説明

熱可塑性樹脂組成物

【課題】 帯電防止剤の使用量が多くても、成形不良を起こしにくく、かつ、成形品の樹脂強度が低下しにくい熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記(A)〜(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、重量比(C)/(D)が0.02〜30であり、かつ、重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]が0.00001〜0.03である熱可塑性樹脂組成物。
(A):エステル結合を有する熱可塑性樹脂
(B):ポリオレフィン(b1)のブロック及びポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)のブロックが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合した構造を有するブロックポリマー
(C):酸性リン酸エステル
(D):帯電防止性向上剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、酸性リン酸エステル及び帯電防止性向上剤を特定の含有量で含有する熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エステル結合を有する熱可塑性樹脂に永久帯電防止性を付与する方法としては、帯電防止剤としてポリエーテルエステルアミドを添加する方法が知られているが、この方法はポリエーテルエステルアミドとエステル結合を有する熱可塑性樹脂の相互作用のために、熱可塑性樹脂およびポリエーテルエステルアミドの低分子量化を起こし易く、樹脂強度が低下する、成形不良を起こす等の問題がある。その対応策としては、エステル結合を有する熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂の場合には、ポリエーテルエステルアミド以外に、例えばフォスファイト化合物及び/又はフェノール系化合物を配合、添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−43787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の方法であっても、帯電防止性をより向上させる目的で帯電防止剤の使用量を増加させた場合は、樹脂強度が低下する、成形不良を起こす等の問題が発生し、帯電防止剤使用量が多い場合は充分な効果は得られていない。本発明の目的は、帯電防止剤の使用量が多くても、成形不良を起こしにくく、かつ、成形品の樹脂強度が低下しにくい熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記(A)〜(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、重量比(C)/(D)が0.02〜30であり、かつ、重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]が0.00001〜0.03である熱可塑性樹脂組成物;該組成物を成形してなる成形品;並びに、該成形品に塗装及び/又は印刷を施してなる成形物品である。
(A):エステル結合を有する熱可塑性樹脂
(B):ポリオレフィン(b1)のブロック及びポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)のブロックが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合した構造を有するブロックポリマー
(C):酸性リン酸エステル
(D):帯電防止性向上剤
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱可塑性樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形品は下記の効果を奏する。
(1)熱可塑性樹脂組成物は、成形性に優れる。
(2)該組成物を成形してなる成形品は、帯電防止性に優れ、かつ機械的強度に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においてエステル結合を有する熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂(A1)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A2)、ポリカーボネート樹脂(A3)及びエステル基含有ビニル(共)重合体(A4)等があげられ、これらの2種以上の併用であってもよい。
【0008】
(A1)には、縮合ポリエステル及びポリラクトンが挙げられる。縮合ポリエステルとしては、例えばジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体成分とジオール成分(これらのうちポリオキシアルキレンジオールの重合度は1〜10)の縮合物並びにヒドロキシカルボン酸の縮合物が挙げられる。
【0009】
ジカルボン酸としては、例えば炭素数2〜48のジカルボン酸が使用でき、これには、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸等が含まれる。
【0010】
脂肪族ジカルボン酸としては、飽和脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β−メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジ酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、オクタデカンジ酸及びイコサンジ酸等、並びに不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸等が挙げられる。
【0011】
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、テトラブロムフタル酸、メチルイソフタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
【0012】
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,2−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等が挙げられる。その他、ダイマー酸[脂肪酸(炭素数8〜24、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸)の二量体]も使用できる。
【0013】
エステル形成誘導体には、ジカルボン酸のエステル、酸無水物及び酸ハライドが含まれる。例えば炭酸若しくは上記ジカルボン酸のジアルキル(炭素数1〜4)エステル(ジメチルエステル、ジエチルエステル及びジブチルエステル)及びジフェニルエステル等並びに酸無水物(無水フタル酸等)が挙げられる。
【0014】
ジオールとしては、グリコール及びポリオキシアルキレンジオール、2価フェノールが使用できる。
【0015】
グリコールとしては、炭素数2〜20の脂肪族グリコール、炭素数5〜12の脂環式グリコール及び炭素数8〜26の芳香脂肪族グリコール等が使用できる。
【0016】
脂肪族グリコールとしては、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオール;並びにジ(チオ)アルキレングリコール、例えば、ジエチレングリコール及びチオジエチレングリコール等が挙げられる。
【0017】
脂環式グリコールとしては、シクロアルキレングリコール、例えば1−ヒドロキシメチル−1−シクロブタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1−メチル−3,4−シクロヘキサンジオール、2−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びビシクロアルキレングリコール、例えば1,1’−ジヒドロキシ−1,1’−ジシクロヘキシルメタン等が挙げられる。
【0018】
芳香脂肪族グリコールとしては、例えば1,4−ジヒドロキシメチルベンゼン、2−フェニル1,3−プロパンジオール、2−フェニル1,4−ブタンジオール、2−ベンジル1,3−プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコール及びベンゾピナコール等が挙げられる。
【0019】
ポリオキシアルキレンジオールとしては、2個の活性水素原子を含有する化合物、例えばグリコール、アミン、ジカルボン酸又は二価フェノール等にアルキレンオキサイド(以下AOと記す。)が付加した構造の化合物(AO付加モル数;通常2〜10モル)並びにこれらの2種以上の混合物が使用できる。AOとしては、炭素数2〜30( 好ましくは2〜4)のAO、例えばエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、2,3−及び1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、スチレンオキサイド、炭素数5〜30のα−オレフィンオキサイド並びにエピクロルヒドリン等が挙げられる。AOは、単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型又は活性セカンダリ―型等)、ランダム付加又はこれらの混合系でもよい。
【0020】
二価フェノールとしては、炭素数6〜30のフェノールが使用できる。具体的には単環二価フェノール、例えばカテコール、レゾルシノール及びハイドロキノン;縮合環二価フェノール、例えばジヒドロキシナフタレン;ビスフェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル及びジヒドロキシジフェニルチオエーテル;及びビナフトール;並びにこれらのアルキル(炭素数1〜10)又はハロゲン(塩素及び臭素など)置換体(例えば臭素化ビスフェノールA)等が挙げられる。
【0021】
AOを付加させるグリコール、二価フェノール及びジカルボン酸としては、それぞれ上記で例示したものが使用できる。
【0022】
ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数2〜20のヒドロキシカルボン酸が使用でき、例えばヒドロキシ酢酸、乳酸、ω−ヒドロキシカプロン酸、ω−ヒドロキシエナント酸、ω−ヒドロキシカプリル酸、ω−ヒドロキシペルゴン酸、ω−ヒドロキシカプリン酸、11−ヒドロキシウンデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸及び20−ヒドロキシエイコサン酸等が挙げられる。
【0023】
ポリラクトンとしては、上述のジオールまたはジカルボン酸を開始剤としたラクトンの開環重合物が挙げられる。
【0024】
ラクトンとしては、炭素数4〜20のラクトンが使用でき、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ピメロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−デカノラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン、ウンデカノラクトン及びエイコサノラクトン等が挙げられる。さらに、これらの(A1)には、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価または4価カルボン酸および/またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の多価(3または4価)アルコールを熱可塑性を阻害しない範囲で少量、例えば1モル%以下より好ましくは0.5モル%を共重合させてもよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサメチレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール/エチレングリコール/テレフタル酸共重合物、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリ乳酸等が挙げられる。上記の中で好ましいものはポリブチレンテレフタレート及びシクロヘキサンジメタノール/エチレングリコール/テレフタル酸共重合物である。
【0025】
(A2)としては、例えば、有機ジイソシアネートと、ポリエステルジオール[分子量500〜5000又はそれ以上のポリエステルジオール、このジオール中でビニルモノマー(例えばアクリロニトリル及びスチレン)を重合させて得られるポリマーポリオール等]、鎖伸長剤(ジオール、例えば1,4−ブチレングリコール及び/又はジアミン、例えばエチレンジアミン)及び必要により反応停止剤(一価アルコール、一級若しくは二級モノアミン又はモノ−若しくはジ−アルカノールアミン)を、ワンショット法又はプレポリマー法により、反応させて得られるポリウレタンが挙げられる。有機ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。具体例としては国際公開WO00/47652号明細書に記載されたものが挙げられる。
【0026】
ポリエステルジオールには、ジオール(低分子ジオール及び/又は分子量1,000以下のポリオキシアルキレンジオール)及びジカルボン酸(若しくはそのエステル形成性誘導体)若しくはジカルボン酸無水物とを反応させて(必要によりさらにアルキレンオキサイドとを反応させて)得られる縮合ポリエステルジオ―ル、上述のジオールを開始剤として上述のラクトンを開環重合させて得られるポリラクトンジオ―ル、並びに低分子ジオールと低級アルコール(炭素数1〜4)の炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオールなどが含まれる。低分子ジオールとしては上述のグリコールが挙げられる。ポリオキシアルキレンジオールとしては上述のものが挙げられる。ジカルボン酸とラクトンとしては、上記(A1)の原料として挙げたものが使用できる。これらのポリエステルジオールの具体例としては、ポリエチレンアジペ−トジオール、ポリヘキサメチレンアジペ−トジオール、ポリカプロラクトンジオ―ル及びポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。上記の中で好ましいものはアジペート系熱可塑性ポリウレタンである。
【0027】
(A3)にはビスフェノール(C12〜20(以下、Cは炭素数を表す)、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及び4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)系ポリカーボネート、例えば上記ビスフェノールとホスゲン又は炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。
ビスフェノールとしては、C12〜20、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及び4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタンが挙げられ、これらのうち分散性の観点からより好ましいのはビスフェノールAである。
【0028】
(A4)にはエステル基含有ビニルモノマーの(共)重合体、及びエステル基含有ビニルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体が含まれる。エステル基含有ビニルモノマーとしては、カルボキシル基含有ビニルモノマーのエステル及び不飽和アルコールのエステルが挙げられる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーのエステルには、C2〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは4〜15)の不飽和モノ−及びジカルボン酸[クロトン酸、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸]と炭素数1〜50のアルコール[アルカノール、シクロアルカノール、ベンジルアルコール、ジオール(グリコール及びポリオキシアルキレンジオール)、3級アミノ基含有アルコール、例えばジアルキル(炭素数1〜4)アルカノール(炭素数2〜4)アミン、N−ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)モルホリン並びにエポキシ含有アルコール(グリシドール等)]とのエステルが含まれる。
具体的には、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和アルコールのエステルとしては、不飽和アルコール[ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール及びイソプロペニルアルコール等]と炭素数2〜18のカルボン酸[モノカルボン酸、安息香酸及び前述のジカルボン酸等]のエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニル(メタ)アクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等が挙げられる。他のビニルモノマーとしては、ビニル系炭化水素[芳香族ビニル系炭化水素(スチレン及びα−メチルスチレン等)、脂肪族ビニル系炭化水素(エチレン、プロピレン及びブタジエン等)]、含窒素ビニル系モノマー[アミド基含有ビニル系モノマー{(メタ)アクリルアミド等}、ニトリル基含有ビニル系モノマー{(メタ)アクリロニトリル等}、ハロゲン元素含有ビニル系モノマー[塩化ビニル及びクロロプレン等]が挙げられる。
(A4)の具体例としては、ポリメチルメタクリレート、スチレン/メタクリル酸メチル/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体及びエチレン/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0029】
本発明におけるブロックポリマー(B)は、ポリオレフィン(b1)のブロック及びポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合した構造を有する。(B)としては、国際公開WO00/47652号公報明細書に記載されているブロックポリマーが使用できる。(b1)と(b2)の合計重量に基づく(b2)の割合は、(B)の帯電防止性及び耐熱性の観点から、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。(B)を構成する(b1)としては、カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)及びアミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b13)等が使用できる。
【0030】
(b11)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン(b10)の両末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。(b12)としては、(b10)の両末端に水酸基を導入したものが用いられる。(b13)としては、(b10)の両末端にアミノ基を導入したものが用いられる。(b10)は、通常、両末端が変性可能なポリオレフィン、片末端が変性可能なポリオレフィン及び変性可能な末端基を持たないポリオレフィンの混合物であるが、主成分として両末端に変性可能なポリオレフィンが含有していれば使用できる。(b10)の主成分となる両末端が変性可能なポリオレフィンの含量は、(b10)の重量に基づいて、50〜100%が好ましく、さらに好ましくは75〜100%、特に好ましくは80〜100%である。
【0031】
(b10)には、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合(重合又は共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィン(重合法)及び減成されたポリオレフィン[高分子量ポリオレフィン(好ましくはMn50,000〜150,000)を機械的、熱的又は化学的に減成してなるもの](減成法)が含まれる。カルボニル基、水酸基又はアミノ基を導入する変性のしやすさ及び入手のしやすさの観点から好ましいのは、減成されたポリオレフィン、とくに熱減成されたポリオレフィンである。熱減成されたポリオレフィンは特に限定されないが、高分子量ポリオレフィンを不活性ガス中で加熱する(通常300〜450℃で0.5〜10時間)ことにより熱減成されたもの(例えば特開平3−62804号公報記載のもの)が挙げられる。該熱減成によれば後述のとおり一分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる。該熱減成法に用いられる高分子量ポリオレフィンとしては、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合体等が使用できる。C2〜30のオレフィンとしては、後述のポリオレフィン(重合法)製造に用いられるものと同じものが使用でき、これらのうち好ましいのはエチレン、プロピレン及びC4〜12のα−オレフィン、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン及びC4〜10のα−オレフィン、特に好ましいのはエチレン及びプロピレンである。
【0032】
上記ポリオレフィン(重合法)の製造に用いられるC2〜30のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、C4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン及びC4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンが用いられる。α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセン等が挙げられる。ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン及び1,11−ドデカジエン等が挙げられる。これらのうち、エチレン、プロピレン、C4〜12のα−オレフィン、ブタジエン及びイソプレンが好ましく、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、C4〜10のα−オレフィン及びブタジエン、特に好ましいのはエチレン、プロピレン及びブタジエンである。
【0033】
重合法によって得られるポリオレフィンは種々の方法で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、Ziegler触媒又はZiegler−Natta触媒存在下で(共)重合反応させる方法等により容易に得ることができる。ラジカル触媒としては、種々のものが使用でき、例えば有機過酸化物(ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、デカノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びパーオキシジカーボネートエステル等)、アゾ化合物(アゾニトリル、アゾアミジン及びアゾアミド化合物)及びγ−アルミナ担体に酸化モリブデンを付着させたものが挙げられる。
金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロムを付着させたもの等が挙げられる。Ziegler触媒又はZiegler−Natta触媒としては、(C253Al−TiCl4等が挙げられる。
【0034】
(b10)のMnは、好ましくは800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,200〜6,000である。Mnがこの範囲であると帯電防止性がさらに良好になる。(b10)中の二重結合の量は、C1,000個当たり、1〜40個が好ましく、さらに好ましくは2〜30個、特に好ましくは4〜20個である。二重結合の量がこの範囲であると帯電防止性がさらに良好になる。1分子当たりの二重結合の平均数は、1.1〜5.0が好ましく、さらに好ましくは1.3〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5、最も好ましくは1.8〜2.2である。二重結合の平均数がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。熱減成法によると、Mnが800〜6,000の範囲で、一分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる〔村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)〕。
【0035】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)としては、(b10)の末端をα、β不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、そのC1〜4のアルキルエステル又はその無水物を意味する。以下、同様。)で変性した構造を有するポリオレフィン(b11−1)、(b11−1)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(b11―2)、(210)を酸化又はヒドロホルミル化による変性をした構造を有するポリオレフィン(b11−3)、(b11―3)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(b11―4)及びこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
【0036】
(b11−1)は、(b10)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)により変性することにより得ることができる。変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、これらのアルキル(C1〜4)エステル及びこれらの無水物が使用でき、例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。以下同じ。)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、マレイン酸(無水物)、マレイン酸ジメチル、フマル酸、イタコン酸(無水物)、イタコン酸ジエチル及びシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、ジカルボン酸、これらのアルキルエステル及びこれらの無水物、さらに好ましいのはマレイン酸(無水物)及びフマル酸、特に好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
【0037】
変性に使用するα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の量は、ポリオレフィン(b210)の重量に基づき、好ましくは0.5〜40%、さらに好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜20%である。α、β−不飽和カルボン酸(無水物)の量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、フィラー分散性および帯電防止性がさらに良好になる。α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、種々の方法で行うことができ、例えば、(b10)の末端二重結合に、溶液法または溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。(b10)にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)を反応させる温度は、通常170〜230℃である。
【0038】
(b11−2)は、(b11−1)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。二次変性に用いるラクタムとしては、C6〜12(好ましくは6〜8、さらに好ましくは6)のラクタム等が使用でき、例えば、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、C2〜12(好ましくは4〜12、さらに好ましくは6〜12)のアミノカルボン酸等が使用でき、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらのうち、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が好ましく、さらに好ましくはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸、特に好ましくはカプロラクタム、ラウロラクタム及び12−アミノドデカン酸である。二次変性に用いるラクタム又はアミノカルボン酸の量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)のカルボキシル基1個当たり、好ましくは0.1〜50個、さらに好ましくは0.3〜20個、特に好ましくは0.5〜10個、最も好ましくは1〜2個である。この量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、フィラー分散性及び帯電防止性がさらに良好になる。
【0039】
(b11−3)は、(b10)を酸素及び/若しくはオゾンによる酸化法又はオキソ法によるヒドロホルミル化によりカルボニル基を導入することにより得ることができる。酸化法によるカルボニル基の導入は、公知の方法で行うことができ、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。ヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知の方法で行うことができ、例えばMacromolecules、Vol.31、5943頁記載の方法で行うことができる。(b11−4)は、(b11−3)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
ラクタム及びアミノカルボン酸並びにこれらの好ましい範囲は、(b11−2)の製造で使用できるものと同じである。ラクタム及びアミノカルボン酸の使用量も同じである。
【0040】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)のMnは、耐熱性及び後述するポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。また、(b11)の酸価は、(b2)との反応性の観点から、好ましくは4〜280(mgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0041】
水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)としては、(b11)をヒドロキシルアミンで変性したヒドロキシル基を有するポリオレフィン及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。変性に使用できるヒドロキシルアミンとしては、C2〜10(好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4)のヒドロキシルアミン等が挙げられ、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。これらのうち、好ましいのは2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール及び6−アミノヘキサノール、さらに好ましいのは2−アミノエタノール及び4−アミノブタノール、特に好ましいのは2−アミノエタノールである。ヒドロキシルアミンによる変性は、種々の方法で行うことができ、例えば、(b211)とヒドロキシルアミンとを直接反応させることにより行うことができる。反応温度は、通常120℃〜230℃である。
【0042】
変性に用いるヒドロキシルアミンの量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、好ましくは0.1〜2個、さらに好ましくは0.3〜1.5個、特に好ましくは0.5〜1.2個、最も好ましくは1個である。ヒドロキシルアミンの量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。(b12)のMnは、耐熱性及び後述するポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。また、(b12)の水酸基価は、(b2)との反応性の観点から、好ましくは4〜280(mgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0043】
アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b13)としては、(b11)をジアミン(Q1)で変性したアミノ基を有するポリオレフィン及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。この変性に用いるジアミン(Q1)としては、C2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6)のジアミン等が使用でき、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及びデカメチレンジアミン等が挙げられる。これらのうち、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが好ましく、さらに好ましいのはエチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン、特に好ましいのはエチレンジアミンである。ジアミンによる変性は、公知の方法で行うことができ、例えば、(b11)とジアミン(Q1)とを直接反応させることにより行うことができる。反応温度は、通常120℃〜230℃である。
【0044】
変性に用いるジアミンの量は、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、0.1〜2個が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.5個、さらに好ましくは0.5〜1.2個、特に好ましくは1個である。ジアミンの量がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、フィラー分散性および帯電防止性がさらに良好になる。なお、実際の製造に当たっては、ポリアミド(イミド)化を防止するため、α、β不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり、2〜1,000個、さらに好ましくは5〜800個、特に好ましくは10〜500個のジアミンを使用し、未反応の過剰ジアミンを減圧下で(通常120℃〜230℃)除去することが好ましい。
【0045】
(b13)のMnは、耐熱性および後述するポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)との反応性の観点から、800〜25,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,500〜10,000である。また、(b13)のアミン価は、(b2)との反応性の観点から、4〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)が好ましく、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0046】
ブロックポリマー(B)を構成するポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)としては、ポリエーテルジオール(b21)、ポリエーテルジアミン(b22)及びこれらの変性物(b23)が使用できる。(b2)の体積固有抵抗値は、帯電防止性の観点から好ましい上限は1011Ω・cm、さらに好ましくは1010Ω・cm、特に好ましくは109Ω・cm、機械物性の観点から好ましい下限は105Ω・cm、さらに好ましくは106Ω・cm、特に好ましくは107Ω・cmである。また、(b2)のMnは、耐熱性および(b1)との反応性の観点から好ましくは150〜20,000、さらに好ましくは300〜20,000、特に好ましくは1,000〜15,000、最も好ましくは1,200〜8,000である。
【0047】
ポリエーテルジオール(b21)は、ジオール(b20)又は二価フェノールにAOを付加反応させることにより得られる構造のものが使用でき、例えば、一般式:
H−(OA1)m−O−E1−O−(A1O)m'−H
で示されるものが挙げられる。式中、E1はジオール又は二価フェノールから水酸基を除いた残基;A1は、ハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基;m及びm’は、1〜300、好ましくは2〜250、さらに好ましくは8〜150の整数である。また、mとm’とは同一でも異なっていてもよい。m個の(OA1)とm’個の(A1O)とは、同一でも異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロック若しくはランダム又はこれらの組合せのいずれでもよい。
【0048】
これらのジオール(b20)及び二価フェノールのうち、反応性の観点から好ましいのは二価アルコール及び二価フェノール、さらに好ましいのは脂肪族二価アルコール及びビスフェノール、特に好ましいのはエチレングリコール及びビスフェノールAである。
【0049】
ポリエーテルジオール(b21)は、例えば、ジオール(b20)又は二価フェノールにAOを付加反応させることにより製造することができる。AOとしては、C2〜4のAO(EO、PO、1,2−、1,4−、2,3−及び1,3−ブチレンオキサイド並びにこれらの2種以上の混合物)等が用いられるが、必要により他のAO又は置換AOを併用してもよい(本発明においては、これらも含めてAOと総称する。)。他のAO又は置換AOとしては、例えば、C5〜12のα−オレフィンのエポキシ化物、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリン等)が挙げられる。他のAO又は置換AOの量は、全AOの重量に基づいて、30%以下が好ましく、さらに好ましくは0〜25%、特に好ましくは0〜20%である。
【0050】
2種以上のAOを併用するときの結合形式はブロック及び/又はランダムのいずれでもよい。AOとして好ましいのは、EO単独及びEOと他のAOとの併用(ブロック及び/又はランダム付加)、さらに好ましいのはEO、EO/POの併用、特に好ましいのはEO単独である。AOの付加モル数は、(b20)又は二価フェノールの水酸基1個当り、1〜300モルが好ましく、さらに好ましくは2〜250モル、特に好ましくは10〜100モルである。AOの付加モル数がこの範囲であると(b2)の体積固有抵抗値がさらに好ましい範囲になりやすい。
【0051】
AOの付加は、公知の方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行なうことができる。ポリエーテルジオール(b21)中のC2〜4のオキシアルキレン単位の含量は、(b21)の重量に基づいて、5〜99.8%が好ましく、さらに好ましくは8〜99.6%、特に好ましくは10〜98%である。ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量は、ポリオキシアルキレン鎖の重量に基づいて、好ましくは5〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは50〜100%、最も好ましくは60〜100%である。オキシエチレン単位の含量がこの範囲であると(b2)の体積固有抵抗値がさらに好ましい範囲になりやすい。
【0052】
ポリエーテルジアミン(b22)は、(b21)の水酸基をアミノ基に変性した構造のものが使用でき、例えば、一般式:
R”NH−A2−(OA1)m−O−E1−O−(A1O)m'−A2−NHR”
で示されるものが挙げられる。式中の記号E1、A1、m及びm’は(b21)で示した式と同様であり、A2はハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基を表し、A1とA2とは同じでも異なっていてもよい。R”はH又はC1〜4(好ましくは1又は2)のアルキル基を表す。(b22)は、(b21)の水酸基を公知の方法によりアミノ基に変えることにより、容易に得ることができる。水酸基をアミノ基に変える方法としては、種々の方法が使用でき、例えば、(b21)の水酸基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元してアミノ基とする方法[例えば(b21)とアクリロニトリルとを反応させ、得られるシアノエチル化物を水素添加する方法]、(b21)と、アミノカルボン酸又はラクタムとを反応させる方法、及びハロゲン化アミンをアルカリ条件下で反応する方法が挙げられる。
【0053】
(b21)又は(b22)の変性物(b23)としては、例えば、(b21)又は(b22)のイソシアネート変性物(末端イソシアネート基)並びに同じくエポキシ変性物(末端エポキシ基)が挙げられる。イソシアネート変性物は、(b21)又は(b22)と、有機ジイソシアネートとを反応させるか、(b22)とホスゲンとを反応させることにより得ることができる。エポキシ変性物は、(b21)又は(b22)と、ジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシド等のエポキシ樹脂:エポキシ当量85〜600)とを反応させるか、(b21)とエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)とを反応させることにより得ることができる。
【0054】
有機ジイソシアネートとしては、前述のものが挙げられる。有機ジイソシアネートのうち、反応性の観点から好ましいのは芳香族及び脂肪族ジイソシアネート、さらに好ましいのはTDI、MDI及びHDI、特に好ましいのはHDIである。
【0055】
ポリウレタン化反応を促進するために、必要により通常用いられる触媒を使用してもよい。このような触媒としては、金属触媒、アミン触媒及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。
【0056】
本発明における(B)としては、一般式(6)で示されるブロックポリマーが挙げられる。一般式(6)における−(CH(R6)−CH(R7y−はポリオレフィンのセグメントであり、(OA1m−O−E1−O−(A1O)m’はポリオキシアルキレン鎖含有化合物のセグメントである
【0057】
【化6】

【0058】
一般式(6)において、A1、E1、m、m’は前記と同様であり、R6およびR7の一方はHであり他方はH又はC1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基;hは2〜50、(好ましくは3〜40、さらに好ましくは4〜30)の整数;yは15〜800、(好ましくは20〜500、さらに好ましくは30〜400)の整数を表す。X及びX’は、一般式(7)〜(13)で示される基から選ばれる基及び対応する(7’)〜(13’)で示される基から選ばれる基、すなわち、Xが一般式(7)で示される基のとき、X’は一般式(7’)で示される基であり、一般式(8)〜(13)及び(8’)〜(13’)についても同様の関係である。
【0059】
【化7】

【0060】
【化8】

【0061】
一般式(7)〜(13)及び(7’)〜(13’)において、RはC1〜24の1価の炭化水素基であり、具体的には脂肪族、芳香族及び脂環式炭化水素基が挙げられ、A2は前記に同じでありA1とA2とは同じでも異なっていてもよい。R8及びR8'はC2〜3の三価の炭化水素基;R9はC1〜11(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)の2価の炭化水素基;R10はH又はC1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基;R11はC2〜22(好ましくは4〜18、さらに好ましくは6〜12)の炭化水素基;E2は有機ジイソシアネート残基;rは1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)の整数、u及びvは0又は1を表す。また、Q、Q’、T及びT’は次式で示される基である。
【0062】
【化9】

【0063】
但し、R10はH又はC1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基;R12はH又はメチル基;tはR7がメチル基のとき1、Hのとき0又は1である。
一般式(6)で示される繰り返し単位中の{ }内のポリエーテルセグメント{(OA1)m−O−E1−O−(A1O)m'}は、ポリエーテルジオール(b21)により構成される構造であり、式中のE1、A1、m及びm’は前記と同様である。
【0064】
一般式(6)において、Xが一般式(7)で示される基、X’が一般式(7’)で示される基であるブロックポリマー(B1)は、前記のカルボニル基を有するポリオレフィン(b11−1)とポリエーテルジオール(b21)とを反応させることにより得ることができる。一般式(7)および(7’)中のR8およびR8’は、不飽和ジカルボン酸から形成される式
【0065】
【化10】

【0066】
(R’はH又はメチル基;tはR’がHのとき1又は0、R’がメチル基のとき1。)
で示される基であり、例えば、ポリオレフィンのカルボニル変性に、マレイン酸又はフマル酸を用いた場合はR3は−CH2−CH<であり、R3'は>CH−CH2−である。
【0067】
(B1)は、種々の方法で製造でき、例えば、カルボニル基を有するポリオレフィン(b11−1)に、ポリエーテルジオール(b21)を加えて減圧下通常200〜250℃で重合(重縮合)反応を行う方法により製造することができる。一軸または二軸の押出機を用いて、製造することもできる。通常、160〜250℃、滞留時間0.1〜20分で重合する方法により製造することができる。また、上記の重合反応には、種々の触媒を使用することができる。触媒としては、アンチモン触媒(三酸化アンチモン等)、スズ触媒(モノブチルスズオキサイド等)、チタン触媒(テトラブチルチタネート等)、ジルコニウム触媒(テトラブチルジルコネート等)、有機酸金属塩[ジルコニウム有機酸塩(酢酸ジルコニル等)、酢酸亜鉛等]、及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち、好ましいのはジルコニウム触媒及び有機酸金属塩、さらに好ましいのは酢酸ジルコニルである。触媒の使用量は、(b11−1)と(b21)の合計重量に対して、通常0.001〜5%である。
【0068】
一般式(6)において、Xが一般式(8)で示される基、及びX’が一般式(8’)で示される基のブロックポリマー(B2)は、カルボニル基を有するポリオレフィン(b11−1)とポリエーテルジアミン(b22)とを反応させることにより得ることができる。(b11−1)と(b22)との重合反応は、(b11−1)と(b21)との重合反応と同様の方法で行うことができる。
【0069】
一般式(6)において、Xが一般式(9)で示される基、及びX’が一般式(9’)で示される基であるブロックポリマー(B3)は、(b11−2)と(b21)とを反応させることにより得ることができる。(b11−2)と(b21)との重合反応は、(b11−1)と(b21)との重合反応と同様の方法で行うことができる。
【0070】
一般式(6)において、Xが一般式(10)で示される基、及びX’が一般式(10’)で示される基であるブロックポリマー(B4)は、(b11−2)と(b22)とを反応させることにより得ることができる。また、(b22)を前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸で二次変性してから、これと(b11−1)と反応させて製造してもよい。これらの重合反応は、(b11−1)と(b21)との重合反応と同様の方法で行うことができる。
【0071】
一般式(6)において、Xが一般式(11)で示される基、及びX’が一般式(11’)で示される基であるブロックポリマー(B5)は、(b11−3)(r=1の場合)または(b11−4)(r≧2の場合)と、(b21)(u=0の場合)又はポリエーテルジアミン(b22)(u=1の場合)とを反応させることにより得ることができる。(b11−3)または(b11−4)と、(b21)又は(b22)との重合反応は、(b11−1)と(b21)との重合反応と同様の方法で行うことができる。
【0072】
一般式(6)において、Xが一般式(12)で示される基、及びX’が一般式(12’)で示される基であるブロックポリマー(B6)は、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)と、ポリエーテルジオール(b21)(u=0の場合)またはポリエーテルジアミン(b22)(u=1の場合)とを、有機ジイソシアネートを介して結合させたものであり、これらを同時に反応させるか、順次に反応させて得ることができる。順次反応させる方法として、例えば(b12)と有機ジイソシアネートとを反応させてイソシアネート変性ポリオレフィンを得た後、これと(b21)又は(b22)とを反応させることにより得ることができる。
【0073】
一般式(6)において、Xが一般式(13)で示される基、及びX’が一般式(13’)で示される基であるブロックポリマー(B6)は、(b11−3)(v=0の場合)又は(b12)(v=1の場合)と、(b21)又は(b22)とを、有機ジイソシアネートを介して結合させたものであり、これらを同時に反応させるか、順次反応させて得ることができる。順次反応させる方法として、例えば(b11−3)又は(b12)と、有機ジイソシアネートとを反応させてイソシアネート変性ポリオレフィンを得た後、これと(b21)又は(b22)と反応させることにより得ることができる。(b12)と有機ジイソシアネートとの反応、(b21)又は(b22)と有機ジイソシアネート反応、及びイソシアネート変性ポリオレフィンと(b21)又は(b22)との反応は、通常のウレタン化又はウレア化反応と同様の方法で行うことができる。
【0074】
イソシアネート変性ポリオレフィンを形成する際の、有機ジイソシアネートと(b12)との当量比(NCO/OH比)、及びイソシアネート変性ポリオレフィンと(b21)又は(b22)との当量比(NCO/OH比)は、好ましくは1.8/1〜3/1、さらに好ましくは1.9/1〜2.5/1、特に好ましくは2/1である。当量比がこの範囲であると繰り返し構造をさらにとりやすくなり、フィラー分散性及び帯電防止性がさらに良好になる。有機ジイソシアネート及び反応を促進するための触媒は前述のものが使用できる。
【0075】
ブロックポリマー(B)のうちで、好ましいのは(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)、さらに好ましいのは(B1)及び(B3)、特に好ましいのは(B3)である。
ブロックポリマー(B)を構成するポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)の量は、帯電防止性の観点から、(b1)と(b2)との合計重量に基づいて、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは25〜90%、特に好ましくは30〜70%である。また、(B)のMnは、帯電防止性の観点から、好ましくは2,000〜60,000、さらに好ましくは5,000〜40,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。
【0076】
ブロックポリマー(B)の構造において、ポリオレフィン(b1)のブロックと、ポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、帯電防止性の観点から、好ましくは2〜50、さらに好ましくは2.3〜30、特に好ましくは2.7〜20、最も好ましくは3〜10である。Nnは、(B)のMnおよび1H−NMR分析によって求めることができる。例えば、(b11)のブロックと(b21)のブロックとが繰り返し交互に結合した構造を有する(B1)の場合について説明すると、1H−NMR分析において、4.0〜4.1ppmのエステル結合{−C(C=O)−OCH2−}のプロトンに帰属されるシグナル、及び3.2〜3.7ppmのポリエチレングリコールのプロトンに帰属されるシグナルが観測できる。これらのプロトン積分値の比を求めて、この比とMnとからNnを求めることができる。
【0077】
(B)の両末端は、(b1)由来のカルボニル基、アミノ基、水酸基及び/又は無変性ポリオレフィン末端、並びに(b2)由来の水酸基、アミノ基、イソシアネート基及び/又はエポキシ基を有する。なお、無変性ポリオレフィンとは、何ら変性がなされていないポリオレフィン末端、すなわち、アルキル基又はアルケニル基を意味する。
【0078】
上記(B)の(A)に対する配合割合は、3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%が特に好ましい。
【0079】
本発明における酸性リン酸エステル(C)としては、一般的にプラスチックの添加剤として使用される酸性リン酸エステルであればいずれも使用することができる。例えば、リン酸類の活性水素を1〜3個又はそれ以上の個数置換したものが挙げられる。リン酸類としては、リン酸、メタリン酸、オルトリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ピロリン酸、ジホスヒン酸、ジリン酸及びジホスホン酸等が挙げられる。活性水素を置換する基としてはアルキル基、アリール基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基(いずれも炭素数1〜30)等が挙げられる。上記の例としては、リン酸のモノアルキルエステル、モノアリールエステル、ジアルキルエステル、ジアリールエステル、亜リン酸のモノアルキルエステル及びピロリン酸のトリアルキルエステル等が挙げられる。これらの中で、好ましいものは一般式(1)で示されるものである。
【0080】
【化11】

【0081】
(R1は炭素数1〜30の1価の炭化水素基であり、nは1または2であって、nが2の場合のR1は同一であっても異なっていてもよい。) 一般式(1)において、R1で表される炭素原子数1〜30のアルキル基としては、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−,i−,sec−およびt−ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、第3オクチル、ノニル、第3ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル及びトリアンコンチル基等があげられる。nが2の場合、2個のR1は同一でも異なっていても良い。酸性リン酸エステルとして、さらに好ましいものは、上記R1が炭素数8〜30の酸性リン酸エステルであり、特に好ましいものは、リン酸のモノステアリルエステル及びリン酸のジステアリルエステルである。
【0082】
上記酸性リン酸エステルは、たとえば、対応するトリアルキルフォスフェート又は対応するリン酸類のトリエステルもしくはテトラエステルを加水分解する方法、オキシ塩化リンと対応するアルカノールとを反応させた後加水分解する方法あるいは五酸化リンと対応するアルカノールとを反応させる方法等の周知の方法によって合成することができる。
【0083】
本発明における帯電防止性向上剤(D)は、熱可塑性樹脂組成物の帯電防止性をさらに向上させる目的で加えられるものである。(D)としてはアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属の塩(D1)、界面活性剤(D2)、イオン性液体(D3)及び導電性物質(D4)が挙げられる。
【0084】
(D1)としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)及び/又はアルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)の有機酸[C1〜12のモノ−およびジ−カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及びコハク酸等)、C1〜20のスルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等)及びチオシアン酸等]の塩、並びに無機酸[ハロゲン化水素酸(塩酸及び臭化水素酸等)、過塩素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等]の塩が挙げられる。
【0085】
(D1)の具体例としては、ハライド[フッ化物(フッ化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、塩化物(塩化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、臭化物(臭化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)及びヨウ化物(ヨウ化リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)等]、過塩素酸塩(過塩素酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、フッ化スルホン酸塩(フルオロスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩(ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸塩[ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウムなど]、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸塩[ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウムなど]、ノナフルオロブタンスルホン酸塩(ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸塩(ウンデカフルオロペンタンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸塩(トリデカフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、酢酸塩(酢酸リチウム、−ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、燐酸塩(燐酸ナトリウム、−カリウム、−マグネシウム及び−カルシウム等)、及びチオシアン酸塩(チオシアン酸カリウム等)等が挙げられる。これらのうち帯電防止性の観点から好ましいのは、塩化物、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸塩及び酢酸塩、さらに好ましいのは塩化リチウム、−カリウム及び−ナトリウム、過塩素酸リチウム、−カリウム及び−ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、−カリウム及び−ナトリウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸リチウム、−ナトリウム及び−カリウム、並びに酢酸カリウムである。
【0086】
界面活性剤(D2)としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型[高級アルコール(C8〜18、例えばステアリルアルコール、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコール、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、高級脂肪酸(C8〜24、例えばステアリン酸、ラウリン酸及びミリスチン酸、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、高級アルキルアミン(C8〜24、例えばステアリルアミン、ラウリルアミン及びミリスチルアミン、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、ポリプロピレングリコール(Mn800〜4,000)EO(2〜50モル)付加物等]、及び多価アルコール型[ポリオキシエチレン(Mn200〜3,000)、グリセリンの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの高級脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの高級脂肪酸エステル、多価(2価〜5価またはそれ以上)アルコール(C3〜60、例えばグリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット及びグルコース)のアルキル(C3〜60)エーテル、アルカノールアミン(C2〜24)の高級脂肪酸アミド等]等が挙げられる。
【0087】
アニオン性界面活性剤としては、前記(D1)を除く化合物、例えばカルボン酸塩[高級脂肪酸(前記)のアルカリ金属塩等]、硫酸エステル塩[高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル(C8〜24)硫酸エステル塩等]、スルホン酸塩[アルキル(C8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(C8〜18)スルホン酸塩、パラフィン(C25〜60)スルホン酸塩等]、リン酸エステル塩[高級アルコールリン酸エステル塩等)等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩[アルキル(C8〜24)トリメチルアンモニウム塩等]等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸型(高級アルキルアミノプロピオン酸塩等)、ベタイン型[高級アルキル(C8〜24)ジメチルベタイン、高級アルキル(C8〜24)ジヒドロキシエチルベタイン等]等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独でも2種以上を併用してもいずれでもよい。これらのうち耐熱性および帯電防止性の観点から好ましいのは、アニオン性界面活性剤、さらに好ましいのはスルホン酸塩、とくに好ましいのはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩およびパラフィンスルホン酸塩である。
【0088】
イオン性液体(D3)は、前記(D1)および(D2)を除く化合物で、室温以下の融点を有し、(D3)を構成するカチオン又はアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンで、初期電導度が1〜200ms/cm(好ましくは10〜200ms/cm)である常温溶融塩であって、例えばWO95/15572公報に記載の常温溶融塩が挙げられる。
【0089】
(D3)を構成するカチオンとしては、例えばアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン及び3級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0090】
アミジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウムカチオン[1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム及び1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウムなど];イミダゾリウムカチオン[1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1,2,3−トリメチルイミダゾリウムなど];テトラヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム及び1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど];及びジヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム及び1,2,3,4−テトラメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0091】
グアニジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウ
ムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエ
チルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム及び2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウムなど];イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム及び2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウムなど];テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム及び2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど];及びジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム及び2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0092】
3級アンモニウムカチオンとしては、例えばメチルジラウリルアンモニウムが挙げられる。
【0093】
上記のアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン及び3級アンモニウムカチオンは1種単独でも、また2種以上を併用してもいずれでもよい。
これらのうち、初期電導度の観点から好ましいのはアミジニウムカチオン、さらに好ましいのはイミダゾリウムカチオン、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
【0094】
(D3)において、アニオンを構成する有機酸及び/又は無機酸としては下記のものが挙げられる。有機酸としては、例えばカルボン酸、硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル、スルホン酸及びリン酸エステルが挙げられる。無機酸としては、例えば超強酸(例えばホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸及び六フッ化ヒ素酸)、リン酸及びホウ酸が挙げられる。上記有機酸及び無機酸は1種単独でも2種以上の併用でもいずれでもよい。上記有機酸及び無機酸のうち、(D3)の初期電導度の観点から好ましいのは(D3)を構成するアニオンのHamett酸度関数(−H0)が12〜100である、超強酸、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
【0095】
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えばハロゲン(例えばフッ素、塩素及び臭素)イオン、アルキル(C1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸など)イオン及びポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えばウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
【0096】
超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、及びこれらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(C1〜30)スルホン酸[例えばメタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸など)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(C1〜30)スルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸及びトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸及び四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
【0097】
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えばハロゲン化水素(例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち(D3)の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
【0098】
ルイス酸としては、例えば三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタル及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうちで、(D3)の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えばテトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0099】
上記のアニオンのうち、(D3)の初期電導度の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸及びプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素及び/又は五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
【0100】
導電性物質(D4)としては、前記(D1)及び(D3)を除く化合物で、例えばカーボンナノチューブ、カーボンブラック及びホワイトカーボンが挙げられる。
【0101】
(D)を添加する方法については特に限定はないが、樹脂中への効果的な分散の観点から、(A)中に予め分散させておくことが好ましく、(A)の製造後に(D)を予め添加し分散させておくのがさらに好ましい。
【0102】
(C)及び(D)は、(C)/(D)の重量比が0.02〜30、かつ、重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]が0.00001〜0.03となるように含有される。(C)/(D)の重量比は0.02未満、あるいは30を越えると帯電防止性および樹脂物性が低下する。重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]が0.00001未満、あるいは0.03を越えると帯電防止性および樹脂物性が低下する。(C)/(D)の重量比は、0.03〜20が特に好ましく、0.04〜3がさらに好ましい。重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]は0.00001〜0.02が特に好ましく、0.0001〜0.01がさらに好ましい。
【0103】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(A)、(B)、(C)及び(D)を必須成分として含有するが、さらに必要により、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、(A)以外の熱可塑性樹脂(A’)、亜リン酸エステル(C’)、相溶化剤(E)及びその他の樹脂用添加剤(F)等が挙げられる。
【0104】
(A)以外の熱可塑性樹脂(A’)は、エステル結合を有しない熱可塑性樹脂であり、スチレン(共)重合体[例えば、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)及びスチレン/ブタジエン共重合体]オレフィン(炭素数2〜8)(共)重合体[例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/4−メチルペンテン共重合体及びエチレン/ブテン−1共重合体]、ポリアセタール[例えばホルムアルデヒドの単独重合物及びトリオキサンとアルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の共重合物]及びこれらの無水マレイン酸変性物等があげられる。(A’)の(A)に対する配合割合は、0〜200重量%が好ましく、0〜100重量%が特に好ましい。
【0105】
亜リン酸エステル(C’)としては、一般式(2)、(3)、(4)および(5)で表される化合物が挙げられる。
【0106】
【化12】

【0107】
(R2、R2’及びR2”は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0108】
【化13】

【0109】
(R3は炭素数1〜40のm価の炭化水素基であり、R3’及びR3’’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、mは2〜4の整数である。)
【0110】
【化14】

【0111】
(R4は炭素数1〜40の2×k価の炭化水素基であり、R4’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、kは1又は2であって、kが2の場合のR4’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0112】
【化15】

【0113】
(R5は炭素数1〜40のp価の炭化水素基であり、R5’及びR5’’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、pは1〜4の整数であって、pが2〜4の場合のR5’及びR5’’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0114】
上記一般式(2)で表される亜リン酸エステルの例としては、トリラウリルフォスファイト、トリイソオクチルフォスファイト、トリオレイルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリノルマルブチルフォスファイト、トリス−2−エチルヘキシル−フォスファイト、トリステアリルフォスファイト、トリス−2,4−ジ第3ブチルフェニルフォスファイト、トリストリデシルフォスファイト、トリス−4−フェニルフェノール−フォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、フェニルジオクチルフォスファイト、ジフェニルノニルフェニルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルデシルフォスファイト及びジフェニルトリデシルフォスファイトなどが挙げられる。
【0115】
上記一般式(3)で表される亜リン酸エステルの例としては、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト、テトララウリルビスフェノールA−ジフォスファイト、テトラトリデシルビスフェノールA−ジフォスファイト及びテトラフェニルテトラトリデシルペンタエリスリトール−テトラフォスファイト等が挙げられる。
【0116】
上記一般式(4)で表される亜リン酸エステルの例としては、ジイソデシルペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ジラウリルペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトール−ジフォスファイト及びビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト等が挙げられる。
【0117】
上記一般式(5)で表される亜リン酸エステルの例としては、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェノール)4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト(P−EPQ)等が挙げられる。
【0118】
亜リン酸エステルとして好ましいものは、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトである。亜リン酸エステル(C’)は、(C)の重量に対して、0〜100重量%であることが好ましく、0〜80重量%であることがさらに好ましい。
【0119】
相溶化剤(E)は、(A)と(B)の相溶性をさらに向上させる目的で加えられる。 (E)としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基及びポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ビニル重合体(例えば特開平3−258850号公報に記載のもの)、スルホニル基を有する変性ビニル重合体(例えば、特開平6−345927号公報に記載のもの)並びにポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック共重合体等が挙げられる。これらの(E)は単独でも2種以上併用してもよい。(E)の使用量は(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常20%以下、相溶性及び成形品の機械物性の観点から好ましくは0.1〜15%、さらに好ましくは1〜10%、とくに好ましくは1.5〜8%である。
【0120】
その他の樹脂用添加剤(F)としては、着色剤(F1)、充填剤(F2)、核剤(F3)、滑剤(F4)、可塑剤(F5)、離型剤(F6)、酸化防止剤(F7)、難燃剤(F8)、紫外線吸収剤(F9)及び抗菌剤(F10)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0121】
着色剤(F1)としては、通常の樹脂用顔料及び染料が挙げられる。顔料としては、無機顔料及び有機顔料が挙げられる。
【0122】
充填剤(F2)としては、繊維状、粉粒状、板状の充填剤が挙げられる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ジルコニア繊維、アラミド繊維および金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維等が挙げられる。これらのうち成形品の機械物性の観点から好ましいのはガラス繊維およびカーボン繊維である。粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、珪石粉、等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等)、金属の炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属の(亜)硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム等)、金属の硫化物(二硫化モリブデン等)、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素及び各種金属(マグネシウム、珪素、アルミ、チタン、銅、銀、金等)粉末等が挙げられる。板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク及び各種の金属(アルミ、銅、銀、金等)箔等が挙げられる。これらの充填剤は1種単独または2種以上の併用のいずれでもよい。上記の充填剤のうち成形品の機械物性の観点から好ましいのは繊維状充填剤であり、より好ましいのはガラス繊維である。
【0123】
核剤(F3)としては、多価の有機酸及び/又はその金属塩、アリールホスフェート化合物、環状多価金属アリールホスフェート化合物及びジベンジリデンソルビトール化合物、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物が挙げられる。
【0124】
滑剤(F4)としては、ワックス(カルナバロウワックスなど)、高級脂肪酸(ステアリン酸など)、高級アルコール(ステアリルアルコールなど)及び高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミドなど)など、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物が挙げられる。
【0125】
可塑剤(F5)としては、芳香族カルボン酸エステル系、脂肪族モノカルボン酸エステル系、脂肪族ジカルボン酸エステル系、脂肪族トリカルボン酸エステル系及びリン酸トリエステル系など、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
離型剤(F6)としては、高級脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン及びこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物等、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0126】
酸化防止剤(F7)としては、フェノール系、硫黄系、リン系及びアミン系など、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0127】
難燃剤(F8)としては、有機系難燃剤及び無機系難燃剤など、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0128】
紫外線吸収剤(F9)としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチレート系及びアクリレート系など、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0129】
抗菌剤(F10)としては、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸及びハロゲン化フェノールなど、例えば特開2008−31461号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0130】
(F)の合計の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常170%以下、添加効果および成形品の機械物性の観点から好ましくは0.1〜100%である。それぞれの(F)の使用量は(A)と(B)の合計重量に基づいて、(F1)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(F2)は通常150%以下、好ましくは5〜100%;(F3)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(F4)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(F5)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(F6)は通常10%以下、好ましくは0.1〜5%;(F7)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(F8)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(F9)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(F10)は通常3%以下、好ましくは0.05〜1%である。
上記(F1)〜(F10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれが添加効果を奏する量を他の効果に関わりなく使用するのではなく、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0131】
本発明の熱可塑性性樹脂組成物の製造方法としては、(A)〜(F)を[(D)については前記のように効果的な分散の観点から(A)に予め含有させておいてもよい。]溶融混合することにより製造される。溶融混合する方法としては、通常の方法、例えばペレット状または粉体状の成分を適切な混合機(ヘンシェルミキサー等)で混合した後、押出機で溶融混合(温度150〜260℃)してペレット化する方法が挙げられる。混合に際しての各成分の添加順序には特に限定はないが、例えば、通常のマスターバッチ法又はマスターペレット法であってもよく、これらの方法は少量の(C)、(D)、(E)及び/又は(F)を均一に樹脂に分散させる観点から好ましい方法である。
【0132】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形(本発明の熱可塑性樹脂組成物は表層部分でも、コア層でもどちらでもよい)あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
【0133】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は、優れた機械特性、耐水性及び永久帯電防止性を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有する。該成形品を塗装する方法としては、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電スプレー法、浸漬法、ローラー法、刷毛塗り法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塗料としては、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられる。塗装膜厚(乾燥後膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが塗膜物性及び乾燥効率の観点から好ましくは10〜 50μm、さらに好ましくは15〜40μmであ
る。また、該成形品又は成形品に塗装を施した上に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷が挙げられる。印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるものが挙げられる。
【0134】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部、%は重量%を示す。
【0135】
製造例1[酸変性ポリプロピレン(b1−1)の製造]
熱減成法[23℃における密度0.90g/cm3、MFR6.0g/10分のエチレ
ン/プロピレン(ランダム付加)共重合体(エチレン含量2%)を410±0.1℃で熱減成]で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn3,500、密度0.89g/cm3、C1,000当たりの二重結合量7.1個、1分子当たりの二重
結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90%)95部と無水マレイン酸10部とキシレン30部とを、窒素ガス雰囲気(密閉)下、200℃で溶融し、200℃、20時間反応を行った。その後、過剰の無水マレイン酸とキシレンを減圧下、200℃、3時間で留去して、酸変性ポリプロピレン(b1−1)を得た。(b1−1)の酸価は27.2、Mnは3,700であった。
【0136】
製造例2[二次変性ポリプロピレン(b1−2)の製造]
(b1−1)66部と12−アミノドデカン酸34部を窒素ガス雰囲気下、200℃で溶融し、200℃、3時間、1.3kPa以下の減圧下、反応を行い、二次変性ポリプロピレン(b1−2)を得た。(b1−2)の酸価は17.7、Mnは5,700であった。
【0137】
製造例3[ブロックポリマー(B−1)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、(b1−2)76.0部、Mn2,000及び体積固有抵抗値1×107Ω・cmのポリエチレングリコール24.0部、酸化防止剤0.3部
並びに酢酸ジルコニル0.5部を仕込み、230℃、0.13kPa以下の減圧下の条件で4時間重合させ粘稠なポリマーを得た。このポリマ−をベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってブロックポリマー(B−1)を得た。
【0138】
製造例4[ブロックポリマー(B−2)の製造]
製造例3において、(b1−2)の仕込量76.0部に代えて86.0部、及びMn2,000及び体積固有抵抗値1×107Ω・cmのポリエチレングリコール24.0部に代えて、Mn1,000及び体積固有抵抗値2×108Ω・cmのビスフェノールAのEO付加物33.5部を用いた以外は、製造例3と同様にして、ブロックポリマー(B−2)を得た。
【0139】
製造例5[ブロックポリマー(B−3)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、(b1−2)75.8部、Mn2,000及び体積固有抵抗値1×107Ω・cmのポリエチレングリコールの両末端の水酸基をシアノアルキ
ル化して得られる末端シアノアルキル基を還元して1級アミノ基に変性した親水性ポリマー(体積固有抵抗値2×108Ω・cm、)24.2部並びに酸化防止剤0.3部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下の条件で6時間重合させ粘稠なポリマーを得た。このポリマ−をベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってブロックポリマー(B2−3)を得た。
【0140】
製造例6[ブロックポリマー(B−4)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、(b1−1)73.3部、及びビスフェノールAのEO付加物(Mn1,500)の両末端の水酸基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元して1級アミノ基に変性した親水性ポリマー(体積固有抵抗値2×108Ω・cm、)26.7部を仕込み、200℃、1.3kPa以下の減圧下の条件で3時間重合させ粘稠なポリマーを得た。このポリマ−をベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってブロックポリマー(B−4)を得た。
【0141】
製造例7[イオン性液体(D−1)の製造]
ポリテトラフルオロエチレン製反応容器に、メタノール128部を仕込み、ついで常圧下、温度20〜30℃で無水HF20重量部を、約30分で吹き込み吸収させた。次に、BF32メタノール錯体131.9部(BF3含量51.4%)を30〜40℃で約30分で滴下したのち、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチル炭酸塩のメタノール溶液(濃度50%)372部を約30分かけて滴下した。 反応による炭酸ガスを発生させながら反応を行い、炭酸ガスの発生がおさまった後、減圧下、約1時間かけて温度60〜70℃で溶媒等を全量除去した。 反応槽内に、無色・透明の液体を得た。NMR分析した結果、得られた液体は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(D−1)であった。収率は99%であった。
【0142】
比較製造例1[ポリエーテルエステルアミドの製造]
3Lステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタム66.9部、アジピン酸33.1部、酸化防止剤[商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製、以下同じ]0.3部および水6部を仕込み、オートクレーブ内を窒素置換後、220℃で加圧(0.3〜0.5MPa)密閉下4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有する酸価374のポリアミド96部を得た。次にMn500のポリエチレングリコール160部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、245℃、0.13kPa以下の減圧下で5時間重合させて粘稠なポリマーを得た。このポリマ−をベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってポリエーテルエステルアミドを得た。
【0143】
実施例1〜8、比較例1〜5
表1に示す配合組成に従って、上記(A)〜(D)[(D)は(B)の製造時に添加]を、ヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、以下のような各温度、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して、それぞれ樹脂組成物および(実施例1〜8及び比較例1〜5)を得た。
混練温度:[A−1]、[A−3]又は[A−5]使用の場合;230℃
[A−2]使用の場合;240℃
[A−4]使用の場合;200℃
【0144】
【表1】

【0145】
(注)
[A−1]:シクロヘキサンジメタノール/エチレングリコール/テレフタル酸共重合物〔商品名 EASTER PETG6763 イーストマンケミカルジャパン(株)製]
[A−2]:ポリカーボネート及びアクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合物(ABS樹脂)混合物(ポリカーボネート/ABS樹脂重量比=70/30)〔商品名 ユーピロン GP−1 三菱瓦斯化学(株)製〕
[A−3]:ポリブチレンテレフタレート〔商品名 バロックス 310 日本ジーイープラスチックス(株)製〕
[A−4]:ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン〔商品名 パンデックス T−5165 大日本インキ化学(株)製〕
[A−5]:ポリメチルメタクリレート〔商品名 アクリペット VH 三菱レーヨン(株)製〕
酸性リン酸エステル(C)として以下のものを使用した。
[C−1]:モノステアリルリン酸及びジステアリルリン酸混合物〔商品名;アデカスタブ AX−71 (株)ADEKA製 〕
[C−2]:モノラウリルリン酸〔大八化学工業(株)製〕
[D−2]:塩化リチウム(ブロックポリマー製造時に添加)
[D−3]:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ブロックポリマー製造時に添加)
([A−2]は(A)と他の熱可塑性樹脂(A’)を含有する。)
フォスファイト系化合物〔商品名;アデカスタブ PEP−36 (株)ADEKA製 〕
フェノール系化合物〔商品名;イルガノックス 1076 日本チバガイギー(株)製 〕
【0146】
性能試験;
本発明の樹脂組成物および比較例の樹脂組成物について、射出成形機を用いて試験片を作成し、外観、表面固有抵抗値、IZOD衝撃強度および引張降伏点強度を評価した。射出成形機のシリンダー温度は以下のような各温度、金型温度50℃で試験片を作成した。その結果を表2に示した。外観、表面固有抵抗値、IZOD衝撃強度および引張降伏点強度の評価は下記の方法により行った。
シリンダー温度;[A−1]、[A−3]又は[A−5]使用の場合;230℃
[A−2]使用の場合;240℃
[A−4]使用の場合;200℃
(1)外観 :射出成形板の表面を目視で評価した。
評価基準 ○;外観不良なし
×;フローマーク等の外観不良あり
(2)表面固有抵抗値:成形後の試験片を、23℃、湿度50%RH雰囲気下に48時間 放置した後、ASTM D257−78(Reapproved 1983)に準拠し測定した。
(3)IZOD衝撃強度:JIS K7110−1984に準拠(ノッチ付、3.2mm 厚)。
(4)引張降伏点強度:JIS K7113−1981に準拠。
【0147】
【表2】

【0148】
表2から明らかなように、本発明の樹脂組成物(実施例1〜7)は、比較の樹脂組成物(比較例1〜4)に比べ、成形品の成形性、帯電防止性及び機械的強度に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の帯電防止性樹脂組成物は成形性に優れ、優れた帯電防止性及び機械的強度を有する成形品を与えることから、各種成形法[射出成形、圧縮成型、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形及びフィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等]、さらに目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の各種成形法で成形され、帯電防止性が求められる、家電・OA機器、ゲーム機器および事務機器用のハウジング製品、ICトレー等の各種プラスチック容器、各種包材用フィルム、床材用シート、人工芝、マット、並びに自動車部品等の各種成形材料として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、重量比(C)/(D)が0.02〜30であり、かつ、重量比[(C)+(D)]/[(A)+(B)]が0.00001〜0.03である熱可塑性樹脂組成物。
(A):エステル結合を有する熱可塑性樹脂
(B):ポリオレフィン(b1)のブロック及びポリオキシアルキレン鎖含有化合物(b2)のブロックが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合した構造を有するブロックポリマー
(C):酸性リン酸エステル
(D):帯電防止性向上剤
【請求項2】
前記帯電防止性向上剤(D)が、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩(D1)、界面活性剤(D2)並びにイオン液体(D3)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記酸性リン酸エステル(C)が、下記一般式(1)で示される酸性リン酸エステルである請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化1】

(R1は炭素数1〜30の1価の炭化水素基であり、nは1又は2であって、nが2の場合のR1は同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項4】
さらに、下記一般式(2)、(3)、(4)又は(5)で示される亜リン酸エステルを含有する請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化2】

(R2、R2’及びR2”は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】

(R3は炭素数1〜40のm価の炭化水素基であり、R3’及びR3’’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であって、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、mは2〜4の整数である。)
【化4】

(R4は炭素数1〜40の2×k価の炭化水素基であり、R4’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、kは1又は2であって、kが2の場合のR4’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【化5】

(R5は炭素数1〜40のp価の炭化水素基であり、R5’及びR5’’は炭素数1〜25の1価の炭化水素基であり、pは1〜4の整数であって、pが2〜4の場合のR5’及びR5’’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
前記エステル結合を有する熱可塑性樹脂(A)が、熱可塑性ポリエステル樹脂(A1)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(A2)、ポリカーボネート樹脂(A3)及びエステル基含有ビニル(共)重合体(A4)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【請求項7】
請求項6記載の成形体に塗装及び/又は印刷を施してなる成形物品。

【公開番号】特開2009−221287(P2009−221287A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65516(P2008−65516)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】