説明

熱電変換モジュール

【課題】熱電変換モジュールの量産性を向上させる。
【解決手段】熱電変換モジュール1は、一対の基板11,12と、一方の端部が基板11配置される第1電極3と電気的に接続され、他方の端部が基板12に配置される第2電極4と電気的に接続される複数の熱電変換素子2と、熱電変換素子2に電気的に接続される第1電極3を、隣接する熱電変換素子2に電気的に接続される第2電極4に、電気的に接続する接続部5とを備える。接続部5は、第1電極3及び第2電極4の少なくとも何れか一方と別体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼーベック効果を用いて発電を行ったり、又は、ペルチェ効果を用いて冷却や加熱を行う熱電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の端部に第1電極を有し、他方の端部に第2電極を有する複数の熱電変換素子を、対向する一対の基板の間に配置した熱電変換モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のものでは、熱電変換素子の第1電極と、隣接する熱電変換素子の第2電極とを一体的に接続する接続部を有し、これにより、U字状のコネクタを構成している。このコネクタは金属板を折り曲げて形成されている。熱電変換モジュールを製造するときには、このU字状のコネクタを基板に予め複数固定させておく。そして、熱電変換素子は、このU字状のコネクタに横から押し込まれるようにして第1電極と第2電極との間に挿入され、コネクタと接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−176919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の熱電変換モジュールは、U字状のコネクタに熱電変換素子を押し込む必要があるため、組み立て難く量産性が低いという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、量産性を向上させた熱電変換モジュールとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、一対の基板と、一方の端部が前記基板の一方に配置される第1電極と電気的に接続され、他方の端部が前記基板の他方に配置される第2電極と電気的に接続される複数の熱電変換素子と、前記熱電変換素子に電気的に接続される前記第1電極を、隣接する前記熱電変換素子に電気的に接続される第2電極に、電気的に接続する接続部と、を備える熱電変換モジュールにおいて、前記接続部は、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも何れか一方と別体であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、接続部が別体であるため、第1電極と第2電極の何れか一方に熱電変換素子の一端を電気的に接続させた後、第1電極と第2電極の何れか他方を熱電変換素子の他端に電気的に接続させると共に、隣接する熱電変換素子に電気的に接続される電極に、接続部を介して接続することができる。また、従来の熱電変換モジュールのように熱電変換素子をU字状のコネクタに押し込む必要がないため、全ての部品を同一方向から設置して組み立てることができる。従って、本発明の熱電変換モジュールによれば、量産性の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明においては、第1電極及び前記第2電極を、熱電変換素子と電気的に接続される素子配置部と、当該素子配置部から基板に沿って突出する突片部とを備えるものとし、接続部を、棒状又は板状とすると共に、電極の突片部に設けられた接続穴に挿入して第1電極及び第2電極と電気的に接続し、基板に沿うと共に互いに直交する2つの軸線をX軸及びY軸として、熱電変換素子は、基板上にX軸方向に複数並べられた素子列を構成すると共に、この素子列はY軸方向に複数並べられ、各素子列の熱電変換素子は千鳥状に配置され、電気を取り出す端子が設けられた素子列の該端子が配置される側の基板には、L字状の第1電極又は第2電極が配置され、L字状の第1電極又は第2電極は、素子配置部のX軸方向側に接続穴が配置され、L字状の第1電極又は第2電極が配置された素子列に隣接する素子列の電極の接続穴は、素子配置部のY軸方向側に配置されるように構成することができる。
【0010】
これによれば、接続部が棒状又は板状であるため、比較的剛性が高くなり、第1電極及び第2電極の接続穴への挿入が容易となる。従って、熱電変換モジュールの量産性を更に向上させることができる。
【0011】
また、L字状の第1電極又は第2電極は、その素子配置部と突片部とがX軸方向に位置するように配置されると共に、突片部は、千鳥状に配置された熱電変換素子を避けるようにして、同一素子列内の隣接する電極の素子配置部のY軸方向側に配置される。また、この素子列に隣接する素子列における同一基板上の電極は、素子配置部と突片部とがY軸方向側に位置するように構成している。
【0012】
従って、この熱電変換モジュールにおいては、X軸方向に配置する熱電変換素子を増やすことができ、熱電変換モジュール全体として単位面積当たりの熱電変換素子の専有面積(素子密度)を向上させることができる。
【0013】
また、本発明においては、素子列はY軸方向に偶数列並べられ、両基板に配置される第1電極及び第2電極は、Y軸方向に対称となるように基板上に配置されることにより、対応する基板に同一に配置されることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、第1電極と第2電極との基板上の配置形状を同一とすることができ、第1電極を備える基板と、第2電極を備える基板とを同一に製造することができる。従って、本発明の熱電変換モジュールによれば、更に量産性を高めることができる。
【0015】
また、本発明においては、L字状の第1電極又は第2電極が配置された素子列に隣接する素子列の電極を、矩形状とすると共に、突片部の先端の両角部の少なくとも一方を切り欠くことが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、矩形状の電極の突片部の切り欠かれた部分によって、素子配置部と突片部とを明確に見分けることができ、基板に誤って逆に配置することを防止することができる。また、素子配置部の角部を切り欠くことも考えられるが、これでは素子配置部の熱電変換素子の接触面積が減少してしまう。上述の如く突片部の先端角部を切り欠くことにより、熱電変換素子の配置面積を減少させることなく、矩形状の電極を基板に誤って配置することを防止できる。
【0017】
また、本発明においては、基板に沿うと共に互いに直交する2つの軸線をX軸及びY軸として、熱電変換素子は、基板上にX軸方向に複数並べられた素子列を構成し、この素子列は、Y軸方向に複数並べられ、熱電変換素子は、隣接する素子列の間でX軸方向に位置をずらして配置され、第1電極又は前記第2電極の何れか一方は、熱電変換による電流の流れる電流経路において、隣接する素子列を接続する列間接続電極がL字状に形成され、列間接続電極は、熱電変換素子が電気的に接続される素子配置部と、素子配置部から基板に沿って突出し、接続部が設けられる突片部とを備え、突片部は、素子配置部よりも幅が狭く、突片部と隣接する素子列の熱電変換素子がずれることによって空いたスペースに配置されるように構成してもよい。
【0018】
これによれば、量産性を向上させると共に、基板上の単位面積当たりの熱電変換素子の専有面積(素子密度)を比較的大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の熱電変換モジュールの第1実施形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態の熱電変換モジュールを分解して示す斜視図。
【図3】第1実施形態の電極の配置を示す説明図。
【図4】本発明の熱電変換モジュールの第2実施形態を示す斜視図。
【図5】第2実施形態の電極の配置を示す説明図。
【図6】本発明の熱電変換モジュールの第3実施形態を示す斜視図。
【図7】第3実施形態の熱電変換モジュールの下方の基板に配置された電極を示す説明図。
【図8】第3実施形態の熱電変換モジュールの上方の基板に配置された電極を示す説明図。
【図9】本発明の熱電変換モジュールの第4実施形態を示す斜視図。
【図10】第4実施形態の電極の配置を示す説明図。
【図11】第5実施形態の熱電変換モジュールの電極の配置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態の熱電変換モジュールを説明する。図1に示す第1実施形態の熱電変換モジュール1は、酸化アルミニウムで成形された絶縁性を有する一対の基板11,12を備える。図1及び図2では、熱電変換モジュール1の内部を見易くすべく、上方に位置する基板12を透明として破線で示している。後述する図4、図6、図9についても同様である。
【0021】
各基板11,12の対向する側の面には、Ni板からなる第1電極3及び第2電極4が夫々複数設けられている。両電極3,4間には、MgSi製のn形の熱電変換素子2が配置されている。
【0022】
従来、熱電変換素子の材料としては、BiTe系、PbTe系、CoSb系のものが使用されているが、何れも人体への有害性(有害化が危惧されるものを含む)を有するものであり、また、高価である。これに対し、MgSiは、人体に無害であり環境負荷が小さく、また、資源が豊富であり安価である。また、MgSiは、比重が軽いため、非常に軽い熱電変換素子2を成形することができる。このため、近年、熱電変換素子の材料として、MgSiが注目されている。
【0023】
尚、基板11,12は、酸化アルミニウムに限らず、他の材料で成形してもよい。また、電極3,4は、Niに限らず、他の材料のものを用いてもよい。
【0024】
熱電変換素子2の一端は第1電極3に接合され、他端は第2電極4に接合される。接合方法としては、半田付、ろう付等のろう接、或いは銀ペースト等の導電性接着剤による接着、拡散接合を用いることができ、熱電変換モジュールの用途等に応じて適宜選択して接合する。
【0025】
ろう接により接合する場合には、ろう(半田)を熱電変換素子2の両端部に予めペーストしておいてもよい。熱電変換素子2の表面は細かい凹凸を有する面となっているが、ろう(半田)や銀ペースト等で表面の凹凸を覆うことにより平滑な面とすることができ、これにより、熱電変換素子2と電極3,4との接合状態が良好となり、優れた導電性を確保できる。
【0026】
第1電極3及び第2電極4は、熱電変換素子2を配置する素子配置部31,41と、素子配置部31,41から基板11,12に沿って突出する突片部32,42とを備える。
【0027】
突片部32,42には、円柱形棒状の接続部5が挿入される接続穴32a,42aが夫々設けられている。接続部5は、第1電極3に設けられた接続穴32aと、この熱電変換素子2に隣接する他の第2電極4に設けられた接続穴42aとに挿入されて、両電極3,4を電気的に接続する。なお、接続部5は、電極3,4と同様にNiを用いているが、これに限らず、他の金属を用いてもよい。
【0028】
接続穴32a,42aの挿入側の縁部は、テーパー状に形成されており、接続部5を接続穴32a,42aに挿入し易くしている。尚、接続部5は、円柱形棒状に限られるものではなく、四角柱などの多角柱棒状でもよく、また、板状に構成してもよい。また、接続穴32a,42aの挿入側の縁部のテーパーは設けなくてもよい。
【0029】
このように、剛性の強い棒や板状で接続部5を構成することにより、電極3,4の接続穴32a,42aに接続部5挿入し易くすることができる。また、接続部5と接続穴32a,42aとは、半田付、ろう付等のろう接で電気的に接続してもよく、また、接続部5の端部にローレット加工を施し、接続部5を接続穴32a,42aに圧入してもよい。
【0030】
ここで、基板11,12の表面に沿うと共に互いに直交する2つの軸線をX軸及びY軸とする。図3においては、横方向がX軸方向、縦方向がY軸方向となる。熱電変換素子2は、基板11,12上にX軸方向に複数並べられた素子列6を構成する。この素子列6は、Y軸方向に複数並べられる。各素子列6において、熱電変換素子2は千鳥状に配置される。電気を取り出す入出力用の端子7が設けられた素子列6の端子7が配置される側の基板11,12には、L字状の第1電極3又は第2電極4が配置される。このL字状の第1電極3又は第2電極4をL字電極8と定義する。
【0031】
L字状の電極3,4が配置された素子列6を第1素子列61とし、この第1素子列61に隣接する素子列6を第2素子列62とする。第2素子列62の電極3,4は、熱電変換素子2のY軸方向に接続穴32a,42aが配置される矩形状(長方形状)の電極3,4を備える。この矩形状(長方形状)の電極3,4を矩形電極9と定義する。
【0032】
端子7は、素子配置部7aから基板11,12の外に大きく突出した長方形状に形成されている。また、突片部32,42の先端の2つの角部には、斜めに切り欠かれた切欠部32b,42bが設けられている。この切欠部32b,42bによって、素子配置部31,41と突片部32,42とを明確に見分けることができ、基板11,12に誤って逆に配置することを防止することができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、突片部32,42の先端の2つの角部の両方に切欠部32b,42bを設けているが、本発明の切欠部はこれに限らない。例えば、切欠部は、各突片部32,42の先端の2つの角部のうち一方にのみ設けてもよい。また、本実施形態においては、切欠部32b,42bとして、直線状に斜めに切り欠いたものを図示しているが、切欠部は曲線上に切り欠いて形成してもよい。
【0034】
また、素子配置部31,41の角部を切り欠くことも考えられるが、これでは素子配置部31,41の熱電変換素子2の接触面積が減少してしまう。上述の如く突片部32,42の先端角部に切欠部32b,42bを設けることにより、熱電変換素子2の配置面積を減少させることなく、矩形電極9を基板11,12に誤って配置することを防止できる。
【0035】
第1素子列61のL字電極8の突片部32,42は、素子配置部31,41に対してX軸方向に突出している。第1素子列61のL字電極8の接続穴32a,42aは、同一素子列6内で隣接するL字電極8の素子配置部31,41のY軸方向側に位置するように突片部32,42に設けられている。隣接するL字電極8同士は、Y軸方向に反転させて交互に配置されている。
【0036】
第2素子列62の矩形電極9の突片部32,42は、素子配置部31,41に対してY軸方向に突出している。隣接する矩形電極9同士は、Y軸方向に反転させて交互に配置されている。
【0037】
素子列6は、第1素子列61と第2素子列62とを交互に、Y軸方向に偶数列、本実施形態では2列並べられる。第1電極3と第2電極4とは、対応する基板に同一に配置されている。
【0038】
また、両基板11,12には、隣接する素子列6間を直列に接続すべく、列間接続電極10とを備える。列間接続電極10は、矩形電極9と同様の形状に構成されたもので、矩形電極9よりもY軸方向に若干長く形成されている。また、列間接続電極10も、矩形電極9と同様に、素子配置部101と、素子配置部101から隣接する第1素子列61のL字電極8に向かって突出する突片部102と、突片部102に穿設された接続穴102aとを備える。接続穴102aは両素子列61,62の間の中央に位置するように設けられている。
【0039】
これにより、下方に位置する基板11に配置される第1電極3と、上方に位置する基板12に配置される第2電極4とを同一に構成し、一方を反転させて電極3,4同士が向かい合うように配置することで、両基板11,12及び両電極3,4を形成することができる。従って、第1実施形態の熱電変換モジュール1によれば、従来品に比べて量産性を向上させることができる。
【0040】
尚、第1実施形態の熱電変換素子2は、図2に四角柱状のものを示したが、これに限らず、他の形状、例えば、円柱状としてもよい。
【0041】
次に、第1実施形態の熱電変換モジュール1の作動について説明する。熱電変換モジュール1の基板12を熱源に取付け、基板11を冷却させると、熱電変換素子2の両端で温度差が生じ、ゼーベック効果により電流が流れて発電する。このとき、発電し続ける為には、熱電変換素子2の両端で所定の温度差が維持され続ける必要があるが、第1実施形態では、熱電変換素子2の材料として熱伝導率の小さいMgSiを用いているため、温度差を良好に維持することができる。
【0042】
第1実施形態の熱電変換モジュール1によれば、接続部5が電極3,4と別体であるため、基板11に固定した第1電極3に熱電変換素子2の一端を電気的に接続させた後、基板12に固定した第2電極4を熱電変換素子2の他端に電気的に接続させると共に、隣接する熱電変換素子2の間で第1電極3と第2電極4とが電気的に接続されるように、両電極3,4の接続穴32a,42aに接続部5を接続することができる。従って、従来の熱電変換モジュールのように熱電変換素子をU字状のコネクタに押し込む必要がなく、熱電変換モジュールの量産性が向上される。また、複数の熱電変換素子2及び接続部5を上下の基板11,12で同時に挟み込むようにして組み付けて接合してもよい。
【0043】
尚、第1実施形態においては、熱電変換素子2をMgSiで成形しているが、これに限られない。例えば、Sb−Te系およびBi−Se系を含めたBi−Te系、Sn−Te系およびGe−Te系を含めたPb−Te系、Ag−Sb−Te系、Ag−Sb−Ge−Te系、Si−Ge系、Fe−Si系、Mn−Si系、Zn−Sb系、カルコゲナイト、スクッテルダイト、フィルドスクッテルダイト、炭化ホウ素、層状コバルト酸化物等の任意の熱電変換材料を用いることができる。また、熱電変換素子2はn形に限らず、p形のものを用いてもよい。また、MgSiは、高純度である必要はなく、例えば、研削・研磨加工時に排出される廃シリコーンスラッジを利用して得られるものであってもよい。
【0044】
また、熱電変換素子2の両端部に、電極との接触抵抗を低減させるべく、接合層を設けてもよい。接合層は熱電変換素子と一体的に形成することもできる。また、接合層及び電極は、Ni、Al、Cu、W、Au、Ag、Co、Mo、Cr、Ti、Pd等、および、これらからなる合金等の任意の材料用いることができる。
【0045】
また、第1においては、ゼーベック効果を用いた発電用の熱電変換モジュール1を説明したが、本発明の熱電変換モジュールは、ペルチェ効果を用いて冷却又は加熱するものにも同様に用いることができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、図4及び図5を参照して、第2実施形態の熱電変換モジュール1を説明する。尚、図4では、熱電変換モジュール1の内部を見易くすべく、上方に位置する基板12を透明として破線で示している。
【0047】
第2実施形態の熱電変換モジュール1は、1つの素子列6のX軸方向に並ぶ熱電変換素子2を1つ減らした4つとすると共に、素子列6をY軸方向に4つ並べたものである。中央に位置する2つの素子列6は、L字状の列間接続電極10により電気的に接続される。他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0048】
第2実施形態から明らかなように、第1実施形態の熱電変換モジュールを1つの構成単位として、素子列6をY軸方向に偶数列となれば何列でも配置することができる。また、X軸方向に関しても、素子列6の熱電変換素子はいくつでも構成することができる。
【0049】
従って、熱電変換モジュール1の大きさを変更することが比較的容易となる。
【0050】
<第3実施形態>
次に、図6から図8を参照して、本発明の第3実施形態の熱電変換モジュール1を説明する。尚、図6では、熱電変換モジュール1の内部を見易くすべく、上方に位置する基板12を透明として破線で示している。
【0051】
第3実施形態の熱電変換モジュール1の熱電変換素子2は、隣接する素子列6の間でX軸方向に位置をずらして配置される。図7に示されるように、下方の基板11に配置される第1電極3は、全て矩形状(長方形状)の同一形状に形成されている。そして、第1電極3の接続穴32aは、全て素子配置部31のX軸方向に配置されている。隣接する素子列6では、素子配置部31と接続穴32aとの配置がX軸方向で逆転するように構成されている。
【0052】
また、図8に示されるように、第2電極4も、全て矩形状(長方形状)に形成されている。但し、上方の基板12においては、隣接する素子列6を接続する列間接続電極10がL字状に形成されている。列間接続電極10は、熱電変換素子2が電気的に接続される素子配置部101と、接続穴102aが設けられる突片部102とを備える。突片部102は、素子配置部101よりもX軸方向の幅が狭く、突片部102が隣接する素子列6の熱電変換素子2がずれることによって空くスペースに配置される。
【0053】
第3実施形態の熱電変換モジュール1によれば、接続部5が電極3,4と別体であるため、従来のようにU字状のコネクタに熱電変換素子を横から押し込む必要がなく、量産性を向上させることができる。
【0054】
また、素子配置部31,41と突片部32,42とがX軸方向に配置されているため、素子列6の間の隙間を小さくすることができる。従って、基板11,12の単位面積当たりの熱電変換素子2の専有面積(素子密度)を向上させることができる。
【0055】
<第4実施形態>
次に、図9及び図10を参照して、第4実施形態の熱電変換モジュール1を説明する。尚、図9では、熱電変換モジュール1の内部を見易くすべく、上方に位置する基板12を透明として破線で示している。
【0056】
第4実施形態の熱電変換モジュール1は、第3実施形態の列間接続電極10を第1電極3と同一形状で構成して、一対の基板11,12及びこれに配置される電極3,4を上下ともに同一形状に形成したものである。両基板11,12及びこれに配置される電極3,4が同一形状であるため、第1実施形態及び第2実施形態と同様に量産性に優れる。
【0057】
ただし、第3実施形態と比べて、素子列6のY軸方向の隙間が大きくなってしまうため、単位面積当たりの熱電変換素子2の専有面積(素子密度)は、第3実施形態ものもよりも劣る。
【0058】
<第5実施形態>
次に、図11を参照して、第5実施形態の熱電変換モジュール1を説明する。図11は、第5実施形態の熱電変換モジュール1の基板11,12及びこれに配置される電極3,4を示したものである。第5実施形態の熱電変換モジュール1は、第1実施形態の矩形電極9及び列間接続電極10もL字状の電極としたものであり、他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0059】
第5実施形態の熱電変換モジュール1によれば、端子7及び列間接続電極10を除き全ての電極3,4を同一形状とすることができ、量産性を更に高められる可能性がある。
【符号の説明】
【0060】
1…熱電変換モジュール、 11,12…基板、 2…熱電変換素子、 3…第1電極、 31…素子配置部、 32…突片部、 32a…接続穴、 4…第2電極、 41…素子配置部、 42…突片部、 42a…接続穴、 5…接続部、6…素子列、 61…第1素子列、 62…第2素子列、 7…端子、 8…L字電極、 9…矩形電極、 10…列間接続電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
一方の端部が前記基板の一方に配置される第1電極と電気的に接続され、他方の端部が前記基板の他方に配置される第2電極と電気的に接続される複数の熱電変換素子と、
前記熱電変換素子に電気的に接続される前記第1電極を、隣接する前記熱電変換素子に電気的に接続される第2電極に、電気的に接続する接続部と、
を備える熱電変換モジュールにおいて、
前記接続部は、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも何れか一方と別体であることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の熱電変換モジュールにおいて、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記熱電変換素子と電気的に接続される素子配置部と、該素子配置部から前記基板に沿って突出する突片部とを備え、
前記接続部は、棒状又は板状であり、前記突片部に設けられた接続穴に挿入して前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続され、
前記基板に沿うと共に互いに直交する2つの軸線をX軸及びY軸として、
前記熱電変換素子は、前記基板上に前記X軸方向に複数並べられた素子列を構成し、
該素子列は、Y軸方向に複数並べられ、
前記素子列の前記熱電変換素子は、千鳥状に配置され、
電気を取り出す端子が設けられた前記素子列の該端子が配置される側の基板には、L字状の第1電極又は第2電極が配置され、
該L字状の第1電極又は第2電極は、前記素子配置部のX軸方向側に前記接続穴が配置され、
前記L字状の第1電極又は第2電極が配置された前記素子列に隣接する素子列の電極の接続穴は、前記素子配置部のY軸方向側に配置されることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項3】
請求項2記載の熱電変換モジュールにおいて、
前記素子列は、前記Y軸方向に偶数列並べられ、
前記両基板に配置される前記第1電極及び前記第2電極は、前記Y軸方向に対称となるように前記基板上に配置されることにより、対応する基板に同一に配置されることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の熱電変換モジュールにおいて、
前記L字状の第1電極又は第2電極が配置された前記素子列に隣接する素子列の電極は、矩形状であり、前記突片部の先端の2つの角部のうち少なくとも一方が切り欠かれていることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項5】
請求項1記載の熱電変換モジュールにおいて、
前記基板に沿うと共に互いに直交する2つの軸線をX軸及びY軸として、
前記熱電変換素子は、前記基板上に前記X軸方向に複数並べられた素子列を構成し、
該素子列は、Y軸方向に複数並べられ、
前記熱電変換素子は、隣接する前記素子列の間でX軸方向に位置をずらして配置され、
前記第1電極又は前記第2電極の何れか一方は、熱電変換による電流の流れる電流経路において、隣接する前記素子列を接続する列間接続電極がL字状に形成され、
該列間接続電極は、前記熱電変換素子が電気的に接続される素子配置部と、該素子配置部から前記基板に沿って突出し、前記接続部が設けられる突片部とを備え、
該突片部は、前記素子配置部よりも幅が狭く、該突片部と隣接する列の熱電変換素子がずれることによって空いたスペースに配置されることを特徴とする熱電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115359(P2013−115359A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262472(P2011−262472)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000228741)日本サーモスタット株式会社 (52)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)