説明

熱電変換素子の製造方法

【課題】熱伝導率を十分に低減させ、特性を大きく向上させた熱電変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩とを混合して分散液を調製した後、この分散液中においてセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させ、洗浄、加熱処理し、次いで焼結する工程を含む、熱電変換素子の製造方法において、前記熱電変換材料を構成する元素を析出させる際に初めて、前記塩の溶液のうちpH1未満の溶液又はそのpH1未満の溶液から析出する粒子と、セラミックス粒子を含むスラリーとを接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁材料としてのセラミックスを含有する熱電変換素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電変換材料は、熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる材料であり、熱電冷却素子や熱電発電素子として利用される熱電変換素子を構成する材料である。この熱電変換材料はゼーベック効果を利用して熱電変換を行うものであるが、その熱電変換性能は、性能指数ZTと呼ばれる下式(1)で表される。
ZT=α2σT/κ (1)
(上式中、αはゼーベック係数を、σは電気伝導率を、κは熱伝導率を、そしてTは測定温度を示す)
【0003】
上記式(1)から明らかなように、熱電変換材料の熱電変換性能を高めるためには、用いる材料のゼーベック係数α及び電気伝導率σを大きくし、熱伝導率κを小さくすればよいことがわかる。ここで材料の熱伝導率κを小さくするために、熱電変換材料の出発原料の粒子に熱電変換材料の母材と反応しない微粒子(不活性微粒子)を添加することがある。これにより、不活性微粒子が熱電変換材料における熱伝導の主要因であるフォノンを散乱させて、熱伝導率κを低減することができる。
【0004】
しかしながら、従来の熱電変換材料では、不活性微粒子が偏在することによって、不活性微粒子によるフォノンの散乱効果よりも不活性微粒子の偏在による電気抵抗率等の他の物性値の悪化の影響が大きく、熱電変換材料の性能向上が妨げられている。この問題を解消するため、例えば、出発原料を微粒子とし、それに母材と反応しないセラミックス等の微粒子を均一に分散させて焼結してなる熱電変換材料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−261047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記開示技術は、出発原料と不活性微粒子の両者を微粒子とすることで、不活性微粒子が熱電変換材料の母材全体に分散し易くなり出発原料の粒子間に存在する確率が高くなるので、母材の粒子同士の結晶化を防止することができるというものである。また粒径比がほぼ1の同等の大きさの粒子となるように出発原料と不活性微粒子とを調製するため、不活性微粒子は熱電変換材料中に偏在することなく均一に分布して存在でき、不活性微粒子の偏在による電気抵抗率等の他の物性値の悪化を抑えることができるとしている。
【0007】
しかしながら、粒径がナノオーダーである粒子は比表面積が大きいため、ファンデルワールス力等によって凝集しやすく、従って従来の方法のように熱電変換材料粒子と不活性微粒子を混合するのみでは、不活性微粒子が凝集してミクロサイズになってしまい、熱電変換材料中に不活性微粒子をナノオーダーで分散させることができない。その結果、不活性材料同士の間隔がフォノンの平均自由行程より大きくなってしまい、熱伝導率を十分に低減することができないという問題がある。
【0008】
また、上記従来技術では、不活性微粒子を均一に分散させて、電気抵抗率など上記式(1)に直接関係しない他の物性値の調整を行っているが、式(1)中、性能指数ZTに直接関係する電気伝導率σ及び熱伝導率κについての検討はなされていない。そのため、上記従来技術での不活性微粒子は、ミクロンスケールの粒径を有するものである。また、不活性微粒子の分散状態について、精密な検討はなされていない。
【0009】
なお、熱電変換材料中に含まれるキャリア(電子または正孔(ホール))は熱及び電気を共に伝えることができるため、電気伝導率σと熱伝導率κとは比例関係にある。さらに、電気伝導率σとゼーベック係数αとは反比例関係にあることが知られている。そのため、一般的に、電気伝導率σを向上させたとしても、それに伴い熱伝導率κの上昇及びゼーベック係数αの低下が起きてしまう。また、有効質量と移動度とは反比例関係にあるため、移動度を向上させようとすると有効質量が減少してしまう。
【0010】
そこで本発明者らは先に、平均粒子径が1〜100nmであるセラミックス粒子を用い、この粒子上で熱電変換材料の原料粒子を析出させ、焼結することによって微細な絶縁分散相が均一に分散した熱電変換素子を製造する方法を提案した。
【0011】
ところで、粒子径がナノオーダーであるセラミックスナノ粒子は、水等の溶媒中に分散させたスラリーとして販売されていることが多く、また現在世の中にあるセラミックスナノ粒子のうち、最も平均粒径の小さいもの(5nm)も水スラリー中に分散させたものである。従ってこのようなセラミックスのスラリーを用いて上記のようにして熱電変換素子を製造することが都合がよいと考えられる。
【0012】
この水溶媒中にセラミックス粒子を分散させる手法としては一般にpH調整が用いられているが、熱電変換材料を構成する元素の塩のなかにはその溶液のpHが1未満と強酸を示すものがあり、このような熱電変換材料を構成する元素の塩の溶液をセラミックスのスラリーと混合すると、スラリーのpHバランスが崩れ、セラミックス粒子が凝集してしまう。その結果、得られる熱電変換素子において、絶縁分散相を微細にかつ均一に分散させることができない。本願発明は上記従来の問題を解決し、セラミックスのスラリーを用いて、優れた性能指数を有する熱電変換素子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩とを混合して分散液を調製した後、この分散液中においてセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させ、洗浄、加熱処理し、次いで焼結する工程を含む、熱電変換素子の製造方法において、前記熱電変換材料を構成する元素を析出させる際に初めて、前記塩の溶液のうちpH1未満の溶液又はそのpH1未満の溶液から析出する粒子と、セラミックス粒子を含むスラリーとを接触させている。
【0014】
熱電変換材料を構成する元素の塩のうち、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩の溶液又はその塩から析出する粒子とセラミックス粒子を含むスラリーとの接触を、この塩を還元するまで防ぐことにより、スラリー中のセラミックス粒子の凝集を防ぐことができ、分散させたセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させることができる。
【0015】
上記問題点を解決するために2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記熱電変換材料を構成する元素の塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と、還元剤を含む溶液とを混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させる。
【0016】
溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む溶液とセラミックス粒子のスラリーとを別個の溶液として準備し、還元剤を含む溶液と混合して前記塩を還元する際にはじめてセラミックス粒子とpH1未満の溶液を形成する塩を接触させることにより、スラリー中のセラミックス粒子の凝集を防ぐことができる。
【0017】
上記問題点を解決するために3番目の発明によれば、2番目の発明において、前記第1溶液と第2溶液を還元剤含有溶液に同時に滴下している。
【0018】
上記問題点を解決するために4番目の発明によれば、2番目の発明において、前記第2溶液と還元剤含有溶液を第1溶液に同時に滴下している。
【0019】
上記問題点を解決するために5番目の発明によれば、2番目の発明において、前記第1溶液と還元剤含有溶液を第2溶液に同時に滴下している。
【0020】
上記問題点を解決するために6番目の発明によれば、1番目の発明において、前記塩のうち、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む第1の溶液と還元剤含有溶液の混合した溶液を、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩を含む第1溶液と還元剤含有溶液と混合している。
【0021】
上記問題点を解決するために7番目の発明によれば、1番目の発明において、前記塩のうち、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と還元剤含有溶液と混合している。
【0022】
上記問題点を解決するために8番目の発明によれば、7番目の発明において、前記第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、第1溶液と混合した後、還元剤含有溶液と混合している。
【0023】
上記問題点を解決するために9番目の発明によれば、7番目の発明において、前記第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、還元剤含有溶液と混合した後、第1溶液と混合している。
【0024】
上記問題点を解決するために10番目の発明によれば、1番目の発明において、前記塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と還元剤含有溶液を混合して、セラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させた後、この粒子を取り出し、この粒子を溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と混合して前記熱電変換材料をいったん溶解させた後、還元剤含有溶液と混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を再び析出させている。
【0025】
上記問題点を解決するために11番目の発明によれば、セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩とを混合して分散液を調製した後、この分散液中においてセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させ、洗浄、加熱処理し、次いで焼結する工程を含む、熱電変換素子の製造方法において、セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩を含む溶液と、還元剤を含む溶液とを同時に混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、性能指数ZTと熱電変換材料の組織構成との関係について、図1を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、熱電変換材料の組織寸法が、フォノンの平均自由行程の長さを起点にこれよりも小さくなるにつれて、熱電変換材料の熱伝導率κは徐々に減少する。したがって、組織寸法がフォノンの平均自由行程よりも小さくなるように設計すると、性能指数ZTが向上する。
【0027】
一方、熱電変換材料の組織寸法がフォノンの平均自由行程を起点にこれより小さくなっても、熱電変換材料の電気伝導率σは減少せず、概ねキャリアの平均自由行程以下の粒径となった場合に減少する。このように、熱伝導率κが減少し始める熱電変換材料の組織寸法と、電気伝導率σが減少し始める熱電変換材料の組織寸法とが異なることを利用し、電気伝導性の減少率よりも熱伝導率κの減少率が大きい熱電変換材料の組織寸法となるように、熱電変換材料の組織寸法をキャリアの平均自由行程以上フォノンの平均自由行程以下とすることで、上記式(1)で表される性能指数ZTをよりいっそう高めることができる。
【0028】
ここで、熱電変換材料の組織寸法を規定するのは、熱電変換材料中に分散される絶縁材料であるセラミックス粒子の粒径、又はセラミックス同士の分散間隔である。そこで、本発明では、セラミックス同士の分散間隔を、上記効果が得られるように制御する。
【0029】
本発明において、まずセラミックス粒子のスラリーと熱電変換材料を構成する元素の塩を含む溶液を調製する。
【0030】
セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、シリカ等の一般に用いられている材料を用いることができる。これらの中でも、熱伝導率の低さの観点から、シリカ、ジルコニア、チタニアであることが好ましい。また、用いるセラミックス粒子の種類は単一種であっても、二種以上を併用してもよい。セラミックスの比抵抗は1000μΩmよりも大きいことが好ましく、106μΩm以上であることがより好ましく、1010μΩm以上であることが更に好ましい。比抵抗が1000μΩm以下の場合には、熱伝導が高いためZT向上の妨げとなる場合がある。
【0031】
セラミックス粒子の平均粒子径は、フォノンの平均自由行程以下であり、具体的には1〜100nmであることが好ましく、1〜20nmであることがさらに好ましい。このような粒径を有する粒子を用いると、形成される熱電変換素子中に分散されるセラミックス同士の間隔が、セラミックスのフォノンの平均自由行程以下となり、熱電変換材料中でフォノンの散乱が充分に起こるため、熱電変換材料の熱伝導率κが減少し、性能指数ZTが向上する。本発明では、このセラミックス粒子をスラリーとして反応に用いるため、従来粉末セラミックス粒子を用いていた場合よりも微細な粒子を利用することができる。
【0032】
このセラミックス粒子を分散させる媒体は、水又は非水媒体、例えばアルコールを用いることができる。スラリー中のセラミックス粒子の比率は、セラミックス粒子を十分に分散させる程度であれば特に制限はなく、一般に0.1〜20%であることが好ましい。
【0033】
熱電変換材料はP型であってもN型であってもよい。P型熱電変換材料の材質としては特に制限なく、例えば、Bi2Te3系、PbTe系、Zn4Sb3系、CoSb3系、ハーフホイスラー系、フルホイスラー系、SiGe系などを用いることができる。N型熱電変換材料の材質としても特に制限なく公知の材料を適用することができ、例えば、Bi2Te3系、PbTe系、Zn4Sb3系、CoSb3系、ハーフホイスラー系、フルホイスラー系、SiGe系、Mg2Si系、Mg2Sn系、CoSi系などを用いることができる。これらのうち、溶解してpH<1となるのは、Bi、Te、Sb、Si、Snの塩であり、Pb、Zn、Co、Ge、Ni等の塩はpH<1とはならない。
【0034】
本発明において用いる熱電変換材料は、出力因子が1mW/K2よりも大きいことが好ましく、2mW/K2以上であることがより好ましく、3mW/K2以上であることが更に好ましい。出力因子が1mW/K2以下の場合には、あまり大きな性能向上が期待できない。また、熱電変換材料の熱伝導率κは、5W/(m・K)よりも大きいことが好ましく、7W/(m・K)以上であることがより好ましく、10W/(m・K)以上であることが更に好ましい。熱伝導率κが5W/(m・K)よりも大きい場合に、特に本発明の効果が著しく呈される。つまり、熱電変換材料の組織寸法について本発明に規定するナノオーダーで制御を行った場合の効果は、熱伝導率κが大きい熱電変換材料を用いるほど熱伝導率κの低下が著しくなる傾向にあり、特に熱伝導率κが5W/(m・K)よりも大きい熱電変換材料を用いた場合に、熱伝導率κの減少効果が大きく現れる。
【0035】
このような熱電変換材料を構成する元素の塩は例えば、熱電変換材料がCoSb3の場合には、塩化コバルトの水和物及び塩化アンチモンを、(CoNi)Sb3の場合には、塩化コバルトの水和物、塩化ニッケル及び塩化アンチモンを意味する。
【0036】
上記熱電変換材料を構成する元素の塩のうち、例えば塩化アンチモンは、溶液中でpH1未満の強酸性を示す。そこで、pH4程度のセラミックス粒子のスラリーとこのような強酸性の溶液とを混合すると、スラリーのpHが崩れ、結果としてセラミックス粒子が凝集することになる。そこで本発明では、熱電変換材料を構成する元素の塩の溶液のうち、pH1未満の溶液とセラミックス粒子のスラリーとが直接接触することがなく、前記熱電変換材料を構成する元素に還元する際にはじめて接触するようにしている。pH調整により粒子表面の電荷が等電点であるときに粒子が凝集することは知られている。等電点以外でも、pHが極度に低い(pH<1)と、粒子表面の電荷の層(電気二重層)が圧縮され、結果として粒子の凝集力が電気的な斥力よりも強くなるため、凝集が起こる。このメカニズムは、材料の種類によらず起こる。
【0037】
具体的には、前記熱電変換材料を構成する元素の塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩(例えば塩化コバルト水和物、塩化ニッケル水和物)とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩(例えば塩化アンチモン、塩化ビスマス、塩化テルル)を含む第2溶液と、還元剤を含む溶液とを混合する。セラミックス粒子のスラリー、例えばシリカの水スラリーは、塩化コバルト及び塩化ニッケルと混合してもシリカ粒子は分散状態を保っているが、塩化アンチモン溶液等の強酸性溶液(pH1未満)と接触するとシリカ粒子は激しく凝集してしまう。そこで、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩の溶液とセラミックス粒子のスラリーを分離しておき、この塩が還元する際に混合して初めて接触させることによって、セラミックス粒子の凝集を防ぐことができる。
【0038】
この第1溶液と、第2溶液と、還元剤溶液の混合は、
(1)第1溶液と第2溶液を還元剤溶液に同時に滴下する、
(2)還元剤溶液と第2溶液を第1溶液に同時に滴下する、
(3)還元剤溶液と第1溶液を第2溶液に同時に滴下する、
のいずれの態様によって行ってもよい。
【0039】
上記目的を達成するためには、第1溶液と第2溶液との接触を混合の最後に行う必要があり、具体的な態様としては、第1溶液と還元剤含有溶液を混合し、この混合溶液から析出する粒子を取り出して、あるいは粒子を取り出さずに粒子が分散した溶液を、第2溶液と還元剤含有溶液と共に混合する。
【0040】
さらに上記混合は
(1-1)第1溶液を還元剤含有溶液に滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液を、第2溶液に滴下する、
(1-2)第1溶液を還元剤含有溶液に滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液に、第2溶液を滴下する、
(1-3)第1溶液に還元剤含有溶液を滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液を、第2溶液に滴下する、
(1-4)第1溶液に還元剤含有溶液を滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液に、第2溶液を滴下する、
(2-1)第2溶液を還元剤含有溶液に滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液を、第1溶液に滴下する、
(2-2)第2溶液を還元剤含有溶液に滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液に、第1溶液を滴下する、
(2-3)第2溶液に還元剤含有溶液を滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液を、第1溶液に滴下する、
(2-4)第2溶液に還元剤含有溶液を滴下し、この混合溶液から析出した粒子を取り出して還元剤含有溶液に再分散させた溶液に、第1溶液を滴下する、
の何れの態様で行ってもよい。この際、混合溶液から析出した粒子を取り出すことなく、そのままの溶液の状態で、次の工程の還元剤含有溶液及び第1溶液又は第2溶液との混合に使用してもよい。
【0041】
さらに別の態様として、第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、この混合溶液から析出する粒子を取り出して、あるいは粒子を取り出さずに粒子が分散した溶液を、別の還元剤含有溶液に混合し、その後、第1溶液と混合してもよい。
【0042】
また別の態様として、第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、この混合溶液から析出する粒子を取り出して、あるいは粒子を取り出さずに粒子が分散した溶液を、第1溶液と混合した後、別の還元剤含有溶液と混合してもよい。
【0043】
さらに別の態様として、第1溶液と還元剤含有溶液を混合し、この混合溶液から析出する粒子を取り出して、あるいは粒子を取り出さずに粒子が分散した溶液を、第2溶液と混合した後、還元剤含有溶液と混合してもよい。このようにすると、第1溶液中の、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩から析出した熱電材料粒子は、第2溶液に添加された際に、pH1未満となっている強酸性の第2溶液により再溶解して、その後、第2溶液の熱電材料成分と共に、均一に混合されて再析出する。
【0044】
また、セラミックスラリーを構成する媒体として、ある種の非水性媒体、例えばエタノールを用いた場合、このスラリーは強酸性の熱電変換材料を構成する元素の塩の溶液と接触するとスラリー中のセラミックス粒子は凝集するが、還元剤である水素化ホウ素ナトリウムの溶液と接触してもセラミックス粒子は凝集してしまう。そこで、セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩を含む溶液と、還元剤を含む溶液とを同時に混合することが好ましい。
【0045】
本発明において、還元剤としては、熱電変換材料を構成する元素のイオンを還元できるものであればよく、例えばNaBH4、ヒドラジン等を用いることができる。
【0046】
本発明の方法において、2種以上の熱電変換材料を構成する塩における各塩は、目的とする熱電変換材料が得られるような比で混合すればよく、またセラミックス粒子と熱電変換材料の比は、最終熱電変換材料中にセラミックス粒子が1〜50%の体積比を示すように調整する。
【0047】
熱電変換材料を構成する元素の塩を含む分散液中には熱電変換材料の原料イオン、例えばCoイオンやSbイオンが存在する。従って、還元剤含有溶液と混合されると、これらのイオンは還元され、熱電変換材料を構成する元素の粒子、例えばCo粒子やSb粒子が析出することになるが、この還元において、Co粒子やSb粒子の他に、副生物、例えばNaClとNaBO3が生成する。この副生物を除去するために、熱電変換材料を構成する元素を析出させた後、濾過を行うことが好ましい。さらに、濾過後、アルコールや水を加えて、副生物を洗い流すことが好適である。
【0048】
上記のように原料イオンが還元して熱電変換材料を構成する元素の粒子が析出する際に、分散液中には粒径が小さなセラミックス粒子も存在しているため、分散液中にはこのような粒径が小さなセラミックス粒子と熱電変換材料を構成する元素の粒子が均一に分散した状態で存在することになる。
【0049】
この分散液を加熱処理し、好ましくは水熱処理し、熱電変換材料を構成する元素を合金化して熱電変換材料を形成し、乾燥させることにより、セラミックス粒子と熱電変換材料粒子が均一に混合した凝集体が得られる。この凝集体を、必要に応じて洗浄・乾燥した後、一般的な焼結法により、例えば580℃においてSPS焼結することにより、熱電変換材料の連続相中にセラミックス粒子が分散して分散相を構成する熱電変換素子が得られる。
【0050】
本実施形態の熱電変換材料の製造方法は、ナノオーダーでの組織寸法(絶縁材料の粒径や絶縁材料同士の分散間隔)の制御を可能とするものである。すなわち、セラミックス粒子のスラリーを用いることにより、セラミックスの粉末を用いる場合よりも平均粒子径が小さなセラミックス粒子を熱電変換材料粒子間に分散させることができ、熱電変換素子の組織寸法(セラミックス同士の分散間隔)が、フォノンの平均自由行程以下、好ましくはキャリアの平均自由行程以上フォノンの平均自由行程以下となり、熱電変換素子中のフォノンの散乱が充分に起こり、熱伝導率κを減少させることができる。この結果、式(1)で表される性能指数ZTが大きい熱電変換素子となる。このように、本実施形態の熱電変換素子の製造方法によれば、高い性能指数ZTを示す優れた熱電変換素子であって、従来では作製困難であった性能指数ZTが2を上回るような熱電変換素子を得ることもできる。
【実施例】
【0051】
実施例1
塩化コバルト六水和物(CoCl2・6H2O)0.895g、塩化ニッケル六水和物(NiCl2・6H2O)0.057gをエタノール50mLに加え溶解させた後、この溶液に、粒径1〜20nm、分布の中心5nmであるSiO2の10wt%水スラリー((株)アドマテックス製)4gを加え、第1の溶液を調製した。この第1の溶液のpHは4であった。また、塩化アンチモン(SbCl3)2.739gをエタノール50mLに加え溶解させて第2の溶液を調製した。この第2の溶液のpHは1未満であった。さらに、還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)3.3gをエタノール100mLに加え、還元剤含有溶液を調製した。上記第1の溶液及び第2の溶液を還元剤含有溶液に同時に添加した。次いで、エタノールと水の混合溶液で洗浄することによって不純物を除去し、240℃にて24時間水熱合成を行い、セラミックス粒子上で熱電変換材料であるCo0.94Ni0.06Sb3化合物を形成した。こうして得られた複合粒子を充填し、500℃でSPS焼結を行い、本発明の熱電変換素子を得た。
【0052】
実施例2
第2の溶液及び還元剤含有溶液を第1の溶液に同時に添加することを除き、実施例1と同様にして熱電変換素子を得た。
【0053】
実施例3
第1の溶液及び還元剤含有溶液を第2の溶液に同時に添加することを除き、実施例1と同様にして熱電変換素子を得た。
【0054】
比較例1
第1の溶液と第2の溶液を混合した後、還元剤含有溶液に添加することを除き、実施例1と同様にして熱電変換素子を得た。この例において、セラミックス粒子は目視可能なほど凝集が発生していた。
【0055】
実施例1〜3において製造した熱電変換素子のTEM像を図2〜4に示す。いずれにおいても、シリカが2〜15nmの微細な大きさで熱電変換材料中に分散していた。また実施例1〜3及び比較例1において製造した熱電変換素子について測定した熱伝導率及びゼーベック係数を以下の表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例4
塩化コバルト六水和物0.895g、塩化ニッケル六水和物0.057gをエタノール50mLに加え溶解させた後、この溶液に、粒径1〜20nm、分布の中心5nmであるSiO2の10%水スラリー((株)アドマテックス製)2.6gを加え、第1の溶液を調製した。この第1の溶液のpHは4であった。この第1の溶液を、還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム3.3gをエタノール100mLに加えて調製した還元剤含有溶液に滴下し、シリカ粒子上にコバルト及びニッケルを析出させた。このシリカ粒子を取り出し、別の還元剤含有溶液に加えたシリカ粒子含有溶液を作り、ここに塩化アンチモン2.739gをエタノール50mLに加え溶解させて調製した第2の溶液を滴下した。この第2の溶液のpHは1未満であった。次いで、エタノールと水の混合溶液で洗浄することによって不純物を除去し、240℃にて24時間水熱合成を行い、セラミックス粒子上で熱電変換材料であるCo0.94Ni0.06Sb3化合物を形成した。こうして得られた複合粒子を充填し、600℃でSPS焼結を行い、本発明の熱電変換素子を得た。
【0058】
実施例5
第1の溶液を還元剤含有溶液に滴下するのに代えて、還元剤含有溶液を第1の溶液に滴下することを除き、実施例4と同様にして熱電変換素子を得た。
【0059】
実施例6
第2の溶液をシリカ粒子含有溶液に滴下するのに代えて、取り出したシリカ粒子を還元剤含有溶液に加えたものを第2の溶液に滴下することを除き、実施例4と同様にして熱電変換素子を得た。
【0060】
実施例7
第2の溶液をシリカ粒子含有溶液に滴下するのに代えて、取り出したシリカ粒子を還元剤含有溶液に加えたものを第2の溶液に滴下することを除き、実施例5と同様にして熱電変換素子を得た。
【0061】
実施例8
還元剤含有溶液を第2の溶液に滴下し、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩(塩化アンチモン)の元素(アンチモン)の粒子を得て、得られた粒子を第1の溶液に加えた後、還元剤含有溶液に滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0062】
実施例9
第2の溶液を還元剤含有溶液に滴下し、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩(塩化アンチモン)の元素(アンチモン)の粒子を得て、得られた粒子を還元剤含有溶液に加えた後、第1の溶液に滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0063】
実施例10
第2の溶液を還元剤含有溶液に滴下し、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩(塩化アンチモン)の元素(アンチモン)の粒子を得て、その得られた粒子を第1の溶液に加えた後、還元剤含有溶液に滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0064】
実施例11
還元剤含有溶液を第2の溶液に滴下し、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩(塩化アンチモン)の元素(アンチモン)の粒子を得て、得られた粒子を還元剤含有溶液に加えた後、第1の溶液に滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0065】
実施例12
還元剤含有溶液を第2の溶液に滴下し、得られた粒子を還元剤含有溶液に加えた後、第1の溶液を滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0066】
実施例13
還元剤含有溶液を第2の溶液に滴下し、得られた粒子を第1の溶液に加えた後、還元剤含有溶液を滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0067】
実施例14
第2の溶液を還元剤含有溶液に滴下し、得られた粒子を還元剤含有溶液に加えた後、第1の溶液を滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0068】
実施例15
第2の溶液を還元剤含有溶液に滴下し、得られた粒子を第1の溶液に加えた後、還元剤含有溶液を滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0069】
上記実施例及び比較例1において得られた熱電変換素子について、EPMA定量分析結果及びゼーベック係数を以下の表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例16
第1の溶液を還元剤含有溶液に滴下して粒子上に第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)を析出させ、得られた粒子を第2の溶液に加えて、粒子上に析出した元素を前記第2の溶液に溶解させた後、還元剤含有溶液を滴下して、第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)と第2の溶液中に溶解された塩の元素(アンチモン)を共に析出させ、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0072】
実施例17
還元剤含有溶液を第1の溶液に滴下して粒子上に第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)を析出させ、得られた粒子を第2の溶液に加えて粒子上に析出した元素を前記第2の溶液に溶解させた後、還元剤含有溶液を滴下して、第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)と第2の溶液中に溶解された塩の元素(アンチモン)を共に析出させその後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0073】
実施例18
還元剤含有溶液を第1の溶液に滴下して粒子上に第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)を析出させ、得られた粒子を第2の溶液に加えて粒子上に析出した元素を前記第2の溶液に溶解させた後、還元剤含有溶液に滴下して、第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)と第2の溶液中に溶解された塩の元素(アンチモン)を共に析出させその後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0074】
実施例19
第1の溶液を還元剤含有溶液に滴下して粒子上に第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)を析出させ、得られた粒子を第2の溶液に加えて粒子上に析出した元素を前記第2の溶液に溶解させた後、還元剤含有溶液に滴下して、第1の溶液中に溶解された塩の元素(コバルト、ニッケル)と第2の溶液中に溶解された塩の元素(アンチモン)を共に析出させその後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0075】
実施例16〜19において製造した熱電変換素子のTEM像を図5〜8に示す。いずれにおいても、シリカが2〜10nmの微細な大きさで熱電変換材料中に分散していた。
【0076】
実施例20
塩化コバルト六水和物0.895g、塩化ニッケル六水和物0.057g及び塩化アンチモン2.739gをエタノール100mLに加え溶解させて金属塩溶液を調製した。また、還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム3.3gをエタノール100mLに加え、還元剤含有溶液を調製した。この金属塩溶液及び還元剤含有溶液を、1-メトキシ-2-プロパノール中の10%SiO2スラリー2.6gに同時に滴下し、その後実施例4と同様にして洗浄、加熱処理、焼結を行い、熱電変換素子を得た。
【0077】
実施例21
SiO2スラリーと還元剤含有溶液を金属塩溶液に同時に滴下することを除き、実施例20と同様にして熱電変換素子を得た。
【0078】
実施例22
SiO2スラリーと金属塩溶液を還元剤含有溶液に同時に滴下することを除き、実施例20と同様にして熱電変換素子を得た。
【0079】
実施例23
SiO2スラリーと金属塩溶液と還元剤含有溶液を同時に混合することを除き、実施例20と同様にして熱電変換素子を得た。
【0080】
実施例20〜23において製造した熱電変換素子のいずれにおいても、シリカが2〜15nmの微細な大きさで熱電変換材料中に分散していた。
【0081】
変形例
実施例20〜23においては、塩化コバルト六水和物、塩化ニッケル六水和物及び塩化アンチモンをすべてエタノールに溶解させて1つの金属塩溶液に調製したが、それぞれ別の金属塩溶液とし、実施例20〜23と同様に、セラミックススラリー溶液と還元剤含有溶液に同時に混合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】熱電変換材料の組織寸法と、ゼーベック係数α、電気伝導率σ又は熱伝導率κとの関係を示すグラフである。
【図2】実施例1において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図3】実施例2において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図4】実施例3において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図5】実施例16において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図6】実施例17において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図7】実施例18において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。
【図8】実施例19において得られた本発明の熱電変換素子のTEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩とを混合して分散液を調製した後、この分散液中においてセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させ、洗浄、加熱処理し、次いで焼結する工程を含む、熱電変換素子の製造方法であって、前記熱電変換材料を構成する元素を析出させる際に初めて、前記塩の溶液のうちpH1未満の溶液又はそのpH1未満の溶液から析出する粒子と、セラミックス粒子を含むスラリーとを接触させる、熱電変換素子の製造方法。
【請求項2】
前記塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と、還元剤含有溶液とを混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させる、請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1溶液と第2溶液を還元剤含有溶液に同時に滴下する、請求項2記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記第2溶液と還元剤含有溶液を第1溶液に同時に滴下する、請求項2記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1溶液と還元剤含有溶液を第2溶液に同時に滴下する、請求項2記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む第1の溶液と還元剤含有溶液の混合した溶液を、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と還元剤含有溶液と混合する、請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記塩のうち、溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と還元剤含有溶液と混合する、請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、第1溶液と混合した後、還元剤含有溶液と混合する、請求項7記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記第2溶液と還元剤含有溶液を混合し、析出する粒子又はその析出粒子を含む溶液を、還元剤含有溶液と混合した後、第1溶液と混合する、請求項7記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項10】
前記塩のうち、溶解してpH1以上の溶液を形成する塩とセラミックス粒子のスラリーを混合してなる第1溶液と還元剤含有溶液を混合して、セラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させた後、この粒子を取り出し、この粒子を溶解してpH1未満の溶液を形成する塩を含む第2溶液と混合して前記熱電変換材料をいったん溶解させた後、還元剤含有溶液と混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を再び析出させる、請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項11】
セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩とを混合して分散液を調製した後、この分散液中においてセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させ、洗浄、加熱処理し、次いで焼結する工程を含む、熱電変換素子の製造方法であって、セラミックス粒子のスラリーと、2種以上の熱電変換材料を構成する元素の塩を含む溶液と、還元剤を含む溶液とを同時に混合することによりセラミックス粒子上で熱電変換材料を構成する元素を析出させる、熱電変換素子の製造方法。
【請求項12】
前記溶解してpH1未満の溶液を形成する塩が塩化アンチモン、塩化ビスマス及び塩化テルルより選ばれる、請求項1記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項13】
前記溶解してpH1以上の溶液を形成する塩が塩化コバルト及び塩化ニッケルである、請求項2記載の熱電変換素子の製造方法。
【請求項14】
前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、請求項2又は11記載の熱電変換素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−164595(P2009−164595A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315827(P2008−315827)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】