユニットの側面の一部を断面で示す機能説明図、
【図7】同熱交換装置を利用した空気調和装置の全体回路図、
【図8】同空気調和装置に備える制御系のブロック系統図、
【図9】同空気調和装置の設置例を示す植物栽培室の斜視図、
【図10】同空気調和装置を霜取モードに切換えた状態を示す一部回路図、
【図11】同空気調和装置の冷却モードにおける一部回路図、
【図12】同空気調和装置の加熱モードにおける一部回路図、
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る熱交換装置1の構成について、図1〜図6を参照して具体的に説明する。
【0026】
本実施形態に係る熱交換装置1は、図2に示すように、主要部品類として、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備える熱交換ユニット2、第一ルーバ11a,第二ルーバ11b,第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを備えて構成する。
【0027】
熱交換ユニット2は、単一のフレーム部3,第一熱交換器5a,第二熱交換器5b及び複数のフィン部4…を備える。フレーム部3は、図3に示すように、縦長の長方形状に一体構成する。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bは、図3に示す単一の冷媒管コイルKを利用して製作できる。即ち、冷媒管コイルKは、冷媒配管Lをジグザグ経路に湾曲形成するため、この冷媒管コイルKの中央部における半円形となる湾曲部分Krをカッティングし、二分割することにより、一対の熱交換器となる第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを得ることができる。なお、冷媒配管L自体は、熱伝導性の高い素材により形成し、内部に冷媒rを流通させることにより外部の空気Aとの熱交換を行うことができる公知の冷媒配管を利用できる。さらに、フィン部4は、熱伝導性の高い素材により形成した細長い短冊状プレートであり、複数枚用意する。このように、熱交換ユニット2は、図3に示す三種類の部品により構成できる。
【0028】
したがって、熱交換ユニット2を製作するに際しては、図3に示す単一のフレーム部3,単一の冷媒管コイルK及び複数のフィン部4…を含む三種類の部品を用意し、単一のフレーム部3の内側面に、複数のフィン部4…を組付けるとともに、このフィン部4…に冷媒管コイルKを組付け、この後、冷媒管コイルKの中央部における半円形の湾曲部分Krをカッティングすればよく、これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが、組付けと同時に得られるとともに、フレーム部3の長手方向に、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが順次配される。即ち、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bは、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置され、図1に示す目的の熱交換ユニット2を得ることができる。なお、このような製作手法は、一例であり、予め、冷媒管コイルKの湾曲部分Krをカッティングして第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作し、この第一熱交換器5aと第二熱交換器5bをフィン部4…を組付けてもよいし、予め、冷媒管コイルKをフィン部4…に組付け、このアッセンブリをフレーム部3に組付けてもよい。
【0029】
このように、熱交換ユニット2は、基本的な製造工程として、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部3に複数のフィン部4…を組付けるフィン組付工程と、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを、空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置してフィン部4…に組付ける熱交換器組付工程とを備え、これらの製造工程を経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニット2を得ることができる。
【0030】
そして、第一熱交換器5aの両端開口には、それぞれ継手等を取付けることにより、接続口5ap,5aqを設けるとともに、第二熱交換器5bの両端開口には、それぞれ継手等を取付けることにより、接続口5bp,5bqを設ける。この際、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定する。これにより、隣り合う接続口5aqと5bq間の温度勾配を最小にできるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5b間における熱的な干渉を最小限に抑えることができる。
【0031】
一方、熱交換ユニット2に対しては、第一ルーバ11a及び第二ルーバ11b、さらには、第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを組付ける。即ち、図2に示すように、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw前方に、角度を独立して変更可能な第一ルーバ11a及び第二ルーバ11bをそれぞれ配設する。この場合、第一ルーバ11a及び第二ルーバ11bは、フレーム部3の内面を利用して取付けることができる。これにより、各ルーバ11a,11bは、独立して角度を変更させ、それぞれ上下方向における送風方向を任意に変更することができる。このような独立した第一ルーバ11aと第二ルーバ11bを設ければ、例えば、上側の第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側の第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、第一ルーバ11aにより斜め下方に送風し、第二ルーバ11bにより斜め上方に送風することにより、各ルーバ11a,11bから排出された空気Aを直後に混合(撹拌)することができる。したがって、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、空気Aの温度の安定性を確保できる。
【0032】
また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの送風方向Fw後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bをそれぞれ配設する。この場合、各送風ファン12a,12bは、図2に示すように、仮想線で示す補助フレーム31a,31bを利用し、フレーム部3の後端に取付けることができる。このような独立した第一送風ファン12a及び第二送風ファン12bを設ければ、例えば、上側に配する第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配する第二熱交換器5bを冷却器として機能させた際に、加熱空気と冷却空気の量的な比率を容易に変更することができる。
【0033】
ところで、熱交換ユニット2は、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを備えるため、第一熱交換器5aを上側に配し、かつ第二熱交換器5bを下側に配することにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却器として機能させる冷却モードMc,第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱器として機能させる加熱モードMh,第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdx,第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdy,のいずれかを選択して使用可能に構成できる。これにより、第一除湿モードMdxと第二除湿モードMdyを利用できることに加え、冷却モードMc時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方の冷却動作により冷却に係わる最大能力を発揮できるとともに、加熱モードMh時には第一熱交換器5aと第二熱交換器5b双方を加熱動作により加熱に係わる最大能力を発揮できるなど、使用時の多様性及び応用性を高めることができる。
【0034】
特に、図2は、上側に配した第一熱交換器5aを加熱器として機能させ、かつ下側に配した第二熱交換器5bを冷却器として機能させる第一除湿モードMdxの使用態様を示している。この場合、第一ルーバ11aの設定により、斜め下方に加熱された空気Aを送風するとともに、第二ルーバ11bの設定により、斜め上方に冷却された空気Aを送風することができる。したがって、前述したように、第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bから送られる冷却空気Aと加熱空気Aを直後に混合(撹拌)することができ、加熱側の第一熱交換器5aと冷却側の第二熱交換器5bを上下に配した場合であっても、温度の安定した空気Aが供給される。その他、図中、32は、第二熱交換器5bから落下するドレン水Wを受けるドレン水トレイを示す。
【0035】
次に、熱交換装置1の変更実施形態について説明する。図1に示した実施形態は、単一の冷媒管コイルKの中央部の位置をカッティングすることにより二分割した場合を示したものであり、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積は同一となる。これに対して、必要により冷媒管コイルKの中央部以外の位置をカッティングしてもよい。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積を異ならせることができるため、各種使用環境等に対応させた熱交換装置1の最適化を図ることができる。
【0036】
また、図4に示す変更実施形態は、単一の冷媒管コイルKを三つに分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを構成するものである。特に、図4は、中間のコイルメンバKnを上側のコイルメンバKmに直列に接続したものであり、これにより、第一熱交換器5aの熱交換面積を第二熱交換器5bの熱交換面積よりも大きくすることができる。これに対して、中間のコイルメンバKnを下側のコイルメンバKoに直列に接続すれば、第二熱交換器5bの熱交換面積を第一熱交換器5aの熱交換面積よりも大きくすることができる。図4中、仮想線で示すLjは、接続用の冷媒配管を示す。なお、このような接続の切換は、人為的に切換えてもよいし、電磁開閉弁等を利用して自動で切換えてもよい。図4は、単一の冷媒管コイルKを三つに分割した場合を示したが、必要により四つ以上に分割してもよい。このように、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bを、単一の冷媒管コイルKを三以上に分割して得る各コイルメンバKm,Kn,Koを任意に組合わせることにより構成すれば、各コイルメンバKm,Kn,Koの組合わせ変更(接続変更)により、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの熱交換面積の比率を容易に変更(選択)することができる。
【0037】
さらに、図5及び図6に示す変更実施形態は、第一熱交換器5aを冷却器として機能させ、かつ第二熱交換器5bを加熱器として機能させる第二除湿モードMdyの使用を前提とし、この第二除湿モードMdyの使用時に、第一熱交換器5aから発生するドレン水Wdを、第二熱交換器5bにより蒸発させる簡易加湿器13を付設したものである。この場合、図5及び図6に示すように、上下中間位置におけるフィン部4…の一部を切断することにより所定の空間を形成し、この空間内に一対のドレン水回収板41,42を配設するとともに、ドレン水回収板41と42間にはスリット43を設ける。また、スリット43の下方には、断面が半円形の樋44を配設する。この樋44は、スリット43に沿わせ、やや傾斜させるとともに、樋44の一端に結合したロータリソレノイド45により、軸心を支点に180〔゜〕回動変位可能に構成する。さらに、樋44の下方における第一熱交換器5aの適所には、吸水紙等の吸水材46…を配設する。なお、47は、樋44から流れ出たドレン水Wをドレン水トレイ32に導く縦樋を示す。
【0038】
これにより、ロータリソレノイド45を制御し、図6(a)に示すように、樋44を回収位置Xuにセットすれば、第二熱交換器5b(冷却器)から落下したドレン水Wは、樋44により回収され、縦樋47を通してドレン水トレイ32に導かれるため、簡易加湿器13は機能しない。これに対して、ロータリソレノイド45を制御し、図6(b)に示すように、樋44を非回収位置Xnにセットすれば、第二熱交換器5bのドレン水Wは、樋44により回収されることなく下方へ落下し、吸水材46…に吸水保持される。吸水材46…は、第一熱交換器5a(加熱器)により加熱されているため、吸水材46…により保持されるドレン水Wは蒸発する。このように、図5(図6)に示す室内側熱交換器4は、ドレン水Wを利用した簡易加湿器13として機能させることができる。したがって、何らかの要因により空気Aが乾燥し過ぎている場合には、この簡易加湿器13を使用することにより、簡易的な加湿を行うことができるとともに、ドレン水Wの回収を不要にすることができる。よって、このような簡易加湿器13を設ければ、別途の加湿機能を設けることなく、ある程度の加湿が可能となり、熱交換装置1の付加価値(機能性)をより高めることができる。
【0039】
このように、本実施形態に係る熱交換装置1及びその製造方法によれば、単一のフレーム部3と、このフレーム部3に支持される複数のフィン部4…と、このフィン部4…が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含する第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bとを一体に構成してなる熱交換ユニット2を備えるため、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bが含まれるも、実質的には単一の部品として構成できる。したがって、部品点数の半減及びこれに伴う組付工数の半減により、部品コスト及び製造コスト双方の大幅なコストダウンを図れるとともに、品質や特性(性能)面においても製品間のバラツキを低減できる。また、単一の冷媒管コイルKの分割構造を包含し、かつ空気Aの送風方向Fwに対する直交方向Fcに並置した第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを備えるため、製品の前後方向の厚さ(寸法)を薄くすることができ、例えば、壁面に付設した際の出張りをできるだけ少なくしたいなどの要請にも十分に応えることができる。
【0040】
次に、このような構成を有する本実施形態に係る熱交換装置1を用いて好適な空気調和装置50について、図7〜図9を参照して説明する。
【0041】
空気調和装置50は、図9に示すように、室外機Uo,室内機Ui及びコントローラUcを備え、この室外機Uoと室内機Uiにより冷媒回路Ccを有する冷凍サイクルCを構成する。
【0042】
室外機Uoは、図7に示すように、冷媒回路Ccに接続する主要部品として、圧縮機51,室外側熱交換器52,モード切換用の電磁式三方弁53,モード切換用の電磁式四方弁54,室外側第一電子膨張弁55p及び室外側第二電子膨張弁55qを備える。この場合、圧縮機51は冷媒rを吐出する吐出口51s及び戻された冷媒rを吸入する吸入口51iを有し、この吐出口51sは、室外側第一ストレーナ(フィルタ)57p及び室外側第一電子膨張弁55pの直列接続を介して三方弁53の第一接続口53aに接続するとともに、さらに、吐出口51sは、室外側第二ストレーナ57q及び室外側第二電子膨張弁55qの直列接続を介して四方弁54の第一共有接続口54xに接続する。
【0043】
また、圧縮機51の吸入口51iは、三方弁53の第二接続口53b及び四方弁54の第二共有接続口54yにそれぞれ接続する。一方、室外側熱交換器52の一端の接続口52pは、室外機Uoの第一外部接続口58に接続するとともに、室外側熱交換器52の他端の接続口52qは、四方弁54の第一接続口54aに接続する。さらに、四方弁54の第二接続口54bは、室外機Uoの第二外部接続口59に接続するとともに、三方弁53の共有接続口53xは、室外機Uoの第三外部接続口60に接続する。なお、室外機Uoにおいて、61は室外側熱交換器52に対して送風を行う送風ファンを示す。
【0044】
他方、室内機Uiは、図7に示すように、冷媒回路Ccに接続する主要部品として、本実施形態に係る熱交換装置(室内側熱交換器)1,室内側第一電子膨張弁71p,室内側第二電子膨張弁71q,電磁開閉弁72p,72q及び霜取用の電磁式四方弁73を備える。図7中、熱交換装置1は仮想線で囲んだ部分となり熱交換ユニット2を備える。熱交換ユニット2は第一熱交換器5a及び第二熱交換器5bを有し、この第一熱交換器5aの他端の接続口5aqは、室内側第一電子膨張弁71p及び室内側第一ストレーナ74pの直列接続を介して室内機Uiの第一外部接続口75に接続するとともに、第二熱交換器5bの一端の接続口5bpは、室内側第二電子膨張弁71q及び室内側第二ストレーナ74qの直列接続を介して室内機Uiの第一外部接続口75に接続する。また、室内側第一電子膨張弁71pには、電磁開閉弁72pを並列接続するとともに、室内側第二電子膨張弁71qには、電磁開閉弁72qを並列接続する。
【0045】
一方、第一熱交換器5aの一端の接続口5apは、四方弁73の第一接続口73aに接続するとともに、第二熱交換器5bの他端の接続口5bqは、四方弁73の第二接続口73bに接続する。四方弁73の第一共有接続口73xは、室内側ストレーナ78を介して室内機Uiの第二外部接続口76に接続するとともに、四方弁73の第二共有接続口73yは、室内機Uiの第三外部接続口77に接続する。なお、図7中、11a及び11bは前述した第一ルーバ及び第二ルーバを示すとともに、12a及び12bは前述した第一送風ファン及び第二送風ファンをそれぞれ示す。また、送風路となる送風ファン12a,12bの後方には、温度センサ81及び湿度センサ82を配設する。
【0046】
他方、コントローラUcは、空気調和装置1の全体制御を司るとともに、少なくとも、上述した三方弁53及び四方弁54,73をそれぞれ切換制御する。コントローラUcは、図8に示すように、マイクロコンピュータ等を利用したコントローラ本体83を備え、このコントローラ本体83は、各種制御処理及び演算処理等を行うコンピューティング機能を有する。特に、後述する第一除湿モードMdx,第二除湿モードMdy,冷却モードMc及び加熱モードMh等の各種制御を実行するためのプログラムを格納したプログラムメモリ83pを備えるとともに、各種データ(設定データ及びデータベースを含む)を書込んだデータメモリ83dを備えている。また、コントローラ本体83には、温度及び湿度等の各種データを表示可能な表示部84が付属するとともに、各種操作キーを有する入力部85が付属し、この入力部85には、温度設定部85t,湿度設定部85h及びモード切換部85s等が含まれる。
【0047】
したがって、コントローラ本体83の入力ポートには、前述した温度センサ81及び湿度センサ82をそれぞれ接続するとともに、コントローラ本体83の出力ポートには、圧縮機51、三方弁53、四方弁54,73、室外側第一電子膨張弁55p、室外側第二電子膨張弁55q、室内側第一電子膨張弁71p、室内側第二電子膨張弁71q、電磁開閉弁72p,72q、送風ファン61,12p,12qをそれぞれ接続する。これにより、コントローラ本体83から、圧縮機51、室外側第一電子膨張弁55p、室外側第二電子膨張弁55q、室内側第一電子膨張弁71p、室内側第二電子膨張弁71q、送風ファン61,12p,12qに対して、それぞれ制御信号が付与されるとともに、電磁開閉弁72p,72q、三方弁53、四方弁54,73は、それぞれ切換信号が付与される。
【0048】
次に、本実施形態に係る熱交換装置1を含む空気調和装置50の設置例及び動作について、図1〜図12を参照して説明する。
【0049】
図9は、空気調和装置50の設置例を示す。本実施形態に係る空気調和装置50は、特に、図9に示すような植物栽培を行う園芸ハウス等の植物栽培室Hに付設して最適である。通常、この種の植物栽培室Hでは、植物や土壌から発生する蒸気により湿度が上昇し、湿度が高い場合には、植物の表面に結露を生じ、植物の割れ等の品質低下や病害等を招きやすい。本実施形態に係る空気調和装置50は、温度及び湿度(除湿)を正確かつ安定にコントロールできるため、このような植物栽培室Hに付設することにより、植物栽培における適切な湿度環境を確保する観点から最適なパフォーマンスを得ることができる。
【0050】
図9において、Uoは植物栽培室Hの外部に設置した室外機を示すとともに、Uiは植物栽培室Hの内部に設置した室内機を示す。また、コントローラボックスにより構成するコントローラUcは植物栽培室Hの入口Hi付近に設置することができる。そして、コントローラUcは、ケーブルを用いた信号ラインLeを介して室内機Uiに接続するとともに、室内機Uiと室外機Uoは、信号ラインLm及び配管ラインLpにより接続する。この場合、配管ラインLpには、図7に示すように、室外機Uoの第一外部接続口58と室内機Uiの第一外部接続口75を接続する冷媒配管La、室外機Uoの第二外部接続口59と室内機Uiの第二外部接続口76を接続する冷媒配管Lb、室外機Uoの第三外部接続口60と室内機Uiの第三外部接続口77を接続する冷媒配管Lcの三本の冷媒配管が含まれる。なお、例示は、室外機Uoと室内機Uiをそれぞれ一台ずつ(一組)設置した場合を示すが、通常、植物栽培室Hの規模や栽培植物等に応じて複数台(複数組)設置される。
【0051】
次に、空気調和装置1の動作について説明する。今、コントローラUcのモード切換部85sを操作し、第一除湿モードMdxをONにした場合を想定する。これにより、三方弁53,四方弁54及び73は、それぞれ図7に示す除湿側のポジションにセットされる。これにより、圧縮機51の吐出口51sは、三方弁53及び四方弁73を介して第一熱交換器5aの一端の接続口5ap側に接続されるとともに、さらに、吐出口51sは四方弁54を介して室外側熱交換器52の他端の接続口52q側に接続される。また、圧縮機51の吸入口51iは四方弁54及び73を介して第二熱交換器5bの他端の接続口5bq側に接続される。図7中、回路に沿った点線矢印は冷媒rの流通方向を示している。なお、第一除湿モードMdxでは、電磁開閉弁72p,72qはOFFからON(開)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pが閉側に制御される。このように、コントローラUcのモード切換部85sの操作により、第一除湿モードMdxへは容易かつ迅速に切換えることができる。これにより、第一除湿モードMdxでは、第一熱交換器5aは凝縮器として機能、即ち、加熱器(再熱器)として動作するとともに、第二熱交換器5bは蒸発器として機能、即ち、冷却器(除湿器)として動作可能となる。
【0052】
次いで、コントローラUcの湿度設定部85hにより具体的な湿度(設定湿度)の大きさを数値入力又は選択等により設定する。第一除湿モードMdxは、除湿を目的とするため、設定湿度は、通常、現在の湿度、即ち、湿度センサ82により検出される検出湿度よりも低く設定される。したがって、第一除湿モードMdxでは、湿度センサ82により湿度が検出され、検出された湿度(検出湿度)が設定湿度になるように、湿度に対するフィードバック制御が行われる。この場合、コントローラUcにより、室内側第二電子膨張弁71qがより開側に制御される。なお、室内側第二電子膨張弁71qの制御のみでは十分に制御できないときは、必要に応じて、第二送風ファン12bの回転数、圧縮機51の吐出圧力、室外側第二電子膨張弁55qの開度等の制御を併用することができる。このように、第一除湿モードMdxにおいて、湿度センサ82により湿度を検出し、検出した湿度が設定湿度になるように、少なくとも室内側第二電子膨張弁71qを可変することにより、湿度に対するフィードバック制御を行えば、温度制御の安定性を確保しつつ目的の湿度環境を正確かつ安定に維持できる。この後、湿度は、第一除湿モードMdxをOFFにするまで設定湿度に維持される。
【0053】
一方、室内側第二電子膨張弁71qが開側に制御されることにより温度が低下する。温度は、温度センサ81により検出されるため、設定温度に維持する制御が行われる。即ち、通常、温度(設定温度)は、温度設定部85tにより設定され、設定温度になるように、温度に対するフィードバック制御が行われる。この場合、温度を上昇させるため、加熱変更要素となる室内側第一電子膨張弁71pの開度をはじめ、第一送風ファン12aの回転数、圧縮機51の吐出圧力、室外側第一電子膨張弁55pの開度等に対する制御を行う。したがって、温度は、第一除湿モードMdxによる動作状態に拘わらず、常に設定温度に維持される。
【0054】
このように、第一除湿モードMdx時には、第二熱交換器5bを冷却器として機能させ、第一熱交換器5aを加熱器として機能させるとともに、第二熱交換器5bを室内側第二電子膨張弁71qにより制御し、かつ第一熱交換器5aを室内側第一電子膨張弁71pにより制御するようにしたため、室内側第二電子膨張弁71qの制御により湿度を低下させた際に、温度が低下しても室内側第一電子膨張弁71p等の制御により温度を一定に維持することができ、湿度と温度の双方に対する正確かつ安定した制御を同時に実現することができる。
【0055】
ところで、第一除湿モードMdxでは、上側の第一熱交換器5aが加熱器(再熱器)として機能し、下側の第二熱交換器5bが冷却器として機能するため、下側の第二熱交換器5bには霜が発生しやすくなる。第二除湿モードMdyは霜取用に設けたものであり、モード切換部85sを操作し、第二除湿モードMdyをONにすることにより、四方弁73は、図10に示す霜取側のポジションにセットされる。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの機能が反転し、上側の第一熱交換器5aが冷却器として機能するとともに、下側の第二熱交換器5bが加熱器(再熱器)として機能するため、第二熱交換器5bにおける霜取が行われる。なお、第一除湿モードMdxから第二除湿モードMdyへの切換は、四方弁73の切換のみでよい。
【0056】
他方、冷却モードMcを選択した場合には、冷却モードMcによる運転(制御)が行われる。冷却モードMdでは、図11に示すように、三方弁53及び四方弁55はそれぞれ冷却側のポジションにセットされる。即ち、第一除湿モードMdx(図7)に対して、三方弁53の切換が行われ、圧縮機51の吸入口51iは、三方弁53を介して室外機Uoの第三外部接続口60に接続される。なお、室内機Ui側における電磁開閉弁72p,72qは共にOFF(閉)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pは開側に制御される。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5aは、共に蒸発器として機能、即ち、冷却器として動作し、空気Aに対する冷却が行われる。このような冷却モードMcでは、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を冷却動作させるため、冷却に係わる最大能力を発揮させることができる。
【0057】
さらに、加熱モードMhを選択した場合には、加熱モードMhによる運転(制御)が行われる。加熱モードMhでは、図12に示すように、三方弁53及び四方弁55はそれぞれ加熱側のポジションにセットされる。即ち、第一除湿モードMdx(図7)に対して、四方弁54の切換が行われ、圧縮機51の吐出口51sは、四方弁54を介して室外機Uoの第二外部接続口59に接続されるとともに、圧縮機51の吸入口51iは、四方弁54を介して室外側熱交換器52の他端接続口52q側に接続される。なお、室内機Ui側における電磁開閉弁72p,72qは共にOFF(閉)に切換えられるとともに、室内側第一電子膨張弁71pは開側に制御される点は、冷却モードMcと同じである。これにより、第一熱交換器5aと第二熱交換器5aは、共に凝縮器として機能、即ち、加熱器として動作し、空気Aに対する加熱が行われる。このような加熱モードMhでは、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの双方を加熱動作させるため、加熱に係わる最大能力を発揮させることができる。
【0058】
以上、好適実施形態及び変更実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、角度を独立して変更可能なルーバ11a,11bは、手動タイプであってもよいし、電動(自動)タイプであってもよい。風量を独立して制御可能な二つの送風ファン12a,12bを配設した例を示したが、単一の送風ファンを排除するものではない。また、第一熱交換器5aと第二熱交換器5bの隣り合う各接続口5aq,5bqは、冷媒rの流出口に選定することが好適であるが、流入口に選定する場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る熱交換装置1は、室外機と室内機により冷凍サイクルを構成する空気調和装置をはじめ、室外機と室内機を一体化した単体の空気調和装置など、各種空気調和装置に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1:熱交換装置,2:熱交換ユニット,3:フレーム部,4…:フィン部,5a:第一熱交換器,5b:第二熱交換器,5aq:接続口,5bq:接続口,11a:ルーバ(第一ルーバ),11b:ルーバ(第二ルーバ),12a:送風ファン(第一送風ファン),12b:送風ファン(第二送風ファン),13:簡易加湿器,50:空気調和装置,C:冷凍サイクル,Cc:冷媒回路,r:冷媒,A:空気,K:冷媒管コイル,Km:コイルメンバ,Kn:コイルメンバ,Ko:コイルメンバ,Fw:送風方向,Fc:直交方向,Wd:ドレン水,H:植物栽培室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置において、単一のフレーム部と、このフレーム部に支持される複数のフィン部と、このフィン部が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルの分割構造を包含し、かつ前記空気の送風方向に対する直交方向に並置した第一熱交換器及び第二熱交換器とを一体に構成した熱交換ユニットを備えることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の送風方向前方には、角度を独立して変更可能なルーバをそれぞれ配設してなることを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の送風方向後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファンをそれぞれ配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第一熱交換器を上側に配し、かつ前記第二熱交換器を下側に配することにより、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の双方を冷却器として機能させる冷却モード,前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の双方を加熱器として機能させる加熱モード,前記第一熱交換器を加熱器として機能させ、かつ前記第二熱交換器を冷却器として機能させる第一除湿モード,前記第一熱交換器を冷却器として機能させ、かつ前記第二熱交換器を加熱器として機能させる第二除湿モード,のいずれかを選択して使用可能に構成することを特徴とする請求項1,2又は3記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第二除湿モードの使用時において前記第一熱交換器から発生するドレン水を、前記第二熱交換器により蒸発させる簡易加湿器を備えることを特徴とする請求項4記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の隣り合う各接続口は、冷媒の流出口に選定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の熱交換面積は、同一又は異ならせることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器は、単一の冷媒管コイルを三以上に分割して得る各コイルメンバを任意に組合わせることにより構成することを特徴とする請求項7記載の熱交換装置。
【請求項9】
植物栽培を行う植物栽培室の空気調和を行う空気調和装置に用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項10】
冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置の製造方法において、単一の冷媒管コイルの分割構造を包含する第一熱交換器と第二熱交換器を製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部に複数のフィン部を組付けるフィン組付工程と、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器を、前記空気の送風方向に対する直交方向に並置して前記フィン部に組付ける熱交換器組付工程とを経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニットを得ることを特徴とする熱交換装置の製造方法。
【請求項11】
単一の冷媒管コイルを三以上のコイルメンバに分割し、各コイルメンバを任意に組合わせることにより、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器を構成することを特徴とする請求項10記載の熱交換装置の製造方法。
【請求項1】
冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置において、単一のフレーム部と、このフレーム部に支持される複数のフィン部と、このフィン部が付設されるとともに、単一の冷媒管コイルの分割構造を包含し、かつ前記空気の送風方向に対する直交方向に並置した第一熱交換器及び第二熱交換器とを一体に構成した熱交換ユニットを備えることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の送風方向前方には、角度を独立して変更可能なルーバをそれぞれ配設してなることを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の送風方向後方には、少なくとも風量を独立して制御可能な送風ファンをそれぞれ配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第一熱交換器を上側に配し、かつ前記第二熱交換器を下側に配することにより、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の双方を冷却器として機能させる冷却モード,前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の双方を加熱器として機能させる加熱モード,前記第一熱交換器を加熱器として機能させ、かつ前記第二熱交換器を冷却器として機能させる第一除湿モード,前記第一熱交換器を冷却器として機能させ、かつ前記第二熱交換器を加熱器として機能させる第二除湿モード,のいずれかを選択して使用可能に構成することを特徴とする請求項1,2又は3記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第二除湿モードの使用時において前記第一熱交換器から発生するドレン水を、前記第二熱交換器により蒸発させる簡易加湿器を備えることを特徴とする請求項4記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の隣り合う各接続口は、冷媒の流出口に選定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の熱交換面積は、同一又は異ならせることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第一熱交換器と前記第二熱交換器は、単一の冷媒管コイルを三以上に分割して得る各コイルメンバを任意に組合わせることにより構成することを特徴とする請求項7記載の熱交換装置。
【請求項9】
植物栽培を行う植物栽培室の空気調和を行う空気調和装置に用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項10】
冷凍サイクルにおける冷媒が循環する冷媒回路に接続することにより、内部に流通する冷媒と外部の空気との熱交換を行う冷媒管コイルを備える熱交換装置の製造方法において、単一の冷媒管コイルの分割構造を包含する第一熱交換器と第二熱交換器を製作する熱交換器製作工程と、単一のフレーム部に複数のフィン部を組付けるフィン組付工程と、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器を、前記空気の送風方向に対する直交方向に並置して前記フィン部に組付ける熱交換器組付工程とを経ることにより、全体が一体に構成される熱交換ユニットを得ることを特徴とする熱交換装置の製造方法。
【請求項11】
単一の冷媒管コイルを三以上のコイルメンバに分割し、各コイルメンバを任意に組合わせることにより、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器を構成することを特徴とする請求項10記載の熱交換装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−97911(P2012−97911A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243260(P2010−243260)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】
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