説明

熱処理下で良好な色を維持するポリエステル−ポリアミドブレンド

物品は、ポリエステルポリマー相、物品の少なくとも1重量%のポリアミドポリマー、および安定剤を含んでなり、ポリエステルポリマー相は物品組成の少なくとも80重量%であり、ポリエステルポリマー相はスルホン化ポリエステルポリマーを更に含んでなる。安定剤は物品1,000,000部あたり安定剤少なくとも100部の濃度で存在し、安定剤の総量の少なくとも2重量%はポリエステルポリマー相中に存在する。物品は例えば、ペレット、繊維、ストランド、シート、フィルム、プレフォーム、ボトル、粉砕フレークまたは立方体であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリアミドポリマーをポリエステルポリマーマトリックスに分散させることは、産業において知られている。スルホン化ポリエステルポリマーが、その分散性を向上させることも知られている。分散工程中に着色物質が生じ得ること、およびスルホン化ポリエステルポリマーのリチウム塩を使用することにより発色が低減されることも知られている。
【背景技術】
【0002】
これらの分散体は、ハイバリアボトルを製造するために包装産業で使用される。ボトルを粉砕し、分散体を第2の熱履歴(例えば乾燥および再押出)に暴露すると、黄変が強くなり得ることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 5,627,218
【特許文献2】US 5,747,548
【特許文献3】US 11/130,961
【特許文献4】US 6,669,986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、リサイクル工程中に起こり得るような第2の熱履歴の下での黄変が最小となるかまたは低減される、組成物または物品を製造するといった要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この明細書には、物品の少なくとも80重量%のスルホン化ポリエステルポリマー、物品の少なくとも1重量%のポリアミドポリマー、および安定剤を含んでなる物品であって、安定剤が物品1,000,000部あたり安定剤少なくとも100部の濃度で存在し、安定剤の少なくとも一部がポリエステルポリマー相中に存在し、物品の全成分の重量パーセントの和が100%である、物品を開示する。この物品は、ペレット、繊維、ストランド、シート、フィルム、プレフォーム、ボトル、粉砕フレークまたは立方体の形状であり得る。スルホン化ポリエステルポリマーは、フタレートポリマーまたはナフタレートポリマーであり得、その酸部分の少なくとも一部にスルホフタル酸またはスルホナフタル酸から誘導された酸部分、またはそのグリコール部分の一部にスルホフタル酸グリコールまたはスルホナフタル酸グリコールから誘導されたグリコール部分を有する。好ましいスルホン化ポリエステルポリマーは、その酸単位の少なくとも一部にスルホイソフタル酸の金属塩から誘導された酸単位を有する。
【0006】
物品に使用されるポリアミドは、アミノカプロン酸またはA−Dの反復単位からなる群から選択され、Aは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸を包含するジカルボン酸或いはそれらの混合物の基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンまたは1,4−シクロヘキサンジメチルアミンを包含するジアミン或いはそれらの混合物の基である。
【0007】
物品安定剤に使用される安定剤は、ヒンダードフェノールまたはホスフェート、特にペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)(CAS番号6683-19-8)であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】コア−シース配置に2つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレット物品を示す。
【図2】コア−シース配置に2つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレット物品であって、コアが外側シース層でカプセル化、包囲または封入されている物品を示す。
【図3】多層配置またはサンドイッチ配置に3つの区画またはゾーンを有する樹脂ペレット物品を示す。
【図4】コアを包囲する2つの同心円層に配置された3つの区画化ゾーンからなる樹脂ペレット物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の物品は、実質的に、ポリエステルポリマーで作られるのに適した如何なる形状もとり得る。これは、ペレット、立方体、チョップトストランド、ストランド、プレフォームのような押出成形フォーム、プレフォームから作られたボトルを包含するボトル、シート、フィルム、および他の成形物品を包含する。
【0010】
区画化ペレットが特に興味深い。用語「チップ」、「ペレット」および「粒子」は、ほぼ同じ意味で使用される。チップの好ましい形状および/またはサイズは、0.05〜0.3cmの好ましい直径を有する球状、0.1〜0.6cmの好ましい最大断面を有する半球状、または0.05〜0.3mmの好ましい直径と0.1〜0.6cmの長さとを有する直円柱である。チップを繊維と混同すべきではない。繊維は少なくとも15の大きいアスペクト比(直径に対して長いストランド)を有し、チップのアスペクト比は15未満、より好ましくは10未満である。
【0011】
US 5,627,218および5,747,548、並びに2005年5月17日出願のUS 11/130,961は、区画化チップを製造するための多くの技術を教示している。1つの態様では、チップ内に少なくとも2つのゾーンまたは領域、好ましくはコアとシースとが存在する。この態様およびその後の態様全てにおいて、US 6,669,986によって教示されているように、コア−シースは好ましいペレットまたはチップ構造である。
【0012】
図1に示したようなコア−シース構造は、2つの供給装置を用いて得られる。図1において、要素1はコアであり、要素2はシースである。第3の環状リングを所望するのであれば、更なる供給装置が必要であり得る。供給装置は、溶融反応器からポリマーを吐出する、押出機またはギヤポンプであり得る。ポリマーをノズルに送り込むことができる適当なデバイスを作動させる。第一供給装置は、ストランドの中心で線状に押し出されるコア材料を形成する液状供給材料を供給する。同時に、シース材料を第二供給装置で、コアを同心円状に被覆するシース層に押し出す。US 6,669,986は、コア−シースチップを製造するための多孔ダイ装置を開示している。
【0013】
図2に示したような好ましい態様では、内部コア21がシース22によって完全に包囲および封入されるように、ペレットの端は閉じられている。US 6,669,986は、コア材料の端面を含む全周囲がシース材料で被覆された、このような球状または楕円形状またはディスク状の多層チップが、切断端面を丸くすることによって製造され得ることを教示している。内層内容物が外層シースで封入されたチップの製造方法の1つは、水中におけるダイ隣接領域でのチップストランドの切断による。
【0014】
ストランドを3以上の環状同心円層から形成し得ることは、当業者には明らかである。これは、もう1つの供給装置と別のダイとを用いることにより達成される。図4は、より高い固有粘度の熱可塑性樹脂を含んでなるコア41を含む3つの区画化ゾーンを有する、そのようなチップを示す。コアは、材料を含んでなる中間層42によって覆われている。同様に中間層は、使用することもできるより少ない重量の熱可塑性樹脂を含んでなる外層43によって覆われている。
【0015】
冷却には、一般の冷却手段を採用する。例えば、水槽の冷却水に多層ストランドを浸漬する方法を採用する。水冷した多層ストランドは、好ましくは、表面に付着した水分をウォータードリッピングデバイスによって除去した後にカッターに送る。
【0016】
カッターは、回転ナイフなどを操作することによって、多層ストランドを特定長さに切断する。一般に、約2〜8mmの外径を有する多層チップを製造する。区画化ゾーンの完全分離は必須ではないと認識する必要がある。完全に分離していないことは、本発明の態様の全てに当てはまる。
【0017】
区画化チップを製造するための別の方法は、ポリエステルポリマーを層状シートにキャストし、次いで更に立方体形状に切断する方法である。最小構造は2層であるが、本発明のキャスト構造に好ましい構造を図3に示す。サンドイッチ構造または多層構造には、中間層33が第一外層31と第二外層32とに挟まれた、少なくとも3つの層が存在する。
【0018】
コアゾーンまたはコア区画は、チップの体心と、空気と触れる表面をさらす最大表面を有するゾーンとの間に、部分が存在する区画である。チップの体心は、チップが切断されるストランドの押出方向に垂直にチップを通る平面の中心である。通常、これが、チップの最長寸法である。球体については如何なる平面でもよいということが明白である。
【0019】
熱可塑性ポリマーの適当なタイプは、結晶性スルホン化ポリエステルポリマーを包含する。用語「結晶性」は、配向または熱誘起結晶性のいずれかの故に、熱可塑性ポリマーが半結晶性になり得ることを意味する。プラスチックは完全には結晶性でないこと、およびその結晶性状態は、より正確には半結晶性として記載されることはよく知られている。用語「半結晶性」は、この技術分野でよく知られており、結晶性領域のシャープな特徴と無定形領域特有の散乱した特徴とを有するX線パターンを示すポリマーを表すことを意味する。半結晶性を純結晶性状態および無定形状態と区別すべきであることも、この技術分野ではよく知られている。
【0020】
結晶性ポリマーを溶融状態から徐冷すると、ポリマーは結晶を形成する。この結晶は、X線によって観察可能な回折を生じる。
【0021】
好ましくは、本発明に使用される熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートの結晶性コポリマーのようなホモポリマーまたはコポリマーを意味する、スルホン化ポリエステルポリマーを含んでなる。明確にするために、用語「結晶性ポリエチレンテレフタレート」および「結晶性ポリエチレンテレフタレートからなる群」は、結晶性であり、少なくとも85%のポリエチレンテレフタレート反復セグメントを含んでなる、ポリマーを意味する。残りの15%は、酸−グリコール反復単位の他の組み合わせであり得、得られたポリマーは、少なくとも5%、より好ましくは10%の結晶化度に達し得る。
【0022】
用語「結晶性ポリエステル」は、結晶性であり、その酸部分の少なくとも85%がテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそれらの各々のジメチルエステルからなる群から選択されている、ポリマーを意味する。
【0023】
有用なポリエステルポリマーは、酸部分がテレフタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそれらの各々のジメチルエステルから誘導されている、フタレートポリマーおよびナフタレートポリマーである。
【0024】
主たる酸の選択にかかわらず、ポリエステル相中のポリエステルポリマーの少なくとも一部はスルホン化されている。
【0025】
1つの好ましい結晶性ポリエステルはPETである。PETは、酸またはそのジエステルとエチレングリコールとの約1:1の化学量論反応による、ポリエチレンテレフタレートと、スルホイソフタレート(SIPA)のジエステルまたはジカルボン酸から誘導されたスルホイソフタレートの金属塩で変性されたポリエチレンテレフタレートコポリマーを包含するポリエチレンテレフタレートコポリマーとからなる、ポリエステルの群である。
【0026】
興味深い特定のコポリマーは、酸部分としての少なくとも1種のスルホイソフタレートと、イソフタル酸またはそのジエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのジエステル、およびシクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されるコモノマーから誘導された少なくとも1種の別の酸部分とを含有する結晶性ポリエチレンテレフタレートである。好ましいスルホイソフタレートは、物品中のポリエステルの酸部分に基づいて0.05〜2.0mol%の範囲のリチウムスルホイソフタレート濃度を有するリチウムスルホイソフタレートである。
【0027】
別の好ましい結晶性ポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)である。PTTは、例えば、1,3−プロパンジオールと少なくとも1種の芳香族二酸またはそのアルキルエステルとの反応により調製され得る。好ましい二酸およびアルキルエステルは、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)を包含する。従って、PTTは、好ましくは少なくとも約80mol%のTPAまたはDMTを含んでなる。そのようなポリエステルに共重合され得る他のジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−ブタンジオールを包含する。スルホイソフタル酸の金属塩のような金属スルホネートに加えて、コポリマーを調製するために同時に使用され得る、他の芳香族および脂肪族の酸は、例えば、イソフタル酸およびセバシン酸を包含する。
【0028】
別の好ましい結晶性ポリエステルは、PENとしても知られているポリエチレンナフタレートである。PENは、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのジエステル(2,6−ジメチルナフタレート)とエチレングリコールとの反応により調製される。
【0029】
また、本発明の結晶性ポリエステルは、再生ポリエステル、或いは使用済みポリエステルまたは工業リサイクル済みポリエステルに由来する材料(例えばポリエステルモノマー、触媒およびオリゴマー)を含み得ると考えられる。
【0030】
ポリエステルポリマーは、非スルホン化ポリエステル分子とスルホン化ポリエステル分子の混合物でもあり得る。
【0031】
物品のポリエステルポリマー相中のポリエステルポリマー分子の少なくとも一部が、ポリエステルとポリアミドの間の界面張力を低減する金属スルホネートを少なくとも1種含有することは、本発明にとって重要である。金属スルホネートの重要性を理解するために、金属スルホネートがポリエステル−ポリアミド分散体中で果たす役割を理解することが必要である。
【0032】
ポリエステル−ポリアミド分散体は、分散ポリマーとマトリックス相ポリマーからなる多相系と表現し得る。分散ポリマーは、マトリックスポリマー全体に分散された多数の小粒子を含む不連続相である。マトリックスポリマーは連続相であり、ポリマーは分離した単位に分けられていないが、常に自身と接している。換言すると、通常1つのマトリックス層しか存在しないが、分散ポリマー粒子は多数存在する。従って技術的には、各粒子がそれ自身の相であるので、分散成分は多相と見なされ得る。しかしながら、その記述では、各粒子は他の粒子と同じ平衡特性を有する。本発明の目的にとって、用語「分散相」または「分散ポリマー」または「分散ポリマー相」は、連続相中に存在する不連続成分の分離した粒子の全体を意味する。
【0033】
スルホン化ポリエステルポリマーは、通常、官能化金属スルホネートに由来する金属スルホネートを含んでなる。用語「官能化金属スルホネート」は、式:R−SOM[式中、Mは金属イオンであり、Rは、官能化金属塩をポリエステル或いはその各モノマーまたはオリゴマーと反応させる官能基を少なくとも1個含有する、脂肪族、芳香族または環状化合物であり、Mは金属イオンである。]で示される化合物を表す。本発明において包含される官能化金属スルホネートは、脂肪族および芳香族のアルコール、カルボン酸、ジオール、ジカルボン酸、および多官能性のアルコール、カルボン酸、アミンおよびジアミンを包含するスルホン化コモノマーの、リチウム塩およびナトリウム塩である。一方、非官能性金属スルホネートは、R−SOMで示されるものであって、Rは官能基を含有しない。従って、用語「金属スルホネート」は、官能性金属スルホネートと非官能性金属スルホネートの両方を意味する。その例は、ポリエステル−ポリアミド系中で金属スルホネートとして作用することが知られている、スルホン化ポリスチレンまたはスルホン化ポリオレフィンである。
【0034】
一般に、金属スルホネートは、式:X−R[式中、Xは、アルコール、カルボン酸またはエポキシ、最も好ましくは、ジカルボン酸またはジオールであり、Rは、−SOM、−COOM、−OM、−PO(M)であり、Mは、Li、Na、Zn、Sn、KおよびCaからなる群から選択され得る+1価または+2価状態の金属である。]で示される官能化状態で存在する。X−Rは、界面張力を変更するために、ポリエステルポリマーに共重合される。X−Rの必要量は、ポリマー組成物中の各々のジカルボン酸またはジオールの総モル数に対して0.01mol%を超える。X−Rに、ジオールとジカルボン酸の両方を含むことも可能である。その場合、モルパーセントは、各々のジオール、ジカルボン酸またはポリマー反復単位の総モル数に基づく。
【0035】
官能化金属スルホネートは、2個以上のR基を含有し得る。Rは、ジオール、ジカルボン酸であり得るXの芳香族環、またはメチレン基のような側鎖に直接結合する。下記構造は一例である。
【化1】

[式中、Rは、−SOM、−COOM、−OM、−PO(M)であり、Mは、Li、Na、Zn、Sn、CaおよびKからなる群から選択され得る+1価または+2価状態の金属である。]
Rが−SOMである場合、化合物はスルホネート、有機スルホネート、より具体的にはスルホイソフタル酸として知られる。この対象が金属スルホネートであるならば、ポリエステルは、スルホイソフタル酸の金属塩に由来する酸単位を含有する。このとき、金属は、リチウム、ナトリウム、亜鉛、錫、カルシウムおよびカリウムからなる群から選択され得る。
【0036】
Xによって表されたジカルボン酸は、それぞれ、オルト、メタまたはパラであってよい。それらは例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸などのような芳香族ジカルボン酸を包含する。
【0037】
Xは、脂肪族であってもよい。その場合には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのような脂肪族ジカルボン酸が適している。シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、およびそれらの1種以上の種を使用できる。イセチオン酸も包含される。ジカルボン酸の混合物も具体的には考えられる。
【0038】
Xは、アルコール、好ましくは下記構造:
【化2】

[式中、Rは、−SOM、−COOM、−OM、−PO(M)であり、Mは、Li、Na、Zn、Sn、KおよびCaからなる群から選択され得る+1価または+2価状態の金属である。]
で示されるジオールも表し得る。
【0039】
Xによって表されたジオールは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールのような脂肪族グリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのような脂環式ジオールであり得、1種以上の種を組み合わせて使用できる。それらのうち、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびシクロヘキサンジオールが好ましい。
【0040】
界面張力を低減するために使用され得る他の官能化金属スルホネートは、ヒドロキシル末端ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール(Carbowax)、および環状アミド、例えばエトキシル化ジメチルヒダントインを包含する。また、ポリエステルは、エポキシ末端ポリエーテルを包含するエポキシ末端化合物と反応して、ポリマーに結合したポリエーテル側鎖を形成することができる。
【0041】
下記構造:
【化3】

は、スルホイソフタル酸リチウム(LiSIPA)またはイソフタル酸変性スルホン酸リチウム塩を示す。塩形態のうち、ジカルボン酸、ジエステル、または予備反応低分子量オリゴマー、例えばリチウムスルホイソフタレートのビス−ヒドロキシエチルエステルが好ましい。金属スルホネート、この場合はリチウムスルホネートがジオール形態で存在することも可能である。可能な代替物は、ペンダント鎖の末端にスルホネート基を含有するエチレングリコールである。ポリエステル分子の末端にスルホネートを配置することが提案されてきた。これは、溶融反応器または押出機のいずれかで、ポリエステルと安息香酸のスルホン化塩または他の単官能性種(例えばイセチオン酸)とを反応させるかまたは共重合させることによって達成され得る。
【0042】
共重合としても知られている、いずれかのポリマーへの反応のために、金属スルホネートは少なくとも1個の官能基を含有しなければならない。これらの官能基の例は、カルボン酸(−COOH)、アルコール(−OH)、カルボン酸エステル、エポキシ末端、ジアミンまたはアミン末端基である。
【0043】
非官能化金属スルホネートは、極性基含有化合物、例えばリチウム塩であるが、金属スルホネートをポリエステルまたはポリアミドと反応させる官能性末端基を含有しない。スルホン化ポリスチレンのリチウム塩が、例として挙げられる。3成分系では、金属スルホネートのモルパーセントは、ポリエステルの酸基の全てに基づいたモルパーセントである。
【0044】
以下に教示するように、ポリエステルポリマーは、金属スルホネートで変性される。この変性は、金属スルホネートをポリマー鎖に共重合させることによって行われる。
【0045】
物品は、2成分形態で存在する重要な成分を含んでなり得る。もちろん、2つの重要な成分に加えて、他の化合物も物品の組成物中に存在できる。2成分形態の1つの態様では、金属スルホネートをポリエステルポリマーと共重合させて、ポリエステルをスルホン化ポリエステルコポリマーにする。
【0046】
組成物の重要な要素は、3成分以上として存在することもできる。また、重要な成分に加えて、他の化合物が組成物中に存在することももちろん可能である。例えば、1つの態様は、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有しないポリエステル、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有するポリエステル、およびポリアミドと共重合された金属スルホネートを含有しないポリアミドである。別の態様は、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有しないポリエステル、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有するポリエステル、およびポリアミドと共重合された金属スルホネートを含有するポリアミドである。別の態様は、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有しないポリエステル、ポリマーと共重合された金属スルホネートを含有するポリエステル、ポリアミドと共重合された金属スルホネートを含有するポリアミド、およびポリアミドと共重合された金属スルホネートを含有しないポリアミドである。
【0047】
例えば、典型的なホモポリマーポリエステルは、100mol%のテレフタル酸由来テレフタレートおよび約100mol%のエチレングリコール由来エチレンを含有し、残りのグリコールは、製造工程中にインサイチューで誘導されたジエチレングリコールに由来するジエチレンである。5mol%のイオン性ジカルボン酸コモノマー(例えばスルホイソフタル酸リチウム)を含有するポリマー100molは、95molのテレフタル酸由来テレフタレート、5molのリチウムスルホイソフタレート、および約100molのエチレングリコール由来エチレンを含有する。同様に、イソフタル酸のような別のコモノマーを使用することも有利であり得る。例えば、2molのテレフタレートを2molのイソフタレートに置き換えて、2molのイソフタレート、93molのテレフタレート、5molのスルホイソフタレートおよび約100molのエチレンを含有するポリマーを調製し、100molのポリマー反復単位を作ることができる。
【0048】
3成分ブレンド系において、酸のモル数は、スルホン化ポリエステルポリマー中の酸のモル数と相溶性未変性ポリエステルポリマー中の酸のモル数との和である。例えば、2種類のポリエステルが存在し、1種はスルホイソフタレートを含有し、もう1種はスルホイソフタレートを含有しないならば、スルホイソフタレートのモルパーセントは、スルホイソフタレートのモル数を、一緒に添加された2種のポリエステルの酸部分のモル数で除したものである。
【0049】
また、ジエチレングリコールが、ポリエステルの調製においてインサイチューで生成されること、およびグリコール由来反復単位の総モル数の約1〜3%がジエチレングリコール由来ジエチレンであることもよく知られている。従って、ポリエステルの組成は、典型的には、97mol%のエチレンおよび3mol%のジエチレンである。
【0050】
金属スルホイソフタル酸由来金属スルホイソフタレートの典型的な濃度は、約0.01〜約15mol%の範囲であり、約0.05〜約10mol%の範囲がより好ましく、約0.1〜5mol%の範囲もまた好ましく、約0.2〜約4mol%および約0.4〜約2mol%の範囲も良好な操作範囲である。金属スルホネートの量は、ポリマー中のイオウおよび金属の量を測ることによって測定される。スルホネートがイソフタレート類に属する場合、スルホネートは、金属スルホイソフタル酸およびグリコールに由来する金属スルホイソフタレートであると記載され得、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される。
【0051】
本発明に使用される金属スルホネート変性ポリエステルは、重合法により調製され得る。常套技術は、エステル法、酸法および変性法に分けることができる。エステル法では、加熱下でカルボン酸のジメチルエステルをグリコールと反応させ、除去されたメタノールが酸のビスヒドロキシエチルエステルを生じる。次いで、ビスヒドロキシエチルエステルを減圧および加熱してグリコールを除去し、分子量を増加させることによって、液体状態で重合させる。対象とする金属スルホネート含有ポリマーの典型的な調製は、以下の割合から出発する:98molのジメチルテレフタレート、2molのスルホイソフタレートのジメチルナトリウム塩、および220molのグリコール(典型的にはエチレングリコール)。220molのグリコールのうち、120は過剰であり、工程中に除去される。ビス−(ヒドロキシエチル)形態またはジメチルエステル形態のいずれかでスルホン化コモノマーが得られることに注意しなければならない。
【0052】
明確にするために、「少なくともX%の特定の酸と共重合させる」という表現は、その化合物がポリマーの酸基の部分(例えばテレフタル酸またはイソフタル酸)と見なされることを意味する。これにより、何モルの化合物を使用するかを決めるための基準が与えられる。この表現は、該化合物が酸として工程に添加されなければならないことを意味するのではない。例えば、スルホイソフタル酸リチウムは、2個のカルボン酸末端基を含有する酸として、カルボン酸のジメチルエステルとして、ジメチルエステルのビス−ヒドロキシエステルとして、グリコール酸ポリマーの超低分子量オリゴマーとして(このとき、酸部分は少なくとも一部分においてスルホイソフタレート塩である)、またはジアルコールとして、ポリエチレンテレフタレートに共重合され得る。
【0053】
「酸の塩を共重合させる」という表現は、酸形態のものしか使用できないとして請求項を制限すべきではなく、化合物がポリマー内で酸由来基の1つになることを意味すると理解されるべきである。
【0054】
「と共重合させる」という表現は、化合物をポリマーと、例えばポリマー鎖内にまたはペンダント基として化学反応させることを意味する。例えば、リチウムスルホイソフタレートと共重合させたポリエステル、またはポリエステルに少なくとも0.01mol%のスルホイソフタレートを共重合させることによって変性されたポリエステルは、スルホイソフタレートがポリマーと少なくとも1個の化学結合で結合していることを意味し、この結合は、ポリマー鎖への結合を包含する。この表現は、どのようにして物質がポリマーに組み込まれたかを問題としない。リチウムスルホイソフタレートと共重合させたポリエステル、またはポリエステルに少なくとも0.01mol%のリチウムスルホイソフタレートを共重合させることによって変性されたポリエステルは、リチウムスルホイソフタレート含有ポリエステルを意味し、リチウムスルホイソフタレートが、限定されるわけではないが、スルホイソフタル酸リチウム、スルホ安息香酸リチウム、スルホイソフタル酸リチウムのジメチルエステル、スルホ安息香酸リチウムのメチルエステル、リチウムスルホイソフタレートのジアルコール、リチウムスルホヒドロキシベンゼン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸のリチウム塩、或いはリチウムスルホイソフタレート含有オリゴマーまたはポリマーを用いて組み込まれたかどうかは問われない。
【0055】
先の段落では例としてリチウムを使用したが、同じことがナトリウムおよび他の金属塩についても言える。本明細書におけるリチウムに対する言及が特許請求の範囲をリチウム塩のみに制限すべきではないことに、注意しなければならない。リチウムは好ましい金属であるが、カルボキシル(酸)末端基に対する特定アミノの割合でポリアミドを使用することは、実施例に示されているように、他の金属を用いて有効に示されている。
【0056】
「および誘導体」並びに「およびその誘導体」という表現は、ポリマーに共重合され得る、金属スルホネート塩の様々な官能化形態を意味する。例えば、リチウムスルホイソフタレート「およびその誘導体」は、限定するわけではないが、スルホイソフタル酸リチウム、スルホイソフタル酸リチウムのジメチルエステル、スルホイソフタル酸リチウムのビス−ヒドロキシエチルエステル、リチウムスルホイソフタレートのジアルコール、低分子量オリゴマー、およびポリマー鎖中にリチウムスルホイソフタレートを含有する高I.V.ポリマーをまとめて意味する。
【0057】
同じ命名法が金属スルホネートを含有するグリコールまたはアルコールにも適用される。
【0058】
酸法では、出発物質はジカルボン酸であり、水が主な副生物である。典型的な酸法における導入割合は、98molのテレフタル酸、2molのスルホイソフタル酸の金属塩(例えば、スルホイソフタル酸リチウム−LiSIPA)、および120molのグリコール(典型的にはエチレングリコール)である。グリコールと酸との反応後、物質を、エステル法と同じ重合法条件に付す。実際には、塩の多くは分解するので、予備反応させたビスヒドロキシエステル形態で添加される。
【0059】
変法は、特定の工程で中間生成物を組み合わせた、各方法の変法である。例えば、酸法を使用して、テレフタル酸のみを用いてその低分子量中間体を調製でき、エステル法を使用して、ホモポリマースルホン化ポリエステルのビス−ヒドロキシエチルエステルを調製できる。次いで、これら2つの中間体を混合し、よりランダムなコポリマーに重合させる。別の変法では、最終変性ポリマーを溶融反応器に添加し、溶融工程で変性ポリマーを解重合させ、その後、ランダムコポリマーを生成させる。PET、スルホン化PET、ポリアミドおよび安定剤の3成分系は、本発明の一部と見なされる。
【0060】
変性ポリマーの別の製造方法では、多量の金属スルホネート基を含有する変性ポリエステルを、未変性ポリエステルに完全エステル交換して、よりブロックであるコポリマーを調製する。これは、長い滞留時間および/または高温押出のような他の方法を用いて実施され得る。
【0061】
本発明に適した変性または未変性であり得るポリアミドは、アミノカプロン酸またはA−Dの反復単位からなる群から選択されるものとして記載され得、Aは、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸を包含するジカルボン酸或いはそれらの混合物の基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンまたは1,4−シクロヘキサンジメチルアミンを包含するジアミン或いはそれらの混合物の基である。
【0062】
これらのポリアミドは、末端基滴定によって測定されるように、2000〜60,000の数平均分子量を有し得る。これらのポリアミドは、アミノカプロン酸同士の反応生成物、および/またはアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸を包含するジカルボン酸或いはそれらの混合物の基と、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンまたは1,4−シクロヘキサンジメチルアミンを包含するジアミン或いはそれらの混合物の基との反応生成物としても記載され得る。
【0063】
当業者は、よく知られている市販ポリアミドとして多数の化合物を認識している。セバシン酸の基とヘキサメチレンジアミンとの反応生成物は、ナイロン6,10であり、アジピン酸の基とヘキサメチレンジアミンとの反応生成物は、ナイロン6,6である。ナイロン6,12は、本発明に有用である別のナイロンである。ナイロン6は、カプロラクタムを開環し、次いで、式:HN−(CH−COOHで示される得られたアミノカプロン酸を重合させることによって調製される、特定タイプのポリアミドである。1つの有用なポリアミドは、ポリ−m−キシリレンアジパミドとして知られている、アジピン酸の基とm−キシリレンジアミンとの反応生成物である。この生成物は、MXD6またはナイロンMXD6として商業的に知られており、三菱ガス化学社(日本国在)から購入できる。
【0064】
ポリアミドの好ましい量は、物品組成物100部あたり1〜15部、好ましくは物品組成物100部あたり3〜8部であり、最も好ましくは物品組成物100部あたり4〜7部である。ポリエステルポリマーの総量は、物品の総重量の少なくとも80%でなければならず、組成物の全成分の重量パーセントは合計で100%である。
【0065】
本発明の物品に有用な安定剤は、ラジカル掃去剤として作用できる。
このカテゴリーは、式:P(OR[式中、基Rは、相互に同じまたは異なっており、以下のようなアルキル基またはアリール基である:8個以上の炭素原子を含有するアルキル基、例えば、イソオクチル、イソデシル、オクタデシル、またはアリール基、例えばフェニルおよび1個以上のアルキル基で置換されたフェニル、例として、tert−ブチル−フェニル、ジ−tert−ブチル−フェニル、n−ノニル−フェニルなど。]で示されるホスファイトを包含する。
【0066】
式:OP(OR[式中、基Rは前記意味を有する。]で示されるホスフェートを使用することもできる。トリアリールホスフェートが好ましい。
【0067】
「Ultranox 626」(CAS 26741-53-7)または「Ultranox 627」の名称でGeneral Electric Specialty Chemicalsによって販売されている化合物のようなジホスファイト化合物は、これら安定剤により安定化される樹脂の黄色度指数を低減するので特に適している。
【0068】
トリホスファイトの例は、トリフェニルホスファイトおよびトリオクタデシルホスファイトである。
【0069】
使用され得る他の安定剤は、ヒンダードフェノール系化合物のようなフェノール系安定剤、例えば、ベンゼンプロパン酸または3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロポキシ)メチル)−1,3−プロパンジイルエステル、2,2−ビス((3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロポキシ)メチル)−1,3−プロパンジイルエステルまたはペンタエリスリトールテトラキス(3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)またはテトラキス(メチレン−3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)としても知られている、Ciba-Geigy社製化合物「Irganox 1010」(CAS 6683-19-8)である。
【0070】
他の特定の安定剤は、以下のものである:
(トリス(2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル)ホスファイト)として知られているCIBA社(スイス国在)製Irgafos 168(登録商標)(CAS 31570-04-4);
ホスホン酸カルシウムとして知られているCIBA社(スイス国在)製Irgamod 195(登録商標)(CAS 65140-91-2);
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトとして知られているCrompton Corporation(現Chemtura Corporation、米国コネティカット州ミドルベリ在)製Ultranox 626(登録商標)(CAS 26741-53-7);
1,3−ベンゼンジカルボキサミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)としても知られているClariant GmbH(ドイツ国在)製Nylostab(登録商標)S-EED(登録商標)(CAS 42774-15-2);
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4−ビフェニルジホスホナイトとしても知られているClariant GmbH(ドイツ国在)製Sandostab(登録商標)P-EPQ(CAS 119345-01-6);
N,N’−ヘキサメチレンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミドとしても知られているGreat Lakes Chemical Corporation(米国ウェストラファイエット在、現Chemtura Corporation)製Lowinox HD 98(CAS 23128-74-7);
トリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)としても知られているGreat Lakes Chemical Corporation(米国ウェストラファイエット在、現Chemtura Corporation)製Lowinox GP 45(CAS 36443-68-2);
(1,2−ジオキソエチレン)ビス(イミノエチレン)ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)としても知られているCrompton Corporation(現Chemtura Corporation、米国コネティカット州ミドルベリ在)製Naugard(登録商標)XL-1(CAS 70331-94-1)。
【0071】
安定剤の一部がスルホン化ポリエステルポリマー相中に存在する場合に、良好な結果が得られた。実施例の部で示したように、ポリアミド相にしか安定剤が存在しないと、ポリエステル相に安定剤が含有されている場合ほど発色は抑制されない。
【0072】
安定剤の濃度は、物品または組成物1,000,000部あたり安定剤100部〜物品または組成物1,000,000部あたり安定剤10,000部の範囲でなければならない。良好な官能性のためには、安定剤の総量の少なくとも2%がポリエステルポリマー相中に存在すべきであり、安定剤の総量は物品1,000,000部あたり1000〜6000部の範囲でなければならず、物品1,000,000部あたり1200〜3000部が最も好ましいと考えられる。組成物は、実施例の部で示したような二成分または多成分ペレット技術で必ずしも調製されなくてもよく、一度にまたは段階的に全成分を溶融押出することによって調製され得る。
【実施例】
【0073】
共通事項
ポリ(エチレンテレフタレート)コポリマー樹脂(PET)は、連続溶融重合によって商業的に調製されており、以下ポリエステルと称する。このポリエステルは、Cleartuf(登録商標)MAXの商標で市販されている。この樹脂を、様々な粉砕再生組成物を添加して試験を実施するベース樹脂として、全試験において使用した。工業規格条件を用いて、空気中、177℃で6時間、ポリエステルを乾かした。次いで、混合物をプレフォームに射出成形し、粉砕した。粉砕プレフォームをポリエステルと混合し、工業規格に従って乾かし、射出成形した。28gプレフォームツールを用いてArburg 420C(110トン)でプレフォームを射出成形した。HunterLab ColorQuest XEを用いてプレフォームの色を測定した。
【0074】
比較例1
前記ベースポリエステル樹脂を、約3%のナイロンと溶融混合した。この混合物からの粉砕プレフォームを、10重量%濃度でポリエステルベース樹脂と混合した。プレフォームの色は3〜4b*ハンター単位に測定された。これらの結果を表Iに示す。
【0075】
比較例2
ポリエステル樹脂を0.5mol%の酸単位LiSIPAから調製し、ポリエステルの重量あたり約3%のナイロンを混合して溶融体とした。次いで、共通点で示したように、この混合物を工業規格に従って乾かし、プレフォームに射出成形し、粉砕した。共通点で示したように、この粉砕再生材料をポリエステルベース樹脂に10%濃度で添加した。プレフォームの色は、約3〜4b*ハンター単位から16〜18b*ハンター単位に、実施例1の色より著しく濃くなった。これらの結果を表Iにまとめる。
【0076】
実施例3
実施例2のポリエステルを、ポリエステルの重量あたり3000ppmのIrganox(登録商標)1010と商業的に称されているペンタエリスリトールテトラキス(CAS No. 6683-19-8)と溶融混合した。共通点に記載したのと同じリサイクル試験を実施した。ポリエステルの重量あたり3000ppmのペンタエリスリトールテトラキスを添加した場合、プレフォームの色は、約10b*低下した。これらの結果を表Iにまとめる。
【0077】
実施例4
コア−シェル構造の区画化ペレットを用いて、実施例2のPET(0.5mol%の酸単位LiSIPAを含有するPET)をArburg 420Cで押し出した。押し出されたペレットのシェルは、実施例2のPETおよび3000ppmのペンタエリスリトールテトラキスを含んでいた。ペレットのコアは、ポリエステルの重量あたり、約3%のナイロンおよび3000ppmのペンタエリスリトールテトラキスを含んでいた。記載した組成で溶融樹脂を用いて二成分樹脂ペレットを製造した。その後、固体は、より高いI.V.を示した。二成分PETを溶融し、プレフォームに射出成形し、該プレフォームからの粉砕再生材料をベース樹脂に添加する、同じリサイクル試験を繰り返した。この場合、リサイクル材料の5%はPCRと称される使用済みリサイクル材料に由来し、5%は二成分樹脂の粉砕再生プレフォームであった。コア中のペンタエリスリトールテトラキスの存在は、粉砕再生プレフォームとしてのリサイクル材料の添加時に、樹脂またはプレフォームのb*を有意に上昇させなかった。これらの結果を表Iにまとめる。
【0078】
実施例5
コア−シェル構造の区画化ペレットを用いて、実施例2のPET(0.5mol%の酸単位LiSIPAを含有するPET)をArburg 420Cで押し出した。押し出されたペレットのシェルは、実施例2のPETおよび100ppmのペンタエリスリトールテトラキスを含んでいた。ペレットのコアは、ポリエステルの重量あたり約3%のナイロンおよびナイロンの重量あたり3000ppmのペンタエリスリトールテトラキスを含んでいた。記載した組成で溶融樹脂を用いて二成分樹脂を製造した。その後、固体は、より高いI.V.を示した。二成分PETペレットを溶融し、プレフォームに射出成形し、該プレフォームからの粉砕再生材料をベース樹脂に添加する、同じリサイクル試験を繰り返した。この場合、リサイクル材料の5%はPCRと称される使用済みリサイクル材料に由来し、5%は二成分樹脂の粉砕再生プレフォームであった。コア中のペンタエリスリトールテトラキスの存在は、粉砕再生プレフォームとしてのリサイクル材料の添加時に、樹脂またはプレフォームのb*を有意に上昇させなかった。これらの結果を表Iにまとめる。
【0079】
実施例6
他の安定剤(酸化防止剤)を、ペンタエリスリトールテトラキスと同様に評価した。実施例2に記載したように0.5mol%LiSIPAで変性したPETを、Arburg押出機で様々な安定剤および3%ナイロンと混合し、プレフォームに射出成形した。プレフォームを粉砕し、5%濃度で、共通点で記載したようにPETに添加した。以下の安定剤も評価した:(トリス(2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル)ホスファイト)として知られているCIBA社(スイス国在)製Irgafos 168(登録商標)(CAS 31570-04-4)、ホスホン酸カルシウムとして知られているCIBA社(スイス国在)製Irgamod 195(登録商標)(CAS 65140-91-2)、およびビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトとして知られているCrompton社製Ultranox 626(登録商標)(CAS 26741-53-7)。結果を表Iにまとめる。
【0080】
【表1】

【0081】
試験方法
HunterLab ColorQuest試験法
HunterLab ColorQuest XE分光比色計試験法を用いて、樹脂のL*色、a*色およびb*色を測定した。取扱説明書に従い、適当な試験片ホルダーを用いて、各試料を4つの異なった場所で試験した。試験終了時、依頼顧客は、スケールおよびパラメーターを規定した平均および標準偏差を、ソフトフェアを用いて表示、保存および印刷することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 コア
2 シース
21 内部コア
22 シース
31 第一外層
32 第二外層
33 中間層
41 コア
42 中間層
43 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリマー相、物品の少なくとも1重量%のポリアミドポリマー、および安定剤を含んでなる物品であって、ポリエステルポリマー相が物品組成の少なくとも80重量%であり、ポリエステルポリマー相がスルホン化ポリエステルポリマーを更に含んでなり、安定剤が物品1,000,000部あたり安定剤少なくとも100部の濃度で存在し、安定剤の総量の少なくとも2重量%がポリエステルポリマー相中に存在する、物品。
【請求項2】
物品が、ペレット、繊維、ストランド、シート、フィルム、プレフォーム、ボトル、粉砕フレークまたは立方体である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
スルホン化ポリエステルポリマーが、フタレートポリマーまたはナフタレートポリマーである、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
スルホン化ポリエステルポリマーが、その酸部分の少なくとも一部にスルホフタル酸またはスルホナフタル酸から誘導された酸部分、またはそのグリコール部分の一部にスルホフタル酸グリコールまたはスルホナフタル酸グリコールから誘導されたグリコール部分を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の物品。
【請求項5】
スルホン化ポリエステルポリマーが、その酸単位の少なくとも一部にスルホイソフタル酸の金属塩から誘導された酸単位を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
ポリアミドがアミノカプロン酸またはA−Dの反復単位からなる群から選択され、Aが、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸を包含するジカルボン酸或いはそれらの混合物の基であり、Dが、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミンまたは1,4−シクロヘキサンジメチルアミンを包含するジアミン或いはそれらの混合物の基である、請求項1〜5のいずれかに記載の物品。
【請求項7】
安定剤がヒンダードフェノールまたはホスフェートである、請求項1〜6のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
安定剤が、ペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)、(トリス(2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル)ホスファイト)、ホスホン酸カルシウム、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、1,3−ベンゼンジカルボキサミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4−ビフェニルジホスホナイト、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)、(1,2−ジオキソエチレン)ビス(イミノエチレン)ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
安定剤が、物品1,000,000部あたり1,000〜6,000部の範囲で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−536971(P2010−536971A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521434(P2010−521434)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060994
【国際公開番号】WO2009/024609
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502214480)エンメ エ ジ・ポリメリ・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (16)
【Fターム(参考)】