説明

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品

【課題】 成形時の流動性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を得ることができる成形温度範囲が広く、かつ耐衝撃性、耐候性に優れる成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂組成物として、酸基含有共重合体ラテックス(K)により肥大化処理された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)に、ビニル系単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)1質量部〜99.9質量部と、架橋硬質重合体(B)0.1質量部〜50質量部と、他の熱可塑性樹脂(C)0〜80質量部とを含有するもの[グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部]を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種工業材料として利用できる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関し、特に、成形時の流動性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を得ることができる成形温度範囲が広く、かつ耐衝撃性、耐候性に優れる成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料の耐衝撃性を向上させることは、樹脂材料の用途を拡大させるだけでなく成形品の薄肉化や大型化への対応を可能にするなど、工業的な有用性が非常に高いため、樹脂材料の耐衝撃性向上については、これまでに様々な手法が提案されてきた。
【0003】
このうち、ゴム質重合体と硬質樹脂とを組み合わせることによって、材料の耐衝撃性を高める手法は既に工業化されている。このような材料としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂(ASA樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE樹脂)、およびMBS樹脂強化ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
【0004】
熱可塑性樹脂組成物の中でも、ゴム質重合体として飽和ゴムであるアルキル(メタ)アクリレートゴム等の成分を用いたASA樹脂、アルキル(メタ)アクリレートゴムとポリオルガノシロキサンとの複合ゴム等の成分を用いたSAS樹脂、エチレン−プロピレン系ゴム成分を用いたAES樹脂は、良好な耐候性を有するという特徴を有する。
【0005】
最近、ダッシュボード、インストルメントパネル等の自動車内装用部品、住宅用樹脂化建材等の分野を主体に、光沢が著しく低減された材料、いわゆる艶消し材料に対する需要が高まりつつある。このような艶消し材料としては、架橋硬質重合体を熱可塑性樹脂組成物に配合した材料が提案されている(例えば、特許文献1〜9参照)。
【0006】
上述した艶消し材料は、耐衝撃性および耐候性に優れる。しかしながら、最近は材料に対する耐衝撃性および耐候性の要求が厳しくなってきており、これら艶消し材料ではその要求を満足することができなくなってきている。具体的には、このような架橋硬質重合体を配合した場合は、耐衝撃性の低下が顕著であり、その使用には制限があった。
【0007】
また、このような耐衝撃性の低下を避ける目的で、粒子サイズの大なるゴム状重合体を含む艶消し性の熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献10〜14参照)。粒子サイズの大なるゴム状重合体を含ませることにより、耐衝撃性が低下しやすいという問題は解決できるものの、一方で艶消し外観の成形条件に対する依存性が大きくなり、成形品の部位によって光沢差が生じやすく、斑になりやすい傾向があった。
【0008】
さらに、このような艶消し外観の成形条件依存性や斑の発生が少ない材料として、反応性の官能基を含有する重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献15〜21参照)。
しかしながら、反応性の官能基を含有する重合体を配合した場合、樹脂材料の流動性低下が著しく、成形加工に支障がある場合が多く問題があった。
【0009】
以上のことより、耐衝撃性、流動性、耐候性、および艶消し外観の成形条件依存性の全てを同時に満足する材料が強く望まれていた。
【特許文献1】特開昭53−071146号公報
【特許文献2】特開昭56−036535号公報
【特許文献3】特開昭59−161459号公報
【特許文献4】特開昭63−086756号公報
【特許文献5】特開昭63−297449号公報
【特許文献6】特開平08−073686号公報
【特許文献7】特開平08−253641号公報
【特許文献8】特開平08−199027号公報
【特許文献9】特開2000−212293号公報
【特許文献10】特開平02−214712号公報
【特許文献11】特表平02−503322号公報
【特許文献12】特表平11−508960号公報
【特許文献13】特開平09−194656号公報
【特許文献14】特開2000−198905号公報
【特許文献15】特開昭60−018536号公報
【特許文献16】特開昭61−236850号公報
【特許文献17】特開昭63−156847号公報
【特許文献18】特開昭63−156851号公報
【特許文献19】特開平01−056762号公報
【特許文献20】特開平01−101355号公報
【特許文献21】特開平10−219079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、成形時の流動性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を得ることができる成形温度範囲が広く、かつ耐衝撃性、耐候性に優れる成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物、および耐衝撃性、耐候性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸基含有共重合体ラテックスにより肥大化処理された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体と架橋硬質重合体を含む熱可塑性樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、以下の熱可塑性樹脂組成物および成形品を発明した。
【0012】
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、酸基含有共重合体ラテックス(K)により肥大化処理された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)に、ビニル系単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)1質量部〜99.9質量部と、架橋硬質重合体(B)0.1質量部〜50質量部と、他の熱可塑性樹脂(C)0〜80質量部とを含有すること[グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部]を特徴とするものである。
【0013】
ここで、前記(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)は、グラフト交叉剤に由来する構成単位および架橋剤に由来する構成単位を有することが望ましい。
また、前記グラフト交叉剤に由来する構成単位は、アリル化合物に由来する構成単位であり、前記架橋剤に由来する構成単位は、ジ(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位であることが望ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径は、300nm以上であることが望ましい。
【0014】
また、前記架橋硬質重合体(B)は、モノビニル系単量体単位と、2個以上のビニル基を有する単量体単位とから構成されるものであることが望ましい。
また、前記2個以上のビニル基を有する単量体単位は、アリル化合物に由来する構成単位、またはジメタクリレート系化合物に由来する構成単位であることが望ましい。
また、前記架橋硬質重合体(B)には水酸基が含まれていないことが望ましい。
また、前記架橋硬質重合体(B)の形状は、粒子状であり、かつ質量平均粒子径は1μm〜300μmであることが望ましい。
【0015】
また、前記他の熱可塑性樹脂(C)は、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0016】
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
また、本発明のシートまたは異形押出し成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を押出し成形してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形時の流動性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を得ることができる成形温度範囲が広く、かつ耐衝撃性、耐候性に優れる成形品を得ることができる。また、本発明の成形品は、耐衝撃性、耐候性に優れ、良好な艶消し外観を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
<グラフト共重合体(A)>
本発明におけるグラフト共重合体(A)は、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)を酸基含有共重合体ラテックス(K)により肥大化処理して得られた(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)に、ビニル系単量体をグラフト重合したものである。
【0019】
(小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g))
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルが挙げられる。中でも、好ましくはアクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸−2−エチルヘキシルである。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、炭素数が1〜12であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を必須成分として用いることが好ましい。
【0020】
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)は、該ゴム状重合体(100質量%)中に、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の1種または2種以上を50質量%以上有することが好ましい。得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が優れることから、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0021】
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)は、上述の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外に他の単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸N、N−ジメチルアミノエチル等の官能基を有する他の(メタ)アクリル酸エステル;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等のジエン系化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等が挙げられる。これらは目的に応じて、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)は、グラフト交叉剤に由来する構成単位および架橋剤に由来する構成単位を有することが好ましい。これら単位を有すると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と艶消し性とのバランスが良くなる傾向にある。
【0023】
架橋剤およびグラフト交叉剤としては、例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリル化合物;ジビニルベンゼン;ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。中でも、好ましくはグラフト交叉剤としてのアリル化合物と、架橋剤としてのジ(メタ)アクリル酸エステル化合物との組み合わせであり、より好ましくはグラフト交叉剤としてのメタクリル酸アリルと架橋剤としてのジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステルとの組み合わせである。
【0024】
グラフト交叉剤に由来する構成単位および架橋剤に由来する構成単位は、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)(100質量%)中、好ましくは0.1〜3質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0025】
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を必須成分とする単量体と、必要に応じて架橋剤およびグラフト交叉剤とを混合した単量体混合物を、乳化重合することにより調製できる。
【0026】
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の質量平均粒子径は、特に限定されないが、酸基含有共重合体ラテックス(K)による肥大化が進行しやすいことから、好ましくは30nm〜250nmであり、より好ましくは40nm〜200nmであり、さらに好ましくは50nm〜150nmである。250nmを超える場合には酸基含有共重合体ラテックス(K)による肥大化が進行し難くなり、結果として得られる熱可塑性樹脂組成物の艶消し性が悪化するため 好ましくない。
【0027】
(酸基含有共重合体ラテックス(K))
肥大化剤として用いられる酸基含有共重合体ラテックス(K)とは、酸基含有単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを有する共重合体を含有するラテックスである。
酸基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびクロトン酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の製造に用いたものと同様のものを用いることができ、炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。
【0028】
酸基含有共重合体のガラス転移温度(Tg)は、成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物、および耐衝撃性および艶消し性に優れた成形品を得るためには、低い方が好ましくい。よって、(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸エステル単量体が好ましい。また、アルキル基の炭素数が多いアクリル酸エステル単量体を用いることがさらに好ましい。
【0029】
酸基含有共重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の質量割合は、肥大化処理にて得られる(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径を制御しやすいこと、得られる成形品の艶消し性が優れることから、酸基含有共重合体(100質量%)中、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%である。
【0030】
酸基含有重合体ラテックス(K)中の酸基含有共重合体の質量平均粒子径は、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)を肥大化させる際のラテックスの安定性が優れ、肥大化処理にて得られる(メタ)アクリル酸エステル系ゴム(G)の質量平均粒子径を制御しやすいこと、得られる成形品の艶消し性が優れることから、50nm〜250nmが好ましい。
【0031】
((メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G))
(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)は、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム重合体(g)が、酸基含有共重合体ラテックス(K)により肥大化処理されたものである。肥大化処理は、前述のごとく乳化重合で得られた小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)ラテックス中に、酸基含有共重合体ラテックス(K)を添加することによって行われ、その肥大化方法については特開昭50−25655号公報、特開昭58−61102号公報、特開昭59−149902号公報等、既知の方法で行うことができる。
【0032】
酸基含有共重合体ラテックス(K)の適正な使用量としては、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の性状や、酸基含有共重合体ラテックス(K)の組成や性状にもよるが、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)100質量部(固形分)に対し、0.1質量部〜10質量部(固形分)である。好ましくは、0.3質量部〜5質量部である。酸基含有共重合体ラテックス(K)の量が0.1質量部未満であった場合には、肥大化が進行しないばかりでなく、得られる成形品の艶消し性が悪化し、さらには耐衝撃性が低下する傾向にある。また、10質量部を超える場合には得られる成形品の艶消し性が再び低下する傾向にある。
【0033】
肥大化処理を行う場合、特開昭56−166201号公報に提案されているごとく、無機電解質を少量併用することが肥大化を進行させやすくする点から好ましい。用いる無機電解質はどのようなものでも構わないが、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム等、中性ないしアルカリ性の無機電解質が好ましい。無機電解質の使用方法にも限定されず、小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の重合前にあらかじめ含ませておいても、肥大化処理前に添加しても一向に差し支えない。
【0034】
また、特開昭50−25655号公報に提案されているように、肥大化される小粒子径ゴム状重合体ラテックス(g)のpHは7以上になるように調整することが好ましく、より好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上である。pHを調整する方法については、どのような方法でも構わないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質を添加する方法が例示される。
【0035】
肥大化された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径の範囲は、得られる成形品の耐衝撃性と艶消し性とのバランスが優れることから、その上限は1000nm、好ましくは800nm、さらに好ましくは600nm、下限は用いた小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の粒子径を下回らない範囲で200nm、好ましくは250nm、さらに好ましくは300nmである。
また、肥大化処理においては、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)中、肥大化されていない小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム(g)の存在割合が、15質量部以下となるよう肥大化することが好ましい。
【0036】
(ビニル系単量体)
グラフト重合に用いるビニル系単量体としては、特に制限されないが、好ましくは芳香族アルケニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル単量体およびシアン化ビニル化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体が用いられる。
芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらのうち、スチレンとアクリロニトリルとの混合物を使用すると、得られる成形品の耐衝撃性が優れるため好ましい。
【0038】
(グラフト共重合体(A)の製造)
グラフト共重合体(A)は、肥大化された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)にビニル系単量体を乳化グラフト重合させたものであることが好ましい。さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)10質量部〜80質量部およびビニル系単量体が重合したグラフト部90質量部〜20質量部[(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)およびグラフト部の合計量が100質量部]からなるものである。このような質量割合で乳化グラフト重合すると、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の耐衝撃性、艶消し性が優れる。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の量が10質量部未満の場合は、最終的に得られる成形品の耐衝撃性が低下する傾向にあり、80質量部を超えると再び耐衝撃性が低下し、さらに艶消し性が悪化する傾向にある。さらに好ましくは、グラフト共重合体(A)中、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)が30〜70質量部で、グラフト部が70〜30質量部である。このような場合、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、成形性、艶消し性を高いレベルでバランス良く発現するため好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)やグラフト共重合体(A)を製造する際の乳化重合は、乳化剤を使用してラジカル重合技術により行うことができる。また、グラフト重合する単量体中には、グラフト率やグラフト成分の分子量を制御するための各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0041】
グラフト重合に用いる乳化剤としては、特に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性が優れ、重合率を高めることができるため、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれたアニオン系乳化剤が好ましく用いられる。これらは目的に応じて使い分けられる。また、小粒子(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)の調製に用いた乳化剤をそのまま利用し、乳化グラフト重合時に追添加しなくてもよい。
【0042】
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。この中でレドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・ピロリン酸ナトリウム・ブドウ糖・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたものや、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0043】
乳化グラフト重合で得られたグラフト共重合体(A)ラテックスは、ついで、凝固剤を溶解させた熱水中に投入され、凝析、固化される。凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩等を用いることができる。凝固剤の選定は重合で用いた乳化剤と対にして選定される。すなわち、脂肪酸石鹸やロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみが使用されていた場合にはどのような凝固剤を用いても回収可能であるが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤が含まれている場合には上記無機酸では不十分であり、金属塩を用いる必要がある。
【0044】
ついで、上述のように凝固剤を使用して固化させたグラフト共重合体(A)を、水または温水中に再分散させてスラリー状とし、グラフト共重合体(A)中に残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄する。洗浄後、スラリーを脱水機等で脱水し、得られた固体を気流乾燥機等で乾燥すると、グラフト共重合体(A)が粉体または粒子状で得られる。
【0045】
<架橋硬質重合体(B)>
架橋硬質重合体(B)は、硬質かつ架橋している重合体であれば特に限定されるものではないが、好ましくはモノビニル系単量体単位と2個以上のビニル基を有する単量体単位とから構成されるものである。
【0046】
モノビニル系単量体単位を構成する単量体としては、特に限定されないが、例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル単量体などが使用でき、これらはグラフト共重合体(A)の製造に用いたものと同じものが使用できる。成形品の表面に荒れが発生し難く、艶消し外観に優れることから、芳香族アルケニル化合物と(メタ)アクリル酸エステル単量体とをともに必須成分として含むことが好ましい。
【0047】
2個以上のビニル基を有する単量体としては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、プロピレングリコーンジアリルエーテル等のアリル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート等のジメタクリレート系化合物;ジビニルベンゼン等が使用できる。中でも、得られる成形品の耐衝撃性と艶消し外観とのバランスに優れることから、特にメタクリル酸アリルおよび/またはジビニルベンゼンが好ましい。
【0048】
ただし、本発明の目的である、流動性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る目的から、水酸基を含有する単量体単位は好ましくない。架橋硬質重合体(B)が水酸基を有する場合には、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下しやすい傾向がある。
【0049】
架橋硬質重合体(B)におけるモノビニル系単量体単位と2個以上のビニル基を有する単量体単位との比率は特に限定されないが、得られる成形品の耐衝撃性と艶消し外観とのバランスに優れることから、好ましくはモノビニル系単量体単位と2個以上のビニル基を有する単量体との合計100質量%中に、2個以上のビニル基を含有する単量体単位が0.5質量%〜10質量%の範囲であり、さらに好ましくは1.5質量%〜5質量%である。
【0050】
架橋硬質重合体(B)の製造方法は、特に限定されず、公知の懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の方法によって製造することができる。特に、架橋硬質重合体(B)の製造のしやすさ、後述する粒子径や形態制御の容易さ等から懸濁重合が好ましい。
懸濁重合をはじめとする架橋硬質重合体(B)製造の際には、様々な公知の助剤類を使用することができる。連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、テルピノレン等のテルペン系化合物、α−メチルスチレンダイマー等、公知のものが使用できる。
【0051】
重合開始剤も公知のものが使用でき、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤などが例示できる。
懸濁重合の際に使用できる懸濁安定剤も公知のものが使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、トラガント等の有機高分子物質;硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機コロイド性物質;およびこれらと界面活性剤との組み合わせ等を挙げることができる。
【0052】
架橋硬質重合体(B)の質量平均粒子径は、特に限定されるものではないが、成形品に良好な艶消し外観を付与、特に成形温度の依存性を小さくする目的から、1μm〜300μmに制御することが好ましい。より好ましくは5μm〜200μmであり、さらに好ましくは10μm〜150μmである。架橋硬質重合体(B)の質量平均粒子径が1μm未満では、良好な艶消し外観が発現し難く、300μmを超えると、凹凸サイズが非常に大きく荒い外観となり、艶消しとは言い難いものになる。
【0053】
架橋硬質重合体(B)の粒子形態を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば塊状重合や溶液重合により得られた塊状物を粉砕および/または分級する方法、乳化重合により得られた水性分散液を凝固やスプレードライ法により回収する方法、懸濁重合の際に分散剤の量や種類等の製造条件を選択して所望とする粒子サイズを重合中に得る方法、それらを同じく粉砕および/または分級する方法等が挙げられ、特に製造方法が簡便であることから、懸濁重合の際に分散剤の量や種類等の製造条件を選択する方法が好ましい。
【0054】
<他の熱可塑性樹脂(C)>
他の熱可塑性樹脂(C)としては、特に制限はなく、例えば、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エラストマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、PES樹脂、PEEK樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂(ナイロン)等が挙げられる。
【0055】
好ましくは、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、ポリアミド樹脂であり、これらを目的に応じて単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。他の熱可塑性樹脂(C)は、熱可塑性樹脂組成物100質量部中に0〜80質量部の範囲内で用いることができる。
【0056】
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)1質量部〜99.9質量部と、架橋硬質重合体(B)0.1質量部〜50質量部と、他の熱可塑性樹脂(C)0〜80質量部とを含有する[グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部]ものである。
【0057】
グラフト共重合体(A)が、グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部中、1質量部未満では、耐衝撃性および表面艶消し性に優れる成形品を得ることができない。
架橋硬質重合体(B)が、グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部中、0.1質量部未満では、広い成形温度範囲において、良好な艶消し性を有する成形品が得られず、50質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が不十分となる。
他の熱可塑性樹脂(C)は、グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、およびその他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部中に、0〜80質量部の範囲内で用いることができる。
【0058】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と架橋硬質重合体(B)、必要に応じて他の熱可塑性樹脂(C)とをV型ブレンダーやヘンシェルミキサーで混合し、その混合物を溶融混練することで製造される。その溶融混練では、押出機または、バンバリーミキサー、加熱ニーダー、ロール等の混練機等を用いることができる。
【0059】
得られた熱可塑性樹脂組成物は、そのまま成形品の製造原料に供することができる。また、必要に応じて、この熱可塑性樹脂組成物に、顔料や染料等の着色剤、熱安定剤、光安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、加工助剤等を配合することができる。
【0060】
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形方法によって成形したものである。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形のし易さや表面の均一な艶消し性を確保し易いことから、特にシートまたは異形押出し成形品に好適に用いられる。
【0061】
また場合によっては、他の樹脂や金属等に被覆して使用することも可能である。ここで、被覆されることのできる他の樹脂としては、特に限定されないが、前述の他の熱可塑性樹脂(C)で記載したものや、ABS樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS)等のゴム変性熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0062】
本発明の成形品は、様々な用途で使用され、例えば、工業的用途として、車両部品、特に無塗装で使用される各種外装・内装部品、壁材、窓枠等の建材部品、食器、玩具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品、インテリア部材、船舶部材、通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、PDAハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングに好適である。
【実施例】
【0063】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の例中の%および部数は明記しない限りは質量基準とする。
【0064】
製造例中のグラフト共重合体の平均粒子径、アセトン不溶分比率、アセトン可溶分の還元粘度は以下の方法により測定した。
[ゴム状重合体ラテックスの平均粒子径の測定]
MATEC APPLIED SCIENCES社製サブミクロン粒度分布測定器CHDF−2000を用いて測定した。
【0065】
[アセトン不溶分比率]
冷却管および加熱器を備えたフラスコ中にグラフト共重合体約2.5g(秤量)およびアセトン80mlを入れ、加熱器により55℃で3時間加熱抽出処理を行い、冷却後、内液を日立工機(株)遠心分離器を用いて14,000回転/分の条件で60分処理することによって、アセトン不溶分を分離し、ついで上澄みを取り除いた後の沈殿物を乾燥後、その質量を測定し、以下の式で算出した。
アセトン不溶分(質量%)=分離処理後の沈殿物乾燥質量/アセトン抽出前のグラフト共重合体質量×100
【0066】
[アセトン可溶分の還元粘度(ηsp/C)]
上記グラフト共重合体のアセトン溶媒での抽出、次いで遠心分離処理によるアセトン不溶分の分離によって得た上澄み液中のアセトン溶媒を減圧蒸発させることによってアセトン可溶成分を析出回収し、次いでこのアセトン可溶成分0.2gを100ccのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の溶液粘度を自動粘度計(サン電子工業(株)製)を用いて25℃で測定し、同条件で測定した溶媒粘度よりアセトン可溶分の還元粘度を求めた。
【0067】
製造例中の架橋硬質重合体の平均粒子径は以下の方法により測定した。
[架橋硬質重合体の平均粒子径の測定]
得られた粒状の架橋硬質重合体(B)を、種々のメッシュサイズの篩いで篩い分けし、その質量分布を測定し、平均粒子径を算出した。
【0068】
[製造例1]
小粒子径(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−1)の製造:
攪拌装置および温度制御ジャケット付き10リットルのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水(以後、単に水と略記)400部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王(株)製ラテムルASK)1.0部、硫酸ナトリウム0.3部、アクリル酸n−ブチル(BA)97部、アクリロニトリル(AN)3部、シアヌル酸トリアリル(TAC)0.8部、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールエステル(1,3BD)0.3部を攪拌下で仕込み、反応器内を窒素置換後、内容物を昇温した。
内温55℃にて、過硫酸カリウム0.2部、水5部からなる水溶液を添加し重合を開始せしめた。重合発熱が確認されたらジャケット温度を50℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続した。重合開始から3時間後に冷却し、固形分が19.9%、質量平均粒子径が75nmおよびpHが8.6である小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−1)ラテックスを得た。
【0069】
[製造例2]
小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−2)の製造:
製造例1において、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールエステル(1,3BD)を使用しない以外は、同様の方法で重合を行い、固形分が19.9%、質量平均粒子径が80nmおよびpHが8.4である小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−2)ラテックスを得た。
【0070】
[製造例3]
小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−3)の製造:
製造例1において、シアヌル酸トリアリル(TAC)を使用しない以外は、同様の方法で重合を行い、固形分が20.0%、質量平均粒子径が75nmおよびpHが8.5である小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−3)ラテックスを得た。
【0071】
[製造例4]
酸基含有共重合体ラテックス(K)の調製:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、 ナトリウム2.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物0.3部、水200部、オレイン酸カリウム2.2部、ジオクチルスルホコハク酸、硫酸第一鉄七水塩0.003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.009部を窒素フロー下で仕込み、60℃に昇温した。
60℃になった時点から、アクリル酸n−ブチル(BA)81.5部、メタクリル酸(MAA)18.5部、クメンヒドロパーオキシド0.5部からなる混合物を120分かけて連続的に滴下した。滴下終了後さらに、2時間60℃のまま熟成を行い、固形分が33.0%、重合転化率が99%および質量平均粒子径が145nmである酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
【0072】
[製造例5]
(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の製造:
製造例1〜製造例3で製造した小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g−1)〜(g−3)、および製造例4で製造した酸基含有共重合体ラテックス(K)を用い、内温65℃かつ攪拌下にて、アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)に、表1に示す所定量の酸基含有共重合体ラテックス(K)を一括で添加し、その温度を保ちながら30分間攪拌を継続し、肥大化されたアクリル酸エステル系ゴム状重合体(G−1a)〜(G−1c)、(G−2)、(G−3)ラテックスを得た。また、この際、肥大化処理する前に1%水酸化ナトリウム水溶液にて小粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(g)のpHを9〜10の間に調節した。
【0073】
[製造例6]
比較用の大粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(Z−1)の製造:
製造例1記載の例において、用いるアルケニルコハク酸ジカリウムの量を0.2部とし、重合後にさらに0.8部を追添加する以外は、同様にして重合を行い、固形分が19.4%、質量平均粒子径が370nmおよびpHが8.7である大粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(Z−1)ラテックスを得た。
【0074】
【表1】

【0075】
[製造例7]
グラフト共重合体(A−1)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、 アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G−1a)ラテックス(固形分として)50部、水(アクリル酸エステル系ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)170部、ロンガリット0.15部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.5部を入れ、攪拌しつつ窒素気流下で内温を75℃に昇温した。
次いで、アクリロニトリル(AN)5部、スチレン(St)15部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部の混合液を1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を1時間保持した後、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.15部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、次いで、アクリロニトリル(AN)7.5部、スチレン(St)22.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を1.5時間にわたって滴下し、その間内温が80℃を越えない様に重合せしめた。
滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後冷却し、グラフト共重合体(A−1)ラテックスを得た。次いで1.2%硫酸水溶液150部を75℃に加熱し、攪拌下この中へこのグラフト共重合体(A−1)ラテックス100部を徐々に滴下し凝固し、さらに90℃に昇温して5分間保持した。次いで析出物を脱水、洗浄、乾燥し、アセトン不溶分72%、ηsp/Cが0.74dl/gである粉末状のグラフト共重合体(A−1)を得た。
【0076】
[製造例8〜11]
グラフト共重合体(A−2)〜(A−5)の製造:
製造例7において、用いるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(G−1a)を(G−1b)、(G−1c)、(G−2)、(G−3)に変更した以外は、同様にして重合を行い、グラフト共重合体(A−2)〜(A−5)を得た。その製造結果を表2に示した。
【0077】
[製造例12]グラフト共重合体(A−6)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、 アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G−1b)ラテックス(固形分として)60部、水(アクリル酸エステル系ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)170部、ロンガリット0.15部、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム0.5部を入れ、攪拌しつつ窒素気流下で内温を75℃に昇温した。
次いで、メタクリル酸メチル(MMA)30部、アクリロニトリル(AN)3部、スチレン(St)7部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.16部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を1時間保持した後冷却し、グラフト共重合体(A−6)ラテックスを得た。次いで、1.2%硫酸水溶液150部を75℃に加熱し、攪拌下でこの中へこのグラフト共重合体(A−6)ラテックス100部を徐々に滴下して凝固し、さらに90℃に昇温して5分間保持した。次いで析出物を脱水、洗浄、乾燥し、アセトン不溶分79%、ηsp/Cが0.54dl/gである粉末状のグラフト共重合体(A−6)を得た。
【0078】
[製造例13]
グラフト共重合体(A−7)の製造:
製造例7において、用いるアクリル酸エステル系ゴム状重合体(G−1a)を酸基含有共重合体(K)によって肥大化されていない大粒子径アクリル酸エステル系ゴム状重合体(Z−1)に変更した以外は、同様にして重合を行い、アセトン不溶分69%、ηsp/Cが0.77dl/gのグラフト共重合体(A−7)を得た。
【0079】
【表2】

【0080】
[製造例14]
架橋硬質重合体(B−1)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口等の付いた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)19部、スチレン(St)60部、アクリル酸エチル(EA)20部、メタクリル酸アリル1部(AMA)、n−オクチルメルカプタン0.1部、ラウロイルパーオキサイド0.5部、ポリビニールアルコール0.5部、イオン交換水200部を投入し、容器内を十分に窒素ガスで置換した。
窒素気流中で攪拌しながら内容物を75℃まで昇温し、重合を開始せしめた。3時間後に85℃に昇温してさらに3時間保持し、最後は95℃に昇温して1時間保持して重合を完了した。得られたスラリーを脱水、乾燥してビーズ状の架橋硬質重合体(B−1)を得た。質量平均粒子径は150μmであった。
【0081】
[製造例15〜20]
架橋硬質重合体(B−2)〜(B−7)の製造:
表3のごとく、モノビニル系単量体と2個以上のビニル基を有する単量体の種類と量を変更させた以外は、製造例14と同様に行い、架橋硬質重合体(B−2)〜(B−7)を得た。
【0082】
[製造例21]
架橋硬質重合体(B−8)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入口等の付いた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)95部、エチレングリコールジメタクリレート(EGMA)5部、n−ドデシルメルカプタン0.3部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部、2%三リン酸カルシウム水溶液150部を窒素ガスで置換した容器に投入した。
内容物を高速攪拌下で70℃に昇温して重合を開始せしめ、さらに5時間後に100℃で1時間保持して重合を完了させた。内容物を脱水、濾過、乾燥して白色粉末状の架橋硬質重合体(B−8)を得た。質量平均粒子径は5μmであった。
【0083】
[製造例22]
架橋硬質重合体(B−9)の製造:
製造例14において、表3のごとく単量体の種類と量を変更した以外は、同様にして重合を行い、架橋硬質重合体(B−9)を得た。質量平均粒子径粒子径は15μmであった。
【0084】
[製造例23]
硬質重合体(b−10)の製造:
製造例14において、表3のごとく単量体の種類と量を変更した以外は、同様にして重合を行い、架橋していない硬質重合体(b−10)を得た。質量平均粒子径は170μmであった。
【0085】
【表3】

【0086】
[製造例24]
他の熱可塑性樹脂(C−1)の製造:
メタクリル酸メチル99部およびアクリル酸メチル1部からなり、 N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.25dl/gであるアクリル樹脂(C−1)を公知の懸濁重合により製造した。
【0087】
[製造例25]
他の熱可塑性樹脂(C−2)の製造:
アクリロニトリル7部、スチレン23部、メタクリル酸メチル70部からなり、 N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.38dl/gであるアクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル三元共重合体(C−2)を公知の懸濁重合により製造した。
【0088】
[製造例26]
他の熱可塑性樹脂(C−3)の製造:
アクリロニトリル29部およびスチレン71部からなり、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.60dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体(C−3)を公知の懸濁重合により製造した。
【0089】
[実施例1〜実施例21、比較例1〜比較例5]
熱可塑性樹脂組成物の製造:
製造例で製造したグラフト共重合体(A−1)〜(A−7)、架橋硬質重合体(B−1)〜(B−9)、硬質重合体(b−10)、他の熱可塑性樹脂(C−1)〜(C−3)を、表4および表5に示す割合で配合し、さらにエチレンビスステアリルアミド0.4部、アデカスタブLA−63P(旭電化工業(株)製)0.2部、アデカスタブLA−36(旭電化工業(株)製)0.2部、着色剤として酸化チタン(「CR60−2」、石原産業(株)製)3部を添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物をバレル温度230℃に加熱した脱気式二軸押出機(池貝鉄工(株)製「PCM−30」)で賦形し、ペレットを作製した。
得られたペレットを、サーモプラスチックス工業(株)製25mmφ単軸押出機を用い、バレル温度190℃および250℃、冷却ロール温度85℃で、幅60mmTダイからシート状に吐出させ、巻き取り速度を調節することによって厚みを200μm〜250μmに調節した幅50mm〜60mmのシートを押出成形した。
【0090】
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を下記の評価試験によって評価した。評価の結果を表4および表5に示す。
(i)シャルピー衝撃強度:
ISO 179に準拠した方法により行い、ノッチあり試片を用い、23℃雰囲気下で12時間以上試験片を放置した後に測定を行った。
(ii)メルトボリュームレート(流動性):
ISO 1133に準拠する方法で、バレル温度220℃、加重98Nの条件で測定した。
【0091】
(iii)成形光沢度、その温度依存性:
光沢度は入射光60°の反射率として測定した。
バレル温度190℃と250℃条件下おける成形シートの温度依存性は以下の式(1)にて求めた。
[光沢差(%)]=(250℃成形での光沢度)−(190℃成形での光沢度) ・・・式(1)
【0092】
(iv)成形外観:
目視判定より、その艶消し性、フィッシュアイやダイラインの発生状態、表面のきめの細かさを判定し、問題なく良好なシートと認められたものを○、問題が多く実用に耐えないものを×、その中間を△と評価した。
(v)耐候性(加速曝露試験):
上記の白着色シートを、サンシャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)でブラックパネル温度63℃、サイクル条件60分(降雨:12分)にて1,000時間処理した。色差計で測定した暴露後試験片と未暴露試験片との色の違いを変色度ΔEで評価した。
【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【0095】
実施例および比較例より、次のことが明らかとなった。
(1)実施例1〜21の熱可塑性樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度とメルトボリュームレートとがともに高く、成形温度190℃および250℃において良好な艶消し性を、そしてさらにサンシャインウェザーメーターによる耐光試験では変色の小さいものであった。このような樹脂組成物は工業的価値が高い。
(2)特に実施例1〜実施例3、実施例10、実施例12、実施例13、実施例19、実施例21の熱可塑性樹脂組成物は、いずれの項目においても良好な材料特性を示し、特に光沢値は極めて低く、これらのような樹脂組成物は工業的価値が極めて高い。
(3)比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)を含まないため、流動性および耐候性は良好であったが、シャルピー衝撃強度が著しく低く、このような樹脂組成物は工業的利用価値が低い。
(4)比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、架橋硬質重合体(B)を含まないため、シャルピー衝撃強度、流動性、耐候性そして成形温度190℃における艶消し性は比較的良好なものの、成形温度250℃での艶消し性が不十分であり、このように成形温度によって艶消し外観が変化する樹脂組成物は工業的利用価値が低い。
(5)比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、酸基含有共重合体ラテックス(K)を適用しない(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)を含むグラフト共重合体(a−7)を用いたために、成形温度190℃および250℃のいずれの条件においても艶消し性が得られていない。このような樹脂組成物は工業的利用価値が低い。
(6)比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、架橋硬質重合体(B)を多く含むため、艶消し性は良好であるものの、シャルピー衝撃強度と流動性が低い。このような樹脂組成物は工業的利用価値が低い。
(7)比較例5の熱可塑性樹脂組成物は、架橋していない硬質重合体(b−10)を用いたために、成形温度250℃での光沢度が高く、このような樹脂組成物は工業的利用価値が低い。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形時の流動性に優れ、良好な艶消し外観を有する成形品を得ることができる成形温度範囲が広く、かつ耐衝撃性、耐候性に優れる成形品を得ることができる。これらのバランスは従来の熱可塑性樹脂組成物では得られない非常に高いレベルであり、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、車両部品、特に無塗装で使用される各種外装・内装部品、壁材、窓枠等の建材部品、食器、玩具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電部品、インテリア部材、船舶部材、通信機器ハウジング、ノートパソコンハウジング、PDAハウジング、液晶プロジェクターハウジング等の電機機器ハウジングなどの成形品、特にシートまたは異形押出し成形品に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸基含有共重合体ラテックス(K)により肥大化処理された(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)に、ビニル系単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)1質量部〜99.9質量部と、
架橋硬質重合体(B)0.1質量部〜50質量部と、
他の熱可塑性樹脂(C)0〜80質量部と
を含有すること[グラフト共重合体(A)、架橋硬質重合体(B)、および他の熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部]を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)が、グラフト交叉剤に由来する構成単位および架橋剤に由来する構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記グラフト交叉剤に由来する構成単位が、アリル化合物に由来する構成単位であり、前記架橋剤に由来する構成単位が、ジ(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構成単位であることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が、300nm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記架橋硬質重合体(B)が、モノビニル系単量体単位と、2個以上のビニル基を有する単量体単位とから構成されるものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記2個以上のビニル基を有する単量体単位が、アリル化合物に由来する構成単位、またはジメタクリレート系化合物に由来する構成単位であることを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記架橋硬質重合体(B)には水酸基が含まれていないことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記架橋硬質重合体(B)の形状が、粒子状であり、かつ質量平均粒子径が1μm〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記他の熱可塑性樹脂(C)が、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を押出し成形してなるシートまたは異形押出し成形品。

【公開番号】特開2006−16524(P2006−16524A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196661(P2004−196661)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】