説明

熱電発電モジュール

【課題】廃熱を利用して発電ができ、放熱もできる、高効率な熱電発電モジュールを提供する。
【解決手段】粉末状の熱電材料に遠心力を付加しながら、該粉末材料を溶融および凝固させる遠心加圧溶融法により作製した熱電発電モジュールであって、予め溝が刻まれた絶縁材からなる基材上に、p型とn型からなる少なくとも1対又はそれ以上の膜状熱電素子が形成された構造を有し、受熱側に熱伝導部材を有する構造を持つ熱電発電モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力を用いて作製した熱電発電モジュールに関するものであり、更に詳しくは、複数の溝を形成した絶縁構造体の孔内に、熱電素子の原材料となる粉末材料を充てん後、前記構造体中の粉末材料に遠心力を付加しながら加熱して、該粉末材料を溶融および凝固させることにより作製してなる、複数の溝内に熱電素子が形成された熱電発電モジュールに関するものである。本発明は、機械的強度が高く、加工コストが低く、高い熱電発電性能を有する熱電発電モジュールを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バルク形状の熱電素子を用いた、いわゆるパイ型モジュールといわれるタイプの熱電発電モジュールが、公知技術として知られている。この熱電発電モジュールの製造方法としては、ゾーンメルト法、ホットプレス法、スパークプラズマ焼結法などの手法により、熱電材料の配向あるいは単結晶バルク体を作製し、これらのバルク体が必要とされる形状に切り出した上で、電気的接合を行い、パイ型モジュールに組み上げる工法が主流である。
【0003】
この工法は、配向材料あるいは単結晶材料の切り出しを行うため、材料の劈開や、欠けが生じやすく、加工が難しいだけでなく、切粉の発生により材料の歩留まりが悪く、材料のロスが大きい、などの問題がある。また、パイ型熱電モジュールは、機械的強度が不足するため、ヒートサイクルによる伸縮に弱く、破損しやすいため、熱電モジュールとしての信頼性に問題があった。
【0004】
更に、パイ型モジュールは、形態的に平面板の形状であり、その両平面間において、温度差をとり発電をするため、廃熱を発電に利用するには、廃熱源の形状が平面である必要があるなどの制約があった。実際の廃熱源としては、廃熱ダクトなどが想定されるが、パイ型モジュールを、廃熱ダクトのような、曲面箇所に直接取り付けることは困難であった。これは、これまでは、取り付け施工時の負担軽減などの実用面を考慮せずに、熱電発電モジュールの高性能化競争ばかりが先行してきたためである。
【0005】
これらの問題点を解決するために、放熱フィン表面に絶縁皮膜を形成し、該絶縁皮膜の上に膜状熱電素子を形成して、廃熱の放熱と発電を同時に行う熱電発電モジュールが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この種のモジュールでは、真空中におけるプラズマ溶射により熱電素子膜を形成しており、この手法では、プラズマ溶射時に材料蒸発が激しく生じるため、組成ずれが発生する欠点がある。
【0006】
熱電素子は、組成ずれを生じると著しく発電能力が低下するため、実用的でない。また、仮に、大気圧力下でプラズマ溶射を行うと、膜中に残留気孔が発生するため、これも、発電能力の低下につながる欠点があった。また、プラズマ溶射により形成された膜材料は、一般に、多結晶体であり、単結晶熱電材料や、結晶配向熱電材料と比較して、発電能力が劣るという欠点があった。そこで、当技術分野においては、膜状の熱電素子であって、組成ずれや残留気孔がなく、熱電発電性能の低下を生じない、高品質で高性能の熱電発電モジュールを開発することが強く求められていた。
【0007】
【特許文献1】特許3390829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の課題を解決することを可能とする新しい熱電素子、及び熱電発電モジュールを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、熱電材料に遠心力を付加して加熱して、該材料を溶融および凝固させること(本発明では、これを遠心加圧溶融法という。)によって作製されるバルク熱電素子は、組成ずれと、残留気孔の問題がなく、熱電発電性能の低下を生じることのない、高品質で高性能の熱電発電モジュールが得られることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、絶縁材からなる構造体に設けられた溝の中に、熱電発電素子が形成された構造を有し、機械的強度が高い熱電発電モジュールであって、熱電材料の切断加工の工程を極力削減して、加工コストの削減、材料の歩留まりの向上を実現すると共に、複雑な材料加工技術を必要としない、熱電発電モジュールを提供することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は、熱電素子内の気孔や空隙の発生を極力減少させ、熱電発電性能の低下を生じない、熱電発電モジュールを提供することを目的とするものである。また、本発明は、熱電素子材料の組成ずれを極力生じさせず、熱電発電性能の低下を生じることのない、高品質で高性能の熱電発電モジュールを提供することを目的とするものである。
【0011】
更に、本発明は、廃熱を効率的に放散して、廃熱源の冷却を促進すると共に、上記組成ずれや、膜中の残留気孔を抑制し、かつ単結晶体と同等の熱電発電性能を有する結晶配向熱電素子膜によって構成される熱電発電モジュールであって、廃熱を効率的に電気に変換することを可能とする新しい熱電発電モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術手段から構成される。
(1)粉末状の熱電材料に遠心力を付加しながら、該熱電材料を溶融および凝固させる遠心加圧溶融法により作製した熱電発電モジュールであって、予め複数の溝が刻まれた絶縁材からなる基材上に、p型とn型からなる少なくとも1対又はそれ以上の膜状熱電素子が形成された構造を有し、受熱側に熱伝導部材を有する構造を持つことを特徴とする熱電発電モジュール。
(2)前記膜状熱電素子が、p型熱電素子とn型熱電素子であり、これらの素子が、前記複数の溝に交互に形成され、かつ電極で接続されている構造を有する、前記(1)に記載の熱電発電モジュール。
(3)前記絶縁材からなる基材が、無機絶縁材料である、前記(1)又は(2)に記載の熱電発電モジュール。
(4)前記熱伝導部材が、金属である、前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
(5)前記熱伝導部材が、無機絶縁材料である、前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
(6)前記熱電材料が、ビスマスもしくはテルルを含む材料からなる熱電素子である、前記(1)から(5)のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
(7)前記熱電材料が、ケイ素を含む材料からなる熱電素子である、前記(1)から(5)のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
(8)前記熱電材料が、酸化物を含む材料からなる熱電素子である、前記(1)から(5)のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
【0013】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、粉末状の熱電材料に遠心力を付加しながら、該熱電材料を溶融および凝固させる遠心加圧溶融法により作製した熱電発電モジュールを使用することで、上記課題を解決することを可能としたものである。遠心加圧溶融法によって作製される厚膜熱電素子は、組成ずれと、膜中の残留気孔のいずれの問題も生じず、かつ単結晶体と同等の熱電発電性能を有する結晶配向熱電素子膜が形成される。本発明は、上記遠心加圧溶融法を適用することにより、上記問題を解決した熱電発電モジュールを提供するものである。
【0014】
本発明は、絶縁材からなる基材に、複数対からなる膜状熱電素子が、遠心加圧溶融法によって形成された熱電発電モジュールであって、受熱側に、熱伝導部材を有し、かつ熱電素子を周辺環境から保護する、絶縁材からなる保護カバーを有する構造からなるものである。本発明は、このような形状の熱電発電モジュールを構築することで、廃熱発電において、放熱を行いながら、同時に、効率よく発電するための、熱電発電モジュールを提供することを可能とするものである。
【0015】
本発明において、絶縁材からなる基材としては、無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料を使用することができる。無機絶縁材料を使用すると、一般的に、無機絶縁材料は、有機絶縁材料よりも耐熱温度が高いため、遠心加圧溶融プロセスの適用時に、温度コントロールの選択幅が広がり、熱電材料の選択肢が広がる利点がある。
【0016】
本発明において、遠心加圧溶融法とは、粉末状の熱電材料に遠心力をかけながら、該材料を溶融および凝固させる方法のことである。遠心力の付加方法は、適宜の方法を使用することができ、また、加熱方法は、ヒーター加熱、高周波加熱、マイクロ波加熱などの加熱方法を用いることが可能であり、特に、ヒーター加熱が、安価で、好適である。
【0017】
熱電発電モジュールの受熱側の熱伝導部材としては、金属材料、あるいは無機絶縁材料を使用することができる。しかし、一般に、金属材料は、無機絶縁材料よりも熱伝導率がよい利点があるが、熱電発電モジュールの絶縁材からなる基材との熱膨張係数の違いにより、耐久性が低下するため、ヒートサイクルが激しい箇所での使用には、無機絶縁材料を使用することが望ましい。
【0018】
熱電発電モジュールの保護カバーとしては、絶縁材である無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料が用いられる。この保護カバーは、熱電素子材料を、周辺環境から保護するための役割を担うので、保護カバーの材質と、絶縁材からなる基材の材質の熱膨張係数が、なるべく近く、ヒートサイクルによる両部材間の剥離などが生じないものが望ましい。
【0019】
図1に、本発明の熱電発電モジュールの構造の一例を示す。図1において、絶縁基板1の表面に予め刻まれた溝パターン内に、p型厚膜熱電素子2とn型厚膜熱電素子3が、遠心加圧溶融法によって形成されている。p型厚膜熱電素子2とn型厚膜熱電素子3は、交互に配置されており、更に直列に配線されるように、スパッタ法、メッキ法、溶射法などの方法で、電極4が取り付けられている。
【0020】
そして、その両端には、リード線6が取り付けられ、更に、リード線が取り付けられている辺の対辺に、アルミ、金、銀、銅、錫、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの材質からなる熱伝導板5が取り付けられている。絶縁基板1と熱伝導板5は、耐熱性を有する高熱伝導接着剤、拡散接合、気機械的に固定されるなどして、熱伝導板が得た熱を、効率よく絶縁基板1に伝えることができるように接合される。
【0021】
該熱電発電モジュールは、化学的要因や力学的要因による、厚膜熱電素子や電極の破損、劣化の可能性がある。劣化を防ぐには、周囲環境から厚膜熱電素子および電極を保護することが必要であり、絶縁カバー7を、図2に示すように、熱電発電モジュールに覆い被せて封止する。
【0022】
図1の熱電発電モジュールは、図2で示すように、絶縁カバー7を覆い被せて封止する。絶縁基板1のp型厚膜熱電素子2、n型厚膜熱電素子3ならびに電極4が施工された側に、絶縁カバー7を覆い被せて、四辺を封止剤8で完全に封止し、密閉状態とし、図3の形状となる。
【0023】
この封止剤8は、熱電発電モジュールの使用温度、周囲の環境に影響を受けない材質を使用しなければならないが、特に、無機材料、有機材料を区別する必要はなく、使用条件に合ったものを選択すればよい。無機材料では、アルミナ系接着剤やシリカ系接着剤などが好ましく、有機材料では、エポキシ系樹脂やシリコン系樹脂が好ましい。
【0024】
遠心加圧溶融法により、厚膜熱電素子を作製する工程は、以下のとおりである。図4に示すように、表面に、予め適宜の形状、構造の溝パターンを刻んだ絶縁基板1を作製する。次いで図5に示すように、溝パターンの中に、厚膜熱電素子の材料粉末を投入、充てんする。材料粉末を充てんしたん後、図6に示すように、密閉板9を被せて、四辺を封止剤8で封止、密閉する。
【0025】
密閉板9の材質は、遠心加圧溶融の温度、遠心力に耐えることが可能な無機系材料を使用する。アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素などが好ましい。封止剤8は、加熱温度に耐えることのできる無機系接着剤を使用する。アルミナ系無機接着剤やジルコニア系接着剤が好ましい。
【0026】
図7に示すように、加熱手段のヒーター10を有する断熱容器11の内部において、高速回転するローター12に設けられたポケット13に、図6に示す封止された絶縁基板1を設置し、遠心力を付加しながら加熱および冷却をすることで、粉末材料を溶融および凝固させることにより、絶縁基板1の溝パターン内に、厚膜熱電素子を作製する。
【0027】
溶融状態にある熱電素子材料は、封止剤により密閉されているため、蒸発せず、組成ずれの心配はない。また、溶融状態にある熱電素子材料には、遠心力が付加されているため、凝固した後の熱電素子内部に、残留気孔が発生しない。更に、この手法によって成膜された厚膜熱電素子は、結晶配向を有する熱電材料となる。
【0028】
その後、図6に示す密閉板9を除去することで、図8に示す厚膜熱電素子の状態となる。絶縁基板1の溝内には、p型厚膜熱電素子2およびn型厚膜熱電素子3が、交互に配置するように形成され、これに、電極4、熱伝導板5およびリード線6が取り付けられる。
【0029】
本発明により、材料の歩留まりがよく、組成ずれがなく、残留気孔がない、高品質の熱電発電モジュールを提供することができる。更に、本発明は、廃熱を利用した熱電発電において、遠心加圧溶融法を適用して作製した厚膜熱電素子からなる熱電発電モジュールを構成することによって、効果的に、発電と放熱を実施できる熱電発電モジュールを提供することが可能となる。
【0030】
本発明においては、厚膜熱電素子の成膜方法としては、内部欠陥がないこと、結晶配向して単結晶並みの出力因子が期待できること、組成ずれが起きないこと、熱電材料の歩留まりが100%であること、などから、遠心加圧溶融法による成膜が、公知の厚膜成膜方法と比べても好適である。
【0031】
熱電材料を切断する加工工程を、極力削減し、加工コストの削減、材料歩留まりの向上を実現すると共に、複雑な材料加工技術を必要としない、熱電発電モジュールを提供することができる。また、熱電素子内の気孔や空隙の発生を極力減少させ、熱電発電性能の低下を生じない、熱電発電モジュールを提供することができる。
【0032】
熱電素子材料の組成ずれを極力生じさせず、熱電発電性能の低下を生じない、熱電発電モジュールを提供することができる。また、遠心加圧溶融法によって作製される厚膜熱電素子は、組成ずれと、膜中の残留気孔のいずれの問題も生じることがなく、かつ絶縁構造体に設けられた溝の形状に沿った熱電材料の厚膜体が容易に得られる。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)絶縁構造体に設けられた溝の中に、熱電発電素子が形成された、機械的強度が高い、熱電発電モジュールを提供することができる。
(2)熱電材料の切断加工工程を極力削減し、加工コストの削減、材料歩留まりの向上を実現すると共に、複雑な材料加工技術を必要としない、熱電発電モジュールを提供することができる。
(3)熱電素子内の気孔や空隙の発生を極力減少させ、熱電発電性能の低下を生じない、熱電発電モジュールを提供することができる。
(4)熱電素子材料の組成ずれを極力生じさせず、熱電発電性能の低下を生じない、高性能の熱電発電モジュールを提供することができる。
(5)遠心加圧溶融法によって作製される厚膜熱電素子は、組成ずれと、膜中の残留気孔のいずれの問題も生じることがなく、かつ絶縁構造体に設けられた孔の形状に沿った熱電材料の厚膜体が容易に得られるため、熱電素子の切断加工などを必要としない。
(6)機械的強度が高く、加工コストが低く、高い熱電発電性能を有する熱電発電モジュールを提供することが可能となる。
(7)本発明によれば、材料歩留まりがよく、組成ずれがなく、残留気孔がない厚膜熱電素子を配した熱電発電モジュールを提供できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
本実施例では、p型熱電材料としてBi0.5Sb1.5Teを用いて、また、n型熱電発電材料としてBi1.8Sb0.2Te2.85Se0.15+SbIを用いて、図1の構造を有する熱電発電モジュールを作製した。
【0036】
図1の絶縁基板1(アルミナ)の表面に予め刻んだ4本の溝パターンの中に、2対のp型厚膜熱電素子2(Bi0.5Sb1.5Te)およびn型厚膜熱電素子3(Bi1.8Sb0.2Te2.85Se0.15+SbI)を、遠心加圧溶融法により成膜した。p型厚膜熱電素子2とn型厚膜熱電素子3は、交互に配置し、それらを直列に配線するように、メッキ法で、電極4(ニッケル)を取り付け、更にその両端に、リード線をハンダで取り付けた。
【0037】
熱伝導板5(銅板)は、予め絶縁基板1に、拡散接合にて固着してある。絶縁基板1上のp型厚膜熱電素子2とn型厚膜熱電素子3、熱伝導板5を含めて、周辺環境から保護するように、絶縁カバー7を、耐熱性無機接着剤(アロンセラミック 東亜合成株式会社製)で接着、封止し、図3の熱電発電モジュールを得た。
【0038】
熱電発電モジュールの発電特性を評価した。熱電発電モジュールを、220℃の廃熱源に設置し、厚膜熱電素子の長尺方向両端の温度ならびにリード線から出力される電力を測定した。その結果、厚膜熱電素子の熱伝導板側の端の温度は170℃、反対側の端の温度は90℃であり、厚膜熱電素子の両端に、80℃の温度差を得た。その温度差における出力電力は、3mWであった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上詳述したように、本発明は、熱電発電モジュールに係るものであり、本発明は、機械的強度が高く、加工コストが低く、高い熱電性能を有する熱電発電モジュールを提供することができる。特に、基板上に厚膜熱電素子を形成することで、厚さが薄く、局面や狭い場所への熱電発電モジュールの設置が容易となる。また、熱伝導板を備えることにより熱源からの効率よく集熱ができ、更に、本発明は、熱電発電モジュール全体が、放熱フィンの役割を果たすことが可能であるため、発電と放熱を両立させることができ、設置コストやランニングコストの削減をも期待できる有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】遠心加圧溶融法を適用して成膜した厚膜熱電素子を有する熱電発電モジュールの概略図である。
【図2】熱電発電モジュールとそれに覆い被せる絶縁カバーの概略図である。
【図3】絶縁カバーを覆い被せて密閉した熱電発電モジュールの概略図である。
【図4】厚膜熱電素子を成膜するための溝パターンを設けた絶縁基板の概略図である。
【図5】絶縁基板の溝パターンに熱電素子の原材料となる材料粉末を投入して充てんした状態を示す概略図である。
【図6】絶縁基板に熱電素子の原材料となる材料粉末を充てんした後、密閉板によって密閉した様子を示した概略図である。
【図7】遠心加圧溶融法を適用して、絶縁基板のパターン溝内に、厚膜熱電素子を作製する工程の様子を示した概略図である。
【図8】遠心加圧溶融法を適用して、絶縁基板のパターン溝内に作製された厚膜熱電素子の様子を示した概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 絶縁基板
2 p型厚膜熱電素子
3 n型厚膜熱電素子
4 電極
5 熱伝導板
6 リード線
7 絶縁カバー
8 封止剤
9 密閉板
10 加熱ヒーター
11 断熱容器
12 ローター
13 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の熱電材料に遠心力を付加しながら、該熱電材料を溶融および凝固させる遠心加圧溶融法により作製した熱電発電モジュールであって、予め複数の溝が刻まれた絶縁材からなる基材上に、p型とn型からなる少なくとも1対又はそれ以上の膜状熱電素子が形成された構造を有し、受熱側に熱伝導部材を有する構造を持つことを特徴とする熱電発電モジュール。
【請求項2】
前記膜状熱電素子が、p型熱電素子とn型熱電素子であり、これらの素子が、前記複数の溝に交互に形成され、かつ電極で接続されている構造を有する、請求項1に記載の熱電発電モジュール。
【請求項3】
前記絶縁材からなる基材が、無機絶縁材料である、請求項1又は2に記載の熱電発電モジュール。
【請求項4】
前記熱伝導部材が、金属である、請求項1から3のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
【請求項5】
前記熱伝導部材が、無機絶縁材料である、請求項1から3のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
【請求項6】
前記熱電材料が、ビスマスもしくはテルルを含む材料からなる熱電素子である、請求項1から5のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
【請求項7】
前記熱電材料が、ケイ素を含む材料からなる熱電素子である、請求項1から5のいずれかに記載の熱電発電モジュール。
【請求項8】
前記熱電材料が、酸化物を含む材料からなる熱電素子である、請求項1から5のいずれかに記載の熱電発電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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