説明

熱指標測定装置および熱指標測定装置の制御方法

【課題】熱中症の適切な予防を行うことができる熱指標測定装置を提供すること。
【解決手段】熱指標測定装置1において、気温を測定する気温測定手段2と、湿度を測定する湿度測定手段3と、測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算手段5と、ユーザについてのデータであるユーザデータを入力するユーザデータ入力手段6Bと、熱中症の予防対策をユーザに通知する通知手段8,9と、熱指標とユーザデータとに基づいて予防対策を通知するように通知手段を制御するためのプログラムが記憶された記憶手段20と、プログラムに基づいて通知手段を制御する通知手段制御部21と各手段を保持する保持手段11とを有することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱指標測定装置および熱指標測定装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高温、多湿の環境の下でスポーツや草刈等の諸活動が行われる場合、活動者が熱中症に罹る危険がある。かかる危険を防止するための装置として、特許文献1から4には、気温および相対湿度を測定するセンサを備え、この測定された気温および相対湿度が熱中症を招く危険があるものかどうかを判断し、その危険があると判断した場合には、その旨を活動者に警報する装置が開示されている。特に、特許文献4に開示される装置は、活動者の手首等に装着可能な装置となっている。
【0003】
また、特許文献5には、国内の複数の所定場所に設置されているWBGT(Wet−bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)測定装置の内、活動者の所在地に近いWBGT測定装置で測定されたWBGT値と、さらに活動者の体温等の生体データとを監視センタにおいて入手し、これらのデータに基づき活動者が熱中症に罹る危険性を判断し、さらに、この危険性のレベルに応じて、水分補給や活動の中止といった熱中症を予防するために、活動者が採るべき対処方法を活動者に通知するシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献6には、腕時計に温度センサ等を備えた構成が開示されている。特許文献7には、人体の発汗量等を測定し、この測定結果により空気調和装置を制御する構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3762966号公報
【特許文献2】特開2003−344175号公報
【特許文献3】特開2003−50285号公報
【特許文献4】特開2006−345826号公報
【特許文献5】特開2005−334021号公報
【特許文献6】実用新案登録第2508710号公報
【特許文献7】特開2003−83590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1から3に開示される装置においては、気温と相対湿度が熱中症を発生させ易い状態にあることを活動者に知らせることはできるものの、活動者の採るべき対処方法については、活動者が自ら判断する必要がある。そのため、活動者において熱中症の危険性を知りながらも、適切な対処が採られない虞がある。
【0007】
また、上記特許文献4においては、環境温度の測定場所と、活動者が実際に活動している場所とが離れている場合は、測定されたWBGT値と活動者の周囲のWBGT値とに大きな差がある場合があり、このような場合には適切な情報を活動者に通知することができないという問題がある。例えば、活動者がボイラー室内に居るような場合は、測定されたWBGT値と活動者の周囲のWBGT値とは大きく相違する可能性があり、活動者が実際に居る環境に対応した適切な情報を活動者に通知することができない。
【0008】
そこで、本発明は、熱中症の適切な予防を行うことができる熱指標測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、気温を測定する気温測定手段と、湿度を測定する湿度測定手段と、測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算手段と、ユーザについてのデータであるユーザデータを入力するユーザデータ入力手段と、熱中症の予防対策をユーザに通知する通知手段と、熱指標とユーザデータとに基づいて予防対策を通知するように通知手段を制御するためのプログラムが記憶された記憶手段と、プログラムに基づいて通知手段を制御する通知手段制御部と、各手段を保持する保持手段とを有することとする。
【0010】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱指標測定装置を生体の所在場所に容易に配置することができ、ユーザの置かれている環境に対応した、熱中症の適切な予防を行うことができる。
【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加え、プログラムは熱中症の予防対策として水分補給通知と休憩通知のいずれか一方または両方を通知手段に通知させることとする。
【0012】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱中症を効果的に予防することができる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加え、プログラムは、水分補給通知と休憩通知のいずれか一方または両方をそれぞれ所定の時間間隔で、通知手段から通知するように通知手段を制御することとする。
【0014】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱中症を効果的に予防することができる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加え、熱指標の時間の経過による変化とその変化の状態を判断する熱指標変化判断手段を有し、プログラムは、熱指標変化判断手段により熱指標に所定の変化が有ったと判断された場合に、ユーザデータと所定の変化が有ったと判断された後の熱指標とに基づいて通知手段を制御するものであることとする。
【0016】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱指標が変化しても、変化した後の熱指標に応じた適切な熱中症の予防を行うことができる。
【0017】
また、他の発明は、上述の発明に加え、プログラムは、熱指標変化判断手段により熱指標に所定の変化が有ったと判断された場合には、判断後に最初に行われる通知は、所定の変化が有ったと判断される前の通知時から所定の時間が経過したときに行うように通知手段を制御することとする。
【0018】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱指標に変化が有ったと判断された場合に、判断後に最初に行われる通知のタイミングを熱中症を予防するのに効果的なものとすることができる。
【0019】
また、他の発明は、上述の発明に加え、所定の時間は、所定の時間間隔と同一時間であることとする。
【0020】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱指標に変化が有ったと判断された場合であっても、通知のタイミングを所定の時間間隔で行うことができ、通知のタイミングを熱中症を予防するのに効果的なものとすることができる。
【0021】
上述の課題を解決するため、熱指標測定装置の制御方法を、気温を測定する気温測定処理と、湿度を測定する湿度測定処理と、測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算処理と、ユーザについてのデータであるユーザデータを取得するユーザデータ取得処理と、熱指標とユーザデータとに基づいて熱中症の予防対策が通知手段から通知されるように通知手段を制御する通知手段制御処理とを行うこととする。
【0022】
熱指標測定装置の制御方法をこのように行うことで、ユーザの置かれている環境に対応した、熱中症の適切な予防を行うことができる。
【0023】
上述の課題を解決するため、気温を測定する気温測定手段と、湿度を測定する湿度測定手段と、測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算手段と、ユーザについてのデータであるユーザデータを入力するユーザデータ入力手段と、熱指標とユーザデータとに対応した熱中症の予防対策を示す通知内容が記憶されている通知内容記憶手段と、熱指標とユーザデータとに基づき、通知内容を決定する通知内容決定手段と、決定された通知内容を通知する通知手段と、各手段を保持する保持手段とを有することとする。
【0024】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱指標測定装置を生体の所在場所に容易に配置することができ、ユーザの置かれている環境に対応した、熱中症の適切な予防を行うことができる。また、通知手段をプログラムにより制御する構成のため、記憶手段の容量を少なくすることが可能となり熱指標測定装置の構成を簡単なものとすることができる。
【0025】
また、他の発明は、上述の発明に加え、通知内容は、指示メッセージと、この指示メッセージに併せて発音されるブザー音の発音パターンと、指示メッセージの表示およびブザー音の発音のタイミングであることとする。
【0026】
熱指標測定装置をこのように構成することで、熱中症を予防するための予防対策を具体的に通知することができ、かつ、適切なタイミングで予防対策を通知することができる。
【0027】
また、他の発明は、上述の発明に加え、通知内容記憶手段は、交換可能であることとする。
【0028】
熱指標測定装置をこのように構成することで、様々な条件に応じたより適切な対処を指示することができる。
【0029】
また、他の発明は、上述の発明に加え、熱指標演算手段は、所定時間または所定回数測定した気温の平均を演算し、この平均の気温を熱指標の演算に使用することとする。
【0030】
熱指標測定装置をこのように構成することで、温度検出手段に例えば太陽光が瞬間的に当たり、瞬間的に上がってしまった測定気温に基づいて熱指標が演算されてしまうことを防ぐことができる。すなわち、熱指標の演算の精度を向上させることができる。
【0031】
また、他の発明は、上述の発明に加え、熱指標演算手段は、所定時間または所定回数測定した湿度の平均を演算し、この平均の湿度を熱指標の演算に使用することとする。
【0032】
熱指標測定装置をこのように構成することで、湿度検出手段に例えば水蒸気が瞬間的に当たり、瞬間的に上がってしまった測定湿度に基づいて熱指標が演算されてしまうことを防ぐことができる。すなわち、熱指標の演算の精度を向上させることができる。
【0033】
また、他の発明は、上述の発明に加え、生体の生体データを測定生体データとして測定する生体データ測定手段を備え、通知内容記憶手段は、熱指標と生体データに加えて測定生体データに対応した通知内容が記憶され、通知内容決定手段は、測定生体データ、熱指標および生体データに基づき通知内容を決定することとする。
【0034】
熱指標測定装置をこのように構成することで、生体の生体データを考慮した適切な通知内容を生体および周囲に通知することができる。
【0035】
また、他の発明は、上述の発明に加え、生体の身体に装着する装着手段を備え、装着手段により生体の身体に装着された際に、その身体に対向する側と反対側に、気温測定手段および湿度測定手段の検知部が配置されていることとする。
【0036】
熱指標測定装置をこのように構成することで、気温、相対湿度の測定に際して生体の体温や汗等の影響が少なくなるので、気温、相対湿度の測定精度を向上させることができる。
【0037】
また、他の発明は、上述の発明に加え、生体センサは、熱指標測定装置の身体に対向する側に配設されていることとする。
【0038】
熱指標測定装置をこのように構成することで、生体の生体データを正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、熱中症の適切な予防を行うことができる熱指標測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る熱指標測定装置1は、熱指数(Heat Index)やWBGT値といった熱指標を測定するとともに、この熱指標に応じて生体の熱中症の予防対策を通知する機能を有するものである。本実施の形態の説明では、熱指標測定装置1を、生体である人間(ユーザ)に対して使用する場合を例にとって説明する。そのため、この熱指標測定装置1は、ユーザ(活動者)が、例えば、腕時計のように身に着けて活動することができる大きさと形態に構成されている。したがって、ユーザは、腕に熱指標測定装置1を装着して各種スポーツや草刈等の諸活動を行うことができ、ユーザは、自分が活動している環境の熱指標に応じた熱中症予防対策を容易に知ることができる。以下、熱指標測定装置1の具体的な構成について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、熱指標測定装置1の電気的な回路構成を示す回路ブロック図である。図2は、熱指標測定装置1の外観の構成を示す外観図であり、図2(A)、(B)、(C)、(D)は、それぞれ、熱指標測定装置1の平面図、底面図、左側面図、正面図である。
【0042】
図1に示すように、熱指標測定装置1は、気温測定手段としての温度センサ2と、湿度検出手段としての湿度センサ3と、温度センサ2および湿度センサ3の検知部4と、温度センサ2および湿度センサ3からの出力信号に基づいて熱指数およびWBGT値を演算する熱指標演算手段としての演算回路5と、熱指標測定装置1に対して各種の指示と情報の入力を行うためのスイッチ部6と、熱指標測定装置1の各種動作を制御する制御IC7と、通知手段としての液晶表示装置8および同じく通知手段としての圧電ブザー9と、さらにリチウム電池等により構成される電源10等とを有している。
【0043】
また、熱指標測定装置1は、図2に示すように、保持手段としての筐体11を有し、この筐体11に対し、上述の温度センサ2や湿度センサ3の他、図1に示す熱指標測定装置1の構成部材が保持されている。筐体11は、全体として扁平した直方体であり、長手方向の両端部には、バンド取付部12が設けられ、このバンド取付部12に取り付けられる装着手段としてのバンド13により、熱指標測定装置1は手首に装着することができるようになっている。なお、筐体11は、ユーザが手首に装着しても、活動に大きな支障を来すことのないように、例えば、縦(長手方向)4センチ、横(短手方向)3センチ、厚さ1センチの大きさに構成されている。
【0044】
図1に示す構成部材のうち、液晶表示装置8の表示部14(図2参照)、スイッチ部6、温度センサ2および湿度センサ3の検知部4については、筐体11の外部に臨むように、筐体11に組み込まれている。つまり、液晶表示装置8の表示部14は、筐体11の扁平方向にある一対の幅広面のうちの一方の面である上面に臨むように配置されている。また、検知部4は、筐体11の上面であって、表示部14の周囲と筐体11の外周との間に配置されている。さらに、筐体11の扁平方向に沿って配置される側面であって筐体11の長手方向に沿う一対の側面15R,15Lには、スイッチ部6を構成する4つのスイッチ6A,6B,6C,6Dが、各側面15R,15Lにそれぞれ2つずつ配設されている。側面15Rには、スイッチ6A,6Bが配設され、また側面15Lには、スイッチ6C,6Dが配設されている。
【0045】
温度センサ2は、例えば、バンドギャップ式温度センサを用いる。また、湿度センサ3は、湿度として相対湿度を検出するように、例えば、静電容量式相対湿度センサを用いる。本実施の形態においては、温度センサ2および湿度センサ3が1つのチップ上に集積されていて、1つの検知部4により、この検知部4が接する空気の温度と相対湿度を測定できるように構成されている。ユーザは、熱指標測定装置1を手首に装着する際には、液晶表示装置8の表示部14を見ることができるように、表示部14が上方に向くように(皮膚に対して反対側になるように)に装着する。したがって、熱指標測定装置1を手首に装着したときに、検知部4は表側、すなわち、人体に対して熱指標測定装置1を挟んだ上方側に配置されることになる。つまり、検知部4はユーザの体温や汗の影響を受け難い位置に配置される。そのため、温度センサ2および湿度センサ3は、ユーザの体温や汗による湿気の影響が少ない状態で気温や相対湿度を測定することができる。
【0046】
温度センサ2および湿度センサ3から出力される気温および相対湿度に係る信号は、それぞれ増幅回路16,17で増幅された後、演算回路5に入力される。この演算回路5は、検出された気温と相対湿度に基づいて、熱指数とWBGT値の近似値(以下、WBGT近似値と言う。)の2つの熱指標を算出する。熱指数とは、気温と相対湿度とに基づいて、オーストラリア連邦度量衡局により提案されている下記の算出式(1)により算出される値であり、人間がいかに暑く感じるかをあらわす指数である。

熱指数=Ta+0.33×E−0.70×ws−4.00 … (1)

E=(Rh/100)×6.105×exp{17.27×Ta/(237.7 + Ta)}

Ta=気温(℃)
Rh=相対湿度(%)
ws=風速(m/s 但し10mの高さにおける値である。なお、本実施の形態のける熱指標測定装置1においては0m/sとして計算をしている。)

【0047】
一方、WBGT近似値もオーストラリア連邦度量衡局により提案されている下記の算出式(2)に基づき、気温と相対湿度から算出される。

WBGT近似値=0.567×Ta+0.393×E+3.94 … (2)

E=(Rh/100)×6.105×exp{17.27×Ta/(237.7
+ Ta)}

Ta=気温(℃)
Rh=相対湿度(%)

【0048】
なお、WBGT値は、気温(乾球温度)と湿球温度および黒球温度(輻射熱)とに基づいて下記の算出式(3)により算出される値である。

WBGT値=0.7×(湿球温度)+0.2×(黒球温度)+0.1(乾球温度) … (3)

【0049】
WBGT値は、酷暑の環境下での行動に伴うリスクの度合を判断する指標である。WBGT値の算出には、気温、湿球温度および黒球温度の3つの測定値が必要であり、これらの3つの測定値を測定する手段が必要であり測定装置が大掛かりなものとなる。そこで、オーストラリア連邦度量衡局により、気温、相対湿度の2つの測定値から容易にWBGT値に近似するWBGT近似値を算出することができる上記の算出式(2)が提案されている。WBGT近似値は、黒球温度に拘わらない値であり、ユーザの周囲の気温と相対湿度といった比較的容易に測定できる測定値から求めることができる。そのため、本実施の形態の熱指標測定装置1のように、熱指標としてWBGT近似値を求めることとした場合には、黒球温度を測定する手段を備える必要がなく、温度センサ2と相対湿度センサ3を備える簡単な構成で熱指標としてWBGT近似値を求めることができる。
【0050】
制御IC7には、入力ポート18、メモリー19、ROM20(Read Only Memory)、CPU21(Central Processing Unit)、RAM22(Random Access Memory)、および出力ポート23等が備えられている。入力ポート18には、演算回路5を介して温度センサ2および湿度センサ3が接続され、さらに各スイッチ6A〜6Dが接続されている。また、出力ポート23には、表示駆動回路24を介して液晶表示装置8が接続され、また、ブザー駆動回路25を介して圧電ブザー9が接続される。
【0051】
各スイッチ6A〜6Dからの信号、および演算回路5から出力される熱指標(熱指数およびWBGT近似値)に係る信号は入力ポート18に入力され、熱指標に係る情報およびスイッチ6A〜6Dから入力された情報はメモリー19に記憶される。
【0052】
ROM20には図3に示す表(1)と図4に示す表(2)がデータテーブル(以下、通知内容データテーブルと言う。)として記憶され、ROM20は通知内容記憶手段として機能している。表(1),(2)には、WBGT近似値と運動レベルとに対応した熱中症の予防対策をユーザに指示するための通知内容が規定されている。なお、表(1)は、体力が強いユーザに対応したものであり、表(2)は、体力が弱いユーザに対応したものである。本実施の形態では、各表とも、運動レベルを、「緩やかな運動(最大酸素消費量50〜70%)」、「中程度の運動(最大酸素消費量50〜90%)」、「激しい運動(最大酸素消費量75〜100%)」の3段階に分け、また、WBGT近似値を熱中症にかかる危険性の度合いとしてレベル1から5の5段階(以下、このレベルをWBGTレベルと言う。)に分けている。つまり、表(1),(2)は、熱中症の予防対策としてユーザに指示するための通知内容がWBGTレベルと運動レベルとに応じて規定されている。したがって、表(1)または表(2)において、WBGT近似値と運動レベルを指定することで、指定されたWBGT近似値と運動レベルに対応した熱中症の予防対策を特定することができる。
【0053】
熱指標測定装置1は、液晶表示装置8および圧電ブザー9によりユーザに熱中症の予防対策を通知する構成となっている。そのため、通知内容としては、液晶表示装置8に表示するためのユーザへの指示メッセージと、この指示メッセージの表示に併せて発音させる圧電ブザー9の発音パターンと、指示メッセージの表示およびブザー音の発音を行うタイミングと、指示メッセージの表示とブザー音の発音が行われている時間の長さが設定されている。
【0054】
例えば、表(1)において、運動レベルが緩やかな運動であり、またWBGT近似値が「1」であるときは、通知内容は、水分補給(「DRINK」、図8(B)参照)の液晶表示装置8への表示と、この表示に併せて行われる圧電ブザー9での連続単音のブザー音の発音であり、また、該表示と該発音とを同時に20分毎のタイミングで20秒間行うものとなっている。
【0055】
また、同じく表(1)において、運動レベルが緩やかな運動であり、またWBGT近似値が「3」であるときは、このときの通知内容は、20分毎のタイミングで20秒間行われる水分補給(「DRINK」、図8(C)参照)の液晶表示装置8への表示と、この表示に併せて行われる圧電ブザー9での連続単音のブザー音の発音に加えて、30分毎のタイミングで20秒間行われる休憩(「REST−20」、図8(D)参照)の液晶表示装置8への表示と、この表示に併せて行われる圧電ブザー9での短音のブザー音の発音となっている。
【0056】
さらに、表(1)において、運動レベルが緩やかな運動であり、またWBGT近似値が「5」であるときは、このときの通知内容は、運動中止(「DANGER」、図8(E)参照)の液晶表示装置8への表示と、この表示に併せて行われる圧電ブザー9での連続音のブザー音の発音となっている。
【0057】
上述したように、表(1)は、体力が強いユーザに対応したものであり、表(2)は、体力が弱いユーザに対応したものである。つまり、体力の弱いユーザに対しては、体力の強いユーザに比べて低いWBGT近似値で同一内容の熱中症の予防対策を採らせるようにすることが好ましい。そこで、本実施の形態の表(2)は、表(1)と比べると、同一内容の熱中症の予防対策が低いWBGT近似値に設定されている。具体的には、例えば、表(1)の運動レベル「緩やかな運動」のときのWBGTレベル「5」で採る予防対策を表(2)では、WBGTレベルが「4」での予防対策としている。
【0058】
CPU21は、液晶表示装置8および圧電ブザー9の駆動の他、熱指標測定装置1の様々な動作制御を司る。また、CPU21は、通知内容決定手段としても機能する。つまり、CPU21は、メモリー19に記憶されているWBGT近似値とスイッチ6A〜6Dにより入力された情報、およびROM20に記憶されている通知内容データテーブル(表(1)または(2))をRAM22に読み出し、そして、WBGT近似値とスイッチ6A〜6Dから入力された情報に対応する通知内容を通知内容データテーブルの中から決定する。CPU21は、この決定された通知内容に従い、液晶表示装置8に所定の指示メッセージを表示するとともに圧電ブザー9に所定の発音パターンのブザー音を発音させる。
【0059】
次に、図5および図6を参照しながら熱指標測定装置1の使用方法を説明する。図5は、熱指標測定装置1の動作設定のフローチャートであり、図6は、図5に示すフローチャートの各ステップにおける液晶表示装置8の表示画面の内容を示すものである。
【0060】
本実施の形態の熱指標測定装置1は、上述の熱指標測定や熱中症予防対策の通知等の熱指標測定装置としての機能の他、説明を省略する構成により腕時計としての機能およびストップウォッチとしての機能を有するように構成されている。スイッチ6Dは、上記3つの機能を選択するためのスイッチである。スイッチ6Dを押下する毎に、CPU21は、熱指標測定装置1の動作モードを、熱指標測定装置としての機能を行う熱指標測定モードと、腕時計としての使用が可能な腕時計モードと、ストップウォッチとしての使用が可能な計時モードとにサイクリックに変更する。ここでは、熱指標測定装置1の動作モードとして熱指標測定モードが選択され、熱指標測定装置1が熱指標測定装置として機能するときの動作について説明することとする。
【0061】
スイッチ6Dにより熱指標測定モードが選択されると、熱指標測定装置1は、熱指標測定装置として機能するときの初期状態(ステップS10)となる。この初期状態(ステップS10)では、液晶表示装置8には、図6(A)に示す初期画面26が表示される。初期画面26における表示27の「SPORTS」は、熱指標測定装置1のモードが熱指標測定モードであることを示す表示である。また、表示28は、RAM22に表(1)または表(2)の何れが読み込まれているかを示す表示であり、表(1)が読み込まれている場合には「HIGH」が表示される。表(2)が読み込まれている場合には、表示28に「LOW」が表示される。
【0062】
また、表示29は、CPU21が表(1)または表(2)に基づいて熱中症の予防対策を特定する際に、どの運動レベルを指定して予防対策を特定するのかを示す表示である。運動レベルが「緩やかな運動」のときは、図7(A)に示す表示が行われ、「中程度の運動」のときは、図7(B)に示す表示が行われる。また、「激しい運動」のときは、図7(C)に示す表示が行われる。初期状態(ステップS10)においては、CPU21は、デフォルトの動作として、RAM22に表(1)のデータを読み込み、そして、運動レベルを「緩やかな運動」として指定する。したがって、初期画面26においては、図6(A)に示すように、表示28には「HIGH」が表示され、また、表示29は、図7(A)の表示が表示される。
【0063】
熱指標測定装置1は、スイッチ6Dにより熱指標測定モードが選択されると、WBGT近似値と熱指数の測定を開始する。そして、測定されたWBGT近似値に対応する表(1)のWGBTレベルの数値を表示30として表示する。つまり、CPU21において、測定されたWBGT近似値とデフォルトでRAM22に読み込まれた表(1)とに基づき、測定されたWBGT近似値に対応する表(1)のWGBTレベルが決定され、このWGBTレベルが表示30として表示される。この表示30により、ユーザは、現在の状況における熱中症に罹る危険性を数値的に知ることができる。また、測定された熱指数は表示31として表示される。この表示31により、ユーザは、熱指数を知ることができる。なお、表示32は、後述するタイマー表示である。
【0064】
上述の初期状態(ステップS10)から、スイッチ6Aを押下する毎に、ステップS20、ステップS30、ステップS40、ステップS50に示す動作設定のモードに順次移行する。 そして、各動作設定のモードにおいて後述する所定の動作設定を行う。
【0065】
初期状態(ステップS10)において、スイッチ6Aを一回押下すると、表(1)または(2)の何れの通知内容データテーブルをRAM22に読み込むかを選択するテーブル選択モードとなる(ステップS20)。このテーブル選択モード(ステップS20)では、液晶表示装置8には、図6(B)に示すテーブル選択画面33が表示される。このテーブル選択モード(ステップS20)においては、スイッチ6Bにより、RAM22に読み込む通知内容データテーブル(表(1),(2))を選択することができる。テーブル選択画面33においては、スイッチ6Bを押下する度に、図6(B)に示す表示34(「FIT/HIGT」)と図8(B)に示す表示35(「FIT/LOW」)が交互に表示される。表示34が表示されているときは、RAM22に表(1)の通知内容データテーブルが読み込まれている状態にあり、表示35が表示されているときは、RAM22に表(2)の通知内容データテーブルが読み込まれている状態にある。上述したように、表(1)は体力が強い人を対象とした対策内容であり、表(2)は体力が弱い人を対象とした対策内容である。つまり、ユーザがスイッチ6Bを押下し、通知内容データテーブル(表(1),(2))を選択することで、ユーザの体力が強いか弱いかのユーザデータを入力することとしている。すなわち、スイッチ6Bは生体(ユーザ)データ入力手段として機能し、ユーザは自己の体力に応じて、表(1)または表(2)のいずれかに対応した通知内容データテーブルをRAM22に読み込むようにCPU21に指示する。ここでは、通知内容データテーブル(表(1),(2))は、ユーザの体力の強弱に対応したものとなっているが、老人、子供、スポーツ選手等といったユーザの種類に対応した通知内容データテーブルをユーザの種類毎に保持するようにしてもよい。
【0066】
通知内容データテーブル(表(1)または表(2))の選択(ステップS20)をした後、スイッチ6Aを一回押下すると、該選択(ステップS20)が確定すると共に運動レベルを設定する運動レベル設定モード(ステップS30)に移行する。この運動レベル設定モード(ステップS30)では、液晶表示装置8には、図6(D)に示す運動レベル設定画面36が表示される。運動レベル設定画面36においては、スイッチ6Bを押下する度に、図6(D),(E),(F)にそれぞれ示す表示37(「FIT/HIGT/LIGHT」)、表示38(「FIT/HIGT/MIDIUM」)、および表示39(「FIT/HIGT/HARD」)がサイクリックに表示される。ステップS20において通知内容データテーブルとして表(2)を選択した場合には、運動レベル設定モード(ステップS30)では、図6(G),(H),(I)にそれぞれ示す表示40(「FIT/LOW/LIGHT」)、表示41(「FIT/LOW/MIDIUM」)、および表示42(「FIT/LOW/HARD」)がサイクリックに表示される。この運動レベル設定モード(ステップS30)においては、上述のようにスイッチ6Bを押下することで、通知内容データテーブル(表(1),(2))の運動レベル(「緩やかな運動」、「中程度の運動」、「激しい運動」)を選択することができる。表示37、40が表示されているときは、「緩やかな運動」が選択され、表示38、41が表示されているときは、「中程度の運動」が選択され、そして、表示39、42が表示されているときは、「激しい運動」が選択されている。このように、ユーザがスイッチ6Bを押下し、運動レベル(「緩やかな運動」、「中程度の運動」、「激しい運動」)を選択することで、ユーザがこれから行おうとする運動、あるいは現在行っている運動の運動レベルがユーザデータとして入力される。すなわち、スイッチ6Bは生体(ユーザ)データ入力手段として機能し、ユーザは、自分がこれから行おうとする、あるいは現在行っている運動の運動レベルをスイッチ6Bから熱指標測定装置1に入力する。
【0067】
運動レベルを設定した後、スイッチ6Aを一回押下すると、運動レベルの選択(ステップS30)が確定すると共にタイマーの計時方法を設定するタイマー計時方法設定モード(ステップS40)に移行する。このタイマー計時方法設定モード(ステップS40)では、液晶表示装置8に、図6(J)に示すタイマー計時方法設定画面43が表示される。そして、図示を省略するタイマー機構により計時される時間が表示される。タイマーの計時方法は、減算式(カウントダウン)と加算式(経過時間の計時)の2つを選択でき、スイッチ6Bを押下する度に、図6(J)に示す表示44(「COUNTDOWN」)と図6(K)に示す表示45(「ELAPSED TIME」)が交互に表示される。表示44が表示されているときは、減算式のモードが選択され、表示45が表示されているときは、加算式のモードが選択されている。なお、このタイマー計時方法設定画面43には、テーブル選択モード(ステップS20)における選択内容に対応した表示28、および運動レベル設定モード(ステップS30)における選択内容に対応した表示29がそれぞれ表示される。
【0068】
上述のタイマーの計時方法を設定した後、スイッチ6Aを一回押下すると、タイマーの計時方法の選択(ステップS40)が確定すると共に、熱指標測定装置1は、ステップS20からステップS40で行った動作設定に従って熱中症に対する予防対策を通知する動作を実行する予防対策通知モード(ステップS50)に移行する。
【0069】
ここでは、例えば、ステップS20において、体力の強いユーザを対象とした表(1)が選択され、またステップS30において、運動レベルとして「緩やかな運動」が選択され、さらに、ステップS40において、タイマーの計時方法として加算式が選択されたとして、熱指標測定装置1の熱中症に対する予防対策の通知動作について説明する。予防対策通知モード(ステップS50)では、液晶表示装置8には、図8(A)に示すように、予防対策の内容に応じた指示メッセージが表示される表示領域46を有する予防対策通知画面47が表示される。
【0070】
予防対策通知モード(ステップS50)においてCPU21は、測定されたWBGT近似値が表(1)のどのWBGTレベルに相当するかを判断し、そして、そのWBGTレベルにおける通知内容に従って通知を行う。例えば、温度センサ2により測定された気温が24℃、湿度センサ3により測定された相対湿度が25%のときは、熱指標演算手段5によりWBGT近似値が約20℃と算出される。CPU21は、表(1)に基づいてこの算出されたWBGT近似値のWBGTレベルを「1」と判断する。ここではステップS30で設定された運動レベルが「緩やかな運動」であるので、表(1)のWBGTレベルが「1」のときの通知内容は、水分補給メッセージ表示とこのメッセージ表示に併せて行われる連続単音のブザー音の発音とを共に20分毎に20秒間行うというものである。つまり、CPU21は、図8(B)に示すように、図8(A)に示す表示領域46の位置に、ユーザに水分補給を指示するメッセージである表示48(「DRINK」)の表示を20分毎に20秒間繰り返し行うと共に、表示48の表示タイミングと表示時間に併せて、20分毎に圧電ブザー9に連続単音のブザー音を20秒間発音させる。
【0071】
ユーザは、液晶表示装置8に表示される表示48を見ることにより、熱中症予防対策として水分補給が必要であることを知ることができる。また、表示48の表示に併せて圧電ブザー9が発音されるので、ユーザは、ブザー音により指示メッセージが表示されたことを知ることができ、そのため、指示メッセージの見落としを防止できる。なお、CPU21は、スイッチ6Aとスイッチ6Cが共に押下された場合にブザー音を停止するように構成されている。すなわち、ユーザが、熱中症対策が通知されたことを認識し、スイッチ6Aとスイッチ6Cを押下してブザー音を停止するまでは、CPU21は圧電ブザー9に発音を継続させる。つまり、ユーザが予防対策の通知があったことを認識するまで、ブザー音の発音を継続でき、ユーザに予防対策の通知を一層確実に認識させることができる。なお、表示48が表示されるまので間は、表示領域46には図9に示す表示49が表示される。この表示49は、左から右に移動を繰り返す表示であり、この表示により、ユーザは、熱指標測定装置1が、予防対策通知モードの動作していることを知ることができる。タイマー表示である表示50には、計時を開始してからの時間が表示される。ユーザは表示50により水分補給までの時間を知ることができる。
【0072】
また、例えば、温度センサ2により測定された気温が27℃、湿度センサ3により測定された相対湿度が50%のときは、熱指標演算手段5によりWBGT近似値が約26℃と算出される。CPU21は、表(1)に基づいてこの算出されたWBGT近似値のWBGTレベルを「3」と判断する。ここでは上述したようにステップS30で設定された運動レベルが「緩やかな運動」であるので、表(1)のWBGTレベルが「3」のときの通知内容は、水分補給メッセージ表示とこのメッセージ表示に併せて行われる連続単音のブザー音の発音とを共に20分毎に20秒間行い、さらに、休憩取得メッセージ表示とこのメッセージ表示に併せて行われる短音のブザー音の発音とを共に30分毎に20秒間行うというものである。つまり、CPU21は、図8(C)に示すように、図8(A)に示す表示領域46の位置に、ユーザに水分補給を指示するメッセージである表示51(「DRINK」)の表示を20分毎に20秒間繰り返し行うと共に、表示51の表示タイミングと表示時間に併せて、20分毎に圧電ブザー9に連続単音のブザー音を20秒間発音させる。
【0073】
さらに、CPU21は、図8(D)に示すように、図8(A)に示す表示領域46の位置に、ユーザに所定時間の休憩を取ることを指示するメッセージである表示52(「REST−20」)の表示を30分毎に20秒間繰り返し行うと共に、表示52の表示タイミングと表示時間に併せて、20分毎に圧電ブザー9に短音のブザー音を20秒間発音させる。なお、表示52の「20」は、休憩時間の長さ意味し、ここでは20分の意味で「20」を表示している。このように休憩時間を表示することで、ユーザにこの表示された休憩時間を取ることを促すことができる。そのため、休憩時間の表示を、熱中症を予防するのに必要な休憩時間とすることで、ユーザにこの必要な休憩時間を取ることを促すことができる。なお、この休憩時間の表示についてはここでは「20」としたが、熱中症を予防するのに必要な休憩時間として適切な時間を表示するようにする。
【0074】
ユーザは、液晶表示装置8に表示される表示51および表示52を見ることにより、熱中症予防対策として水分補給が必要であり、さらにこれに加えて休憩を取ることが必要であることを知ることができる。また、表示51および表示52に併せて圧電ブザー9が発音されるので、ユーザの指示メッセージの見落としを防止することができる。また、指示メッセージの内容、すなわち、表示51(「DRINK」)と表示52(「REST−20」)とでブザー音の発音パターンを変えているため、ユーザは、ブザー音によっても予防対策の内容を知ることができる。なお、ブザー音は、スイッチ6Aとスイッチ6Cが共に押下することで停止させることができる。
【0075】
なお、20分毎に行われる水分補給の通知と30分毎に行われる休憩取得の通知が同時に行われる場合には、水分補給の通知に優先して、休憩取得を指示するメッセージ表示(「REST−20」)とブザー音を発音(短音の20秒間の発音)するようにしてもよい。あるいは、水分補給を指示するメッセージ表示(「DRINK」)と休憩取得を指示するメッセージ表示(「REST−20」)を交互に行い、ブザー音を、水分補給の通知である連続短音か休憩取得の通知である短音の一方を発音するようにしてもよい。
【0076】
また、さらに、例えば、温度センサ2により測定された気温が31℃、湿度センサ3により測定された相対湿度が70%のときは、熱指標演算手段5によりWBGT近似値が約34℃と算出される。CPU21は、表(1)に基づいてこの算出されたWBGT近似値のWBGTレベルを「5」と判断する。ここではステップS30で設定された運動レベルが「緩やかな運動」であるので、表(1)においてWBGTレベルが「5」のときの通知内容は、運動・作業中止メッセージおよび連続音のブザー音の発音を行うというものである。CPU21は、図8(E)に示すように、図8(A)に示す表示領域46の位置に、ユーザに運動・活動の中止を指示するメッセージである表示53(「DANGER」)の表示を行う。また、表示53の表示に併せて、圧電ブザー9に連続音のブザー音を発音させる。ユーザは、液晶表示装置8に表示される表示53を見ることにより、熱中症予防対策として実施している運動あるいは作業を中止する必要があることを知ることができる。また、表示53に併せて圧電ブザー9が発音されるので、ユーザがメッセージを見落としてしまうことを防止できる。運動・作業中止メッセージである表示53の表示およびこれに伴うブザー音の発音は、WBGT近似値のWBGTレベルが「5」と判断されたときに直ちに行われる。したがって、その環境の中で運動・作業を継続することが危険であることをユーザは直ちに知ることができる。なお、このときのブザー音を、水分補給や休憩を指示するときのブザー音よりも大きな音量とすることで、ユーザに現在の状況が危険状態であることを確実に通知することができる。表示53の表示と圧電ブザー9の連続音のブザー音の発音は、スイッチ6Aとスイッチ6Cが共に押下されるまで継続して行われる。
【0077】
以上のように、熱指標測定装置1においては、ユーザが、ステップS20においてユーザの体力に応じた適切な通知内容データテーブル(表(1)または表(2))を選択し、また、ステップS30においてもユーザが行う運動のレベルに合わせた運動レベルを選択することで、ユーザは、測定されたWBGT近似値に応じて、熱中症に対する適切な予防対策の通知を受けることができる。
【0078】
つまり、運動時における熱中症の発症の危険性の大小は、ユーザが行う運動レベルおよびユーザの体力の強弱の違いにより大きな差がある。ユーザが行う運動レベルおよびユーザの体力の強弱の違いによる運動時における熱中症の発症の危険性の大小の違いは、日常生活における熱中症の発症の危険性の大小が、年齢差等の個人差による違いによるものよりもはるかに大きい。したがって、運動時における熱中症の発症を効果的に防止するためには、ユーザが行う運動レベルおよびユーザの体力の強弱の違いを的確に把握して、ユーザが行う運動レベルおよびユーザの体力の強弱に応じた予防対策を取る必要がある。このため、通知内容を決定するためのユーザデータを、ユーザが行う運動レベルおよびユーザの体力の強弱に関するデータを有するものとすることにより、運動時における熱中症の予防対策を示す通知内容を、運動時における熱中症の予防に適したものとすることがでる。
【0079】
また、通知内容は、本実施の形態では、熱中症を予防するための具体的な指示メッセージと、この指示メッセージの表示に併せて発音されるブザー音の発音パターンと、指示メッセージおよびブザー音の発音を行うタイミングと、指示メッセージの表示とブザー音の発音が行われている時間の長さが設定されているが、指示メッセージの表示だけを所定のタイミングで所定の時間行うように設定してもよい。なお、本実施の形態に示す通知内容は例示的なものであり、指示メッセージの内容、指示メッセージの表示のタイミング、ブザー音の発音を行うタイミング等の内容は、ユーザの体力、WBGTレベルおよび運動レベルに応じて、適切に熱中症を予防することができるようにそれぞれ設定される。
【0080】
WBGT近似値の算出は、所定時間、例えば、2分間の平均気温および平均相対湿度に基づいて行うこととする。このように、所定時間の平均気温および平均相対湿度に基づいてWBGT近似値の算出を行うことで、ユーザの周りの実際の環境(気温、相対湿度)に即した対応策を通知することができる。これに対し、リアルタイムのWBGT近似値に基づいて通知内容を判断することとすると、例えば、直射日光が瞬間的に検知部4に当たり、検出気温が瞬間的に高温になった場合に、ユーザの周りの実際の気温は高温になっていないにも拘わらず、高い気温でWBGT近似値が算出されてしまう。また、例えば、風通しの良い室内で食品の茹で作業を行うような場合には、茹で作業を行っている場所は水蒸気で高い相対湿度になるものの、他の場所はさほど相対湿度が高くないという環境となる。このような環境でユーザが茹で作業に携わる時間が僅かで、他の時間は相対湿度が高くない場所で作業を行うような場合には、ユーザが高い相対湿度下で作業をする時間(茹で加工作業に携わる時間)が短いので熱中症に罹る虞は少ない。しかしながら、リアルタイムのWBGT近似値に基づいて通知内容を判断することとすると、このような場合であっても、茹で加工作業に携わる短時間だけの測定相対湿度に基づいてWBGT近似値が算出されてしまう。その結果、本来は水分補給の予防対策で十分なところ、運動・作業中止の対策が通知されてしまうというように、適切な予防対策がユーザに通知されないという問題が生じる。上述したように、所定時間の平均気温および平均相対湿度に基づいてWBGT近似値を算出することで、上記の問題の発生を無くすことができる。なお、平均気温および平均相対湿度は、所定時間の測定結果に基づく他、所定の時間間隔で所定回数測定した気温および相対湿度の平均値としてもよい。
【0081】
ユーザが代わったり、あるいはユーザが行う運動レベルが変わる場合には、ステップS20,S30に戻って動作設定を変える。スイッチ6Dを2秒間継続して押下することで、熱指標測定装置1は初期状態(ステップS10)に戻り、新たに動作設定を行うことができる。なお、初期状態(ステップS10)で、スイッチ6Dを押下すると、押下する毎に、熱指標測定装置1の動作モードが、時計モードとストップウォッチモードと熱指標測定モードとにサイクリックに変更する。
【0082】
なお、表(1),表(2)の内容、すなわち、WBGTレベル、運動レベル、および通知内容は一例であり、これらは適宜に設定することができる。例えば、(財)日本体育協会から平成11年4月26日に発行(平成18年6月30日改定)されている「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」に記載されている熱中症予防ための運動指針等を参考にして、WBGTレベルと運動レベルとに対応して熱中症予防のための通知内容を決めてもよい。
【0083】
上述した熱指標測定装置1は、本発明の1実施形態であり、他の実施形態として、例えば、熱指標測定装置1に、ユーザの体温や脈拍あるいは血圧等の生体データを測定ユーザデータとして測定する生体センサを生体データ測定手段として設けると共に、表(1),(2)の通知内容データテーブルに換えて、WBGT近似値と運動レベルと生体データとの3つの観点から熱中症を予防する通知内容を特定することができる通知内容データテーブルを備えてもよい。このように構成することで、生体センサから出力されるユーザの生体データを踏まえた熱中症予防のための通知内容をユーザに通知することができる。なお、熱指標測定装置1に生体センサを備える場合には、熱指標測定装置1の底面側、すなわち、検知部4が配置される表側の面と対向する面に配置することで、熱指標測定装置1を手首の装着した際に、生体センサをユーザの皮膚に密着させることができ、ユーザの生体データを正確に取得することができる。なお、生体データは生体センサにより測定する他、ユーザが自ら熱指標測定装置1に入力するようにしてもよい。
【0084】
また、熱指標測定装置1は手首に装着する腕時計形の形態として説明したが、例えば、ペンダント形式として首から提げる形態としてもよい。また、通知手段としては、液晶表示装置8と圧電ブザー9の両方を備える他、いずれか一方を備えることとしてもよい。また、通知手段として振動モータを使用し、振動による通知を行ったり、あるいは、圧電ブザー9の発音の代わりに通知内容を音声にして発する構成としてもよい。
【0085】
通知内容データテーブルを記憶する通知内容記憶手段として、ROM20の代わりに、SDメモリーカードのような交換可能なメモリーを用いてもよい。この場合には、スポーツ選手、老人、子供等といったユーザの種類や、炭坑内での作業、浴室内での作業、マラソン、サッカー等といったユーザの活動内容に応じた内容の通知内容データテーブルが記憶されたSDメモリーカードを予め準備しておくことで、ユーザの種類や活動内容に応じて幅広く適切な熱中症予防の通知を行うことができる。また、ROM20を書き換え可能なROMとし、無線・有線通信により他の装置(例えば、パソコン)から通知内容データテーブル等を取り込めるようにしてもよい。
【0086】
(第2の実施の形態)
上述した熱指標測定装置1における通知内容データテーブル(表(1),表(2))に規定される通知内容は、以下に図10から図12を参照しながら説明する本発明の第2の実施の形態に係る熱指標測定装置1のように、液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作の制御を行うためのプログラムである予防対策通知プログラムを用いて、通知手段である液晶表示装置8および圧電ブザー9から通知するようにしてもよい。なお、熱指標測定装置1の制御方法については、熱指標測定装置1の動作に併せて説明をすることとする。
【0087】
予防対策通知プログラムは、記憶手段として機能するROM20に記憶されている。そして、予防対策通知プログラムに基づいて、CPU21が液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作を制御する。すなわち、CPU21は、通知手段制御部として機能する。
【0088】
なお、第2の実施の形態として説明する熱指標測定装置1は、ROM20に予防対策通知プログラムが記憶されている点と、この予防対策通知プログラムに基づいてCPU21が液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作を制御する点を除いて、第1の実施の形態に係る熱指標測定装置1と同様の構成である。つまり、第2の実施の形態として説明する熱指標測定装置1は、図5のフローチャートに示すように、テーブル選択モード(ステップS20)において通知内容データテーブルの種類(表(1)または表(2))の選択がされ、運動レベル設定モード(ステップS30)において運動レベル設定モードが選択されると、予防対策通知モード(ステップS50)では、選択された通知内容データテーブルと運動レベルと測定されたWBGT近似値から判断されるWBGTレベルとに基づいて、予防対策通知プログラムを実行する。すなわち、テーブル選択モード(ステップS20)において選択される通知内容データテーブルの種類と、運動レベル設定モード(ステップS30)において設定される運動レベルとがCPU21に取得される処理が行われると、予防対策通知モード(ステップ50)では、予防対策通知プログラムに基づいてCPU21が液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作を制御する。この制御により、液晶表示装置8および圧電ブザー9からユーザに対する熱中症の予防対策が通知される。
【0089】
図10から図12を参照しながら、予防対策通知プログラムによる液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作について説明する。
【0090】
予防対策通知プログラムは、図10に示すフローチャートAの処理を実行するプログラムAと、図11に示すフローチャートBの処理を実行するプログラムBと、図12に示すフローチャートCの処理を実行するプログラムCを有する。そして、予防対策通知モード(ステップ50)では、フローチャートAの処理を実行するプログラムAとフローチャートBの処理を実行するプログラムBとフローチャートCの処理を実行するプログラムCが実行される。
【0091】
フローチャートAに示す処理(以下、フローAと言う)は、液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作の全体的な動作を制御するためのものである。これに対し、フローチャートBに示す処理(以下、フローBと言う)およびフローチャートCに示す処理(以下、フローCと言う)は、液晶表示装置8および圧電ブザー9の具体的な動作を制御するためのものである。
【0092】
つまり、フローBでは、ユーザが安全に運動・活動を継続することができるように、ユーザに対して水分補給と休憩の指示を液晶表示装置8および圧電ブザー9から行うことができるように、液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作を制御するためのものである(図11参照)。フローCは、ユーザに対し、運動・活動を継続することが危険なことを知らせ、ユーザに対し運動・活動の中止の指示を液晶表示装置8および圧電ブザー9から行うことができるように、液晶表示装置8および圧電ブザー9の動作を制御するためのものである(図12参照)。
【0093】
先ず、フローA(プログラムA)の処理内容を、図10を参照しながら説明する。
【0094】
フローAでは、先ず、気温と湿度の測定が行われ、測定された気温と湿度に基づいてWBGT近似値の演算が行なわれ、CPU21は、演算されたWBGT近似値のWBGTレベルを判断する(ステップS110)。そして、このWBGTレベルはRAM22に記憶され(ステップS120)、さらに、WBGTレベルに応じて、後述する図11に示すフローBまたは同じく後述する図12に示すフローCが実行される(ステップS130)。なお、WBGT近似値とWBGTレベルとの関係は、図5に示す通知内容データテーブル表(1)または図6に示す通知内容データテーブル表(2)に示されたものと同一である。
【0095】
例えば、テーブル選択モード(ステップS20)において通知内容データテーブル表(1)が選択され、運動レベル設定モード(ステップS30)において中程度の運動が選択されている場合であって、WBGTレベルが「1」から「3」の範囲である場合には、ステップS130においてフローBの処理の実行が開始される。これに対し、例えば、テーブル選択モード(ステップS20)において通知内容データテーブル表(1)が選択され、運動レベル設定モード(ステップS30)において中程度の運動が選択されている場合において、WBGTレベルが「4」以上の場合にはフローCの処理が実行される。
【0096】
フローBの処理が実行される場合(ステップS132においてNo)には、フローAの処理が併行して実行される。すなわち、フローBが実行されている間は、後述するフローAのステップS140からステップS200の処理が実行されている。これに対し、フローCの処理が実行される場合(ステップS132においてYes)には、フローAの処理を終了する(ステップS135)。
【0097】
フローC(プログラムC)においては、図12に示すようにユーザに対し、運動・活動を継続することが危険なことを知らせ、ユーザに運動・活動の中止を指示するための処理が実行される(ステップS500)。具体的には、図8に示すように、液晶表示装置8に表示53(「DANGER」)の表示を行い、併せて、圧電ブザー9に連続音のブザー音を発音させる。そして、スイッチ6Aとスイッチ6Cが共に押下され、表示53の表示と圧電ブザー9の連続音のブザー音の発音の停止操作がされたかどうかを判断し(ステップS510)、この操作が行われるまでは、液晶表示装置8の表示53(「DANGER」)の表示と圧電ブザー9の連続音の発音は継続される(ステップS510においてNo)。停止操作が行われた場合(ステップS510においてYes)には、運動・活動の中止を指示するための処理(S500)を終了し、フローCを終了する。
【0098】
フローCは、ユーザに運動・活動を中止させるための処理である。したがって、最早、フローCの処理が実行された後は、ユーザに運動・活動の継続を前提とした水分補給や休憩を指示が行われないようにする必要がある。そのため、フローCが実行された場合にはフローAの処理を終了することとしている(ステップS135)。
【0099】
スイッチ6Aとスイッチ6Cが共に押下され、表示53の表示と圧電ブザー9の連続音のブザー音の発音が停止し(ステップS510においてYes)、フローCの処理が終了した後、時間を置いて、気温、湿度等が運動・活動を行うのに適した状況になり、ユーザが運動・活動を再開したい場合がある。この場合には、スイッチ6Dを押下し、熱指標測定装置1の動作モードを熱指標測定モードとした後、動作設定モード(ステップS10からステップS40)において所定の動作設定を行うことで、予防対策モード(ステップS50)を実行することができる。
【0100】
一方、ステップS130においてフローBの処理が実行された場合には、フローAは、WBGT近似値の測定の時間間隔を制御するタイマーである測定間隔タイマーの計時を開始する(ステップS140)。この測定間隔タイマーはCPU21において機能的に実現されている。
【0101】
測定間隔タイマーにより所定時間、例えば、5分間を計時する(ステップS150)。測定間隔タイマーが5分間を計時した場合には(ステップS150においてYes)、再びWBGT近似値の演算を行ない、この演算されたWBGT近似値に基づいてWBGTレベルを判断する(ステップS160)。この判断されたWBGTレベルが、ステップS120においてRAM22に記憶されたWBGTレベルに対して変化しているかどうかを判断する(ステップS170)。このWBGTレベルの変化はCPU21において行われる。すなわち、CPU21は、熱指標変化判断手段としても機能している。
【0102】
本実施の形態では、CPU21は、熱指標の所定の変化の有無を通知内容データテーブル表(1),(2)に規定されるWBGTレベルの変化の有無として判断している。なお、WBGTレベルは、通知内容データテーブル表(1),(2)に規定されているものに限らず、各レベルに対応する熱指標の範囲(数値範囲)を狭くしたり、あるいは広くしてもよい。また、WBGTレベルが2段階以上変化した場合に、WBGTレベルに所定の変化があったと判断するようにしてもよい。さらに、また、本実施の形態では、CPU21は、WBGTレベルの時間の経過による変化を5分間隔で判断しているが、この時間間隔に限らず、もっと短い時間間隔、あるいは長い時間間隔としてもよい。時間間隔を短くすることで、WBGTレベルの変化に応じた熱中症の予防を効果的に行うことができる。
【0103】
ステップS170においてWBGTレベルが変化していると判断された場合には(ステップS170においてYes)、ステップS120において先に記憶されているWBGTレベルに換えて変化した後のWBGTレベルをRAM22に記憶する(ステップS180)。また、ステップS180においては、後述するフローBにおける水分補給タイマー(ステップS305)および休憩タイマー(ステップS405)の計時を開始してからの時間についても記憶が行われる。なお、ここで記憶される水分補給タイマーおよび休憩タイマーの計時を開始してからの時間は、既に実行されているフローBにおけるものである。続いて、変化後のWBGTレベルに応じてフローBまたはフローCの実行が選択される(ステップS190)。ステップS190において、フローBが選択された場合には、既に実行されているフローBを終了し、改めて、変化後のWBGTレベルに基づいたフローBの処理が実行される。
【0104】
フローBの処理の実行(ステップS190)が開始された後、または、ステップS170においてWBGTレベルが変化していない判断された場合には(ステップS170においてNo)、測定間隔タイマーをリセットし(ステップS200)、その後、再び測定間隔タイマーの計時を開始し(ステップS140)、ステップS150からステップS200の処理が繰り返される。つまり、フローAは、ステップS130またはステップS190において実行されたフローBの実行に併行して実行されている。一方、ステップS190において、フローCが選択された場合には、実行されているフローBを終了し、フローCの処理が実行される。フローCの処理が実行された場合(ステップS192においてYes)には、ユーザに運動・活動の継続を前提とした水分補給や休憩を指示が行われないように、フローAの処理を終了する(ステップS195)。
【0105】
上述のように、予防対策通知モード(ステップ50)では、フローBを実行しながら、フローAを実行することにより、所定時間間隔(本実施の形態では5分間隔)でWBGT近似値を測定値しWBGTレベルの判断を行う。そして、WBGTレベルが変化した場合には、フローBが変化後のWBGTレベルに対応した内容で実行される。変化後のWBGTレベルがユーザの運動・活動を中止すべきものである場合には、フローCを実行することでユーザが熱中症に陥ることを防止することができる。
【0106】
次に、ステップS130およびステップS190において実行されるフローB(プログラムB)の処理内容について図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。フローBは、ユーザに水分補給を指示するための処理フローとなる水分補給フローBDの実行と、ユーザに休憩を指示するための処理フローとなる休憩フローBRの実行を行うことができるようになっている。
【0107】
フローBでは、先ず、テーブル選択モード(ステップS20)において選択された通知内容データテーブル(表(1)または表(2))と運動レベル設定モード(ステップS30)において設定された運動レベル、およびステップS110またはステップS160において測定・判断されたWBGTレベルに基づいて、水分補給フローBDの処理を開始するかどうかの判断(ステップS300)と、休憩フローBRの処理を開始するかどうかの判断(ステップS400)が行われる。
【0108】
ここでは、例えば、テーブル選択モード(ステップS20)において通知内容データテーブル表(1)が選択され、運動レベル設定モード(ステップS30)において中程度の運動が選択され、ステップS110またはステップS160においてWBGTレベルが2と判断された場合について説明する。この場合には、通知内容データテーブル表(1)から判るように、液晶表示装置8への「DRINK」の表示と圧電ブザー9の連続短音のブザー音の発音を20分毎に20秒間行うという、水分補給の指示のみがユーザに対して行われる。ユーザに対して休憩の指示は行われない。したがって、フローBではステップS300おいて、水分補給フローBDの処理の開始の判断が行われる(ステップS300においてYes)。また、フローBではステップS400において、休憩フローBRの処理を行わない判断が行われ(ステップS400においてNo)、休憩フローBRの処理は停止状態が維持される(ステップS402)。
【0109】
水分補給フローBDにおいては、水分補給フローBDの処理を開始する旨の判断(ステップS300においてYes)に続いて、水分補給の指示タイミングの時間を計時するための水分補給タイマーの計時が開始される(ステップS305)。なお、水分補給タイマーはCPU21において機能的に実現されている。
【0110】
次いで、後述するWBGTレベルが変化する前に実行されていた水分補給フローBDまたは休憩フローBRにおいて設定されている水分補給フラグDF、または休憩フラグRFの有無が判断される(ステップS310)。ここでは、先ず、WBGTレベルが変化する前には水分補給フラグDFも休憩フラグRFも設定されていない場合について説明することとし、ステップS310においてNoの判断が行われる。そして、水分補給タイマーの計時開始(ステップS305)から所定の時間間隔として20分が経過したかどうかを判断(ステップS315)すると共に、ユーザに水分補給の指示を行うか行わないかを判断する(ステップS320)。
【0111】
水分補給タイマーの計時開始(ステップS305)から20分が経過し(ステップS315においてYes)、ユーザに水分補給の指示を行うと判断された場合(ステップS320においてYes)には、ユーザへの水分補給の指示として、液晶表示装置8への「DRINK」の表示と圧電ブザー9の連続短音のブザー音の発音を20秒間行う(ステップS325)。
【0112】
一方、例えば、後述する休憩フローBRにおける休憩の指示(ステップS425、ステップS460)と水分補給の指示(ステップS325)が重なる等の事情がある場合には、休憩の指示を優先し、ステップS320においてNoの判断がされ、水分補給タイマーの計時開始(ステップS305)から20分が経過した場合であってもユーザへの水分補給の指示は行わない。
【0113】
ユーザへの水分補給の指示(ステップS325)が行われた後、または、ステップS320において水分補給の指示を行わない旨の判断(ステップS320においてNo)に続いて、ステップS310の判断の対象となったWBGTレベルが変化する前における水分補給フラグDFおよび休憩フラグRFの設定の解除が行われる(ステップS330)。ここでは、ステップS310において、WBGTレベルが変化する前における水分補給フラグDF(変化前フラグ)も休憩フラグRF(変化前フラグ)も無いと判断されているので、ステップS330におけるフラグの解除処理は行われない。
【0114】
続いて、ステップS325においてユーザへの水分補給の指示が行われた旨のフラグが水分補給フラグDFとして設定される(ステップS335)。なお、ステップS320において水分補給の指示を行わない判断がされた場合(ステップS320においてNo)であっても、水分補給フラグDFは設定される(ステップS335)。そして、水分補給タイマーをリセットし(ステップS340)、ステップS305に戻り、ステップS170においてWBGTレベルに変化があると判断されるまでは、20分毎に行われる液晶表示装置8への「DRINK」の表示と圧電ブザー9の連続短音のブザー音の発音に加えて、先に設定されている水分補給フラグDFを更新する動作を繰り返す(ステップS310からS330)。なお、水分補給フラグDFの更新は、ステップS320において水分補給の指示を行わない旨の判断がされた場合(ステップ320においてNo)にも行われる。
【0115】
このように、熱中症の予防対策として水分補給の指示が20分毎に行われることで、熱中症の予防を行うことができる。なお、水分補給の指示が行われる20分間隔は、熱中症の予防を効果的に行うことができる所定の時間間隔であり、20分に限らずユーザデータの内容等に応じて適切な時間間隔を設定することができる。
【0116】
水分補給フラグDFを設定(ステップS335)する際には、水分補給フローBDが実行されている環境のWBGTレベルが識別子として水分補給フラグDFに付与される。つまり、水分補給フラグDFには、ステップS110またはステップS160で判断されたWBGTレベルが識別子として付与されている。したがって、ステップS310では、水分補給フラグDFに付与されているWBGTレベルに関する識別子を判断することで、水分補給フラグDFが、現在実行されている水分補給フローBDに関するものか、WBGTレベルが変化する前に実行されていた水分補給フローBDまたは休憩フローBRにおいて設定された水分補給フラグDFかの判断を行うことができる。
【0117】
なお、ステップS310において、WBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDF、または休憩フラグRFが有ると判断される場合(ステップS310においてYes)の処理については、後述する。
【0118】
次に、例えば、テーブル選択モード(ステップS20)において通知内容データテーブル表(1)が選択され、運動レベル設定モード(ステップS30)において中程度の運動が選択され、ステップS110またはステップS160においてWBGTレベルが3と判断された場合について説明する。この場合には、通知内容データテーブル表(1)から判るように、液晶表示装置8への「DRINK」の表示と圧電ブザー9の連続短音のブザー音の発音を20分毎に20秒間行うという水分補給の指示と休憩の指示がユーザに対して行われる。
【0119】
休憩の指示は、液晶表示装置8への「REST−20」の表示と圧電ブザー9の短音のブザー音の発音を30分毎に20秒間行うというものである。水分補給の指示については、ステップS300において水分補給フローBDの処理の開始の判断(ステップS300においてYes)に続いて、上述した水分補給フローBDを実行することにより行われる。また、休憩の指示は、フローBにおけるステップS400の休憩フローBRの処理を開始する判断(ステップS400においてYes)に続いて、後述するステップS405以降の処理を実行することにより行われる。
【0120】
休憩フローBRにおいては、休憩フローBRの処理を開始する旨の判断(ステップS400においてYes)に続いて、休憩の指示タイミングの時間を計時するための休憩タイマーの計時が開始される(ステップS405)。なお、休憩タイマーはCPU21において機能的に実現されている。
【0121】
次いで、後述するWBGTレベルが変化する前に実行されていた水分補給フローBDまたは休憩フローBRにおいて設定されている水分補給フラグDF、または休憩フラグRFの有無が判断される(ステップS410)。ここでは、先ず、WBGTレベルが変化する前には水分補給フラグDFも休憩フラグRFも設定されていない場合について説明することとし、ステップS410においてNoの判断が行われる。そして、休憩タイマーの計時開始(ステップS405)から30分が経過したかどうかを判断(ステップS415)すると共に、ユーザに休憩の指示を行うか行わないか判断する(ステップS420)。
【0122】
休憩タイマーの計時開始(ステップS405)から30分が経過し(ステップS415においてYes)、ユーザに休憩の指示を行うと判断された場合(ステップS420においてYes)には、ユーザへの休憩の指示として、液晶表示装置8への「REST−20」の表示と圧電ブザー9の短音のブザー音の発音を20秒間行う(ステップS425)。
【0123】
一方、例えば、試合時間の中にハーフタイムのような休憩を取るタイミングが決まっている場合に、このタイミングとステップS425における休憩指示のタイミングが重なるような事情がある場合には、ステップS420においてNoの判断がされ、休憩タイマーの計時開始(ステップS405)から30分が経過した場合であっても、ユーザに休憩の指示が行わない。なお、ハーフタイムがどのタイミングで訪れるかについては、動作設定モード(ステップS10からステップ40のいずれかの段階)において予めRAM22等に予め記憶しておく。
【0124】
ユーザへの休憩の指示(ステップS425)が行われた後、または、ステップS420における休憩の指示を行わない旨の判断(ステップS420においてNo)に続いて、ステップS425においてユーザへの休憩の指示が行われた旨のフラグが休憩フラグRFとして設定される(ステップS430)。なお、ステップS420において休憩の指示を行わない判断がされた場合(ステップ420においてNo)であっても、休憩フラグRFは設定される(ステップS430)。
【0125】
そして、休憩タイマーをリセットし(ステップS435)、ステップS405に戻り、ステップS170においてWBGTレベルに変化があると判断されるまでは、30分毎に行われる液晶表示装置8への「REST−20」の表示と圧電ブザー9の短音のブザー音の発音に加えて、先に設定されている休憩フラグRFを更新する動作を繰り返す(ステップS410からS430)。なお、休憩フラグRFの更新は、ステップS420において休憩の指示を行わない旨の判断がされた場合(ステップ420においてNo)にも行われる。
【0126】
このように、熱中症の予防対策として休憩の指示が30分毎に行われることで、熱中症の予防を行うことができる。なお、休憩の指示が行われる30分間隔は、熱中症の予防を効果的に行うことができる所定の時間間隔であり、30分に限らずユーザデータの内容等に応じて適切な時間間隔を設定することができる。
【0127】
休憩フラグRFを設定(ステップS430)する際には、休憩フローBRが実行されている環境のWBGTレベルが識別子として休憩フラグRFに付与される。つまり、休憩フラグRFには、ステップS110またはステップS160で判断されたWBGTレベルが識別子として付与されている。したがって、ステップS410では、休憩フラグRFに付与されているWBGTレベルに関する識別子を判断することで、休憩フラグRFが、現在実行されている休憩フローBRに関するものか、WBGTレベルが変化する前に実行されていた水分補給フローBDまたは休憩フローBRにおいて設定された休憩フラグRFかの判断を行うことができる。
【0128】
なお、ステップS410において、WBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDF、または休憩フラグRFの設定が有ると判断される場合(ステップS410においてYes)の処理については後述する。
【0129】
ところで、上述したように、フローAにおいては、5分間隔でWBGTレベルの変化の有無を判断し、WBGTレベルが変化したと判断された場合には、変化後のWBGTレベルに応じてフローBまたはフローCの実行が選択される(ステップS190)。そして、フローBが選択された場合には、既に実行されているフローBを終了し、改めて、変化後のWBGTレベルに基づいたフローBの処理が実行される。したがって、フローBの水分補給フローBDおよび休憩フローBRは、処理を開始するに当たり水分補給タイマーおよび休憩タイマーをスタートさせるため、水分補給の指示を行う時間間隔と休憩の指示を行う時間間隔は最初から計時されることになる。
【0130】
そのため、例えば、WBGTレベルが「3」から「2」に変化したとき、この変化の前に最後に行われた熱中症の予防対策の指示が、変化の10分前に行われた水分補給の指示である場合がある。しかしながら、フローBは水分補給の指示を20分間隔で行うこととなっている。このため、WBGTレベルが「3」から「2」に変化した後、フローBのステップS305の計時が開始されてから20分後に水分補給の指示が行われるので、前回の水分補給の指示から30分の間、水分補給の指示がされないこととなり、熱中症を予防する上で適切さを欠く。
【0131】
そこで、ステップS310およびステップS410において、WBGTレベルが変化する前に実行されていたフローBで設定された水分補給フラグDFまたは休憩フラグRFの有無を判断し、いずれかのフラグが有ると判断された場合には(ステップS310においてYes、ステップS410においてYes)、所定の処理(ステップS312、ステップS450)が行われる。
【0132】
具体的には、例えば、WBGTレベルが「3」から「2」に変化したときには、変化する前のWBGTレベルが「3」のときに実行されていたフローBでは、ステップS335で水分補給フラグDFが設定され、またステップS430で休憩フラグRFが設定されている。したがって、WBGTレベルが「3」から「2」に変化した後に実行されるフローBの水分補給フローBDのステップS310においては、WBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDF、または休憩フラグRFが有ると判断される(ステップS310においてYes)。
【0133】
そして、この場合(ステップS310においてYes)には、WBGTレベルが変化する前の最後に行われた熱中症の予防対策の指示が行われた後、WBGTレベルの変化後に実行されるフローBの水分補給タイマーの計時が開始されるまでの時間を、ステップS305で計時が行われる水分補給タイマーの計時時間に加算する(ステップS312)。これにより、WBGTレベルが「3」から「2」に変化した後、最初に行われる水分補給の指示は、WBGTレベルが変化する前に行われている水分補給または休憩の指示から所定の時間として20分後に行われることになる。つまり、熱中症の予防を行うために必要な水分補給のタイミングを逃すことを防止できる。この所定の時間として20分は、ステップS315において設定される時間と同一であり、これにより、熱中症の予防を効果的に行うことができる。なお、この所定の時間は、熱中症の予防を効果的に行うことができるならば、ステップS315において設定される時間よりも短くまたは長くなるようにしても良い。
【0134】
ここでは、フローAのステップS180において記憶された、WBGTレベルが変化する前に実行されていたフローBの水分補給タイマーおよび休憩タイマーの計時を開始してからの時間のうち短い方を、WBGTレベルが変化する前の最後に行われた熱中症の予防対策の指示が行われてからWBGTレベルの変化後に実行されるフローBの水分補給タイマーの計時開始までの時間としている。
【0135】
また、例えば、WBGTレベルが2から3に変化したときには、変化する前のWBGTレベルが2のときに実行されていたフローBでは、ステップS335で水分補給フラグDFが設定されている。したがって、WBGTレベルが2から3に変化した後に実行されるフローBの水分補給フローBDのステップS310と休憩フローBRのステップS410において、WBGTレベルが変化する前に設定されている水分補給フラグDFが有ると判断される(ステップS310においてYes、ステップS410においてYes)。
【0136】
この場合、水分補給フローBDにおいては、上述したWBGTレベルが3から2に変化した場合と同様な処理が実行され、WBGTレベルが2から3に変化した後、最初に行われる水分補給の指示は、WBGTレベルが変化する前に行われている水分補給または休憩の指示から20分後に行われることになる。
【0137】
一方、休憩フローBRにおいては、WBGTレベルが変化する前の最後に行われた熱中症の予防対策の指示が行われた後、WBGTレベルの変化後に実行されるフローBの休憩タイマーの計時が開始されるまでの時間を、ステップS405で計時が行われる休憩タイマーの計時時間に加算する(ステップS450)。そして、休憩タイマーは、加算された時間を含めて30分を計時したかどうかを判断し(ステップS455)、30分が計時された場合には(ステップS455においてYes)、ユーザへの休憩の指示として、液晶表示装置8への「REST−20」の表示と圧電ブザー9の短音のブザー音の発音を20秒間行う(ステップS460)。これにより、WBGTレベルが2から3に変化した後、最初に行われる休憩の指示は、WBGTレベルが変化する前に行われている水分補給の指示から所定の時間として30分後に行われることになる。つまり、熱中症の予防を行うために必要な休憩のタイミングを逃すことを防止できる。なお、休憩に際しては、水分補給も一般に行われる。そのため、水分補給についても事実上指示されることになり、水分補給の点からも熱中症が効果的に予防される。ところで、所定の時間として30分は、ステップS415において設定される時間と同一であり、これにより、熱中症の予防を効果的に行うことができる。なお、この所定の時間は、熱中症の予防を効果的に行うことができるならば、ステップS415において設定される時間よりも短くまたは長くなるようにしても良い。
【0138】
休憩フローBRにおいても同様に、フローAのステップS180において記憶された、WBGTレベルが変化する前に実行されていたフローBの水分補給タイマーおよび休憩タイマーの計時を開始してからの時間のうち短い方を、WBGTレベルが変化する前の最後に行われた熱中症の予防対策の指示が行われてからWBGTレベルの変化後に実行されるフローBの休憩タイマーの計時開始までの時間としている。
【0139】
そして、WBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDFの設定を解除し(ステップS465)、休憩タイマーをリセット(ステップS470)した後、再び、休憩タイマーをスタートさせる(ステップS405)。ステップS410では、ステップS465でWBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDFの設定は解除されているので、水分補給フラグDF無し(ステップS410においてNo)の判断がなされ、ステップS410からステップS440の処理が繰り返され、30分毎に休憩の指示が液晶表示装置8および圧電ブザー9により行われる。
【0140】
上述の第2の実施の形態の説明では、WBGTレベルが「2」から「3」に変化した場合と「3」から「2」に変化した場合について説明したが、「1」から「2」あるいは「2」から「1」等へ変化した場合も同様に、WBGTレベルが変化する前の水分補給フラグDFおよび休憩フラグRFに基づき、WBGTレベルが変化した後の熱中症の予防対策の指示は適切なタイミングで行われる。
【0141】
第2の実施の形態に係る熱指標測定装置1における休憩フローBRでは、ステップS410において、水分補給フラグDFまたは休憩フラグRFの何れかの有無を判断することで、休憩指示までの時間が空きすぎないようにしている。しかしながら、ステップS410において休憩フラグRFの有無のみを判断するようにしても良い。この場合には、ステップS450において行われる休憩タイマーへの時間の加算は、WBGTレベルが変化する前に休憩の指示が行われている場合に限って行われることになる。つまり、WBGTレベルが変化する前の最後に行われた休憩指示の後、WBGTレベルの変化後に実行される休憩フローBRの休憩タイマーの計時が開始されるまでの時間を、ステップS405で計時が開始された休憩タイマーの計時時間に加算することになる。この場合であっても、水分補給の指示については、水分補給フローBDにおいて、WBGTレベルが変化する前における行われた水分補給の指示から所定の時間(20分)後に行われるので、熱中症の予防対策は適切に行われる。
【0142】
また、第2の実施の形態に係る熱指標測定装置1におけるプログラムBにおいては、水分補給を指示する処理(水分補給フローBD)のみが行われる場合と、水分補給を指示する処理(水分補給フローBD)と休憩を指示する処理(休憩フローBR)を組み合わせて指示する処理が行われる構成となっているが、WBGTレベルに応じて、休憩のみを指示する処理を行うようにしてもよい。この場合には、フローBのステップS300にける水分補給フローBDの処理を開始するかどうかの判断において、水分補給フローBDの処理を行わない判断が行われ(ステップS300においてNo)、水分補給フローBDの処理は停止状態に維持される(ステップS302)。一方、フローBのステップS400において、休憩フローBRの処理を開始する判断(ステップS400においてYes)が行われ、休憩フローBRのみが実行されることで、休憩の指示のみが行われることになる。
【0143】
また、水分補給や休憩の指示を行うタイミングは、上述の20分あるいは30分に限らず、ユーザの体力や性別、年齢といったユーザの種類、運動や活動レベル、あるいは活動場所等を考慮し、熱中症を効果的に予防できる所定の時間間隔を設定する。
【0144】
予防対策通知プログラムは、上述のように、ROM20に記憶しておくほか、スポーツ選手、老人、子供等といったユーザの種類や、炭坑内、浴室内等と言った活動(作業)場所、あるいはマラソン、サッカー等といったユーザの活動内容等に応じた内容の予防対策通知プログラムをSDメモリーカードのような交換可能なメモリーに記憶しておき、ユーザの種類、活動場所、活動内容等に応じてSDメモリーカードを交換するようにしてもよい。このようにすることで、幅広く適切な熱中症予防の通知を行うことができる。また、ROM20を書き換え可能なROMとし、無線・有線通信により他の装置(例えば、パソコン)から通知内容データテーブル等を取り込めるようにしてもよい。
【0145】
また、第2の実施の形態に係る熱指標測定装置1では、ユーザに熱中症の予防を指示するプログラムはプログラムBとプログラムCとしたが、他の指示内容、例えば、水分補給や休憩の指示の時間間隔を変えたり、あるいは、ミネラルの補給、頭部の冷却等を指示するためのプログラムを備えて、ユーザデータの内容や熱指標に応じて適切なプログラムが実行されるようにしても良い。
【0146】
なお、上述した各実施の形態における熱指標測定装置1は、生体を人間を対象とした場合の構成として説明したが、生体は、犬、猫等のペット動物、馬、豚、牛等の家畜動物を対象としてもよい。このようなペット動物あるいは家畜動物を対象とする場合には、通知内容データテーブルは、各生体に適したものを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱指標測定装置の電気的な回路構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示す熱指標測定装置の外観の構成を示す外観図であり、(A)、(B)、(C)、(D)は、それぞれ、熱指標測定装置の平面図、底面図、左側面図、正面図である。
【図3】通知内容データテーブルの内容を示す表で、体力が強いユーザに対応した表を示す図である。
【図4】通知内容データテーブルの内容を示す表で、体力が弱いユーザに対応した表を示す図である。
【図5】熱指標測定装置の動作設定を示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートの各ステップにおける液晶表示装置の表示画面の内容を示すものである。
【図7】図6(A)に示す表示29の表示の種類を示す図である。
【図8】予防対策通知モードにおける、液晶表示装置の表示画面の内容を示す図である。
【図9】図1に示す熱指標測定装置の液晶表示装置に図8(B)の表示がされるまでの間の表示を示す図である。
【図10】液晶表示装置および圧電ブザーの動作の全体的な動作を制御するためのフローを示すフローチャートである。
【図11】液晶表示装置および圧電ブザーの具体的な動作を制御するためのフローを示すフローチャートである。
【図12】液晶表示装置および圧電ブザーの具体的な動作を制御するためのフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0148】
1 ・・・ 熱指標測定装置
2 ・・・ 温度センサ(気温測定手段)
3 ・・・ 湿度センサ(湿度測定手段)
5 ・・・ 熱指標演算手段
6B ・・・ スイッチ(ユーザデータ入力手段)
8 ・・・ 液晶表示装置(通知手段)
9 ・・・ 圧電ブザー(通知手段)
11 ・・・ 筐体(保持手段)
13 ・・・ バンド(装着手段)
20 ・・・ ROM(通知内容記憶手段)
21 ・・・ CPU(通知内容決定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気温を測定する気温測定手段と、
湿度を測定する湿度測定手段と、
上記測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算手段と、
ユーザについてのデータであるユーザデータを入力するユーザデータ入力手段と、
熱中症の予防対策をユーザに通知する通知手段と、
上記熱指標と上記ユーザデータとに基づいて上記予防対策を通知するように上記通知手段を制御するためのプログラムが記憶された記憶手段と、
上記プログラムに基づいて上記通知手段を制御する通知手段制御部と
上記各手段を保持する保持手段と、
を有することを特徴とする熱指標測定装置。
【請求項2】
前記プログラムは熱中症の予防対策として水分補給通知と休憩通知のいずれか一方または両方を前記通知手段に通知させることを特徴とする請求項1に記載の熱指標測定装置。
【請求項3】
前記プログラムは、水分補給通知と休憩通知のいずれか一方または両方をそれぞれ所定の時間間隔で、前記通知手段から通知するように前記通知手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の熱指標測定装置。
【請求項4】
前記熱指標の時間の経過による変化とその変化の状態を判断する熱指標変化判断手段を有し、
前記プログラムは、上記熱指標変化判断手段により熱指標に所定の変化が有ったと判断された場合に、前記ユーザデータと上記所定の変化が有ったと判断された後の熱指標とに基づいて上記通知手段を制御するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱指標測定装置。
【請求項5】
前記プログラムは、上記熱指標変化判断手段により熱指標に所定の変化が有ったと判断された場合には、この判断後に最初に行われる通知は、前記所定の変化が有ったと判断される前の通知時から所定の時間が経過したときに行うように通知手段を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱指標測定装置。
【請求項6】
前記所定の時間は、前記所定の時間間隔と同一時間であることを特徴とする請求項5に記載の熱指標測定装置。
【請求項7】
気温を測定する気温測定処理と、
湿度を測定する湿度測定処理と、
上記測定された気温と湿度とから熱指標を演算する熱指標演算処理と、
ユーザについてのデータであるユーザデータを取得するユーザデータ取得処理と、
上記熱指標と上記ユーザデータとに基づいて熱中症の予防対策が通知手段から通知されるように通知手段を制御する通知手段制御処理と、
を行うことを特徴とする熱指標測定装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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