説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】表面外観性と線膨張係数のバランスに優れ、且つ成形品表面のバフ掛け後の塗膜密着性、および塗装鮮鋭性等の塗装性および面衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る事を目的とする。
【解決手段】(A)芳香族ビニル系重合体50〜92質量部、(B)溶融状態からの等温結晶化時間25〜100secの芳香族ポリエステル5〜30質量部、(C)芳香族ポリカーボネート3〜20質量部、および(D)無機充填材5〜30質量部からなる熱可塑性樹脂組成物であって(但し、(A)+(B)+(C)=100重量部)、(B)芳香族ポリエステルと(C)芳香族ポリカーボネートの配合割合が(B)≧(C)であり、且つ(B)芳香族ポリエステルと(D)無機充填材の配合割合が(B)≧(D)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面外観性と線膨張係数のバランスに優れ、且つ成形品のバフ研磨後の塗膜密着性、塗装鮮鋭性等の塗装性および面衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂は、成形特性、機械的特性等に優れることから、自動車分野、電気・電子分野、OA・家電分野、住設分野等で幅広く用いられている。一方、自動車分野を中心に環境温度の変化が生じても成形品の膨張・収縮を少なくするために低線膨張係数の樹脂が求められている。樹脂を低線膨張にするためには、線膨張係数の小さい無機充填材などを配合することが従来から行われている。しかしながら、ABS樹脂に無機充填材を配合すると表面外観性や耐薬品性が低下することから塗装性などが低下する。そこでABS樹脂に熱可塑性ポリエステルを配合することで無機充填材を含有しても表面外観性に優れることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この方法のように、ABS樹脂と熱可塑性ポリエステルに特定の無機充填材を配合することでガラス繊維や炭素繊維等の無機充填材が含有されたABS樹脂に比べ表面外観性に優れることがわかる。一方で自動車分野の外装製品等では、塗装を施すためベースとなる成形品の表面外観性が重要であり、さらなる表面外観性の向上が望まれている。
【特許文献1】特開2004−35812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、表面外観性と線膨張係数のバランスに優れ、且つ成形品表面のバフ掛け後の塗膜密着性、塗装鮮鋭性等の塗装性および面衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、スチレン系樹脂に特定のポリエステルを配合し、ポリカーボネートおよび無機充填材をポリエステルに対して特定範囲で配合することで、塗装性、面衝撃性および表面外観性と線膨張係数のバランスに優れることを突き止め、本発明を完成するにいたった。
すなわち本発明は、(A)芳香族ビニル系重合体50〜92質量部、(B)溶融状態からの等温結晶化時間25〜100secの芳香族ポリエステル5〜30質量部、(C)芳香族ポリカーボネート3〜20質量部および(D)無機充填材5〜30質量部からなる樹脂組成物であって、(B)芳香族ポリエステルと(C)芳香族ポリカーボネートの配合割合が(B)≧(C)であり、且つ(B)芳香族ポリエステルと(D)無機充填材の配合割合が(B)≧(D)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、表面外観性と線膨張係数のバランスに優れ、且つ成形品表面のバフ掛け後の塗膜密着性、塗装鮮鋭性等の塗装性および面衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する事が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で用いられる(A)芳香族ビニル系重合体は、芳香族ビニル単量体を重合することによって得ることができ、必要に応じて共重合可能な他の単量体を共重合することができる。
芳香族ビニル単量体には特に制限はなく、具体例としてはスチレンをはじめ、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、なかでもスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
【0008】
共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系単量体、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸などが挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。これらの中でもアクリロニトリル、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、N−フェニルマレイミドが好ましい。
これらのうちアクリロニトリル、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、N−フェニルマレイミド、スチレン、およびα−メチルスチレンが好ましく用いられる。具体的には、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブチルアクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・メチルメタクリレート・スチレン共重合体、アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・スチレン共重合体、およびアクリロニトリル・αメチルスチレン共重合体が好ましい。
【0009】
一般に(A)芳香族ビニル系重合体は、乳化重合、塊状重合あるいは塊状・懸濁重合により製造されるがこれらに限定されるものではない。
(A)芳香族ビニル系重合体には、ゴム状重合体を含むゴム強化系共重合体が含まれることが好ましい。ゴム状重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが使用できる。これらゴム状重合体の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム状重合体のうちでは、ジエン系ゴム、アクリル系ゴムが好ましく用いられる。
【0010】
ゴム状重合体の質量平均粒子径は、0.1〜0.5μmが好ましい。質量平均粒子径は耐衝撃性改良効果の観点から0.1μm以上が好ましく成形品の外観性の低下を招くことから0.5μm以下が好ましい。ゴム状重合体の量は、生産性、流動性の低下から本発明の熱可塑性樹脂組成物中に40質量%以下が好ましく、面衝撃性の低下から5質量%以上が好ましい。更に7〜30質量%が好ましい。
ゴム状重合体には、芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフトすることができる。単量体混合物としては、不飽和ニトリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、アクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物等のうち1種または2種以上が用いられ、これらのうち不飽和ニトリル系単量体としてアクリロニトリル、芳香族ビニル系単量体としてスチレンの混合物をグラフトしたゴム強化系共重合体、およびアクリロニトリル、スチレン、ブチルアクリレートの混合物をグラフトしたゴム強化系共重合体が好ましい。
【0011】
(A)芳香族ビニル系重合体は、アセトン可溶成分中のアクリロニトリルの配合割合が32〜50質量%であることが好ましい。塗装性の向上から32質量%以上であり、熱安定性の低下から50質量%以下である。更に37〜42質量%が好ましい。
アセトン可溶成分は、試料1gにアセトン20mlを加え、振とう機にて可溶成分が完全に溶解するまで振とうした後、この溶液を20000rpmで40分間遠心分離し、可溶成分のみ濾別し、80℃で4時間乾燥しアセトンを除き、さらに100℃で1時間減圧乾燥することにより得られる。可溶成分のIRを測定することでアクリロニトリルの配合割合を求めることができる。
【0012】
本発明で用いられる(B)芳香族ポリエステル自体は公知のものを用いることができる。芳香族ポリエステルの製造は、テレフタル酸、そのエステル又は他のエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール又は1,2−エタンジオールとの反応によって公知の方法で行うことができる。
(B)芳香族ポリエステルは、他の共重合成分を含有してもよい。そのような共重合成分としては、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール-Aのエチレンオキシド付加物、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、等のエステル形成性モノマーが挙げられる。これらのモノマーは天然物質から誘導されたものでも構わない。共重合する場合の共重合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常酸成分の30モル%以下、あるいはグリコール成分の30モル%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明で用いられる(B)芳香族ポリエステルは、溶融状態からの等温結晶化時間が25〜100secであることが必要である。表面外観性の向上から25sec以上であり、成形性の低下から100secである。更に好ましくは、35〜60secである。
等温結晶化時間は示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。試料5mgを、示差走査熱量測定器を用いて、30℃から100℃/minの昇温速度にて270℃まで加熱し溶解させる。3分間保持した後、500℃/minの設定降温速度にて140℃まで急冷し、等温結晶化時間を測定する。ここで等温結晶化時間とは、270℃、3分保持後から140℃における結晶化ピークが現われるまでの時間と定義する。従って、等温結晶化時間が短いほど結晶化が速いと判断することができる。
【0014】
等温結晶化時間は、芳香族ポリエステルを2種以上併用することで制御することができる。具体的には、結晶化速度の比較的速いポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)に結晶化速度が比較的遅いポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)等と併用し、等温結晶化時間を制御することができる。しかし2種以上の芳香族ポリエステルを併用する場合には、エステル交換が進行し結晶化度が低下する場合があるため、結晶化速度が25〜100secのポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略す)を単独あるいはPTTを50質量%以上含む芳香族ポリエステルの併用が好ましい。
PTTとは、酸成分としてテレフタル酸を用い、グリコール成分としてトリメチレングリコールを用いたポリエステルポリマーを示している。ここで、トリメチレングリコールとは、1,3−プロパンジオールである。
【0015】
この他に、本発明の目的を損なわない範囲で、酸成分として、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε―オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸を用い、グリコール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ハイドロキノン等を一部用いて共重合することができる。
【0016】
共重合する場合の共重合成分の量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常、全酸成分の20モル%以下、あるいは全グリコール成分の20モル%以下であることが好ましい。
また、上述のポリエステル成分に分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の、三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸、またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールを共重合してもよく、その場合、これらの分岐成分の量は全酸成分、または全グリコール成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
【0017】
PTTの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開昭51−140992号公報、特開平5−262862号公報、特開平8−311177号公報等に記載されている方法に従って得ることができる。
例えば、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。
重合方法についても、特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、及びこれらを組み合わせた方法を利用することができる。
【0018】
本発明に用いられるPTTの極限粘度[η]は0.60dl/g〜1.50dl/gであることが組成物の機械特性、成形性、特に靭性面から好ましく、[η]が0.68dl/g〜1.40dl/gであることがより好ましい。さらに組成物の成形性、耐薬品性の観点から[η]が0.75dl/g〜1.30dl/gであることが最も好ましい。
PTTの極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o-クロロフェノール中にPTTを含む樹脂組成物を、溶質(PTT樹脂成分)/溶液=1.00g/dlになるように溶解させ、不溶分(無機充填材等)をフィルターで除去した後、不溶分除去後の溶液を用いて比粘度ηspを測定し、下記式により求めることができる。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
【0019】
本発明においては、結晶化速度を比較的速くする目的で、(B)芳香族ポリエステルに結晶核剤を配合してもよい。この様な結晶核剤としては、芳香族ポリエステルに一般的に用いられている公知の化合物が用いられる。例えば、タルク、マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル塩、炭酸塩、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用される。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩は、より好ましく用いられる。
CH(CHCOO(M) (1)
(式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
結晶核剤の添加量は、芳香族ポリエステルの等温結晶化時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適宜選択する。
【0020】
本発明に用いられる(C)芳香族ポリカーボネート(以下PCと略す)は、下記式(1)で表される繰り返し単位からなる主鎖を有するものである。
−(O−Ar−O−CO)− ・・・ 式(1)
(式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、下記式(2)で表される基が挙げられる。)
−Ar−Y−Ar− ・・・ 式(2)
(式中、Ar及びArはそれぞれアリーレン基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表す。Yはアルキレン基または置換アルキレン基である。)
また、下記式(3)で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有している場合も含む。
−Ar−Z−Ar− ・・・ 式(3)
(式中Ar、Arは式(2)と同じ。Zは単なる結合または−O−、−CO−、−S−、−SO−、−CO−、−CONR−等の二価の基である。ただし、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。)
これら二価の芳香族残基の具体例としては下記式(4)で表されるもの等が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各Rはそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
これら二価の芳香族残基の中でも、下記式(5)で表される基が好ましい一例である。
【0023】
【化2】

【0024】
特に、上記の式(5)で表される基をArとする繰り返し単位を85モル%以上(ポリカーボネート中の全モノマー単位を基準として)含むポリカーボネートが特に好ましい。
また、本発明に用いることができるポリカーボネートは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有している場合も含む。
ポリマー末端の分子構造は特に限定されないが、フェノール性水酸基、アリールカーボネート基、アルキルカーボネート基から選ばれた1種以上の末端基を結合することができる。これらの中で、フェノール性水酸基、フェニルカーボネート基、p−t−ブチルフェニルカーボネート基、p−クミルフェニルカーボネート等が末端構造として好ましい。
【0025】
フェノール性水酸基末端の全末端基数に対する割合は、特に限定されないが、よりすぐれた色調や機械的物性を得る観点からは、フェノール性水酸基末端の割合が全末端基数の20%以上であることが好ましく、20〜80%の範囲にあることが更に好ましい。フェノール性水酸基末端の割合が全末端基数の80%を超えると、組成物の溶融時の熱安定性が若干低下する傾向にある。フェノール性水酸基末端の割合は、一般にNMRを用いて測定する方法(NMR法)や、チタンを用いて測定する方法(チタン法)や、UVもしくはIRを用いて測定する方法(UV法もしくはIR法)で求めることができる。
【0026】
(C)芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、一般に耐衝撃性の観点から5、000以上、また熱可塑性樹脂組成物の溶融流動性の観点から200、000以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10、000〜60、000であり、さらに好ましくは15、000〜40、000であり、特に好ましくは18、000〜30、000である。
重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
PC=0.3591MPS1.0388
(式中、MPCはポリカーボネートの重量平均分子量、MPSはポリスチレンの重量平均分子量である。)
【0027】
(C)芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものを使用することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と反応せしめる公知の方法で製造することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法〔特開平1−158033号公報(米国特許第4,948,871号明細書に対応)、特開平1−271426号公報、特開平3−68627号公報(米国特許第5,204,377号明細書に対応)〕等の方法により製造されたものが用いられる。好ましいポリカーボネート樹脂としては、2価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まないポリカーボネート樹脂があげられる。本発明では異なる構造や分子量の2種以上の異なるポリカーボネートを組み合わせて使用することも可能である。
【0028】
本発明に用いられる(D)無機充填材は、繊維状、粉粒状、板状の無機充填材からなる群から選ばれる一種以上の無機充填材である。繊維状無機充填材としては、ウォラストナイト、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などがあげられる。粉粒状無機充填材としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土のごとき硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。
板状無機充填材としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。これらのうちタルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ガラスビーズ、酸化チタン、およびクレーが好ましく、タルクが含まれる2種類以上の無機充填材が配合されることが更に好ましい。
【0029】
(D)無機充填材の平均粒径は、特に制限はないが、面衝撃性の低下から15μm以下が好ましく、更に7μm以下が好ましい。ここで言う平均粒径とは、質量平均粒径を示す。粒径分布の測定は、特に制限はないが、遠心沈降法により測定する方法や電子顕微鏡で確認する方法が好ましい。
(D)無機充填材のアスペクト比については、特に制限はないが、面衝撃性の低下から50以下が好ましく、更に20以下が好ましい。ここで言うアスペクト比とは、無機充填材の長径と短径の比(長径/短径)の平均値を示す。アスペクト比の測定は、特に制限はないが、顕微鏡で充填材の長径、短径を測定する方法が好ましい。
(D)無機充填材は、特に表面処理したものが好ましく用いられる。表面処理としては、カップリング剤や樹脂ワックスを用いて行うが、カップリング剤としてはエポキシ系カップリング剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられる。樹脂ワックスとしては、オレフィン系ワックス、酸変性オレフィン系ワックスが挙げられる。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の配合割合は、(A)芳香族ビニル系重合体50〜92質量部、(B)芳香族ポリエステル5〜30質量部、(C)芳香族ポリカーボネート3〜20質量部であり、(A)+(B)+(C)=100質量部に対して、(D)無機充填材が5〜30質量であることが必要である。さらに表面外観性の低下から(B)芳香族ポリエステルと(C)芳香族カーボネートの配合割合は(B)≧(C)であり、(B)芳香族ポリエステルと(D)無機充填材の配合割合は(B)≧(D)であることが必要である。
(A)芳香族ビニル系重合体は、物性バランスの低下から(A)は50質量部以上であり、線膨張係数の点から92質量部以下である。好ましくは55〜85質量部であり、更に65〜85質量部が好ましい。
【0031】
(B)芳香族ポリエステルは、表面外観性の向上から5質量部以上であり、面衝撃性の低下から30質量部以下である。好ましくは10〜25質量部であり、更に10〜20質量部が好ましい。
(C)芳香族ポリカーボネートは、面衝撃性の向上から3質量部以上であり、流動性の低下から20質量部以下である。好ましくは5〜20質量部であり、更に5〜15質量部が好ましい。
(D)無機充填材は、線膨張係数の向上から5質量部以上であり、面衝撃性の低下から25質量部以下である。好ましくは7〜25質量部であり、更に10〜20質量部が好ましい。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の特性向上を目的として熱可塑性樹脂組成物一般に用いられる種々の添加剤を配合することができる。この様な添加剤としては、例えば難燃性を改良する目的でハロゲン化ポリカーボネートオリゴマー(例えば臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー)、ハロゲン化エポキシ化合物等の如きハロゲン含有化合物;赤リン、燐化合物、ホスホン酸アミドの如きリン―窒素化合物など;難燃助剤(例えば三酸化アンチモン)等が挙げられる。その他ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料、染料などの着色剤などの添加剤を含有してもよい。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分を配合・混合し、混練することにより得られる。各種成分を混合するのに使用される機器としては、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等が挙げられる。また、混練するのに使用される装置としては、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、二軸ローター付の連続混練機、多軸スクリュー押出機、オープンローラ、バンバリーミキサー等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法によって、成形することができる。射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形などの成形方法により成形されるが、なかでも射出成形に好適に用いられる。射出成形にはインサート成形、ガスアシスト射出成形、射出圧縮成形等の応用技術があり好適に用いられる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品の表面外観性は、一般的な光沢計を用い光沢度測定方法(JIS Z8741)に準拠して測定された数値が、自動車の外装製品などでは90%以上であることが好ましく、更に93%以上であることが好ましい。 塗装の鮮鋭性から90%以上が好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品の線膨張係数は、ASTM D696に準拠し−30〜80℃の範囲で成形品の流れ方向を測定した数値が、8×10−5/℃以下であることが好ましく、更に6.5×10−5/℃以下であることが好ましい。製品の寸法変化から8×10−5/℃以下が好ましい。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に制限なく各分野の製品に用いることができるが、特に表面外観性と線膨張係数が要求される製品に用いられることが好ましい。分野としては、自動車分野、電気・電子分野、OA・家電分野、住設分野等が挙げられ、特に自動車分野、OA・家電分野に用いられることが好ましい。
具体的な製品例としては、リアガーニッシュ、フロントガーニッシュ、サイドガーニッシュ、アウタードアハンドル、バックドアモジュール、フェンダー、ボンネット、ルーフレール、ルーフレールステイ、ドアミラー、ライセンスボード、バンパー、およびサイドモールなどの自動車外装製品、ドライヤーノズル、掃除機ノズル、エアコン噴出しフラップ、冷蔵庫部品、洗濯機部品、時計部品、テレビ部品、ゲーム機部品、プリンタ部品、FAX部品、電話機、およびパソコン部品などのOA・家電製品、および浴室部品、キッチン部品、トイレ部品、内装装飾部品、サッシ回り部品、雨樋部品、外および内壁部品などの住設製品が好ましい。
【実施例】
【0036】
下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、以下の例に限定されるものではない。
<(A)芳香族ビニル系重合体>
(A−1)アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%からなり、還元粘度0.58のAS樹脂
(A−2)アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%からなり、還元粘度0.47のAS樹脂
(A−3)アクリロニトリル30質量%、スチレン70質量%からなり、還元粘度0.65のAS樹脂
(A−4)ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質量平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル13.5質量%、スチレン36.5質量%、グラフト率47%、還元粘度0.33のABS樹脂
(A−5)ブタジエン系ゴム50質量%、ゴム質量平均粒子径0.3μm、アクリロニトリル20質量%、スチレン30質量%、グラフト率40%、還元粘度0.39のABS樹脂
【0037】
<(B)芳香族ポリエステル>
(B−1)ポリプラスチック株式会社製 ジュネラックス 2002(商標名)(等温結晶化時間20secのPBT)
(B−2)シェルケミカルジャパン株式会社製 CORTERRA 9200(商標名)(等温結晶化時間50sec、数平均分子量9800、極限粘度1.05dl/gのPTT)
(B−3)ユニチカ株式会社製 NEH−2050(商標名)(PET)
【0038】
<(C)芳香族ポリカーボネート>
(C−1)旭美化成有限公司製 ワンダーライト PC110(商標名)(温度300℃、荷重1.2kgのメルトインデックス10g/10minのPC)
【0039】
<(D)充填材>
(D−1)松村産業株式会社製 クラウンタルクPP(商標名)(表面未処理、平均粒径8μm、アスペクト比2.5のタルク)
(D−2)松村産業株式会社製 ハイフィラー#15(商標名)(表面未処理、平均粒径5μm、アスペクト比2のタルク)
(D−3)松村産業株式会社製 ハイフィラー#5000PJ(商標名)(表面未処理、平均粒径3μm、アスペクト比2のタルク)
【0040】
ここで言うグラフト率とは、ゴム状重合体にグラフト共重合した成分の、ゴム状重合体に対する重量割合として定義される。重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム状重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。
還元粘度とは、熱可塑性樹脂組成物をアセトンに溶解し、これを遠心分離機によりアセトン可溶分、及びアセトン不溶分に分離する。熱可塑性樹脂組成物におけるゴム状重合体にグラフトしていない成分(非グラフト成分)の還元粘度は、アセトン可溶分0.25gを2−ブタノン50mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
【0041】
2.成形品の作成および評価方法
実施例、比較例中の評価、各種測定は以下の通りである。
表1、表2に示された配合割合で全ての成分をドライブレンドし、株式会社池貝製PCM45二軸押出機(L/D=28.9)を用いて250℃で溶融混練を行った。
成形品は、射出成形機を用いて作成した。株式会社日本製鋼所製J−100EPI射出成形機を用いシリンダ設定温度250℃、金型温度60℃にてISO規格のダンベル試験片を作成し、シャルピー衝撃値、線膨張係数の評価を行った。また、東芝機械株式会社製EC60N射出成形機を用いシリンダ設定温度250℃、金型温度80℃にて50mm×90mm×2.5mmのプレートを作成し、表面外観性、塗装性、面衝撃性の評価を行った。
【0042】
1)アクリロニトリル含有量:(A)芳香族ビニル系重合体中のアクリロニトリル含有量のことであり、配合組成比から計算することができる。配合組成比がわからない場合には、フーリエ変換赤外分光光度計(以下、FT−IRと略す)により検出することもできる。
ここでは配合組成比から計算した。
2)等温化結晶化時間:示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。具体的には試料5mgを、示差走査熱量測定器を用いて、30℃から100℃/minの昇温速度にて270℃まで加熱し溶解させる。3分間保持した後、500℃/minの設定降温速度にて140℃まで急冷し、等温結晶化時間を測定する。ここで等温結晶化時間とは、270℃、3分保持後から140℃における結晶化ピークが現われるまでの時間と定義する。
【0043】
3)樹脂中のゴム重合体含有量:(A)芳香族ビニル系重合体+(B)芳香族ポリエステル+(C)芳香族ポリカーボネートからなる樹脂組成物中の(A)芳香族ビニル系重合体中に含まれるゴム状重合体の含有量であり、配合組成比から計算することができる。配合組成比がわからない場合にはFT−IRにより検出することもできる。ここでは配合組成比から計算した。
4)表面外観性:プレート表面を光沢計にて測定した。
5)線膨張係数:ダンベル試験片中央部の流れ方向の線膨張係数を測定した。
6)面衝撃性:23℃の環境下において、先端R6の500g荷重をプレート上に落下させ、亀裂が発生する高さと荷重から算出した。
【0044】
7)シャルピー衝撃値:23℃の環境下において、ダンベル試験より加工された試験片で測定したシャルピー衝撃値を測定した。
8)塗装鮮鋭性:プレート表面を鏡面研磨用のスポンジバフにて研磨した後にアクリルウレタン系2液硬化型塗料をプレート表面に塗装した後、表面にシワや凹凸などなく、鮮鋭性が高い場合を○、シワや凹凸が見られ鮮鋭性が低い場合を×とした。
9)塗膜密着性:8)塗装鮮鋭性で用いられた塗装プレートで2mm間隔(100マス)の碁盤目剥離試験を行い密着性90%以上の場合を◎、80%以上の場合を○、80%未満の場合を×とした。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の樹脂組成物は、表面外観性と線膨張係数のバランスに優れ、且つ成形品表面のバフ掛け後の塗膜密着性、および塗装鮮鋭性等の塗装性、および面衝撃性に優れるため、自動車分野、家電・OAを中心とした幅広い外装製品への展開を可能にすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)芳香族ビニル系重合体50〜92質量部、(B)溶融状態からの等温結晶化時間25〜100secの芳香族ポリエステル5〜30質量部、(C)芳香族ポリカーボネート3〜20質量部および(D)無機充填材5〜30質量部からなる樹脂組成物であって(但し、(A)+(B)+(C)=100質量部)、(B)芳香族ポリエステルと(C)芳香族ポリカーボネートの配合割合が(B)≧(C)であり、且つ(B)芳香族ポリエステルと(D)無機充填材の配合割合が(B)≧(D)であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
(B)芳香族ポリエステルがポリトリメチレンテレフタレート単独もしくはポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含むポリエステル混合物であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)芳香族ビニル系重合体がゴム状重合体を含むゴム強化ビニル系共重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)芳香族ビニル系重合体がアクリロニトリル・スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
(A)芳香族ビニル系重合体に含まれるアクリロニトリルの配合割合が、32〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
(D)無機充填材に少なくともタルクが含まれることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
(D)無機充填材の平均粒径が7μm以下であることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−215449(P2009−215449A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61260(P2008−61260)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】