説明

燃料噴射ノズルに対する押さえ

【課題】高い負荷に耐えられる極めて廉価な押さえを創出する。
【解決手段】内燃機関の燃料噴射ノズルに対する押さえ1が、肉薄の鋼板から打抜き・曲げ加工技術的に形成されていて、直立した2つの側壁2を有しており、両側壁2の上面3が、その長手方向中間4の区分において、ねじ開口6を備えた横方向梁5によって橋渡しされており、これによって、横断面図で見て、逆U字形の断面形状が付与されており、各端部9,12が、フォーク状に開いて付与されており、側壁2の下面7が、側壁2の終端面8のところで緊締面として付与されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内燃機関の燃料噴射ノズルに対する押さえに関する。
【背景技術】
【0002】
質的制御されるかまたは量的制御される内燃機関の燃料噴射ノズルに対する押さえは公知である。この公知の押さえは、一次成形技術的に鋳造によって製造されているかまたは二次成形技術的に鍛造によって製造されている。この押さえは過度に大きな重量を有している。この押さえの製造プロセスは、大量生産において過度に高価であると見なされる。また、比較的僅かな寸法安定性が付与されている。それに加えて、通常、さらに切削による後加工プロセスが行われなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、高い負荷に耐えられる極めて廉価な押さえを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために本発明に係る押さえによれば、該押さえが、肉薄の鋼板から打抜き・曲げ加工技術的に形成されていて、直立した2つの側壁を有しており、両側壁の上面が、その長手方向中間の区分において、ねじ開口を備えた横方向梁によって橋渡しされており、これによって、横断面図で見て、逆U字形の断面形状が付与されており、各端部が、フォーク状に開いて付与されており、側壁の下面が、側壁の終端面のところで緊締面として付与されている。
【0005】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、押さえに、切削による後加工が使用されていない。
【0006】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、側壁に、一貫して等しい厚さが内在しており、つまり、側壁が、一貫して等しい厚さを有しており、側壁が、折り曲げられずに、ほぼ梁状に長手方向に延びている。
【0007】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、側壁が、該側壁を結合する横方向梁で上面から離れる方向に膨出されている。
【0008】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、側壁の緊締面のところの範囲が型押し加工されている。
【0009】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、ねじ開口が、横方向梁の中心に位置していて、打抜き加工されている。
【0010】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、押さえが、その長手方向中心平面および横方向中心平面を基準として鏡像対称的である。
【0011】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、押さえが、両端部で噴射ノズルとの接触のために設けられている。
【0012】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、押さえが、一方の端部で噴射ノズルとの接触のために設けられていて、他方の端部で、内燃機関のシリンダヘッドを起点として延びる支持面との接触のために設けられている。
【0013】
本発明に係る押さえの有利な態様によれば、ねじ開口の取囲み範囲が、残りの押さえ範囲よりも著しく少ない表面粗さを有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前述した課題は、緊締ジョーとも呼ばれる押さえが、肉薄の鋼板から打抜き・曲げ加工技術的に形成されており、両側壁の上面が、その長手方向中間の区分において、ねじ開口を備えた、有利には膨出された横方向梁によって橋渡しされており、これによって、横断面図で見て、逆U字形の断面形状が形成されており、各端部が、フォーク状に開いており、側壁の下面が、開いた終端面のところで緊締面として付与されていることによって解決される。
【0015】
したがって、前述した欠点なしに、ジオメトリ(幾何学形状)に関して極めて単純に形成された押さえが提供されている。鋼板として、たとえば肌焼き/浸炭窒化されて、次いで、焼き戻しされた肌焼き鋼が可能である。この肌焼き鋼の肉薄性にもかかわらず、押さえは優れた剛性を有している。また、良好な寸法安定性を獲得することができ、これによって、切削による後加工または別の後加工を通常省略することができる。請求項1に記載の「緊締面」とは、緊締したいただ1つの噴射ノズルしか備えない態様では、シリンダヘッドまたはシリンダヘッドに結合された構成部材に対する載着面として機能する面も意味している(以下の説明参照)。
【0016】
本発明に係る押さえの側壁は、クランク状に折り曲げられていない完全に平滑壁状の経過を有している。このことは、構成部材簡略化にさらに貢献している。
【0017】
本発明の別の具体的な態様によれば、ねじ開口を打抜き加工することが提案されている。このことは、ブランク/金属薄板帯材からの押さえの本来の打抜き・曲げ加工プロセスの間に一緒に実現される。ねじ開口の取囲み範囲は、有利には比較的僅かな粗さ(≦Ra3.2)を備えて形成されており、これによって、組付けにおいて切欠き係数が最小化されている。
【0018】
本発明の更なる態様では、側壁の緊締面のところの範囲を付加的に型押し加工することが提案されている。したがって、この重要な機能範囲に良好な寸法安定性と高い表面品質とが付与されている。
【0019】
押さえは、ただ1つの噴射ノズルをシリンダヘッドに緊締するために設計することができる。しかし、これに関して、各端部にそれぞれ1つの噴射ノズルを位置固定することも同様に提案されている。たとえば本発明に係る押さえの取扱いおよび組付けに関して、押さえをその長手方向中心平面および横方向中心平面を基準として鏡像対称的に形成することが有利である。したがって、たとえば、ただ1つの噴射ノズルを緊締するための態様では、押さえのうちのどちらの端部をシリンダヘッドに接触させ、どちらの端部を噴射ノズルに係合させるかは重要とならない。
【0020】
本発明に係る押さえは、噴射技術/エンジン構造以外、一般的には、ワークピースを位置固定するための機械構造またはこれに類する分野等に使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】燃料噴射ノズルに対する押さえの立体図である。
【図2】1つの噴射ノズルに係合した押さえの概略的な組付け図である。
【図3】2つの噴射ノズルに作用した押さえの概略的な組付け図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0023】
図1には、内燃機関の燃料噴射ノズル10に対する押さえ1が示してある。この押さえ1は肉薄の鋼板から成っていて、切削による後加工なしに、打抜き・曲げ加工技術的に形成されている。
【0024】
押さえ1は、真っ直ぐに延びる直立した2つの側壁2を有している。両側壁2の上面3はその長手方向中間4の区分において、側壁2に一体に結合された横方向梁5によって橋渡しされている。なお、この横方向梁5は中心のねじ開口6を備えている。したがって、横断面図で見て、長手方向中間4の区分に逆U字形の断面形状が付与されている。認めることができるように、側壁2は、両側壁2を結合する横方向梁5で上面3から離れる方向に膨出されている。
【0025】
押さえ1の各端部9,12はフォーク状にもしくは二又に開いている。側壁2の下面7は、側壁2の終端面8のところで、つまり、終端面8に隣接した範囲で緊締面として形成されている。この範囲は付加的に型押し加工されている。
【0026】
図2では、押さえ1が一方の端部9で噴射ノズル10に接触している。他方の端部12で押さえ1は、内燃機関のシリンダヘッド14を起点として延びる支持面11に載置されている。
【0027】
図3では、押さえ1が、その各端面9,12で噴射ノズル10に接触するために働く。このためには、押さえ1が、各噴射ノズル10に設けられた溝13内に係合し、この溝13の下面に支持される。
【0028】
さらに、図2および図3から明らかであるように、押さえ1は、そのねじ開口6に装着されたねじ締結手段15によって相応にシリンダヘッド14に結合されている。したがって、ねじ締結手段15が所要の押さえ力を加えている。
【符号の説明】
【0029】
1 押さえ
2 側壁
3 上面
4 長手方向中間
5 横方向梁
6 ねじ開口
7 下面または緊締面
8 終端面
9 一方の端部
10 燃料噴射ノズル
11 支持面
12 他方の端部
13 溝
14 シリンダヘッド
15 ねじ締結手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に内燃機関の燃料噴射ノズルに対する押さえ(1)において、該押さえ(1)が、肉薄の鋼板から打抜き・曲げ加工技術的に形成されていて、直立した2つの側壁(2)を有しており、両側壁(2)の上面(3)が、その長手方向中間(4)の区分において、ねじ開口(6)を備えた横方向梁(5)によって橋渡しされており、これによって、横断面図で見て、逆U字形の断面形状が付与されており、各端部(9,12)が、フォーク状に開いて付与されており、側壁(2)の下面(7)が、側壁(2)の終端面(8)のところで緊締面として付与されていることを特徴とする、押さえ。
【請求項2】
押さえ(1)に、切削による後加工が使用されていない、請求項1記載の押さえ。
【請求項3】
側壁(2)に、一貫して等しい厚さが内在しており、側壁(2)が、折り曲げられずに、ほぼ梁状に長手方向に延びている、請求項1記載の押さえ。
【請求項4】
側壁(2)が、該側壁(2)を結合する横方向梁(5)で上面(3)から離れる方向に膨出されている、請求項1記載の押さえ。
【請求項5】
側壁(2)の緊締面(7)のところの範囲が型押し加工されている、請求項1記載の押さえ。
【請求項6】
ねじ開口(6)が、横方向梁(5)の中心に位置していて、打抜き加工されている、請求項1記載の押さえ。
【請求項7】
押さえ(1)が、その長手方向中心平面および横方向中心平面を基準として鏡像対称的である、請求項1記載の押さえ。
【請求項8】
押さえ(1)が、両端部(9,12)で噴射ノズル(10)との接触のために設けられている、請求項1記載の押さえ。
【請求項9】
押さえ(1)が、一方の端部(9)で噴射ノズル(10)との接触のために設けられていて、他方の端部(12)で、内燃機関のシリンダヘッド(14)を起点として延びる支持面(11)との接触のために設けられている、請求項1記載の押さえ。
【請求項10】
ねじ開口(6)の取囲み範囲が、残りの押さえ範囲よりも著しく少ない表面粗さを有している、請求項1または6記載の押さえ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−83258(P2013−83258A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223533(P2012−223533)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【出願人】(512006239)シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (59)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】