説明

熱分析システムおよび熱分析方法

本発明は、熱分析システムに関し、当該熱分析システムは、測定チャンバ内に試料側の試料用るつぼおよび基準物質側の基準物質用るつぼを有し、試料の容器および基準物質の容器がそれぞれ温度を調整および/または測定するためのペルチェシステムを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分析システムに関する。当該熱分析システムは、試料用るつぼが試料側に配置されるとともに、基準物質用るつぼが基準物質側に配置され、両方のるつぼが測定チャンバ内に配置される。
【背景技術】
【0002】
熱を利用して物質を分析する方法の1つとして、熱分析法の一種である示差熱分析(DTA)がある。DTAは、相転移中の固有のエネルギー消費に基づいた定性的な分析が可能である。試料および所定の基準物質の温度は、それぞれ、対称の測定チャンバ内のるつぼの中で測定され、比較される。基準物質は、測定温度範囲内でいかなる相転移も生じないものが選択される。炉によって一定のエネルギーが供給される。両方のるつぼの下側の温度が温度センサによって測定され、それらの温度差が記録される。相転移温度においてのみ、温度差が大きな値となり、得られた曲線を用いて試料の組成を決定する。
【0003】
示差走査熱量分析(DSC)の技術は、DTAから発展したものである。DTAでは基準物質の入力エネルギーまたは温度の関数として2つのるつぼの温度差を直接記録するが、DSCでは、その代わりに熱流速の差が算出される。これにより、固有の温度および発熱のパラメータを定めることができる。
【0004】
DTAは、鉱物の検査(例えば、セメント原料におけるクリンカ相の生成、有機物質の燃焼中の反応熱の決定、およびプラスチックの特性検査。)のような用途においてしばしば用いられる。動的示差走査熱量計(DDSCM)は、物質の特性を調べる手段として世界中で認められている。そのシステムは、ポリマー、医薬活性物質、繊維、金属、セラミックスならびに他の有機および無機の材料分析に用いられている。通常、2つのセラミックまたは金属のるつぼが用いられ、試料および基準物質を測定装置内に保持する。
【0005】
測定を実施する際には、両方のるつぼが、同一の炉内に、または、それぞれ別々の炉内に配置される(この場合、2つの炉は並行して操作することができる。)。2つのるつぼは、同じ温度プログラムを受ける。一例において、2つのるつぼの温度差を一定(通常は0)に保つために必要な電力の差が測定される。これは入力補償型DSCと呼ばれる。あるいは、2つのるつぼの温度差またはそれに相当する変数が直接測定されうる。DTAの原理が用いられる場合には、温度差が直接記録されうる。温度差は、熱流束の差に変換することができる。これらは熱流束型DSCと呼ばれ、適切な熱流センサによってこれらが機能する。測定変数は、例えば、相転移温度、比熱、融解および結晶化の温度等の様々な具体的な特性を決定するための基準としての役割を果たす。動的示差走査熱量分析は、世界中で認められ、標準化されている(国際標準化機構(ISO) 11357、ドイツ工業規格(DIN) 53765、米国材料試験協会(ASTM)E 967、米国材料試験協会 968または米国材料試験協会D 3418)。
【0006】
近年、試料と基準物質の熱流束を測定するために各種の装置および方法が用いられる。これまで、実用的な経験に基づいて抵抗ヒータ、抵抗温度計、熱電対または熱電対列が、温度センサまたは加熱冷却装置として使用されてきた。入力補償型DSCにおいて、抵抗加熱システムを備える2台の小型炉が用いられる。市販のシステムはしばしば、白金加熱コイルで作動する。一方、熱流束型DSCは1つの炉のみを使用し、試料側および基準物質側の2つの面または画定された領域を有するセンサが設置される。測定の間、対応するるつぼは、試料側および基準物質側に配置される。センサは、温度差または他の熱流束差を直接測定することができる。これは、温度測定装置を、試料の側面および基準物質の側面に接触させて配置することで達成される。DTAにおいては、このために熱電対が使用され、試料のるつぼおよび基準物質のるつぼの中または面上に配置される。熱流速DSCでは、それぞれのセンサ表面の中または上に配置された温度測定装置によって温度が測定される。近年、実際に最も頻繁に使用されている温度測定装置は。PT100の抵抗温度計であり、溶接した熱電対または熱電対列である。
【0007】
米国特許第5288147号は、試料および基準物質のるつぼがそれぞれ温度を測定するための熱電発電器を備えた熱分析のための装置を開示する。これらの発電器はコンピュータに接続される。さらにさまざまな補償器とともに熱電対および加熱ユニットが、このコンピュータに接続されている。加熱ユニットの発熱量は、コンピュータに収集される情報を通じて制御される。
【0008】
独国特許出願公開10355126号明細書において、化学的または物理的な反応により放出される熱の測定方法が提案されている。相互に反応させるべき成分を反応装置に入れ、そこで放出される熱を測定する。処理の間、成分は反応装置内に連続的に投入され、放出された熱が測定される。当該反応装置は、ゼーベック素子と熱伝導状態で接触するよう配置すること、および、またゼーベック素子内で誘導される電圧が本質的に0に等しくなるまで、反応装置の温度をペルチェ素子によって制御することによって、本質的に等温に制御される。次いで、反応中に放出される熱は、ゼーベック素子で本質的にゼロの誘導電圧を維持するためにペルチェ素子に加えられる電圧、または、反応装置とペルチェ素子の間に配置された第2のゼーベック素子における誘導電圧に基づいて測定される。この発明は、さらにこの種の方法を実行するための装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5288147号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開10355126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、熱分析中の分解能を改良したシステムおよび方法を提供することである。
【0011】
この目的は、請求項1に記載された熱分析のシステム、および請求項13に記載された熱分析の方法に係る発明によって達成される。本発明のさらなる好適な、および/または有利な態様は、従属する請求項およびそれらの組合せ、ならびに提出された出願書類全体を考慮することによって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において開示する熱分析システムは、試料側に配置された試料用るつぼ、および、基準物質側に配置された基準物質用るつぼを備える。本発明のシステムにおいて、両方のるつぼが測定チャンバ内に配置される。試料のるつぼおよび基準物質のるつぼは、それぞれ温度を記録および/または調整するためのペルチェシステムを有する。ペルチェシステムの代わりに熱電発電器を使用して、温度を測定することができる。さらに、関連技術および本願が適用される分野において公知の抵抗温度計および/または熱電対が温度を記録するために使用されうる。
【0013】
熱分析システムは、動的示差走査熱量分析または示差熱分析によって測定するように設計される。好適な実施形態において、システムは、動的示差走査熱量計として熱分析のみを実行するよう構成される。
【0014】
熱分析システムの試料側および基準物質側は対称構造である。それぞれのベルチェシステムおよび/または熱電発電器は、200℃超、好ましくは700℃超で用いられるよう設計された少なくとも1つの材料から形成される。それぞれのペルチェシステムおよび/または熱電発電器は、さらに、複数の同一の構成要素によって構成されたモジュール構造を有する。このモジュール構造は、特にシステムが動的示差走査熱量計として動作する場合に用いられる。
【0015】
ペルチェシステムは、熱分析システムが熱流束型動的示差走査熱量計および/または入力補償型動的示差走査熱量計として動作可能であるような方法で、電気的に接続される。熱分析システムはさらに、ペルチェシステムに基づいた複合的な動的示差走査熱量計として構成することができる。熱分析システムは、入力補償型動的示差走査熱量計または熱流束型動的示差走査熱量計として、任意の動作が可能である。動的示差走査熱量計に配置されたペルチェシステムおよび/または熱電発電器は、シリコンゲルマニウム(SiGe)半導体素材から作られる。動的示差走査熱量計におけるそれぞれのペルチェシステムおよび/または熱電発電器は、テルル、鉛、ビスマスまたはこれらの材料の合金および/または化合物を含む。好適な実施形態において、上述した動的示差走査熱量計の構成要素はスクッテルド鉱(方コバルト鉱)のシステムで構成される。
【0016】
それぞれのペルチェシステムおよび/または熱電発電器の面は、耐ひっかき性および/または耐食性を有する。この目的のために、例えばセラミック素材が使用される。耐ひっかき性および/または耐食性を有する素材を用いるかどうかは、常にシステムの作動状態に応じて決定する。表面には、要求される温度および/または分析するべき素材(試料)に応じた異なる材料を選択しなければならない。当業者は、熱分析に適切な多くの材料があることを認識している。上記の例は、したがって、本発明を限定するものではない。
【0017】
また、試料側に配置された試料用るつぼ、および、基準物質側に配置された基準物質用るつぼを備えるシステムを用いる熱分析方法を開示する。試料側および基準物質側は、1つの測定チャンバ内に配置される。ペルチェ効果に基づいたシステムが、試料用るつぼおよび基準物質用るつぼの温度を記録および/または調整するために用いられる。試料用るつぼおよび基準物質用るつぼにおける温度を記録するために、熱電発電器を使用することも可能である。現在の動的示差走査熱量計によって提供される分解能は、しばしば制限される。記録された電気出力、抵抗、または電圧の分解能が制限されるのみである。従来の熱電対におけるシステムの感度は、ゼーベック係数を用いて定めることができる。従来の白金製の熱電対は、幅広い温度範囲で使用可能であるが、それらはゼーベック係数(10μV/K未満)が低いため、出力感度も低い。他の従来の熱電対は、より高いゼーベック係数を示しうるが、それらの使用範囲は、所定の範囲に制限される。これまで、実際に100μV/Kよりも高いゼーベック係数を有する熱電対は発見されていない。
【0018】
本発明は、特別な半導体材料によって、より高いゼーベック係数を達成しうることを示す。例えば、400μV/Kよりも高いゼーベック係数は、ドープしたテルル化ビスマス(Bi2Te3)によって達成される。対応するモジュールによって構成されたこの種のシステム要素またはシステムは、しばしば、ペルチェシステムまたは熱電発電器と呼ばれる。多数の要素またはモジュールが直列に接続される場合、数千μV/Κのゼーベック係数が可能となり、非常に小さい空間にこの種のシステムを形成することができる。現在、さらに動的示差走査熱量計の主に700℃まで、およびそれを超える温度範囲に適した半導体材料がある。これに関して、この種のシステムは、要素またはモジュールに技術的な修正を加えることなく、温度センサならびに加熱および冷却装置の、何れかの任意の役割を果たすことができる点で特に有利であり、電気制御のための配置のみが異なる。したがって、二つの要素またはモジュールは、制御された電力の供給によって、同じ表面温度にされうる。しかし、電圧を測定することによって、温度差を測定するために同じ熱分析システムが使用されうる。原則として、センサ(ペルチェシステムまたは熱電発電器)を交換することなく、同じ構成がこの目的のために使用される。
【0019】
本発明の1つの利点は、典型的な動的示差走査熱量計(熱流束型または入力補償型のシステム)において使用されるペルチェシステムを含むことである。これに関して、ペルチェシステムは、加熱または冷却装置のどちらにも使用可能である。したがって、入力補償型動的示差走査熱量計として簡易的におよび正確にそれらを作動することが可能である。ペルチェシステムは、簡易的におよび正確に温度センサとして用いられ、典型的な熱流束型動的示差走査熱量計を形成する。いくつかのペルチェ素子を有する個々のペルチェ素子およびモジュールは、温度測定装置または加熱冷却装置として使用されうる。
【0020】
動作温度範囲内での所望の、または必要な感度に応じて、ドープした半導体材料が使用され、700℃までおよびそれを超える温度範囲で機能する。この温度範囲は、動的示差走査熱量計に最も頻繁に使用される動作温度範囲に対応している。複数のペルチェ素子のモジュールを積重ね、または直列に接続することで、より大きな感度を達成することができる。さらに、ペルチェ素子およびモジュールは、例えばセラミックプレートのような耐ひっかき性および耐食性を有する面を備え、取扱い時に壊れる虞がなく、汚れを簡単に除去可能なものにすることができる。
【0021】
以下に、本発明の例示的な実施形態およびその効果を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の熱分析システムの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明の熱分析システムの第2実施形態を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態および適用例を説明するにあたって、本発明をより詳細に説明するために用いられる図面の説明および表現は単に例示的な意味である。すなわち本発明は、これらの実施形態および適用例に限定されず、実施形態および適用例における個々の例における特徴の組合せに限定されない。方法および装置の特徴を、装置および方法のそれぞれの説明から同様に導くことができる。
【0024】
特定の実施形態の中で記載される、および/または、例示される個々の特徴は、これらの実施形態またはこれらの実施形態の他の特徴との組合せに限定されず、むしろ、本明細書内で明確に記載されていない内容であっても、他の実施形態の特徴および変形例と、技術的に可能な範囲内における他のあらゆる変形例とを組み合わせることができる。
【0025】
同一または同様の構成要素、または同様の機能を有する構成要素は、異なる図面においても同一の参照符号で表される。
【0026】
装置および方法の特徴に関しても、図に示し、また、明細書に記載した方法および装置の説明から明らかである。
【0027】
図1および図2はそれぞれ、熱分析システム1の第1実施形態における断面図、および第2実施形態の詳細な図である。これらの熱分析システム1は、それぞれ動的示差走査熱量計を構成する。
【0028】
ペルチェ効果に基づいた動的示差走査熱量分析の実施態様を有する熱分析システム1の第1実施形態の断面が、図1に概略的に示される。測定チャンバ2内で、試料用るつぼ3は、試料側4に配置され、また、基準物質用るつぼ5は、基準物質側6に配置される。温度を記録する熱電発電器、および/または、温度を調整するペルチェシステム7、8は、試料用るつぼ3および基準物質用るつぼ5の底部に適合する。温度を記録する熱電発電器、および/または、温度を調整するペルチェシステム7、8はさらに、動的示差走査熱量分析のセンサ装置としてそれぞれ機能する。さらにペルチェシステム7、8のための電力供給手段9、10が記号的に表される。測定チャンバ2は、当該技術領域において周知の制御可能な加熱装置を用いて加熱され、測定チャンバ2内を所望のまたは必須の温度に制御することが可能である。付随するペルチェシステム7を有する試料用るつぼ3および、付随するペルチェシステム8を有する基準物質用るつぼ5の組合せが、冷却ブロック11上に配置される。
【0029】
図2は、熱分析システム1の第2実施形態の詳細の断面を概略的に示した図である。図1の例と比較して、これは、るつぼ(試料用るつぼ3および基準物質用るつぼ5は同一である)のうちの1つにおけるペルチェシステム7または8との組合せを拡大して示した図である。図1の第1実施形態において明確に示すとおり、熱分析システム1は、試料側4および基準物質側6が対称に構成される。
【0030】
ペルチェシステム7または8(ペルチェシステム7および8は同一である)は、2層のアルミニウム酸化物層12および13の間に、交互に複数のpドープおよびnドープしたシリコンゲルマニウム半導体素材のキューブ14またはブロック15を含む。他の代替材料は、テルル、鉛、ビスマス、それの合金および/またはそれらの合成物である。スクッテルド鉱から形成され、またはスクッテルド鉱と合成して形成された構成のシステムも可能である。pドープおよびnドープしたシリコンゲルマニウム半導体素材のキューブ14または15は、上部および底部で金属ブリッジによって、本実施形態においては金の接点16によって、相互に接続される。
【0031】
好適には、金属ブリッジまたは金の接点16が、熱接触面を形成するとともに、金属ブリッジまたは金接点16は、それらの上に配置された薄膜またはセラミック・プレート(図示しない)によって絶縁される。2つの異なるキューブが相互に常に接触し、直列結合を形成する。電流は、全てのキューブ14および15の中を相次いで流れる。例えば、電流の強さおよび方向に従って上部接続部が冷却されると、その一方で、下部の接続部は加熱される。このように、電流は一方側から他方側へ熱を運び、プレート間で温度差を形成する。
【0032】
ペルチェ素子またはペルチェシステム7,8における1つの最も典型的な形態は、3mmから5mmの間隔で配置された20mmから90mmの長さの辺を有する2つのほとんどの場合キューブのアルミニウム酸化物のプレート12,13からなり、それらの間で半導体キューブ14および15がはんだ付けされる。セラミック表面は、この目的のために、対向する辺ではんだ付け可能な金属面(図示しない)を備える。
【0033】
電力供給用の導線または供給手段9(または10)、および対応する電気接続17の例示的な極性が再び示される。
【0034】
他の例として、さらにそれぞれの側(試料側4および基準物質側6)に標準の温度センサ(図示しない)を集積することで温度を測定する(温度差ではない)ことが可能となるが、それぞれのセンサ表面上にさらに2つの導線を必要とする。ペルチェ素子またはペルチェシステムはさらに、試料と基準物質(またはより正確には試料用るつぼ3と基準物質用るつぼ5)の温度差をできる限り正確に測定または決定するために使用される。
【0035】
複合的なセンサの場合、ペルチェシステムは温度を測定するために使用されず、上述した動作モードに応じて電気供給用の導線が使用されて電気的に結合し、試料と基準物質(またはより正確には試料用るつぼ3と基準物質用るつぼ5)の温度差はなく、入力補償型動的示差走査熱量分析は所定の電力によって動作する。
【符号の説明】
【0036】
1 熱分析システム
2 測定チャンバ
3 試料用るつぼ
4 試料側
5 基準物質用るつぼ
6 基準物質側
7,8 ペルチェシステム
9,10 電力供給手段
11 冷却ブロック
12,13 アルミニウム酸化物層
14,15 pドープおよびnドープしたシリコンゲルマニウム半導体素材キューブまたはブロック
16 金接点
17 電気コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分析システム(1)であって、測定チャンバ(2)内で試料側(4)に配置された試料用るつぼ(3)および基準物質側(6)に配置された基準物質用るつぼ(5)を備え、前記試料用るつぼ(3)および前記基準物質用るつぼ(5)は、温度を記録および/または調整するペルチェシステム(7,8)を備えてなることを特徴とする熱分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の熱分析システム(1)であって、ペルチェシステム(7,8)の代わりに熱電発電器を用いて温度を記録することができることを特徴とする熱分析システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱分析システム(1)であって、熱分析システム(1)は動的示差走査熱量分析もしくは示差熱分析を実行するよう構成され、または、好適には動的示差走査熱量計である、熱分析システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、前記熱分析システム(1)の前記試料側および基準物質側(4、6)が対称に構成された、熱分析システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、それぞれのペルチェシステム(7,8)および/またはそれぞれの熱電発電器が、200℃超、好ましくは700℃超で用いられるよう設計された材料から形成された、熱分析システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、それぞれのペルチェシステム(7,8)および/またはそれぞれの熱電発電器が、複数の同一の構成要素によって構成されたモジュール構造を有する、熱分析システム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、それぞれのペルチェシステム(7,8)は、熱分析システム(1)が熱流束型動的示差走査熱量計および/または入力補償型動的示差走査熱量計として動作可能であるような方法で、電気的に接続された、熱分析システム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、熱分析システム(1)が、随意に、動的入力補償型または熱流束型の動的示差走査熱量計として動作が可能である、ペルチェシステムに基づいた複合的な動的示差走査熱量計として構成される、熱分析システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、ペルチェシステム(7,8)および/または熱電発電器の面は、耐ひっかき性および/または耐食性を有する、熱分析システム。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、動的示差走査熱量計に配置されたペルチェシステムおよび/または熱電発電器は、シリコンゲルマニウム半導体素材から形成される、熱分析システム。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、前記動的示差走査熱量計におけるそれぞれのペルチェシステム(7,8)および/または熱電発電器は、テルル、鉛、ビスマスまたは合金および/またはこれらの材料の合成物を含む、熱分析システム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の熱分析システム(1)であって、特に前記動的示差走査熱量計におけるそれぞれのペルチェシステム(7,8)および/または熱電発電器は、スクッテルド鉱で構成されるシステムである、熱分析システム。
【請求項13】
測定チャンバ(2)内で試料側(4)に配置された試料用るつぼ(3)および基準物質側(6)に配置された基準物質用るつぼ(5)を備えた熱分析方法であって、ペルチェ効果に基づいたシステムを用いて、前記試料用るつぼ(3)および前記基準物質用るつぼ(5)上の温度を記録および/または調整する、熱分析方法。
【請求項14】
請求項13に記載の熱分析方法であって、熱電発電器を用いて前記試料用るつぼ(3)および前記基準物質用るつぼ(5)上の温度を記録する、熱分析方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−511702(P2013−511702A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539181(P2012−539181)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001350
【国際公開番号】WO2011/060768
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(511294589)ネッシー ガーテゥボー ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】Netzsch−Gertebau GmbH
【Fターム(参考)】