説明

熱水供給装置

【課題】 管路の清浄度を維持でき、熱交換の効率性を維持できる熱水供給装置を提供する。
【解決手段】浴槽52の浴水は出水口54からポンプ30を経由し、切替弁31を通過して循環路2’から熱交換器1の管路10に入り、ここで熱交換され加温されて循環路2から清浄化装置3を通って、浴槽52に戻され、追い焚きが行われる。清浄化装置3においては、浴水はUVランプ33、ろ過タンク34、電解殺菌装置35により殺菌及びろ過されるため、熱交換器1の管路10内部及び循環路2、2’の内部に不純物が付着することが抑制される。そのため熱交換器1の熱交換効果を維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷水を加熱して熱水を作り出し、貯水タンクに蓄え、該熱水を供給する熱水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような熱水供給装置として、深夜電力を利用したものが普及しているが、近年燃料電池システム、コージェネシステム、「エコキュート」と呼ばれるヒートポンプ式のもの等を熱源とするものが、提案され、或いは市販されている。これらのシステムにおいては、貯水しておいた熱水に冷水を加えて適当な温度とした上で家庭内において必要個所に給湯している。
また浴室の浴槽の湯を貯水タンクに導いて熱交換して加熱する、所謂追い焚き機能を備えたものが知られている。該熱交換は、貯水タンク内に管路を設け、この管路に浴水を導くことにより行われている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−328340号公報
【特許文献2】特開2002−22389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の構成の場合、浴水を貯水タンクまで導く管路や貯水タンク内の熱交換用の管路に、浴水に含まれる種々の汚れやカルシウム或いは人体から出た油脂分等の不純物が付着する問題があった。特に熱交換器内部には、通常熱交換用の管路が形成されており、この管路に不純物が付着すると、熱伝導を妨げ、熱交換効率を著しく低下させる問題があった。熱交換器の内部は洗浄が難しく、不純物の付着による熱交換効率の低下は大きな問題であった。また、熱交換器内部で細菌が増殖し、その結果臭いや汚れが浴水中に流出する問題もあった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の熱水供給装置は、冷水を加熱して熱水を生成するための熱水供給手段と、該熱水を貯める貯水手段と、浴水を蓄える浴槽と、該浴槽に連結し、前記貯水手段に貯められた熱水と浴水との間で熱交換を行うための熱交換手段と、前記浴槽と該熱交換手段との間に浴水を循環させる循環管路と、前記循環管路に設けられ、浴水を浄化及び/又は殺菌するための清浄化装置と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、清浄化装置により熱交換器や循環管路に循環する水に含まれる不純物が浄化されるため、熱交換器内部や管路に不純物が付着することが少なくなり、良好な熱伝導が維持できる。また洗浄及び殺菌を行うため、細菌の増殖が抑制され、浴水への臭いや汚れの排出がなくなる。
更に請求項2の発明においては、冷水を加熱して熱水を生成するための熱水供給手段と、該熱水を貯める貯水手段と、浴水を蓄え、該浴水を出水する出水口と浴水を入水する入水口とを有する浴槽と、該浴槽の出水口と入水口に連結し、前記貯水手段に貯められた熱水と浴水との間で熱交換を行うための熱交換手段と、前記浴槽と該熱交換手段との間に浴水を循環させる循環管路と、前記浴槽の出水口側と入水口側とを所望の時に短絡可能な短絡装置と、該短絡装置により浴槽の出水口側と入水口側とを短絡し、前記熱交換手段により浴水を加熱しつつ該熱交換手段と前記循環管路に浴水を循環させて、該熱交換手段と循環管路を洗浄及び殺菌する洗浄装置と、を備えたことを特徴とする。
上記構成においては、浴槽の手前で管路を短絡して、熱交換手段により浴水を加熱しつつ熱交換手段と循環管路に循環させて、洗浄及び殺菌を行うため、熱交換器内部や管路に付着した不純物を洗浄でき、良好な熱伝導が維持できる。
なお、上記した清浄化装置と洗浄装置を両方備えることも可能であり、これにより更に良好な熱交換を行える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱水供給装置によれば、管路の清浄度を維持でき、熱交換の効率性を維持できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、熱水供給手段としてのヒートポンプ50により生成された熱水は貯湯タンク51に蓄えられるようになっている。貯湯タンク51の上部側には熱水が蓄えられ、下部には給水管63から減圧弁62を経由して導入された冷水が蓄えられ、ポンプ60によりヒートポンプ50におくられ、ここで熱水となって、貯湯タンク51頂部から再び貯湯タンク51の上部に導入され、ここに蓄えられるようになっている。
【0008】
貯湯タンク51の熱水は混合弁61において給水管63からの冷水と混合され、所定温度まで冷却された上で、給湯管64により所定の箇所に給湯されるように構成されている。
【0009】
貯湯タンク51の内部には熱交換器1が設けられている。熱交換器1は、何重にも折り曲げられた管路10から構成され、貯湯タンク51の内部を蛇行しつつ、管路10内部の水の温度を昇温するように構成されている。
【0010】
熱交換器1は循環路2,2’により浴槽52の入水口53と出水口54に接続し、浴槽52からの浴水を導入し、昇温して再び浴槽52に戻すようになっている。
【0011】
循環路2、2’の途中に清浄化装置3が設けられ、ここを循環する水を清浄化するように構成されている。清浄化装置3はポンプ30を備え、水を切替弁31を経由して循環路2’から管路10に送り、循環路2を通って清浄化装置3を経由した上で浴槽52に戻すようになっている。
【0012】
循環路2の途中にはUVランプ33、ろ過タンク34、電解殺菌装置35が設けられており、浴水はUVランプ33で殺菌され、ろ過タンク34でろ過され、電解殺菌装置35により再び殺菌されて入水口53から浴槽52内に戻るように構成されている。
ろ過タンク34の出側には排水管37が設けられ、排水弁36を操作することにより浴水を系外に排出できるようになっている。
【0013】
循環路2と循環路2’の浴槽52側、即ち入水口53と出水口54の近傍には短絡装置4が設けられており、循環路2と循環路2’を短絡して、浴水を浴槽52に戻さずに循環させることが出来るようになっている。
【0014】
短絡装置4には短絡弁40が設けられており、短絡/非短絡を選択できるようになっている。即ち、短絡弁40を切り替えて、短絡管路41を導通させ、循環路2と循環路2’を短絡させると、図2に示すようにポンプ30、切替弁31、を通って循環路2’から管路10に入り、ここで高温に熱せられて循環路2から逆止弁32、UVランプ33、ろ過タンク34、排水弁36を通過して短絡弁40、短絡管路41に戻る回路が形成される。この回路により、浴水は熱交換器1の管路10により高温に熱せられた状態で循環路2、循環路2’及び熱交換器1の管路10内を循環し、その内部を洗浄する。洗浄後は、排水弁36を排水管37側に切り替えて、排水するようになっている。
【0015】
上記した、管路内部の洗浄は制御装置5により行われる。即ち制御装置5は、図1の装置全体の制御を行っており、特に切替弁31、排水弁36、短絡弁40の開閉、ポンプ30とポンプ60の駆動制御を行うように構成されている。洗浄の際には、短絡弁40を短絡装置4側に開として短絡管路41を導通させ、ポンプ30を所定時間駆動して、高温の浴水を循環させ、所定時間後に排水弁36を切り替えて排水管37から洗浄を行った循環水を系外に排出して洗浄を完了するようになっている。
なお、連絡管路38はUVランプ33と切替弁31を短絡する管路であり、浴水の浄化モードのときに使用するものである。
【0016】
次に動作を説明する。
図1は、追い焚きモードの状態を示しており、浴槽52の浴水は出水口54からポンプ30を経由し、切替弁31を通過して循環路2’から熱交換器1の管路10に入り、ここで熱交換され加温されて循環路2から清浄化装置3を通って、浴槽52に戻され、追い焚きが行われる。
清浄化装置3においては、浴水はUVランプ33、ろ過タンク34、電解殺菌装置35により殺菌及びろ過されるため、熱交換器1の管路10内部及び循環路2、2’の内部に不純物が付着することが抑制される。そのため熱交換器1の熱交換効果を維持できる効果がある。
【0017】
更に、積極的に管路10の洗浄を行うモードを図2に基づいて説明する。
制御装置5は、短絡弁40を短絡管路41側に切り替えて、循環路2、2’を浴槽52の手前で短絡し、即ち入水口53と出水口54を短絡し、循環路2’、管路10、循環路2の閉ループを形成する。この状態で、ポンプ30を駆動し、切替弁31、循環路2’、管路10、循環路2、逆止弁32、UVランプ33、ろ過タンク34、排水弁36、短絡弁40、短絡管路41という回路で水を循環させる。該循環水は管路10で高温に熱せられるから、管路10、循環路2、循環路2’の管路内部を高温で洗浄することになる。
加えて、UVランプ33で殺菌され、ろ過タンク34でろ過され、更に電解殺菌装置35による殺菌も行われるため、洗浄効果は更に大きくなる。
所定時間洗浄したら、制御装置5は排水弁36を排水管37側に開いて、洗浄に供した循環水を排水管37から系外に排出する。
以上により、熱交換器1の管路10、循環路2、循環路2’の内部の洗浄が効果的に実行できる。
【0018】
なお、この実施例では、図3に示すように連絡管路38を用いて浴水を清浄化装置3内部に循環させて、浴水の浄化を行うモードを備えている。
このモードにおいては、切替弁31を連絡管路38側に切り替えておき、ポンプ30を駆動すれば、浴水は出水口54からポンプ30、切替弁31、連絡管路38、UVランプ33、ろ過タンク34、排水弁36、短絡弁40、入水口53という循環を行い、浴水をUVランプ33、ろ過タンク34及び電解殺菌装置35において殺菌、ろ過しつつ、循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態の他の状態を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態の更に他の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0020】
1:熱交換器、2、2’:循環路、3:清浄化装置、4:短絡装置、5:制御装置、10:管路、30:ポンプ、31:切替弁、32:逆止弁、33:UVランプ、34:ろ過タンク、35:電解殺菌装置、36:排水弁、37:排水管、38:連絡管路、40:短絡弁、41:短絡管路、50:ヒートポンプ、51:貯湯タンク、52:浴槽、53:入水口、54:出水口、60:ポンプ、61:混合弁、62:減圧弁、63:給水管、64:給湯管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水を加熱して熱水を生成するための熱水供給手段と、
該熱水を貯める貯水手段と、
浴水を蓄える浴槽と、
該浴槽に連結し、前記貯水手段に貯められた熱水と浴水との間で熱交換を行うための熱交換手段と、
前記浴槽と該熱交換手段との間に浴水を循環させる循環管路と、
前記循環管路に設けられ、浴水を浄化及び/又は殺菌するための清浄化装置と、
を備えたことを特徴とする熱水供給装置。
【請求項2】
冷水を加熱して熱水を生成するための熱水供給手段と、
該熱水を貯める貯水手段と、
浴水を蓄え、該浴水を出水する出水口と浴水を入水する入水口とを有する浴槽と、
該浴槽の出水口と入水口に連結し、前記貯水手段に貯められた熱水と浴水との間で熱交換を行うための熱交換手段と、
前記浴槽と該熱交換手段との間に浴水を循環させる循環管路と、
前記浴槽の出水口側と入水口側とを所望の時に短絡可能な短絡装置と、
該短絡装置により浴槽の出水口側と入水口側とを短絡し、前記熱交換手段により浴水を加熱しつつ該熱交換手段と前記循環管路に浴水を循環させて、該熱交換手段と循環管路を洗浄及び殺菌する洗浄装置と、
を備えたことを特徴とする熱水供給装置。
【請求項3】
冷水を加熱して熱水を生成するための熱水供給手段と、
該熱水を貯める貯水手段と、
浴水を蓄え、該浴水を出水する出水口と浴水を入水する入水口とを有する浴槽と、
該浴槽の出水口と入水口に連結し、前記貯水手段に貯められた熱水と浴水との間で熱交換を行うための熱交換手段と、
前記浴槽と該熱交換手段との間に浴水を循環させる循環管路と、
該循環管路に設けられ、浴水を浄化及び/又は殺菌するための清浄化装置と、
前記浴槽の出水口側と入水口側とを所望の時に短絡可能な短絡装置と、
該短絡装置により浴槽の出水口側と入水口側とを短絡し、前記熱交換手段により浴水を加熱しつつ該熱交換手段と前記循環管路に浴水を循環させて、該熱交換手段と循環管路を洗浄及び殺菌する洗浄装置と、
を備えたことを特徴とする熱水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−234344(P2006−234344A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52493(P2005−52493)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】