説明

熱線遮蔽材、貼合せ構造体及び合わせガラス

【課題】広帯域にわたって赤外線の反射率を向上しつつも、可視光領域における高い光透過性を実現し得る、熱線遮蔽材、かかる熱線遮蔽材を用いた貼合せ構造体、及び合わせガラスの提供。
【解決手段】本発明の熱線遮蔽材は、少なくとも1種の金属粒子を含む金属粒子含有層と、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層された赤外線反射層とを有する熱線遮蔽材であって、前記金属粒子が、六角形状乃至円形状であって平板状の金属粒子を60個数%以上有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域にわたって赤外線の反射率を向上しつつも、可視光領域における高い光透過性を実現する、熱線遮蔽材、かかる熱線遮蔽材を用いた貼合せ構造体、及び合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして、自動車や建物の窓に対する熱線遮蔽性付与材料が開発されている。熱線遮蔽性付与材料について、熱線遮蔽性(日射熱取得率)の観点からは、吸収した光の室内への再放射(吸収した日射エネルギーの約1/3量が室内に放射される)ことがある熱線吸収型よりも、そもそも再放射をしない熱線反射型が望ましい。そのことから、熱線反射型の熱線遮蔽性付与材料について様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、金属Ag薄膜は、その反射率の高さから、熱線反射材として一般に使用されているが、可視光や熱線だけでなく電波も反射してしまうため、可視光透過性及び電波透過性が低いことが問題となっていた。可視光透過性を上げるために、Ag及びZnO多層膜を利用したLow−Eガラス(例えば旭硝子株式会社製)は、広く建物に採用されているが、Low−Eガラスは、ガラス表面に金属Ag薄膜が形成されているため、電波透過性が低いという課題があった。
【0004】
上記課題を解決するため、例えば、電波透過性を付与した島状Ag粒子付きガラスが提案されている。また、蒸着により製膜したAg薄膜をアニールすることにより、粒状Agを形成したガラスが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
或いは、ポリマー多層押出しフィルムなどの互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層された赤外線反射層と、錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの導電性微粒子の分散膜からなる赤外線吸収層とを有する機能性フィルムであるポリマー多層押出しフィルムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3454422号公報
【特許文献2】特開2010−222233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のガラスでは、アニールにより粒状Agを形成しているため、粒子サイズ、形状、面積率などを制御することが難しく、熱線の反射波長、帯域等の制御、可視光透過率の向上などが難しく、その結果、赤外光の中で太陽光エネルギーが高い短波長側の赤外線を十分に遮蔽できないという問題があった。
また、特許文献2に記載の機能性フィルムでは、ポリマー多層押出しフィルムは赤外線領域の反射に有効であるが、可視光領域を透明に保つためには、可視光領域における第二高調波の発生を押さえる必要があり、そのため、赤外線反射領域を800〜1,100nm近辺に絞る必要がある。そのため、この提案では、1,100nm以降の赤外線遮蔽を、ITOなどを含む赤外線吸収層で補填している。その場合、熱に変わりやすい成分が多いため発熱の抑制が不十分となり、遮蔽係数が十分低くならないという問題がある。また、上記赤外線遮蔽フィルタを窓ガラスに貼り付けた場合、太陽光線が当たる場所と当たらない場所で温度上昇が異なるため、フィルムの膨張率に違いが生じる影響でガラスが割れる、いわゆる熱割れという現象が起こるという問題があった。
したがって、全帯域にわたり赤外線反射率が向上し、かつ可視光領域における高い光透過性を兼ね備える熱線遮蔽材、並びに該熱線遮蔽材を用いた貼合せ構造体及び合わせガラスが望まれているのが現状である。
【0008】
本発明は、従来における上記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、広帯域にわたって赤外線の反射率を向上しつつも、可視光領域における高い光透過性を実現する、熱線遮蔽材、かかる熱線遮蔽材を用いた貼合せ構造体、及び合わせガラスを提供することを目的とする。
【0009】
上記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも1種の金属粒子を含む金属粒子含有層と、
互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層された赤外線反射層と、を有する熱線遮蔽材であって、
前記金属粒子は、六角形状乃至円形状であって平板状の金属粒子を含み、
前記金属粒子含有層に含まれる金属粒子の全粒子数に対する、前記平板状の金属粒子の比率が60個数%以上である、ことを特徴とする熱線遮蔽材である。
<2> 透明薄層は、ポリマーを含む層である、<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<3> 赤外線反射層は、透明薄層を、交互積層押出し、交互塗布、及び交互薄層ラミネートの少なくともいずれかを実行することにより得られる<1>又は<2>に記載の熱線遮蔽材である。
<4> 赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長と、金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長との差が、100nm以上である<1>から<3>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<5> 赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長が700nm〜1,500nmであり、金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長が900nm〜2,000nmであり、かつ遮蔽係数が0.7以下である<1>から<4>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<6> 平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が50個数%以上である<1>から<5>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<7> 平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が80個数%以上である<1>から<6>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<8> 平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が90個数%以上である<1>から<7>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<9> 平板状の金属粒子の粒度分布の変動係数が、30%以下である<1>から<8>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<10> 平板状の金属粒子の平均粒子径が70nm〜500nmであり、
平板状の金属粒子のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が10〜45である<1>から<9>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<11> 平板状の金属粒子が、少なくとも銀を含む<1>から<10>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<12> 熱線遮蔽材の可視光線透過率が、70%以上である<1>から<11>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<13> 粘着層を更に有する<1>から<12>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<14> <1>から<13>のいずれかに記載の熱線遮蔽材と、ガラス又はプラスチックのいずれかと、を貼り合わせてなることを特徴とする貼合せ構造体である。
<15> 少なくとも1つの<1>から<12>のいずれかに記載の熱線遮蔽材と、前記熱線遮蔽材を挟持する少なくとも2層の中間層と、前記中間層を挟持する少なくとも2枚のガラスとを含む、ことを特徴とする合わせガラスである。
<16> 中間層が、ポリビニルブチラール及びエチレンビニル共重合体の少なくともいずれかを含む<15>に記載の合わせガラスである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来技術の諸問題を解決し、上記目的を達成することができ、広帯域にわたって赤外線の反射率を向上できると共に、可視光領域における高い光透過性を両立可能な熱線遮蔽材、並びに該熱線遮蔽材を用いた貼合せ構造体及び合わせガラスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板状の金属粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、円形状であって平板状の金属粒子を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板状の金属粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、六角形状であって平板状の金属粒子を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、最も理想的な存在状態を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属粒子含有層の一方の表面と平板状の金属粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図を示す。
【図2C】図2Cは、本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属粒子含有層の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示す図である。
【図3】図3は、比較例4の熱線遮蔽材における透過スペクトル、反射スペクトル及び吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、比較例1の熱線遮蔽材における反射スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(熱線遮蔽材)
本発明の熱線遮蔽材は、少なくとも1種の金属粒子を含む金属粒子含有層と、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層された赤外線反射層とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、粘着層などのその他の層を有する。
【0013】
<金属粒子含有層>
金属粒子含有層は、少なくとも1種の金属粒子を含む層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0014】
−金属粒子−
金属粒子としては、平板状の金属粒子を含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば平板状の金属粒子の他、粒状、立方体状、六面体状、八面体状、ロッド状などが挙げられる。
金属粒子含有層において、金属粒子の存在形態としては、金属粒子含有層の一方の表面(赤外線反射層の表面)に対して略水平方向を向いて一平面内に偏在していてもよく、ランダムに配向していてもよいが、略水平方向を向いて一平面内に偏在することが好ましい。略水平方向を向いて一平面内に偏在する形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線反射層と金属粒子とが略接触する形態、赤外線反射層と金属粒子とが熱線遮蔽材の深さ方向に一定の距離で配置されている形態などが挙げられる。
なお、金属粒子含有層の一方の表面とは、赤外線反射層と接する面であり、赤外線反射層の表面と同様に、フラットな平面である。
金属粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、500nm以下の平均粒子径を有するものであってもよい。
金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線(近赤外線)の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金などが好ましい。
【0015】
−平板状の金属粒子−
平板状の金属粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図1A及び図1B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状、円形状、三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状、円形状であることが特に好ましい。
円形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状の金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状の金属粒子を主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
平板状の金属粒子の材料としては、特に制限はなく、金属粒子と同じものを目的に応じて適宜選択することができる。平板状の金属粒子は、少なくとも銀を含むことが好ましい。
【0016】
金属粒子含有層に存在する金属粒子のうち、六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であり、65個数%以上が好ましく、70個数%以上が更に好ましい。平板状の金属粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光透過率が低くなってしまうことがある。
【0017】
[面配向]
本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子は、その主平面が金属粒子含有層の一方の表面(乃至赤外線反射層の表面)に対して、0°〜±30°の範囲で面配向しており、0°〜±20°の範囲で面配向していることが好ましい。また、平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している平板状の金属粒子の比率が50個数%以上であることが好ましく、より好ましくは、80個数%以上であり、さらに好ましくは、90個数%以上である。なお、平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している平板状の金属粒子の個数比率が大きければ大きいほど、赤外線反射性能が向上し、ヘイズが小さくなることから、熱線遮蔽材の透明性が向上することとなる。
平板状の金属粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する図2Aのように赤外線反射層上に並んでいることが好ましい。
【0018】
ここで、図2A〜図2Cは、本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図である。図2Aは、金属粒子含有層2中における平板状の金属粒子3の最も理想的な存在状態を示す。図2Bは、赤外線反射層1の平面と平板状の金属粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図2Cは、金属粒子含有層2の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図2Bにおいて、赤外線反射層1の表面と、平板状の金属粒子3の主平面乃至主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、熱線遮蔽材の断面を観察した際、図2Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図2Aは、赤外線反射層1の表面と平板状の金属粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。赤外線反射層1の表面に対する平板状の金属粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図2Bにおけるθが±30°を超えると、熱線遮蔽材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまう。
【0019】
[面配向の評価]
金属粒子含有層の一方の表面(乃至赤外線反射層の表面)に対して平板状の金属粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における金属粒子含有層及び平板状の金属粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、熱線遮蔽材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線遮蔽材の断面サンプル乃至断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
【0020】
熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、断面サンプル乃至断面切片サンプルを作製してもよい。また、熱線遮蔽材において平板状の金属粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、断面サンプル乃至断面切片サンプルを作製してもよい。
【0021】
上記の通り作製した断面サンプル乃至断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて金属粒子含有層の一方の表面(乃至赤外線反射層の表面)に対して平板状の金属粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、平板状の金属粒子の形状と傾角(図2Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
【0022】
[平均粒子径(平均円相当径)及び平均粒子径(平均円相当径)の粒度分布]
平板状の金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、80nm〜400nmがより好ましい。平均粒子径(平均円相当径)が、70nm未満であると、平板状の金属粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、500nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、熱線遮蔽材の透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、平均粒子径(平均円相当径)とは、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板状の金属粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
金属粒子含有層中に平均粒子径(平均円相当径)が異なる2種以上の金属粒子を含むことができ、この場合、金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径(平均円相当径)を有していてもよい。
【0023】
本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子の粒度分布における変動係数としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。変動係数が、30%を超えると、熱線遮蔽材における熱線の反射波長域がブロードになってしまうことがある。
ここで、平板状の金属粒子の粒度分布における変動係数は、例えば上記の通り得た平均値の算出に用いた200個の平板状の金属粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、上記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径(平均円相当径))で割った値(%)である。
【0024】
[アスペクト比]
平板状の金属粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長900nm〜2,000nmの赤外光領域での反射率が高くなる点から、10〜45が好ましく、20〜35がより好ましい。アスペクト比が、10未満であると、反射波長が900nmより小さくなり、45を超えると、反射波長が2,000nmより長くなり、十分な熱線反射能が得られないことがある。
アスペクト比は、平板状の金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)を平板状の金属粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。平均粒子厚みは、平板状の金属粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図1A及び図1Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に平板状の金属粒子を含む粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
【0025】
[平板状の金属粒子の存在範囲]
本発明の熱線遮蔽材において、図2Cに示すように、金属粒子含有層2における平板状の金属粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、金属粒子含有層2における媒質の屈折率をnとするとき、金属粒子含有層2が、熱線遮蔽材の水平面からの深さ方向において、0〜(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲外であると、熱線遮蔽材の上側と下側のそれぞれの金属粒子含有層の界面空気界面での反射波の位相により反射波の振幅が強めあう効果が小さくなってしまい、ヘイズ特性、可視光透過率及び熱線最大反射率が低下してしまうことがある。
【0026】
金属粒子含有層における平板状の金属粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光透過率を付与する点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
金属粒子含有層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等のポリマー、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
媒質の屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0027】
[平板状の金属粒子の面積率]
熱線遮蔽材を上から見た時の熱線遮蔽材の面積A(金属粒子含有層に対して垂直方向から見たときの金属粒子含有層の全投影面積A)に対する平板状の金属粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、面積率は、例えば熱線遮蔽材を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
【0028】
[平板状の金属粒子の平均粒子間距離]
金属粒子含有層における水平方向に隣接する平板状の金属粒子の平均粒子間距離としては、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から、平板状の金属粒子の平均粒子径の1/10以上が好ましい。
平板状の金属粒子の水平方向の平均粒子間距離が、平板状の金属粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
【0029】
ここで、平板状の金属粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の平板状の金属粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
【0030】
[金属粒子含有層の層構成]
本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子は、図2A〜図2Cに示すように、平板状の金属粒子を含む金属粒子含有層の形態で配置される。
金属粒子含有層としては、図2A〜図2Cに示すように単層で構成されてもよく、複数の金属粒子含有層で構成されてもよい。複数の金属粒子含有層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
金属粒子含有層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、現実の塗布及び乾燥負荷を考えると、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。
ここで、金属粒子含有層の各層の厚みは、例えば、熱線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
【0031】
[平板状の金属粒子の合成方法]
平板状の金属粒子の合成方法としては、六角形状乃至円形状を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形乃至三角形状の平板状の金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形乃至三角形状の平板状の金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子を得てもよい。
【0032】
平板状の金属粒子の合成方法としては、上記の他、予めフィルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
【0033】
本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。上記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
【0034】
−高屈折率シェル層の形成−
平板状の金属粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiO、BaTiO、ZnO、SnO、ZrO、NbOなどが挙げられる。
【0035】
被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の平板状の金属粒子の表面にTiO層を形成する方法であってもよい。
【0036】
また、平板状の金属粒子に直接高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、上記の通り平板状の金属粒子を合成した後、適宜SiOやポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に金属酸化物層を形成してもよい。TiOを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOが光触媒活性を有することから、平板状の金属粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて平板状の金属粒子にTiO層を形成した後、適宜SiO層を形成してもよい。
【0037】
−各種添加物の添加−
本発明の熱線遮蔽材において、平板状の金属粒子は、該平板状の金属粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化防止層が平板状の金属粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiOなどの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
【0038】
平板状の金属粒子は、分散性付与を目的として、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等のN元素、S元素、及びP元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
【0039】
<赤外線反射層>
赤外線反射層は、互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層されたものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
赤外線反射層は、互いに屈折率が異なる少なくとも2種のポリマーが20層〜200層交互積層された赤外線反射層(有機多層フィルム)が好ましく、交互積層か、交互積層押出し、交互塗布、及び交互薄層ラミネートの少なくともいずれかであることがより好ましい。
【0040】
<<透明薄層>>
透明薄層とは、可視光透過率70%以上の透過性を有し、厚み50nm〜300nmのものを指し、ポリマーからなる薄層であってもよい。
透明薄層の厚みとしては、50nm〜300nmであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜200nmが好ましい。また、異なる材料からなる透明薄層の厚みとしては、異なる材料間で、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、1種の材料からなる透明薄層の厚みとしては、複数の透明薄層間で、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
「互いに屈折率が異なる」とは、少なくとも2種の透明薄層の屈折率が、0.01以上異なることを意味し、透明薄層がポリマーからなる薄層である場合、0.02以上異なることが好ましい。
【0041】
−ポリマー−
ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタクリレートとのコポリマー、エチレンと不飽和モノカルボン酸とのコポリマー、スチレンとメチルメタクリレートとのコポリマーなどが挙げられる。
ポリマーを交互に積層する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、積層押出し法や、ロールコート法、フローコート法、ディッピング法等の塗布方法、ポリマー薄層をラミネートする方法などが挙げられる。
【0042】
さらに、赤外線反射層は、屈折率の異なる厚さt1のポリマー薄層と厚さt2のポリマー薄層とを交互に10層〜40層積層して単位積層体とし、厚さt1、t2を変えた単位積層体を、2個〜6個有することが、反射波長の範囲を広くすることができる点で、好ましい。
【0043】
赤外線反射層の厚み、即ち、複数の透明薄層の合計厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、赤外線反射層が、互いに屈折率が異なる少なくとも2種のポリマーが20層〜200層交互積層された赤外線反射層(有機多層フィルム)である場合、30μm〜200μmが好ましく、50μm〜100μmがより好ましい。
【0044】
赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長が700nm〜1,500nmであり、金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長が900nm〜2,000nmであり、かつ遮蔽係数が0.7以下であることが好ましく、また、赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長と、金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長との差が、100nm以上であることが好ましい。また、遮蔽係数としては、0.65以下がより好ましく、0.6以下が特に好ましい。
【0045】
<その他の層>
<<粘着層>>
本発明の熱線遮蔽材は、粘着層を更に有することが好ましい。
粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
【0046】
<<保護層>>
本発明の熱線遮蔽材において、赤外線反射層との密着性を向上させたり、機械強度的に保護するため、保護層を有することが好ましい。
保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。保護層を形成する方法としては、適切な有機溶剤を選んで溶解液とし、金属粒子含有層表面に塗布した後、乾燥させて薄膜を形成する方法、或いは、樹脂によっては水溶性エマルションに調整して水溶液として金属粒子含有層表面に塗布した後、加熱乾燥してエマルション粒子を融着し薄膜形成する方法などが挙げられる。
【0047】
[熱線遮蔽材の製造方法]
本発明の熱線遮蔽材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布方法により、赤外線反射層の表面に金属粒子含有層、更に必要に応じて粘着層などのその他の層を形成する方法などが挙げられる。
【0048】
−金属粒子含有層の形成方法−
金属粒子含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線反射層などの下層の表面上に、平板状の金属粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
【0049】
また、金属粒子含有層の形成方法は、平板状の金属粒子の赤外線反射層表面への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して面配向させる方法を含んでいてもよい。そのような方法としては、例えば、平板状の金属粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、赤外線反射層の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で赤外線反射層表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法などが挙げられる。また、平板状の金属粒子の表面が親水性である場合は、赤外線反射層の表面をブロックコポリマー、マイクロコンタクトスタンプ法などにより、親疎水の海島構造を形成しておき、親疎水性相互作用を利用して面配向性と平板状の金属粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
【0050】
なお、面配向を促進するために、平板状の金属粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
【0051】
−−粘着層の形成方法−−
粘着層は、塗布により形成することが好ましい。例えば、赤外線反射層、金属粒子含有層、紫外線吸収層などの下層の表面上に積層することができる。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
【0052】
本発明の熱線遮蔽材の日射反射率としては、600nm〜2,000nmの範囲(好ましくは800nm〜1,800nm)で最大値を有することが、熱線反射率の効率を上げることができる点で好ましい。
本発明の熱線遮蔽材の可視光線透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。可視光線透過率が、60%未満であると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなることがある。
本発明の熱線遮蔽材のヘイズは、20%以下であることが好ましい。ヘイズが20%を超えると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に外部が見にくくなるなど、安全上好ましくないことがある。
【0053】
[ドライラミネーションによる粘着層の積層]
本発明の熱線遮蔽材を使って、既設窓ガラスの類に機能性付与する場合は、粘着層を積層してガラスの室内側に貼り付ける。その際、反射層をなるべく太陽光側に向けた方が発熱を防ぐことになるので、金属粒子含有層の上に粘着層を積層し、その面から窓ガラスへ貼り合わせるのが適切である。
金属粒子含有層表面への粘着層の積層に当っては、当該表面に直接粘着剤入りの塗布液を塗工することもできるが、粘着剤に含まれる各種添加剤、可塑剤や、使用溶剤などが、場合によっては金属粒子含有層の配列を乱したり、金属粒子自身を変質させたりすることがある。そうした弊害を最小限に留めるためには、粘着剤を予め離型フィルム上に塗工及び乾燥させたフィルムを作製しておいて、当該フィルムの粘着剤面と本発明の熱線遮蔽材の金属粒子含有層表面とをラミネートすることにより、ドライな状態のままの積層をすることが有効である。
【0054】
(貼合せ構造体)
本発明の貼合せ構造体は、本発明の熱線遮蔽材と、ガラス及びプラスチックのいずれかとを貼り合わせてなる。
貼合せ構造体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述のように製造した粘着層を有する本発明の熱線遮蔽材を、自動車等の乗り物用ガラス乃至プラスチックや建材用ガラス乃至プラスチックに貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0055】
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、少なくとも1つの本発明の熱線遮蔽材と、少なくとも2層の中間層と、少なくとも2枚のガラスとを含み、熱線遮蔽材を挟持する中間層を少なくとも2枚のガラスで挟持してなる。
中間層は、ポリビニルブチラール及びエチレンビニル共重合体の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
合わせガラスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、本発明の熱線遮蔽材を、ポリビニルブチラール及びエチレンビニル共重合体等の中間層2層の間に重ね、更に、該中間層を2枚のガラスで挟んだ後、例えば、130℃、13気圧、1時間の条件でオートクレーブすることにより、圧着する方法などが挙げられる。
【0056】
ガラスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑性が良く、透視像の歪が少なく、ある程度の剛性をもって風や外力による歪が少なく、可視光領域の透過に優れ、かつ、比較的低コストで得られるフロート法による、酸化金属などの着色成分を少なくした、透明タイプ或いはクリアタイプと呼ばれるソーダライムガラスなどが挙げられる。
【0057】
[熱線遮蔽材、貼合せ構造体及び合わせガラスの使用態様]
本発明の熱線遮蔽材、貼合せ構造体及び合わせガラスは、熱線(近赤外線)を選択的に反射乃至吸収するために使用される態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、乗り物用フィルム、貼合せ構造体や合わせガラス、建材用フィルム、貼合せ構造体や合わせガラス、農業用フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、乗り物用フィルム、貼合せ構造体や合わせガラス、建材用フィルム、貼合せ構造体や合わせガラスであることが好ましい。
なお、本発明において、熱線(近赤外線)とは、太陽光に約50%含まれる近赤外線(780nm〜1,800nm)を意味する。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、比較例は、公知技術とは限らない。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0059】
(製造例1:赤外線反射層1(有機多層フィルム)の作製)
下記手順により、屈折率の異なる2種のポリマー薄層を交互積層してなる[赤外線反射層1]を作製した。
低屈折率のポリマー薄層にポリメチルメタクリレート(PMMA)を用い、高屈折率のポリマー薄層にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。PMMAを用いて形成した低屈折率の層をPMMA層と呼び、PETを用いて形成した高屈折率の層をPET層と呼ぶ。
【0060】
PMMA層は、PMMAを酢酸2−メトキシエチルに溶解させた液をロールコート法で塗布して形成した。屈折率は1.49であった。
PET層は、PETのペレットを押し出し機で溶融させながら塗布して形成した。PET層の屈折率は1.65であった。
【0061】
0.144μmのPMMA層と0.159μmのPET層とを交互に20層ずつ積層し、さらに、0.165μmのPMMA層と0.183μmのPET層とを交互に10層ずつ積層し、さらに、0.187μmのPMMA層と0.207μmのPET層とを交互に15層ずつ積層し、さらに、0.158μmのPMMA層と0.175μmのPET層とを交互に15層ずつ積層し、さらに、0.172μmのPMMA層と0.191μmのPET層とを交互に15層ずつ積層して、[赤外線反射層1]を作製した。ポリマー薄層は、全部で150層である。
【0062】
(製造例2:赤外線反射層2(有機多層押出しフィルム)の作製)
下記手順により、屈折率の異なる2種のポリマー薄層を交互積層してなる[赤外線反射層2]を作製した。
米国特許第3,773,882号及び第3,759,647号に記載の多層押出し製膜装置を使用して、赤外光領域の光を反射する一方、可視光領域においては第2、第3、及び第4次の反射を抑える3成分系多層光学干渉フィルムを作製し、これによって太陽光の赤外線を反射する、みかけ上透明な多層押出しフィルムを得た。
[赤外線反射層2]は、以下の3つのポリマー成分を含む:即ち、成分Aは、1.57の屈折率と1.08の密度を有するスチレン−メチルメタクリレートコポリマー(P−359、リチャードソン・ポリマー・コーポレーション製)であり;成分Bは、1.53の屈折率と1.13の密度を有するメチルメタクリレート−スチレンコポリマー(RPC−440、リチャードソン・ポリマー・コーポレーション製)であり;そして成分Cは、1.49の屈折率と1.20の密度を有するポリメチルメタクリレート(VS−100、ローム・アンド・ハース社製)である。
【0063】
以下の手順により、[赤外線反射層2]の両面に、表面の不安定性をなくし、且つ機械的特性を付与するに足るポリカーボネートの保護層を、更に設けた。
この3成分フィルムを同時押出して、ABCBの繰り返し単位を有する165層フィルムとした。3成分フィードブロックは、成分Aに対しては42個のフィードスロットを、成分Bに対しては82個のフィードスロットを、そして成分Cに対しては41個のフィードスロットを有する。3つの個別の押出機が、それぞれのポリマー成分を、成分Aに関しては8.5kg/hr、成分Bに関しては9.0kg/hr、そして成分Cに関しては9.8kg/hrの割合にてフィードブロックに供給した。保護層として、6.8kg/hrのポリカーボネートをフィルムの両表面上に同時押出した。約204μm(0.9ミル)のフィルム厚みで1,400nmにて強い一次反射率を示すよう、フィルムの引落率を調整した。この結果、成分Aの層厚みが148.6nm、成分Bの層厚みが76.3nm、及び成分Cの層厚みが156.6nmであるような[赤外線反射層2]が得られた。したがって、第1成分Aの光学的厚み比fAは、1/3であり、第2成分Bの光学的厚み比fBは、1/6であり、第3成分Cの光学的厚み比fCは、1/3であり、そして各成分の屈折率は、下記式の関係を満たす。
【数1】

このとき光学的厚さ比fは、下記式で定義される。
【数2】

(ただし、式中、niはポリマーiの屈折率を表し、diはポリマーiの層厚みを表す。)
【0064】
[赤外線反射層2]は、近赤外スペクトル領域における1,400nmという波長(λI)にて強い第1次反射を示すことがわかった。[赤外線反射層2]では、第2次、第3次、及び第4次の反射は抑えられた。したがって、可視光の赤領域における700nmの波長(λI/2)での第2次反射、可視光の青領域における467nmの波長(λI/3)での第3次反射、及び紫外光領域における350nmの波長(λI/4)での第4次反射は全て抑えられた。
【0065】
(製造例3:平板状の銀粒子分散液B1の作製)
−平板状の銀粒子の合成−
−−平板核粒子の合成工程−−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
−−平板状の銀粒子の第1成長工程−−
次に、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mLにイオン交換水87.1mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、種溶液を42.4mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mLを10mL/minで攪拌しながら添加した。
−−平板状の銀粒子の第2成長工程−−
次に、上記溶液を30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。これを300分間攪拌し、平板状の銀粒子分散液a1を得た。
【0066】
得られた平板状の銀粒子分散液a1中には、平均円相当径310nmの銀の六角形状であって平板状の銀粒子(以下、Ag六角平板粒子と称する)が生成していることを確認した。また、原子間力顕微鏡(NanocuteII、セイコーインスツル社製)で、Ag六角平板粒子の厚みを測定したところ、平均13nmであり、アスペクト比が23.8のAg六角平板粒子が生成していることが分かった。
【0067】
平板状の銀粒子分散液a1 16mLに1NのNaOHを0.75mL添加し、イオン交換水24mL添加し、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)で5,000rpm、5分間遠心分離を行い、Ag六角平板粒子を沈殿させた。遠心分離後の上澄み液を捨て、水を5mL添加し、沈殿したAg六角平板粒子を再分散させ、製造例3の平板状の銀粒子分散液B1を得た。
【0068】
次に、得られた平板状の銀粒子について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1及び2に示す。
<<金属粒子の評価>>
−平板状の金属粒子の割合、平均粒子径(平均円相当径)、変動係数−
平板状の銀粒子の形状均一性は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、六角形状及び円形状のいずれかの粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)を求めた。
また同様にAに該当する粒子100個の粒子径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均粒子径(平均円相当径)とし、粒径分布の標準偏差を平均粒子径(平均円相当径)で割った変動係数(%)を求めた。
【0069】
−平均粒子厚み−
得られた平板状の金属粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、平板状の金属粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲:5μm、走査速度:180秒間/1フレーム、データ点数:256×256とした。
【0070】
−アスペクト比−
得られた平板状の金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)及び平均粒子厚みから、平均粒子径(平均円相当径)を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
【0071】
−平板状の銀粒子分散液の透過スペクトル−
得られた平板状の銀粒子分散液の透過スペクトルは、水で希釈し、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて評価した。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
[塗布液1の調製]
下記に示す組成の塗布液1を調製した。
塗布液1の組成:
ポリエステルラテックス水分散液:ファインテックスES−650
(DIC社製、固形分濃度30質量%) 28.2質量部
界面活性剤A:ラピゾールA−90
(日本油脂(株)製、固形分濃度1質量%) 12.5質量部
界面活性剤B:アロナクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分濃度1質量%) 15.5質量部
平板状の銀粒子分散液B1 200質量部
水 800質量部
【0075】
(実施例1)
[赤外線反射層1]の一方の面上に、塗布液1を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが0.08μmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、金属粒子含有層を形成し、実施例1の熱線遮蔽材を作製した。
なお、平均厚みは、塗布膜の一部を粘着テープで剥がし、ベースと塗布膜との段差部分を触針粗さ計(DEKTAK)にて測定することにより知ることができる。
【0076】
(実施例1−1:粘着層を有する熱線遮蔽材の作製)
得られた熱線遮蔽材の表面を洗浄した後、粘着層を貼り合わせた。粘着剤として、パナック株式会社製PD−S1を用い、粘着剤の一方の剥離シートを剥がした面を、熱線遮蔽材の金属粒子含有層表面と重ねて圧着することにより、貼り合わせた。
以上により、実施例1−1の粘着層を有する熱線遮蔽材を作製した。
【0077】
(実施例1−2:熱線遮蔽材の貼合せ構造体の作製)
得られた粘着層を有する熱線遮蔽材の剥離シートを剥がし、透明ガラス(厚み:3mm)と貼り合わせ、実施例1−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体を作製した。
なお、透明ガラスは、イソプロピルアルコールで汚れを拭き取って放置したものを使用し、貼り合わせ時、ゴムローラーを用いて25℃、湿度65%の条件下で、0.5kg/cmの面圧で圧着した。
【0078】
(実施例1−3:合わせガラスの作製)
実施例1の熱線遮蔽材を、ポリビニルブチラールフィルム(厚み0.38mm、S−LECT B、積水化学社製)にて両面から挟み、更にその積層物の両面から2mm厚のガラス板で挟み込む(各々面方向サイズは50mm角とした)。その状態において60℃加熱された金属ロールを有するロールラミネーターに通して仮圧着した。仮圧着したサンプルをオートクレーブに入れ、130℃、13気圧、1時間の条件にてオートクレーブすることにより本圧着して、実施例1−3の合わせガラスを得た。
【0079】
次に、得られた熱線遮蔽材について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表3に示す。
【0080】
<<熱線遮蔽材の評価>>
−粒子傾き角−
エポキシ樹脂で熱線遮蔽材を包埋処理した後、液体窒素で凍結した状態で剃刀で割断し、熱線遮蔽材の垂直方向断面試料を作製した。この垂直方向断面試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、金属粒子含有層に含まれる100個の平板状の金属粒子について、基板の水平面に対する傾角(図2Bにおいて±θに相当)を平均値として算出した。
【0081】
−反射スペクトル及び透過スペクトル測定−
作製した熱線遮蔽材の反射スペクトル及び透過スペクトルを、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて測定した。反射スペクトル測定には、絶対反射率測定ユニット(ARV−474、日本分光株式会社製)を用い、入射光は45°偏光板を通し、無偏光とみなせる入射光とした。
【0082】
−可視光線透過率−
作製した熱線遮蔽材について、380nm〜780nmまで測定した各波長の透過率を、各波長の分光視感度により補正した値を可視光線透過率とした。
【0083】
−遮熱性能評価−
作製した熱線遮蔽材について、350nm〜2,100nmまで測定した各波長の透過率から、JIS5759記載の方法に基づき、遮蔽係数を求め、判定を行った。遮熱性能の評価としては、遮蔽係数(0〜1)が小さいことが好ましい。
【0084】
(実施例2)
実施例1において、[赤外線反射層1]に代えて、[赤外線反射層2]を用い、[赤外線反射層2]の一方の面上に、塗布液1を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱線遮蔽材、実施例2−1の粘着層を有する熱線遮蔽材、実施例2−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体、及び実施例2−3の合わせガラスを作製した。
【0085】
(比較例1)
実施例1において、塗布液1を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の熱線遮蔽材、比較例1−1の粘着層を有する熱線遮蔽材、比較例1−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体、及び比較例1−3の合わせガラスを作製した。
【0086】
(比較例2)
実施例1において、塗布液1に代えて、ITOハードコート塗布液(三菱マテリアル株式会社製EI−1)を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の熱線遮蔽材、比較例2−1の粘着層を有する熱線遮蔽材、比較例2−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体、及び比較例2−3の合わせガラスを作製した。
なお、ITO粒子は、1,400nm〜2,200nmの透過率10%以下、かつ可視透過率90%を確保している。
【0087】
(比較例3)
実施例2において、塗布液1を塗布しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例3の熱線遮蔽材、比較例3−1の粘着層を有する熱線遮蔽材、比較例3−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体、及び比較例3−3の合わせガラスを作製した。
【0088】
(比較例4)
実施例1において、[赤外線反射層1]に代えて、厚み100μmの透明なPETフィルムを用い、該PETフィルムの一方の面上に、塗布液1を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の熱線遮蔽材、比較例4−1の粘着層を有する熱線遮蔽材、比較例4−2の熱線遮蔽材の貼合せ構造体、及び比較例4−3の合わせガラスを作製した。
【0089】
実施例2及び比較例1〜4の熱線遮蔽材について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示す。また、比較例4(金属粒子含有層のみ)のスペクトルを図3に示し、比較例1([赤外線反射層1]のみ)の反射スペクトルを図4に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
表3の結果から、本発明の熱線遮蔽材は、広帯域にわたって赤外線の反射率を向上できると共に、可視光領域における高い光透過性を両立可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の熱線遮蔽材は、広帯域にわたって赤外線の反射率を向上できると共に、可視光領域における高い光透過性を両立可能であるので、例えば、自動車、バス等の乗り物用フィルム、貼合せ構造体、合わせガラス等、建材用フィルム、貼合せ構造体、合わせガラス等として、熱線の透過を防止することの求められる種々の部材として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 赤外線反射層
2 金属粒子含有層
3 平板状の金属粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の金属粒子を含む金属粒子含有層と、
互いに屈折率が異なる少なくとも2種の透明薄層が5層〜200層交互積層された赤外線反射層と、を有する熱線遮蔽材であって、
前記金属粒子は、六角形状乃至円形状であって平板状の金属粒子を含み、
前記金属粒子含有層に含まれる金属粒子の全粒子数に対する、前記平板状の金属粒子の比率が60個数%以上である、ことを特徴とする熱線遮蔽材。
【請求項2】
前記透明薄層は、ポリマーを含む層である、請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項3】
前記赤外線反射層は、前記透明薄層を、交互積層押出し、交互塗布、及び交互薄層ラミネートの少なくともいずれかを実行することにより得られる、請求項1又は2に記載の熱線遮蔽材。
【請求項4】
前記赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長と、前記金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長との差が、100nm以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項5】
前記赤外線反射層の反射スペクトルの最大波長が700nm〜1,500nmであり、前記金属粒子含有層の反射スペクトルの最大波長が900nm〜2,000nmであり、かつ遮蔽係数が0.7以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項6】
前記平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、前記金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が50個数%以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項7】
前記平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、前記金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が80個数%以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項8】
前記平板状の金属粒子の全粒子数に対し、主平面が、前記金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記平板状の金属粒子の比率が90個数%以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項9】
前記平板状の金属粒子の粒度分布の変動係数が、30%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項10】
前記平板状の金属粒子の平均粒子径が70nm〜500nmであり、
前記平板状の金属粒子のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が10〜45である、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項11】
前記平板状の金属粒子が、銀を含む請求項1から10のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項12】
前記熱線遮蔽材の可視光線透過率が、70%以上である、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項13】
粘着層を更に有する請求項1から12のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材と、ガラス又はプラスチックのいずれかと、を貼り合わせてなる、ことを特徴とする貼合せ構造体。
【請求項15】
少なくとも請求項1から12のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材と、前記熱線遮蔽材を挟持する少なくとも2層の中間層と、前記中間層を挟持する少なくとも2枚のガラスとを含む、ことを特徴とする合わせガラス。
【請求項16】
前記中間層が、ポリビニルブチラール及びエチレンビニル共重合体の少なくともいずれかを含む、請求項15に記載の合わせガラス。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図1A】
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【図1B】
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【図3】
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【図4】
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