説明

熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置

【課題】費用が嵩むことなく高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる巻取制御方法を提供することにある。
【解決手段】ホットストリップミルのコイラーにより熱間圧延鋼帯をマンドレルで巻き取ってコイルにする際の巻き終わり時に熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施するに際し、前記ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置とを比較して、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合に、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正し、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延鋼帯をコイラーで巻き取る際に用いられる巻取制御方法および巻取制御装置に関し、特にはコイラー上での熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止精度を改善した巻取制御方法および巻取制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホットストリップミル(連続熱間圧延機)のコイラー(巻取り機)では通常、図3(a)に示すように、ピンチロール8から送り出された熱間圧延鋼帯としての仕上げ圧延鋼帯7を、マンドレル9で巻き取ってコイル10にしており、その巻き終わり時に、仕上げ圧延鋼帯7の尾端の定位置停止制御を実施する。その制御内容は、コンピューターが、図3(b)に示すように、仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aがピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11を通過した時点を認識し、その時点から図示しないマンドレルモーターの回転数を制御して、図3(c)に示すように、マンドレル9からのコイル抜き出し時の決まった位置(通常はコイル10の下側の一定範囲内)に尾端7aが位置するまで、マンドレル9と一緒にコイル10をクレードルロール12上で回転させるというものである。
【0003】
このような尾端定位置停止制御がない場合、コイル10の外周上での仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの位置がコイル10毎に揃わないため、そのままコイル10をコイラーのマンドレル9から抜き出してコイルヤードまで搬送した場合にはその搬送中に尾端7aが他の設備やコイル10と接触し、最悪の場合、設備破損やコイル10へのダメージが発生する。このため、尾端定位置停止制御がないと、コイル10の巻き終わりから抜き出し開始にかけてコイラーのオペレーターによる手作業での介入が必要となり、作業負荷の増大に繋がる。
【0004】
しかしながら、上記従来の尾端定位置停止制御では、機内レーザーセンサー11は主に仕上げ圧延鋼帯7のラインセンター(幅方向中央)を狙っており、その一方で、仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aは、単純にその鋼帯の長手方向に直角に切れたものでなく、図4(a)に示すようにタング形状を呈していたり、図4(b)に示すようにフィッシュ形状を呈していたりするため、そして特にフィッシュ形状の場合は、長いもので1mを超えるものも多数あるため、コンピューターが認識するラインセンターCでの尾端7aの位置と実際の尾端7aの位置とに、尾端7aの形状によってずれが生ずるという問題があった。
【0005】
そこで従来、特許文献1に記載のように、コイラーのマンドレルの周囲に周方向に間隔を空けて配置されてコイルの外周面をコイル中心方向へ押圧する複数のラッパーロールの幾つかにそのラッパーロールの動きを検出するセンサを設け、そのセンサで検出したラッパーロールの動きからラッパーロールの下を鋼帯の尾端が通過したことを検出して、より高精度に尾端の定位置停止制御を行うことが試みられている。
【0006】
また、特許文献2に記載のように、ホットストリップミルの仕上げ圧延機とピンチロールとの間で、鋼帯の幅方向中央に対向する位置およびその左右の位置にそれぞれ熱塊検出器を配置し、それらの熱塊検出器で鋼帯の尾端が通過したことを検出して、より高精度に尾端の定位置停止制御を行うことも試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−179333号公報
【特許文献2】特開平11−254034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら前述した方法は何れも、新たな設備の設置が必要で、費用が嵩んでしまうというという問題があった。
【0009】
ところで、ホットストリップミルの粗圧延機の出側には通常、粗圧延鋼帯の先端および尾端の形状をラインセンサー等で計測するクロップ形状計が設けられており、ホットストリップミルでは、仕上げ圧延機内での鋼帯端部の噛み込み不良やコイルでの鋼帯端部の品質不良を防止するために、このクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の先端および尾端の2次元形状に基づき仕上げ圧延機の入側のクロップ剪断機でクロップカットを実施している。
【0010】
それゆえ本発明は、上記クロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の先端および尾端の2次元形状を参照することにより、費用が嵩むことなく高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる巻取制御方法および巻取制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成する本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法は、ホットストリップミル(連続熱間圧延機)のコイラーにより熱間圧延鋼帯をマンドレルで巻き取ってコイルにする際の巻き終わり時に熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施するに際し、前記ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置とを比較して、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合に、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正し、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施することを特徴とするものである。
【0012】
また、前記目的を達成する本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御装置は、ホットストリップミル(連続熱間圧延機)のコイラーにより熱間圧延鋼帯をマンドレルで巻き取ってコイルにする際の巻き終わり時に熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施する巻取制御装置において、前記ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置とを比較して、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合に、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正する尾端位置補正手段と、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施する停止制御手段と、を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合には、仕上げ圧延後の鋼帯の尾端は、図4(a)に示すようなタング形状でなく、図4(b)に示すようなフィッシュ形状を呈しており、しかもそのフィッシュ形状が、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りでない場合と比較してかなり長くなる処、本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置によれば、粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合には、ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正し、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施するので、新たな設備の設置費用が嵩むことなく、既設のクロップ形状計の出力データを利用して高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる。
【0014】
なお、本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置においては、前記補正後の尾端位置は、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置から、前記粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置との間の距離に(粗圧延鋼帯厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯厚さ)を乗じで求めた距離だけ後方に補正した位置とすると好ましい。
【0015】
粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置との間の距離は、仕上げ圧延により概ね厚さの減少割合に反比例して(粗圧延鋼帯厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯厚さ)だけ延びるので、その仕上げ圧延で延びた長さ分後方に補正した尾端位置に基づき熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を行うことで、高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御装置の一実施例を具えるホットストリップミルの粗圧延機からコイラーまでの概要を例示した略線図である。
【図2】(a),(b),(c)は、上記実施例の熱間圧延鋼帯の巻取制御装置が実施する本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法の一実施例における、粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状の相違に基づく尾端停止位置制御の相違を示す説明図である。
【図3】通常のホットストリップミルのピンチロールからコイラーまでの概要を例示した略線図である。
【図4】(a),(b)は、仕上げ圧延鋼帯の尾端の2次元形状の相違を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御装置の一実施例を具えるホットストリップミルの粗圧延機からコイラーまでの概要を例示した略線図である。
【0018】
ここにおけるホットストリップミルは、粗圧延機1で粗圧延した数十mmの厚さの粗圧延鋼帯2を図中矢印で示すように図では右方へ送って仕上げ圧延機3で数mmの厚さまで仕上げ圧延し、その仕上げ圧延の際に、仕上げ圧延機3内での鋼帯端部の噛み込み不良やコイルでの鋼帯端部の品質不良を防止するために、仕上げ圧延機3の入側のクロップ剪断機4でクロップカットを実施する。
【0019】
このクロップカットでは、通常のコンピューターを有するクロップカットコントローラー6が、粗圧延機1の出側においてラインセンサー等を用いた通常のクロップ形状計5が計測して出力する粗圧延鋼帯2の先端2aおよび尾端2bの2次元形状に基づいて、例えば粗圧延鋼帯2の先端2aまたは尾端2bの末端から粗圧延鋼帯2の本来幅とそれよりタング形やフィッシュ形に幅狭になっている部分の幅(クロップ幅)との比が所定値A1になる箇所までの長さLと、粗圧延鋼帯2の先端2aまたは尾端2bの末端から粗圧延鋼帯2の本来幅になる箇所までの長さLaから材質等に応じて定められた所定値A2を引いた長さ(La−A2)とを比較し、それらLと(La−A2)とのうち長い方の長さ分、粗圧延鋼帯2の先端2aまたは尾端2bの末端から内側の位置をクロップカット位置とすることで、クロップを適正に切断することができる(特開平07−009245号公報参照)。
【0020】
このホットストリップミルはさらに、仕上げ圧延機3を出た熱間圧延鋼帯としての仕上げ圧延鋼帯7を、図示しないホットランテーブルの複数本のテーブルローラにより図では右端のコイラーへ向けて搬送しながら、そのホットランテーブル上で冷却水を噴射して冷却し、次いでピンチロール8で厚み方向から挟み込んでテンション調整した後、コイラーのマンドレル9で巻き取ってコイル10にしており、その巻き終わり時に、仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの定位置停止制御を実施する。
【0021】
その制御内容は、マンドレル9を駆動するマンドレルモーター13の作動を制御する、停止制御手段としての、通常のコンピューターを有する尾端停止位置コントローラー14が、ピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11からの出力信号に基づき、図3(b)に示すように、仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの幅方向中央がその機内レーザーセンサー11を通過した時点を認識し、その時点からマンドレルモーター13の回転数を徐々に低下させるように制御して、図3(c)に示すように、マンドレル9からのコイル抜き出し時の決まった位置(通常はコイル10の下側の一定範囲内)に尾端7aが位置するまで、マンドレル9と一緒にコイル10をクレードルロール12上で回転させるというものである。
【0022】
この仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの定位置停止制御を実施するに際し、ここにおける尾端停止位置コントローラー14は、本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法の一実施例として、機内レーザーセンサー11で認識した尾端7aの位置を以下の如くして補正し、その補正後の尾端7aの位置を定位置停止制御に用いる。
【0023】
すなわちこの尾端停止位置コントローラー14は、クロップカットコントローラー6から、クロップ形状計5が出力する粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状のデータを入力し、その粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状における幅方向中央Cでの尾端位置CEとクロップカット位置CCとを比較して、図2(a)の左側に示すように、粗圧延鋼帯2の尾端2bがタング形状で、幅方向中央Cでの尾端位置CEがクロップカット位置CCよりも粗圧延鋼帯2の先端寄り(図では右寄り)でない場合や、図2(b)の左側に示すように、粗圧延鋼帯2の尾端2bが幅方向中央Cに関し非対称なフィッシュ形状で、幅方向中央Cでの尾端位置CEがクロップカット位置CCよりも粗圧延鋼帯2の先端寄り(図では右寄り)でない場合には、図2(a),(b)の右側に示す、ピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11が検出した仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの幅方向中央Cでの尾端位置LEを、そのまま定位置停止制御に用いる。
【0024】
一方、この尾端停止位置コントローラー14は、図2(c)の左側に示すように、粗圧延鋼帯2の尾端2bが幅方向中央Cに関し対称なフィッシュ形状で、幅方向中央Cでの尾端位置CEがクロップカット位置CCよりも粗圧延鋼帯2の先端寄り(図では右寄り)の場合には、図2(c)の右側に示す、ピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11が検出した仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの幅方向中央Cでの尾端位置LEを、長さL2分その位置よりも後方(図では左寄り)に補正する。従ってこの尾端停止位置コントローラー14は、補正手段としても機能する。
【0025】
ここで、上記L2は、図2(c)に示すように、粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状における幅方向中央Cでの尾端位置CEとクロップカット位置CCとの間の距離L1に(粗圧延鋼帯2の厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯7の厚さ)を乗じで求めた距離であって、距離L1はクロップ形状計5が出力する粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状のデータから求めることができ、(粗圧延鋼帯2の厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯7の厚さ)はこのホットストリップミルにあらかじめ設定された操業条件から求めることができる。
【0026】
かくしてこの実施例の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置によれば、粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状における幅方向中央Cでの尾端位置CEがクロップカット位置CCよりも粗圧延鋼帯2の先端寄りの場合には、ホットストリップミルのピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11が検出した幅方向中央Cでの尾端位置LEをその位置よりも後方に補正し、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの定位置停止制御を実施するので、新たな設備の設置費用が嵩むことなく、既設のクロップ形状計5の出力データを利用して高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる。
【0027】
しかも、粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状における幅方向中央Cでの尾端位置CEとクロップカット位置CCとの間の距離は、仕上げ圧延により概ね厚さの減少割合に反比例して(粗圧延鋼帯2の厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯7の厚さ)だけ延びる処、この実施例の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置によれば、補正後の尾端位置は、ピンチロール8の出側の機内レーザーセンサー11が検出した仕上げ圧延鋼帯7の幅方向中央Cでの尾端位置LEから、粗圧延鋼帯2の尾端2bの2次元形状における幅方向中央Cでの尾端位置CEとクロップカット位置CCとの間の距離に(粗圧延鋼帯2の厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯7の厚さ)を乗じで求めた距離だけ後方に補正した位置として、その補正した尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの定位置停止制御を行うので、高精度に仕上げ圧延鋼帯7の尾端7aの定位置停止制御を行うことができる。
【0028】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限られるものでなく、所要に応じて特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、尾端位置の補正は、上述の如き操業条件に応じた粗圧延鋼帯から仕上げ圧延鋼帯への厚さの変化に加えて、その操業条件に応じた粗圧延鋼帯から仕上げ圧延鋼帯への幅の変化も考慮して行って、より精度を高めてもよく、またさほど精度が要求されない場合は、操業条件に応じた(粗圧延鋼帯厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯厚さ)の代りに、あらかじめ適宜設定した所定値を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
かくして本発明の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法および巻取制御装置によれば、粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合には、ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正し、その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施するので、新たな設備の設置費用が嵩むことなく、既設のクロップ形状計の出力データを利用して高精度に尾端の定位置停止制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 粗圧延機
2 粗圧延鋼帯
2a 先端
2b 尾端
3 仕上げ圧延機
4 クロップ剪断機
5 クロップ形状計
6 クロップカットコントローラー
7 仕上げ圧延鋼帯
7a 尾端
8 ピンチロール
9 マンドレル
10 コイル
11 機内レーザーセンサー
12 クレードルロール
13 マンドレルモーター
14 尾端停止位置コントローラー
C 幅方向中央
CC クロップカット位置
CE,LE 尾端位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットストリップミルのコイラーにより熱間圧延鋼帯をマンドレルで巻き取ってコイルにする際の巻き終わり時に熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施するに際し、
前記ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置とを比較して、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合に、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正し、
その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施することを特徴とする熱間圧延鋼帯の巻取制御方法。
【請求項2】
前記補正後の尾端位置は、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置から、前記粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置との間の距離に(粗圧延鋼帯厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯厚さ)を乗じで求めた距離だけ後方に補正した位置とすることを特徴とする、請求項1記載の熱間圧延鋼帯の巻取制御方法。
【請求項3】
ホットストリップミルのコイラーにより熱間圧延鋼帯をマンドレルで巻き取ってコイルにする際の巻き終わり時に熱間圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施する巻取制御装置において、
前記ホットストリップミルのクロップ形状計が出力する粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置とを比較して、幅方向中央での尾端位置がクロップカット位置よりも粗圧延鋼帯の先端寄りの場合に、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置をその位置よりも後方に補正する尾端位置補正手段と、
その補正後の尾端位置に基づき仕上げ圧延鋼帯の尾端の定位置停止制御を実施する停止制御手段と、
を具えることを特徴とする熱間圧延鋼帯の巻取制御装置。
【請求項4】
前記補正後の尾端位置は、前記ホットストリップミルのピンチロール出側の機内レーザーセンサーが検出した幅方向中央での尾端位置から、前記粗圧延鋼帯の尾端の2次元形状における幅方向中央での尾端位置とクロップカット位置との間の距離に(粗圧延鋼帯厚さ)/(仕上げ圧延鋼帯厚さ)を乗じで求めた距離だけ後方に補正した位置とすることを特徴とする、請求項3記載の熱間圧延鋼帯の巻取制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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