説明

熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法及びフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置

【課題】熱転写プリンタの駆動回転軸にインクリボンや転写フィルムの巻回されたコアをセットする際にコアの嵌合凹部とコア嵌合凸部とを駆動回転軸に対してコアの着脱を繰り返し行うことなく短時間にて円滑に噛み合わせ、コアのセット労力を省力化する。
【解決手段】熱転写プリンタ内に着脱可能に装着するウエブロール状のフィルムを巻回するコア嵌合凹部11a、12a を備える 巻回コア11、12と、該巻回コアの筒状の両端部を回転可能に支持する1乃至2以上複数の回転軸31と、該回転軸の両端部に対向する一対の盤状の鍔部32と、その一対の鍔部のうち他端部の鍔部を一端部の鍔部方向に弾力的に付勢する鍔付勢部Eと、コアの一端部又は両端部側の鍔部の鍔面から突出するコア嵌合凸部33とを備え、駆動回転軸31を空転させて、凸部33と凹部11a、12a とを回転位相位置を整合させ着脱可能に嵌合(係合)装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタに対して、巻き出しコアに巻回されているウエブ状の転写リボンや転写フィルムを装填し易くするための熱転写プリンタの感材巻取り方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱転写プリンタに関する印字技術としては、特許文献1に記載するように、プラテンとサーマルヘッドとの間にインクリボン(記録リボン)を導入し、プラテンとインクリボンとの間に被転写物を導入して、サーマルヘッドによりインクリボンを介して被転写物に対して点(ドット)状に加熱走査することにより、インクリボンの加熱された点状の着色層を被転写物面に印字層として転写する熱転写印字方法がある。
【0003】
また特許文献2に記載するように、プラテンとサーマルヘッドとの間に中間転写フィルムとインクリボン(記録リボン)を導入して、サーマルヘッドによりインクリボンを介して中間転写フィルムに対して点(ドット)状に加熱走査して、インクリボンの加熱された点状の着色層を中間転写フィルム面に中間印字層として転写した後、該中間転写フィルムの転写された中間印字層を被転写物面に印字層として転写する熱転写印字方法がある。
【0004】
図7は、一般的な熱転写プリンタの概要側面図であり、プラテンローラ4に近接配置されたサーマルヘッド3を備えた一次転写部Aを設け、該プラテンローラ4とサーマルヘッド3との間に、少なくとも両端が筒状の巻き出しコア11に巻回されているウエブロール状の転写用インクリボン1をサーマルヘッド3側に、筒状の巻き出しコア12に巻回されている転写フィルム2をプラテンローラ4側にして、該インクリボン1と転写フィルム2とを重ね合わせて巻き出し、1次転写部Aに供給する。
【0005】
巻き出しコア11、12から重ね合わせて巻き出し供給されるインクリボン1と転写フィルム2とを、1次転写部Aに導入しながら、サーマルヘッド3にてドット状の熱画像を出力走査し、サーマルヘッド3と対向するインクリボン1の裏面の着色層1aを、ドット状に転写フィルム2に熱転写して転写画像を形成する。
【0006】
続いて、転写画像が形成された前記転写フィルム2と、被転写シート供給部Cから供給される所定のフィルムや用紙等の被転写シート5とを重ね合わせて、2次転写部Bに導入し、その2次転写部Bの熱転写ロール6と圧ロール6aとの間に導入し、該転写フィルム2の転写画像を、被転写シート5(フィルム、用紙等)に画像として転写することによりプリントするものである。プリントされた被転写シート5は、2次転写部Bから排出部Dにて排出され、画像のプリントを終了したインクリボン1と転写フィルム2は、それぞれ筒状の巻き取りコア21、22に(アウトフィードロールを介して)巻き取られる。
【0007】
上記熱転写プリンタは、図8(a)の正面図に示すように、ウエブロール状のインクリボン1と転写フィルム2とを巻回する筒状の巻き出しコア11、12(及び巻き取りコア21、22)の筒状の両端部を回転可能に支持するスラスト方向に対向する一対(又はスラスト方向に1本)の駆動回転軸31と、該回転軸31の両端部に対向する一対の盤状の鍔部32と、その一対の盤状の鍔部32のうち他端部の鍔部32を一端部の鍔部32方向(矢印方向)に弾力的に付勢する付勢部と、コアの一端部(又は両端部)側の鍔部32の鍔面から突出しているコア嵌合凸部33とを備えている。
【0008】
前記巻き出しコア11、12(及び巻き取りコア21、22)の筒状の一端部には、コア嵌合凸部33に嵌合(係合)して、コアの空転を防止するための嵌合凹部11a、12a(及び嵌合凹部21a、22a)を備えている。
【0009】
上記熱転写プリンタにコアを装着(セット)する際には、図8(a)に示すように、インクリボン1と転写フィルム2のそれぞれ巻き出しコア11、12(及び巻き取りコア21、22)のそれぞれ両端部の筒状内に、熱転写プリンタの(対向する一対の)駆動回転軸31を嵌装してコアを支持した後に、コアの他端部を、駆動回転軸31の付勢部付きの鍔部32にて一端部の鍔部32の方向に押圧すると共に、コアの嵌合凹部11a、12a(及び嵌合凹部21a、22a)を、前記駆動回転軸31のコア嵌合凸部33に回転位相位置を整合させ、図8(b)に示すように、コアの嵌合凹部とコア嵌合凸部を嵌合(係合)して装着し、コアを駆動回転軸31に対して空転しないようにして回転させるものである。
【0010】
しかしながら、熱転写プリンタの駆動回転軸31にコアをセットする際に、図8(b)に示すように、コアの嵌合凹部とコア嵌合凸部とを確実に噛み合わせる必要があり、図8(c)に示すように、コアの嵌合凹部と回転軸のコア嵌合凸部とが噛み合っていない状態で、回転軸31を駆動回転させると、コアが回転軸31に対して正常な位置にセットされないので、その結果、コアは正常な回転が行われず、巻回されているフィルムの斜行、フィルムの巻きズレ、フィルムのエッジの損傷、熱転写プリンタ装置本体への影響などの不具合が発生する可能性がある。
【0011】
そこで、熱転写プリンタの駆動回転軸にコアをセットする際に、確実にコアを駆動回転軸にセットできるように、駆動回転軸に対するコアの着脱を何回か繰り返して、その凹凸が噛み合うように、気を使って慎重にセットしなければならない。そのために時間と労力を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−238928号公報
【特許文献2】特開2002−113915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、熱転写プリンタの駆動回転軸にインクリボンや転写フィルムの巻回されたコアをセットする際に、コアの嵌合凹部とコア嵌合凸部とを、駆動回転軸に対してコアの着脱を繰り返し行うことなく、短時間にて円滑に噛み合わせることができるようにして、コアのセットに要する時間と労力を省力化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、熱転写プリンタ内に着脱可能に装着するウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアと、該巻回コアの筒状の両端部を回転可能に支持する1乃至2以上複数の駆動回転軸と、該駆動回転軸の両端部に対向する一対の盤状の鍔部と、その一対の鍔部のうち他端部の鍔部を一端部の鍔部方向に弾力的に付勢する鍔付勢部と、コアの一端部又は両端部側の鍔部の鍔面から突出するコア嵌合凸部とを備え、前記コアの筒状の一端部には、前記駆動回転軸のコア嵌合凸部に嵌合(係合)してコアの空転を防止するコア嵌合凹部を備え、前記コアのそれぞれ両端部の筒状内に駆動回転軸を嵌装してコアを支持し、コアの他端部が駆動回転軸の付勢部付きの鍔部にて一端部の鍔部の方向に押圧
された時点で駆動回転軸を回転させ、コア嵌合凸部とコア嵌合凹部をその回転位相位置を整合させて着脱可能に嵌合(係合)装着し、巻き出し巻き取ることを特徴とする熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法において、前記ウエブロール状のフィルムが、インクリボンと転写フィルムのいずれか、又はインクリボン及び転写フィルムである熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に係る熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法において、前記ウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアが、巻出しコアと巻取りコアのいずれか1方又は両方である熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法である。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明は、熱転写プリンタ内に着脱可能に装着するインクリボンや転写フィルム等のウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアと、該巻回コアの筒状の両端部を回転可能に支持する駆動回転軸と、該駆動回転軸の両端部に対向する一対の盤状の鍔部と、その一対の鍔部のうち他端部の鍔部を一端部の鍔部方向に弾力的に付勢するコア付勢部と、コアの一端部又は両端部側の鍔部の鍔面から突出するコア嵌合凸部とを備え、前記コアの筒状の一端部には、前記駆動回転軸のコア嵌合凸部に嵌合(係合)してコアの空転を防止するコア嵌合凹部を備え、前記コア嵌合凸部とコア嵌合凹部を、その回転位相位置を整合させて着脱可能に嵌合(係合)装着することを特徴とする熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置である。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項4に係る熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置において、前記ウエブロール状のフィルムが、インクリボンと転写フィルムのいずれか、又はインクリボン及び転写フィルムである熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置である。
【0019】
本発明の請求項6に係る発明は、上記請求項5に係る熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置において、前記ウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアが、巻出しコアと巻取りコアのいずれか1方又は両方である請求項4又は5に係る熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法方法、及び熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置によれば、駆動回転軸の一対の対向する鍔部(の一方又は両方)に設けたコア嵌合凸部は、対向する鍔部の方向にバネにより付勢されているので、回転位相位置を整合させた巻回コアの両端部の端面(一端面又は両端面)に形成されたコア嵌合凹部内に、バネの付勢力により押し込まれて、凹凸嵌合し易くなり、巻回コアを熱転写プリンタの駆動回転軸にセットし易くなる。
【0021】
また、巻回コアの嵌合凹部と駆動回転軸の嵌合凸部の回転位相位置が、互いに整合していない状態、あるいは互いに嵌合前に干渉する位置にある状態において、駆動回転軸に巻回コアを支持したとしても、駆動回転軸の嵌合凸部はバネ力により巻回コアの端面を押し戻そうとする付勢力が働いているので、巻回コア又は駆動回転軸のいずれか一方を、僅かに回転させ、互いに整合する位相位置(正規位置)まで移動させることにより、凹凸嵌合が可能になる。
【0022】
また、巻回コアの嵌合凹部と駆動回転軸の嵌合凸部の回転位相位置が、互いに整合して
いない状態、あるいは互いに嵌合前に干渉する位置にある状態において、駆動回転軸を回転させると、駆動回転軸はその嵌合凸部がバネ力により巻回コアの端面を押しながら、巻回コアに対して空回りを始めて、自動的に駆動回転軸の嵌合凸部は、巻回コアの嵌合凹部に整合した状態になり、その時に嵌合凸部は嵌合凹部内に陥入して、凹凸が互いに噛み合って嵌合状態になり、駆動回転軸の動力が巻回コアに伝達されるものであり、凹凸嵌合し易くなり、巻回コアを熱転写プリンタの駆動回転軸にセットし易くなる。
【0023】
このように、熱転写プリンタにおけるインクリボンや転写フィルム等のフィルムの巻出し巻取り巻回コアの装着において、装着操作に気を使う煩わしさが軽減され、慣れない操作でもセットが容易にでき、巻回コアの嵌合凹部を駆動回転軸の嵌合凸部にしっかり整合させる操作を要することなく、凹凸噛み合わせによる装着が可能になり、巻回コアの装着ミスによる熱転写プリンタにおけるウエブロール状のフィルムの巻き出し、巻き取り送行フィード中のトラブルの発生や、プリントの損失を防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置、及びその巻回コア装着装置に巻回コアを装着した状態を説明する巻回コア装着装置の全体正面図。
【図2】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着前の巻回コア装着装置の全体正面図。
【図3】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着後の巻回コア装着装置の全体正面図。
【図4】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着装置の右側部分の正面図。
【図5】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着装置の右側部分の正面図。
【図6】本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着装置の右側部分の正面図。
【図7】従来の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法及び巻回コア装着装置を説明する熱転写プリンタの側面図。
【図8】(a)〜(c)は従来の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コアの装着方法を説明する巻回コア装着の右側部分の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置は、本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置、及びその巻回コア装着装置に巻回コアを装着した状態を説明する巻回コア装着装置の全体正面図に示すように、熱転写プリンタ(図7参照)内に着脱可能に装着するインクリボンや、転写フィルム等のウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コア11、12(21、22)と、該巻回コア(巻き出しコア11、12、及び巻き取りコア21、22)の筒状の両端部を回転可能に支持する一対のスラスト方向(軸方向)に対向する駆動回転軸31、31とを備えている。なお一対の対向する回転軸31、31のうち、少なくとも、いずれか一方は回転駆動源(電動モータ−等)にて駆動回転する駆動回転軸31であり、他方は自由回転軸31であってもよい。
対向する両回転軸31、31は、熱転写プリンタの巻回コア装着装置本体の左右本体フレームF、Fに回転可能に軸受支持されている。
【0026】
前記駆動回転軸31には、図1に示すように、対向する一対の各々回転軸31、31には対向する一対の盤状の鍔部32、32を備え、その一対の盤状の鍔部32のうち、一端部の鍔部32は固定鍔部であり、他端部の鍔部32は、回転軸31に沿ってスラスト方向に移動可能な可動鍔部32であり、前記他端部の可動鍔部32には、対向する一端部の固定鍔部32の方向(図1中の直線矢印方向)に弾力的に付勢する所定ストローク量を備えたコア付勢部E(プランジャー機構)を備え、前記一端部又は他端部の鍔部32あるいは両端部の鍔部32には該鍔部32の鍔面から突出するコア嵌合凸部33を備えている。
【0027】
前記固定鍔部32と可動鍔部32の両方、又はそのいずれか一方に設けられたコア嵌合凸部33は、図1に示すように、対向する各々鍔部32(及び必要に応じてストローク長を得るために設けた補助板32−1)内から対向する鍔部32方向に孔設したハウジング32−4内に嵌挿して、そのコア嵌合凸部33の先端部を鍔部32面より常に突出するように、コア嵌合凸部33の末端部に設けたハウジング32−4内を摺動する摺動子33−1(ハウジング内径より大径のストッパ)を弾性体(伸長バネ)33−2にて付勢されている。
【0028】
前記コア付勢部Eは、図1に示すように駆動回転軸31の左端部に一体的に取付け固定されていて、ハウジング31−1と該ハウジング31−1の内部に設けられた空間ガイド部31−2とを備えている。
【0029】
図1に示すように、前記コア付勢部E側の可動鍔部32には、回転軸31に沿ってスラスト方向に摺動移動可能に嵌挿された筒体32−2が一体的に取付け固定されていて、筒体32−2の外周には、回転軸31の方向に直線状のスプライン溝部32−5(又はスプライン凸部)が設けられ、該スプライン溝部32−5(又はスプライン凸部)と嵌合するハウジング31−1の壁部31−3に回転軸31方向に設けられたスプライン凸部(又は溝部)に嵌合している。
【0030】
回転軸31に沿って移動する前記筒体32−2の端部には、摺動子32−3(可動鍔部ストッパ)が取り付けられ、該摺動子32−3は、ハウジング31−1の筒体挿入口から空間ガイド部31−2内に装入される。
【0031】
ハウジング31−1と可動鍔部32との間には、対向するもう一方の鍔部32の方向に可動鍔部32を付勢する弾性体31−4(バネ)が取付けられて、プランジャー機構を構成している。
【0032】
該筒体32−2の端部に設けた摺動子32−3はハウジング31−1の空間ガイド部31−2に案内されて、可動鍔部32は筒体32−2と一体に回転軸31に沿ってスラスト方向に所定ストローク量の直線的な摺動移動が可能になっている。
【0033】
なお、図1に示すように、対向する一対の前記各々駆動回転軸31は、その鍔部32、32の対向内側においては、その軸径は対向内側方向に同一径であってもよいし、徐々に細径となるテーパー状回転軸31aとなっていてもよい。また、対向する一対の前記駆動回転軸31のうち、いずれか一方が、動力にて駆動回転し、他方は自由回転としてもよいし、両方が動力にて駆動回転してもよい。またコア付勢部Eの前記可動鍔部32と対向する固定鍔部32はコア付勢部Eのストローク量以内の軸長を備える。
【0034】
図1に示すように、前記巻回コア11、12(21、22)の一端部側と両端部側のい
ずれか、又は一端部側及び両端部側の鍔部32には、その鍔面32aから突出、没入可能な、空転を防止するためのコア嵌合凸部33(プランジャー機構)を備える。嵌合凸部33は、その端部に設けた摺動子33−1が、鍔部32の内部に設けた空間ガイド部32−4内に弾性体33−2(バネ)を介して装入され、嵌合凸部33は、摺動子33−1が空間ガイド部32−4に案内されて、スラスト方向に直線的に摺動移動し、対向する一対の鍔部32の対向内面方向に弾性体33−2にて常に突出するように付勢されている。
【0035】
巻回コア11、12、(21、22)の筒状の一端部と両端部11a、12a、(21a、22a)のいずれか、又は一端部及び両端部11a、12aには、前記駆動回転軸31のコア嵌合凸部33を嵌合(または係合)して巻回コアの空転を防止するためのコア嵌合凹部11a、12a(21a、22a)を備えている。
【0036】
巻回コア11、12、(21、22)を、駆動回転軸31に装着支持するには、図1に示すように、右端部の固定鍔部32の方向(右矢印方向)に向かって弾力的に伸長バネ31−4にて付勢する左端部の可動鍔部32を、伸長バネ31−4に抗して左矢印方向(コア付勢部E方向)に、巻回コアの一端部の筒状部11b、12b、(21b、22b)にて押圧し、可動鍔部32と固定鍔部32との対向間の幅を拡げて、巻回コアのそれぞれ両端部11a、12a、(21a、22a)の筒状内に、スラスト方向に対向する一対の駆動回転軸31、31を嵌装した後、鍔部32にある嵌合凸部33を、筒状部11b、12b、(21b、22b)にあるコア嵌合凹部11a、12a(21a、22a)に嵌合して装着支持する。
【0037】
図2は、本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コアを装着前の状態を示す巻回コア装着装置の全体正面図であり、右端部の固定鍔部32の方向(右矢印方向)に伸長バネ31−4にて付勢されている左端部の可動鍔部32は、可動鍔部32と一体的な可動鍔部ストッパ32−3がハウジング31−2内の右内壁面に当接することにより右端部で停止している状態を示す。
【0038】
図3は、本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コアを装着後の状態を示す巻回コア装着装置の全体正面図であり、右端部の固定鍔部32の方向(右矢印方向)に伸長バネ31−4にて付勢されて停止状態野の左端部の可動鍔部32を、巻回コアの一端部の筒状部11b、12b、(21b、22b)にて伸長バネ31−4に抗して左矢印方向(コア付勢部E方向)に押圧し、可動鍔部32と固定鍔部32との対向間の幅を拡げ、巻回コアのそれぞれ両端部11a、12a、(21a、22a)の筒状内にスラスト方向に対向する一対の駆動回転軸31、31を嵌装し、鍔部32にある嵌合凸部33を、巻回コア11、12、21、22の筒状部11b、12b、(21b、22b)にあるコア嵌合凹部11a、12a(21a、22a)に嵌合して装着支持する。
【0039】
図4は、本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明する巻回コア装着装置の右端部にある自由回転する固定鍔部32の他の例の拡大正面図であり、巻回コア装着装置の本体フレームFに自由回転可能に軸受支持された自由回転軸31と、該回転軸31に取付け固定された固定鍔部32及び補助板32−1と、固定鍔部32の孔設部32−4内に嵌挿するコア嵌合凸部33と、該嵌合凸部33先端部を対向する可動鍔部32方向に付勢する伸長弾性体31−4と、該弾性体31−4を取り付けた補助板32−1とから構成されている。固定鍔部32を軸支固定する対向する可動鍔部32側の固定鍔部32面より突出する回転軸31の円筒面はテーパー状面31aであってもよい。
【0040】
次に本発明の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法を説明すれば、巻回コアを装着前における図2に示す熱転写プリンタの巻回コア装着装置において、固定鍔部32の方向(右矢印方向)に付勢して突出している左端側の可動鍔部32の回転軸31を、巻回コ
ア11又は12又は21又は22の一端部の筒状部11b、12b、(21b、22b)内に嵌挿しながら、該可動鍔部32を巻回コアの当該一端部にて左矢印方向(コア付勢部Eの方向)に押圧し、図3に示すように一対の可動鍔部32と固定鍔部32との対向間の幅を拡げ、巻回コア11又は12又は21又は22のそれぞれ筒状両端部11a、12a(21a、22a)の筒状内にスラスト方向に対向する一対の駆動回転軸31、31を嵌挿する。
【0041】
図5(a)は、図2における熱転写プリンタの巻回コア装着装置の固定鍔部32側の巻回コア端部を嵌挿する前の状態を示し、図5(b)は、図2において熱転写プリンタの巻回コア装着装置の対向する一対の固定鍔部32と可動鍔部32との間の対向する一対の駆動回転軸31、31を、巻回コア11、12、(21、22)の筒状両端部11a、12a(21a、22a)の筒状内に嵌挿した後における固定鍔部32側の駆動回転軸31を巻回コアの筒状端部に嵌挿した状態を示す。
【0042】
なお、巻回コア11又は12又は21又は22のそれぞれ筒状両端部11a、12a(21a、22a)の筒状内に、駆動回転軸31、31を嵌装した時点では、図5(b)に示すように、対向する一方の可動鍔部32に備える嵌合凸部33、又は、図5(b)に示すように他方の固定鍔部32に備える嵌合凸部33、又は両方に備える嵌合凸部33は、本発明においては、巻回コアの端部に形成されている嵌合凹部11a(12a、21a、22a)内に必ずしも嵌入されていなくてもよい。
【0043】
続いて、対向する一対の駆動回転軸31、31を巻回コアの筒状両端部の筒状内に嵌挿した後は、図6(a)に示すように、嵌合凸部33が巻回コア端部の嵌合凹部11a(12a、21a、22a)内に嵌入していない状態で、巻回コア装着装置の回転軸31、31の駆動スイッチを入れて駆動動作を開始(寸動、瞬動)させることにより、駆動回転する回転軸31及び回転鍔部32及び嵌合凸部33は、巻回コアに対してスリップして空転して、その空転中に自動的に嵌合凸部33と巻回コア端部の嵌合凹部11a(12a、21a、22a)との回転位相位置が変動して、やがて嵌合凸部33と巻回コア端部の嵌合凹部11a(12a、21a、22a)との回転位相位置が整合一致し、嵌合凸部33は巻回コア端部の前記嵌合凹部内に嵌入し係合して装着が完了する。これにより巻回コアは空転が解消されて、駆動回転軸31の回転速度に追従して回転する。
【符号の説明】
【0044】
A…1次転写部
B…2次転写部
C…被転写シート供給部
D…排出部
E…コア付勢部
F…巻回コア装着装置本体フレーム
1…インクリボン
1a…着色層
2…転写フィルム
3…サーマルヘッド
4…プラテンローラ
5…被転写シート
6…熱転写ロール
6a…圧ロール
11、12…巻き出しコア
11a、12a…嵌合凹部
11b、12b…巻回コア端部筒状部
21、22…巻き取りコア
21a、22a…嵌合凹部
21b、22b…巻回コア端部筒状部
31…駆動回転軸
31a…テーパー状回転軸
31−1…ハウジング
31−2…空間ガイド部
31−4(伸長バネ)…弾性体
32…鍔部(固定鍔部、可動鍔部)
32−1…補助板
32−2…筒体
32−3…摺動子
32−4…ハウジング
32−5…ハウジング壁面
33…コア嵌合凸部
33−1…摺動子
33−2…弾性体(伸長バネ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写プリンタ内に着脱可能に装着するウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアと、該巻回コアの筒状の両端部を回転可能に支持する1乃至2以上複数の駆動回転軸と、該駆動回転軸の両端部に対向する一対の盤状の鍔部と、その一対の鍔部のうち他端部の鍔部を一端部の鍔部方向に弾力的に付勢する鍔付勢部と、コアの一端部又は両端部側の鍔部の鍔面から突出するコア嵌合凸部とを備え、前記コアの筒状の一端部には、前記駆動回転軸のコア嵌合凸部に嵌合(係合)してコアの空転を防止するコア嵌合凹部を備え、前記コアのそれぞれ両端部の筒状内に駆動回転軸を嵌装してコアを支持し、コアの他端部が駆動回転軸の付勢部付きの鍔部にて一端部の鍔部の方向に押圧された時点で駆動回転軸を回転させ、コア嵌合凸部とコア嵌合凹部をその回転位相位置を整合させて着脱可能に嵌合(係合)装着し、巻き出し巻き取ることを特徴とする熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法である。
【請求項2】
前記ウエブロール状のフィルムが、インクリボンと転写フィルムのいずれか、又はインクリボン及び転写フィルムである請求項1記載の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法。
【請求項3】
前記ウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアが、巻出しコアと巻取りコアのいずれか1方又は両方である請求項1又は2記載の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り方法。
【請求項4】
熱転写プリンタ内に着脱可能に装着するインクリボンや転写フィルム等のウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアと、該巻回コアの筒状の両端部を回転可能に支持する駆動回転軸と、該駆動回転軸の両端部に対向する一対の盤状の鍔部と、その一対の鍔部のうち他端部の鍔部を一端部の鍔部方向に弾力的に付勢するコア付勢部と、コアの一端部又は両端部側の鍔部の鍔面から突出するコア嵌合凸部とを備え、前記コアの筒状の一端部には、前記駆動回転軸のコア嵌合凸部に嵌合(係合)してコアの空転を防止するコア嵌合凹部を備え、前記コア嵌合凸部とコア嵌合凹部を、その回転位相位置を整合させて着脱可能に嵌合(係合)装着することを特徴とする熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置。
【請求項5】
前記ウエブロール状のフィルムが、インクリボンと転写フィルムのいずれか、又はインクリボン及び転写フィルムである請求項4記載の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置。
【請求項6】
前記ウエブロール状のフィルムを巻回する巻回コアが、巻出しコアと巻取りコアのいずれか1方又は両方である請求項4又は5記載の熱転写プリンタのフィルム巻出し巻取り巻回コア装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10623(P2013−10623A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145625(P2011−145625)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】