説明

熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとする顆粒、その製造方法及びその使用

【課題】触媒担体としてポリエチレンの製造において使用することができる、熱分解により調製された二酸化ケイ素からの噴霧顆粒の提供。
【解決手段】熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:平均粒度:10〜120μm、BET表面積:40〜400m2/g、細孔容積:0.5〜2.5ml/g、細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔、pH値:3.6〜8.5、タップ密度:220〜700g/lを有する顆粒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとする顆粒、その製造方法及び触媒担体としての及びガラス適用のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
SiCl4からの高温加水分解又は火炎加水分解を用いた熱分解シリカ又は二酸化ケイ素の製造は公知である(Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第4版、21巻、464頁(1982))。
【0003】
熱分解二酸化ケイ素は、極めて微細な粒子、高い比表面積(BET)、極めて高い純度、球状粒子形状及び細孔の非存在により特徴付けられる。これらの特性を考慮すれば、熱分解により調製された二酸化ケイ素は、触媒のための担体としてますます興味をひくものである(Dr. Koth et al . , Chem. Ing. Techn. 52, 628 (1980))。この適用のために、熱分解により調製された二酸化ケイ素は、機械的手段により付形され、例えばタブレット成形機により付形される。
【0004】
熱分解により調製された二酸化ケイ素の、焼結されたセラミック材料のための出発材料を得るための噴霧乾燥による噴霧された顆粒への付形もまた公知である(DE-A 36 11 449)。
【0005】
電気アークにおいて熱分解により調製された二酸化ケイ素を、噴霧乾燥により噴霧された顆粒へと付形してよいこともまた公知であり、前記顆粒は吸着媒体又は触媒担体として使用できる(DE-A 12 09 108)。
【0006】
熱分解により調製された二酸化ケイ素をゲルプロセスに課し、引き続き噴霧乾燥により顆粒へと付形することもまた公知である。これらの顆粒は、酸化クロムを用いたコーティング後に、エチレンの重合において使用される(EP-A 0 050 902, US-A 4,386,016)。
【0007】
更に、オレフィンの触媒重合のための触媒担体としての、沈殿した二酸化ケイ素の使用は公知である(WO 91/09881)。
【0008】
熱分解により調製された二酸化ケイ素の公知の噴霧顆粒は、これらは触媒担体としての、例えばポリエチレンの製造における触媒担体としての使用に最適でない欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE-A 12 09 108
【特許文献2】EP-A 0 050 902
【特許文献3】US-A 4,386,016
【特許文献4】WO 91/09881
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie、第4版、21巻、464頁(1982)
【非特許文献2】Dr. Koth et al . , Chem. Ing. Techn. 52, 628 (1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
課題は従って、触媒担体としてポリエチレンの製造において使用することができる、熱分解により調製された二酸化ケイ素からの噴霧顆粒を開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒を提供する。
【0013】
本発明による顆粒材料は、熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、かつこの得られた顆粒を150〜1100℃の温度で、1〜8時間の間加熱することにより調製されることができる。
【0014】
本発明はまた、熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による顆粒材料は、熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、この得られた顆粒をシラン化することにより調製されることができる。ハロシラン、アルコキシシラン、シラザン及び/又はシロキサンが、シラン化のために使用することができる。
【0016】
次の物質が特にハロシランとして使用することができる:
a)(RO)3Si(Cn2n+1)及び(RO)3Si(Cn2n-1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル−、ブチル−
n=1〜20。
b)R′x(RO)ySi(Cn2n+1)及びR′x(RO)ySi(Cn2n-1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル−、ブチル−
R′=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル−、ブチル−
R′=シクロアルキル
n=1〜20
x+y=3
x=1、2
y=1、2。
c)X3Si(Cn2n+1)及びX3Si(Cn2n-1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
n=1〜20。
d) X(R′)Si(C2n+1)及びX(R′)Si(C2n−1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
R′=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル−、ブチル−
R′=シクロアルキル
n=1〜20。
e)X(R′)2Si(Cn2n+1)及びX(R′)2Si(Cn2n-1)のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
R′=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、i−プロピル−、ブチル−
R′=シクロアルキル
n=1〜20。
f) (RO)Si(CH−R′のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−
m=0.1〜20
R′=メチル−、アリール(例えば−C65、置換したフェニル基)
−C49、OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3
−SH
−NR′R′′R′′′(R′=アルキル、アリール;R′′=H、アルキル、アリール;R′′′=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR′′′′R′′′′′、ここでR′′′′=H、アルキル及びR′′′′′=H、アルキル)。
g) (R″)(RO)Si(CH−R′のタイプのオルガノシラン
【化1】

R′=メチル−、アリール(例えば−C65、置換したフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3
−SH
−NR′R′′R′′′(R′=アルキル、アリール;R′′=H、アルキル、アリール;R′′′=H、アルキル、アリール、ベンジル、C24NR′′′′R′′′′′、ここでR′′′′=H、アルキル及びR′′′′′=H、アルキル)。
h)X3Si(CH2m−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
m=0.1〜20
R′=メチル−、アリール(例えば−C65、置換したフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2
−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3
−SH。
i)(R)X2Si(CH2m−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−
m=0.1〜20
R′=メチル−、アリール(例えば−C65、置換したフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
ここで、Rはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−Sx−(CH23Si(OR)3
ここで、Rはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−SH。
j)(R)2XSi(CH2m−R′のタイプのハロゲンオルガノシラン
X=Cl、Br
R=アルキル
m=0.1〜20
R′=メチル−、アリール(例えば−C65、置換したフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3
−SH。
k) 次のタイプのシラザン
【化2】

R=アルキル、ビニル、アリール
R′=アルキル、ビニル、アリール。
l)D3、D4、D5のタイプの環式ポリシロキサン、その際環式のD3、D4及びD5は、−O−Si(CH32−のタイプの単位3、4又は5つを有する環式ポリシロキサンであってよい
即ち、オクタメチルシクロテトラシロキサン=D4。
【化3】

m) ポリシロキサン、それぞれ次のタイプのシリコーンオイル
【化4】

R=アルキル、例えばCn2n+1(n=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH2n−NH2、H
R′=アルキル、例えばCn2n+1(n=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH2n−NH2、H
R′′=アルキル、例えばCn2n+1(n=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH2n−NH2、H
R′′′=アルキル、例えばCn2n+1(n=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH2n−NH2、H。
【0017】
有利には、シラン Si 108 [(CH3O)3−Si−C817]、トリメトキシオクチルシランがシラン化剤として使用される。
【0018】
本発明はまた、熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
炭素含有量:0.3〜15.0質量%
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒をも提供する。
【0019】
本発明による顆粒材料は有利には、メソ孔及びマクロ孔を有し、このメソ孔の容積は、合計の細孔容積の10〜80%を構成する。
【0020】
本発明による顆粒材料の炭素含有量は、0.3〜15.0質量%であってよい。
【0021】
本発明による顆粒材料の粒径分布は80体積%が8μmよりも大きく、そして80体積%が96μmよりも小さくてよい。
【0022】
本発明の有利な一実施態様において、5μmよりも小さい孔の割合は、合計の細孔容積に対して多くとも5%であってよい。
【0023】
本発明による顆粒材料は、熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、この得られた顆粒を温度150〜1100℃で、1〜8時間の間加熱し、次いでシラン化することにより調製されることができる。上記したものと同様のハロシラン、アルコキシシラン、シラザン及び/又はシロキサンがシラン化のために使用されることができる。
【0024】
本発明は更に、熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとする顆粒の製造方法であって、熱分解により調製された二酸化ケイ素、有利には火炎加水分解により四塩化ケイ素から製造された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、得られた顆粒を場合により、温度150〜1100℃で、1〜8時間の間加熱かつ/又はシラン化することを特徴とする製造方法を提供する。
【0025】
水中への分散は、二酸化ケイ素濃度5〜25質量%を有することができる。
【0026】
噴霧乾燥は、温度200〜600℃で実施することができる。ディスクアトマイザー又はノズルアトマイザーをこの目的のために使用することができる。
【0027】
顆粒の加熱は、固定層、例えばチャンバーキルン中で、及び移動層、例えば回転乾燥器中の両者で実施することができる。
【0028】
シラン化は、上記したものと同様のハロシラン、アルコキシシラン、シラザン及び/又はシロキサンを用いて実施されることができ、このために、シラン化剤は場合により、有機溶媒、例えばエタノール中に溶解されていてよい。
【0029】
有利には、シラン Si 108 [(CH3O)3−Si−C817]、トリメトキシオクチルシランがシラン化剤として使用される。
【0030】
シラン化は、顆粒材料をシラン化剤で吹付け、引き続きこの混合物を105〜400℃の温度で1〜6時間加熱処理することにより実施されることができる。
【0031】
代替的な方法においては、顆粒のシラン化は、顆粒材料を蒸気の形にあるシラン化剤を用いて処理し、引き続きこの混合物を200〜800℃の温度で0.5〜6時間の間加熱処理することにより実施されることができる。
【0032】
この熱処理は、保護ガス、例えば窒素下で行うことができる。
【0033】
シラン化は連続的に又はバッチ式に、噴霧装置を備えた加熱可能なミキサー及び乾燥器中で実施されてよい。適した装置の例は、プロシェアミキサー、ディスクドライヤー又は流動層乾燥器である。
【0034】
顆粒の物理化学的な変数、例えば比表面積、粒度分布、細孔容積、突き固め密度(tamped density)及びシラノール基濃度、細孔分布及びpH値は、出発材料及び、噴霧、加熱及びシラン化の間の条件を変動させることにより、記載した限度内で変更されることができる。
【0035】
本発明により使用されるべき金属酸化物又はメタロイド酸化物は、
−BET表面積30〜90m2/g、
−DBP値80以下、
−アグリゲート平均面積25000nm2未満、
−平均アグリゲート周長1000nm未満、
を有し、少なくとも70%のアグリゲートが1300nmよりも少ない周長を有する熱分解により製造された二酸化ケイ素粉末であってよい。熱分解法により製造されたこの二酸化ケイ素は、WO 2004/054929に開示されている。
【0036】
BET表面積は有利には35〜75m2/gであってよい。特に有利にはこの値は40〜60m2/gであってよい。BET表面積はDIN 66131に応じて決定される。
【0037】
DBP値は有利には60〜80であってよい。DBP吸収の間に、DBP測定装置中で回転ブレードの力の吸収又はトルク(Nm)が、滴定に相当するDBPの定義された量が添加される間に測定される。DBPの特定の添加量でのはっきりと定義された最大値(引き続き急降下)は、本発明による粉末について生じる。
【0038】
BET表面積40〜60m2/g及びDBP値60〜80を有する二酸化ケイ素粉末は特に有利である。
【0039】
更に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、有利に多くとも20000nm2のアグリゲート平均面積を有する。特に有利にこのアグリゲート平均面積は15000〜20000nm2であることができる。このアグリゲート面積は、例えばTEM画像の画像分析により決定することができる。アグリゲートは、相互成長する同じストラクチャー及び同じサイズの一次粒子からなると解釈され、その表面積は個々に分離された一次粒子の表面積の合計よりも低い。一次粒子は、反応中で最初に形成される粒子であると解釈され、この一次粒子は反応が更に進行するにつれ一緒に成長してアグリゲートとなることができる。
【0040】
BET表面積40〜60m2/g、DBP値60〜80及びアグリゲート平均面積15000〜20000nm2を有する二酸化ケイ素粉末は特に有利であってよい。
【0041】
有利な実施態様の場合に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、1000nmより小さいアグリゲート平均周長を有することができる。特に有利にこのアグリゲート平均周長は600〜1000nmであることができる。このアグリゲート周長も、TEM画像の画像分析により決定することができる。
【0042】
BET表面積40〜60m2/g、DBP値60〜80、アグリゲート平均面積15000〜20000nm2及びアグリゲート平均周長600〜1000nmを有する二酸化ケイ素粉末は特に有利である。
【0043】
更に前記アグリゲートの少なくとも80%、特に有利に90%が1300nmより小さい周長を有するのが有利である。
【0044】
有利な実施態様の場合に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、90質量%までの水性分散液中での充填度を有することができる。60〜80質量%の範囲が特に有利である。
【0045】
水性分散液中での最大充填度の決定は、他の添加剤を添加せずに、ディソルバーを使用しながら粉末を少しずつ水中に導入することにより行う。この最大充填度は、更なる粉末が撹拌出力を増加させたにもかかわらず分散液により取り込まれない、つまり粉末は乾燥した形で前記分散液の表面に残るか、又は前記分散液は固形になるか又は前記分散液は塊を形成し始める場合に達成される。
【0046】
更に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、23℃の温度で30質量%の水性分散液に関して、5rpmの剪断速度で、100mPasより低い粘度を有することができる。特に有利な実施態様の場合に、前記粘度は50mPasより低いことができる。
【0047】
本発明により使用される二酸化ケイ素粉末のpHは、4%水性分散液で測定して3.8〜5であることができる。
【0048】
本発明により使用される二酸化ケイ素粉末を製造する方法は、蒸気の形の少なくとも1種のケイ素化合物、遊離酸素含有ガス及び可燃性ガスを公知の構造のバーナー中で混合し、このガス混合物を前記バーナーの口部で点火し、かつ前記バーナーの火炎管中で燃焼させ、得られた固体をガス混合物から分離し、場合により精製することを特徴とし、その際、
− 遊離酸素含有ガスの酸素含有量は、ラムダ値が1以上であるように調節され、
− ガンマ値は1.2〜1.8であり、
− 処理量(throughput)が0.1〜0.3kg SiO2/m3 コアガス混合物であり、
− 前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は少なくとも5m/sである。
【0049】
遊離酸素含有ガスの酸素含有量は、空気の酸素含有量に相応することができる。即ち、この場合には空気が遊離酸素含有ガスとして使用される。この酸素含有量は、しかしながらより高い値であることもできる。有利な方法の場合に、酸素に富む空気は、40体積%よりも高くない酸素含有量を有する。
【0050】
ラムダは、コア中に供給された酸素対化学量論的に必要な量の酸素の比を示す。有利な実施態様の場合に、ラムダは、1<ラムダ≦1.2の範囲内にある。
【0051】
ガンマは、コア中に供給された水素対化学量論的に必要な量の水素の比を示す。有利な実施態様の場合に、ガンマは、1.6<ガンマ≦1.8の範囲内にある。
【0052】
ガスの標準化された流速は、273K及び1atmでの流速に関する。
【0053】
公知の構造のバーナーは、同心管を備えたバーナーであると解釈される。前記のコアガスは、内側管、つまりコアを通過する。前記管の端部、つまりバーナーの口部で、ガスは点火される。前記内側管は、少なくとも1つの外側管、つまりスリーブにより取り囲まれている。この反応室、つまり火炎管は、バーナーの口部のレベルで始まる。これは、一般に水で冷却された円錐状の管であり、この管に場合により他のガス(スリーブガス)、例えば水素又は空気を供給することができる。
【0054】
バーナーの口部のレベルでの火炎管中での少なくとも5m/sのガスの標準化された平均流速は、反応混合物がバーナーを離れた直後の流速に関する。この流速は、蒸気の形の反応生成物の体積流及び火炎管の形状寸法により決定される。
【0055】
前記コアガスは、バーナーに供給されるガス及び蒸気であると解釈され、これは遊離酸素含有ガス、一般に空気又は酸素に富んだ空気、可燃性ガス、一般に水素、メタン又は天然ガス、及び蒸気の形の1種又は数種のケイ素化合物である。
【0056】
この方法の本質的な特徴部は、バーナー口部のレベルでの火炎管中へのガスの規準化された平均流速が少なくとも5m/sであることである。有利な一実施態様においては、バーナー口部のレベルでの火炎管中へのガスの標準化された平均流速は8m/sよりも多い値をとる。
【0057】
前記バーナーの口部でのガス混合物(供給原料)の平均排出速度は制限はない。しかしながら、前記バーナーの口部での排出速度が少なくとも30m/sである場合が有利である。
【0058】
有利な一実施態様の場合に、付加的空気(二次空気)は反応室中へ導入することができ、その際、反応室での流速を更に高めることができる。
【0059】
有利な一実施態様の場合には、前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は8〜12m/sであることができる。
【0060】
この方法で使用されるケイ素化合物のタイプは更に限定しない。四塩化ケイ素及び/又は少なくとも1種の有機塩素ケイ素化合物が有利に使用できる。
【0061】
この方法の特に有利な一実施態様は、
− 四塩化ケイ素を使用し、
− ラムダ値が1<ラムダ≦1.2であり、
− ガンマ値は1.6〜1.8であり、
− 処理量が0.1〜0.3kg SiO2/m3 コアガス混合物であり、
− 更に、バーナー中に導入される遊離酸素含有ガスの量に対して少なくとも2倍量の空気を火炎管中に導入し、
− バーナーの口部での供給原料ガスの流速は40〜65m/s(標準的条件の観点で)であり、
− そして前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は8〜12m/sである方法である。
【0062】
一般に、熱分解酸化物の製造の間に、水冷された反応室(火炎管)中で及び引き続く冷却ユニット(冷却延長部)中でのガスの流速は、できる限り最良の冷却力が保証されるように、つまり反応生成物が急速に冷却されるように調節される。原則として、冷却力はガスの流速が低下すると共に増大する。この下限は、単に、まだなおガス流により管を通して生成物を輸送することができる必要条件に基づく。
【0063】
反応室中でのガスの流速のかなりの増加は冷却力を低下させるにもかかわらず、それが意外な特性を有する粉末を生じさせることが明らかとなった。物理的特性、例えばBET表面積及びDBP吸収は、先行技術による粉末と比較して実質的に変化されないが、前記粉末は極めて低いストラクチャーを示す。
【0064】
更に、本発明により使用される金属酸化物又はメタロイド酸化物は、熱分解法により製造された、9ppmより低い金属含有量を特徴とする二酸化ケイ素であってよい。
【0065】
有利な一実施態様の場合に、本発明により使用される、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は、次の金属含有量を特徴とすることができる:
Li ≦10ppb
Na ≦80ppb
K ≦80ppb
Mg ≦20ppb
Ca ≦300ppb
Fe ≦800ppb
Cu ≦10ppb
Ni ≦800ppb
Cr ≦250ppb
Mn ≦20ppb
Ti ≦200ppb
Al ≦600ppb
Zr ≦80ppb
V ≦5ppb。
【0066】
全金属含有量は、3252ppb(〜3.2ppm)以下であることができる。
【0067】
更に有利な本発明の一実施態様の場合に、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は次の金属含有量を特徴とすることができる:
Li ≦1ppb
Na ≦50ppb
K ≦50ppb
Mg ≦10ppb
Ca ≦90ppb
Fe ≦200ppb
Cu ≦3ppb
Ni ≦80ppb
Cr ≦40ppb
Mn ≦5ppb
Ti ≦150ppb
Al ≦350ppb
Zr ≦3ppb
V ≦1ppb。
【0068】
全金属含有量は、1033ppb(〜1.03ppm)以下であることができる。
【0069】
熱分解法により製造される高純度の二酸化ケイ素を製造する方法は、四塩化ケイ素を公知のように火炎中で高温加水分解を用いて反応させて二酸化ケイ素にし、ここで30ppbよりも低い金属含有量を有する四塩化ケイ素を使用することを特徴とする。
【0070】
本発明の有利な一実施態様の場合に、四塩化ケイ素の他に次の金属含有量を有する四塩化ケイ素を使用することができる:
Al 1ppbよりも低い
B 3ppbよりも低い
Ca 5ppbよりも低い
Co 0.1ppbよりも低い
Cr 0.2ppbよりも低い
Cu 0.1ppbよりも低い
Fe 0.5ppbよりも低い
K 1ppbよりも低い
Mg 1ppbよりも低い
Mn 0.1ppbよりも低い
Mo 0.2ppbよりも低い
Na 1ppbよりも低い
Ni 0.2ppbよりも低い
Ti 0.5ppbよりも低い
Zn 1ppbよりも低い
Zr 0.5ppbよりも低い。
【0071】
この低い金属含有量を有する四塩化ケイ素は、DE 100 30 251により又はDE 100 30 252により製造することができる。
【0072】
本発明による二酸化ケイ素の金属含有量は、ppm領域及びそれ以下(ppb領域)にある。
【実施例】
【0073】
BET表面積をDIN 66131に従って決定した。
【0074】
ジブチルフタラート吸収を、Haake(Karlsruhe)社製のRHEOCORD 90装置で測定した。このために、二酸化ケイ素粉末16g(0.001gの精度で計量した)を、混合室中に置き、これを蓋で閉じ、ジブチルフタラートを蓋中の孔を通して0.0667ml/sのプリセット添加速度で添加した。このミキサーを125rpmのモータ速度で運転した。最大トルクを達成した後で、前記ミキサー及びDBP添加を自動的にスイッチオフした。このDBP吸収は、消費されたDBPの量及び計量された粒子の量から、次の式に従って計算した:
DBP値(g/100g)=(消費されたDBP(g)/粒子の初期質量(g))×100
複雑な流れ特性を試験するための、標準的な回転スピンドルを備えたプログラム制御可能なレオメーターを粘度を測定するために利用した。
剪断速度:5〜100rpm
測定温度:室温(23℃)
分散液濃度:30質量%。
手順:分散液500mlを600mlガラスビーカー中に入れ、室温(測定センサーによる温度の統計的記録)で異なる剪断速度で試験した。
【0075】
圧密化した嵩密度の測定はDIN ISO 787/XI K 5101/18(篩がけなし)に基づく。
【0076】
pHの測定は、DIN ISO 787/IX, ASTM D 1280, JIS K 5101/24に基づく。
【0077】
画像解析は、Hitachi社製のTEM装置H7500及びSIS社製のCCDカメラMegaView IIを用いて行った。評価を行うための画像倍率は、3.2nmの画素密度で30000:1であった。評価された粒子の数は1000より多かった。調製をASTM 3849-89に応じて実施した。検出のための閾値の下限は50画素であった。
【0078】
水性分散液中での最大充填度の測定:完全脱塩水200gを最初に1リットル容器(直径約11cm)中に入れた。ディソルバーディスク(直径約65mm)を備えたディソルバー(VMA-Getzmann社)、モデルDispermat(R) CA-40-Cを、分散ユニットとして使用した。
【0079】
開始時に、前記ディソルバーは約650rpmで運転した。前記粉末を約5gずつ添加した。それぞれの添加の後に、前記粉末が完全に懸濁液中へ取り込まれるまでの待機期間をおく。次いで、次の分を添加する。粉末の添加量の取り込みが約10sよりも長い場合には、ディソルバーディスクの速度を1100rpmに高める。次いで更に段階的な添加を行う。粉末の添加量の取り込みが約10sよりも長い場合には、ディソルバーディスクの速度を1700rpmに高める。
【0080】
この最大充填度は、更なる粉末が撹拌出力を増加させたにもかかわらず分散液により取り込まれない、つまり粉末は乾燥した形で前記分散液の表面に残るか、又は前記分散液は固形になるか又は前記分散液は塊を形成し始める場合に達成される。
【0081】
添加された粉末の量は、差分秤量(difference weighing)(有利に粉末原料の差分秤量)により測定することができる。最大充填度は次のように計算される:
最大充填度=添加された粉末量[g]/(添加された粉末量[g]+最初に導入された水の量[g])×100%。
【0082】
例1(比較例):
SiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素145Nm3/h及び酸素含有率35体積%を有する空気207Nm3/hを、前記管中に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は0.7m/sであった。反応ガスの冷却後に、この熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理した。
【0083】
例2〜4(比較例)を例1と同様の方法で行った。
【0084】
その都度変更されるパラメータを表1に記載した。
【0085】
例5(実施例):
SiCl4 400kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素195Nm3/h及び酸素含有率30体積%を有する空気303Nm3/hを、前記管中に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は10m/sであった。反応ガスの冷却後に、この熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理した。
【0086】
例6〜8を例1に記載されたと同様に行った。
【0087】
その都度変更されるパラメータを表1に記載した。
【0088】
粉末1〜8の分析データを表2に記載した。
【0089】
例5〜8の粉末は、比較例1〜4の粉末よりも、アグリゲート平均面積、アグリゲート平均周長及び最大及び最少のアグリゲート直径について極めて低い値を示し、かつ極めて低いストラクチャーを示した。
【0090】
前記粉末は、水性分散液中で極めて高い最大充填度及び極めて低い粘度を有する。
【0091】
表1:試験条件及びそれから計算された火炎パラメータ
【表1】

(a) kg SiO2/m3 一次空気+水素+SiCl4(供給原料);
(b) O2 21体積%を有する空気;
(c) 一次空気に関して
(d) VB=バーナーの口部での平均排出速度(標準化);
(e) VF=バーナーの口部のレベルでの反応室中での平均流速(標準化)。
【0092】
表2:二酸化ケイ素粉末につての分析データ
【表2】

【0093】
例9(比較例)
表3による組成を有するSiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素190Nm3/h並びに酸素含有率35体積%の空気326Nm3/hを、更に前記管に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。水素15Nm3/hを更に、中心ノズルを取り囲むジャケットノズルに導入し、焼き付きを防止した。標準組成の空気250Nm3/hを更に火炎管に付加的に導入した。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理し、付着した塩酸を除去した。この金属含有量を表5に示した。
【0094】
例10(実施態様の例)
表4による組成を有するSiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素190Nm3/h並びに酸素含有率35体積%の空気326Nm3/hを、更に前記管に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。水素15Nm3/hを更に、中心ノズルを取り囲むジャケットノズルに導入し、焼き付きを防止した。標準組成の空気250Nm3/hを更に火炎管に付加的に導入した。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理し、付着した塩酸を除去した。
【0095】
この金属含有量を表5に示した。
【0096】
表3:SiCl4の組成、例9
【表3】

【0097】
表4:SiCl4の組成、例10
【表4】

【0098】
表5:二酸化ケイ素の金属含有量(ppb)
【表5】

【0099】
測定方法
得られた熱分解により製造された二酸化ケイ素を金属含有量に関して分析する。この試料を主にHFを有する酸性溶液中に溶解させる。
【0100】
このSiO2はHFと反応して、SiF4+H2Oが生じる。SiF4が蒸発し、完全に酸中に金属を残留させ、これを測定する。個々の試料を蒸留水で希釈し、Perkin Elmer Optima 3000 DVの誘導結合プラズマ原子発光分光(ICP−AES)により内標準に対して分析した。この値の不正確性は、試料のバリエーション、スペクトル干渉及び測定方法の限界によるものである。より大きな元素は±5%の相対的な不正確性を有するが、より小さな元素は±15%の相対的な不正確性を有する。
【0101】
使用された熱分解により調製された二酸化ケイ素は、以下にあげる物理化学的特性を有する二酸化ケイ素である。
【0102】
二酸化ケイ素を調製するためには、液状のケイ素化合物を、水素及び空気からなる酸水素炎中に噴霧する。大抵の場合には、四塩化ケイ素が使用される。この物質を、二酸化ケイ素及び塩酸にまで、水素−酸素反応の間に形成された水の作用により加水分解する。火炎を去った後に、この二酸化ケイ素は、いわゆる凝結区画に入り、ここでアエロジルの一次粒子及びアエロジルの一次アグリゲートはアグロメレーションする。この段階でアエロジルの一種として存在する生成物は、随伴するガス状物質からサイクロン中で分離され、次いで湿った加熱した空気で後処理される。
【0103】
この方法により、残留塩酸含有量は、0.025%にまで低下されることができる。この方法の最後に得られる二酸化ケイ素としては嵩密度は約15g/lのみであり、引き続き真空圧密化が行われ、これにより約50g/l以上の突き固め密度が達成される。
【0104】
この二酸化ケイ素の粒径は、反応条件、例えば火炎温度、水素及び酸素の割合、四塩化ケイ素の量、火炎中での残留時間又は凝結経路の長さにより変動されることができる。
【0105】
BET表面積をDIN 66131に従って窒素を用いて決定した。
【0106】
細孔容積は、ミクロ孔、メソ孔及びマクロ孔の容積の合計から計算した。ミクロ孔及びメソ孔を、等温線法によるN2の記録及びBET、de Boer及びBarrett, Joyner及びHalendaの方法によるこの評価により決定した。マクロ孔D>30nmを、Hgポロシメトリーにより決定した。マクロ孔の決定のために試料を15時間100℃で乾燥炉中で乾燥させ、室温で真空中で脱ガスした。
【0107】
ミクロ孔及びメソ孔の決定のために、試料を15時間100℃で乾燥炉中で乾燥させ、1時間200℃で真空中で脱ガスした。
【0108】
シラノール基濃度を、リチウムアラナート法により決定した。ここでSiOH基は、LiAlH4と反応し、この反応の間に形成された水素の量を圧力から決定した。
【0109】
測定の原理
顆粒材料を四口フラスコ中に量り取った。フラスコを排気し、油浴を150℃に加熱した。フラスコ中の温度(内部温度計により制御)は、約130℃へと油浴温度と共に上昇した。この予備的処置の間の圧力を、圧力測定装置PI2(TM210、Leyboldから、測定範囲103〜10-3mbar)を用いて記録した。水の脱着を、この圧力測定から観測することができる。予備的処置の終了時(終温度で30分間)に、10-2mbarよりも少ない圧力が達成されなくてはならなかった。
【0110】
予備的処置の完了後に、排気したフラスコを、ストップバルブを閉鎖することにより真空ユニットから分離し、常温にした。実際の測定は、滴加漏斗を通じてフラスコ中に導入された測定されたLiAlH4溶液の量に基づき、圧力の上昇を形成された水素から測定した。フラスコの容積が既知であれば、理想気体の法則からH2の量を計算することができる。デジタル測定装置(PI1)(MKS Instruments PR-2000)(0〜1barの測定範囲を有する)を用いて圧力を記録した。
【0111】
使用したLiAlH4溶液(ジエチレングリコールジメチルエーテル中の2%LiAlH4)を、易揮発性成分(この成分は圧力測定の障害である)を除去するために実験の実施前に脱ガスした。この目的のために、滴加漏斗中の前記溶液の上の圧力を、第二の真空ポンプにより蒸気圧(22℃で3.7mbar)へと低下させ、この結果この液体は沸騰する。試料無しのブランク測定を、この溶液が十分に脱ガスされたかどうかを試験するために実施した。水素圧力の決定において、溶媒の蒸気圧を用いて補正した。
【0112】
説明
装置をまず最初に、すり合わせガラス栓を備えた滴加漏斗の容積を決定することにより検量し、この容量をリットルで測定した。ストップバルブまでの全ての連結部を含めた反応フラスコの容積を次の実験により得た:
大気圧力にある空気で充填した滴加漏斗を、排気したフラスコに取り付けた。次いで2つの容積の間の圧力補正を、滴加漏斗の栓を開放することにより実施した。確立された圧力を、デジタル測定装置により示した。反応容器の容積を、物質収支から得た、243.8mlの容積VRを、この配置で得た。
【0113】
形成された水素のモル数を、式:
【数1】

[pは、反応フラスコ中の圧力の増加である]から得た。この値を、溶媒の蒸気圧(22℃で3.7mbar)に相当する量により補正した。22℃から極めて異なる室温では、蒸気圧は蒸気圧表から取り出される。量り取られた試料を、pのための値200〜800mbarが得られるように選択することが便利である。この場合には、温度の変動による蒸気圧におけるわずかな変化は、結果にはほとんど影響を有しない。
【0114】
反応容器の容積を、固形物の体積及び導入された溶液の体積を差し引くことにより補正した。固形物の体積は、量り取られた部分及び密度から、そして導入された溶液の容積は滴加漏斗から与えられる。
【0115】
シラノール基の密度を最終的に式:
【数2】

[NL:ローシュミット(Lohschmidt)数
F:量り取られた固形物の表面積]から得た。
【0116】
試料を次のように処理した:
120℃及び0.2mbarで1時間加熱;60℃に冷却;LiAlH4の添加:10分後に、上昇した圧力差を読み取り。
【0117】
粒径分布を、レーザー光学粒径分析機、Cilas Granulametre 715を用いて決定した。
【0118】
タップ密度(tapped volume)を、ASTM D 4164-88に従って決定した。
【0119】
装置:EngelsmannからのTapping volumeter STA V 2003、DIN 53194セクション5.2. b-fに従って
メスシリンダー250ml、2ml毎に目盛線
最大±0.1gの誤差限度を有する天秤。
【0120】
手法
Tapping volumometerのカウンターを1000ストロークに設定した。
メスシリンダーの風袋を差し引いた。顆粒材料をメスシリンダー中に、250mlの目盛りまで装入した。
試料の質量を記録した(±0.1g)。メスフラスコを前記容積計に配置し、この装置のスイッチを入れた。
タッピング終了時:装置は1000ストローク後に自動的にスイッチが切れる
タップ嵩容積を1mlの精度で読み取った。
【0121】
計算
E:顆粒材料の量り取った部分(g)
V:読み取った容積(ml)
W:水含有量(質量%)(規格P001に従って決定)
【数3】

【0122】
pH値を、4%の水性分散液中で、疎水性触媒担体の場合に水:エタノール1:1中で決定した。
【0123】
本発明による顆粒の調製
熱分解により調製された二酸化ケイ素を、完全脱塩水中に分散した。回転子/固定子の原理により動作する、アグリゲートの分散化をこの工程で使用した。形成された懸濁液を噴霧乾燥した。終産物を、フィルター又はサイクロンにより沈殿させた。
【0124】
噴霧された顆粒を、マッフル炉中で加熱した。
【0125】
噴霧乾燥し、かつ場合により加熱した顆粒を、シラン化工程のためにミキサー中に装入し、強力な混合と共に、まず最初に水で、次いでシラン Si 108(トリメトキシオクチルシラン)又はHMDS(ヘキサメチルジシラザン)で吹付けた。噴霧が終了した後に、この材料を15〜30分間以上混合し、次いで1〜4時間100〜400℃で加熱した。
【0126】
使用される水を、酸、例えば塩酸でpH値7〜1に酸性化することができる。使用されるシラン化剤は、溶剤、例えばエタノール中に溶解させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒。
【請求項2】
熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、得られた顆粒を温度150〜1100℃で1〜8時間の間加熱することを特徴とする、請求項1記載の顆粒の製造方法。
【請求項3】
熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒。
【請求項4】
熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、得られた顆粒をシラン化することを特徴とする、請求項3記載の顆粒の製造方法。
【請求項5】
熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとし、かつ次の物理化学的特性:
平均粒度:10〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:合計の細孔容積の5%未満が、直径<5nmを有する孔であり、残りはメソ孔及びマクロ孔
pH値:3.6〜8.5
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒。
【請求項6】
熱分解により調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、得られた顆粒を温度150〜1100℃で1〜8時間の間加熱し、引き続きシラン化することを特徴とする、請求項5記載の顆粒の製造方法。
【請求項7】
熱分解により調製された二酸化ケイ素、有利には火炎加水分解により四塩化ケイ素から調製された二酸化ケイ素を水中に分散させ、噴霧乾燥し、得られた顆粒を場合により、温度150〜1100℃で1〜8時間の間加熱かつ/又はシラン化することを特徴とする、請求項1、3及び5記載の熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとする顆粒の製造方法。
【請求項8】
熱分解により調製された二酸化ケイ素として、
−BET表面積30〜90m2/g、
−DBP値80以下、
−アグリゲート平均面積25000nm2未満、
−平均アグリゲート周長1000nm未満、
を有し、少なくとも70%のアグリゲートが1300nmよりも少ない周長を有する熱分解二酸化ケイ素粉末を使用することを特徴とする、請求項1、3及び5記載の熱分解により調製された二酸化ケイ素をベースとする顆粒の製造方法。
【請求項9】
熱分解により調製された二酸化ケイ素として、9ppmよりも少ない金属含有量を有する高純度な熱分解により調製された二酸化ケイ素を使用することを特徴とする、請求項1、3及び5記載の熱分解により調製された二酸化をベースとする顆粒の製造方法。

【公開番号】特開2012−12298(P2012−12298A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231296(P2011−231296)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2008−500150(P2008−500150)の分割
【原出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】