説明

熱移動システム及び熱移動システムの動作方法

【課題】冷却液による壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を提供する。
【解決手段】熱移動システムは、外部からの熱が伝導される冷却液Lを収容する冷却流路3と、冷却液を収容する循環流路30と、循環ポンプ100と、冷却液充満領域71と、脱気空間領域72と、導入口73と、排出口74と、排気口75とを有し、導入口73、排出口74及び排気口75を閉じた状態で気密性を保持可能である容器と、排気口75に気密に取付けられ、脱気空間領域72のガスを排気し、脱気空間領域72を減圧させるアスピレータ式の真空発生器10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱移動システム及び熱移動システムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱移動システムとして、例えばX線管装置を挙げることができる。X線管装置は、陰極及び陽極ターゲットを真空外囲器内に収納した回転陽極型X線管、回転陽極型X線管を収納するハウジング、ステータなどを備えている。このような回転陽極型X線管は、陽極ターゲットなどが発生する熱を放出する場合、これを冷却するための冷却機構を備えている。
【0003】
冷却機構を備えたX線管装置としては、以下のような提案が成されている。
回転陽極型X線管及びステータを絶縁油中に浸し、発熱が大きい部分たとえば陽極ターゲット近傍に設けられる反跳電子捕捉体や真空外囲器の一部に設けられた流路に冷却性能に優れた水系冷却液を流して冷却し、この冷却液をこれら流路と熱交換器との間で循環させるX線管装置。
【0004】
X線管装置は、水系冷却液を使用する循環冷却機構を備えている。循環冷却機構は、専用の熱交換器、循環ポンプ、ホース等を使用している。特に、水系冷却液が高電圧部を冷却する場合には、使用中に水系冷却液の電気伝導度が上昇することを防ぐために、X線管装置にイオン交換樹脂フィルタが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−65766号公報
【特許文献2】特表2004−532505号公報
【特許文献3】国際公開第2005/38853号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来のX線管装置では、冷却液中に空気などのガスが飽和値まで溶存しているため、以下のような問題が発生する恐れが高い。
【0007】
(1)X線管の熱が伝わる冷却流路では冷却液の流速を大きく、かつ乱流とすることにより、熱伝達を大きくすることが一般的に行われるが、このような条件では冷却液中にキャビテーションが発生し易い。例えば、熱伝達面への冷却液の衝突噴流により、冷却液中にキャビテーションが発生し易い。キャビテーションが発生すると熱伝達面はキャビテーション壊食を起こす。冷却液に溶存ガスが含まれる場合にはそれらが核(壊食の原因)となるため、キャビテーションの発生が極めて生じやすくなり、熱伝達面のキャビテーション壊食が深刻な問題となる。またキャビテーション発生とともに溶存ガスが気泡となって発生する。このため、気泡が熱伝達面に滞留して、熱伝達を阻害してしまう。
【0008】
(2)X線管の熱が伝わる冷却流路では冷却液の温度が高くなると冷却液中の溶存ガス濃度が飽和濃度を超えて気泡となって発生する(ヘンリーの法則)。このため、気泡が熱伝達面に滞留して、熱伝達を阻害してしまう。
【0009】
(3)X線管の熱が伝わる冷却流路では熱伝達面の温度を高くして故意に冷却液を沸騰させることにより、蒸発熱の分だけ、より熱伝達率を大きくすることが一般的に行われる(沸騰熱伝達)。しかし、冷却液に溶存ガスが含まれる場合には溶存ガスが気泡となって発生して熱伝達面付近に滞留して熱伝達を阻害してしまう。
【0010】
工場の製造工程で冷却液を予め真空脱気することは上記した問題を改善する効果がある。しかし、X線管や冷却液の寿命が冷却液の循環装置の寿命に比べて一般的に短いため、X線管や冷却液の交換を、現地で、何回も繰り返す必要があるが、そのたびに現地で真空脱気を実施することは困難である。また、X線管のみの状態では真空脱気された冷却液を充填させることができない場合も多く、この場合には空気の混入は避けられない。使用中に冷却液を常に機械式真空ポンプを使用して真空脱気する方法も知られているが、装置が大掛かりなものとなるため好ましくない。
【0011】
上記した問題は、X線管装置に限定される問題ではなく、X線管を他の発熱源に置き換えたその他の熱移動システム、例えば内燃機関の水系冷却液による冷却システム、水系冷却液使用の暖房システムなど、に共通の問題である。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、冷却液による壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態に係る熱移動システムは、
外部からの熱が伝導される冷却液を収容する冷却流路と、
前記冷却流路に気密性の継手を介して連通され、前記冷却液を収容する循環流路と、
前記循環流路に気密に取付けられ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる循環ポンプと、
前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域される脱気空間領域と、前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記冷却液充満領域に開口し前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の排出口と、前記脱気空間領域に開口したガスの排気口と、を有し、前記導入口、排出口及び排気口を閉じた状態で気密性を保持可能である容器と、
前記容器の排気口に気密に取付けられ、前記脱気空間領域のガスを排気し、前記脱気空間領域を減圧させるアスピレータ式の真空発生器と、を備えていることを特徴としている。
【0014】
また、一実施形態に係る熱移動システムの動作方法は、
外部からの熱が伝導される冷却液を収容する冷却流路と、前記冷却流路に気密性の継手を介して連通され、前記冷却液を収容する循環流路と、前記循環流路に気密に取付けられ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる循環ポンプと、前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域される脱気空間領域と、前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記冷却液充満領域に開口し前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の排出口と、前記脱気空間領域に開口したガスの排気口と、を有し、前記導入口、排出口及び排気口を閉じた状態で気密性を保持可能である容器と、前記容器の排気口に気密に取付けられ、前記脱気空間領域のガスを排気し、前記脱気空間領域を減圧させるアスピレータ式の真空発生器と、前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第1開閉部と、前記容器の下流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第2開閉部と、を備え、前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替えることにより前記冷却流路への前記冷却液の出入りを禁止する熱移動システムを用意する第1工程と、
前記第1開閉部及び第2開閉部を開状態に切替える第2工程と、
前記第2工程に続き、前記循環ポンプを稼動させ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる第3工程と、
前記第3工程に続き、前記循環ポンプを停止させる第4工程と、
前記第4工程に続き、前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替える第5工程と、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示したX線管の断面図である。
【図3】図3は、図2に示したX線管の一部の拡大断面図である。
【図4】図4は、図1に示した真空発生器を示す断面図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図7】図7は、第4の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図8】図8は、第5の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図9】図9は、第6の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図10】図10は、第7の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図11】図11は、第8の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図12】図12は、第9の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図13】図13は、第10の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図14】図14は、第11の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図15】図15は、第12の実施形態に係るX線管装置を示す概略構成図である。
【図16】図16は、第13の実施形態に係る冷却システムを示す概略構成図である。
【図17】図17は、上記X線管を冷却するための冷却流路の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら熱移動システム及び熱移動システムの動作方法について説明する。特に、熱移動システム及び熱移動システムの動作方法としてのX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。
【0017】
始めに、第1の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。まず、X線管装置の構成について説明する。
図1に示すように、X線管装置は、X線管1と、X線管1の冷却流路3と、冷却液Lと、冷却液Lの循環装置5と、継手6とを備えている。この実施形態において、冷却液Lに水系冷却液である純水を利用している。
【0018】
図1、図2及び図3に示すように、X線管1は、真空外囲器151を備えている。真空外囲器151は、真空容器152と、陽極ターゲット支持体153とを備えている。真空容器152は、例えば金属で形成されている。陽極ターゲット支持体153は、高電圧絶縁部材で形成されている。陽極ターゲット支持体153には陽極ターゲット155が取り付けられ、陽極ターゲット支持体153は、真空外囲器151の一部を形成している。陽極ターゲット支持体153は、筒状に形成されている。
【0019】
陽極ターゲット155は、陽極ターゲット支持体153に接合されている。陽極ターゲット155は、金属として、例えば銅で形成されている。陽極ターゲット155は、ターゲット層155aを有している。ターゲット層155aは、例えばタングステン合金で形成されている。
【0020】
陽極ターゲット155及び陰極156は、真空外囲器151に収納されている。陽極ターゲット155及び集束電極157には相対的に正の電圧が印加される。陰極156には相対的に負の電圧が印加される。ここでは、陽極ターゲット155に高電圧が印加され、陰極156は接地されている。真空外囲器151の内部は真空状態である。真空容器152の一部には、X線を透過するX線出力窓154が気密に設けられている。
【0021】
陰極156は、電子を放出するものである。陽極ターゲット155(ターゲット層155a)は、陰極156から放出される電子が照射されることによりX線を放出するものである。
【0022】
また、X線管1は、管部161を備えている。管部161は、高電圧絶縁材で形成されている。管部161は、陽極ターゲット支持体153の内部に設けられている。管部161の一端部は、真空外囲器151の外部に延出している。管部161は、この内部に冷却液Lを導入する導入路C1を形成している。陽極ターゲット支持体153及び管部161は、これらの間に冷却液Lを排出するための排出路C2を形成している。導入路C1及び排出路C2は繋がっている。
【0023】
導入路C1及び排出路C2は、冷却液Lが流れるX線管1の冷却流路3を形成している。冷却流路3は、外部からの熱が伝導される冷却液Lを気密に収容している。ここでは、冷却流路3は、陽極ターゲット155(X線管1)から放出される熱の少なくとも一部が伝導される冷却液Lを気密に収容している。導入路C1から導入された冷却液Lは、排出路C2から排出される。
【0024】
静電偏向電極158は、陰極156から放出される電子の軌道を取り囲むように真空外囲器151の内側に設けられている。静電偏向電極158は、陰極156から放射される電子を偏向させるものである。
【0025】
循環装置5は、気密性の継手6を介して冷却液Lを冷却流路3との間で循環させるものである。
ここでは、継手6は、ホース11、ホース12、コネクタ13、コネクタ14、プラグ15及びプラグ16を有している。ホース11の一端にコネクタ13が気密に接続され、他端にプラグ15が気密に接続されている。ホース12の一端にコネクタ14が気密に接続され、他端にプラグ16が気密に接続されている。コネクタ13は上記X線管1の導入路C1に気密に接続され、コネクタ14は上記X線管1の排出路C2に気密に接続されている。
【0026】
循環装置5は、真空発生器10と、筐体20と、循環流路30と、熱交換器60と、容器としてのタンク70と、他の容器としてのタンク80と、循環ポンプ100と、第1開閉部としてのバルブ101と、第2開閉部としてのバルブ102と、バルブ111と、バルブ112と、を有している。
【0027】
筐体20には、ソケット21及びソケット22が気密に取付けられている。ソケット21にはプラグ15が気密に連結されている。ソケット22にはプラグ16が気密に連結されている。ソケット21及びプラグ15は、着脱可能な連結器としてのカプラ8を形成している。ソケット22及びプラグ16は、着脱可能な連結器としてのカプラ9を形成している。
【0028】
循環流路30は、冷却流路3に気密性の継手6を介して連通されている。循環流路30は、冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路30は、導管31、導管32、導管33、導管34、導管35、導管36及び導管37を有している。導管31はソケット22に気密に接続され、導管37はソケット21に気密に接続されている。導管31乃至37は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0029】
熱交換器60は、循環流路30に気密に取付けられ、冷却液Lの熱を外部に放出するものである。熱交換器60は、導管32の一部と導管61とで形成されている。導管61の両端は、筐体20の外側に引き出されている。導管61の両端には、バルブ111及びバルブ112が接続されている。ここでは、導管61の中は、他の冷却液として水道水が流れる。水道水を導管61の中を流す場合、バルブ111を水道水の導入を許可する開状態とし、バルブ112を水道水の排出を許可する開状態とすればよい。これにより、二次冷却系である導管31を流れる冷却液Lの熱が、一次冷却系である導管61を流れる水道水に伝導され、冷却液Lは冷却される。
【0030】
タンク70は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、タンク70は、導管35及び導管36に気密に取付けられている。タンク70は、冷却液Lで満たされる冷却液充満領域71と、冷却液Lと接触分離されることにより区域され冷却液Lで満たされない脱気空間領域72と、脱気空間領域72に開口し導管35(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの導入口73と、冷却液充満領域71に開口し導管36(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの排出口74と、脱気空間領域72に開口したガスの排気口75と、を有している。
【0031】
冷却液Lは、タンク70の導入口73を通って脱気空間領域72に導管35から噴出される。脱気空間領域72に放出されるガスは、冷却液Lに溶存されているガスである。タンク70は、導入口73、排出口74及び排気口75を閉じた状態で気密性を保持可能である。
【0032】
タンク80は、開口を有した桶部89a及び桶部89aの開口を塞いだ蓋部89bを有している。蓋部89bは、桶部89aの開口を気密に塞ぐものではない。タンク80は、冷却液Lで満たされる冷却液充満領域81と、冷却液Lと接触分離されることにより区域され冷却液Lから分離されたガスが存在するガス分離領域82と、真空発生器10の下流側の導管34(循環流路30)に取付けられた冷却液Lの導入口80aと、タンク70の上流側の導管35(循環流路30)に取付けられた冷却液Lの排出口80bと、を有している。ガス分離領域82は、大気に連通している。
【0033】
タンク80には、イオン交換樹脂としてのイオン交換樹脂フィルタ86が設けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は、タンク80の内部に設けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は冷却液L中に浸漬されている。ここでは、イオン交換樹脂フィルタ86は、導管35の先端に取付けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は、循環流路30、X線管1及び冷却流路3等の金属部分が腐食した場合に生じるイオンの増加を防止して、冷却液Lの導電率の上昇を抑制することができる。これにより、純水である冷却液Lの非導電性を維持することができ、X線管1で生じる放電等の電気的な不良を抑制することができる。
【0034】
循環ポンプ100は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ100は、導管31及び導管32に気密に取付けられている。循環ポンプ100は、冷却液Lを循環装置5と冷却流路3との間で循環させるものである。
【0035】
バルブ101は、真空発生器10の上流側の循環流路30(導管32及び導管33の間)に取付けられ、冷却液Lの循環を許可する開状態と、冷却液Lの循環を禁止する閉状態と、に切替え可能である。
【0036】
バルブ102は、タンク70の下流側の循環流路30(導管36及び導管37の間)に取付けられ、冷却液Lの循環を許可する開状態と、冷却液Lの循環を禁止する閉状態と、に切替え可能である。
【0037】
バルブ101及びバルブ102の開閉の調節部は、筐体20の外側に引き出されている。バルブ101及びバルブ102を閉状態に切替えることにより冷却流路3への冷却液Lの出入りを禁止する。
【0038】
図1及び図4に示すように、真空発生器10は、アスピレータ式の真空発生器であり、タンク70の排気口75に気密に取付けられ、脱気空間領域72のガスを排気し、脱気空間領域72を減圧させる。真空発生器10は、冷却液Lの循環を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域72に減圧状態を作り出す。
【0039】
真空発生器10は、タンク70の排気口75に気密に取付けられた吸気口10aと、冷却流路3の下流側の導管33(循環流路30)に取付けられ冷却液Lが流入する流入口10bと、タンク70の上流側の導管34(循環流路30)に取付けられ冷却液Lを流出させる流出口10cと、を備えている。この実施形態において、タンク70の排気口75及び真空発生器10の吸気口10aは、排気ダクトA1を介して連通されている。
【0040】
ここで、上記冷却液Lについて説明する。冷却液Lには酸素ガス等のガスが溶解されている。この実施形態において、冷却液Lは、タンク80において大気に接するため、冷却液Lには多量のガスが溶解されている。そこで、冷却液Lを、真空発生器10により減圧された脱気空間領域72に噴出して脱気空間領域72に冷却液Lに溶存されているガスを放出させ、真空発生器10によりこのガスを排気している。しかも、低コスト、かつ、冷却液Lの循環を利用した簡便な手法にて行うことができる。タンク70が収容する冷却液Lに溶存するガスの量を、タンク80が収容する冷却液Lに溶存するガスの量に比べて低減することができるため、溶存ガスの量を低減した冷却液Lを冷却流路3に与えることができる。
【0041】
冷却流路3内の冷却液L中におけるキャビテーションの発生を低減することができるため、冷却流路3のキャビテーション壊食を低減することができる。また、冷却流路3(熱伝達面)に滞留するガス(気泡)の量を低減することができ、これは冷却液Lが高温となっても同様であるため、冷却流路3(熱伝達面)から冷却液Lへの熱伝達の阻害を低減することができる。また、冷却流路3の腐食を防止することもできる。
上記のようにX線管装置が構成されている。
【0042】
次に、上記X線管装置の動作方法について説明する。
まず、第1工程において、X線管1と、循環装置5とを備えたX線管装置を用意する。
【0043】
続いて、冷却流路3、継手6、循環装置5、タンク70及びタンク80に冷却液Lを導入し、冷却流路3に、継手6を介して循環流路30を連通させ、冷却液Lが導入されたX線管装置をモジュールに組立てる。
【0044】
ここでは、冷却流路3、継手6及び循環装置5等に冷却液Lを導入した後、冷却流路3及び循環流路30を連通させたが、これに限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、管球を交換するメンテナンス時においては、管球を交換したX線管1の冷却流路3にのみ新しい冷却液Lを導入し、継手6、循環装置5等においては、既に導入されている冷却液Lを引続き利用することができる。または、継手6及び循環装置5の冷却液Lを入れ換えてもよい。
【0045】
次いで、第2工程において、バルブ101及びバルブ102を開状態に切替え、続く第3工程において、循環ポンプ100を稼動させ、冷却液Lを循環流路30と冷却流路3との間を循環させる。なお、循環ポンプ100を稼動させ、冷却液Lを循環させている間、熱交換器60は、稼動させてさせなくてもよい。熱交換器60は、適宜、稼動させればよい。そして、第3工程において、X線管1によるX線の曝射が行われる。
【0046】
その後、第4工程において、循環ポンプ100を停止させ、次いで、第5工程において、バルブ101及びバルブ102を閉状態に切替える。これにより、冷却流路3内の冷却液Lは、溶存ガスの少ない状態に維持でいるため、冷却流路3の腐食を防止することができる。
【0047】
X線管装置を動作させる際、第2工程乃至第5工程までの工程が、順次、サイクル的に実施される。
上記のように、X線管装置の動作方法が行われる。
【0048】
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。
【0049】
循環流路30中のある部分の冷却液Lの流れを利用して真空発生器10により真空を発生させ、その真空を利用して循環流路30中の他の部分の冷却液Lを脱気させている。すなわち、循環流路30中の冷却液Lは、場所的に、溶存ガス濃度が高いところと、溶存ガス濃度が低いところとに、およそ二分される。発熱源からの熱が伝達される冷却流路3中の冷却液Lは、溶存ガス濃度が低いところである。
【0050】
これにより、冷却流路3内の冷却液L中におけるキャビテーションの発生を低減し、冷却流路3のキャビテーション壊食を低減することができる。また、冷却流路3(熱伝達面)に滞留するガス(気泡)の量を低減することができ、冷却流路3(熱伝達面)から冷却液Lへの熱伝達の阻害を低減することができる。さらに、冷却流路3等の金属部分の腐食を防止することができる。
【0051】
金属部分が腐食し易い銅を主成分とする材料で形成されている場合であっても、腐食の発生を抑制することができる。すなわち、冷却液LによるX線管装置の内部腐食を低減することができる。陽極ターゲット155に穴が形成される等の壊食及び腐食によって生じる不良を低減できるため、長期にわたって信頼性が高く、製品寿命の長いX線管装置を得ることができる。
【0052】
また、金属部分の腐食によって生じる金属イオン等の発生を抑制することができるため、イオン交換樹脂フィルタ86の寿命を延ばすことができる。
冷却液Lとしては純水を使用できるため、冷却液が絶縁油である場合に比べて冷却性能に優れたX線管装置を得ることができる。
循環装置5は、イオン交換樹脂フィルタ86を有しているため、冷却液L中の金属イオン等のイオンの増加を防止でき、冷却液Lの非導電性を一層維持することができる。
【0053】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0054】
次に、第2の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図5に示すように、X線管装置は、X線管1と、X線管1の冷却流路3と、冷却液Lと、冷却液Lの循環装置5と、継手6と、不活性ガスボンベ7とを備えている。この実施形態において、冷却液Lに純水を利用している。不活性ガスに窒素ガスを利用している。
【0056】
循環装置5は、真空発生器10と、筐体20と、循環流路30と、熱交換器60と、容器としてのタンク70と、他の容器としてのタンク80と、循環ポンプ100と、バルブ101と、バルブ102と、バルブ111と、バルブ112と、バルブ121と、バルブ122と、を有している。
【0057】
タンク80は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、タンク80は、導管34及び導管35に気密に取付けられている。タンク80は、冷却液充満領域81と、ガス分離領域82と、冷却液Lの導入口80aと、冷却液Lの排出口80bと、不活性ガスの導入口83と、ガスの排気口84とを有している。このため、ガス分離領域82は、冷却液Lと接触分離されることにより区域されている。タンク80は、導入口80a、排出口80b、導入口83及び排気口84を閉じた状態で気密性を保持可能である。
【0058】
タンク80には、ベローズ機構としてのベローズ85と、イオン交換樹脂としてのイオン交換樹脂フィルタ86と、不活性ガス導入パイプ87と、ガス排気パイプ88とが設けられている。
【0059】
ベローズ85は、タンク80に気密に取付けられている。ベローズ85は伸縮自在であり、冷却液Lの温度による体積変化分を吸収してガス分離領域82内の圧力を一定に保つことができる。また、後述するように使用中に外部から密閉系に空気(酸素)が徐々に侵入する場合、その空気の大部分はガス分離領域82に収容されることになるが、ベローズ85によりガス分離領域82内の圧力を一定に保つことができる。ここでは、ベローズ85はゴムで形成されている。ベローズ85は、ガスを透過させ難い材料、すなわち、ガスに対して不透過性を示す材料で形成することが好ましい。また、ベローズ85は、表面に無定形カーボン皮膜などのガスバリア膜をコーティングして形成することが好ましい。ベローズ85は、冷却液Lの膨張及び収縮を吸収することができる。
【0060】
なお、この場合、後述するように、X線管装置の立上げ時に、不活性ガスが冷却液Lに飽和値まで溶存するのを待たずに、不活性ガスの導入を止めたり、X線管装置の稼動を開始したりしてもよい。
【0061】
不活性ガス導入パイプ87は導入口83に気密に取付けられている。不活性ガス導入パイプ87は、一端に、タンク80内の冷却液L中に没し、導入口83から導入される不活性ガスを吐出す吐出し口87aを有している。不活性ガス導入パイプ87の他端は筐体20の外側に引き出されている。
【0062】
この実施形態において、循環装置5は、不活性ガスの吐出し口87aを有しているため、ガス置換法としてのガスバブリング法を採ることができる。このため、この実施形態では、ガスバブリング法により、冷却液L中の酸素ガスを不活性ガスに置換し、冷却液L中の溶存酸素を除去するものである。
【0063】
ガス排気パイプ88は排気口84に気密に取付けられている。ここでは、ガス排気パイプ88の一端は排気口84に気密に取付けられ、他端は筐体20の外側に引き出されている。
【0064】
バルブ121は、タンク80の導入口83に気密に取付けられている。ここでは、バルブ121は、不活性ガス導入パイプ87に気密に取付けられ、不活性ガス導入パイプ87を介して導入口83に気密に取付けられている。バルブ121の他方には、不活性ガスボンベ7を接続することができる。なお、不活性ガスボンベ7は、X線管装置を立上げる際に使用するものであり、X線管装置を立上げる際にバルブ121に接続されていればよく、常時バルブ121に接続されていなくともよい。バルブ121は、ガス分離領域82に不活性ガスボンベ7から不活性ガスを導入可能な開状態と、タンク80の気密性を保持可能な閉状態と、に切替え可能である。
【0065】
バルブ122は、タンク80の排気口84に気密に取付けられている。ここでは、バルブ122は、ガス排気パイプ88に気密に取付けられ、ガス排気パイプ88を介して排気口84に気密に取付けられている。バルブ122の他方は開放されている。バルブ122は、ガス分離領域82から外部にガスを排出可能な開状態と、タンク80の気密性を保持可能な閉状態と、に切替え可能である。
【0066】
その他、バルブ122の他方には、必要に応じて真空ポンプを接続してもよい。この場合、バルブ122を開状態とすることにより、真空ポンプにてガス分離領域82を真空引きすることができる。
【0067】
循環装置5は、脱酸素剤310、酸素検知剤320、保持部材330及び覗き窓340をさらに備えている。脱酸素剤310は、ガス分離領域82内に設置され、ガス分離領域82内に存在する酸素を酸化反応によって取り除くものである。脱酸素剤310とは一般的に食品包装で利用されている。脱酸素剤310としては、鉄の酸化を利用して酸素を吸収するタイプが主流である。脱酸素剤310は、例えば、三菱ガス化学株式会社で製造・販売されているエージレスや、パウダーテック株式会社のワンダーキープを使用することができる。
【0068】
酸素検知剤320は、ガス分離領域82内に設置され、ガス分離領域82内に存在する酸素に反応して色調が変化するものである。酸素検知剤320を利用することにより、ガス分離領域82内の酸素濃度を簡便にモニタすることができる。酸素検知剤320も一般的に食品包装で利用されている。酸素検知剤320は、例えば、三菱ガス化学株式会社が製造・販売するエージレスアイや、パウダーテック株式会社のワンダーセンサーなどを使用することができる。
【0069】
保持部材330は、タンク80に固定され、ガス分離領域82内に位置している。上記脱酸素剤310及び酸素検知剤320は、保持部材330により保持されている。保持部材330は、通気性に優れ、脱酸素剤310及び酸素検知剤320を保持可能に形成されている。保持部材330の形状は特に限定されるものではないが、例えば、メッシュ状や格子状であってもよい。
【0070】
覗き窓340は、タンク80の開口を気密に閉塞するよう、タンク80に気密に取付けられている。覗き窓340は、酸素検知剤320の色調を外部から確認するためのものである。言い換えると、酸素検知剤320の色調は、タンク80に気密に取り付けられた覗き窓340を通してタンク80の外部から確認することができるものである。この実施形態では、覗き窓340は脱酸素剤310や酸素検知剤320を出し入れするための開閉自在扉を兼ねている。
覗き窓340をタンク80に取付ける際、例えばOリングを介して覗き窓340をタンク80にネジ止めすることができる。
【0071】
ここで、上記冷却液Lについて説明する。冷却液Lには不活性ガスが溶解されている。この実施形態において、タンク80が収容する冷却液Lには不活性ガスが飽和状態で溶解されている。冷却液Lは、タンク80内において、ガス分離領域82の不活性ガスと接触している。冷却液L(純水)中に溶解した酸素ガスを不活性ガスに置換した状態となる。
【0072】
そこで、冷却液Lを真空発生器10により減圧された脱気空間領域72に噴出して脱気空間領域72に冷却液Lに溶存されているガスを放出させ、真空発生器10によりこのガスを排気している。しかも、低コスト、かつ、冷却液Lの循環を利用した簡便な手法にて行うことができる。タンク70が収容する冷却液Lに溶存するガスの量を、タンク80が収容する冷却液Lに溶存するガスの量に比べて低減することができるため、溶存ガスの量を低減した冷却液Lを冷却流路3に与えることができる。
【0073】
上記冷却液Lは、溶存酸素量が低いため、循環流路30、X線管1及び冷却流路3等の金属部分の腐食を抑制することができる。
上記のようにX線管装置が構成されている。
【0074】
次に、上記X線管装置の立上げ方法について説明する。
まず、X線管1と、循環装置5とを備えたX線管装置を用意する。ここで用意した循環装置5において、タンク80のガス分離領域82は、まだ不活性ガスで満たされておらず、大気で満たされている。
【0075】
続いて、冷却流路3、継手6及び循環装置5に冷却液Lを導入し、冷却流路3に、継手6を介して循環流路30を連通させ、冷却液Lが導入されたX線管装置をモジュールに組立てる。
【0076】
ここでは、冷却流路3、継手6及び循環装置5に冷却液Lを導入した後、冷却流路3及び循環流路30を連通させたが、これに限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、管球を交換するメンテナンス時においては、管球を交換したX線管1の冷却流路3にのみ新しい冷却液Lを導入し、継手6及び循環装置5においては、既に導入されている冷却液Lを引続き利用することができる。または、継手6及び循環装置5においては、冷却液Lを入れ換えてもよい。
【0077】
次いで、循環ポンプ100を稼動させ、冷却液Lを循環流路30と冷却流路3との間を循環させる。なお、循環ポンプ100を稼動させ、冷却液Lを循環させている間、熱交換器60は、稼動させてさせなくてもよい。
【0078】
その後、冷却液Lの循環を維持した状態で、バルブ121及びバルブ122をそれぞれ開状態とする。ここでは、バルブ121及びバルブ122をそれぞれ閉状態から開状態に切替えることで行う。そして、ガスバブリング法により、バルブ121に接続された不活性ガスボンベ7からバルブ121、不活性ガス導入パイプ87及び導入口83を通ってタンク80のガス分離領域82に不活性ガスを流し、冷却液L中の溶存酸素を除去する。なお、不活性ガス導入パイプ87の吐出し口87aは冷却液L中に没しているため、不活性ガスは冷却液L中をバブリングしてからガス分離領域82に導入することができる。
【0079】
これにより、冷却液Lに不活性ガスが溶解するとともに効率良く溶存酸素を除去することができる。ガス分離領域82の不活性ガス及び酸素ガスは、排気口84、ガス排気パイプ88及びバルブ122を介して、外部に排出される。そして、ガス分離領域82は、次第に不活性ガスで充満されることになる。
【0080】
この際、ガス分離領域82に不活性ガスを一定期間流すことにより、冷却液Lの溶存酸素量を低下させることができる。ここで、上記一定期間とは、例えば、不活性ガスが冷却液Lに飽和値まで溶存するまでの期間である。
【0081】
なお、上記一定期間は、不活性ガスが冷却液Lに飽和値まで溶存するまでの期間より短期間であってもよい。すなわち、不活性ガスが冷却液Lに飽和値まで溶存しない期間であってもよい。この場合、ガス分離領域82に不活性ガスが充満する程度に、より好ましくは、ベローズ85が不活性ガスで膨張する程度に不活性ガスを導入すればよく、これにより、冷却液Lの溶存酸素量を次第に低下させることができる。
また、上記のように、ガス分離領域82に不活性ガスを流す期間は、冷却液Lを循環させる期間と重複していればよい。
【0082】
また、冷却液Lの溶存酸素量を低下させた後であり、かつ、ガス分離領域82への不活性ガスの流しを中止する前(バルブ121及びバルブ122をそれぞれ閉状態に切替える前)に、タンク80から覗き窓340を取外し、ガス分離領域82に脱酸素剤310及び酸素検知剤320をすばやく設置する。設置する際、保持部材330上に脱酸素剤310及び酸素検知剤320を配置する。その後、覗き窓340をタンク80に気密に取り付け、そして、外部からガス分離領域82内に持ち込まれた空気(酸素)を追い出すためにしばらくガス分離領域82への不活性ガスの流しを継続する。
【0083】
続いて、ガス分離領域82への不活性ガスの流しを中止し、バルブ121及びバルブ122をそれぞれ閉状態に切替える。このため、タンク80の気密性を保持することができる。これにより、X線管装置の立上げが終了する。
【0084】
ここで、ガス分離領域82に不活性ガスを流す前に、さらに、ガス分離領域82の真空引きを行ってもよい。例えば、冷却液Lを循環させた後であり、かつ、ガス分離領域82に不活性ガスを流す前に、さらに、ガス分離領域82の真空引きを行ってもよい。この場合、冷却液Lの循環を維持した状態で、バルブ122を開状態とし、真空ポンプを用い、バルブ122、ガス排気パイプ88及び排気口84を介してガス分離領域82を一定期間真空引きする。そして、ガス分離領域82を真空引きした後、バルブ122を閉状態に切替え、真空引きを中止すればよい。これにより、ガス分離領域82における酸素及び冷却液Lの溶存酸素の外部への排出時間の短縮および不活性ガスを流す時間の短縮を図ることができる。
【0085】
上記X線管装置の立上げ方法は、X線管装置を初めてモジュールに組立てた後や、管球の交換等のX線管装置のメンテナンス時に行えばよく、常時行う必要なない。これにより、立上げ時以降、冷却液Lの溶存酸素量の低い状態を維持することができる。
【0086】
次に、使用中(稼動後)のX線管装置の保守方法について以下に説明する。
まず、使用中(稼動後)のX線管装置を用意する。ここで用意した循環装置5において、冷却液Lには、不活性ガスが溶存されている。なお、冷却液Lには、不活性ガスが飽和状態で溶存されている場合もある。
【0087】
次いで、バルブ121及びバルブ122をそれぞれ開状態とし、ガス分離領域82に不活性ガスを流す。その後、不活性ガスの流しを中止し、バルブ121及びバルブ122をそれぞれ閉状態に切替え、タンク80の気密性を保持する。
【0088】
また、上記X線管装置の保守方法において、覗き窓340を通して酸素検知剤320の色調が酸素に反応して変化したと確認された場合、ガス分離領域82への不活性ガスの流しを中止する前に、さらに、脱酸素剤310及び酸素検知剤320の少なくとも一方を未使用品に交換することも効果的である。交換する時期としては、ガス分離領域82に不活性ガスを流し始める前、及びガス分離領域82に不活性ガスを流している間の何れであってもよい。上記X線管装置の保守方法を用いることにより、例えばX線管装置の製品寿命を長くすることができる。
【0089】
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0090】
また、ガスバブリング法により、冷却液Lの溶存酸素量を低下させることができる。このため、低コストにて冷却液L中の酸素ガスを除去することができる。また、循環流路30、X線管1及び冷却流路3等の金属部分の腐食を抑制することができる。金属部分が腐食し易い銅を主成分とする材料で形成されている場合であっても、腐食の発生を抑制することができる。すなわち、冷却液LによるX線管装置の内部腐食を低減することができる。陽極ターゲット155に穴が形成される等の腐食によって生じる不良を低減できるため、長期にわたって信頼性が高く、製品寿命の長いX線管装置を得ることができる。
【0091】
バルブ121及びバルブ122等、冷却流路3、継手6及び循環装置5の密閉系にわずかに大気(酸素)が侵入する経路がある場合であっても、ガス分離領域82は不活性ガスで満たされている。ガス分離領域82が真空状態でないことは言うまでもない。バルブ121及びバルブ122等の経路からの大気(酸素)のわずかな侵入があり、侵入した酸素が冷却液Lに溶解した場合でも、その酸素はガス分離領域82で不活性ガスに自然に置換されるため、冷却液Lの溶存酸素量の上昇を抑制することができ、ひいてはX線管装置の内部腐食を低減することができる。
【0092】
さらに、タンク80に設けられたベローズ85は、冷却液Lの膨張及び収縮を吸収することができる。このため、この冷却流路3、継手6及び循環装置5が密閉系を形成しても、冷却液Lが膨張した場合の冷却液Lの漏れや、冷却液Lが収縮した場合の冷却液Lへの空気の吸い込みを防止することができる。
【0093】
またさらに、ガス分離領域82内には脱酸素剤310は設置されているため、ガス分離領域82内に存在する酸素を酸化反応によって取り除くことができる。ガス分離領域82内には酸素検知剤320が設置されているため、ガス分離領域82内の酸素濃度を簡便にモニタすることができる。
【0094】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0095】
次に、第3の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0096】
図6に示すように、X線管装置は、X線管1と、X線管1の冷却流路3と、冷却液Lと、冷却液Lの循環装置5と、継手6とを備えている。この実施形態において、冷却液Lに純水を利用している。ここでは、陽極ターゲット155に高電圧が印加され、陰極156は接地されている。
【0097】
循環装置5は、真空発生器10と、筐体20と、循環流路30と、熱交換器60と、容器としてのケース90と、他の容器としてのタンク80と、循環ポンプ100と、バルブ101と、バルブ102と、バルブ103と、を有している。
【0098】
循環流路30は、導管31乃至37の替わりに、導管41、導管42、導管43、導管44、導管45、導管46及び導管47を有している。導管41はソケット22に気密に接続され、導管47はソケット21に気密に接続されている。導管41乃至47は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0099】
循環ポンプ100は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ100は、導管41及び導管42に気密に取付けられている。循環ポンプ100は、冷却液Lを循環装置5と冷却流路3との間で循環させるものである。
熱交換器60は、導管42の一部とファン62とで形成されている。導管42を流れる冷却液Lはファン62によって空冷される。
【0100】
イオン交換樹脂フィルタ86は、タンク80の内部に設けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は冷却液L中に浸漬されている。ここでは、イオン交換樹脂フィルタ86は、導管45の先端に取付けられている。
【0101】
冷却液Lの導入口80aは、真空発生器10の下流側の導管44(循環流路30)に取付けられ、冷却液Lの排出口80bは、ケース90の上流側の導管45(循環流路30)に取付けられている。
【0102】
ケース90は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、ケース90は、導管45及び導管46に気密に取付けられている。ケース90は、脱気空間領域91と、流路95に開口し導管45(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの導入口90aと、流路95に開口し導管46(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの排出口90bと、脱気空間領域91に開口したガスの排気口99と、を有している。ケース90は、排気口99を閉じた状態で気密性を保持可能である。
【0103】
ケース90には、ガス交換膜としての中空糸膜が設けられている。ここでは、中空糸膜として例えば中空糸膜フィルタ94を利用している。中空糸膜フィルタ94は、ケース90内に設けられている。中空糸膜フィルタ94は、内部に冷却液Lの流路95を形成している。中空糸膜フィルタ94は、冷却液Lとガスとを接触分離させるものであり、ガスは透過させるが冷却液Lは透過させない性質を有している。
【0104】
すなわち、中空糸膜フィルタ94は、冷却液Lが存在する冷却液充満領域98及び脱気空間領域91を区域し、冷却液Lに対して不透過性を示し、ガスに対して透過性を示すものである。脱気空間領域91は、冷却液L(流路95、冷却液充満領域98)と接触分離された状態でガスが満たされている。
【0105】
この実施形態において、循環装置5は、中空糸膜フィルタ94を有しているため、膜脱気法を採ることができる。このため、この実施形態では、膜脱気法により、流路95(冷却液充満領域98)中の冷却液Lの溶存ガス(酸素ガス)が分離され、分離されたガスは、脱気空間領域91に放出されることとなる。
【0106】
冷却液Lの導入口90aは、真空発生器10の下流側の導管45(循環流路30)に取付けられ、冷却液Lの排出口90bは、導管46(循環流路30)に取付けられている。
【0107】
循環ポンプ100は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ100は、導管41及び導管42に気密に取付けられている。循環ポンプ100は、冷却液Lを循環装置5と冷却流路3との間で循環させるものである。
【0108】
真空発生器10は、アスピレータ式の真空発生器であり、ケース90の排気口99に気密に取付けられ、脱気空間領域91のガスを排気し、脱気空間領域91を減圧させる。真空発生器10は、冷却液Lの循環を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域91に減圧状態を作り出す。
【0109】
真空発生器10は、ケース90の排気口99に気密に取付けられた吸気口10aと、冷却流路3の下流側の導管43(循環流路30)に取付けられ冷却液Lが流入する流入口10bと、ケース90の上流側の導管44(循環流路30)に取付けられ冷却液Lを流出させる流出口10cと、を備えている。この実施形態において、ケース90の排気口99及び真空発生器10の吸気口10aは、排気ダクトA1、A2を介して連通されている。排気ダクトA1は吸気口10aに気密に取り付けられ、排気ダクトA2は排気口99に気密に取り付けられる。
【0110】
バルブ101は、真空発生器10の上流側の循環流路30(導管42及び導管43の間)に取付けられ、冷却液Lの循環を許可する開状態と、冷却液Lの循環を禁止する閉状態と、に切替え可能である。
【0111】
バルブ102は、ケース90の下流側の循環流路30(導管46及び導管47の間)に取付けられ、冷却液Lの循環を許可する開状態と、冷却液Lの循環を禁止する閉状態と、に切替え可能である。
【0112】
バルブ101及びバルブ102の開閉の調節部は、筐体20の外側に引き出されている。バルブ101及びバルブ102を閉状態に切替えることにより冷却流路3への冷却液Lの出入りを禁止する。
【0113】
バルブ103は、排気ダクトA1及び排気ダクトA2の間に取付けられ、開閉を切替え可能である。バルブ103を閉状態に切替えることにより、循環装置5の停止時に、ケース90、特に中空糸膜フィルタ94への冷却液Lの流入を防止することができる。これにより、中空糸膜フィルタ94の機能低下を防止することができる。
【0114】
ここで、上記冷却液Lについて説明する。冷却液Lには酸素ガス等のガスが溶解されている。この実施形態において、冷却液Lは、タンク80において大気に接するため、冷却液Lには多量のガスが溶解されている。そこで、中空糸膜フィルタ94を用いて冷却液Lから溶存ガスを分離させている。真空発生器10により減圧された脱気空間領域91に、冷却液Lに溶存されているガスを放出させ、真空発生器10によりこのガスを排気している。しかも、低コスト、かつ、冷却液Lの循環を利用した簡便な手法にて行うことができる。ケース90が収容する冷却液Lに溶存するガスの量を、タンク80が収容する冷却液Lに溶存するガスの量に比べて低減することができるため、溶存ガスの量を低減した冷却液Lを冷却流路3に与えることができる。
【0115】
冷却流路3内の冷却液L中におけるキャビテーションの発生を低減することができるため、冷却流路3のキャビテーション壊食を低減することができる。また、冷却流路3(熱伝達面)に滞留するガス(気泡)の量を低減することができ、これは冷却液Lが高温となっても同様であるため、冷却流路3(熱伝達面)から冷却液Lへの熱伝達の阻害を低減することができる。また、冷却流路3の腐食を防止することもできる。
上記のようにX線管装置が構成されている。
【0116】
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0117】
また、膜脱気法により、冷却液L中の溶存酸素量を低下させることができる。このため、低コストにて冷却液L中の酸素ガスを除去することができる。また、循環流路30、X線管1及び冷却流路3等の金属部分の腐食を抑制することができる。金属部分が腐食し易い銅を主成分とする材料で形成されている場合であっても、腐食の発生を抑制することができる。すなわち、冷却液LによるX線管装置の内部腐食を低減することができる。陽極ターゲット155に穴が形成される等の腐食によって生じる不良を低減できるため、長期にわたって信頼性が高く、製品寿命の長いX線管装置を得ることができる。
【0118】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0119】
次に、第4の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0120】
図7に示すように、X線管装置は、X線管1と、X線管1の冷却流路3と、冷却液Lと、冷却液Lの循環装置5と、継手6と、不活性ガスボンベ7とを備えている。この実施形態において、冷却液Lに純水を利用している。ここでは、陽極ターゲット155に高電圧が印加され、陰極156は接地されている。
【0121】
循環装置5は、真空発生器10と、筐体20と、循環流路30と、ベローズ機構としての空盆50と、熱交換器60と、容器としてのケース90と、他の容器としてのタンク80と、循環ポンプ100と、バルブ103と、バルブ131と、バルブ132と、を有している。循環流路30及びタンク80等は密閉系であるため、バルブ101、102は無しに形成されている。
【0122】
循環流路30は、導管31乃至37の替わりに、導管41、導管43、ホース44、ホース45、導管46、導管47、導管48、連結器としてのカプラB1及び連結器としてのカプラB2を有している。導管41、43、46乃至48は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0123】
導管41はソケット22に気密に接続され、導管48はソケット21に気密に接続されている。導管43及びホース44は、着脱可能なカプラB1を介して気密に連結されている。導管46及びホース45は、着脱可能なカプラB2を介して気密に連結されている。
【0124】
循環ポンプ100は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ100は、導管47及び導管48に気密に取付けられている。循環ポンプ100は、冷却液Lを循環装置5と冷却流路3との間で循環させるものである。
熱交換器60は、導管41の一部とファン62とで形成されている。導管41を流れる冷却液Lはファン62によって空冷される。
【0125】
タンク80は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、タンク80は、ホース44及びホース45に気密に取付けられている。タンク80は、冷却液Lが充満した冷却液充満領域81を有している。タンク80は、液密に形成されている。
【0126】
タンク80には、イオン交換樹脂としてのイオン交換樹脂フィルタ86が設けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は、タンク80の内部に設けられている。イオン交換樹脂フィルタ86は冷却液L中に浸漬されている。ここでは、イオン交換樹脂フィルタ86は、ホース44の先端に取付けられている。
【0127】
冷却液Lの導入口80aは、真空発生器10の下流側の導管44(循環流路30)に取付けられ、冷却液Lの排出口80bは、ケース90の上流側の導管45(循環流路30)に取付けられている。
【0128】
ケース90は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、ケース90は、導管46及び導管47に気密に取付けられている。ケース90は、不活性ガスが満たされる脱気空間領域91と、流路95に開口し導管46(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの導入口90aと、流路95に開口し導管47(循環流路30)に気密に取付けられた冷却液Lの排出口90bと、脱気空間領域91に開口したガスの排気口99と、を有している。
【0129】
ケース90は、不活性ガスの導入口92及びガスの排気口93を有している。ケース90は、導入口92、排気口93及び排気口99を閉じた状態で気密性を保持可能である。
【0130】
ケース90には、中空糸膜フィルタ94と、不活性ガス導入パイプ96と、ガス排気パイプ97とが設けられている。
中空糸膜フィルタ94は、ケース90内に設けられている。中空糸膜フィルタ94は、内部に冷却液Lの流路95を形成している。中空糸膜フィルタ94は、冷却液Lと不活性ガスとを接触分離させるものであり、ガスは透過させるが冷却液Lは透過させない性質を有している。
【0131】
すなわち、中空糸膜フィルタ94は、冷却液Lが存在する冷却液充満領域98及び脱気空間領域91を区域し、冷却液Lに対して不透過性を示し、ガスに対して透過性を示すものである。脱気空間領域91は、冷却液L(流路95、冷却液充満領域98)と接触分離された状態で不活性ガスが満たされている。
【0132】
この実施形態において、循環装置5は、中空糸膜フィルタ94を有しているため、ガス置換法としての膜脱気法を採ることができる。このため、この実施形態では、膜脱気法により、流路95(冷却液充満領域98)における冷却液L中の酸素ガスを不活性ガスに置換し、冷却液L中の溶存酸素を除去するものである。
【0133】
冷却液Lの導入口90aは、真空発生器10の下流側の導管46(循環流路30)に取付けられ、冷却液Lの排出口90bは、導管47(循環流路30)に取付けられている。
【0134】
不活性ガス導入パイプ96は導入口92に気密に取付けられている。ここでは、不活性ガス導入パイプ96の一端は導入口92に気密に取付けられ、他端は筐体20の外側に引き出されている。
【0135】
ガス排気パイプ97は排気口93に気密に取付けられている。ここでは、ガス排気パイプ97の一端は排気口93に気密に取付けられ、他端は筐体20の外側に引き出されている。
【0136】
バルブ131は、ケース90の導入口92に気密に取付けられている。ここでは、バルブ131は、不活性ガス導入パイプ96に気密に取付けられ、不活性ガス導入パイプ96を介して導入口92に気密に取付けられている。バルブ131の他方は、不活性ガスボンベ7に接続することができる。バルブ131は、脱気空間領域91に不活性ガスボンベ7から不活性ガスを導入可能な開状態と、脱気空間領域91(ケース90)の気密性を保持可能な閉状態と、に切替え可能である。
【0137】
バルブ132は、ケース90の排気口93に気密に取付けられている。ここでは、バルブ132は、ガス排気パイプ97に気密に取付けられ、ガス排気パイプ97を介して排気口93に気密に取付けられている。バルブ132の他方は開放されている。バルブ132は、脱気空間領域91から外部にガスを排出可能な開状態と、脱気空間領域91(ケース90)の気密性を保持可能な閉状態と、に切替え可能である。
【0138】
その他、バルブ132の他方には、必要に応じて真空ポンプを接続してもよい。この場合、バルブ132を開状態とすることにより、真空ポンプにて脱気空間領域91を真空引きすることができる。
【0139】
循環ポンプ100は、循環流路30に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ100は、導管47及び導管48に気密に取付けられている。循環ポンプ100は、冷却液Lを循環装置5と冷却流路3との間で循環させるものである。
【0140】
空盆50は、循環流路30に気密に連通されている。空盆50は、開口部51aを有したケース51を有している。開口部51aは、循環流路30の導管43に気密に連通されている。空盆50は、ケース51内を開口部51aと繋がった第1領域53及び第2領域54に区域するベローズ52を有している。ベローズ52は、ケース51に液密に取付けられている。ベローズ52は伸縮自在である。ここでは、ベローズ52はゴムで形成されている。ベローズ52は、冷却液Lの体積の膨張及び収縮を吸収することができる。ベローズ52は、ガスに対して不透過性を示す材料で形成することが好ましい。
【0141】
真空発生器10は、アスピレータ式の真空発生器であり、ケース90の排気口99に気密に取付けられ、脱気空間領域91のガスを排気し、脱気空間領域91を減圧させる。真空発生器10は、冷却液Lの循環を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域91に減圧状態を作り出す。
【0142】
真空発生器10は、ケース90の排気口99に気密に取付けられた吸気口10aと、冷却流路3の下流側の導管42(循環流路30)に取付けられ冷却液Lが流入する流入口10bと、ケース90の上流側の導管43(循環流路30)に取付けられ冷却液Lを流出させる流出口10cと、を備えている。この実施形態において、ケース90の排気口99及び真空発生器10の吸気口10aは、排気ダクトA1、A2を介して連通されている。排気ダクトA1は吸気口10aに気密に取り付けられ、排気ダクトA2は排気口99に気密に取り付けられる。
【0143】
バルブ103は、排気ダクトA1及び排気ダクトA2の間に取付けられ、開閉を切替え可能である。バルブ103を閉状態に切替えることにより、循環装置5の停止時に、ケース90、特に中空糸膜フィルタ94への冷却液Lの流入を防止することができる。
【0144】
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、ケース90と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0145】
また、膜脱気法により、冷却液L中の溶存酸素量を低下させることができる。このため、低コストにて冷却液L中の酸素ガスを除去することができる。装置停止中は循環装置5も停止して膜脱気することができないが、冷却液中の溶存酸素は除去されているため、循環流路30、X線管1及び冷却流路3等の金属部分の腐食を抑制することができる。金属部分が腐食し易い銅を主成分とする材料で形成されている場合であっても、腐食の発生を抑制することができる。すなわち、冷却液LによるX線管装置の内部腐食を低減することができる。陽極ターゲット155に穴が形成される等の腐食によって生じる不良を低減できるため、長期にわたって信頼性が高く、製品寿命の長いX線管装置を得ることができる。
冷却流路3、継手6及び循環装置5は密閉系であるため、CT装置への適用に有効である。
【0146】
空盆50は、冷却液Lの体積の膨張及び収縮を吸収することができる。このため、この冷却流路3、継手6及び循環装置5が密閉系を形成しても、冷却液Lが膨張した場合の冷却液Lの漏れや、冷却液Lが収縮した場合の冷却液Lへの空気の吸い込みを防止することができる。
【0147】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0148】
次に、第5の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
図8に示すように、X線管装置は、導管34無しに形成されている。冷却液Lの導入口80aは、導管33(循環流路30)に取付けられている。
【0149】
循環装置5は、他の循環流路としての循環流路230及び他の循環ポンプとしての循環ポンプ200をさらに備えている。
循環流路230は、循環流路30と独立して設けられ、液体としての冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路230を流れる冷却液Lは、循環流路30を流れる冷却液Lと同種の冷却液である。
【0150】
循環流路230は、導管231、導管232及び導管233を有している。導管231の一端は、循環ポンプ200に気密に取付けられている。導管232は、循環ポンプ200及び真空発生器10の流入口10b間に気密に取付けられている。導管233の一端は、真空発生器10の流出口10cに気密に取付けられている。
【0151】
導管233は冷却液Lの導入口80cに取付けられ、導管231は冷却液Lの排出口80dに取付けられている。導管231の他端は、タンク80内の冷却液L中に没している。この実施形態において、導管233の他端もタンク80内の冷却液L中に没している。導管231乃至233は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0152】
循環ポンプ200は、循環流路230に気密に取付けられ、冷却液Lを循環させる。循環ポンプ200は、適宜、稼動させればよい。
【0153】
上記のように構成された第5の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0154】
また、真空発生器10は、循環流路230に取付けられている。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた循環流路230に取付けることも可能である。
【0155】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0156】
次に、第6の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0157】
図9に示すように、X線管装置は、導管33乃至35、及び37無しに形成されている。循環流路30は、タンク80に繋がっていない。冷却液Lの導入口73は、導管32(循環流路30)に取付けられている。また、循環流路30及びタンク70は密閉系であるため、バルブ101、102も無しに形成されている。
イオン交換樹脂フィルタ86は、導管36の先端に取付けられ、タンク70の内部に設けられ、冷却液L中に浸漬されている。
【0158】
循環装置5は、他の循環流路としての循環流路230及び他の循環ポンプとしての循環ポンプ200をさらに備えている。
循環流路230は、循環流路30と独立して設けられ、液体としての冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路230を流れる冷却液Lは、循環流路30を流れる冷却液Lと同種の冷却液である。なお、循環流路230を流れタンク80が収容する液体は、冷却液Lに限定されるものではなく、種々変形可能であり、液体であればよい。
【0159】
循環流路230は、導管231、導管232及び導管233を有している。導管231の一端は、循環ポンプ200に気密に取付けられている。導管232は、循環ポンプ200及び真空発生器10の流入口10b間に気密に取付けられている。導管233の一端は、真空発生器10の流出口10cに気密に取付けられている。
【0160】
導管233は冷却液Lの導入口80cに取付けられ、導管231は冷却液Lの排出口80dに取付けられている。導管231の他端は、タンク80内の冷却液L中に没している。この実施形態において、導管233の他端もタンク80内の冷却液L中に没している。導管231乃至233は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0161】
循環ポンプ200は、循環流路230に気密に取付けられ、冷却液Lを循環させる。循環ポンプ200は、適宜、稼動させればよい。
【0162】
上記のように構成された第6の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0163】
また、真空発生器10は、循環流路230に取付けられている。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた循環流路230に取付けることも可能である。
【0164】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0165】
次に、第7の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第2の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0166】
図10に示すように、X線管装置は、導管34無しに形成されている。冷却液Lの導入口80aは、導管33(循環流路30)に取付けられている。
【0167】
循環装置5は、他の循環流路としての循環流路230及び他の循環ポンプとしての循環ポンプ200をさらに備えている。
【0168】
循環流路230は、循環流路30と独立して設けられ、液体としての冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路230を流れる冷却液Lは、循環流路30を流れる冷却液Lと同種の冷却液である。
【0169】
循環流路230は、導管231、導管232及び導管233を有している。導管231の一端は、循環ポンプ200に気密に取付けられている。導管232は、循環ポンプ200及び真空発生器10の流入口10b間に気密に取付けられている。導管233の一端は、真空発生器10の流出口10cに気密に取付けられている。
【0170】
導管233は冷却液Lの導入口80cに取付けられ、導管231は冷却液Lの排出口80dに取付けられている。導管231の他端は、タンク80内の冷却液L中に没している。この実施形態において、導管233の他端もタンク80内の冷却液L中に没している。導管231乃至233は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0171】
循環ポンプ200は、循環流路230に気密に取付けられ、冷却液Lを循環させる。循環ポンプ200は、適宜、稼動させればよい。
【0172】
上記のように構成された第7の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第2の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0173】
また、真空発生器10は、循環流路230に取付けられている。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた循環流路230に取付けることも可能である。
【0174】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0175】
次に、第8の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第3の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0176】
図11に示すように、X線管装置は、導管44無しに形成されている。冷却液Lの導入口80aは、導管43(循環流路30)に取付けられている。
【0177】
循環装置5は、他の循環流路としての循環流路230及び他の循環ポンプとしての循環ポンプ200をさらに備えている。
【0178】
循環流路230は、循環流路30と独立して設けられ、液体としての冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路230を流れる冷却液Lは、循環流路30を流れる冷却液Lと同種の冷却液である。
【0179】
循環流路230は、導管231、導管232及び導管233を有している。導管231の一端は、循環ポンプ200に気密に取付けられている。導管232は、循環ポンプ200及び真空発生器10の流入口10b間に気密に取付けられている。導管233の一端は、真空発生器10の流出口10cに気密に取付けられている。
【0180】
導管233は冷却液Lの導入口80cに取付けられ、導管231は冷却液Lの排出口80dに取付けられている。導管231の他端は、タンク80内の冷却液L中に没している。この実施形態において、導管233の他端もタンク80内の冷却液L中に没している。導管231乃至233は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
【0181】
循環ポンプ200は、循環流路230に気密に取付けられ、冷却液Lを循環させる。循環ポンプ200は、適宜、稼動させればよい。
【0182】
上記のように構成された第8の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、ケース90と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第3の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0183】
また、真空発生器10は、循環流路230に取付けられている。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた循環流路230に取付けることも可能である。
【0184】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0185】
次に、第9の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第4の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0186】
図12に示すように、X線管装置は、導管42、43及び49無しに形成されている。導管41はカプラB1を介してホース44に連結されている。導管48はソケット21に気密に接続されている。循環流路30に真空発生器10は取付けられていない。循環流路30及びタンク80等は密閉系であるため、バルブ101、102も無しに形成されている。
【0187】
循環装置5は、他の循環流路としての循環流路230、他の循環ポンプとしての循環ポンプ200及びベローズ機構としての空盆250をさらに備えている。
循環流路230は、循環流路30と独立して設けられ、液体としての冷却液Lを収容し、気密性を保持可能である。循環流路230を流れる冷却液Lは、循環流路30を流れる冷却液Lと同種の冷却液である。なお、循環流路230を流れタンク80が収容する液体は、冷却液Lに限定されるものではなく、種々変形可能であり、液体であればよい。
【0188】
循環流路230は、導管231、導管232及び導管233を有している。導管231は、空盆250及び循環ポンプ200間に気密に取付けられている。導管232は、循環ポンプ200及び真空発生器10の流入口10b間に気密に取付けられている。導管233は、真空発生器10の流出口10c及び空盆250に気密に取付けられている。導管231乃至233は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。
循環ポンプ200は、循環流路230に気密に取付けられ、冷却液Lを循環させる。循環ポンプ200は、適宜、稼動させればよい。
【0189】
導管233は冷却液Lの導入口80cに取付けられ、導管231は冷却液Lの排出口80dに取付けられている。導管231の他端は、タンク80内の冷却液L中に没している。この実施形態において、導管233の他端もタンク80内の冷却液L中に没している。
【0190】
空盆250は、循環流路30に気密に連通されている。空盆250は、冷却液Lの導入口255及び冷却液Lの排出口256を有したケース251を有している。導入口255は、循環流路230の導管233に気密に連通されている。排出口256は、循環流路230の導管231に気密に連通されている。
【0191】
空盆250は、ケース51内を導入口255及び排出口256と繋がった第1領域253及び第2領域254に区域するベローズ252を有している。ベローズ252は、ケース251に液密に取付けられている。ベローズ252は伸縮自在である。ここでは、ベローズ252はゴムで形成されている。ベローズ252は、導管232、真空発生器10、排気ダクトA1及びA2を通って第1領域253に吐出される脱気空間領域91のガスによる、第1領域253の膨張を吸収することができる。
【0192】
上記のように構成された第9の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、ケース90と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第4の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0193】
また、真空発生器10は、循環流路230に取付けられている。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた循環流路230に取付けることも可能である。
【0194】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0195】
次に、第10の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0196】
図13に示すように、X線管装置は、導管34無しに形成されている。冷却液Lの導入口80aは、導管33(循環流路30)に取付けられている。真空発生器10は、導管61に取付けられている。
【0197】
上記のように構成された第10の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0198】
また、真空発生器10は、一次冷却系である導管61を流れる水道水を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域72に減圧状態を作り出す。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた導管61に取付けることも可能である。しかも、循環ポンプ200及び循環流路230(図8)無しに実施可能である。
【0199】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0200】
次に、第11の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第6の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
図14に示すように、X線管装置は、タンク80、循環ポンプ200及び循環流路230無しに形成されている。真空発生器10は、導管61に取付けられている。
【0201】
上記のように構成された第11の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第6の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0202】
また、真空発生器10は、一次冷却系である導管61を流れる水道水を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域72に減圧状態を作り出す。しかも、循環ポンプ200及び循環流路230(図9)無しに実施可能である。
【0203】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0204】
次に、第12の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法について詳細に説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第2の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。また、X線管装置の動作方法は、第1の実施形態と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0205】
図15に示すように、X線管装置は、導管34無しに形成されている。冷却液Lの導入口80aは、導管33(循環流路30)に取付けられている。真空発生器10は、導管61に取付けられている。
【0206】
上記のように構成された第12の実施形態に係るX線管装置及びX線管装置の動作方法によれば、X線管装置は、X線管1と、冷却流路3と、循環装置5とを備えている。循環装置5は、真空発生器10と、循環流路30と、タンク70と、循環ポンプ100とを有している。このため、上述した第2の実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0207】
また、真空発生器10は、一次冷却系である導管61を流れる水道水を利用してベンチェリ効果によって脱気空間領域72に減圧状態を作り出す。このように、真空発生器10は、循環流路30と独立して設けられた導管61に取付けることも可能である。しかも、循環ポンプ200及び循環流路230(図10)無しに実施可能である。
【0208】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた熱移動システム及び熱移動システムの動作方法を得ることができる。
【0209】
次に、第13の実施形態に係る熱移動システム及び熱移動システムの動作方法について説明する。ここでは、熱移動システム及び熱移動システムの動作方法としての冷却システム及び冷却システムの動作方法について詳細に説明する。また、冷却システムの動作方法は、第1の実施形態のX線管装置の動作方法と同一であり、その詳細な説明を省略する。
【0210】
図16に示すように、冷却システムは、X線管1と、X線管1の冷却流路3と、冷却液Lと、冷却液Lの循環装置5と、絶縁油IOと、絶縁油IOの循環装置400と、継手6とを備えている。ここでは、陽極ターゲットに高電圧が印加され、陰極は接地されている。
【0211】
循環装置5は、第1乃至12の実施形態の何れかの循環装置と同様に構成されている。循環装置5は、プラグ15及びプラグ16間に気密に接続され、筐体20の外側に引き出されている導管17をさらに備えている。導管17は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成することができる。導管17は、冷却流路として機能している。
【0212】
循環装置400は、気密性の継手6を介して絶縁油IOを冷却流路3との間で循環させるものである。
ここでは、継手6は、ホース11、ホース12、コネクタ13及びコネクタ14を有している。ホース11の一端にコネクタ13が気密に接続され、ホース12の一端にコネクタ14が気密に接続されている。コネクタ13は上記X線管1の導入路C1に気密に接続され、コネクタ14は上記X線管1の排出路C2に気密に接続されている。
【0213】
循環装置400は、循環流路410と、ベローズ機構としての空盆420と、循環ポンプ430と、熱交換器440とを有している。
循環流路410は、冷却流路3に継手6を介して連通されている。循環流路410は、絶縁油IOを収容し、気密性を保持可能である。循環流路410は、導管411、導管412及び導管413を有している。導管411は着脱可能な連結器としてのカプラ417を介してホース12に気密に接続され、導管413は着脱可能な連結器としてのカプラ418を介してホース11に気密に接続されている。導管411、導管412及び導管413は、銅、鉄、鉄合金、鋼等の金属で形成されている。ここでは、導管411は、銅で形成され、導管412及び導管413は、ステンレス鋼で形成されている。
【0214】
空盆420は、循環流路410に気密に連通されている。空盆420は、開口部421aを有したケース421を有している。開口部421aは、循環流路410の導管411に気密に連通されている。空盆420は、ケース421内を開口部421aと繋がった第1領域423及び第2領域424に区域するベローズ422を有している。ベローズ422は、ケース421に液密に取付けられている。ベローズ422は伸縮自在である。ここでは、ベローズ422はゴムで形成されている。ベローズ422は、絶縁油IOの体積の膨張及び収縮を吸収することができる。
【0215】
熱交換器440は、循環流路410に気密に取付けられ、絶縁油IOの熱を外部に放出するものである。熱交換器440は、導管412の一部と導管17とで形成されている。上述したように、導管17の中は、冷却液Lが流れる。これにより、二次冷却系である導管412を流れる絶縁油IOの熱が、一次冷却系である導管17を流れる冷却液Lに伝導され、絶縁油IOは冷却される。
【0216】
循環ポンプ430は、循環流路410に気密に取付けられている。詳しくは、循環ポンプ430は、導管411及び導管412に気密に取付けられている。循環ポンプ430は、絶縁油IOを循環装置400と冷却流路3との間で循環させるものである。
【0217】
上記のように構成された第13の実施形態に係る冷却システム及び冷却システムの動作方法によれば、冷却システムは、循環装置5は、第1乃至12の実施形態の何れかの循環装置と同様に構成されている。循環装置5は、循環装置400の絶縁油IOを冷却することにより、X線管1を間接的に冷却している。このため、上述した実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0218】
上記したことから、冷却液Lによる壊食を低減することができ、長期にわたって信頼性が高く、冷却性能に優れた冷却システム及び冷却システムの動作方法を得ることができる。
【0219】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0220】
例えば、冷却流路3は、陽極ターゲットから放出される熱の少なくとも一部が伝導される冷却液Lを収容し、密閉されていればよい。このため、図17に示すように、X線管1がハウジング2に収容され、ハウジング2内が冷却液Lで満たされている場合、冷却流路3は、X線管1の内部及びハウジング2内部で形成することができる。
【0221】
ここで、不活性ガスについて説明する。
まず、20℃での1気圧の各種ガスの水への溶解度(ml/水ml)を以下に示す。
SF6:0.005
He :0.009
Ne :0.010
N2 :0.016
空気 :0.018
O2 :0.031
Ar :0.035
上述した実施形態で使用するガスは窒素ガス(N2)の他、不活性ガスであるHe、Ne、Ar又は電気絶縁ガスであるSF6が好ましいが、水への溶解度が空気より小さいSF6、He、Ne、N2がより好ましい。
【0222】
なぜならば、一般的には温度が上昇したときにガスの溶解度が下がるため、ガスが気泡となって発生してきてしまうためである。Heだけは、30℃までは温度の上昇とともに溶解度が下がるものの、30℃以上では逆に上昇してくるという特異な性質を有している(20℃での溶解度と50℃での溶解度がほぼ同じ)。このため、最も好ましいガスはHeである。コストを重視するとN2である。
【0223】
冷却液Lとしては、純水やグリコール水溶液等の水系冷却液を利用することができる。冷却液L中のイオンの増加を防止しなくとも問題がない場合、イオン交換樹脂フィルタ86無しにシステムを形成することもできる。中空糸膜フィルタ94無しにシステムを形成する場合、冷却液Lとしては、絶縁油、パーフロロポリエーテル(PFPE)油及びシリコーン油等の非水系冷却液を利用することも可能である。
また、冷却液Lは、予め脱気されていてもよい。さらに、冷却液Lは、予め脱気された後、不活性ガスが溶存されていてもよい。
【0224】
本発明は、上述したX線管装置及びX線管装置の動作方法や、冷却システム及び冷却システムの動作方法に限定されるものではなく、各種の熱移動システム、熱移動システムの動作方法に適用することができる。上述した以外の各種のX線管装置及びX線管装置の動作方法にも本発明を適用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0225】
1…X線管、3…冷却流路、5…循環装置、6…継手、10…真空発生器、10a…吸気口、10b…流入口、10c…流出口、20…筐体、30…循環流路、17,31,32,33,34,35,36,37,41,42,43,46,47,48,49…導管、44,45…導管(ホース)、50…空盆、60…熱交換器、61…導管、62…ファン、70…タンク、71…冷却液充満領域、72…脱気空間領域、73…導入口、74…排出口、75…排気口、80…タンク、80a,80c…導入口、80b,80d…排出口、81…冷却液充満領域、82…ガス分離領域、83…導入口、84…排気口、85…ベローズ、86…イオン交換樹脂フィルタ、87…不活性ガス導入パイプ、87a…吐出し口、88…ガス排気パイプ、89a…桶部、89b…蓋部、90…ケース、90a…導入口、90b…排出口、91…脱気空間領域、92…導入口、93…排気口、94…中空糸膜フィルタ、95…流路、96…不活性ガス導入パイプ、97…ガス排気パイプ、98…冷却液充満領域、99…排気口、100…循環ポンプ、101,102,103,111,112,121,122,131,132…バルブ、200…循環ポンプ、230…循環流路、250…空盆、310…脱酸素剤、320…酸素検知剤、330…保持部材、340…覗き窓、400…循環装置、410…循環流路、420…空盆、430…循環ポンプ、440…熱交換器、A1,A2…排気ダクト、L…冷却液、IO…絶縁油。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの熱が伝導される冷却液を収容する冷却流路と、
前記冷却流路に気密性の継手を介して連通され、前記冷却液を収容する循環流路と、
前記循環流路に気密に取付けられ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる循環ポンプと、
前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域される脱気空間領域と、前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記冷却液充満領域に開口し前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の排出口と、前記脱気空間領域に開口したガスの排気口と、を有し、前記導入口、排出口及び排気口を閉じた状態で気密性を保持可能である容器と、
前記容器の排気口に気密に取付けられ、前記脱気空間領域のガスを排気し、前記脱気空間領域を減圧させるアスピレータ式の真空発生器と、を備えていることを特徴とする熱移動システム。
【請求項2】
前記真空発生器は、前記容器の排気口に気密に取付けられた吸気口と、前記冷却流路の下流側の前記循環流路に取付けられ前記冷却液が流入する流入口と、前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられ前記冷却液を流出させる流出口と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項3】
前記循環流路と独立して設けられ、液体を収容する他の循環流路と、
前記他の循環流路に気密に取付けられ、前記液体を循環させる他の循環ポンプと、をさらに備え、
前記真空発生器は、前記容器の排気口に気密に取付けられた吸気口と、前記他の循環流路に取付けられ前記液体が流入する流入口と、前記他の循環流路に取付けられ前記液体を流出させる流出口と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項4】
二次冷却系である前記循環流路を流れる前記冷却液の熱が伝導される他の冷却液が流れる一次冷却系であり、前記循環流路とともに熱交換器を形成する導管をさらに備え、
前記真空発生器は、前記容器の排気口に気密に取付けられた吸気口と、前記導管に取付けられ前記他の冷却液が流入する流入口と、前記導管に取付けられ前記他の冷却液を流出させる流出口と、を備えている一次冷却系をさらに具備していることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項5】
前記容器の排気口及び前記真空発生器の吸気口を連通する排気ダクトを備えていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の熱移動システム。
【請求項6】
前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域され前記冷却液から分離されたガスが存在するガス分離領域と、前記真空発生器の下流側の前記循環流路に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられた前記冷却液の排出口と、を有している他の容器をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の熱移動システム。
【請求項7】
前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域され前記冷却液から分離されたガスが存在するガス分離領域と、前記冷却流路の下流側の前記循環流路に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられた前記冷却液の排出口と、を有している他の容器をさらに備え、
前記他の循環流路が収容する液体は、前記循環流路が収容する前記冷却液と同種であり、
前記他の循環流路は、前記他の容器に連通されていることを特徴とする請求項3に記載の熱移動システム。
【請求項8】
前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第1開閉部と、
前記容器の下流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第2開閉部と、をさらに備え、
前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替えることにより前記冷却流路への前記冷却液の出入りを禁止することを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項9】
前記真空発生器の上流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第1開閉部と、
前記容器の下流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第2開閉部と、をさらに備え、
前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替えることにより前記冷却流路への前記冷却液の出入りを禁止することを特徴とする請求項2に記載の熱移動システム。
【請求項10】
前記他の容器の上流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第1開閉部と、
前記容器の下流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第2開閉部と、をさらに備え、
前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替えることにより前記冷却流路への前記冷却液の出入りを禁止することを特徴とする請求項3に記載の熱移動システム。
【請求項11】
前記容器の内部及び前記循環流路に気密に取付けられた他の容器の内部の少なくとも一方に設けられたイオン交換樹脂をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の熱移動システム。
【請求項12】
前記冷却液は、前記容器の導入口を通って前記脱気空間領域に噴出された後に前記冷却液充満領域に収容されることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項13】
前記容器内に設けられ、前記冷却液充満領域及び脱気空間領域を接触分離し、前記冷却液に対して不透過性を示し、ガスに対して透過性を示すガス交換膜をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項14】
前記ガス交換膜は、中空糸膜であることを特徴とする請求項13に記載の熱移動システム。
【請求項15】
前記他の容器のガス分離領域は、大気に連通していることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱移動システム。
【請求項16】
前記他の容器に気密に取付けられ、前記他の容器とともに前記ガス分離領域を区域した伸縮自在のベローズ機構をさらに備え、
前記他の容器は、前記導入口及び排出口を閉じた状態で気密性を保持可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱移動システム。
【請求項17】
前記冷却液は、水系冷却液であることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項18】
前記冷却液は、純水であることを特徴とする請求項17に記載の熱移動システム。
【請求項19】
前記冷却液は、グリコール水溶液を主成分とすることを特徴とする請求項17に記載の熱移動システム。
【請求項20】
前記冷却液は、予め脱気されていることを特徴とする請求項17に記載の熱移動システム。
【請求項21】
前記冷却液は、予め脱気された後、不活性ガスが溶存されていることを特徴とする請求項17に記載の熱移動システム。
【請求項22】
X線を透過する出力窓が一部に形成された真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられ電子を放出する陰極と、前記真空外囲器内に設けられ前記陰極から放出される電子が照射されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、を有するX線管をさらに備え、
前記冷却液に伝導される外部からの熱は、前記X線管から放出される熱の少なくとも一部であることを特徴とする請求項1に記載の熱移動システム。
【請求項23】
外部からの熱が伝導される冷却液を収容する冷却流路と、前記冷却流路に気密性の継手を介して連通され、前記冷却液を収容する循環流路と、前記循環流路に気密に取付けられ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる循環ポンプと、前記冷却液で満たされる冷却液充満領域と、前記冷却液と接触分離されることにより区域される脱気空間領域と、前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の導入口と、前記冷却液充満領域に開口し前記循環流路に気密に取付けられた前記冷却液の排出口と、前記脱気空間領域に開口したガスの排気口と、を有し、前記導入口、排出口及び排気口を閉じた状態で気密性を保持可能である容器と、前記容器の排気口に気密に取付けられ、前記脱気空間領域のガスを排気し、前記脱気空間領域を減圧させるアスピレータ式の真空発生器と、前記容器の上流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第1開閉部と、前記容器の下流側の前記循環流路に取付けられ、前記冷却液の循環を許可する開状態と、前記冷却液の循環を禁止する閉状態と、に切替え可能な第2開閉部と、を備え、前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替えることにより前記冷却流路への前記冷却液の出入りを禁止する熱移動システムを用意する第1工程と、
前記第1開閉部及び第2開閉部を開状態に切替える第2工程と、
前記第2工程に続き、前記循環ポンプを稼動させ、前記冷却液を前記冷却流路と前記循環流路との間で循環させる第3工程と、
前記第3工程に続き、前記循環ポンプを停止させる第4工程と、
前記第4工程に続き、前記第1開閉部及び第2開閉部を閉状態に切替える第5工程と、を備えることを特徴とする熱移動システムの動作方法。
【請求項24】
X線を透過する出力窓が一部に形成された真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられ電子を放出する陰極と、前記真空外囲器内に設けられ前記陰極から放出される電子が照射されることによりX線を放出する陽極ターゲットと、を有するX線管をさらに備えた、熱移動システムの動作方法であって、
前記冷却液に伝導される外部からの熱は、前記X線管から放出される熱の少なくとも一部であることを特徴とする請求項23に記載の熱移動システムの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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