説明

燃料供給方法及び燃料供給装置

【課題】エネルギ効率の向上を実現し得る燃料供給方法及び燃料供給装置を提供すること。
【解決手段】燃料及び水を含む混合物を、燃料及び水の双方の臨界温度以上の温度で改質用触媒と接触させ、燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を該改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、該改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法であって、内燃機関の排気と、内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体との間で熱交換して、循環作動媒体を加熱する工程、加熱された循環作動媒体を加圧手段により圧縮昇温させる工程、加圧手段により圧縮昇温された循環作動媒体と内燃機関用原燃料及び水の少なくとも一方との間で熱交換して、内燃機関用原燃料及び水の少なくとも一方を加熱する工程、及び冷却された循環作動媒体を減圧手段により膨張降温させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給方法及び燃料供給装置に関する。更に詳細には、エネルギ効率の向上を実現し得る燃料供給方法及び燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に対する配慮から、内燃機関の燃焼性を改善し、内燃機関からの排気をより一層浄化する目的で種々の試みがなされている。
その試みの一つとして、内燃機関用燃料と水との混合物を、前記内燃機関用燃料及び前記水の双方の臨界温度以上の温度で触媒と接触させて、前記内燃機関用燃料を改質燃料へ改質し、前記改質燃料を内燃機関へ供給する内燃機関用燃料の供給方法において、前記内燃機関用燃料及び前記水の少なくとも一方を、前記内燃機関からの排気との熱交換により加熱して、前記排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を前記改質燃料の有する化学エネルギとして回収する、内燃機関用燃料の供給方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−52688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の内燃機関用燃料の供給方法では、エネルギ効率の向上が十分なものではないという問題点がある。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エネルギ効率の向上を実現し得る燃料供給方法及び燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねたところ、いわゆるヒートポンプの仕組みを組み合わせることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の第1の燃料供給方法は、内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、該内燃機関用原燃料及び該水の双方の臨界温度以上の温度で又は該混合物中の該内燃機関用原燃料及び該水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、該内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を該改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、該改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法である。
そして、第1の燃料供給方法は、以下の第1工程〜第4工程を含む。
第1工程:上記内燃機関の排気と、上記内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体との間で熱交換して、該循環作動媒体を加熱する。
第2工程:加熱された上記循環作動媒体を加圧手段により圧縮昇温させる。
第3工程:上記加圧手段により圧縮昇温された上記循環作動媒体と上記内燃機関用原燃料及び上記水の少なくとも一方との間で熱交換して、該内燃機関用原燃料及び該水の少なくとも一方を加熱する。
第4工程:冷却された上記循環作動媒体を減圧手段により膨張降温させる。
【0007】
また、本発明の第1の燃料供給装置は、原燃料流通部と、水流通部と、上記原燃料流通部及び上記水流通部に接続された原燃料−水流通部と、上記原燃料−水流通部に設置された原燃料−水加圧手段と、上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段よりも下流側に設置若しくは上記原燃料−水流通部に接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、上記改質部に接続された改質燃料流通部と、作動媒体循環流通部と、上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体加圧手段と、上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体減圧手段と、上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の一方に設置された、内燃機関の排気流通部と上記作動媒体循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の他方に、且つ、上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段よりも下流側に設置された、上記作動媒体循環流通部と上記原燃料−水流通部との間での熱交換を可能とする第2熱交換手段と、上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段と上記第2熱交換手段との間に設置された、上記排気流通部と上記原燃料−水流通部との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、を備える。
【0008】
更に、本発明の第2の燃料供給装置は、原燃料流通部と、水流通部と、上記原燃料流通部及び上記水流通部に接続された原燃料−水流通部と、上記原燃料流通部に設置された原燃料加圧手段及び上記水流通部に設置された水加圧手段と、上記原燃料−水流通部に設置若しくは接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、上記改質部に接続された改質燃料流通部と、作動媒体循環流通部と、上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体加圧手段と、上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体減圧手段と、上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の一方に設置された、内燃機関の排気流通部と上記作動媒体循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の他方に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側、上記水流通部において上記水加圧手段よりも下流側、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つの位置に設置された、上記作動媒体循環流通部と上記原燃料流通部、上記水流通部、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第2熱交換手段と、上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側、上記水流通部において上記水加圧手段よりも下流側、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つの位置に設置された、上記排気流通部と上記原燃料流通部、上記水流通部、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、を備える。
【0009】
一方、本発明の第2の燃料供給方法は、内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、該内燃機関用原燃料及び該水の双方の臨界温度以上の温度で又は該混合物中の該内燃機関用原燃料及び該水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、該内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を該改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、該改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法である。
そして、上記第2の燃料供給方法は、以下の第1’工程〜第5’工程を含む。
第1’工程:上記内燃機関の排気と、上記内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体である水との間で熱交換して、該循環作動媒体である水を加熱する。
第2’工程:加熱された上記循環作動媒体である水を加圧手段により圧縮昇温させる。
第3’工程:上記加圧手段により圧縮昇温された上記循環作動媒体である水と上記内燃機関用原燃料との間で該循環作動媒体である水と該内燃機関用原燃料とを混合することにより熱交換して、該内燃機関用原燃料を加熱する。
第4’工程:上記改質燃料から上記循環作動媒体である水を分離する。
第5’工程:上記循環作動媒体である水を減圧手段により膨張降温させる。
【0010】
また、本発明の第3の燃料供給装置は、原燃料流通部と、上記原燃料流通部に設置された原燃料加圧手段と、上記原燃料流通部の下流端に接続された第1逆流防止手段と、第1水流通部と、上記第1水流通部に設置された第1水加圧手段と、上記第1水流通部の下流端に接続された第2逆流防止手段と、上記逆流防止手段に接続された第2水流通部と、上記第2水流通部に設置された水加圧手段と、上記第1逆流防止手段及び上記第2水流通部に接続された原燃料−水流通部と、上記原燃料−水流通部に設置若しくは接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、上記改質部に接続された改質燃料流通部と、上記改質燃料流通部に接続された改質燃料分離部と、上記改質燃料分離部に接続された水低減改質燃料流通部と、上記改質燃料分離部に接続された第3水流通部と、上記第3水流通部と上記第2水流通部とに接続された水減圧手段と、上記第2水流通部、上記原燃料−水流通部、上記改質部、上記改質燃料流通部、上記改質燃料分離部、第3水流通部及び水減圧手段とを構成要素として有する水循環流通部と、上記水循環流通部において上記水加圧手段と上記水減圧手段との間に設置された、内燃機関の排気流通部と上記水循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側に設置された、上記排気流通部と上記原燃料流通部との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、を備え、上記原燃料−水流通部は、上記水循環流通部における混合により熱交換を可能とする第2熱交換手段である。
【発明の効果】
【0011】
本発明よれば、いわゆるヒートポンプの仕組みを組み合わせることなどとしたため、エネルギ効率の向上を実現し得る燃料供給方法及び燃料供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の燃料供給方法の若干の実施形態について説明する。
まず、第1実施形態に係る燃料供給方法は、内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、内燃機関用原燃料及び水の双方の臨界温度以上の温度で、又は混合物中の内燃機関用原燃料及び水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法である。
そして、第1実施形態に係る燃料供給方法は、以下の第1工程〜第4工程を含む。
第1工程:内燃機関の排気と、内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体との間で熱交換して、循環作動媒体を加熱する。
第2工程:加熱された循環作動媒体を加圧手段により圧縮昇温させる。
第3工程:加圧手段により圧縮昇温された循環作動媒体と内燃機関用原燃料及び水の少なくとも一方との間で熱交換して、内燃機関用原燃料及び水の少なくとも一方を加熱する。
第4工程:冷却された循環作動媒体を減圧手段により膨張降温させる。
【0013】
上述したように、上記特許文献1に記載されているような超臨界状態を利用した従来の燃料改質技術では、燃料を改質する際に、燃料、水及び触媒の三者が共存する。そのため、水分に含まれる水素原子により燃料中の成分が水素化される反応が進行し得る。
ここで、燃料成分の水素化反応は吸熱反応であり、その吸熱量も大きい。このため、燃料及び水の少なくとも一方を内燃機関からの排気との熱交換により加熱することで、上記排気の有する熱エネルギが改質燃料の有する化学エネルギとして効率的に回収され得る。その結果、内燃機関の排気熱が有する熱エネルギの回収効率が向上し、エネルギ効率が向上し得る。また、装置の小型化も期待される。
【0014】
しかしながら、上記燃料成分の水素化反応には多くの熱エネルギを必要とするため、燃料等を加熱するための手段として内燃機関の排気熱や電気ヒータ、マイクロ波照射装置、電磁加熱プレートなどの他の加熱手段を利用したとしても、内燃機関の排気熱が有する熱エネルギの回収効率は十分なものではなく、エネルギ効率はそれほど高くない。
【0015】
これに対して、第1実施形態に係る燃料供給方法においては、いわゆるヒートポンプの原理を利用するための上述した第1工程〜第4工程を含む。
【0016】
従って、第1実施形態に係る燃料供給方法においては、上記特許文献1に記載の技術とは異なり、上記燃料成分の水素化反応に必要な多くの熱エネルギを回収することができ、また、エネルギ効率も高いものとなる。
【0017】
また、第1実施形態に係る燃料供給方法は、改質燃料と外部及び内燃機関の排気の少なくとも一方との間で熱交換して、改質燃料から水を分離する第5工程を更に含むようにすることができる。このような構成とすると、内燃機関の燃焼効率の向上が期待される。また、分離した水を回収することにより、装置の小型化も期待される。
【0018】
更に、第1実施形態に係る燃料供給方法は、内燃機関の運転状態に応じて、循環作動媒体の流量を制御する第6工程を更に含むようにすることができる。このような構成とすると、内燃機関の変化する運転状態に応じて、循環作動媒体の流量を適切に制御することができ、内燃機関の燃焼効率の向上が期待される。
【0019】
次に、第2実施形態に係る燃料供給方法は、内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、内燃機関用原燃料及び水の双方の臨界温度以上の温度で、又は混合物中の内燃機関用原燃料及び水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、改質燃料を内燃機関へ供給する燃料供給方法である。
そして、第2実施形態に係る燃料供給方法は、以下の第1’工程〜第5’工程を含む。
第1’工程:内燃機関の排気と、内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体である水との間で熱交換して、循環作動媒体である水を加熱する。
第2’工程:加熱された循環作動媒体である水を加圧手段により圧縮昇温させる。
第3’工程:加圧手段により圧縮昇温された循環作動媒体である水と内燃機関用原燃料との間で循環作動媒体である水と内燃機関用原燃料とを混合することにより熱交換して、内燃機関用原燃料を加熱する。
第4’工程:改質燃料から循環作動媒体である水を分離する。
第5’工程:循環作動媒体である水を減圧手段により膨張降温させる。
【0020】
第2実施形態に係る燃料供給方法においても、いわゆるヒートポンプの原理を利用するための上述した第1’工程、第2’工程、第3’工程及び第5’工程を含む点においては、第1実施形態に係る燃料供給方法と同様であるが、第3’工程において循環作動媒体である水と内燃機関用原料とを混合することにより熱交換して、内燃機関用原燃料を加熱する点と、改質燃料から循環作動媒体である水を分離する第4’工程を含む点において異なる。
【0021】
従って、第2実施形態に係る燃料供給方法においても、上記特許文献1に記載の技術とは異なり、上記燃料成分の水素化反応に必要な多くの熱エネルギを回収することができ、また、エネルギ効率も高いものとなる。更に、分離した水を回収することにより、装置の小型化も期待される。
【0022】
また、第2実施形態に係る燃料供給方法は、第4’工程が、改質燃料と外部及び内燃機関の排気の少なくとも一方との間で熱交換して、改質燃料から循環作動媒体である水を分離する第4’工程であるようにすることができる。このような構成とすると、内燃機関の燃焼効率の向上が期待される。
【0023】
更に、第2実施形態に係る燃料供給方法は、内燃機関の運転状態に応じて、循環作動媒体の流量を制御する第6’工程を更に含むようにすることができる。このような構成とすると、内燃機関の変化する運転状態に応じて、循環作動媒体の流量を適切に制御することができ、内燃機関の燃焼効率の向上が期待される。
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の燃料供給装置の若干の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。また、重複する説明については省略する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。図1に示す本実施形態の燃料供給装置は、上述した第1実施形態に係る燃料供給方法の実施に好適に用いられる。
同図に示すように、本実施形態の燃料供給装置は、原燃料流通部10と、水流通部20と、原燃料流通部10及び水流通部20に接続された原燃料−水流通部30と、原燃料−水流通部30に設置された原燃料−水加圧手段の一例である圧縮機31と、原燃料−水流通部30に接続された、原燃料及び水を含有する混合物を混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒41を有する改質部40と、改質部40に接続された改質燃料流通部50とを備える。
また、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体加圧手段の一例である圧縮機61と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体減圧手段の一例である膨張弁62とを備える。
更に、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の一方に設置された、内燃機関100の排気流通部110と作動媒体循環流通部60との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段の一例である熱交換器63と、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の他方に、且つ、原燃料−水流通部30において原燃料−水加圧手段31よりも下流側に設置された、作動媒体循環流通部60と原燃料−水流通部30との間での熱交換を可能とする第2熱交換手段の一例である熱交換器64と、排気流通部110における第1熱交換手段63よりも下流側に、且つ、原燃料−水流通部30において原燃料−水加圧手段31と第2熱交換手段64との間に設置された、排気流通部110と原燃料−水流通部30との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段の一例である熱交換器32とを備える。
更にまた、本実施形態の燃料供給装置は、循環作動媒体流通部65と、循環作動媒体流通部65に設置された作動媒体圧力制御手段の一例である加圧減圧機66とを備える。循環作動媒体流通部65は、作動媒体循環流通部60に接続されている。
なお、第1熱交換手段においては、排気と循環作動媒体とが直接接触することはなく、これらの間では熱エネルギのみが移動し得る。また、第2熱交換手段においては、循環作動媒体と原燃料及び水を含む混合物とが直接接触することはなく、これらの間では熱エネルギのみが移動し得る。更に、第3熱交換手段においては、排気と原燃料及び水を含む混合物とが直接接触することはなく、これらの間では熱エネルギのみが移動し得る。
【0026】
本実施形態の燃料供給装置において、原燃料流通部10、水流通部20、原燃料−水流通部30、及び改質燃料流通部50などは、超臨界流体と接触する可能性がある。例えば、超臨界水は、通常の水では腐食されないステンレス等を腐食することが知られているため、これらの部位は、600℃程度までの耐熱性、及び150MPa程度までの耐圧性に加えて、耐腐食性を有する材料から成ることが好ましい。このような性能を有する材料としては、ハステロイ合金、インコネル合金などの合金や、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの酸化物が挙げられる。
【0027】
なお、「内燃機関」とは、シリンダ内で燃料を爆発燃焼させ、そのエネルギによって仕事をする原動機をいい、本発明において内燃機関の具体的な形態は特に制限されず、後述する燃料の性状に応じて選択され得る。内燃機関は、例えばガソリンエンジンのような火花点火式内燃機関であってもよく、ディーゼルエンジンのような圧縮着火式内燃機関であってもよい。
【0028】
続いて、本実施形態の燃料供給装置の動作について説明する。
【0029】
まず、図示しない制御手段(例えば、ECU)からの制御信号により、原燃料−水加圧手段31が駆動する。原燃料−水加圧手段31が駆動することにより、図示しない原燃料タンクから原燃料が吸い上げられ、吸い上げられた原燃料は原燃料流通部10を流通する。原燃料の流量は、一般に0.5〜30L/h程度であり、通常使用においては0.5〜15L/h程度である。また、原燃料−水加圧手段31が駆動することにより、図示しない水タンクから水が吸い上げられ、吸い上げられた水は水流通部を流通する。原燃料の流量と水の流量との関係、即ち、水(分子換算)/原燃料(炭素原子換算)モル比は、好ましい値が内燃機関の運転状態に応じて変動し得るため一概には規定されないが、通常は0.05〜2.0程度であり、好ましくは0.2〜0.75である。なお、原燃料流通部10の図示しない原燃料タンク側の先端及び水流通部20の図示しない水タンク側の先端には、原燃料用フィルタ及び水用フィルタが設置されていてもよい。これらのフィルタを設置することにより、原燃料及び水中に含まれる不純物の供給が防止され、内燃機関100におけるエミッションが低減され得る。
【0030】
原燃料及び水は原燃料−水加圧手段により原燃料−水流通部30の下流側に圧送される。この際の圧力は特に制限されないが、通常は25〜150MPa程度である。なお、原燃料に混合されている水は、後述するように、主に原燃料を水素化して改質燃料へ改質する際の水素原子の供給源として作用する。
【0031】
内燃機関100の排気は、排気流通部110を流通し、第1熱交換手段63に流入する。これにより、作動媒体循環流通部60を流通する循環作動媒体(例えば水)は、第1熱交換手段63を通過する際に、内燃機関100の排気と熱交換し、加熱される。換言すれば、排気の有する熱エネルギが、循環作動媒体の有する熱エネルギに変換される。
加熱された循環作動媒体は、作動媒体加圧手段61により圧縮昇温させられる。換言すれば、外部からの仕事により、循環作動媒体の有する熱エネルギが高められる。例えば、排気温度が約100℃の場合、1気圧で蒸発気化させた水蒸気を圧縮機で約1.6MPaまで断熱圧縮すると、水蒸気は約500℃になる。
熱エネルギが高められた循環作動媒体は、作動媒体循環流通部を流通し、第2熱交換手段64に流入する。これにより、原燃料−水流通部30を流通する原燃料及び水を含む混合物は、第2熱交換手段64を通過する際に、作動媒体循環流通部60の循環作動媒体と熱交換し、加熱される。例えば原燃料及び水の混合物が第3熱交換手段において約100℃に加熱されていた場合、500℃の水蒸気は約100℃の混合物に熱エネルギを放出し、混合物は約500℃になる。一方、水蒸気は約100℃に冷却される。
なお、混合物と熱交換して冷却された循環作動媒体は、作動媒体減圧手段62により膨張降温させられる。換言すれば、循環作動媒体の有する熱エネルギが低くなり、第1熱交換手段63において加熱されやすくなる。例えば約100℃に冷却された水蒸気は膨張弁により1気圧まで減圧される。そして、第1熱交換手段において、内燃機関の排気により蒸発気化し、約100℃の水蒸気となる。
【0032】
このような熱交換が行われるには、循環作動媒体の温度と比較して、第1熱交換手段63内を流通する内燃機関100の排気の温度が高ければよい。循環作動媒体及び排気の具体的な温度は特に制限されない。
第2熱交換手段で原燃料と水とが完全に混和し且つ改質反応が進行する温度(概ね450℃以上)になるように、圧縮機の回転数を制御すればよい。
【0033】
また、内燃機関100の排気は、排気流通部110を流通し、第3熱交換手段32にも流入する。これにより、原燃料−水流通部30を流通する原燃料及び水を含む混合物は、第3熱交換手段32を通過する際に、内燃機関100の排気と熱交換し、加熱される。換言すれば、排気の有する熱エネルギが、混合物の有する熱エネルギに変換される。
【0034】
第3熱交換手段による加熱のみで混合物の温度が所望の温度に達する場合には、混合物の過昇温を防止し、作動媒体加圧手段の動力損失を低減するため、圧縮機の回転数を下げたり、圧縮機を停止したりして、ヒートポンプの昇温能力を低下又はヒートポンプの動作を停止させればよい。
また、内燃機関の負荷に応じ、噴射に必要な燃料流量が変わるが(高出力のときは流量大、低出力では流量小)、燃料の流量に応じ、圧縮機の回転数を変えることで、昇温能力を制御し、燃料を常に最適な温度にすることができる。
【0035】
原燃料と水が充分混和できる温度に達しているか否かは、第2熱交換手段の出口の流体温度を計測してもよい。その際、予め、例えば水と燃料(炭化水素など)の混合状態の相図を作成しておき、使用する燃料の種類によって、温度や圧力を定めればよい。
また、第2熱交換手段内やその出口に混和(分離)状態を検出する装置を設けて判断してもよい。混和性を検出する装置としては、光学的に密度の違いを計測する方法、熱伝導率の違いを検出する方法等を利用した装置が考えられる完全に混和すると、時間や、流通部内の位置により、違いが見られなくなり、一定の密度や、熱伝導率が出力される。)。
【0036】
加熱された原燃料−水を含む混合物は改質部40内に配設された改質用触媒41と接触する。この混合物は、改質用触媒41と接触する際に、以下の(1)又は(2)の条件を満たすことが必要である。
【0037】
(1)混合物の温度が、原燃料及び水の双方の臨界温度以上であること。
(2)混合物中の燃料及び水の双方が、超臨界状態又は亜臨界状態であること。
【0038】
上記の(1)及び(2)の少なくともいずれかの条件を満たすことにより、改質反応が効率的に進行する。従って、原燃料及び水、並びに排気の温度は、その混合物がこのような条件を満たすように適宜制御され得る。なお、原燃料が複数の燃料成分の混合物である場合には、当該燃料成分のうちの少なくとも一つの成分が上記の(1)又は(2)の条件を満たしていればよい。
【0039】
以下、「超臨界状態」について簡単に説明する。
【0040】
一般に、物質には固体、液体及び気体の三態が存在するが、液体又は気体状態にある物質の温度及び圧力を上昇させると、液体と気体との区別がつかない状態に達することがある。この状態を「超臨界状態」と称し、超臨界状態では、温度及び圧力の双方が、物質固有の値である臨界点よりも高い。当該臨界点の温度を「臨界温度」と称し、臨界点の圧力を「臨界圧」と称する。超臨界状態の流体は、高密度な気体のような状態にあり、また、誘電率が小さく非極性の有機溶媒に近似した状態にある。よって、水と、有機物質である炭化水素等の燃料とは、超臨界状態においては良好に混和し得る。
【0041】
本発明においては、混合物が上記の条件を満たすことにより、原燃料と水とが極めて優れた混合状態で混合しうる。また、上記の条件を満足する混合物を改質用触媒41と接触させることにより、混合物が改質用触媒41の狭い細孔内にまで浸透し得る。また気体に比べて原燃料、水共に高密度であるため接触頻度も高くなる。その結果、触媒活性点の利用率が上昇し、改質用触媒41による改質効率が向上し得る。
【0042】
以下、上記の(1)及び(2)の条件についてそれぞれ説明する。まず、上記の(1)の条件について詳細に説明する。
【0043】
上述したように、原燃料の臨界温度とは、原燃料が超臨界状態となり得る温度の下限値であり、水の臨界温度とは、水が超臨界状態となり得る温度の下限値である。よって、混合物が上記の(1)の条件を満たすには、混合物の温度が、原燃料の臨界温度及び水の臨界温度のうち、いずれか高い温度以上であればよい。
【0044】
ここで、水の臨界温度は374℃である。これに対し、原燃料の臨界温度は、原燃料の組成に応じて変動し得るため一概には決定できないが、例えばガソリン(平均炭素原子数:8前後)の場合には300℃程度であり、軽油(平均炭素原子数:12〜18程度)の場合には400〜500℃程度である。なお、本発明において、原燃料中に含まれる臨界温度の低い一部の燃料成分のみの改質を所望する場合には、混合物の温度が当該成分の臨界温度を超えていればよい。
【0045】
原燃料及び水の混合物が上記の(1)の条件を満たす場合、混合物が改質用触媒と接触する際の圧力条件は特に制限されない。ただし、混合物の圧力については、原燃料及び水のそれぞれの分圧が、それぞれの臨界圧以上であることが好ましい。
これにより、原燃料と水との混合状態がより向上し、改質効率も向上し得る。なお、原燃料が単一成分ではなく種々の燃料成分の混合物である場合には、原燃料に含まれる各燃料成分の分圧が、それぞれの成分の臨界圧を超えているとよい。
【0046】
ここで、水の臨界圧は22.1MPaである。これに対し、原燃料の臨界圧は、例えばガソリンの場合には3MPa程度であり、軽油の場合には2MPa程度である。
【0047】
続いて、上記の(2)の条件について詳細に説明する。
【0048】
一般に、単一成分系においては、系の温度が当該成分の臨界温度を超え、系の圧力が当該成分の臨界圧を超えると、当該成分は超臨界状態となる。しかしながら、本発明に用いる原燃料及び水の混合物のような多成分系においては、系の温度及び圧力が、系に含まれるある成分の臨界温度及び臨界圧を上回ったとしても、当該成分が必ずしも超臨界状態になるとは限らない。これは、多成分系においてある成分が超臨界状態となるには、系における当該成分の分圧が、当該成分の臨界圧を上回る必要があるためである。即ち、ある成分の臨界温度を超える温度の系において、当該成分のモル分率が大きい場合は、当該成分の分圧も比較的大きいため、系全体をわずかに加圧した場合であっても当該成分は超臨界状態となる場合がある。一方、当該成分のモル分率が小さい場合には、当該成分の分圧も比較的小さいため、当該成分を超臨界状態とするには、系を大幅に加圧する必要があるのが一般的である。
【0049】
従って、混合物中の原燃料及び水の双方が超臨界状態となるには、混合物の温度が原燃料及び水の双方の臨界温度を超え、かつ、混合物に含まれる燃料成分の分圧が、当該燃料成分の臨界圧を超え、更に、混合物に含まれる水の分圧が、水の臨界圧を超えることが必要である。なお、「分圧」とは、元来、混合気体を対象とする概念であるが、超臨界状態の流体も気体の性質を有しているため、同様に「分圧」の概念が用いられ得る。即ち、本発明において、「分圧」とは、混合流体に含まれる各成分が、容器の全体積を占めていると仮定したときの圧力を意味する。
【0050】
「亜臨界状態」とは、超臨界状態に準ずる状態を意味する。「亜臨界状態」についての統一した定義は存在しないが、本発明においては、「亜臨界状態」を、ある成分の温度が、当該成分の臨界温度から、好ましくは0〜100℃低く、より好ましくは0〜50℃低く、且つ、原燃料及び水の混合物における当該成分の分圧が、当該成分の臨界圧から、好ましくは0〜5MPa低く、より好ましくは0〜2MPa低い状態と定義する。混合物中の燃料成分及び水の少なくとも一方が亜臨界状態であれば、たとえ超臨界状態ではなくとも、燃料成分の改質反応が効率よく進行し得る。
【0051】
本発明において、原燃料及び水の混合物が改質用触媒41と接触する際の温度条件及び圧力条件は、混合物が上記の(1)又は(2)の条件を満たす条件であればよく、特に制限されることはない。ただし、本発明においては、混合物が改質用触媒41と接触することによって燃料成分の改質反応(吸熱反応)が進行するため、この吸熱反応による混合物の温度低下を考慮した上で、温度条件を制御するとよい。混合物の温度条件は、例えば、循環作動媒体の流量、原燃料及び水の流量、内燃機関100からの排気の流量などを調節することにより制御され得る。同様に、混合物の圧力条件は、例えば、原燃料−水加圧手段の吐出圧などを調節することにより制御され得る。
【0052】
改質用触媒41と接触する際の混合物の温度については、通常、400〜600℃程度となるように上記の条件を調節すればよく、好ましくは400〜500℃、より好ましくは450〜475℃となるように調節すればよい。なお、内燃機関100の排気の温度は、一般的に、110〜900℃程度である。また、混合物の圧力については、通常、20〜50MPa程度となるように上記の条件を調節すればよく、好ましくは25〜45MPa、より好ましくは30〜40MPaとなるように調節すればよい。ただし、これらの範囲のみには制限されず、これらの範囲を外れる条件が採用されてもよい。
【0053】
原燃料及び水の混合物が上述したような条件を満足することにより改質反応が効率的に進行し、原燃料は改質されて改質燃料となる。改質の具体的な反応としては、例えば、原燃料に含まれる化合物が、脱水素化、軽質化、水素化、又は含酸素化される反応が例示される。これにより、原燃料に含まれる化合物は、例えばメタンなどの軽質成分に改質される。
【0054】
ここで、上記改質反応(脱水素化、軽質化、水素化、含酸素化など)の大部分は吸熱反応である。よって、原燃料及び水の有する熱エネルギの少なくとも一部は、この吸熱反応により改質燃料の有する化学エネルギに変換される。なお、「熱エネルギ」とは、個々の原子又は分子の熱運動のエネルギの形で存在するエネルギの一形態であり、「化学エネルギ」とは、原子間の化学結合によって物質内に保有されるエネルギの一形態である。
【0055】
改質用触媒41は、上記の改質反応を促進しうるものであればよく、特に制限されないが、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ケイ素、ゼオライト及び層状粘土化合物、並びにこれらの2種以上の複合酸化物及び混合物から成る群から選択される担体に、白金、ロジウム、パラジウム、及びルテニウムから成る群から選択される1種以上の貴金属成分が担持されてなる触媒が好適に用いられる。触媒の劣化を防止し、長期間にわたって改質反応を触媒し得るという観点から、この担体は、酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。担体が酸化ジルコニウムを含むことで、触媒が超臨界状態のような過酷な条件下に置かれたとしても、担持されている貴金属原子の分散度が長時間にわたって高く維持され、触媒の劣化が抑制されることがわかる。このメカニズムは明らかではないが、酸化ジルコニウムの表面には貴金属原子が強く吸着しうることで、腐食条件下においても貴金属原子のシンタリングが起こりにくいことによるものと推測される。なお、改質用触媒中に含有される金属元素等の種類を選択することで、所望の成分組成を有する改質燃料が得られる。
【0056】
改質用触媒41は、上記の成分以外にも必要な添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば適当なバインダとしてのアルミナゾル等が例示される。
【0057】
従って、改質用触媒41には、例えば貴金属元素、担体、その他必要な添加剤が含有されるが、かかる場合にこれら各成分の含有量は特に制限されず、目的に応じて適宜決定され得る。好ましくは、改質用触媒41は、触媒全量に対して貴金属元素を0.1〜5質量%程度含む。
【0058】
改質用触媒41の形態は特に限定されず、従来公知の形態が適宜採用され得る。改質用触媒の形態としては、例えば、ペレット状、造粒法で得られた粒状、打錠成形された円筒形状、ラヒシリングなどの塊粒状の触媒を容器に充填する形態や、ハニカム、フォーム、プレートなどの各種形状を有するモノリス式の形態が例示される。ここで、自動車のような移動体に搭載される場合を考慮すると、特に車載時に必要となる高空間速度条件下における性能にも優れるモノリス式の形態が好ましく採用され得る。
【0059】
改質用触媒41の製造方法は、特に制限されないが、通常は貴金属成分を担体である酸化物成分に担持させることにより製造され得る。貴金属元素を担体に担持させる方法としては、例えば特開2002−66313号公報に記載されているような攪拌法、含浸法及び流通法等のイオン交換法や、その他通常の混練法、沈殿法、共沈法、吸着法、ゾルゲル法など各種の方法が用いられ得る。また、メッキ法、蒸着法なども用いられ得る。更に、その後の乾燥及び焼成により触媒が製造され得るが、場合によっては焼成が省略されてもよい。
【0060】
改質燃料は、改質燃料流通部50を流通した後、インジェクタ(図示せず)を介して内燃機関100へ噴射される。なお、原燃料−水加圧手段31から改質部40までは等しい圧力に保たれている。また、改質部40の高圧状態を利用して改質燃料を内燃機関100へ噴射してもよく、又は改質部40の下流側若しくは改質燃料流通部50の途中に保圧弁を設置し、別途の手段により加圧して改質燃料を内燃機関100へ噴射してもよい。
【0061】
内燃機関100へ噴射された改質燃料が燃焼することにより、改質燃料の有する化学エネルギが、例えば車両を駆動するための力学的エネルギに変換される。改質燃料は、改質により例えば軽質化(低沸点化)及び水素化されているため、燃焼性に優れる。従って、内燃機関100からのエミッションが低減され、ノッキングが抑制され得る。
【0062】
続いて、内燃機関の排気の有する熱エネルギの移動に着目し、本発明の効果について説明する。
【0063】
排気の有する熱エネルギは、まず、第1熱交換手段において、循環作動媒体の有する熱エネルギに変換される。
次いで、循環作動媒体の有する熱エネルギは、作動媒体加圧手段により高められる。
次いで、作動媒体加圧手段により高められた循環作動媒体の有する熱エネルギは、第2熱交換手段において、混合物の有する熱エネルギに変換される。
次いで、この混合物の熱エネルギは、改質部内に配設された改質用触媒との接触により吸熱反応(改質反応)の反応熱として消費され、最終的に改質燃料の有する化学エネルギへと変換される。これらを総合すれば、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部が、高いエネルギ効率で改質燃料の有する化学エネルギとして回収されたことになる。
【0064】
ここで、内燃機関の排気の有する熱エネルギは、元来、改質燃料が化学エネルギとして有していたものである。従って、本発明によれば、改質燃料が本来有する化学エネルギが再利用されることになり、改質燃料の最終エネルギ効率が上昇する。その結果、最終的な燃料の供給量が削減され得る。
【0065】
本発明によれば、特に制限されないが、内燃機関の排気の有する熱エネルギの10〜15%程度を、改質燃料の有する化学エネルギとして回収したとすれば、仮に改質を行わない従来の内燃機関の熱効率を33%とした場合、34〜35%程度に向上する。なお、本発明の技術的範囲は、エネルギの回収率や最終エネルギ効率がこのような範囲内の値となる形態のみに制限されず、この範囲を外れてもよい。
【0066】
上記のエネルギ効率を向上させるためには、原燃料を改質用触媒と接触させて、吸熱量がより大きい吸熱反応を起こさせるとよい。この観点から、原燃料には、直鎖又は分枝鎖アルカン、環状アルカン、多環ナフテン類などの炭化水素成分が燃料成分として含有されていることが好ましい。これらの燃料成分の発熱量は炭素原子1モルあたり610〜620kJ/mol程度であるが、上記のような改質によってこの発熱量が徐々に増加する。
【0067】
特に、燃料成分がメタノールやメタンまで軽質化されると、メタノールの発熱量は約675kJ/molであり、メタンの発熱量は約800kJ/mol(いずれも炭素原子1モルあたり)であることから、吸熱反応における吸熱量が他の生成物に比べて高く、好ましい。
【0068】
また、トルエン、キシレン、ビフェニル、ビベンジル、ナフタレンなどの芳香族化合物の有する化学エネルギは、直鎖アルカン類やナフテン類等の他の化合物と比較して530〜570kJ/molと小さいため、これらの芳香族化合物が、開環や水素化などの改質反応によりメタンなどの比較的大きい化学エネルギを有する化合物に改質されると、より好ましい。
【0069】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。図2に示す本実施形態の燃料供給装置は、上述した第1実施形態に係る燃料供給方法の実施に好適に用いられる。
同図に示すように、本実施形態の燃料供給装置は、原燃料流通部10と、水流通部20と、原燃料流通部10及び水流通部20に接続された原燃料−水流通部30と、原燃料流通部10に設置された原燃料加圧手段の一例である圧縮機11及び水流通部20に設置された水加圧手段の一例である圧縮機21と、原燃料−水流通部30に設置された、原燃料及び水を含有する混合物を混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒41を有する改質部40と、改質部40に接続された改質燃料流通部50とを備える。
また、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体加圧手段の一例である圧縮機61と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体減圧手段の一例である膨張弁62とを備える。
更に、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の一方に設置された、内燃機関100の排気流通部110と作動媒体循環流通部60との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段の一例である熱交換器63と、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の他方に、且つ、原燃料流通部10において原燃料加圧手段11よりも下流側及び水流通部20において水加圧手段21よりも下流側に設置された、作動媒体循環流通部60と原燃料流通部10及び水流通部20との間での熱交換を可能とする第2熱交換手段の一例である熱交換器64と、排気流通部110における第1熱交換手段63よりも下流側に、且つ、原燃料流通部10において原燃料加圧手段11よりも下流側及び、水流通部20において水加圧手段21よりも下流側に設置された、排気流通部110と原燃料流通部10及び水流通部20との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段の一例である熱交換器12(22)とを備える。
更にまた、本実施形態の燃料供給装置は、循環作動媒体流通部65と、循環作動媒体流通部65に設置された作動媒体圧力制御手段の一例である加圧減圧機66とを備える。循環作動媒体流通部65は、作動媒体循環流通部60に接続されている。
【0070】
原燃料と水とをそれぞれ昇温し、改質部において混合させ改質するので、例えば原燃料だけを500℃近くまで昇温し、改質部で水を混合させ改質してもよい。その際には、予め混合後の温度が適切な温度になるように、原燃料を昇温しておく。このような形態は、供給する原燃料に対して供給する水の割合が比較的少ない場合に有効である。
一方、例えば水だけを500℃近くまで昇温し、改質部で原燃料を混合させ改質してもよい。その際には、予め混合後の温度が適切な温度になるように、水を昇温しておく。このような形態は、供給する原燃料に対して供給する水の割合が比較的多い場合に有効である。
なお、詳しくは後述する改質燃料分離部等を設けるなどの変形も可能である。
【0071】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。図3に示す本実施形態の燃料供給装置は、上述した第1実施形態に係る燃料供給方法の実施に好適に用いられる。
同図に示すように、本実施形態の燃料供給装置は、本実施形態の燃料供給装置は、原燃料流通部10と、水流通部20と、原燃料流通部10及び水流通部20に接続された原燃料−水流通部30と、原燃料−水流通部30に設置された原燃料−水加圧手段の一例である圧縮機31と、原燃料−水流通部30に接続された、原燃料及び水を含有する混合物を混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒41を有する改質部40と、改質部40に接続された改質燃料流通部50とを備える。
また、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体加圧手段の一例である圧縮機61と、作動媒体循環流通部60に設置された作動媒体減圧手段の一例である膨張弁62とを備える。
更に、本実施形態の燃料供給装置は、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の一方に設置された、内燃機関100の排気流通部110と作動媒体循環流通部60との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段の一例である熱交換器63と、作動媒体循環流通部60において作動媒体加圧手段61と作動媒体減圧手段62との間の他方に、且つ、原燃料−水流通部30において原燃料−水加圧手段31よりも下流側に設置された、作動媒体循環流通部60と原燃料−水流通部30との間での熱交換を可能とする第2熱交換手段の一例である熱交換器64と、排気流通部110における第1熱交換手段63よりも下流側に、且つ、原燃料−水流通部30において原燃料−水加圧手段31と第2熱交換手段64との間に設置された、排気流通部110と原燃料−水流通部30との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段の一例である熱交換器32とを備える。
また、本実施形態の燃料供給装置は、循環作動媒体流通部65と、循環作動媒体流通部65に設置された作動媒体圧力制御手段の一例である加圧減圧機66とを備える。循環作動媒体流通部65は、作動媒体循環流通部60に接続されている。
更にまた、本実施形態の燃料供給装置は、改質燃料流通部50に接続された改質燃料分離部70と、改質燃料分離部70に接続された水低減改質燃料流通部80とを備える。
ここで、改質燃料分離部70は、排気流通部110において第1熱交換手段63よりも上流側に設置されており、外部及び排気流通部110の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第4熱交換手段71としても機能する。
【0072】
熱交換により、改質燃料から水を分離すること以外は、第1実施形態と同様である。排気温度が高い(370℃以上)場合には、外気を導入するなどして、改質燃料と水とに分離される温度まで冷却して水を分離する。排気温度が低い場合には排気と熱交換するなどして、改質燃料と水とに分離されるま温度まで冷却して水を分離する。水を回収する場合には、別個の熱交換手段(図示せず)を設け更に外気などを導入するなどして、冷却することができる。回収した水は例えば水タンクなどに戻すことができる。
なお、水低減改質燃料を高温・高圧のまま内燃機関へ噴射することが、燃焼効率の観点から好ましい。水を含む改質燃料を内燃機関に噴射する場合に比べて、分離回収するための冷却伴って放出される熱エネルギを第1熱交換手段や第3熱交換手段で回収できるため、エネルギ効率が向上する。また、水を回収し再利用することができるため、水の補給量を少なくでき、装置の小型化が可能となる。
【0073】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。図4に示す本実施形態の燃料供給装置は、上述した第2実施形態に係る燃料供給方法の実施に好適に用いられる。
同図に示すように、本実施形態の燃料供給装置は、原燃料流通部10と、原燃料流通部10に設置された原燃料加圧手段の一例である圧縮機11と、原燃料流通部10の下流端に接続された第1逆流防止手段の一例である逆止弁13と、第1水流通部20aと、第1水流通部20aに設置された第1水加圧手段の一例である圧縮機21と、第1水流通部20aの下流端に接続された第2逆流防止手段の一例である逆止弁23と、逆流防止手段23に接続された第2水流通部20bと、第2水流通部20bに設置された水加圧手段の一例である圧縮機61と、第1逆流防止手段13及び第2水流通部20bに接続された原燃料−水流通部30と、原燃料−水流通部30に接続された、原燃料及び水を含有する混合物を混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒41を有する改質部40と、改質部40に接続された改質燃料流通部50と、改質燃料流通部50に接続された改質燃料分離部70と、改質燃料分離部70に接続された水低減改質燃料流通部80と、改質燃料分離部70に接続された第3水流通部20cと、第3水流通部20cと第2水流通部20bとに接続された水減圧手段の一例である膨張弁62とを備える。
また、本実施形態の燃料供給装置は、第2水流通部20b、原燃料−水流通部30、改質部40、改質燃料流通部50、改質燃料分離部70、第3水流通部20c及び水減圧手段62とを構成要素として有する水循環流通部60を備える。
更に、本実施形態の燃料供給装置は、水循環流通部60において水加圧手段61と水減圧手段62との間に設置された、内燃機関100の排気流通部110と水循環流通部60との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段63と、排気流通部110における第1熱交換手段63よりも下流側に、且つ、原燃料流通部10において原燃料加圧手段11よりも下流側に設置された、排気流通部110と原燃料流通部10との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段12とを備える。
ここで、原燃料−水流通部30は、水循環流通部60における混合により熱交換を可能とする第2熱交換手段64として機能する。
【0074】
循環作動媒体を水にして、昇温された水と原燃料とを混合させて混合物を例えば超臨界状態にすることにより、原燃料−水流通部が第2熱交換手段として機能するため、装置の小型化が可能となる。
なお、水循環流通部を循環する循環作動媒体である水は、一部が原燃料の改質反応において消費されるため、水を補給する必要があるが、水を圧縮機で必要な圧力にし、逆止弁を介して水循環流通部に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。
【図2】第2実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。
【図3】第3実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。
【図4】第4実施形態に係る燃料供給装置を示す構成概略図である。
【符号の説明】
【0076】
10 原燃料流通部
11 原燃料加圧手段(圧縮機)
12 第3熱交換手段(熱交換器)
13 第1逆流防止手段(逆止弁)
20 水流通部
20a第1水流通部
20b第2水流通部
20c第3水流通部
21 水加圧手段(圧縮機)
22 第3熱交換手段(熱交換器)
23 第2逆流防止手段(逆止弁)
30 原燃料−水流通部
31 原燃料−水加圧手段(圧縮機)
32 第3熱交換手段(熱交換器)
40 改質部
41 改質用触媒
50 改質燃料流通部
60 作動媒体循環流通部
61 作動媒体加圧手段(圧縮機)
62 作動媒体減圧手段(膨張弁)
63 第1熱交換手段(熱交換器)
64 第2熱交換手段(熱交換器)
65 循環作動媒体流通部
66 作動媒体圧力制御手段(加圧減圧機)
70 改質燃料分離部
80 水低減改質燃料流通部
100 内燃機関
110 排気流通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、該内燃機関用原燃料及び該水の双方の臨界温度以上の温度で又は該混合物中の内燃機関用原燃料及び水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、該内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を該改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、該改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法であって、
上記内燃機関の排気と、上記内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体との間で熱交換して、該循環作動媒体を加熱する第1工程と、
加熱された上記循環作動媒体を加圧手段により圧縮昇温させる第2工程と、
上記加圧手段により圧縮昇温された上記循環作動媒体と上記内燃機関用原燃料及び上記水の少なくとも一方との間で熱交換して、該内燃機関用原燃料及び該水の少なくとも一方を加熱する第3工程と、
冷却された上記循環作動媒体を減圧手段により膨張降温させる第4工程と、
を含むことを特徴とする燃料供給方法。
【請求項2】
上記改質燃料と外部及び上記内燃機関の排気の少なくとも一方との間で熱交換して、上記改質燃料から水を分離する第5工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給方法。
【請求項3】
上記内燃機関の運転状態に応じて、上記循環作動媒体の流量を制御する第6工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給方法。
【請求項4】
原燃料流通部と、
水流通部と、
上記原燃料流通部及び上記水流通部に接続された原燃料−水流通部と、
上記原燃料−水流通部に設置された原燃料−水加圧手段と、
上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段よりも下流側に設置若しくは上記原燃料−水流通部に接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、
上記改質部に接続された改質燃料流通部と、
作動媒体循環流通部と、
上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体加圧手段と、
上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体減圧手段と、
上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の一方に設置された、内燃機関の排気流通部と上記作動媒体循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、
上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の他方に、且つ、上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段よりも下流側に設置された、上記作動媒体循環流通部と上記原燃料−水流通部との間での熱交換を可能とする第2熱交換手段と、
上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料−水流通部において上記原燃料−水加圧手段と上記第2熱交換手段との間に設置された、上記排気流通部と上記原燃料−水流通部との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、
を備えることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項5】
原燃料流通部と、
水流通部と、
上記原燃料流通部及び上記水流通部に接続された原燃料−水流通部と、
上記原燃料流通部に設置された原燃料加圧手段及び上記水流通部に設置された水加圧手段と、
上記原燃料−水流通部に設置若しくは接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、
上記改質部に接続された改質燃料流通部と、
作動媒体循環流通部と、
上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体加圧手段と、
上記作動媒体循環流通部に設置された作動媒体減圧手段と、
上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の一方に設置された、内燃機関の排気流通部と上記作動媒体循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、
上記作動媒体循環流通部において上記作動媒体加圧手段と上記作動媒体減圧手段との間の他方に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側、上記水流通部において上記水加圧手段よりも下流側、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つの位置に設置された、上記作動媒体循環流通部と上記原燃料流通部、上記水流通部、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第2熱交換手段と、
上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側、上記水流通部において上記水加圧手段よりも下流側、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つの位置に設置された、上記排気流通部と上記原燃料流通部、上記水流通部、及び上記原燃料−水流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、
を備えることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項6】
上記改質燃料流通部に接続された改質燃料分離部と、
上記改質燃料分離部に接続された水低減改質燃料流通部と、
を備え、
上記改質燃料分離部は、上記排気流通部において上記第1熱交換手段よりも上流側に設置された、外部及び上記排気流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第4熱交換手段であることを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料供給装置。
【請求項7】
上記作動媒体循環流通部における循環作動媒体の流量を制御する流量制御手段を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つの項に記載の燃料供給装置。
【請求項8】
内燃機関用原燃料及び水を含む混合物を、該内燃機関用原燃料及び該水の双方の臨界温度以上の温度で又は該混合物中の内燃機関用原燃料及び水の双方が超臨界状態又は亜臨界状態で改質用触媒と接触させ、該内燃機関用原燃料を改質燃料へ改質し、内燃機関の排気の有する熱エネルギの少なくとも一部を該改質燃料の有する化学エネルギとして回収し、該改質燃料を該内燃機関へ供給する燃料供給方法であって、
上記内燃機関の排気と、上記内燃機関の排気の有する熱エネルギを回収するために利用する、減圧手段により膨張降温された循環作動媒体である水との間で熱交換して、該循環作動媒体である水を加熱する第1’工程と、
加熱された上記循環作動媒体である水を加圧手段により圧縮昇温させる第2’工程と、
上記加圧手段により圧縮昇温された上記循環作動媒体である水と上記内燃機関用原燃料との間で該循環作動媒体である水と該内燃機関用原燃料とを混合することにより熱交換して、該内燃機関用原燃料を加熱する第3’工程と、
上記改質燃料から上記循環作動媒体である水を分離する第4’工程と、
上記循環作動媒体である水を減圧手段により膨張降温させる第5’工程と、
を含むことを特徴とする燃料供給方法。
【請求項9】
上記第4’工程は、上記改質燃料と外部及び上記内燃機関の排気の少なくとも一方との間で熱交換して、上記改質燃料から上記循環作動媒体である水を分離する第4’工程であることを特徴とする請求項8に記載の燃料供給方法。
【請求項10】
上記内燃機関の運転状態に応じて、上記循環作動媒体の流量を制御する第6’工程を更に含む、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料供給方法。
【請求項11】
原燃料流通部と、
上記原燃料流通部に設置された原燃料加圧手段と、
上記原燃料流通部の下流端に接続された第1逆流防止手段と、
第1水流通部と、
上記第1水流通部に設置された第1水加圧手段と、
上記第1水流通部の下流端に接続された第2逆流防止手段と、
上記第2逆流防止手段に接続された第2水流通部と、
上記第2水流通部に設置された第2水加圧手段と、
上記第1逆流防止手段及び上記第2水流通部に接続された原燃料−水流通部と、
上記原燃料−水流通部に設置若しくは接続された、原燃料及び水を含有する混合物を該混合物と接触して改質燃料に改質する、改質用触媒を有する改質部と、
上記改質部に接続された改質燃料流通部と、
上記改質燃料流通部に接続された改質燃料分離部と、
上記改質燃料分離部に接続された水低減改質燃料流通部と、
上記改質燃料分離部に接続された第3水流通部と、
上記第3水流通部と上記第2水流通部とに接続された水減圧手段と、
上記第2水流通部、上記原燃料−水流通部、上記改質部、上記改質燃料流通部、上記改質燃料分離部、第3水流通部及び水減圧手段とを構成要素として有する水循環流通部と、
上記水循環流通部において上記水加圧手段と上記水減圧手段との間に設置された、内燃機関の排気流通部と上記水循環流通部との間での熱交換を可能とする第1熱交換手段と、
上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも下流側に、且つ、上記原燃料流通部において上記原燃料加圧手段よりも下流側に設置された、上記排気流通部と上記原燃料流通部との間での熱交換を可能とする第3熱交換手段と、
を備え、
上記原燃料−水流通部は、上記水循環流通部における混合により熱交換を可能とする第2熱交換手段であることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項12】
上記改質燃料分離部は、上記排気流通部における上記第1熱交換手段よりも上流側に設置された、外部及び上記排気流通部の少なくとも1つとの間での熱交換を可能とする第4熱交換手段であることを特徴とする請求項11に記載の燃料供給装置。
【請求項13】
上記作動媒体循環流通部における循環作動媒体である水の流量を制御する流量制御手段を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−287403(P2009−287403A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137617(P2008−137617)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】