熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置
【課題】発熱性電気部品が実装された制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、品質を安定化するとともに、その厚さ方向寸法を小さくし、小型・高性能化を図った熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数枚の扁平熱交チューブ間に積層されるPTCヒータと、扁平熱交チューブおよびPTCヒータをケーシングの内面に押圧して固定する熱交押え部材15と、熱交押え部材15上に絶縁シート16を介して配設され、PTCヒータを制御する発熱性電気部品20を含む制御回路21が表面実装されている制御基板17と、を備え、発熱性電気部品20の発熱を、熱貫通部を介して熱交押え部材15に伝熱し冷却可能とした熱媒体加熱装置の熱貫通部と絶縁シート16および/または熱交押え部材15との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介装した。
【解決手段】複数枚の扁平熱交チューブ間に積層されるPTCヒータと、扁平熱交チューブおよびPTCヒータをケーシングの内面に押圧して固定する熱交押え部材15と、熱交押え部材15上に絶縁シート16を介して配設され、PTCヒータを制御する発熱性電気部品20を含む制御回路21が表面実装されている制御基板17と、を備え、発熱性電気部品20の発熱を、熱貫通部を介して熱交押え部材15に伝熱し冷却可能とした熱媒体加熱装置の熱貫通部と絶縁シート16および/または熱交押え部材15との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介装した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTCヒータを用いて熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等に適用される車両用空調装置にあって、暖房用の熱源となる被加熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置の1つに、正特性サーミスタ素子(Positive Temperature Coefficient;以下、PTC素子という。)を発熱要素とするPTCヒータを用いたものが知られている。このような熱媒体加熱装置において、特許文献1には、熱媒体の入口および出口を備えたハウジング内を加熱室と熱媒体の循環室とに分割する多数の隔壁を設け、該隔壁により区画された加熱室側に隔壁と接するようにPTC素子を挿入設置し、該PTC素子によって隔壁を挟んで循環室側を流通する熱媒体を加熱するようにしたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、PTC素子を挟んでその両面に電極板、絶縁層および伝熱層を設けて平板状のPTCヒータを構成し、該PTCヒータの両面に、熱媒体の入口および出口を備えた互いに連通されている一対の熱媒体流通ボックスを積層するとともに、更にその外面側に制御基板を収容する基板収容ボックスおよび蓋体を設けた積層構造の熱媒体加熱装置が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、伝熱面となる隔壁間にPTC素子を密着させて挿入設置するのは難しく、隔壁とPTC素子間の接触熱抵抗が大きくなり、伝熱効率が低下するという課題があった。また、特許文献2のものでは、PTCヒータと熱媒体流通ボックスとの密着性を高め、接触熱抵抗を低減することができるが、PTCヒータを多層配置することが難しいため、平面面積が大きくなるとともに、熱媒体流通ボックスや専用の基板収容ボックスが必要で、小型軽量化、低コスト化には限界があった。
【0005】
そこで、扁平構造の熱交チューブを用い、該扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に多層に積層して熱交換エレメントを構成し、それをケーシング内に組み込むようにした熱媒体加熱装置が開発されている。このような積層構造の熱交換エレメントを用いたものにおいて、特許文献3には、積層された扁平熱交チューブに対して厚さ方向から圧縮荷重をかけて製造することにより、扁平熱交チューブ間に積層されている被冷却部品と扁平熱交チューブとを密着させるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−7106号公報
【特許文献2】特開2008−56044号公報
【特許文献3】特許第4100328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、複数枚の扁平熱交チューブ間にPTCヒータを交互に多層に積層した構成の熱媒体加熱装置では、PTCヒータの電極板に対して制御基板を経由して電力を供給するようにしており、その制御基板をケーシング内面に熱交換エレメントを押圧して組み込むための熱交押え部材上に配設している。しかしながら、制御基板上には、PTCヒータに対する通電制御を行うためのFETやIGBT等のパワートランジスタ(発熱性電気部品)を含む制御回路が表面実装されていることから、制御基板と熱交押え部材との間の絶縁性を確保しつつ、如何にしてパワートランジスタ等の発熱性電気部品に対する冷却性能を確保するかが課題となっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パワートランジスタ等の発熱性電気部品が実装されている制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、品質を安定化するとともに、その厚さ方向寸法を小さく、かつ扁平熱交チューブとPTCヒータ間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、小型・高性能化を図った熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる熱媒体加熱装置は、入口ヘッダ部から流入された熱媒体が扁平チューブ部を流通後、出口ヘッダ部から流出される複数枚の扁平熱交チューブと、互いに積層される複数枚の前記扁平熱交チューブの前記扁平チューブ部間に組み込まれるPTCヒータと、交互に積層された前記扁平熱交チューブおよび前記PTCヒータを前記扁平熱交チューブの一面側からケーシングの内面に押圧して密着させる熱交押え部材と、前記熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して配設され、前記PTCヒータを制御する発熱性電気部品を含む制御回路が表面実装されている制御基板と、を備え、前記発熱性電気部品が、前記熱交押え部材をヒートシンクとし、前記制御基板上の実装位置に対応して設けられている熱貫通部および前記絶縁シートを介して冷却可能とされている熱媒体加熱装置であって、前記制御基板側の前記熱貫通部と前記絶縁シートおよび/または前記熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体が介装されていることを特徴とする。
【0010】
複数枚の扁平熱交チューブおよびPTCヒータが交互に積層された状態でケーシング内面に熱交押え部材により押圧されて組み込まれ、その熱交押え部材上にPTCヒータを制御する制御基板が絶縁シートを介して配設され、該制御基板に表面実装されている発熱性電気部品を、熱交押え部材をヒートシンクとし、制御基板の熱貫通部および絶縁シートを介して冷却可能としている熱媒体加熱装置にあっては、熱貫通部の制御基板裏面からの引っ込み量や飛び出し量のバラツキにより放熱性および電気絶縁性にバラツキが生じ、品質低下の要因となるが、制御基板側の熱貫通部と絶縁シートおよび/または熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介装しているため、発熱性電気部品を制御基板に表面実装し、その制御基板を熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して直接配設することにより、厚さ方向寸法を小さくした場合においても、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部の製造上のバラツキに関係なく、該熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して、制御基板の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして冷却することができる。従って、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置の品質を安定、向上することができる。また、扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に積層し、熱交押え部材により押圧して互いに密着させるようにしているため、両者間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置を小型・高性能化することができるとともに、発熱性電気部品を表面実装した制御基板を熱交押え部材上に絶縁シートを介して直接配設しているため、その積層方向(厚さ方向)寸法を小さくし、熱媒体加熱装置をコンパクト化することができる。
【0011】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有するシートとされていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、絶縁シートが高硬度の熱伝導性を有するシートとされているため、制御基板と熱交押え部材間の電気絶縁性を十分に確保することができるとともに、熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して伝達される発熱性電気部品の発熱を熱交押え部材に放熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして着実に冷却することができる。従って、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保することができる。なお、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとしては、例えば高硬度シリコーンシート等を用いることができる。
【0013】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートには、前記熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、絶縁シートに熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられているため、熱伝導性液状ギャップ充填材を開口部内に充填あるいは配置して制御基板を組み付けることにより、制御基板側の熱貫通部と該熱伝導性液状ギャップ充填材とを対応させ、熱貫通部の引っ込み量や飛び出し量に関係なく、発熱性電気部品から発熱を熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材を経て直接熱交押え部材に放熱することができる。また、熱伝導性液状ギャップ充填材として固形状のものではなく、液状から硬化されるものを用いても、それを開口部内に充填し、保持することができる。従って、発熱性電気部品からの放熱経路を確実に形成し、それの冷却性能を確保することができるとともに、この場合、絶縁シートを絶縁専用の高硬度のシート、例えばポリイミドフィルム等のシートとしてもよく、コスト低減することができる。
【0015】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記開口部の面積は、前記熱貫通部の面積よりも大きくされていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、開口部の面積が熱貫通部の面積よりも大きくされているため、熱交押え部材、絶縁シート、制御基板等が寸法公差の集積により相互に位置ずれしても、熱貫通部と熱伝導性液状ギャップ充填材とを確実に対応させることができる。従って、発熱性電気部品からの放熱経路を確実に形成し、その冷却性能を確保することができる。
【0017】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートは、少なくとも2分割され、前記熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、絶縁シートが少なくとも2分割され、熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされているため、電気絶縁性と熱伝導性の双方の機能を確保する必要がある部分に設置される絶縁シートには、双方の機能を有する、例えば高硬度シリコーンシート等を用い、一方、電気絶縁性のみを確保すればよい部分に設置されるシートには、例えば安価なポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。従って、絶縁シートに求められる電気絶縁性と放熱性の双方の機能を十分に確保しながら低コスト化を図ることができる。
【0019】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記熱交押え部材の表面には、複数個の突起が設けられ、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板に設けられている穴を前記突起に嵌合することにより、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板が位置決め可能とされていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、熱交押え部材の表面に複数個の突起が設けられ、絶縁シートおよび/または制御基板に設けられている穴を該突起に嵌合することにより、絶縁シートおよび/または制御基板が位置決め可能とされているため、熱交押え部材上に絶縁シートおよび/または制御基板を配設する際、熱交押え部材側の突起に対して絶縁シートおよび/または制御基板側の穴を嵌合することにより、それぞれを確実に位置決めして組み付けることができる。従って、制御基板側の熱貫通部の位置と、放熱用ギャップフィラー、低硬度熱伝導シート等の熱伝導絶縁体とを確実に対応させることができ、組み立て精度および組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0021】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記熱交押え部材は、アルミ合金製の板材とされていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、熱交押え部材が、アルミ合金製の板材とされているため、制御基板上に実装された発熱性電気部品からの発熱を、熱貫通部、絶縁シートおよび/または熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して熱伝導性が良好でかつ軽量なアルミ合金製板材とされている熱交押え部材に伝熱し、扁平熱交チューブを冷却源とする熱交押え部材に放熱することにより、発熱性電気部品を冷却することができる。従って、熱交押え部材をヒートシンクに、制御基板に表面実装されている発熱性電気部品の冷却性能を高めることができ、熱に対する信頼性を向上することができるとともに、軽量化を維持することができる。
【0023】
さらに、本発明にかかる車両用空調装置は、空気流路中に配設されている放熱器に対して、熱媒体加熱装置で加熱された熱媒体が循環可能に構成されている車両用空調装置において、前記熱媒体加熱装置が、上述のいずれかの熱媒体加熱装置とされていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、空気流路中に配設されている放熱器に対して、上述のいずれかの熱媒体加熱装置により加熱された熱媒体が循環可能な構成とされているため、空気流路中に配設されている放熱器に対して供給される熱媒体を、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された上述の熱媒体加熱装置により加熱して供給することができる。従って、車両用空調装置の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置の搭載性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の熱媒体加熱装置によると、発熱性電気部品を制御基板に表面実装し、その制御基板を熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して直接配設することにより、厚さ方向寸法を小さくした場合においても、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部の製造上のバラツキに関係なく、該熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して、制御基板の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして冷却することができるため、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置の品質を安定、向上することができる。また、扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に積層し、熱交押え部材により押圧して互いに密着させるようにしているため、両者間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置を小型・高性能化することができるとともに、発熱性電気部品を表面実装した制御基板を熱交押え部材上に絶縁シートを介して直接配設しているため、それらの積層方向(厚さ方向)寸法を小さくし、熱媒体加熱装置をコンパクト化することができる。
【0026】
また、本発明の車両用空調装置によると、空気流路中に配設されている放熱器に対して供給される熱媒体を、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された上述の熱媒体加熱装置により加熱して供給することができるため、車両用空調装置の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置の搭載性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱媒体加熱装置を備えた車両用空調装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す熱媒体加熱装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示す熱媒体加熱装置のアッパケースを外した状態の平面図である。
【図4】図3中のA−A断面相当図である。
【図5】図2に示す熱媒体加熱装置の熱交押え部材および制御基板の分解斜視図である。
【図6】図5に示す熱交押え部材および制御基板の平面図である。
【図7】図6中のB−B断面相当図である。
【図8】図6中のC−C断面相当図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る熱媒体加熱装置の熱交押え部材および制御基板の分解斜視図である。
【図10】図9に示す熱交押え部材および制御基板の平面図である。
【図11】図10中のD−D断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図8を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る熱媒体加熱装置を備えた車両用空調装置の概略構成図が示されている。車両用空調装置1は、外気または車室内空気を取り込んで温調した後、それを車室内へと導くための空気流通路2を形成するケーシング3を備えている。
【0029】
ケーシング3の内部には、空気流通路2の上流側から下流側にかけて順次、外気または車室内空気を吸い込んで昇圧し、それを下流側へと圧送するブロア4と、該ブロア4により圧送される空気を冷却する冷却器5と、冷却器5を通過して冷却された空気を加熱する放熱器6と、放熱器6を通過する空気量と放熱器6をバイパスする空気量との流量割合を調整し、その下流側でエアミックスさせることによって、温調風の温度を調節するエアミックスダンパ7と、が設置されている。
【0030】
ケーシング3の下流側は、図示しない吹き出しモード切替えダンパおよびダクトを介して温調された空気を車室内に吹き出す複数の吹き出し口に接続されている。
冷却器5は、図示省略された圧縮機、凝縮器、膨張弁等と共に冷媒回路を構成し、膨張弁で断熱膨張された冷媒を蒸発させることによって、そこを通過する空気を冷却するものである。放熱器6は、タンク8、ポンプ9および熱媒体加熱装置10と共に熱媒体循環回路10Aを構成しており、熱媒体加熱装置10で加熱された高温の熱媒体(例えば、不凍液等)がポンプ9を介して循環されることによって、そこを通過する空気を加温するものである。
【0031】
図2には、図1に示された熱媒体加熱装置10の分解斜視図が示され、図3には、その熱媒体加熱装置10のアッパケースを外した状態の平面図、図4には、図3中のA−A断面相当図が示されている。
熱媒体加熱装置10は、図2に示されるように、箱形のケーシング11(ただし、ケーシング11を構成するロアケース11Aのみが示され、その上半部を構成するアッパケースは、図示省略されている。)と、複数枚(例えば、3枚)の扁平熱交チューブ12と複数組のPTCヒータ13とが交互に積層されている熱交換モジュール14と、該熱交換モジュール14をケーシング11のロアケース11Aの内底面に押圧して固定するための熱交押え部材15と、該熱交押え部材15の上面に後述する絶縁シート16(図5参照)を介して配設されるPTCヒータ13を制御する制御基板17と、から構成されている。
【0032】
ケーシング11は、上半部と下半部とに2分割される箱形構成とされており、下半部に位置されるロアケース11Aに対して、上半部に位置されるアッパケース(図示省略)がネジ止め固定されることにより、一体化される構成とされている。このケーシング11の内部空間に対して、上記した扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13からなる熱交換モジュール14、熱交押え部材15、絶縁シート16および制御基板17等が収容設置されるようになっている。
【0033】
ロアケース11Aの下面には、積層された3枚の扁平熱交チューブ12に導入される熱媒体を導くための熱媒体入口路11Bおよび扁平熱交チューブ12内を流通した熱媒体を導出するための熱媒体出口路11Cが、下方に突出されるように一体形成されているとともに、熱交押え部材15を締め付け固定するためのボス部11D(4箇所)が、上方に突出されるように一体形成されている。このロアケース11Aは、その内部空間に収容設置される扁平熱交チューブ12を形成するアルミ合金材と線膨張率が近似している、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材により成形されている。なお、アッパケースも、ロアケース11Aと同様の樹脂材により成形されることが望ましい。
【0034】
さらに、ロアケース11Aの下面には、電源ハーネス18およびLVハーネス19の先端部を貫通するための電源ハーネス用孔およびLVハーネス用孔(共に図示省略)が開口されている。電源ハーネス18は、制御基板17を介してPTCヒータ13に電力を供給するためのものであり、先端部が2又状に分岐され、制御基板17に設けられている2つの電源ハーネス用端子台17Aにネジ等を介してネジ止め可能とされている。また、LVハーネス19は、制御基板17に対して制御用の信号を送信するためのものであり、その先端部は、制御基板17にコネクタ接続可能とされている。
【0035】
制御基板17は、上位制御装置(ECU)からの指令に基づいて複数組のPTCヒータ13に対する通電制御を行うものであり、FETやIGBT等からなる複数のパワートランジスタ(発熱性電気部品)20を含む制御回路21が表面実装され、その制御回路21を介して複数組のPTCヒータ13に対する通電状態が切替え可能に構成されているものである。なお、図2,3に示す制御基板17と図5,6に示す制御基板17は、発熱性電気部品20および制御回路21の配置が異なるものが例示されているが、機能的には同じものである。この制御基板17は、少なくとも発熱性電気部品である複数のパワートランジスタ20が実装される部位に対応して、基板両面に貫通されるように、銅やアルミ等の高熱伝導性材からなる熱貫通部22(図7参照)が設けられた構成とされている。
【0036】
そして、上記複数組のPTCヒータ13をその両面側から挟み込むように複数枚の扁平熱交チューブ12が積層され、熱交換モジュール14が構成されている。この扁平熱交チューブ12は、アルミ合金製薄板をプレス成形したチューブ材を重ね合わせて構成されたものであり、図2および図4に示されているように、例えば3枚の扁平熱交チューブ12を互いに平行に積層し、その扁平熱交チューブ12間にそれぞれPTCヒータ13を積層することによって、熱交換モジュール14を構成している。
【0037】
各扁平熱交チューブ12は、厚さが数ミリ程度の扁平断面形状とされた扁平チューブ部12Aと、その両端部分に形成された熱媒体が流入する入口ヘッダ部12Bおよび熱媒体が流出する出口ヘッダ部12Cとを備えた構成とされており、扁平チューブ部12Aの内部には、波板状のインナーフィン(図示省略)が挿入され、チューブ内に複数の熱媒体流通路が形成されるようになっている。このような扁平熱交チューブ12は、特別のものではなく、公知のものである。
【0038】
3枚の扁平熱交チューブ12は、下段、中段、上段の順に順次積層され、その両端の入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12C同士が互いにOリング等のシール材を介して密接され、入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cに設けられている図示省略の連通穴が互いに連通されるようになっている。この3枚の扁平熱交チューブ12は、積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面に組み込まれ、後述するようにロアケース11Aのボス部11D(4箇所)に締め付け固定される熱交押え部材15を介して、ロアケース11Aの内底面に向け押圧固定されるようになっている。
【0039】
また、3枚の扁平熱交チューブ12間に挟み込まれることにより、熱交換モジュール14を構成している複数組(例えば、2組)のPTCヒータ13は、公知のように、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)23の上下両面にそれぞれ電極板24を接触配設したものであり、絶縁シート等を介して3枚の扁平熱交チューブ12間に積層配置されている。なお、PTCヒータ13は、3枚の扁平熱交チューブ12と共に積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面に組み込まれ、上記の如く熱交押え部材15を介してロアケース11Aの内底面に押圧固定されるようになっている。
【0040】
電極板24は、PTC素子23に対して電力を供給するためのもので、平面視が矩形状を呈するアルミ合金製板材により構成されている。この電極板24は、PTC素子23を挟んでその両面に、PTC素子23の上面に接するように一枚、PTC素子23の下面に接するように一枚それぞれ積層配置されており、これら2枚の電極板24によって、PTC素子23が上下両面から挟み込まれるようになっている。
【0041】
さらに、PTC素子23の上面側に配置される電極板24は、その上面が扁平熱交チューブ12の下面に接するように配設され、PTC素子23の下面側に配置される電極板24は、その下面が扁平熱交チューブ12の上面に接するように配設されるように構成されている。本実施形態においては、電極板24は、下段の扁平熱交チューブ12と中段の扁平熱交チューブ12との間、中段の扁平熱交チューブ12と上段の扁平熱交チューブ12との間に各々2枚、合計4枚が配置されている。
【0042】
これら4枚の電極板24は、各扁平熱交チューブ12の扁平チューブ部12Aと略同一形状とされており、それぞれの長辺側に1つの端子24Aが一体に設けられている。この端子24Aは、各電極板24を積層させたとき、重ならないように、電極板24の長辺方向に沿って配置されている。つまり、各電極板24に設けられている端子24Aは、その長辺方向に沿って少しずつ位置がずらされて設けられ、各電極板24が積層された場合に直列に配列されるように設けられている。各端子24Aは、上方に突出するようにL字状に曲げ形成されており、制御基板17の表面側の一辺に並設されている複数組(4組)の端子台17Bにネジ等を介して接続されるようになっている。
【0043】
3枚の扁平熱交チューブ12および2組のPTCヒータ13は、上記の如く積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面上に組み込まれ、その最上段の扁平熱交チューブ12の上面が、ロアケース11Aのボス部11D(4箇所)に4個のネジ25により締め付け固定される熱交押え部材15を介して、ロアケース11Aの内底面方向に押圧されることにより、各扁平熱交チューブ12の入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cの上下面同士、並びに各扁平熱交チューブ12の扁平チューブ部12AとPTCヒータ13の上下面同士がそれぞれ密着状態とされるようになっている。
【0044】
これによって、ケーシング11内部に熱交換モジュール14が組み込まれ、ロアケース11Aの熱媒体入口路11Bから導入された熱媒体は、各扁平熱交チューブ12の入口ヘッダ部12Bから扁平チューブ部12A内へと導かれ、この扁平チューブ部12A内を流通する過程において、PTCヒータ13により加熱昇温されて各出口ヘッダ部12Cに流出し、そこからロアケース11Aの熱媒体出口路11Cを経て熱媒体加熱装置10の外部へと導出されるようになる。そして、熱媒体加熱装置10から導出された熱媒体は、熱媒体循環回路10A(図1参照)を介して放熱器6に供給されるようになっている。
【0045】
熱交押え部材15は、制御基板17に表面実装されている複数の発熱性電気部品20を銅やアルミ等の高熱伝導性材からなる熱貫通部22を介して冷却するヒートシンクとしての機能を兼ね備えたものであり、アルミ合金製の板材により構成されている。この熱交押え部材15は、扁平熱交チューブ12の上面を覆う大きさとされたものであり、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13からなる熱交換モジュール14をロアケース11Aに内底面に押圧して固定する際、入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cの周囲におけるシール性を確保するため、その中心線を通る位置でネジ25によりケーシング11のボス部11Dに締め付け固定されるように構成されている。
【0046】
PTCヒータ13を制御する発熱性電気部品20を含む制御回路21が実装されている制御基板17は、熱交押え部材15の上面に絶縁シート16を介して複数個のネジ26で一体にネジ止め固定されるようになっている。絶縁シート16および制御基板17は、熱交押え部材15の上面の複数箇所に設けられている突起15Aに対して、絶縁シート16および制御基板17にそれぞれ設けられている複数の穴16A,17Cを嵌合することにより、位置決めされて組み付けられるように構成されている(図8参照)。
【0047】
制御基板17の組み付けにより発熱性電気部品20と対応して設けられている熱貫通部22は、絶縁シート16を貫通または絶縁シート16を介してヒートシンクとして機能する熱交押え部材15と接触されるように構成される。しかるに、熱貫通部22の制御基板17の裏面からの引っ込み量や飛び出し量には、製造上のバラツキがあるため、上記の組付けにより熱貫通部22が熱交押え部材15や絶縁シート16に正常に接触されているとの保証はなく、制御基板17の放熱性や電気絶縁性は確保されない。
【0048】
そこで、本実施形態では、絶縁シート16の熱貫通部22と対応する部位に、複数の開口部16Bを設け、該開口部16Bに対して、図7に示されるように、絶縁性の熱伝導材料からなる熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介装することにより、熱貫通部22の製造上のバラツキを吸収して熱貫通部22と熱交押え部材15とが、電気絶縁性を保持したままで確実に熱的に接続されるように構成している。なお、絶縁性を有する熱伝導性液状ギャップ充填材27としては、例えば熱伝導性シリコーンエラストマーであって、シリコーンをベース樹脂とし、芯材、充填材としてファイバーグラス、アルミナ等を用いたもので、固形状のもの、液状から硬化されるもの等が知られ、液状から硬化した後、あるいは固形状の状態で形状追従性弾性体として機能するものである。
【0049】
また、本実施形態では、液状から硬化される熱伝導性液状ギャップ充填材27を使用することを前提に、絶縁シート16に開口部16Bを設け、この開口部16Bの面積を熱貫通部22の面積よりも大きくし、熱交押え部材15、絶縁シート16および制御基板17等が寸法公差の集積により相対的に位置ずれしても、開口部16B内に介装された熱伝導性液状ギャップ充填材27と熱貫通部22とが確実に対応されるようにしている。この実施形態の場合、絶縁シート16は、熱伝導性を有する必要がなく、電気絶縁性を有する絶縁専用の高硬度のシート、例えばポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。
【0050】
上記のようにして熱交押え部材15上に組み付けられた制御基板17には、その端子台17Aに対して2又状に分岐された電源ハーネス18が接続されるとともに、LVハーネス19がコネクタ接続され、更に端子台17Bに対して、PTCヒータ13の電極板24から延長されている端子24Aがネジ等を介して直接接続されることにより、電気系統の結線が行われ、これによって、制御基板17が熱交押え部材15上に組み込まれ、ケーシング11内に収容設置されるように構成されている。
【0051】
以上に説明の熱媒体加熱装置10は、ケーシング11のロアケース11Aの内底面に3枚の扁平熱交チューブ12と2組のPTCヒータ13とを、PTCヒータ13の両面を絶縁シート(図示せず)で挟みながら、それらを順次1枚ずつ積層して組み込み、熱交換モジュール14が組み込まれた段階で、熱交押え部材15によりその上面を押圧してロアケース11Aに対して締め付け固定するか、もしくは熱交換モジュール14をサブアッセンブリした後、ロアケース11A内に組み込み、その上面を熱交押え部材15で押圧して締め付け固定することによって、各扁平熱交チューブ12および各PTCヒータ13をそれぞれ互いに密着させた状態で組み付けることができる。
【0052】
続いて、熱交押え部材15の上面に、絶縁シート16を突起15Aに穴16Aを嵌合することにより位置決めして積層し、更に該絶縁シート16の開口部16Bに熱伝導性液状ギャップ充填材27を充填する。その絶縁シート16の上に、制御基板17を突起15Aに穴17Cを嵌合することにより位置決めして積層し、該制御基板17をネジ26により熱交押え部材15に対してネジ止め固定する。その後、電気系統の結線を行い、その上部覆うように、図示省略されているアッパケースをロアケース11Aにネジ止め固定することによって、熱媒体加熱装置10を組み立てることができる。
【0053】
こうして製造された熱媒体加熱装置10は、車両用空調装置1の熱媒体循環回路10Aに組み込まれ、熱媒体入口路11Bを経て入口ヘッダ部12Bに流入された熱媒体を複数枚の扁平熱交チューブ12内に流通させ、PTCヒータ13によって加熱した後、出口ヘッダ部12Cから熱媒体出口路11Cを介して流出させることにより、熱媒体循環回路10A内を循環される熱媒体の加熱に供されるようになっている。
【0054】
斯くして、本実施形態の熱媒体加熱装置10および車両用空調装置1によれば、以下の作用効果を奏する。
複数枚の扁平熱交チューブ12が積層され、その扁平チューブ部12A間にPTCヒータ13が挟み込まれた状態で、各扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13が、熱交押え部材15によりロアケース11Aに対して押圧されて締め付け固定される構成とされている。これによって、複数枚の扁平熱交チューブ12と複数組のPTCヒータ13とをそれぞれ互いに密着させて組み込むことができる。
【0055】
このため、扁平熱交チューブ12とPTCヒータ13との間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置10を高性能化することができるとともに、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13を交互に多層に積層した構成とすることにより、その平面面積を小さくし、熱交換モジュール14、ひいては熱媒体加熱装置10をコンパクト化することができる。
【0056】
また、熱交押え部材15の上面に、絶縁シート16を介装してPTCヒータ13を制御するパワートランジスタ等の発熱性電気部品20を含む制御回路21が表面実装されている制御基板17を設置するとともに、その制御基板17に発熱性電気部品20の実装位置に対応して両面に貫通された熱貫通部22を設け、発熱性電気部品20を、熱交押え部材15をヒートシンクとし、熱貫通部22を介して冷却可能としている。このため、制御基板17上に表面実装されている発熱性電気部品20を、熱交押え部材15をヒートシンクに熱貫通部22を介して効率よく冷却することができ、従って、制御基板17の組み付けの容易性や熱に対する信頼性を確保し、専用の基板収容ボックス等を省くとともに、熱交押え部材15および制御基板17の積層方向寸法(厚さ方向寸法)を小さくし、熱媒体加熱装置10を小型軽量化、低コスト化することができる。
【0057】
さらに、熱貫通部22を介して制御基板17に表面実装された発熱性電気部品20を冷却する際、熱貫通部22の制御基板17裏面からの引っ込み量や飛び出し量に製造上のバラツキがあったとしても、熱貫通部22と熱交押え部材15との間に、絶縁シート16に開口部16Bを設けて絶縁性を有する熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介装した構成としているため、この熱伝導性液状ギャップ充填材27により熱貫通部22の製造上のバラツキを吸収し、そのバラツキに関係なく、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部22および熱伝導性液状ギャップ充填材27を介して、制御基板17の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材15をヒートシンクとして冷却することができる。従って、発熱性電気部品20を表面実装した制御基板17の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置10の品質を安定、向上することができる。
【0058】
特に、絶縁シート16に開口されている開口部16Bの面積が熱貫通部22の面積よりも大きくされているため、熱交押え部材15、絶縁シート16、制御基板17等が寸法公差の集積により相互に位置ずれしても、熱貫通部22と熱伝導性液状ギャップ充填材27とを確実に対応させることができる。従って、発熱性電気部品20からの放熱経路を確実に形成し、その冷却性能を確保することができる。
【0059】
また、本実施形態では、熱交押え部材15の表面に複数個の突起15Aを設け、絶縁シート16、制御基板17に設けられている穴16A,17Cを該突起15Aに嵌合することにより、絶縁シート16、制御基板17を位置決め可能としているため、熱交押え部材15上に絶縁シート16、制御基板17を配設する際、熱交押え部材15側の突起15Aに対して絶縁シート16、制御基板17側の穴16A,17Cを嵌合することにより、それぞれを確実に位置決めして組み付けることができる。従って、制御基板17側の熱貫通部22の位置と、熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27とを確実に対応させることができ、組み立て精度および組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0060】
さらに、本実施形態においては、熱交押え部材15が、アルミ合金製の板材とされているため、制御基板17上の発熱性電気部品20からの熱を、熱貫通部22および熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介して熱伝導性が良好でかつ軽量なアルミ合金製板材とされている熱交押え部材15に伝熱し、扁平熱交チューブ12を冷却源とする熱交押え部材15に放熱することにより、発熱性電気部品20を冷却することができる。従って、熱交押え部材15をヒートシンクに、制御基板17に表面実装されている発熱性電気部品20の冷却性能を高めることができ、熱に対する信頼性を向上することができるとともに、軽量化を維持することができる。
【0061】
また、上述のように、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された熱媒体加熱装置10により加熱された熱媒体を空気流路2中に配設されている放熱器6に供給することができるため、車両用空調装置1の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置1の搭載性を向上することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、絶縁シート16に開口部16Bを設け、液状から硬化されるタイプの熱伝導性液状ギャップ充填材27を充填して、制御基板17側の熱貫通部22と熱交押え部材15との間に熱伝導性液状ギャップ充填材27を介装しているが、絶縁シート16に開口部16Bを設けずに、絶縁シート16の上面に熱貫通部22と対応するように固形タイプの熱伝導性液状ギャップ充填材27を配置し、その上に制御基板17を積層配置した構成としてもよく、この場合、絶縁シート16として熱伝導性を有する、例えば高硬度のシリコーンシート等を用いることにより、上記実施形態と略同様の効果を得ることができる。
【0063】
つまり、この実施形態では、発熱性電気部品20からの発熱を、熱貫通部22、熱伝導性液状ギャップ充填材27、熱伝導性を有する絶縁シート16を経て熱交押え部材15に伝熱する放熱経路により、ヒートシンクである熱交押え部材15に放熱し、その冷却性能を確保することができる。この場合、制御基板17側の熱貫通部22と熱伝導性を有する絶縁シート16との間に介装される熱伝導絶縁体としては、熱伝導性液状ギャップ充填材27に代えて、後述の第2実施形態で用いられる低硬度の絶縁性熱伝導シート38(例えば、低硬度のシリコーンシート)を用いてもよい。なお、低硬度の絶縁シート38は、電気絶縁性が低く、それのみでは絶縁性を確保することが困難なため、高硬度の絶縁シート16と併用する必要がある。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図9ないし図11を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、絶縁シートを2枚に分割した構成としている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と略同様であるので説明は省略する。なお、熱交押え部材15および制御基板17の形状、制御回路21の配置構成等が若干異なっているが、機能的な違いはなく、同一符号を付して説明は省略した。
本実施形態においては、熱交押え部材15と制御基板17との間に介在される電気絶縁シートが、絶縁シート36と絶縁シート37とに2分割されている。
【0065】
絶縁シート36は、制御基板17の発熱性電気部品20が配設されている部分、すなわち熱貫通部22が設けられている部分に対応して配設される高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートであり、例えば、高硬度のシリコーンシート等が用いられる。一方、絶縁シート37は、熱貫通部22が設けられている部分以外の電気絶縁性のみを確保すればよい部分に対応して配設される高硬度の絶縁専用シートであり、例えば、ポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。この絶縁シート36,37には、熱交押え部材15側に設けられている位置決め用の突起15Aに嵌合される位置決め用の穴36A,37Aが設けられている。
【0066】
そして、熱伝導性を有する高硬度の絶縁シート36および絶縁専用の高硬度の絶縁シート37を介在して制御基板17を熱交押え部材15の上面に設置するに当たり、制御基板17側に設けられている熱貫通部22の製造上のバラツキに対応して熱伝導性を確保するため、図11に示させるように、絶縁シート36と制御基板17との間の熱貫通部22に対応する部位に、その製造上のバラツキを吸収して伝熱できるように低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38を介装している。この低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38としては、上記バラツキに対応して変形可能な柔らかい低硬度のシリコーンシート等を用いることができる。
【0067】
上記のように、絶縁シートが絶縁シート36と絶縁シート37に2分割され、熱貫通部22が設けられている部分に対応して設置される絶縁シート36が高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シート37が高硬度の絶縁専用シートとされている。このため、電気絶縁性と熱伝導性の双方の機能を確保する必要がある部分に設置される絶縁シート36には、双方の機能を有する、例えば高硬度シリコーンシート等を用い、一方、電気絶縁性のみを確保すればよい部分に設置される絶縁シート37には、例えば安価なポリイミドフィルム等のシートを用いることができ、これによって、絶縁シート36,37に求められる電気絶縁性と放熱性の双方の機能を十分に確保しながら低コスト化を図ることができる。
【0068】
一方、高硬度の熱伝導性絶縁シート36を用いることにより、熱貫通部22のバラツキを吸収することが難しくなるが、絶縁シート36と制御基板17との間の熱貫通部22に対応する部位に、低硬度のシリコーンシート等からなる低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38を介装することによって、発熱性電気部品20からの発熱を、熱貫通部22、低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38、熱伝導性を有する高硬度の絶縁シート36を経て熱交押え部材15に伝熱する放熱経路を形成し、ヒートシンクである熱交押え部材15に放熱することで冷却性能を確保することができる。従って、本実施形態によっても、発熱性電気部品20を表面実装した制御基板11の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置10の品質を安定、向上することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記した実施形態では、扁平熱交チューブ12を3層に積層し、各々の間にPTCヒータ13を組み込んだ構成としているが、これに限らず、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13の積層枚数を増減してもよいことはもちろんである。また、上記実施形態では、ケーシング11を樹脂材料製としているが、本発明は、これに限定されるものでないことは云うまでもない。
【0070】
さらに、上記した実施形態では、扁平熱交チューブ12として、扁平チューブ部12Aの両端に出・入口ヘッダ部12B,12Cを形成した両端ヘッダ構造の扁平熱交チューブ12を用いた例について説明したが、出・入口ヘッダ部12B,12Cを扁平チューブ部12Aの一端側に並設し、扁平チューブ部12AにUターン流路を形成した片端ヘッダ構造の扁平熱交チューブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 車両用空調装置
6 放熱器
10 熱媒体加熱装置
10A 熱媒体循環回路
11 ケーシング
12 扁平熱交チューブ
12A 扁平チューブ部
12B 入口ヘッダ部
12C 出口ヘッダ部
13 PTCヒータ
15 熱交押え部材
15A 突起
16 絶縁シート
16A 穴
16B 開口部
17 制御基板
17C 穴
20 発熱性電気部品(パワートランジスタ)
21 制御回路
22 熱貫通部
27 熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)
36 絶縁シート(高硬度の熱伝導性を有する絶縁シート)
36A 穴
37 絶縁シート(高硬度の絶縁専用シート)
37A 穴
38 低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTCヒータを用いて熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等に適用される車両用空調装置にあって、暖房用の熱源となる被加熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置の1つに、正特性サーミスタ素子(Positive Temperature Coefficient;以下、PTC素子という。)を発熱要素とするPTCヒータを用いたものが知られている。このような熱媒体加熱装置において、特許文献1には、熱媒体の入口および出口を備えたハウジング内を加熱室と熱媒体の循環室とに分割する多数の隔壁を設け、該隔壁により区画された加熱室側に隔壁と接するようにPTC素子を挿入設置し、該PTC素子によって隔壁を挟んで循環室側を流通する熱媒体を加熱するようにしたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、PTC素子を挟んでその両面に電極板、絶縁層および伝熱層を設けて平板状のPTCヒータを構成し、該PTCヒータの両面に、熱媒体の入口および出口を備えた互いに連通されている一対の熱媒体流通ボックスを積層するとともに、更にその外面側に制御基板を収容する基板収容ボックスおよび蓋体を設けた積層構造の熱媒体加熱装置が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、伝熱面となる隔壁間にPTC素子を密着させて挿入設置するのは難しく、隔壁とPTC素子間の接触熱抵抗が大きくなり、伝熱効率が低下するという課題があった。また、特許文献2のものでは、PTCヒータと熱媒体流通ボックスとの密着性を高め、接触熱抵抗を低減することができるが、PTCヒータを多層配置することが難しいため、平面面積が大きくなるとともに、熱媒体流通ボックスや専用の基板収容ボックスが必要で、小型軽量化、低コスト化には限界があった。
【0005】
そこで、扁平構造の熱交チューブを用い、該扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に多層に積層して熱交換エレメントを構成し、それをケーシング内に組み込むようにした熱媒体加熱装置が開発されている。このような積層構造の熱交換エレメントを用いたものにおいて、特許文献3には、積層された扁平熱交チューブに対して厚さ方向から圧縮荷重をかけて製造することにより、扁平熱交チューブ間に積層されている被冷却部品と扁平熱交チューブとを密着させるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−7106号公報
【特許文献2】特開2008−56044号公報
【特許文献3】特許第4100328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、複数枚の扁平熱交チューブ間にPTCヒータを交互に多層に積層した構成の熱媒体加熱装置では、PTCヒータの電極板に対して制御基板を経由して電力を供給するようにしており、その制御基板をケーシング内面に熱交換エレメントを押圧して組み込むための熱交押え部材上に配設している。しかしながら、制御基板上には、PTCヒータに対する通電制御を行うためのFETやIGBT等のパワートランジスタ(発熱性電気部品)を含む制御回路が表面実装されていることから、制御基板と熱交押え部材との間の絶縁性を確保しつつ、如何にしてパワートランジスタ等の発熱性電気部品に対する冷却性能を確保するかが課題となっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パワートランジスタ等の発熱性電気部品が実装されている制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、品質を安定化するとともに、その厚さ方向寸法を小さく、かつ扁平熱交チューブとPTCヒータ間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、小型・高性能化を図った熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の熱媒体加熱装置およびそれを備えた車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる熱媒体加熱装置は、入口ヘッダ部から流入された熱媒体が扁平チューブ部を流通後、出口ヘッダ部から流出される複数枚の扁平熱交チューブと、互いに積層される複数枚の前記扁平熱交チューブの前記扁平チューブ部間に組み込まれるPTCヒータと、交互に積層された前記扁平熱交チューブおよび前記PTCヒータを前記扁平熱交チューブの一面側からケーシングの内面に押圧して密着させる熱交押え部材と、前記熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して配設され、前記PTCヒータを制御する発熱性電気部品を含む制御回路が表面実装されている制御基板と、を備え、前記発熱性電気部品が、前記熱交押え部材をヒートシンクとし、前記制御基板上の実装位置に対応して設けられている熱貫通部および前記絶縁シートを介して冷却可能とされている熱媒体加熱装置であって、前記制御基板側の前記熱貫通部と前記絶縁シートおよび/または前記熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体が介装されていることを特徴とする。
【0010】
複数枚の扁平熱交チューブおよびPTCヒータが交互に積層された状態でケーシング内面に熱交押え部材により押圧されて組み込まれ、その熱交押え部材上にPTCヒータを制御する制御基板が絶縁シートを介して配設され、該制御基板に表面実装されている発熱性電気部品を、熱交押え部材をヒートシンクとし、制御基板の熱貫通部および絶縁シートを介して冷却可能としている熱媒体加熱装置にあっては、熱貫通部の制御基板裏面からの引っ込み量や飛び出し量のバラツキにより放熱性および電気絶縁性にバラツキが生じ、品質低下の要因となるが、制御基板側の熱貫通部と絶縁シートおよび/または熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介装しているため、発熱性電気部品を制御基板に表面実装し、その制御基板を熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して直接配設することにより、厚さ方向寸法を小さくした場合においても、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部の製造上のバラツキに関係なく、該熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して、制御基板の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして冷却することができる。従って、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置の品質を安定、向上することができる。また、扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に積層し、熱交押え部材により押圧して互いに密着させるようにしているため、両者間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置を小型・高性能化することができるとともに、発熱性電気部品を表面実装した制御基板を熱交押え部材上に絶縁シートを介して直接配設しているため、その積層方向(厚さ方向)寸法を小さくし、熱媒体加熱装置をコンパクト化することができる。
【0011】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有するシートとされていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、絶縁シートが高硬度の熱伝導性を有するシートとされているため、制御基板と熱交押え部材間の電気絶縁性を十分に確保することができるとともに、熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して伝達される発熱性電気部品の発熱を熱交押え部材に放熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして着実に冷却することができる。従って、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保することができる。なお、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとしては、例えば高硬度シリコーンシート等を用いることができる。
【0013】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートには、前記熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、絶縁シートに熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられているため、熱伝導性液状ギャップ充填材を開口部内に充填あるいは配置して制御基板を組み付けることにより、制御基板側の熱貫通部と該熱伝導性液状ギャップ充填材とを対応させ、熱貫通部の引っ込み量や飛び出し量に関係なく、発熱性電気部品から発熱を熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材を経て直接熱交押え部材に放熱することができる。また、熱伝導性液状ギャップ充填材として固形状のものではなく、液状から硬化されるものを用いても、それを開口部内に充填し、保持することができる。従って、発熱性電気部品からの放熱経路を確実に形成し、それの冷却性能を確保することができるとともに、この場合、絶縁シートを絶縁専用の高硬度のシート、例えばポリイミドフィルム等のシートとしてもよく、コスト低減することができる。
【0015】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上記の熱媒体加熱装置において、前記開口部の面積は、前記熱貫通部の面積よりも大きくされていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、開口部の面積が熱貫通部の面積よりも大きくされているため、熱交押え部材、絶縁シート、制御基板等が寸法公差の集積により相互に位置ずれしても、熱貫通部と熱伝導性液状ギャップ充填材とを確実に対応させることができる。従って、発熱性電気部品からの放熱経路を確実に形成し、その冷却性能を確保することができる。
【0017】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記絶縁シートは、少なくとも2分割され、前記熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、絶縁シートが少なくとも2分割され、熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされているため、電気絶縁性と熱伝導性の双方の機能を確保する必要がある部分に設置される絶縁シートには、双方の機能を有する、例えば高硬度シリコーンシート等を用い、一方、電気絶縁性のみを確保すればよい部分に設置されるシートには、例えば安価なポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。従って、絶縁シートに求められる電気絶縁性と放熱性の双方の機能を十分に確保しながら低コスト化を図ることができる。
【0019】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記熱交押え部材の表面には、複数個の突起が設けられ、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板に設けられている穴を前記突起に嵌合することにより、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板が位置決め可能とされていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、熱交押え部材の表面に複数個の突起が設けられ、絶縁シートおよび/または制御基板に設けられている穴を該突起に嵌合することにより、絶縁シートおよび/または制御基板が位置決め可能とされているため、熱交押え部材上に絶縁シートおよび/または制御基板を配設する際、熱交押え部材側の突起に対して絶縁シートおよび/または制御基板側の穴を嵌合することにより、それぞれを確実に位置決めして組み付けることができる。従って、制御基板側の熱貫通部の位置と、放熱用ギャップフィラー、低硬度熱伝導シート等の熱伝導絶縁体とを確実に対応させることができ、組み立て精度および組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0021】
さらに、本発明の熱媒体加熱装置は、上述のいずれかの熱媒体加熱装置において、前記熱交押え部材は、アルミ合金製の板材とされていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、熱交押え部材が、アルミ合金製の板材とされているため、制御基板上に実装された発熱性電気部品からの発熱を、熱貫通部、絶縁シートおよび/または熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して熱伝導性が良好でかつ軽量なアルミ合金製板材とされている熱交押え部材に伝熱し、扁平熱交チューブを冷却源とする熱交押え部材に放熱することにより、発熱性電気部品を冷却することができる。従って、熱交押え部材をヒートシンクに、制御基板に表面実装されている発熱性電気部品の冷却性能を高めることができ、熱に対する信頼性を向上することができるとともに、軽量化を維持することができる。
【0023】
さらに、本発明にかかる車両用空調装置は、空気流路中に配設されている放熱器に対して、熱媒体加熱装置で加熱された熱媒体が循環可能に構成されている車両用空調装置において、前記熱媒体加熱装置が、上述のいずれかの熱媒体加熱装置とされていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、空気流路中に配設されている放熱器に対して、上述のいずれかの熱媒体加熱装置により加熱された熱媒体が循環可能な構成とされているため、空気流路中に配設されている放熱器に対して供給される熱媒体を、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された上述の熱媒体加熱装置により加熱して供給することができる。従って、車両用空調装置の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置の搭載性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の熱媒体加熱装置によると、発熱性電気部品を制御基板に表面実装し、その制御基板を熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して直接配設することにより、厚さ方向寸法を小さくした場合においても、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部の製造上のバラツキに関係なく、該熱貫通部および熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体を介して、制御基板の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材をヒートシンクとして冷却することができるため、発熱性電気部品を表面実装した制御基板の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置の品質を安定、向上することができる。また、扁平熱交チューブとPTCヒータとを交互に積層し、熱交押え部材により押圧して互いに密着させるようにしているため、両者間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置を小型・高性能化することができるとともに、発熱性電気部品を表面実装した制御基板を熱交押え部材上に絶縁シートを介して直接配設しているため、それらの積層方向(厚さ方向)寸法を小さくし、熱媒体加熱装置をコンパクト化することができる。
【0026】
また、本発明の車両用空調装置によると、空気流路中に配設されている放熱器に対して供給される熱媒体を、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された上述の熱媒体加熱装置により加熱して供給することができるため、車両用空調装置の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置の搭載性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱媒体加熱装置を備えた車両用空調装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す熱媒体加熱装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示す熱媒体加熱装置のアッパケースを外した状態の平面図である。
【図4】図3中のA−A断面相当図である。
【図5】図2に示す熱媒体加熱装置の熱交押え部材および制御基板の分解斜視図である。
【図6】図5に示す熱交押え部材および制御基板の平面図である。
【図7】図6中のB−B断面相当図である。
【図8】図6中のC−C断面相当図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る熱媒体加熱装置の熱交押え部材および制御基板の分解斜視図である。
【図10】図9に示す熱交押え部材および制御基板の平面図である。
【図11】図10中のD−D断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図8を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る熱媒体加熱装置を備えた車両用空調装置の概略構成図が示されている。車両用空調装置1は、外気または車室内空気を取り込んで温調した後、それを車室内へと導くための空気流通路2を形成するケーシング3を備えている。
【0029】
ケーシング3の内部には、空気流通路2の上流側から下流側にかけて順次、外気または車室内空気を吸い込んで昇圧し、それを下流側へと圧送するブロア4と、該ブロア4により圧送される空気を冷却する冷却器5と、冷却器5を通過して冷却された空気を加熱する放熱器6と、放熱器6を通過する空気量と放熱器6をバイパスする空気量との流量割合を調整し、その下流側でエアミックスさせることによって、温調風の温度を調節するエアミックスダンパ7と、が設置されている。
【0030】
ケーシング3の下流側は、図示しない吹き出しモード切替えダンパおよびダクトを介して温調された空気を車室内に吹き出す複数の吹き出し口に接続されている。
冷却器5は、図示省略された圧縮機、凝縮器、膨張弁等と共に冷媒回路を構成し、膨張弁で断熱膨張された冷媒を蒸発させることによって、そこを通過する空気を冷却するものである。放熱器6は、タンク8、ポンプ9および熱媒体加熱装置10と共に熱媒体循環回路10Aを構成しており、熱媒体加熱装置10で加熱された高温の熱媒体(例えば、不凍液等)がポンプ9を介して循環されることによって、そこを通過する空気を加温するものである。
【0031】
図2には、図1に示された熱媒体加熱装置10の分解斜視図が示され、図3には、その熱媒体加熱装置10のアッパケースを外した状態の平面図、図4には、図3中のA−A断面相当図が示されている。
熱媒体加熱装置10は、図2に示されるように、箱形のケーシング11(ただし、ケーシング11を構成するロアケース11Aのみが示され、その上半部を構成するアッパケースは、図示省略されている。)と、複数枚(例えば、3枚)の扁平熱交チューブ12と複数組のPTCヒータ13とが交互に積層されている熱交換モジュール14と、該熱交換モジュール14をケーシング11のロアケース11Aの内底面に押圧して固定するための熱交押え部材15と、該熱交押え部材15の上面に後述する絶縁シート16(図5参照)を介して配設されるPTCヒータ13を制御する制御基板17と、から構成されている。
【0032】
ケーシング11は、上半部と下半部とに2分割される箱形構成とされており、下半部に位置されるロアケース11Aに対して、上半部に位置されるアッパケース(図示省略)がネジ止め固定されることにより、一体化される構成とされている。このケーシング11の内部空間に対して、上記した扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13からなる熱交換モジュール14、熱交押え部材15、絶縁シート16および制御基板17等が収容設置されるようになっている。
【0033】
ロアケース11Aの下面には、積層された3枚の扁平熱交チューブ12に導入される熱媒体を導くための熱媒体入口路11Bおよび扁平熱交チューブ12内を流通した熱媒体を導出するための熱媒体出口路11Cが、下方に突出されるように一体形成されているとともに、熱交押え部材15を締め付け固定するためのボス部11D(4箇所)が、上方に突出されるように一体形成されている。このロアケース11Aは、その内部空間に収容設置される扁平熱交チューブ12を形成するアルミ合金材と線膨張率が近似している、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材により成形されている。なお、アッパケースも、ロアケース11Aと同様の樹脂材により成形されることが望ましい。
【0034】
さらに、ロアケース11Aの下面には、電源ハーネス18およびLVハーネス19の先端部を貫通するための電源ハーネス用孔およびLVハーネス用孔(共に図示省略)が開口されている。電源ハーネス18は、制御基板17を介してPTCヒータ13に電力を供給するためのものであり、先端部が2又状に分岐され、制御基板17に設けられている2つの電源ハーネス用端子台17Aにネジ等を介してネジ止め可能とされている。また、LVハーネス19は、制御基板17に対して制御用の信号を送信するためのものであり、その先端部は、制御基板17にコネクタ接続可能とされている。
【0035】
制御基板17は、上位制御装置(ECU)からの指令に基づいて複数組のPTCヒータ13に対する通電制御を行うものであり、FETやIGBT等からなる複数のパワートランジスタ(発熱性電気部品)20を含む制御回路21が表面実装され、その制御回路21を介して複数組のPTCヒータ13に対する通電状態が切替え可能に構成されているものである。なお、図2,3に示す制御基板17と図5,6に示す制御基板17は、発熱性電気部品20および制御回路21の配置が異なるものが例示されているが、機能的には同じものである。この制御基板17は、少なくとも発熱性電気部品である複数のパワートランジスタ20が実装される部位に対応して、基板両面に貫通されるように、銅やアルミ等の高熱伝導性材からなる熱貫通部22(図7参照)が設けられた構成とされている。
【0036】
そして、上記複数組のPTCヒータ13をその両面側から挟み込むように複数枚の扁平熱交チューブ12が積層され、熱交換モジュール14が構成されている。この扁平熱交チューブ12は、アルミ合金製薄板をプレス成形したチューブ材を重ね合わせて構成されたものであり、図2および図4に示されているように、例えば3枚の扁平熱交チューブ12を互いに平行に積層し、その扁平熱交チューブ12間にそれぞれPTCヒータ13を積層することによって、熱交換モジュール14を構成している。
【0037】
各扁平熱交チューブ12は、厚さが数ミリ程度の扁平断面形状とされた扁平チューブ部12Aと、その両端部分に形成された熱媒体が流入する入口ヘッダ部12Bおよび熱媒体が流出する出口ヘッダ部12Cとを備えた構成とされており、扁平チューブ部12Aの内部には、波板状のインナーフィン(図示省略)が挿入され、チューブ内に複数の熱媒体流通路が形成されるようになっている。このような扁平熱交チューブ12は、特別のものではなく、公知のものである。
【0038】
3枚の扁平熱交チューブ12は、下段、中段、上段の順に順次積層され、その両端の入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12C同士が互いにOリング等のシール材を介して密接され、入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cに設けられている図示省略の連通穴が互いに連通されるようになっている。この3枚の扁平熱交チューブ12は、積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面に組み込まれ、後述するようにロアケース11Aのボス部11D(4箇所)に締め付け固定される熱交押え部材15を介して、ロアケース11Aの内底面に向け押圧固定されるようになっている。
【0039】
また、3枚の扁平熱交チューブ12間に挟み込まれることにより、熱交換モジュール14を構成している複数組(例えば、2組)のPTCヒータ13は、公知のように、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)23の上下両面にそれぞれ電極板24を接触配設したものであり、絶縁シート等を介して3枚の扁平熱交チューブ12間に積層配置されている。なお、PTCヒータ13は、3枚の扁平熱交チューブ12と共に積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面に組み込まれ、上記の如く熱交押え部材15を介してロアケース11Aの内底面に押圧固定されるようになっている。
【0040】
電極板24は、PTC素子23に対して電力を供給するためのもので、平面視が矩形状を呈するアルミ合金製板材により構成されている。この電極板24は、PTC素子23を挟んでその両面に、PTC素子23の上面に接するように一枚、PTC素子23の下面に接するように一枚それぞれ積層配置されており、これら2枚の電極板24によって、PTC素子23が上下両面から挟み込まれるようになっている。
【0041】
さらに、PTC素子23の上面側に配置される電極板24は、その上面が扁平熱交チューブ12の下面に接するように配設され、PTC素子23の下面側に配置される電極板24は、その下面が扁平熱交チューブ12の上面に接するように配設されるように構成されている。本実施形態においては、電極板24は、下段の扁平熱交チューブ12と中段の扁平熱交チューブ12との間、中段の扁平熱交チューブ12と上段の扁平熱交チューブ12との間に各々2枚、合計4枚が配置されている。
【0042】
これら4枚の電極板24は、各扁平熱交チューブ12の扁平チューブ部12Aと略同一形状とされており、それぞれの長辺側に1つの端子24Aが一体に設けられている。この端子24Aは、各電極板24を積層させたとき、重ならないように、電極板24の長辺方向に沿って配置されている。つまり、各電極板24に設けられている端子24Aは、その長辺方向に沿って少しずつ位置がずらされて設けられ、各電極板24が積層された場合に直列に配列されるように設けられている。各端子24Aは、上方に突出するようにL字状に曲げ形成されており、制御基板17の表面側の一辺に並設されている複数組(4組)の端子台17Bにネジ等を介して接続されるようになっている。
【0043】
3枚の扁平熱交チューブ12および2組のPTCヒータ13は、上記の如く積層された状態または順次積層されながらロアケース11Aの内底面上に組み込まれ、その最上段の扁平熱交チューブ12の上面が、ロアケース11Aのボス部11D(4箇所)に4個のネジ25により締め付け固定される熱交押え部材15を介して、ロアケース11Aの内底面方向に押圧されることにより、各扁平熱交チューブ12の入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cの上下面同士、並びに各扁平熱交チューブ12の扁平チューブ部12AとPTCヒータ13の上下面同士がそれぞれ密着状態とされるようになっている。
【0044】
これによって、ケーシング11内部に熱交換モジュール14が組み込まれ、ロアケース11Aの熱媒体入口路11Bから導入された熱媒体は、各扁平熱交チューブ12の入口ヘッダ部12Bから扁平チューブ部12A内へと導かれ、この扁平チューブ部12A内を流通する過程において、PTCヒータ13により加熱昇温されて各出口ヘッダ部12Cに流出し、そこからロアケース11Aの熱媒体出口路11Cを経て熱媒体加熱装置10の外部へと導出されるようになる。そして、熱媒体加熱装置10から導出された熱媒体は、熱媒体循環回路10A(図1参照)を介して放熱器6に供給されるようになっている。
【0045】
熱交押え部材15は、制御基板17に表面実装されている複数の発熱性電気部品20を銅やアルミ等の高熱伝導性材からなる熱貫通部22を介して冷却するヒートシンクとしての機能を兼ね備えたものであり、アルミ合金製の板材により構成されている。この熱交押え部材15は、扁平熱交チューブ12の上面を覆う大きさとされたものであり、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13からなる熱交換モジュール14をロアケース11Aに内底面に押圧して固定する際、入口ヘッダ部12Bおよび出口ヘッダ部12Cの周囲におけるシール性を確保するため、その中心線を通る位置でネジ25によりケーシング11のボス部11Dに締め付け固定されるように構成されている。
【0046】
PTCヒータ13を制御する発熱性電気部品20を含む制御回路21が実装されている制御基板17は、熱交押え部材15の上面に絶縁シート16を介して複数個のネジ26で一体にネジ止め固定されるようになっている。絶縁シート16および制御基板17は、熱交押え部材15の上面の複数箇所に設けられている突起15Aに対して、絶縁シート16および制御基板17にそれぞれ設けられている複数の穴16A,17Cを嵌合することにより、位置決めされて組み付けられるように構成されている(図8参照)。
【0047】
制御基板17の組み付けにより発熱性電気部品20と対応して設けられている熱貫通部22は、絶縁シート16を貫通または絶縁シート16を介してヒートシンクとして機能する熱交押え部材15と接触されるように構成される。しかるに、熱貫通部22の制御基板17の裏面からの引っ込み量や飛び出し量には、製造上のバラツキがあるため、上記の組付けにより熱貫通部22が熱交押え部材15や絶縁シート16に正常に接触されているとの保証はなく、制御基板17の放熱性や電気絶縁性は確保されない。
【0048】
そこで、本実施形態では、絶縁シート16の熱貫通部22と対応する部位に、複数の開口部16Bを設け、該開口部16Bに対して、図7に示されるように、絶縁性の熱伝導材料からなる熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介装することにより、熱貫通部22の製造上のバラツキを吸収して熱貫通部22と熱交押え部材15とが、電気絶縁性を保持したままで確実に熱的に接続されるように構成している。なお、絶縁性を有する熱伝導性液状ギャップ充填材27としては、例えば熱伝導性シリコーンエラストマーであって、シリコーンをベース樹脂とし、芯材、充填材としてファイバーグラス、アルミナ等を用いたもので、固形状のもの、液状から硬化されるもの等が知られ、液状から硬化した後、あるいは固形状の状態で形状追従性弾性体として機能するものである。
【0049】
また、本実施形態では、液状から硬化される熱伝導性液状ギャップ充填材27を使用することを前提に、絶縁シート16に開口部16Bを設け、この開口部16Bの面積を熱貫通部22の面積よりも大きくし、熱交押え部材15、絶縁シート16および制御基板17等が寸法公差の集積により相対的に位置ずれしても、開口部16B内に介装された熱伝導性液状ギャップ充填材27と熱貫通部22とが確実に対応されるようにしている。この実施形態の場合、絶縁シート16は、熱伝導性を有する必要がなく、電気絶縁性を有する絶縁専用の高硬度のシート、例えばポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。
【0050】
上記のようにして熱交押え部材15上に組み付けられた制御基板17には、その端子台17Aに対して2又状に分岐された電源ハーネス18が接続されるとともに、LVハーネス19がコネクタ接続され、更に端子台17Bに対して、PTCヒータ13の電極板24から延長されている端子24Aがネジ等を介して直接接続されることにより、電気系統の結線が行われ、これによって、制御基板17が熱交押え部材15上に組み込まれ、ケーシング11内に収容設置されるように構成されている。
【0051】
以上に説明の熱媒体加熱装置10は、ケーシング11のロアケース11Aの内底面に3枚の扁平熱交チューブ12と2組のPTCヒータ13とを、PTCヒータ13の両面を絶縁シート(図示せず)で挟みながら、それらを順次1枚ずつ積層して組み込み、熱交換モジュール14が組み込まれた段階で、熱交押え部材15によりその上面を押圧してロアケース11Aに対して締め付け固定するか、もしくは熱交換モジュール14をサブアッセンブリした後、ロアケース11A内に組み込み、その上面を熱交押え部材15で押圧して締め付け固定することによって、各扁平熱交チューブ12および各PTCヒータ13をそれぞれ互いに密着させた状態で組み付けることができる。
【0052】
続いて、熱交押え部材15の上面に、絶縁シート16を突起15Aに穴16Aを嵌合することにより位置決めして積層し、更に該絶縁シート16の開口部16Bに熱伝導性液状ギャップ充填材27を充填する。その絶縁シート16の上に、制御基板17を突起15Aに穴17Cを嵌合することにより位置決めして積層し、該制御基板17をネジ26により熱交押え部材15に対してネジ止め固定する。その後、電気系統の結線を行い、その上部覆うように、図示省略されているアッパケースをロアケース11Aにネジ止め固定することによって、熱媒体加熱装置10を組み立てることができる。
【0053】
こうして製造された熱媒体加熱装置10は、車両用空調装置1の熱媒体循環回路10Aに組み込まれ、熱媒体入口路11Bを経て入口ヘッダ部12Bに流入された熱媒体を複数枚の扁平熱交チューブ12内に流通させ、PTCヒータ13によって加熱した後、出口ヘッダ部12Cから熱媒体出口路11Cを介して流出させることにより、熱媒体循環回路10A内を循環される熱媒体の加熱に供されるようになっている。
【0054】
斯くして、本実施形態の熱媒体加熱装置10および車両用空調装置1によれば、以下の作用効果を奏する。
複数枚の扁平熱交チューブ12が積層され、その扁平チューブ部12A間にPTCヒータ13が挟み込まれた状態で、各扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13が、熱交押え部材15によりロアケース11Aに対して押圧されて締め付け固定される構成とされている。これによって、複数枚の扁平熱交チューブ12と複数組のPTCヒータ13とをそれぞれ互いに密着させて組み込むことができる。
【0055】
このため、扁平熱交チューブ12とPTCヒータ13との間の接触熱抵抗を低減して伝熱効率を向上し、熱媒体加熱装置10を高性能化することができるとともに、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13を交互に多層に積層した構成とすることにより、その平面面積を小さくし、熱交換モジュール14、ひいては熱媒体加熱装置10をコンパクト化することができる。
【0056】
また、熱交押え部材15の上面に、絶縁シート16を介装してPTCヒータ13を制御するパワートランジスタ等の発熱性電気部品20を含む制御回路21が表面実装されている制御基板17を設置するとともに、その制御基板17に発熱性電気部品20の実装位置に対応して両面に貫通された熱貫通部22を設け、発熱性電気部品20を、熱交押え部材15をヒートシンクとし、熱貫通部22を介して冷却可能としている。このため、制御基板17上に表面実装されている発熱性電気部品20を、熱交押え部材15をヒートシンクに熱貫通部22を介して効率よく冷却することができ、従って、制御基板17の組み付けの容易性や熱に対する信頼性を確保し、専用の基板収容ボックス等を省くとともに、熱交押え部材15および制御基板17の積層方向寸法(厚さ方向寸法)を小さくし、熱媒体加熱装置10を小型軽量化、低コスト化することができる。
【0057】
さらに、熱貫通部22を介して制御基板17に表面実装された発熱性電気部品20を冷却する際、熱貫通部22の制御基板17裏面からの引っ込み量や飛び出し量に製造上のバラツキがあったとしても、熱貫通部22と熱交押え部材15との間に、絶縁シート16に開口部16Bを設けて絶縁性を有する熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介装した構成としているため、この熱伝導性液状ギャップ充填材27により熱貫通部22の製造上のバラツキを吸収し、そのバラツキに関係なく、発熱性電気部品の発熱を熱貫通部22および熱伝導性液状ギャップ充填材27を介して、制御基板17の裏面側に確実に伝熱し、熱交押え部材15をヒートシンクとして冷却することができる。従って、発熱性電気部品20を表面実装した制御基板17の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置10の品質を安定、向上することができる。
【0058】
特に、絶縁シート16に開口されている開口部16Bの面積が熱貫通部22の面積よりも大きくされているため、熱交押え部材15、絶縁シート16、制御基板17等が寸法公差の集積により相互に位置ずれしても、熱貫通部22と熱伝導性液状ギャップ充填材27とを確実に対応させることができる。従って、発熱性電気部品20からの放熱経路を確実に形成し、その冷却性能を確保することができる。
【0059】
また、本実施形態では、熱交押え部材15の表面に複数個の突起15Aを設け、絶縁シート16、制御基板17に設けられている穴16A,17Cを該突起15Aに嵌合することにより、絶縁シート16、制御基板17を位置決め可能としているため、熱交押え部材15上に絶縁シート16、制御基板17を配設する際、熱交押え部材15側の突起15Aに対して絶縁シート16、制御基板17側の穴16A,17Cを嵌合することにより、それぞれを確実に位置決めして組み付けることができる。従って、制御基板17側の熱貫通部22の位置と、熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27とを確実に対応させることができ、組み立て精度および組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0060】
さらに、本実施形態においては、熱交押え部材15が、アルミ合金製の板材とされているため、制御基板17上の発熱性電気部品20からの熱を、熱貫通部22および熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)27を介して熱伝導性が良好でかつ軽量なアルミ合金製板材とされている熱交押え部材15に伝熱し、扁平熱交チューブ12を冷却源とする熱交押え部材15に放熱することにより、発熱性電気部品20を冷却することができる。従って、熱交押え部材15をヒートシンクに、制御基板17に表面実装されている発熱性電気部品20の冷却性能を高めることができ、熱に対する信頼性を向上することができるとともに、軽量化を維持することができる。
【0061】
また、上述のように、高品質で信頼性が高く、かつ小型・高性能化された熱媒体加熱装置10により加熱された熱媒体を空気流路2中に配設されている放熱器6に供給することができるため、車両用空調装置1の信頼性、およびその空調性能、特に暖房性能の向上を図ることができるとともに、車両に対する空調装置1の搭載性を向上することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、絶縁シート16に開口部16Bを設け、液状から硬化されるタイプの熱伝導性液状ギャップ充填材27を充填して、制御基板17側の熱貫通部22と熱交押え部材15との間に熱伝導性液状ギャップ充填材27を介装しているが、絶縁シート16に開口部16Bを設けずに、絶縁シート16の上面に熱貫通部22と対応するように固形タイプの熱伝導性液状ギャップ充填材27を配置し、その上に制御基板17を積層配置した構成としてもよく、この場合、絶縁シート16として熱伝導性を有する、例えば高硬度のシリコーンシート等を用いることにより、上記実施形態と略同様の効果を得ることができる。
【0063】
つまり、この実施形態では、発熱性電気部品20からの発熱を、熱貫通部22、熱伝導性液状ギャップ充填材27、熱伝導性を有する絶縁シート16を経て熱交押え部材15に伝熱する放熱経路により、ヒートシンクである熱交押え部材15に放熱し、その冷却性能を確保することができる。この場合、制御基板17側の熱貫通部22と熱伝導性を有する絶縁シート16との間に介装される熱伝導絶縁体としては、熱伝導性液状ギャップ充填材27に代えて、後述の第2実施形態で用いられる低硬度の絶縁性熱伝導シート38(例えば、低硬度のシリコーンシート)を用いてもよい。なお、低硬度の絶縁シート38は、電気絶縁性が低く、それのみでは絶縁性を確保することが困難なため、高硬度の絶縁シート16と併用する必要がある。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図9ないし図11を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、絶縁シートを2枚に分割した構成としている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と略同様であるので説明は省略する。なお、熱交押え部材15および制御基板17の形状、制御回路21の配置構成等が若干異なっているが、機能的な違いはなく、同一符号を付して説明は省略した。
本実施形態においては、熱交押え部材15と制御基板17との間に介在される電気絶縁シートが、絶縁シート36と絶縁シート37とに2分割されている。
【0065】
絶縁シート36は、制御基板17の発熱性電気部品20が配設されている部分、すなわち熱貫通部22が設けられている部分に対応して配設される高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートであり、例えば、高硬度のシリコーンシート等が用いられる。一方、絶縁シート37は、熱貫通部22が設けられている部分以外の電気絶縁性のみを確保すればよい部分に対応して配設される高硬度の絶縁専用シートであり、例えば、ポリイミドフィルム等のシートを用いることができる。この絶縁シート36,37には、熱交押え部材15側に設けられている位置決め用の突起15Aに嵌合される位置決め用の穴36A,37Aが設けられている。
【0066】
そして、熱伝導性を有する高硬度の絶縁シート36および絶縁専用の高硬度の絶縁シート37を介在して制御基板17を熱交押え部材15の上面に設置するに当たり、制御基板17側に設けられている熱貫通部22の製造上のバラツキに対応して熱伝導性を確保するため、図11に示させるように、絶縁シート36と制御基板17との間の熱貫通部22に対応する部位に、その製造上のバラツキを吸収して伝熱できるように低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38を介装している。この低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38としては、上記バラツキに対応して変形可能な柔らかい低硬度のシリコーンシート等を用いることができる。
【0067】
上記のように、絶縁シートが絶縁シート36と絶縁シート37に2分割され、熱貫通部22が設けられている部分に対応して設置される絶縁シート36が高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シート37が高硬度の絶縁専用シートとされている。このため、電気絶縁性と熱伝導性の双方の機能を確保する必要がある部分に設置される絶縁シート36には、双方の機能を有する、例えば高硬度シリコーンシート等を用い、一方、電気絶縁性のみを確保すればよい部分に設置される絶縁シート37には、例えば安価なポリイミドフィルム等のシートを用いることができ、これによって、絶縁シート36,37に求められる電気絶縁性と放熱性の双方の機能を十分に確保しながら低コスト化を図ることができる。
【0068】
一方、高硬度の熱伝導性絶縁シート36を用いることにより、熱貫通部22のバラツキを吸収することが難しくなるが、絶縁シート36と制御基板17との間の熱貫通部22に対応する部位に、低硬度のシリコーンシート等からなる低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38を介装することによって、発熱性電気部品20からの発熱を、熱貫通部22、低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)38、熱伝導性を有する高硬度の絶縁シート36を経て熱交押え部材15に伝熱する放熱経路を形成し、ヒートシンクである熱交押え部材15に放熱することで冷却性能を確保することができる。従って、本実施形態によっても、発熱性電気部品20を表面実装した制御基板11の放熱性および電気絶縁性を確保し、熱媒体加熱装置10の品質を安定、向上することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記した実施形態では、扁平熱交チューブ12を3層に積層し、各々の間にPTCヒータ13を組み込んだ構成としているが、これに限らず、扁平熱交チューブ12およびPTCヒータ13の積層枚数を増減してもよいことはもちろんである。また、上記実施形態では、ケーシング11を樹脂材料製としているが、本発明は、これに限定されるものでないことは云うまでもない。
【0070】
さらに、上記した実施形態では、扁平熱交チューブ12として、扁平チューブ部12Aの両端に出・入口ヘッダ部12B,12Cを形成した両端ヘッダ構造の扁平熱交チューブ12を用いた例について説明したが、出・入口ヘッダ部12B,12Cを扁平チューブ部12Aの一端側に並設し、扁平チューブ部12AにUターン流路を形成した片端ヘッダ構造の扁平熱交チューブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 車両用空調装置
6 放熱器
10 熱媒体加熱装置
10A 熱媒体循環回路
11 ケーシング
12 扁平熱交チューブ
12A 扁平チューブ部
12B 入口ヘッダ部
12C 出口ヘッダ部
13 PTCヒータ
15 熱交押え部材
15A 突起
16 絶縁シート
16A 穴
16B 開口部
17 制御基板
17C 穴
20 発熱性電気部品(パワートランジスタ)
21 制御回路
22 熱貫通部
27 熱伝導性液状ギャップ充填材(熱伝導絶縁体)
36 絶縁シート(高硬度の熱伝導性を有する絶縁シート)
36A 穴
37 絶縁シート(高硬度の絶縁専用シート)
37A 穴
38 低硬度の絶縁性熱伝導シート(熱伝導絶縁体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ヘッダ部から流入された熱媒体が扁平チューブ部を流通後、出口ヘッダ部から流出される複数枚の扁平熱交チューブと、
互いに積層される複数枚の前記扁平熱交チューブの前記扁平チューブ部間に組み込まれるPTCヒータと、
交互に積層された前記扁平熱交チューブおよび前記PTCヒータを前記扁平熱交チューブの一面側からケーシングの内面に押圧して密着させる熱交押え部材と、
前記熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して配設され、前記PTCヒータを制御する発熱性電気部品を含む制御回路が表面実装されている制御基板と、を備え、
前記発熱性電気部品が、前記熱交押え部材をヒートシンクとし、前記制御基板上の実装位置に対応して設けられている熱貫通部および前記絶縁シートを介して冷却可能とされている熱媒体加熱装置であって、
前記制御基板側の前記熱貫通部と前記絶縁シートおよび/または前記熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体が介装されていることを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項2】
前記絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有するシートとされていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項3】
前記絶縁シートには、前記熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項4】
前記開口部の面積は、前記熱貫通部の面積よりも大きくされていることを特徴とする請求項3に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項5】
前記絶縁シートは、少なくとも2分割され、前記熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項6】
前記熱交押え部材の表面には、複数個の突起が設けられ、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板に設けられている穴を前記突起に嵌合することにより、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板が位置決め可能とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項7】
前記熱交押え部材は、アルミ合金製の板材とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項8】
空気流路中に配設されている放熱器に対して、熱媒体加熱装置で加熱された熱媒体が循環可能に構成されている車両用空調装置において、
前記熱媒体加熱装置が、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の熱媒体加熱装置とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項1】
入口ヘッダ部から流入された熱媒体が扁平チューブ部を流通後、出口ヘッダ部から流出される複数枚の扁平熱交チューブと、
互いに積層される複数枚の前記扁平熱交チューブの前記扁平チューブ部間に組み込まれるPTCヒータと、
交互に積層された前記扁平熱交チューブおよび前記PTCヒータを前記扁平熱交チューブの一面側からケーシングの内面に押圧して密着させる熱交押え部材と、
前記熱交押え部材の上面に絶縁シートを介して配設され、前記PTCヒータを制御する発熱性電気部品を含む制御回路が表面実装されている制御基板と、を備え、
前記発熱性電気部品が、前記熱交押え部材をヒートシンクとし、前記制御基板上の実装位置に対応して設けられている熱貫通部および前記絶縁シートを介して冷却可能とされている熱媒体加熱装置であって、
前記制御基板側の前記熱貫通部と前記絶縁シートおよび/または前記熱交押え部材との間に、熱伝導性液状ギャップ充填材、低硬度の絶縁性熱伝導シート等の熱伝導絶縁体が介装されていることを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項2】
前記絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有するシートとされていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項3】
前記絶縁シートには、前記熱伝導性液状ギャップ充填材が介装される部位に対応して開口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項4】
前記開口部の面積は、前記熱貫通部の面積よりも大きくされていることを特徴とする請求項3に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項5】
前記絶縁シートは、少なくとも2分割され、前記熱貫通部が設けられている部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の熱伝導性を有する絶縁シートとされ、それ以外の部分に対応して設置される絶縁シートは、高硬度の絶縁専用のシートとされていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項6】
前記熱交押え部材の表面には、複数個の突起が設けられ、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板に設けられている穴を前記突起に嵌合することにより、前記絶縁シートおよび/または前記制御基板が位置決め可能とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項7】
前記熱交押え部材は、アルミ合金製の板材とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項8】
空気流路中に配設されている放熱器に対して、熱媒体加熱装置で加熱された熱媒体が循環可能に構成されている車両用空調装置において、
前記熱媒体加熱装置が、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の熱媒体加熱装置とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−71617(P2013−71617A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212612(P2011−212612)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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