説明

熱転写記録装置及びその記録制御方法

【課題】 複数の画像を隣接して記録すると、画像の重なり合う部分で一番目の画像で転写されたOP層が再加熱されて溶融し、次に画像を記録するために接触しているY色のインクシートと貼り付いてしまう。
【解決手段】 記録媒体に記録された第1の画像に隣接して第2の画像を記録する際、第1の画像の熱溶融性の保護層604の転写終端を第1の画像の終端に達しない位置とし、第2の画像の熱溶融性の保護層608の転写開始位置を、第1の画像の熱溶融性の保護層604の転写終端と同じか、或は少なくとも、その転写終端と重なる位置となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話等で撮像された画像データを印刷可能なプリンタ装置が数多く製品化されている。このプリンタ装置で採用されている印刷方式の一例として熱転写方式が挙げられる。この熱転写方式を用いたプリンタ装置(以下、熱転写プリンタと呼ぶ)では、サーマルヘッドの主走査方向に配列された複数個の発熱体を画像データに応じて選択的に発熱駆動する。そして、この熱によりインクシートの染料部分のインクを溶融して、表面に染料の受容層を有する用紙に転写することにより一主走査分の画像の印刷を行っている。そして、この一主走査分の画像の印刷に同期して用紙を副走査方向に搬送することにより、その用紙に複数の走査ラインからなる画像を印刷している。
【0003】
この熱転写プリンタのうち、昇華型の熱転写プリンタは、インクシートのインクを固体から気体に昇華させて用紙に付着させて印刷している。このような熱転写プリンタは、サーマルヘッドに加える熱量と駆動回数とを制御して1画素の濃度を変化させることができるため滑らかで階調性豊かな画像を表現することができる。このため写真の印刷に多く使用されている。
【0004】
図7(A)(B)は、一般的な熱転写プリンタ用のインクシートを説明する図で、図7(A)はカラー用のインクシート、図7(B)はモノクロ用のインクシートを示している。
【0005】
図7(A)に示すインクシートでは、その基材上の長手方向に画像を形成するイエロー(Y)701、マゼンタ(M)702、シアン(C)703の各色の昇華性染料部分が順に面順次で配置されている。そして最後に、用紙に転写された画像形成層を保護するためのオーバーコート(OP)部分(熱溶融性の樹脂製材料クリア部分)704が設けられている。また各色のインクシートの間及びシアン(C)703とオーバーコート部分704との間には、インクシートの頭出し位置検出用のマーカ705が配置されている。但し、モノクロ画像の印刷専用等の特色系インクシートの構成はこの限りではない。図7(B)では、黒の昇華性染料部分710とオーバーコート(OP)部分711とがそれぞれ面順次で交互に繰り返し配列されている。また黒のインクシート部分710とオーバーコート部分711との間には、インクシートの頭出し位置検出用のマーカ712が配置されている。
【0006】
図8は、このインクシートによりY,M,Cのインク(昇華性染料)が転写された用紙の断面を示す図である。
【0007】
図において、801は用紙の染料受容層、802は転写されたイエロー(Y)色の昇華性染料、803はマゼンタ(M)色の昇華性染料、804はシアン(C)色の昇華性染料、そして805は、オーバーコート(OP)層を示している。
【0008】
図9は、このインクシートを用いた画像の印刷例を説明する図である。
【0009】
このようなインクシートを使用して一つの画像を形成する場合、Y色、M色、C色3色の染料部分及びオーバーコート部分を一組として用紙へ画像の熱転写処理がなされる。従って、このインクシートを収容するインクシートカートリッジには、印刷可能な枚数分だけY/M/C色、OP部分からなるシートの組が繰り返し配置されている。通常、Y/M/Cの各色及びOP部分のシートの長さは、印刷対象の用紙の長手方向のサイズを印刷できる長さに設定されている。
【特許文献1】特開2006−315215号公報
【特許文献2】特開2004−082610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば用紙としてロール紙を用いる熱転写プリンタでは、サーマルヘッドの発熱体の配列方向である主走査方向に対する画像の副走査方向の長さは、用紙をカットする位置により任意に設定できる。従って、図9に示すような、Y/M/C色/OP部分を2面分を使用したパノラマ(ワイド)サイズの画像910も印刷することができる。図9において、パノラマ画像910の左画面(第1面)911は、一番目の面のインクシートのY色701、M色702、C色703、OP部分704のインク或は樹脂を用紙に転写して形成される。同様に、パノラマ画像910の右画面(第2面)912は、二番目の面のインクシートのY色701、M色702、C色703、OP部分704のインク或は樹脂を用紙に転写して形成される。更に、このパノラマ画像910の第2面912に隣接する形で第3面、第4面の画像を続けて形成することにより、副走査方向の画像の長さを任意の長さに決定することができる。
【0011】
図10は、通常の画像の1面分を印刷した場合の画像の終端位置における用紙断面の概念図である。
【0012】
図において、1001はインク受容層を有する昇華型熱転写用の用紙である。OP層1005は保護層の役割を果たすため、Y/M/C色(1002〜1004)の染料層に比べ、数ドット分の差分長1006で転写される。しかし、上述のパノラマサイズの画像のように各面の画像を隣接して転写する場合、インクシートの一面分Y/M/C色、OP部分を使用して、通常の画像の1面印刷を実行すると、各面の画像が重なる箇所でインクシートの貼り付きが生じる。これは前述のように、1006で示すOP層の差分長部分にY色のインクシート部分が圧接されてY色のインクが転写されるためである。即ち、画像の重なり合う部分で、第2面のY色が転写される際に、第1面で転写された熱溶融性の樹脂製材料であるOP層の差分長1006の部分がサーマルヘッドにより再加熱されて溶融し、接触しているY色のインクシートと貼り付いてしまうためである。
【0013】
特許文献1には、昇華型熱転写用の用紙がセットされていないときに熱転写印刷を行うとその用紙とインクシートとが貼り付くという問題を解決することが記載されている。また特許文献2には、通常のインクリボンを使用して、パノラマ画像のような所定サイズ以上の画像を印刷する技術が記載されている。しかしいずれの文献にも、上述した本願発明の課題及び、その課題を解決するための記載がない。
【0014】
本発明は上述した課題を解決するために成されたものである。
【0015】
本発明の特徴は、インクシートのインク部分と保護部材の一組ので形成される画像を複数隣接して記録する場合、それら画像が隣接する箇所でインクシートの張付きを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る熱転写記録装置は以下のような構成を備える。即ち、
複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置であって、
前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な画像を記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する際、
前記記録手段により記録される前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置とし、前記記録手段により記録される前記第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る熱転写記録装置は以下のような構成を備える。即ち、
昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置であって、
前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な画像を記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する際、
前記記録手段により記録される前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置とし、前記記録手段により記録される前記第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は、少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る熱転写記録装置の記録制御方法は以下のような工程を備える。即ち、
複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置において、記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する記録制御方法であって、
前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置として、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第1の画像を記録媒体に記録する工程と、
前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第2の画像を記録媒体に記録し、当該第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する工程とを有することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る熱転写記録装置の記録制御方法は以下のような工程を備える。即ち、
昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置において、記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する記録制御方法であって、
前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置として、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第1の画像を記録媒体に記録する工程と、
前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第2の画像を記録媒体に記録し、当該第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インクシートのインク部分と保護部材の一組で形成される画像を複数隣接して記録する場合、それら画像が隣接する箇所でインクシートの張付きを防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【0023】
メモリカード112はカードスロット113に挿入されており、このメモリカードに複数の画像の画像データが記憶されている。尚、このプリンタは、メモリカード112以外にも、入出力I/F105のUSBコネクタ端子を介してデジタルカメラ(不図示)と接続し、そのデジタルカメラから直接画像データを受信して印刷することができる。またUSBコネクタ端子を介してPC(不図示)と接続し、そのPCから画像データを受信して印刷することもできる。また、この入出力I/F105は、赤外線などでデータを送受信できる機能を備えていても良い。
【0024】
主制御部100はこのプリンタ全体の動作を制御しており、CPU101,RAM102、内部記憶部103、フラッシュROM104を有している。CPU101は、フラッシュROM104に記憶された制御プログラムに従ってプリンタの制御及び各種プログラムに従った演算処理を行う。これには画像データの加工処理を施し、印刷に必要な画像データを生成してRAM102に保存する等の処理も実行する。RAM102は、画像データの一時保存、画像のリサイズ処理といった各種制御用プログラムのワーク領域としても使用される。またフラッシュROM104は、システム制御用プログラムや調整値といった各種パラメータを保存している。内部記憶部103は、HDD(ハードディスク)やフラッシュメモリ等で構成され、複数の画像のデータやその他のファイルの保存に使用される。入出力I/F105は、このプリンタとデジタルカメラやPC等の外部装置とを接続するもので、例えばUSBやBluetooth等のインタフェースを提供する。入出力制御部106は、そのインタフェースの制御を司る。
【0025】
操作部107は、図3を参照して後述するように、液晶画面111や各種操作ボタン等を有している。ユーザは、その液晶画面111に表示されるGUI画面で処理内容を確認しながら操作部107を操作して各種指示を入力する。液晶画面111への表示処理は、LCDドライバ110によって制御される。
【0026】
メモリカード112は、カードスロット113に装着され、このメモリカード112からの画像データの読み出し及び主制御部100への画像データの転送は、メモリカードコントローラ114により制御される。
【0027】
プリンタエンジン115は、用紙上に画像データを印刷する。このプリンタエンジン115は図2を参照して詳しく説明するが、サーマルヘッド及び用紙搬送用のモータ等の駆動機構、給排紙を行う給排紙機構等を有している。また、このプリンタエンジン115は、インクシートを内包したカートリッジ108と、その装着されたカートリッジ108の種別を認識するカートリッジ検出部109を具備している。尚、この図1には示していないが、このプリンタには、動作に必要な電力を供給するための電源回路及び各種IC、電気素子を実装した回路基板等が備えられている。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る熱転写プリンタのプリンタエンジン115の構成を説明する概略図である。
【0029】
ロール状に巻回されたロール用紙201から給紙ローラ202の回転によって用紙(記録媒体)212が引き出され、ステッピングモータにより、その回転が制御されるグリップローラ203まで、その用紙212の先端が送られる。このグリップローラ203の対向側に用紙212を挟み込む形でピンチローラ213が配置されており、グリップローラ203から経路に沿って用紙212は、プラテンローラ204、排紙ローラ207へと搬送される。プラテンローラ204の対向側にはサーマルヘッド209が配置され、このサーマルヘッド209と用紙212の間をインクシート205が通過する。このインクシート205は、インクシート供給側のロールボビン210から供給され、サーマルヘッド209と用紙212との間を通ってモータの回転駆動により巻取り制御されるインクシート巻取り側のロールボビン208へ巻き取られる。ここでインクシート205の搬送を円滑にするために、インクシートガイドローラ206が配置されている。尚、このサーマルヘッド209は、少なくとも用紙212の幅(主走査方向)に相当する分、複数の発熱体を配列したライン型のサーマルヘッドで、用紙212は、このサーマルヘッド209に直交する副走査方向に搬送されて画像が転写(記録)される。
【0030】
このインクシート205は、図7を参照して説明したように、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色の昇華性染料のインク部分と、転写された画像の保護層を形成する熱溶融性の樹脂製材料クリア(OP部分、保護部材)とを含んでいる。そして、これら面順次に配列されたインク部分と保護部材とからなる各組が周期的に配置されている。また、各インク部分及びインク部分と保護部材との間には、インクシートの頭出し検知用のマーカ705が配置されている。
【0031】
こうして搬送された用紙に画像を転写する際には、プラテンローラ204の圧着動作により、用紙212がサーマルヘッド209に押し付けられ、インクシート205がサーマルヘッド209の発熱体と用紙212に接する状態となる。この状態で、CPU101によってサーマルヘッド209の発熱体が画像データに応じて発熱駆動される。この発熱体の発熱駆動により、昇華したインクシートの昇華性染料がプラテンローラ204により圧接されている用紙212の受容層へ転写されて定着することにより画像が形成される。
【0032】
またCPU101の制御により、モータ(不図示)の駆動力がギア(不図示)を経由してグリップローラ203へと伝わる。そしてグリップローラ203とピンチローラ213で用紙212を挟み込んだ状態で、一主走査の画像を形成する度にグリップローラ203が回転駆動されて用紙212が搬送される。また一主走査分の画像が転写されるとCPU101によって回転が制御されるモータ(不図示)により、インクシート巻取りロールボビン208でインクシート205が巻き取られる。そして、次の主走査の印刷のためにサーマルヘッド209と接触する部分に未昇華部分のインクシートが供給される。
【0033】
こうしてY/M/C色の各色の転写が終了した後、熱溶融性の樹脂製材料クリア(OP部分)704がサーマルヘッド209の発熱体の熱で溶融されて、転写済みの用紙のカラー画像の表面をコーティングする保護層を形成する。こうして1枚のカラー画像の印刷が終了すると、カッタ211により、そのロール紙が所望のサイズに切断され、排紙ローラ207の回転により印刷済みの用紙212がプリンタ外部へ排紙される。215はインクシート205のマーカ705を検出するセンサである。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの操作部107の外観を示す図である。
【0035】
この操作部107には、プリンタの電源のオン/オフを行う電源ボタン301、印刷の実行/中止を指示する印刷/中止ボタン306、GUI(Graphical User Interface)画面の表示を行う液晶画面111が配置されている。
【0036】
電源ボタン301の押下により電源が投入された後、メモリカード112に保存された画像データが読み出されて、その画像が液晶画面111に表示される。その状態で十字キー/SETボタン305を使用して、ユーザは、印刷したい画像の選択及び印刷設定を行う。即ち、メニューボタン303の押下により印刷枚数や用紙設定画面へ遷移する。また編集ボタン310で画像データのトリミング編集画面へ遷移したり、ズームボタン308或はパンボタン307を押下して画像のトリミングサイズを決定することもできる。また表示ボタン309で、指定した画像データのファイル名やサイズといった情報表示することもできる。更に、おたのしみボタン302を押下することにより、カレンダの作成、マルチレイアウト作成(複数の画像データを並べてレイアウトする)、パノラマ画像の作成といった編集機能の選択画面へ遷移できる。こうして印刷する画像の選択と各種印刷設定が終了した後、印刷/中止ボタン306を押下することで、この熱転写プリンタによる印刷処理が開始される。
【0037】
以下、本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタによる印刷動作(記録制御処理)を説明する。
【0038】
図4及び図5は、本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタによる印刷処理の手順を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムはフラッシュROM104に記憶されており、CPU101の制御の下に実行される。このフローチャートで示す処理は、前述の図9に示すように、2面分のインクシートを使用して1面分の画像の2倍の長さをもつパノラマ(ワイド)画像を印刷する場合の処理を示している。
【0039】
また図6は、パノラマ画像を印刷する場合の一番目の画像(第1の画像)と二番目の画像(第2の画像)とのつなぎ目部分の断面を示す概略図である。以下、これら図4〜図6を参照して説明する。尚、これら第1と第2の画像のそれぞれは、1組の複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材とで記録可能なサイズの画像である。
【0040】
先ずステップS1で、CPU101が給紙ローラ202を用紙212を挟んだ状態で回転駆動することにより、ロール用紙201から用紙212を引き出して、グリップローラ203及びピンチローラ213へ搬送する。そしてステップS2以降の用紙212の搬送は、ステッピングモータ(不図示)により駆動制御されるグリップローラ203の回転により行われる。このステッピングモータは、CPU101から送出されるパルス信号のステップ数だけ回転駆動され、用紙212の先端を検出した後は、オープンループで用紙212の搬送位置制御を行う。本実施の形態に係る熱転写プリンタでは、モータを駆動するパルス信号の3ステップで、0.0845mmの用紙212の送りを実現している。
【0041】
次にステップS3で、グリップローラ203の回転により搬送された用紙212の先端を用紙検出センサ214により検出する。そしてステップS4で、この用紙212に印刷するパノラマ画像の一番目の画像を転写を開始する用紙212上の位置がサーマルヘッド209の位置に来るように、予め定められたステップ数だけ用紙212を搬送する。次にステップS5に進み、インクシート巻取側ロールボビン208を巻取ってY色のシート部分の頭出しを行う。ここでは頭出し用マーカ検出センサ215により、Y色のシート部分のマーカ705(Y色のマーカのみ2重線として識別可能にしている)を検出するまでインクシートを巻き取る。こうしてY色のインクシートの頭出しが完了すると、用紙の搬送及びインクシートの頭出し中は待避していていたプラテンローラ204を、用紙212とインクシート205を挟み込む形でサーマルヘッド209に圧着する。
【0042】
次にステップS6に進み、CPU101は、メモリカード112の画像データを読出して処理することにより印刷データを生成してRAM102に記憶する。こうしてRAM102に記憶された印刷データを読み出してサーマルヘッド209のドライバ回路(不図示)へ転送し、ヘッド制御信号によりサーマルヘッド209の発熱体を発熱駆動する。これにより印刷データに応じてインクシート205が熱されることにより、接している用紙212へと染料が昇華・定着し、1ライン分の画像が印刷(転写)される。このサーマルヘッド209の通電により一主走査分の画像が転写されると次にグリップローラ203の回転により一主走査分、用紙212を搬送する。このような処理を一画像分繰り返すことにより、ステップS6で、画像のY色の画像を形成する。即ち、このステップS6の処理で、用紙212の染料受容層609に、パノラマ画像の一番目の面の画像のイエロー(Y)色の昇華性染料層601が形成されることになる(図6参照)。尚、このステップS6では、例えば用紙212のサイズがL判サイズとすると、モータの4400ステップ分、グリップローラ203を回転させて、用紙212が図2の矢印A方向に搬送されることになる。
【0043】
こうしてY色の画像の印刷が終了するとステップS7に進み、プラテンローラ204を待避位置に移動して、用紙212とインクシート205を自由に移動可能にする。そしてグリップローラ203を印刷時とは逆方向に4400ステップ分回転駆動して用紙212の一番目の画像の転写開始位置がサーマルヘッド209の発熱体の位置にくるように用紙212を矢印Aとは逆方向に戻す。そしてステップS8に進み、ステップS5と同様にして、インクシート巻取り側ロールボビン208を巻取りながら、M色のインクシートのマーカ705を検出してシートM色部分の頭出しを行う。そしてステップS9に進み、Y色で印刷した画像部分に重なるように、ステップS6と同様にして、M色のインクシート部分でM色の画像の印刷を実施する。そしてこの印刷処理の終了後ステップS10で、ステップS7と同様にして、プラテンローラ204を待避位置に移動して、一番目の画像の転写開始位置がサーマルヘッド209の発熱体の位置に来るように用紙212を戻す。こうしてパノラマ画像の一番目の画像のマゼンタ(M)色の昇華性染料層602(図6)が形成される。
【0044】
そして次のC色の印刷処理ステップS11〜S13では、M色の印刷処理のステップS8〜S10と同様にして画像形成を行い、用紙212の染料受容層609(図6)に一番目の画像のシアン(C)の色画像を形成する。こうしてステップS13が終了した時点で、用紙212のY,M,Cのインクが転写された一番目の画像の転写開始位置がサーマルヘッド209の発熱体の位置にまで戻された状態となる。
【0045】
次にステップS14に進み、インクシートのOP部分704の頭出しを行う。そしてステップS15で、サーマルヘッド209の発熱体を発熱駆動することにより、樹脂製材料クリア(OP部分)704をYMC3色のインクが転写された画像の表面に透明な保護層を形成する。但し、このOP部分704の転写は、画像の転写開始位置から4220ステップ分用紙送りを行った位置で終了する。従って、4400ステップ分の画像の長さに対して、180ステップ分のOP層が転写(形成)されない部分が発生することになる。このように一番目の画像に対するOP層を形成する場合には、用紙212を搬送する搬送長を、一番目の画像を記録する際の搬送長よりも所定長短くしている(ここでは180ステップ相当短くしている)。
【0046】
こうして図6に示すように、パノラマ画像の一番目の画像のオーバーコート(OP)層604が形成される。ここでは、上述した昇華性染料層との180ステップ分の差分により、パノラマ画像の一番目の画像の昇華性染料層601〜603の転写終端とオーバーコート(OP)層604の終端との差分長610(約5mm)が生じる。以上説明したステップS1〜ステップS15の処理により、パノラマ(ワイド)画像の一番目の画像が形成される。
【0047】
次に、この一番目の画像のOP層604の転写終了後、ステップS21に進み、プラテンローラ204を待避位置に移動して用紙212及びインクシート205を自由に移動可能にする。そしてグリップローラ203を順方向に60ステップ分回転駆動させて、用紙212を印刷方向(図1の矢印A方向)に搬送する。そして用紙212のパノラマ画像の二番目の画像の転写開始位置がサーマルヘッド209の発熱体の位置にくるようにする。本実施の形態では、パノラマ画像の一番目の画像と二番目の画像の昇華性染料層は接するように形成される。しかし、パノラマ画像の一番目の画像と二番目の画像の昇華性染料層が重なるように形成しても良い。但し、その場合、昇華性染料層のインクがOP層の上に転写されない領域で重ねることが条件である。
【0048】
そしてステップS22〜ステップS29では、前述のパノラマ画像の一番目の画像の昇華性染料層を形成するステップS5〜S12と同様にして、パノラマ画像の二番目の画像の昇華性染料層を形成する。この処理により、図6に示すように、パノラマ画像の二番目の画像のイエロー(Y)色の昇華性染料層605、マゼンタ(M)色の昇華性染料層606、シアン(C)色の昇華性染料層607が形成される。
【0049】
次にステップS30に進み、プラテンローラ204を待避位置に移動し、グリップローラ203を印刷時とは逆方向に4616ステップ分回転駆動する。これにより用紙212上に形成された一番目の画像のオーバーコート(OP)層604の終端位置がサーマルヘッド209の発熱体の位置に来るまで用紙212が戻される。尚、一番目の画像では、4400ステップ分の画像の長さに対して4220ステップ分しかオーバーコート(OP)層604が形成されていないため、ステップS30では、少なくとも4580ステップ分戻せばよい。しかしながら、用紙212の搬送精度などを考慮して、一番目の画像のOP層604と二番目の画像のOP層608とが少なくとも重なるように36ステップ分多く用紙212を戻している。このように第2の画像に対して熱溶融性の保護部材を転写する際は、少なくとも前述の所定長だけ第1の画像と重なる位置から第2の画像に対する保護部材の転写を開始し、第2の画像の終端まで保護部材を転写するようにしている。
【0050】
そしてステップS31に進み、インクシートのOP部分704の頭出しを行う。そしてステップS32で、サーマルヘッド209の発熱体を発熱駆動することにより、樹脂製材料クリア(OP部分)704をYMC3色のインクが転写された2番目の画像の表面に透明な保護層を形成する。ここでは、OP部分の転写処理を行いながら、一番目の画像のオーバーコート(OP)層604の終端位置から4652ステップ分用紙を送り、パノラマ画像の二番目の画像のオーバーコート(OP)層608を形成する。以上説明した処理で、パノラマ(ワイド)画像の二番目の画像が形成され、用紙212上にL判サイズ2面分の長さを持つパノラマ(ワイド)画像が印刷される。
【0051】
尚、本実施の形態では、パノラマ画像の一番目の画像と二番目の画像のOP層が、モータの駆動ステップ数で36ステップ分に相当する約1mmの重なりを持って転写されている。しかしパノラマ画像の一番目の画像と二番目の画像のOP層が接するように処理を行っても良い。
【0052】
こうしてパノラマ画像の印刷が終了するとステップS333に進み、プラテンローラ204を待避位置に移動させ、グリップローラ203を印刷時とは逆方向に回転駆動する。こうして用紙212の切断位置がカッタ211の位置にくるまで用紙212を戻し、カッタ211により用紙212の切断処理を行う。そしてステップS34に進み、ステップS33で切断した用紙を排紙ローラ207で挟み込み、モータの駆動力により排紙方向へと搬送して、印刷済みの用紙212をプリンタ外部へ排紙する。以上の処理により、パノラマ画像の印刷が終了する。
【0053】
尚、本実施の形態では、L判サイズ2面分のパノラマ画像の転写(印刷)処理を説明した。しかし本発明は、このように用紙サイズが限定されるものではなく、複数の画像が互いに接するように印刷する場合にも適応される。例えばL判サイズの画像の2面分に相当する2L判サイズの画像の転写(印刷)を行う場合などにも適応可能である。また上記以外にも、インクシートによって転写される画像が重なり合う部分、或はこれら画像が接する部分にも本実施の形態に係る処理は有効である。
【0054】
尚、本実施の形態では、L判サイズにおいて、一番目の画像の昇華性染料層とOP層との差分長を約5mmに設定しているが、この差分長は、用紙のサイズや、サーマルヘッドの温度(サーマルヘッドの蓄熱状態)に応じて適宜変更或は設定可能である。尚、この差分長は、CPU101により任意に設定できる。
【0055】
例えば、用紙サイズが大きい場合には差分長は大きくし、用紙サイズが小さい場合には差分長を小さくしてもよい。用紙サイズ比例して差分長を決定するようにすれば、縦横比が同一のOP層が形成されるので、用紙サイズ異なっても、画像中の同じ部分でOP層が切り替わるようになる。また、処理アルゴリズムも同一のものが使用可能となる。
【0056】
また、複数の画像を画像処理により結合して印刷する場合は、結合する際に画像を重ね合わせて画像処理を行う部分の幅に合わせて差分長を設定してもよい。
また、ヘッド温度(サーマルヘッドの蓄熱状態)が高い場合は、ニ番目の画像の染料層を印画する際に、一番目の画像のOP層へ熱が伝播してしまい、二番目の画像の染料層と一番目の画像のOP層が張り付いてしまう可能性がある。そのため、ヘッドの温度が高い場合やヘッドの温度が高くなる可能性が高い場合(重ね合わせ部分の画像の濃度が高い場合)は、熱の伝播を避けるため、差分長が長くなるように設定してもよい。
【0057】
例えば、ヘッド温度に応じて差分長を変更する場合は、ヘッド温度はサーマルヘッドの周辺に温度センサを設けることにより検出し、検出した温度に応じて差分長を決定する。また、二番目の画像の1ライン目又は最初の数ラインの各ドットにおいて、予め設定していた閾値よりも高い濃度のドットがある場合に、差分長を通常よりも長く設定する。或は、二番目の画像の一ライン目又は最初の数ラインの画像の濃度の平均を算出し、算出した平均濃度値が高かった場合は、差分長を通常よりも長く設定する。このようにして熱の伝播による張り付きを防止できる。また、上述のようにヘッド温度の判定や画像の濃度を判定し、逆にヘッドの温度が高くない場合やヘッドの温度が高くなる可能性が低い場合(重ね合わせ部分の画像の濃度が低い場合)は、熱の伝播の可能性は低いため、差分長を短くなるように設定してもよい。
【0058】
尚、上記説明では、カラー画像を記録する場合で説明したが本発明はこれに限定されるものでなく、モノクロ画像を記録する場合にも適用できることはもちろんである。この場合のインクシートは、昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材とが面順次に繰り返し配置されたインクシートである。
【0059】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0060】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0061】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0062】
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0063】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0064】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
【0065】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0066】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る熱転写プリンタのプリンタエンジンの構成を説明する概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタの操作部の外観図である。
【図4】、
【図5】本発明の実施の形態に係る熱転写プリンタによる印刷処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】本実施の形態において、パノラマ画像を印刷する場合の一番目の画像と二番目の画像とのつなぎ目部分の断面を示す概略図である。
【図7】一般的な熱転写プリンタ用のインクシートを説明する図である。
【図8】インクシートによりY,M,Cのインク(昇華性染料)が転写された用紙の断面を示す図である。
【図9】インクシートを用いた画像の印刷例を説明する図である。
【図10】通常の画像の1面分を印刷した場合の画像の終端位置における用紙断面の概念図である。
【符号の説明】
【0068】
100 主制御部
101 CPU
215 インクシート頭出し用マーカ検出センサ
601 パノラマ画像の一番目の画像のイエロー(Y)色の昇華性染料層
602 パノラマ画像の一番目の画像のマゼンタ(M)色の昇華性染料層
603 パノラマ画像の一番目の画像のシアン(C)色の昇華性染料層
604 パノラマ画像の一番目の画像のオーバーコート(OP)層
605 パノラマ画像の二番目の画像のイエロー(Y)色の昇華性染料層
606 パノラマ画像の二番目の画像のマゼンタ(M)色の昇華性染料層
607 パノラマ画像の二番目の画像のシアン(C)色の昇華性染料層
608 パノラマ画像の二番目の画像のオーバーコート(OP)層
609 用紙の染料受容層
610 パノラマ画像の一番目の画像の昇華染料層終端と、一番目の画像のオーバーコート(OP)層終端との差分長
705 インクシートの頭出し位置検出用のマーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置であって、
前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な画像を記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する際、
前記記録手段により記録される前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置とし、前記記録手段により記録される前記第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は、
前記複数色の昇華性染料のインク部分のそれぞれを前記記録媒体に重ねて転写することによりカラー画像を記録する転写手段と、
前記転写手段により記録された前記カラー画像の上に前記熱溶融性の保護部材を転写してコーティングする手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録装置。
【請求項3】
前記インクシートは、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が前記インクシートの長手方向にそれぞれ面順次に繰り返し配列されたインクシートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写記録装置。
【請求項4】
昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置であって、
前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な画像を記録媒体に記録する記録手段と、
前記記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する際、
前記記録手段により記録される前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置とし、前記記録手段により記録される前記第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は、少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項5】
前記記録手段は、
前記昇華性染料のインク部分を前記記録媒体に転写して画像を記録する転写手段と、
前記転写手段により記録された前記画像の上に前記熱溶融性の保護部材を転写してコーティングする手段とを有することを特徴とする請求項4に記載の熱転写記録装置。
【請求項6】
前記インクシートは、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材とがそれぞれ面順次に、前記インクシートの長手方向に繰り返し配列されたインクシートであることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱転写記録装置。
【請求項7】
前記記録手段は、複数の発熱体を主走査方向に配したサーマルヘッドを有し、前記記録媒体を前記複数の発熱体の配列方向に直交する副走査方向に搬送して記録することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱転写記録装置。
【請求項8】
前記記録媒体はロール状の用紙であり、前記第1の画像と前記第2の画像は前記副走査方向に隣接して前記記録媒体に記録されることを特徴とする請求項7に記載の熱転写記録装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1の画像に対して前記熱溶融性の保護部材を転写する際は、前記記録媒体の搬送長を前記第1の画像を記録する際の搬送長よりも所定長短くし、前記第2の画像に対して前記熱溶融性の保護部材を転写する際は、少なくとも前記所定長だけ前記第1の画像と重なる位置から前記第2の画像に対する前記保護部材の転写を開始して前記第2の画像の終端まで前記保護部材を転写することを特徴とする請求項7又は8に記載の熱転写記録装置。
【請求項10】
前記第1の画像の前記昇華性染料のインク部分の転写終端から前記第1の画像の前記保護部材の転写終端までの差分長は、前記記録媒体のサイズに応じて決定されることを特徴とする請求項4に記載の熱転写記録装置。
【請求項11】
前記第1の画像の前記昇華性染料のインク部分の転写終端から前記第1の画像の前記保護部材の転写終端までの差分長は、前記サーマルヘッドの温度に応じて変更することを特徴する請求項7に記載の熱転写記録装置。
【請求項12】
前記第1の画像の前記昇華性染料のインク部分の転写終端から前記第1の画像の前記保護部材の転写終端までの差分長は、前記第2の画像の1ライン目の濃度に応じて決定されることを特徴する請求項4に記載の熱転写記録装置。
【請求項13】
複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置において、記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する記録制御方法であって、
前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置として、前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第1の画像を記録媒体に記録する工程と、
前記複数色の昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第2の画像を記録媒体に記録し、当該第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する工程と、
を有することを特徴とする熱転写記録装置の記録制御方法。
【請求項14】
昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組が繰り返し配置されたインクシートを用いて記録媒体に画像を記録する熱転写記録装置において、記録媒体に記録された第1の画像に隣接して、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な第2の画像を記録する記録制御方法であって、
前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端を前記第1の画像の終端に達しない位置として、前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第1の画像を記録媒体に記録する工程と、
前記昇華性染料のインク部分と熱溶融性の保護部材との組で記録可能な前記第2の画像を記録媒体に記録し、当該第2の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写開始位置を、前記第1の画像の前記熱溶融性の保護部材の転写終端と同じか或は少なくとも当該転写終端と重なる位置となるように制御する工程と、
を有することを特徴とする熱転写記録装置の記録制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−160852(P2009−160852A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1644(P2008−1644)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】