説明

燃料改質装置

【課題】液体燃料の物性を短時間で変化させることにより実用レベルで燃費向上を図ることが可能な燃料改質装置を提供する。
【解決手段】燃料改質装置10は、両端面11a、11bが封止された円筒状の外筒11、及び一方の端面11bから外筒11内に挿入された円筒状の内筒14からなるケーシング15と、外筒11と内筒14との間の空間及び内筒14内に充填され、液体燃料の表面張力を低下させる球形のガラス組成物17とから構成されている。ガラス組成物17は、SiO、RO(但し、RはLi、Na、及びKから選ばれる一種以上である)、CaO、Al、Fe、MgO、B、TiO、及びZnOを主成分とする。FeとMgOは、共に液体燃料の表面張力を低下させる作用があり、Feを0.2〜12質量%、MgOを1〜10質量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料の物性を変化させる燃料改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における急激な原油高騰や深刻化する地球温暖化問題への対策として、内燃機関の燃費向上が喫緊の課題となっている。そのためには、直噴エンジンやバルブ制御技術など内燃機関のさらなる性能向上を図る必要があるが、液体燃料を改質して燃焼効率を改善しようとする試みもなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、金属製外側容器の内側にガラス製又は陶磁器製内側容器を嵌合し、各容器の下部に燃料流入口、上部に燃料流出口を設け、内側容器内に800〜2300℃で焼成した放射性元素を含有するセラミックの塊状体を充填した、液体燃料の燃費改質器の発明が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、内部に複数の反応体を充填したケーシング内に化石燃料を通液することにより化石燃料の改質を行なう方法が提案されている。反応体は、核部と基層部と表層部とからなる焼成物で形成し、核部はセラミック粉体の造粒物からなり、基層部は炭化水素に固有の吸収スペクトルに等しい分子振動スペクトルを発すると共に、この分子振動スペクトルを示す伸縮振動又は変角振動を持つ鉱物を主原料とし、表層部は基層部の表面をガラス状化してなるものである。
【0005】
特許文献3では、石油系の液体燃料を改質する燃料改質装置として、内部を液体燃料が流動する筒状容器内に、Ti及びAgの一方又は両方と希土類鉱石とを含む希土類セラミック層を表層に有する燃料改質粒が収納されている燃料改質装置の発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−320670号公報
【特許文献2】特開平11−257170号公報
【特許文献3】特開2006−265293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1には、燃費改質器による如何なる作用によって液体燃料が如何に改質されるのか全く記載されておらず、信憑性に乏しい。
【0008】
また、特許文献2記載の発明では、モーター及びポンプを備えた燃料循環系により、ケーシングと燃料タンクの間において燃料を循環するとされ、化石燃料を反応体と10分接触させた結果と1時間接触させた結果が示されているが、ケーシングと燃料タンクの間で燃料を循環させるための余分なエネルギーが必要となるため、燃費の向上が図られているとは言い難い。
【0009】
さらにまた、特許文献3では、燃料改質装置を取り付けたディーゼル自動車について排出ガス試験を行い、平均排出濃度が規制値を下回る試験結果が示されているが、燃費向上を示す試験結果については示されていない。
【0010】
このように、実用に供せるような燃料改質装置は現時点で存在せず、本発明では、液体燃料の物性を短時間で変化させることにより実用レベルで燃費向上を図ることが可能な燃料改質装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る燃料改質装置は、液体燃料の流入口と流出口とを有するケーシング内に、前記液体燃料の表面張力を低下させるガラス組成物が充填されていることを特徴としている。
【0012】
(1)前記ガラス組成物が充填されているケーシング内に、ガソリン、重油、軽油などの液体燃料を通液すると、ガラス組成物に液体燃料が一定時間接触することにより当該液体燃料の表面張力が低下する。
(2)表面張力が低下した液体燃料をエンジンのシリンダ内に噴射すると、液体燃料の表面張力が小さいため、微細化された液体燃料粒子がシリンダ内に噴射される。
(3)液体燃料粒子が微細化されていると、混合気に含まれる液体燃料の総表面積が増加するため、混合気中の液体燃料は、より多くの酸素と接触する。これにより、シリンダ内の燃焼が促進され、従来に比べて燃焼時間が短縮する。
(4)燃焼時間が短縮すると、シリンダ壁面が高温ガスに晒される時間が短縮するため、シリンダ壁面の温度が低下する。
(5)シリンダ壁面の温度が低下すると、シャルルの法則により、シリンダ内に吸入される空気の密度が増加する。即ち、吸入空気量(酸素)が増加する。
(6)吸入空気量(酸素)が増加すると、エンジンの出力がアップする。エンジン出力がアップすれば、従来に比べて少ない燃料消費量で同じ出力を得ることができる。その結果、燃費を改善することができる。
【0013】
また、本発明に係る燃料改質装置では、前記ガラス組成物は、SiO、RO(但し、RはLi、Na、及びKから選ばれる一種以上である)、CaO、Al、Fe、MgO、B、TiO、及びZnOを含有するものであればよく、前記Feを0.2〜12質量%、前記MgOを1〜10質量%含有することを好適とする。
【0014】
FeとMgOは、共に液体燃料の表面張力を低下させる作用がある。Feが0.2質量%未満、MgOが1質量%未満では、その効果が現れず、Feが12質量%超、MgOが10質量%超では、ガラス組成物の浸食が顕著になり実用に供さない。
【0015】
また、本発明に係る燃料改質装置では、前記ガラス組成物が球形とされていてもよい。
ガラス組成物を球形として、液体燃料と接触するガラス組成物の表面積を増大させることにより、液体燃料の改質を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る燃料改質装置では、液体燃料の表面張力を低下させるガラス組成物が充填されているケーシング内に液体燃料を通液することにより、従来に比べて少ない燃料消費量で同じエンジン出力を得ることができ、実用レベルで燃費向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る燃料改質装置の縦断面図である。
【図2】同燃料改質装置が設置されたディーゼルエンジンの配管系統図の一例である。
【図3】同燃料改質装置の効果を検証するために実施したディーゼルエンジンの性能試験の結果を示すグラフである。
【図4】同燃料改質装置の効果を検証するために実施したディーゼルエンジンの性能試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る燃料改質装置10は、両端面11a、11bが封止された円筒状の外筒11、及び一方の端面11bから外筒11内に挿入された円筒状の内筒14からなるケーシング15と、外筒11と内筒14との間の空間及び内筒14内に充填され、液体燃料の表面張力を低下させる球形のガラス組成物17とを備え、ケーシング15を構成する外筒11及び内筒14はステンレス製とされている。
【0020】
内筒14の一方の端部は、外筒11の一方の端面11bから延出し、液体燃料の流入口12とされ、他方の端部は、液体燃料を外筒11内に吐出するための吐出口16とされている。また、内筒14内に充填されたガラス組成物17が流入口12を塞がないように、内筒14の一方の端部には、複数の孔19aが穿設されたフィルター19が内設されている。
一方、外筒11の外周部には、外筒11の一方の端面11bに近接する位置に、液体燃料の流出口13が設けられている。また、外筒11と内筒14との間の空間に充填されたガラス組成物17が流出口13を塞がないように、流出口13に近接する内筒14の外周面には、複数の孔18aが穿設されたパンチングメタル18が環装されている。
【0021】
内筒14の外周面(パンチングメタル18と吐出口16との間)には、螺旋状の突条部14aが形成されており、ガラス組成物17が充填されている空間は、突条部14aによって螺旋状に仕切られている。
流入口12から内筒14内に流入した液体燃料は、内筒14内のガラス組成物17に接触しながら吐出口16から外筒11内に吐出される。吐出口16から外筒11内に吐出した液体燃料は、外筒11と内筒14との間に形成された空間内を、ガラス組成物17に接触しながら螺旋状に移動し、流出口13から流出される。
【0022】
ガラス組成物17は、SiO、RO(但し、RはLi、Na、及びKから選ばれる一種以上である)、CaO、Al、Fe、MgO、B、TiO、及びZnOを主成分とする。これらの成分を均一に混合した後、1300〜1400℃の温度で溶融し、ガラス化されたものを球形に成形し、その後徐冷を行ってガラス組成物17を製造する。
【0023】
FeとMgOは、共に液体燃料の表面張力を低下させる作用があり、Feを0.2〜12質量%、MgOを1〜10質量%含有することが好ましく、Feを0.8〜10質量%、MgOを2〜8質量%含有すればより好ましい。Feが0.2質量%未満、MgOが1質量%未満では、その効果が現れず、Feが12質量%超、MgOが10質量%超では、ガラス組成物の浸食が顕著になり実用に供さない。
【0024】
SiOの含有比は50〜75質量%であることが好ましく、50質量%未満であると、ガラス組成物の化学的耐久性が極端に悪くなり、75質量%を超えると、溶融温度が極端に高くなり実用的でない。
O(LiO、NaO、KO)の含有比は13〜25質量%であることが好ましく、13質量%未満であると、ガラス組成物が難溶性になり、25質量%を超えると、化学的耐久性が悪くなり実用的でない。
CaOの含有比は2〜10質量%であることが好ましく、2質量%未満であると、ガラス化の際に難溶性になり、10質量%を超えると、ガラスが結晶化するので好ましくない。
Alの含有比は1〜8質量%であることが好ましく、1質量%未満であると、ガラス組成物の化学的耐久性が極端に悪くなり、8質量%を超えると、溶融温度が高くなり実用的でない。
の含有比は0.5〜5質量%であることが好ましく、0.5質量%未満であると、溶融の際に難溶性になり、5質量%を超えると、分相現象が起き実用的でない。
TiO及びZnOは、ガラス組成物の化学的耐久性を高める作用を有し、その含有比はそれぞれ0.5〜3質量%であることが好ましい。TiO及びZnOの含有比が0.5質量%未満であると、その効果が現れず、3質量%を超えると、ガラスの結晶化等の現象が起き好ましくない。
【0025】
ガラス組成物17は、液体燃料の表面張力を低下させる作用と共に、液体燃料のpH値を上昇させる作用を発揮する。液体燃料のpH値が上昇すると、液体燃料中の水素イオン濃度が上昇するので、水素結合が緩くなり、液体燃料の動粘度が低下する。
【0026】
次に、燃料改質装置10の使用方法について説明する。
図2は、燃料改質装置10が設置されたディーゼルエンジン20の配管系統の一例を示したものである。液体燃料Fを貯留する燃料タンク22から供給管23と供給管24を介してディーゼルエンジン20のインジェクター21に液体燃料Fが供給され、余剰な液体燃料Fは、戻り管25を介してインジェクター21から燃料タンク22に戻る循環経路が形成されている。この方式は、直接噴射方式(別名、インジェクション方式、ボッシュ式)と呼ばれ、液体燃料Fに予め設定された圧力を負荷しておき、インジェクター21を開く時間をコンピュータ制御することにより、適正な量の液体燃料Fをディーゼルエンジン20に供給するものである。具体的には、ディーゼルエンジン20各部に取り付けたセンサー(図示省略)によりディーゼルエンジン20の運転状況を検出し、インジェクター21を必要な時間だけ開き、インジェクター21の先端のノズルから霧状にした液体燃料Fを噴射する。直接噴射方式の利点は、きめ細かな制御が可能になることであり、排気ガスの浄化や高出力で低燃費などという、相反する条件をバランスよく制御することができる。
【0027】
本実施の形態では、供給管23と供給管24との間に燃料改質装置10が設置されている。燃料改質装置10の流入口12の手前及び流出口13の直後には、開閉バルブ27、28がそれぞれ設けられている。また、燃料改質装置10及びその前後に設けられた開閉バルブ27、28をバイパスするバイパス管26によって、供給管23と供給管24は短絡されており、バイパス管26の途中には開閉バルブ29が設けられている。
なお、供給管23と供給管24との間に燃料改質装置10を設置する際は、流出口13が上向きになるように設置する。このようにすることで、供給管24に設けたエア抜きバルブ(図示省略)から燃料改質装置10内のエアを抜き、液体燃料F供給時に気泡がディーゼルエンジン20に行かないようにする。
【0028】
燃料改質装置10を使用する場合、開閉バルブ27、28を開け、開閉バルブ29を閉じておく。燃料タンク22内の液体燃料Fは、供給管23を介して流入口12から燃料改質装置10内に流入する。燃料改質装置10によって表面張力が低下した液体燃料Fは、流出口13から供給管24を介してインジェクター21に送給される。
なお、燃料改質装置10を使用しない場合は、開閉バルブ27、28を閉じ、開閉バルブ29を開ければよい。
【0029】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、内筒の外周面に螺旋状の突条部を形成しているが、突条部はなくてもよい。また、上記実施の形態では、燃料の供給方式として直接噴射方式を例に採り説明したが、キャブレター方式でもよいことは言うまでもない。
【実施例】
【0030】
[ガラス組成物]
本発明に係るガラス組成物の実施例1〜7及び比較例1〜3の各成分比、並びに各ガラス組成物に一定時間接触した純水の表面張力及びpH値を表1に示す。因みに、ガラス組成物に非接触の純水の表面張力は0.12N/mm、pH値は6.7である。
【0031】
各ガラス組成物を純水に1時間浸漬し、懸滴法(Pendent Drop Method)により当該純水の表面張力を測定した。鉛直方向に延びる細管の下端から液体を押し出すと、細管の下端に液滴がぶら下がる。このぶら下がった液滴を「懸滴」(Pendent Drop)と呼ぶ。懸滴の形状は、押し出された液体の量、密度、表面張力に依存するため、懸滴法では、懸滴の形状を解析することにより液体の表面張力を求めるものである。
また、各ガラス組成物を純水に1時間浸漬し、pHメータF−50((株)堀場製作所製)により当該純水のpH値を測定した。
【0032】
【表1】

【0033】
表1より、実施例の表面張力が0.081〜0.095N/mmであるのに対し、比較例の表面張力は0.115〜0.125N/mmであり、比較例に比べて実施例では、表面張力が17〜35%低下していることがわかる。また、pH値については、実施例が7.0〜7.6であるのに対し、比較例は6.5〜6.8であり、比較例に比べて実施例では、pH値が3〜17%上昇していることがわかる。
【0034】
[ディーゼルエンジンの性能試験]
燃料改質装置が設置されたディーゼルエンジンの性能試験を実施した。具体的には、燃料改質装置を通過したA重油(液体燃料)が供給されるディーゼルエンジンの性能試験と、燃料改質装置を迂回したA重油(液体燃料)が供給されるディーゼルエンジンの性能試験とをそれぞれ実施し、当該性能試験結果により液体燃料の改質効果を検証した。
【0035】
使用したディーゼルエンジンは、いすゞ4BD1(T)、直接噴射方式、4サイクル4気筒頭上弁式ターボチャージャー付、4気筒φ102×118、3856cc、最高出力135ps/3000rpm、34kg・m/1800rpmである。なお、試験時の回転速度は、全負荷における最小燃費率を得る回転数近傍の2000rpm一定とした。
【0036】
使用したガラス組成物は、SiOが67.08質量%、NaOが20.00質量%、CaOが6.23質量%、Bが0.80質量%、Alが2.25質量%、TiOが1.00質量%、ZnOが1.00質量%、LiOが0.12質量%、KOが0.23質量%、Pが0.02質量%、Feが0.75質量%、MgOが0.50質量%、MnOが0.02質量%含有する第一のガラス組成物を50部、SiOが58.55質量%、NaOが16.20質量%、CaOが5.33質量%、Bが2.58質量%、Alが4.68質量%、TiOが0.43質量%、ZnOが0.52質量%、LiOが0.45質量%、KOが0.34質量%、Feが5.02質量%、FeOが0.65質量%、MgOが5.25質量%含有する第二のガラス組成物を50部混合して用いた。第一のガラス組成物及び第二のガラス組成物は、直径8mm程度の球形とし、総量で1kg程度使用した。なお、第一のガラス組成物の見掛け比重は1.44kg/L、第二のガラス組成物の見掛け比重は1.52kg/Lであった。
【0037】
試験結果を図3及び図4に示す。これらの図において、実施例は、燃料改質装置を通過したA重油がディーゼルエンジンに供給された場合、比較例は、燃料改質装置を迂回したA重油がディーゼルエンジンに供給された場合に対応する。なお、図中の各変数を以下に説明しておく。
Pmecは平均有効圧力であり、エンジンの負荷を示す。クランク軸トルクをピストンの平均圧力に換算した値である。
BSFCは燃料消費率(燃費率)で、1kW、1時間についての燃料消費量を示す。この値が小さいほど熱効率がよい。
ηcは充填効率であり、標準状態でピストン行程容積(排気量)を占める吸入空気量と測定時の気象条件で吸入した空気量との比である。
λsは吸気側空気過剰率、λeは排気ガス側空気過剰率である。供給された混合気の空燃比を理論空燃比で割った値を空気過剰率といい、吸気空気量と燃料消費量から求めた空気過剰率を吸気側空気過剰率と呼び、排気ガス中の残存酸素の割合から求めた空気過剰率を排気ガス側空気過剰率と呼ぶ。これらの値が高いほうが、燃料の消費量が少ないことになり、燃費が良いことにつながる。
γは加給比であり、ターボチャージャーにより、どの程度加給したかを示す比率である。この値が大きいほど、新しい空気を取り込めることになり、燃費低減に寄与する。
【0038】
Noiseはエンジン騒音である。
Smokeはディーゼルエンジンから排出される黒煙(煤)濃度である。黒を10、白を0としてBSN(ボッシュ・スモーク・ナンバー)で表示する。
Texは排気ガスの温度で絶対温度で表す。同一負荷の時、この温度が低いほうが熱効率が高い。
BSHCは正味全炭化水素濃度であり、排気ガス中の全炭化水素の濃度を質量に換算し、その時のエンジン出力(kW)と時間(h)で除した値である。
BSCOは正味一酸化炭素濃度である。
BSNOxは正味窒素酸化物濃度である。
【0039】
これらの図より以下のことがわかる。
(1)燃料消費率(BSFC)は、負荷(Pmec)0.2〜0.3MPaで12.0〜16.4%、0.4〜0.5MPaで2.1〜4.3%の低減が見られ、低負荷域における低減率が大きい。空気過剰率(λs、λe)も、燃料消費率(BSFC)と同様、低負荷域において燃費が良いことを示している。
(2)充填効率(ηc)は、負荷(Pmec)のほぼ全域で9.0〜12.6%向上しているのが認められ、充填効率の向上が燃費低減に寄与していることがわかる。
(3)エンジン騒音(Noise)は、負荷(Pmec)のほぼ全域で2.7〜4.4dB大きい。これは、燃焼圧の増大によるものと考えられる。
(4)黒煙濃度(Smoke)は、負荷(Pmec)0.3〜0.5MPaで2〜4BSN大きく、負荷(Pmec)0.1〜0.2MPaで実施例と比較例とも0BSNであり、低負荷域における燃焼特性改善効果と一致する。
(5)正味全炭化水素濃度(BSHC)、正味一酸化炭素濃度(BSCO)、及び正味窒素酸化物濃度(BSNOx)は、実施例と比較例とで、ほぼ変わらない特性を示している。
【符号の説明】
【0040】
10:燃料改質装置、11:外筒、11a、11b:端面、12:流入口、13:流出口、14:内筒、14a:突条部、15:ケーシング、16:吐出口、17:ガラス組成物、18:パンチングメタル、18a:孔、19:フィルター、19a:孔、20:ディーゼルエンジン、21:インジェクター、22:燃料タンク、23、24:供給管、25:戻り管、26:バイパス管、27、28、29:開閉バルブ、F:液体燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料の流入口と流出口とを有するケーシング内に、前記液体燃料の表面張力を低下させるガラス組成物が充填されていることを特徴とする燃料改質装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃料改質装置において、前記ガラス組成物は、SiO、RO(但し、RはLi、Na、及びKから選ばれる一種以上である)、CaO、Al、Fe、MgO、B、TiO、及びZnOを含有することを特徴とする燃料改質装置。
【請求項3】
請求項2記載の燃料改質装置において、前記ガラス組成物は、前記Feを0.2〜12質量%、前記MgOを1〜10質量%含有することを特徴とする燃料改質装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料改質装置において、前記ガラス組成物が球形とされていることを特徴とする燃料改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−7136(P2011−7136A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152606(P2009−152606)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(391043505)アイスマン株式会社 (13)
【出願人】(599011562)株式会社創生 (1)
【出願人】(596055763)
【出願人】(509182515)
【Fターム(参考)】