説明

熱成形品打ち抜き用切断型およびこれを備える切断装置

【課題】熱成形品の製造ラインの稼働率向上に寄与し得る切断型を提供する。
【解決手段】樹脂シート5に熱成形された成形品5aを樹脂シート5から打ち抜くための切断型31である。この切断型31は、成形品5aを打ち抜く切断刃34と、切断刃34の内周に設けられ、打ち抜いた成形品5aを保持する保持部35と、切断刃34の内周に配置され、成形品5aを加圧可能のノックアウト具38と、切断刃34およびノックアウト具38を支持する基板32とを備え、保持部35で保持した打ち抜き後の成形品5aをノックアウト具38で加圧して切断刃34の内周から排出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切断型に関し、特に、樹脂シートに熱成形された成形品を樹脂シートから打ち抜くために用いる切断型、およびこれを備える切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、電気部品、日用品等を収容する樹脂製の容器は、加熱された樹脂シートを成形型の成形凹部に沿わせて変形させることで得られる成形品を、切断装置を用いて樹脂シートから打ち抜くことによって得られる。この種の切断装置は、切断刃を有する切断型と、切断刃を受ける切断台と、両者を相対的に接近および離反移動させる駆動機構とを主要な構成として備え、熱成形装置としての真空成形装置内に組み込んで用いられる場合(例えば、特許文献1を参照)と、真空成形装置とは別に設けられる場合とがある。
【0003】
上記特許文献1に記載の切断型は、駆動機構に固定される基板と、基板に支持された環状の切断刃(トムソン刃)とを主要な構成として備え、切断刃は、成形型に複行複列設けられた成形凹部の配列態様に対応するかたちで基板に固着されている。例えば、4行×4列の成形凹部を有する成形型を用いる場合、切断型には4行×4列切断刃が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−88208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の真空成形装置では、切断工程において一部を切り残した状態で成形品を樹脂シートから切断した後、切断工程の下流側に設けたノックアウト工程で成形品を樹脂シートから完全に分離させることによって個々の成形品が得られる。そのため、ノックアウト工程には、成形品を樹脂シートから完全分離させるべく、成形品を加圧するノックアウト具が、成形品の配列態様やピッチに対応するかたちで配設される。この場合、異なる成形品を成形する際(段替え時)には、成形型や切断型の交換(型替え)を行うだけでなく、ノックアウト具の配列態様等を調整しなければならない。しかしながら、かかる調整作業は多大な手間を要するため、成形装置(製造ライン)の稼働率を低下させる。特に、多品種少量生産対応の製造ラインにおいては、高頻度に段替えが行われる分、上記の調整作業も高頻度に行う必要があるために稼働率の低下が顕著となる。
【0006】
また、熱成形品の製造ラインにおいて、成形工程で成形品が熱成形された樹脂シートは、切断工程に搬送されるまでの間に冷却され、収縮する。この樹脂シートの収縮、すなわち寸法変化に起因して打ち抜き不良(いわゆる抜きズレ)が生じるのを極力防止すべく、切断刃の径やピッチは樹脂シートの収縮率を考慮して、成形型に設けた成形凹部のそれよりも小さく設定されるのが通例である。しかし、樹脂シートの収縮率は、シート材質、シート厚、周辺温度等、種々の要因によって変動することに加え、駆動機構に対する成形型の取り付け態様(姿勢)も常に一定であるとは限らない。従い、切断刃のピッチ等を調整するだけでは抜きズレ防止対策としては不十分であり、切断型の取り付け態様を都度調整することで抜きズレを防止するようにしているのが実情である。しかしながら、かかる調整作業は手間と経験を要するために、稼働率の低下要因である。
【0007】
本発明の目的は、熱成形品の製造ライン、特に多品種少量生産対応の製造ラインの稼働率向上に寄与し得る切断型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明では、第1の構成として、樹脂シートに熱成形された成形品を打ち抜くための切断型であって、成形品を打ち抜く切断刃と、切断刃の内周に設けられ、打ち抜いた成形品を保持する保持部と、切断刃の内周に配置され、成形品を加圧可能のノックアウト具と、切断刃およびノックアウト具を支持する基板とを備え、保持部で保持した打ち抜き後の成形品をノックアウト具で加圧して切断刃の内周から排出することを特徴とする熱成形品打ち抜き用切断型を提供する。
【0009】
上記のように、本発明に係る切断型では、切断刃およびノックアウト具を基板で支持しているので、基板、切断刃、保持部、およびノックアウト具を備える切断型を一組のアセンブリとして取り扱うことが可能となる。従って、切断刃、保持部、およびノックアウト具を成形品の形状や数に対応させた切断型を予め複数組準備しておけば、段替え時においては、切断型を対応するものに交換することでノックアウト工程の調整作業が完了する。そのため、段替え時に、ノックアウト工程でノックアウト具の位置や数を調整する作業が不要となり、熱成形品の製造ライン、特に高頻度に段替え(型替え)が行われる多品種少量生産対応の製造ラインの稼働率を高めることができる。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明では、第2の構成として、樹脂シートに熱成形された成形品を打ち抜くための切断型であって、成形品を打ち抜く切断刃と、切断刃の内周に設けられ、成形品を、切断刃内周に案内してから保持する保持部と、切断刃を支持する基板とを備え、切断刃および保持部を、基板に対して打ち抜き方向と直交する方向に一体移動可能にしたことを特徴とする熱成形品打ち抜き用切断型を提供する。
【0011】
上記構成を採用すれば、樹脂シートの収縮に伴う寸法変化量や成形型の取り付け態様のばらつきを切断刃の可動範囲内で吸収することができ、さらには、成形品の打ち抜きに際して、成形品の中心を基準として切断刃の位置合わせを行うことが可能となる。そのため、切断刃および保持部の移動可能量を適切に確保しておけば、成形型の取り付け態様等に応じて切断型の取り付け態様を調整することなく抜きズレを防止することができる。従い、駆動機構に対する切断型の取り付け態様を調整する手間を軽減あるいは省略して、熱成形品の製造ラインの稼働率を高めることができる。
【0012】
上記本発明の第1構成に、上記本発明の第2構成を適用することも可能である。具体的には、保持部を、成形品を切断刃内周に案内してから保持するように構成し、切断刃および保持部を、基板に対して打ち抜き方向と直交する方向に一体移動可能にすれば良い。これにより、熱成形品の製造ラインの稼働率を一層高めることができる。
【0013】
切断刃は、着脱可能に基板で支持することができる。かかる構成は、切断刃が複数設けられる場合に好適である。このようにすれば、複数設けられた切断刃のうちの一部が欠損等したとしても、この欠損等した切断刃のみを交換すれば足り、切断型全体を交換する必要がなくなるからである。従い、製造ラインの稼働率向上に寄与することができることに加え、切断型のメンテナンスコストを減じることができる。このとき用いる切断刃をトムソン刃とすれば、切断刃、ひいては切断型を安価に製作することができる。
【0014】
以上に示す本発明に係る切断型と、切断型の切断刃を受ける切断台と、切断型と切断台を相対的に接近および離反移動させる駆動機構とで切断装置を構築することができ、この切断装置は、真空成形装置、真空圧空成形装置等の熱成形装置に好適に組み込むことができる。この切断装置は、熱成形装置とは別に設けることもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明にかかる切断型を用いれば、従来、段替えに伴って必要とされた各種調整作業を行う手間を軽減あるいは省略することが可能となる。これにより、熱成形品の製造ライン、特に段替えが高頻度に行われる多品種少量生産対応の製造ラインの稼働率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】真空成形装置の全体構造を概念的に示す側面図である。
【図2】(a)図は、図1に示す真空成形装置における成形工程の概略正面図、(b)図は同切断工程の概略正面図である。
【図3】図2(b)に示す切断型の詳細平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)図は切断工程を概念的に示す側面図、(b)図はノックアウト工程を概念的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る熱成形品打ち抜き用切断型(以下、切断型という)31を組み込んだ熱成形装置としての真空成形装置1の全体構造を概念的に示す側面図である。同図に示す真空成形装置1には、熱成形品を量産するのに必要な一連の工程(装置)が全て組み込まれている。具体的には、上流側(図中左側)から下流側(図中右側)に向かって加熱工程10、成形工程20、切断工程30、およびノックアウト工程40が順に設けられ、樹脂シート5を搬送する搬送手段6と、スクラップワインダー50とをさらに備える。
【0019】
本実施形態の搬送手段6は、架台3に回転可能に支持された原反ロール2から繰り出された樹脂シート5の幅方向両端部を掴み、樹脂シート5を切断工程30の下流側まで搬送するものである(図2(a)(b)を参照)。
【0020】
加熱工程10は、樹脂シート5を成形適温まで加熱軟化させる工程であり、樹脂シート5の上方および下方の何れか一方又は双方に配されたヒータ(例えば、赤外線ラジエーターヒータ)を主要な構成部材として備える。
【0021】
成形工程20は、加熱工程10で成形適温に加熱軟化された樹脂シート5に成形品5aを熱成形する工程であり、図示しない駆動機構にそれぞれ固定されて、相対的な接近および離反移動が可能とされた上型21および下型22を主要部とする。図2(a)に示すように、上型21は、成形凹部21aが複行複列設けられた雌型(キャビティ)とされる一方、下型22は、上型21との衝合時に各成形凹部21a内に樹脂シート5を押し込むための複数の凸部(プラグ)22aを有する雄型とされる。上型21には下端が成形凹部21aに開口した無数の通気孔21bが設けられ、この通気孔21bには図示しないエアー回路が接続される。なお、成形品の形状等によっては、図示例とは逆に、上型21が雄型、下型22が雌型となる場合もある。
【0022】
切断工程30は、成形工程(装置)20で樹脂シート5に熱成形された成形品5aを打ち抜いて、樹脂シート5から成形品5aを完全に分離させる工程であり、相対的な接近および離反移動が可能とされた切断型31と切断台39とを主要部とする。図2(b)に示すように、切断型31は、板材32aを多層に積み重ねてなり、図示しない駆動機構に固定された基板32と、基板32の下方に突設された切断刃34とで主要部が構成される。この切断型31は、樹脂シート5の搬送方向に沿って切断工程30とノックアウト工程40との間を往復移動可能とされ、打ち抜いた成形品5aを切断刃34内周に保持した状態でノックアウト工程40に搬送する。つまり、本実施形態の切断型31は、成形品5aの搬送手段としても機能する。切断台39の上面は、これに切断刃34が接触したときにその先端部が欠損等するのを防止すべく、ゴム板又は樹脂板等の弾性板39aで構成される。
【0023】
切断刃34は、図3に示すように、薄い帯状の刃を個々の製品の輪郭形状に対応する形状、ここでは角部を有する環状(矩形状)に形成してなるいわゆるトムソン刃であり、ここでは3行×2列=計6個設けられる。各切断刃34は、個々にアタッチメント33を介して基板32に取り付けられている。図4を参照して詳述すると、基板32には、切断刃34と同数のアタッチメント33がそれぞれねじ止めされており、各切断刃34は、その基端部が各アタッチメント33に支持されている。各アタッチメント33に設けたねじ挿通孔33aは、挿通すべきねじの径よりも大径とされたいわゆるバカ孔であり、かつ、ねじは、その頭部をアタッチメント33に対して非接触にした状態でその先端部が基板32に固定されている。以上の構成から、各切断刃34およびアタッチメント33は、基板32に対して打ち抜き方向と直交する方向(樹脂シート5の幅方向および搬送方向)に移動可能で、かつ基板32に対して着脱可能である。
【0024】
各切断刃34の先端部内周には、ウレタンゴム等、柔軟性に富む弾性材料で形成され、打ち抜いた成形品5aを保持する環状の保持部35が設けられる。保持部35の内周には、切断刃34内周に成形品5aを案内するテーパ状の案内面35aが設けられている。この保持部35は、その上方に配設されたスペーサ36を介してアタッチメント33と一体的に設けられている。これにより、切断刃34に対する保持部35の相対的な位置決めがなされると共に、保持部35が、切断刃34と一体に基板32に対して移動可能とされる。なお、上述したように、保持部35は、打ち抜いた成形品5aを保持する一方、打ち抜き前の成形品5a(樹脂シート5に成形された成形品5a)を案内面35aに沿って切断刃34内周に案内する機能を有する。これを満足すべく、保持部35は、その下端部の内径寸法が成形品5aの上端部(底部)の外径寸法よりも大きく設定される一方、少なくともその上端部の内径寸法が成形品5aの外径寸法よりも小さく設定される。
【0025】
保持部35およびスペーサ36の何れか一方又は双方は、接着等の適宜の手段で切断刃34の内面に直接固定しても良い。保持部35を直接切断刃34の内面に固定することにより、切断刃34と保持部35の鉛直方向における相対移動を防止できるのであれば、スペーサ36を必ずしも設ける必要はない。
【0026】
さらに、切断型31の内部には、保持部35で保持した成形品5aを型外に排出するための排出手段Nが設けられる。排出手段Nは、各切断刃34内周に配置され、成形品5aを加圧可能のノックアウト具38と、各ノックアウト具38を基板32に対して昇降可能に支持する支持部材37とを主要部として構成される。基板32と支持部材37との間には、排出手段N(支持部材37)を弾性的に支持するバネ等の弾性部材39が配設されている。成形品5aの打ち抜き動作中、排出手段Nは弾性部材39によって常に上方に附勢されている(原点位置にある)。すなわち、この排出手段Nは、切断工程30においては動作せず、ノックアウト工程40に設けた加圧部材42の昇降動作に追従して動作するように構成されている。
【0027】
切断工程30とノックアウト工程40との間には型搬送路41が設けられ、切断型31はこの型搬送路41に沿って両工程30,40間を往復移動する。
【0028】
ノックアウト工程40は、切断型31の保持部35に保持された成形品5aを排出すると共に、排出された成形品5aを集積する工程であり、図5(b)に示すように、例えばエアーシリンダーのシリンダーロッドに連結されて昇降可能とされた加圧部材42と、排出された成形品5aを集積する集積台43とを主要部とする。加圧部材42は、型搬送路41に沿って切断型31が当該ノックアウト工程40まで移動した時点で下降し、排出手段N(支持部材37)を下方に加圧するように構成される。また、集積台43は、成形品5aを受け取る毎に1ピッチずつ下降動作するように構成される。
【0029】
スクラップワインダー50は、樹脂シート5に熱成形された成形品5aが切断工程30で打ち抜かれることによって生成されるスクラップ5’(穴開きの樹脂シート5)を巻き取るものである。
【0030】
以上の構成からなる真空成形装置1を用いた場合、成形品5a(製品)は以下のようにして得られる。まず、原反ロール2から繰り出され、加熱工程10で成形適温まで加熱軟化された樹脂シート5が間欠送りされて成形工程20に到達すると、上型21と下型22とが接近移動して衝合する。両型21,22の衝合後、上型21に設けた通気孔21bを介して両型21,22間に介在する樹脂シート5に対して吸引力が付与されると、樹脂シート5が成形凹部21aに沿って変形し、所定の成形品5aが樹脂シート5に複行複列熱成形される。
【0031】
次いで、成形品5aが熱成形された樹脂シート5が切断工程30に到達すると、切断型31と切断台39とが相対的に接近移動して樹脂シート5に成形された成形品5aを打ち抜く(図5(a)を参照)。打ち抜かれた個々の成形品5aは、切断型31の保持部35に保持された状態でノックアウト工程40に搬送される。切断型31が型搬送路41に沿ってノックアウト工程40まで移動すると、加圧部材42が下降して支持部材37を下方に加圧する。支持部材37が下方に加圧されると、弾性部材39が圧縮変形してノックアウト具38が下降し、下降したノックアウト具38が成形品5aを下方に加圧する。これにより、成形品5aが切断型31外に排出され、排出された成形品5aが集積台43上に順次集積される(以上、図5(b)を参照)。一方、成形品5aが打ち抜かれることで生成されたスクラップ5’は、順次スクラップワインダー50で巻き取られる。また、成形品5aの排出後、加圧部材42が上昇して支持部材37に対する下方の加圧力が解除されると、弾性部材39が伸びて排出手段Nが原点復帰する。排出手段N(加圧部材42)の原点復帰後、成形型31は型搬送路41に沿って切断工程30に移動する。
【0032】
以後、以上の動作が並行して行われ、成形品5a(製品)が量産される。
【0033】
以上に示すように、本発明の切断型31は、切断刃34およびノックアウト具38を基板32で支持しているので、基板32、切断刃34、保持部35、およびノックアウト具38等を備える切断型31を一組のアセンブリとして取り扱うことができる。従い、所定形状および所定数量の切断刃34、保持部35、およびノックアウト具38等が設けられた切断型31を予め複数組準備しておけば、段替え時には、切断型31を対応するものに交換するだけでノックアウト工程40の調整作業が完了する。そのため、従来必要とされたノックアウト具の位置や数の調整作業が不要となり、熱成形品の製造ライン、特に高頻度に段替えが行われる多品種少量生産対応の製造ラインの稼働率を高めることができる。
【0034】
また、保持部35の内周に案内面35aを設け、この案内面35aに沿って成形品5aを切断刃34内周に案内してから、当該成形品5aを(案内面35aで)保持するように保持部35を構成すると共に、この保持部35および切断刃34を基板32に対して打ち抜き方向と直交する方向に一体移動可能とした。これにより、樹脂シート5の収縮に伴う寸法変化が生じたり、成形型21,22が樹脂シート5の搬送方向に対して傾いた状態で駆動機構に取り付けられたりした場合でも、これらを切断刃34の可動範囲内で吸収することができ、また、成形品5aの打ち抜きに際して、成形品5aの中心を基準として切断刃34の位置合わせを行うことが可能となる。従い、切断刃34および保持部35の基板32に対する移動可能量を適切に確保しておけば、切断型31の駆動機構に対する取り付け態様を調整することなく、抜きズレを防止することができる。そのため、切断型31の取り付け態様を調整する手間を軽減あるいは省略して、成形品の製造ラインの稼働率を一層高めることができる。
【0035】
また、個々の切断刃34は、アタッチメント33を介して、着脱可能に基板32に取り付けられていることから、図3に示すような複数の切断刃34が設けられた切断型31において一部の切断刃34が欠損等した場合には、この欠損した切断刃34のみを交換すれば足り、切断型31自体を交換する必要がなくなる。従い、切断刃34の欠損時における型交換(切断刃交換)に要する時間を短縮し、成形品製造ラインの稼働率向上に寄与することができる。また、切断型31のメンテナンスコストを減じることができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記の実施形態に限定されない。以上では、切断型31内に設けた支持部材37をノックアウト工程40に設けた加圧部材42で下方に加圧することにより、各ノックアウト具38を昇降駆動させるようにしたが、例えば、各切断刃34の内周にシリンダーを配置すると共に、このシリンダーのシリンダーロッドにノックアウト具38を連結し、シリンダーロッドの進退動作でノックアウト具38を昇降駆動させることも可能である(図示省略)。この場合、支持部材37、およびノックアウト工程40に設けていた加圧部材42は不要となる。
【0037】
また、同様に図示は省略するが、ノックアウト具38を筒状部材で形成し、その貫通孔を介して成形品5aに吸引力を付与することも可能である。この場合、ノックアウト具38に吸着させた状態で成形品5aをノックアウト工程40に搬送することができるので、ノックアウト工程40への搬送時に成形品5aが脱落するような事態を効果的に防止することができ、装置故障を未然に防止することが可能となる。
【0038】
また、以上では、切断刃34の内周にノックアウト具38を配置した切断型31について説明を行ったが、ノックアウト具38を従来同様、ノックアウト工程に設けるようにしても良い。この場合、段替え時におけるノックアウト具の調整作業は必要となるが、成形品5aの抜きズレは効果的に防止することができる。従い、駆動機構に対する切断型31の取り付け態様を調整する手間を減じて、従来よりも稼働率を向上することができる。
【0039】
また、以上では、熱成形装置としての真空成形装置1内に、本発明に係る切断型31を組み込んで用いる場合について説明を行ったが、本発明に係る切断型31は、その他の熱成形装置、例えば真空圧空成形装置に組み込んで用いることも可能であり、さらには、真空成形装置1とは別に設けた切断装置に組み込んで用いることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 真空成形装置(熱成形装置)
5 樹脂シート
5a 成形品
30 切断工程(切断装置)
31 切断型
32 基板
33 アタッチメント
34 切断刃
35 保持部
37 支持部材
38 ノックアウト具
39 切断台
40 ノックアウト工程
N 排出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートに熱成形された成形品を打ち抜くための切断型であって、
成形品を打ち抜く切断刃と、切断刃の内周に設けられ、打ち抜いた成形品を保持する保持部と、切断刃の内周に配置され、成形品を加圧可能のノックアウト具と、切断刃およびノックアウト具を支持する基板とを備え、保持部で保持した打ち抜き後の成形品をノックアウト具で加圧して切断刃の内周から排出することを特徴とする熱成形品打ち抜き用切断型。
【請求項2】
樹脂シートに熱成形された成形品を打ち抜くための切断型であって、
成形品を打ち抜く切断刃と、切断刃の内周に設けられ、成形品を切断刃内周に案内してから保持する保持部と、切断刃を支持する基板とを備え、切断刃および保持部を、基板に対して打ち抜き方向と直交する方向に一体移動可能にしたことを特徴とする熱成形品打ち抜き用切断型。
【請求項3】
成形品を切断刃内周に案内してから保持するように保持部を構成すると共に、切断刃および保持部を、基板に対して打ち抜き方向と直交する方向に一体移動可能にした請求項1記載の熱成形品打ち抜き用切断型。
【請求項4】
切断刃が、着脱可能に基板に支持されたトムソン刃である請求項1〜3の何れか記載の熱成形品打ち抜き用切断型。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか記載の切断型と、切断型の切断刃を受ける切断台と、切断型と切断台を相対的に接近および離反移動させる昇降機構とを備える熱成形品打ち抜き用切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−162660(P2010−162660A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7838(P2009−7838)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000156123)株式会社脇坂エンジニアリング (5)
【Fターム(参考)】