説明

燃料改質システム、燃料改質システムを用いた自動車、及び燃料改質方法

【課題】燃料改質の反応速度を向上させるとともに、1‐アルケンや増炭生成物を得ることができるようにする。
【解決手段】燃料改質システムは、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にする臨界化装置と、臨界化装置から送出され、かつ、互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを加熱混合する燃料加熱混合装置と、この燃料混合装置から送出された混合流体を改質する改質装置とを有する。燃料改質方法は、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にした後、その超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを互いに混流させて加熱混合し、その加熱混合した混合流体を改質する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関や燃料電池等に用いられるものであり、改質しようとする互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを混合するための燃料改質システム、燃料改質システムを用いた自動車、及び燃料改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、燃料供給装置とした名称で、引用文献1に記載された構成のものがある。
引用文献1に記載された燃料供給装置は、内燃機関に燃料を供給するものであり、その燃料を加圧及び加熱することにより超臨界状態とする超臨界状態生成手段と、超臨界状態となった燃料の改質を行う改質触媒とを備え、超臨界状態となり改質された燃料を前記内燃機関に供給することを特徴としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−1625860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記引用文献1に記載のものでは、改質しようとする互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを、必ずしも十分に混合することができていないという欠点がある。
【0005】
そこで本発明は、燃料改質の反応速度を向上させることができる燃料改質システム、燃料改質システムを用いた自動車、及び燃料改質方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料改質システムは、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にする臨界化装置と、臨界化装置から送出され、かつ、互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを加熱混合する燃料加熱混合装置と、この燃料混合装置から送出された混合流体を改質する改質装置とを有することを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る自動車は、上記した燃料改質システムを搭載し、その燃料改質システムによって改質した燃料ガスを内燃機関に送給するようにしたことを特徴としている。
【0008】
同上の目的を達成するための本発明に係る燃料改質方法は、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にした後、その超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを互いに混流させて加熱混合し、その加熱混合した混合流体を改質することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃料改質の反応速度を促進向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体混合装置を適用した内燃機関システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】同上の流体混合装置の構造を示す説明図である。
【図3】一例に係る混合機構の要部をなす複数の混合プレートの配列を示す説明図である。
【図4】他例に係る混合機構の要部をなす複数の混合プレートの配列を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る流体燃料改質システムを適用した内燃機関システムの概略構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す一例に係る内燃機関システムAは、内燃機関10、改質燃料溜め15、燃料改質システムE、及びエンジンコントロールユニットC及び図示しない水タンク,燃料タンクを有して構成されている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る燃料改質システムEは、臨界化装置D、流体混合装置B及び改質装置30を有している。
臨界化装置Dは、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にするためのものであり、水加熱部40、燃料加熱部50、水高圧ポンプ60及び燃料高圧ポンプ70を有している。
【0014】
水高圧ポンプ60は、水タンク(図示しない)から送給された水を所要の臨界圧力以上に昇圧して圧送する機能を有するものであり、昇圧された水は送給パイプ61を通じて水加熱部40に送給するようになっている。
【0015】
水加熱部40は、水高圧ポンプ60から送給パイプ61を通じて圧送された水を、所要の臨界温度に加熱昇温する機能を有するものであり、加熱された水は送給パイプ41を通じて、詳細を後述する流体混合装置Bに送給されるようになっている。
【0016】
燃料高圧ポンプ70は、図示しない燃料タンクから送給された燃料を所要の臨界圧力に昇圧して圧送する機能を有するものであり、昇圧された燃料は連結パイプ71を通じて燃料加熱部50に圧送するようになっている。
【0017】
燃料加熱部50は、燃料高圧ポンプ70から送給パイプ71を通じて圧送された燃料を、所要の臨界温度に加熱昇温する機能を有するものであり、加熱された燃料は送給パイプ51を通じて、流体混合装置B1に送給されるようになっている。
【0018】
一例に係る流体混合装置Bは、図2に示す構造になっている。図2は、一例に係る流体混合装置B1の構造を示す説明図である。
まず、一例に係る流体混合装置Bは、改質しようとする互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを、改質反応を促進させるように加熱混合する加熱混合機構D1を有しており、その構造は次のとおりである。
ここで「超臨界状態」とは、燃料や水を臨界圧力以上の圧力下で臨界温度以上の温度まで昇温することにより得られる状態を意味する。液体状の燃料を超臨界状態にまで昇圧昇温させることにより、燃料は気体に相変化するが、超臨界状態での気体は極めて高い密度を有するために液体に近い物性を示す。
【0019】
一方、「亜臨界状態」は超臨界状態に近い状態のことである。
すなわち、「亜臨界状態」とは、その物質の温度又は圧力若しくはそれら双方が臨界圧力、臨界温度を下回った状態であり、臨界点に近い状態を指す。通常は、温度が沸点以上、臨界温度以下、圧力が1気圧から臨界圧力までの範囲が亜臨界状態である。
【0020】
流体混合装置Bは、両端を開口した円筒形のケース80内に、流路形成体81、一例に係る加熱混合機構D1、及び流路形成体82〜85を、混合流体の流れ方向αに沿って順次配列するとともに、ケース80の外周面に加熱体20を被覆形成した構造のものである。
【0021】
加熱体20は、ケース80の両端部間に亘る長さに形成された円筒形のものであり、たとえばニクロム線等の発熱部材が巻回して設けられている。
すなわち、この加熱体20は、水加熱部40及び燃料加熱部50から送出され、詳細を後述する加熱混合機構D1で混合される混合流体の温度を、混合と同時に加熱調整するものであり、後述するエンジンコントロールユニットCによって温度制御されるようになっている。
【0022】
流路形成体81は、ケース80の内径よりもやや大きな外径にした鍔部81aと、そのケース80内に嵌入する円柱形の嵌入部81bとを一体に形成したものであり、その中心軸線O1に一致して、断面円形の流路形成孔81cを配設したものである。なお、42は、図1に示す送給パイプ41,51を連結した連結パイプである。
【0023】
次に、一例に係る加熱混合機構D1について、図3をも参照して説明する。図3は、一例に係る加熱混合機構の要部をなす複数の混合プレートの配列を示す説明図である。
一例に係る混合機構D1は、上記燃料と水との混合流体の流れ方向を少なくとも一回以上変化させるものであり、4枚の混合プレート90〜93を一組とした、合計六組のプレート群d1〜d6を有している。
【0024】
プレート群d1〜d6は、混合流体の流動方向αに沿って互いに積層した状態で、円板形の挟持板94,95間に挟持し、かつ、複数本のボルト96…により、挟持したプレート群d1〜d6を押圧するように挟持板94,95どうしを螺着したものである。
【0025】
挟持板95には、上記中心軸線O1に一致して、換言すると、上記流路形成孔81cに対向する位置に円形の流路形成孔95aが形成され、また、挟持板94には、上記混合プレート93の後述する混合用孔93aに対向する位置に円形の流路形成孔94aが形成されている。
【0026】
図3に示すように、混合プレート90は所要の外径と厚みにした円板形のものであり、中心軸線O1を通過する直径線O2を中心とした所要の幅と長さにした縦長方形の開口90aを形成したものである。なお、90b,90bは、混合プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0027】
混合プレート90の外径,厚みについて一例を示すと、例えば直径10mm、厚み0.1mmに形成することができる。また、開口90aの幅,長さについては、上記した混合流体の流量や流速等を勘案して設定すればよいものである。
【0028】
混合プレート91は、混合プレート90と同じ外径と厚みにした円板形のものであり、スリット91aを形成したものである。
スリット91aは、直径線O2を中心とする所要幅の横長方形に形成されており、具体的には、混合プレート90の開口90aの幅と同じ寸法に形成されており、その開口90aに臨む位置であって一方の辺縁(図示上辺縁)90a′近傍に配設されている。
なお、91b,91b(一方は図示していない)は、上記した位置合わせ用孔90b,90bに対応する位置に形成された、混合プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0029】
混合プレート92は、上記混合プレート90,91と同じ外径と厚みにした円板形のものであり、中心軸線O1を通過する直径線O2を中心とした所要の幅と長さにした縦長方形の開口92aを形成したものである。なお、92b,92bは、混合プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0030】
混合プレート93は、混合プレート92と同じ外径と厚みにした円板形のものであり、スリット93aを形成したものである。
スリット93aは、直径線O2を中心とする所要幅の横長方形に形成されており、具体的には、混合プレート92の開口92aの幅と同じ寸法に形成されており、その開口92aに臨む位置であって他方の辺縁92a″近傍に配設されている。
なお、93b,93bは、上記位置合わせ用孔90b,90bに対応する位置に形成された、混合プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0031】
プレート群d1〜d6をなす混合プレート90〜93の各表面には、本実施形態においては、改質触媒を塗布している。
改質触媒成分としては、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、銅、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタンからなる群から選択される1種または2種以上の成分並びに、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、および酸化アルミニウム、酸化タングステンからなる群から選択される1種又は2種以上のものを含有するハロゲン、硫酸イオン、リン酸イオンなどが含まれないことが望ましい。
【0032】
なお、本実施形態においては、改質触媒をプレート群d1〜d6をなす混合プレート90〜93の各表面に塗布とした例について説明したが、必要に応じてプレート群d1〜d6の少なくともいずれか一の群をなす混合プレートのみに塗布するようにしてもよい。
要するに、必要に応じ枚数の混合プレートに塗布すればよい。
さらに、混合プレートに塗布することに限るものではなく、混合流体が接触する流路に塗布することができる。
【0033】
図2に示す流路形成体82は、中心に流路形成孔82aを形成した円柱形の本体82bに、上記ボルト96…を挿入するボルト孔82c…を形成した円板形の鍔部82dと、この鍔部82dの外周縁に周壁82eを一体に形成したものである。
流路形成体83,84は、中心に流路形成孔83a,84aをそれぞれ形成した円柱形のものである。
【0034】
上記構成からなる流体混合装置Bの作用を加熱混合機構D1を中心として、図2,3を参照して説明する。
まず、燃料改質方法は、燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にした後、その超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを互いに混流させて加熱混合し、その加熱混合した混合流体を改質することを内容としたものであり、その詳細は次のとおりである。
すなわち、図2に示す連結パイプ42から流体混合装置Bに流入した当該混合流体は、各プレート群d1〜d6において、混合プレート93のスリット93aを通じて混合プレート92の開口92aの他方の辺縁92a″に噴出する。
【0035】
混合プレート92の開口92aの他方の辺縁92a″に噴出した混合流体は、その他方の辺縁92a″から一方の辺縁92a´に向け、その流れ方向が直角に変化する。
【0036】
そして、一方の辺縁92a′において、混合プレート91のスリット91aに向け、再度その流れ方向が直角に変化し、今度は、当該スリット91aを通じて、混合プレート90の開口90aの一方の辺縁90a′に噴出される。
【0037】
すなわち各プレート群d1〜d6において、その流れ方向が2回変化し、本実施形態においては、プレート群d1〜d6を流通する間に、流れ方向を12回変化させている。これにより、燃料改質の反応速度を促進向上させられる。
【0038】
図1に示す改質装置30は、上述した流体混合装置Bから送出された燃料ガスの改質を行うものであり、ここで改質された燃料ガスは、流路である送給パイプ31を通じて改質燃料溜め15に送給するようになっており、後述するエンジンコントロールユニットCによって温度制御されるようになっている。
【0039】
改質燃料溜め15は、所要量の燃料を一時的に貯留しておくものであり、これに一時的に貯留された燃料は、送給パイプ16を通じて内燃機関10に送給されるようになっている。
【0040】
エンジンコントロールユニットCは、CPU(Central Processing Unit)、インターフェース回路及びメモリ(いずれも図示しない)等からなるものである。そのエンジンコントロールユニットCの入力ポートには、内燃機関10から送出される各種の信号とともに、改質装置30や加熱混合機構D1の温度を測定するための温度センサ(図示しない)等が接続されている。
また、出力ポートには、加熱体20、改質装置30、水加熱部40、燃料加熱部50、水高圧ポンプ60及び燃料高圧ポンプ70が接続されている。
【0041】
上記のエンジンコントロールユニットCは、そのメモリに記憶されている所要のプログラムの実行により、改質装置30から送出された燃料ガスに含まれる特定の中間生成物の生成度合いに基づいて、加熱体20の温度を昇降する機能を有している。これを「温度調整手段C1」という。
【0042】
「特定の中間生成物の含有度合い」と加熱体20の温度との関係については、予め図示しないメモリに記憶させておき、これを参照して加熱体20の温度を昇降するようにしている。
「中間生成物」としては、原料燃料に対して軽質化した、エタンやプロパンなどの直鎖飽和炭化水素類、分岐飽和炭化水素類、エチレン、プロピレン、ブテンなど不飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール、ケトン、カルボン酸等の含酸素化合物がある。
これらのうち、「特定の中間生成物」は、その目的により異なり、例えばオクタン価向上を狙う場合は分岐飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類が該当し、またディーゼル燃料の着火性向上を狙う場合は含酸素化合物が該当する。
【0043】
上述した一実施形態に係る装置によれば、次の各効果を得ることができる。
・混合状態を向上することにより、燃料改質の反応速度を向上させることができる。
また、例えば燃料として軽油等を採用した場合、その着火性を向上させることができる。
【0044】
・改質反応停止手段を設けた構成にすることにより、高速な超臨界反応を制御可能となり、所望の生成物を生成できるようになる。
・上述した燃料改質システムを搭載し、その燃料改質システムによって改質した燃料ガスを内燃機関に送給するようにした自動車によれば、コンパクトに構成することができるので、自動車に搭載する上で好適である。
【0045】
次に、他例に係る加熱混合機構について、図4を参照して説明する。図4は、他例に係る加熱混合機構の要部をなす複数の混合プレートの配列を示す説明図である。なお、他例に係る加熱混合機構は、上述した加熱混合機構D1と、混合用プレートの構成を除いて同等の構成になっているので、本例においては混合用プレートについてのみ説明する。
【0046】
加熱混合機構D2は、上記した燃料と水との混合流体を、少なくとも一回以上の分流をし又は合流をさせる機能を有するものであり、具体的には、上記燃料と水との混合流体の流路を、少なくとも一回以上の分流をし又は合流をさせるための複数の混合プレートを互いに所要の間隔で配列した構成にしている。
【0047】
本例において示す混合用プレート100〜103は、互いに同一の外径にした円板形に形成したものであり、それらを一組として使用する。
混合用プレート100は、中心軸線O1を通る直径線O2上であって、中心軸線O1を挟む両側対称位置に円形の流通孔100a,100aを配設したものである。なお、100b,100bは、混合用プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0048】
混合用プレート101は、中心軸線O1を通る直径線O2上に、上記流通孔100a,100aを内部に臨ませる長さにした図示縦長の流通開口101aを形成したものである。なお、101b,101bは、混合用プレートどうしの位置合わせ用孔である。
混合用プレート102は、中心軸線O1に一致して円形の流通孔102aを形成したものである。なお、102b,102bは混合用プレートどうしの位置合わせ用孔である。
混合用プレート103は、中心軸線O1を通る直径線O2上であって、中心軸線O1を挟む両側対称位置に円形の流通孔103a,103aを配設したものであり、上記混合用プレート100と同等の構成からなるものである。
なお、103b,103bは、混合用プレートどうしの位置合わせ用孔である。
【0049】
以上の構成からなる一組の混合用プレート100〜103では、図2に示す連結パイプ42から流体混合装置B1に流入した当該混合流体は、混合プレート100の流通孔100a,100aを通じて、混合プレート101の開口101aの両辺縁101a′,101a″に噴出する。すなわち、2方向に分流される。
【0050】
混合プレート101の開口101aの両辺縁101a′,101a″に噴出した混合流体は、その開口に中央部に向けて流動し、混合プレート102の流通孔102aから混合プレート103の開口103aに向けて噴出される。すなわち、混合流体を合流させている。
【0051】
すなわち、燃料と水との混合流体を、少なくとも一回以上の分流をし又は合流をさせることにより、燃料改質の反応速度を促進向上させることができる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
・ 改質装置30により改質された燃料ガスの温度調整を行う温度調整部を設けた構成にしてもよい。
温度調整部は、改質装置30から送出された混合流体(燃料ガス)の流路に沿って配設され、その改質装置30から送出された燃料ガスの温度を昇降調整するものであり、次の構成になっている。
【0053】
すなわち、温度調整部は、改質装置30により改質した燃料ガスを分流分岐させる複数の分岐パイプと、それら各分岐パイプに配設した開閉バルブと、各分岐パイプの両端部に配設した加熱用電極と、各分岐パイプの温度を測定するための温度センサを有して構成されている。
【0054】
上記温度センサは、エンジンコントロールユニットCの入力ポートに接続され、また、各開閉バルブと加熱用電極は、それぞれ当該出力ポートに接続されている。
すなわち、開閉バルブを開閉することにより、燃料ガスの流通に用いる分岐パイプを選択し、選択された分岐パイプを流通する燃料ガスへの加熱時間を調整することにより、当該燃料ガスの温度を昇降調整するようにしている。
そして、上記複数の分岐パイプの一部のものに、流通する燃料ガスを冷却するための冷却部を配設するとともに、その分岐パイプ(冷却用パイプ)の燃料ガスの流入端部に開閉バルブを配設する一方、上記の冷却部と開閉バルブとをエンジンコントロールユニットCの出力ポートに接続した構成にする。
【0055】
そして、改質した燃料ガスの改質反応を停止するときには、改質装置30から送出された燃料ガスを冷却用パイプに流通させるように開閉バルブを切り替える。このエンジンコントロールユニットCが有する当該機能を、改質反応停止手段という。
【0056】
・上述した実施形態においては、特定枚数の混合用プレートを用いた例について説明したが、その枚数の設定は、燃料ガスの種類等を勘案して増減設定すればよいものである。
【0057】
・上述した実施形態においては、混合用プレートを用いた例について説明したが、上記流路を流通する混合流体に対流を起こさせるように温度差を生じさせる機能を有する構成にすることができる。
具体的には、流路を流通する混合流体に対流を起こさせるように温度差を生じさせるための加熱冷却部を有した構成にすることができる。
・上述した実施形態においては、プレート群d1〜d6をなす混合プレート90〜93の各表面に改質触媒を塗布した例について説明したが、必ずしも改質触媒を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0058】
30 改質装置
90〜93、100〜103 混合用プレート
B1 燃料混合装置
C1 温度調整手段
C2 改質反応停止手段
D1,D2 加熱混合機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にする臨界化装置と、
臨界化装置から送出され、かつ、互いに混流させた超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを加熱混合する燃料加熱混合装置と、
この燃料混合装置から送出された混合流体を改質する改質装置とを有することを特徴とする燃料改質システム。
【請求項2】
燃料加熱混合装置は、これの少なくとも一部に改質触媒を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料改質システム。
【請求項3】
燃料加熱混合装置は、上記燃料と水との混合流体の流れ方向を少なくとも一回以上変化させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質システム。
【請求項4】
燃料加熱混合装置は、上記燃料と水との混合流体の流れ方向を少なくとも一回以上変化させるための複数の混合用プレートを配列した構成を含むことを特徴とする請求項3に記載の燃料改質システム。
【請求項5】
燃料加熱混合装置は、上記燃料と水との混合流体を、少なくとも一回以上の分流をし又は合流をさせるものであることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質システム。
【請求項6】
燃料加熱混合装置は、上記燃料と水との混合流体を、少なくとも一回以上の分流をし又は合流をさせるための複数の混合プレートを互いに所要の間隔で配列していることを特徴とする請求項5に記載の燃料改質システム。
【請求項7】
燃料加熱混合装置は、これを流路を流通する混合流体に対流を起こさせるように温度差を生じさせるものであることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質システム。
【請求項8】
燃料加熱混合装置は、これを流通する混合流体に対流を起こさせるように温度差を生じさせるための加熱冷却部を有していることを特徴とする請求項7に記載の燃料改質システム。
【請求項9】
改質装置から送出された燃料に含まれる特定の中間生成物の含有度合いに基づいて、燃料混合装置の温度を昇降する温度調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料改質システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料改質システムを搭載し、その燃料改質システムによって改質した燃料ガスを内燃機関に送給するようにしたことを特徴とする燃料改質システムを用いた自動車。
【請求項11】
燃料と水とを超臨界又は亜臨界状態にした後、その超臨界状態又は亜臨界状態にある燃料と水とを互いに混流させて加熱混合し、
その加熱混合した混合流体を改質することを特徴とする燃料改質方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203340(P2010−203340A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50448(P2009−50448)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】