説明

燃料油タンクの防護カバー

【課題】 屋外に設置する燃料油タンクにおいて、タンク上面の油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処でき、毎回の給油の際における煩わしさを解消した燃料油タンクの防護カバーを提供する。
【解決手段】 タンク1上面に載せる給油口カバー11とエアー抜き5の垂直な基部5aを覆うエアー抜きカバー13とを設け、給油口カバー11に給油口蓋4を露出させる給油口開口11cとを設け、給油口カバー11にその給油口開口11cを塞ぎ開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋12を設け、エアー抜きカバー13の上端部はエアー抜き5の内側アール5bの直下に位置し、エアー抜きカバー13の下端部は給油口カバー11の上に載るか止着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地で使用される燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油(主に白灯油)タンクで、屋外に設置する燃料油タンクの油を抜き取る盗難などの防護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置する燃料油タンクでは、タンク下面に燃料フィルターや水抜き栓及び小出し口を供えた送油口を設け、送油口に連なる送油管を地面の下を通して屋内の燃料油ストーブや暖房用ボイラーに連結している。また、タンク上面に油量を表示する油量ゲージとタンク内に給油するため開閉自在な蓋を設けた給油口蓋とタンク内に空気を導入するエアー抜きを設けている。
【0003】
このような屋外に設置する燃料油タンクでは、夜間に小出し口を開けて油を抜き取る事件や、送油管を切断して油を流出させる、流出した油に火を着けるという危険な事件が発生している。
【0004】
そこで、タンク下面の送油口とそれに連なる送油管のみを覆うようにして、送油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0005】
例えば、実用新案登録第3115857号公報に示されるように、タンク下面と地面の間に防護カバーを設けて送油口とそれに連なる送油管を収容し、タンク下面の耳部に取り付け固定する取付ブラケットを設け、取付ブラケットに背面上防護カバーを固定し、背面上防護カバーに正面上防護カバーを固定し、正面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に正面下防護カバーを固定し、背面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に背面下防護カバーを固定したものである。
【0006】
また、夜間に給油口蓋を開けて油を抜き取る盗難事件や、給油口から異物を混入され燃焼機器が故障するおそれがある。
【0007】
そこで、給油口蓋を回せないようにして給油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0008】
例えば、特開2004−284644号公報に示されるように、給油口蓋の周縁に係合する回り止め金具を設け、タンク上面の給油口ニップル以外の付属物と回り止め金具を錠にて係合施錠し、回り止め金具と錠は給油口蓋が所定角度以下の回転しか許容しないよう緊張状態の長さとし、かつ錠を開錠してタンク上面の給油口ニップル以外の付属物より回り止め金具を離脱可能としたものである。
【0009】
また、給油口蓋と油量ゲージを覆うようにして、給油口蓋と油量ゲージに関係する危険にも対処したものも知られている。
【0010】
例えば、実用新案登録第3119996号公報に示されるように、給油口蓋と油量ゲージを覆うための箱型台座を固定し、箱型台座に開閉可能かつ施錠可能な盗難防止カバーを設けたものである。箱型台座は、タンク上部中央突起板をボルトで締め付けて固定している。なおこの考案では、油量ゲージを盗難防止カバーで覆い施錠すると残量が見えないことにより盗難を防止すること、給油口の凍結、油量ゲージの破損を防止できることが示されている。
【0011】
また、油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処したものも知られている。
【0012】
これは本出願人の提案によるもので、特願2005−351548に示されるように、給油口蓋を覆いタンク上面に載せる給油口カバーと、給油口カバーに油量ゲージの表示部を上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜きを上方に突出させるエアー抜き孔を設け、倒立「J」の字状の管であるエアー抜きのほぼ側面部を覆い給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーと、エアー抜きの管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバーの側面に錠金具孔を設け、錠金具孔を通りエアー抜きの管の下方に位置する錠金具を設けたものである。
【0013】
この発明では、給油口蓋を覆い危険に対処するのはもちろん、給油口カバーに油量ゲージの表示部を上方に突出させる油量ゲージ孔を設けることにより、その表示基部が給油口カバーに覆われ取り外すことができないものである。また、給油口カバーのエアー抜き孔から所定距離だけ離れた位置に上方に係合部を設け、エアー抜きを回したとき給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーが係合部に係合することにより、エアー抜きを回して取り外すことができないものである。
【特許文献1】実用新案登録第3115857号公報
【特許文献2】特開2004−284644号公報
【特許文献3】実用新案登録第3119996号公報
【特許文献4】特願2005−351548
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の特開2004−284644号公報に示される、給油口蓋を回せないようにしたものでは、最近の給油口蓋は合成樹脂製のため、給油口蓋をハンマーなどで破壊して盗取しようとするものには対処できない。
【0015】
さらに、エアー抜きはその管の外周のネジでタンクに締着されているので、悪意の者が相当の力で回せば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。油量ゲージはその表示基部に設けた3本の押しネジでタンクに固定されているので、悪意の者が螺子回しで押しネジを緩めれば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。
【0016】
また、実用新案登録第3119996号公報に示される、給油口蓋と油量ゲージを覆うようにしたものでは、エアー抜きに関係する危険に対処できない。さらに、箱型台座はタンク上部中央突起板をボルトで締め付けて一方のみで固定しているため、固定していない側を強い力で持ち上げると破損してしまうおそれがある。
【0017】
また、特願2005−351548に示される、油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処したものでは、給油口カバーを取り付ける際に、給油口カバーを裏返し状態として、エアー抜き孔にエアー抜きの管端部から挿入し、倒立「J」の字状の管を通すことにより給油口カバーは反転するもので、容易に取付方法が理解できるものではなかった。
【0018】
さらに、毎回の給油の際に、錠を開錠して錠金具を抜き、エアー抜きカバーを上方に抜き出して給油口カバーを持ち上げ、給油口蓋を回して取り外すもので、錠金具とエアー抜きカバーを取り外すという煩わしさがあった。
【0019】
さらに、油量ゲージの表示部は透明な合成樹脂製のため、給油口カバーの油量ゲージ孔から上方に突出した油量ゲージの表示部が屋根からの落雪や悪意の者により破損するおそれがあった。
【0020】
そこで本発明は、タンク上面の油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処でき、確実に容易に取り付けられ、毎回の給油の際における煩わしさを解消し、油量ゲージの破損を防止できる燃料油タンクの防護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1の発明の燃料油タンクの防護カバーは、燃料油を貯蔵するタンク1上面に油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを設けた燃料油タンクにおいて、その油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、タンク1上面に載せる給油口カバー11と倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5の垂直な基部5aを覆うエアー抜きカバー13とを設け、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11aとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11bと給油口蓋4を露出させる給油口開口11cとを設け、給油口カバー11にその給油口開口11cを塞ぎ開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋12を設け、エアー抜きカバー13の上端部の大半はエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置し、エアー抜きカバー13の下端部は給油口カバー11の上に載るか止着されているものである。
【0022】
請求項2の発明の燃料油タンクの防護カバーは、エアー抜きカバー13の上端部の一部にエアー抜き5の管における内側アール5bより上に位置する回り止め突起14aを設け、エアー抜きカバー13を垂直面で2分割可能とし、エアー抜きカバー13の下端部を給油口開口蓋12に覆われる位置で給油口カバー11にネジ止めし、給油口カバー11のエアー抜き孔11bと給油口開口11cを連通させ、給油口開口11Cをタンク1に固定されたエアー抜き5が通過できる大きさとしたものである。
【0023】
請求項3の発明の燃料油タンクの防護カバーは、給油口カバー11の油量ゲージ孔11aの下方に位置し油量ゲージ孔11aより大な基部16aと、基部16aより上方に油量ゲージ孔11aを通り設け油量ゲージ3の表示部3aを覆う複数本の棒16bからなる油量ゲージガード16を設けたものである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、給油口蓋4を防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、タンク1上面に載せる給油口カバー11を設け、給油口カバー11に給油口蓋4を露出させる給油口開口11cとを設け、給油口カバー11にその給油口開口11cを塞ぎ開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋12を設けることにより、給油口蓋4を回して開けられることが無いし、合成樹脂製の給油口蓋4でも破壊することができないから、給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0025】
また、油量ゲージ3を防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、タンク1上面に載せる給油口カバー11を設け、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11aを設けることにより、その油量ゲージ3の表示基部3bが給油口カバー11に覆われ押しネジを回して取り外すことができないから、油量ゲージ3に関係する危険に対処できる。
【0026】
また、エアー抜き5を防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、タンク1上面に載せる給油口カバー11と倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5の垂直な基部5aを覆うエアー抜きカバー13とを設け、給油口カバー11にエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11bを設け、エアー抜きカバー13の上端部の大半はエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置し、エアー抜きカバー13の下端部は給油口カバー11の上に載るか止着されていることにより、エアー抜きカバー13の上端部がエアー抜き5の管の内側アール5bに当たりエアー抜きカバー13が上方に移動しなくなり、給油口カバー11もエアー抜きカバー13に押えられて持ち上げることができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0027】
また、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11aとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11bを設けることにより、給油口カバー11には油量ゲージ3とエアー抜き5の二個がはまり込んでいることになり、給油口カバー11を水平方向に回すことができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0028】
また、給油口カバー11にその給油口開口11cを塞ぎ開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋12を設けることにより、毎回の給油の際には給油口カバー11を持ち上げる、または取り外す必要がなく、給油口開口蓋12を開けて給油口蓋4を回すことができるから、給油の際の煩わしさを解消できる。
【0029】
請求項2の発明によれば、エアー抜きカバー13の上端部の一部にエアー抜き5の管における内側アール5bより上に位置する回り止め突起14aを設けたことにより、エアー抜き5を回したときエアー抜き5の管における内側アール5bがエアー抜きカバー13の回り止め突起14aに当たりエアー抜き5を回して取り外すことができないから、エアー抜き5に関係する危険に対処できる。
【0030】
また、エアー抜きカバー13を垂直面で2分割可能とし、エアー抜きカバー13の下端部を給油口開口蓋12に覆われる位置で給油口カバー11にネジ止めし、給油口カバー11のエアー抜き孔11bと給油口開口11cを連通させ、給油口開口11Cをタンク1に固定されたエアー抜き5が通過できる大きさとしたことにより、エアー抜きカバー13はエアー抜き5の垂直な基部5aを挟むように取り付けられ、給油口カバー11は通常に取り付けられる向きでエアー抜き5は給油口開口11cを通して取り付けられるから、防護カバー10を確実に容易に取り付けられる。
【0031】
請求項3の発明によれば、給油口カバー11の油量ゲージ孔11aの下方に位置し油量ゲージ孔11aより大な基部16aと、基部16aより上方に油量ゲージ孔11aを通り設け油量ゲージ3の表示部3aを覆う複数本の棒16bからなる油量ゲージガード16を設けたことにより、油量ゲージガード16を取り外すことができず、油量ゲージ3の表示部3aは油量ゲージガード16の棒16bに保護されるから、油量ゲージ3の破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料油タンクの防護カバー10である。
【0033】
この燃料油タンクは、燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油を貯蔵するタンク1であり、約500リットルの白灯油を貯蔵する家庭用の屋外に設置されるもので、燃料油を貯蔵する略立方体のタンク1と、タンク1を支持し四隅に位置する4本の脚2と、タンク1の上面に設けた燃料油の量を計測する油量ゲージ3と、同じく上面に設けたネジで密閉できる給油口蓋4と、同じく上面に設けたエアー抜き5と、タンク1の下面に設けた送油口6とからなる。タンク1上面には、油量ゲージ3、エアー抜き5、給油口蓋4の順に並んでいる。
【0034】
タンク1は、2枚の四角い皿状の鋼板からなり、その凸部を外側として外周の耳部で溶接して合わせ、その耳部を垂直方向として設置する。タンク1の左右の耳部から下方に脚2を設け、2本の脚2で耳部を挟みボルトで止着し固定する。各々の脚2はその下端を束石8により設置される地面Eに固定され、タンク1が地震などで転倒しないようにする。
【0035】
タンク1の上面に突出した油量ゲージ3は、タンク1内の油面を浮子により計測して指針の上下により油量を表示部3aにて表示するもで、表示部3aより下方の表示基部3bに設けた3本の押しネジでタンク1に固定される。表示基部3bの径は表示部3aの径より大となっている。
【0036】
表示部3aは透明な合成樹脂製であるが、燃料油の需要者や給油作業者が表示部3aの中の指針を見えるようにしなければならないため、防護カバー10で完全に覆うことはできない。
【0037】
タンク1の上面の給油口蓋4は、その内側のネジを回すことにより開閉自在とした蓋であり、給油口蓋4を取り外した給油口を通じてタンクローリーからタンク1内に給油される。実施例では、給油口蓋4を合成樹脂製とした。
【0038】
タンク1の上面に突出したエアー抜き5は、タンク1内外を連通し燃料油の消費に伴い空気をタンク1内に導入するもので、倒立「J」の字状の管であり、エアー抜き5の下向き管端部の開口には消防法による定めにより、火の粉がタンク内部へ侵入しないよう金網のストレーナーを設けている。エアー抜き5の基部5aは、その管の外周のネジでタンクに締着して固定する。実施例ではエアー抜き5の管端部は油量ゲージ3の方向としているが、実際には水平方向に種々の方向を向いて固定される。
【0039】
送油口6には、油中のゴミを濾過するフィルター、タンク1内底部に溜まった水を抜くための水抜き栓、カートリッジタンクなどへ給油するための小出し口、タンク1からフィルターへの送油を停止するための開閉バルブ、送油管7を接続する送油管接続口が設けられる。
【0040】
送油口6の送油管接続口と燃料油ストーブ等とは送油管7で連結され、燃料油はその自重により送油される。
【0041】
防護カバー10は、油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する。
【0042】
防護カバー10には、給油口カバー11とエアー抜きカバー13と油量ゲージガード16と錠17を設ける。
【0043】
給油口カバー11は、平面視略方形の板の四辺を下方に折り曲げた形状であり、給油口蓋4を覆う高さを有し、その下端部がタンク1上面に載せられる。油量ゲージ3に対応する給油口カバー11の上面に、油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11aを設け、油量ゲージ孔11aの径は表示基部3bの径より小で表示部3aの径より大とする。
【0044】
エアー抜き5の基部5aに対応する給油口カバー11の上面に、エアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11bを設け、エアー抜き孔11bの大きさはエアー抜き5の管径よりやや大とする。
【0045】
給油口蓋4に対応する給油口カバー11の上面に、給油口蓋4を露出させる給油口開口11cとを設ける。給油口開口11Cをタンク1に種々の方向を向いて固定されたエアー抜き5が通過できる大きさとする。給油口蓋4の径はエアー抜き5の外幅より小なため、給油口蓋4も給油口開口11Cを通して取り外すことができる。
【0046】
給油口カバー11のエアー抜き孔11bと給油口開口11cを連通させ、エアー抜き5は給油口開口11cを通して取り付けられた後、エアー抜き5の基部5aがエアー抜き孔11bに通される。
【0047】
給油口カバー11の給油口開口11cを上から塞ぎ、開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋12を設ける。給油口開口蓋12は給油口カバー11の奥行きよりやや幅の広い「コ」の字形状の板で、その「コ」の字開口を下向きとして給油口カバー11の給油口開口11cに被せられる。給油口開口11cのエアー抜き孔11bの反対側に蝶番12aを設け、蝶番12aは給油口カバー11と給油口開口蓋12に止着され、給油口開口蓋12は蝶番12aを支点として回動して開閉可能とする。
【0048】
給油口開口蓋12の蝶番12aとは反対側の一側に端部を上方に折り曲げて孔を開けた錠孔12bを設け、その錠孔12bに対応する位置に給油口カバー11の錠孔11eを設け、錠17は錠孔11eと錠孔12bを通して施錠され、給油口開口蓋12を施錠可能とする。
【0049】
防護カバー10には、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5の垂直な基部5aを覆うエアー抜きカバー13とを設ける。
【0050】
エアー抜きカバー13は垂直面で2分割可能とし、エアー抜き5の垂直な基部5aを挟むように取り付けられる。エアー抜きカバー13には、平面視がハット形のエアー抜き固定カバー14と平面視が「コ」の字形状のエアー抜き塞ぎカバー15を設ける。
【0051】
エアー抜き固定カバー14の開口内にエアー抜き5の垂直な基部5aがはまり込み、その上端部の大半はエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置し、その上端部の一側における一部にエアー抜き5の管における内側アール5bより上に位置する回り止め突起14aを設ける。
【0052】
エアー抜き固定カバー14のエアー抜き5に対応しない両端平面上部で、回り止め突起14aの下とその反対側に一対の係合切欠き14bを設ける。エアー抜き固定カバー14のエアー抜き5に対応しない両端平面下端部に、上下3段で一対の止着孔14dを設ける。係合切欠き14bと止着孔14dの間に多数の通気孔14cを設ける。
【0053】
エアー抜き塞ぎカバー15はその中心部のみがエアー抜き5の垂直な基部5aに対応するが、その上端部は全てエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置する。エアー抜き塞ぎカバー15の幅はエアー抜き固定カバー14の幅より大とし、その「コ」の字開口の中にエアー抜き固定カバー14がはまり込む。
【0054】
エアー抜き塞ぎカバー15の両端平面上部にエアー抜き固定カバー14側に突出した一対の係合突起15aを設ける。エアー抜き塞ぎカバー15の両端平面下端部に、上下3段で一対の止着孔15cを設ける。係合突起15aと止着孔15cの間に多数の通気孔15bを設ける。
【0055】
エアー抜き固定カバー14とエアー抜き塞ぎカバー15は、その係合切欠き14bに係合突起15aがはまり込み、一体として固定される。
【0056】
給油口カバー11の給油口開口11cのエアー抜き孔11b側で、エアー抜き孔11bの両側に下方に向けた突片に一対の止着孔11dを設け、エアー抜き固定カバー14の止着孔14dとエアー抜き塞ぎカバー15の止着孔15cを通して給油口カバー11の止着孔11dにネジ止めして固定する。
【0057】
このネジ止めした位置は給油口開口蓋12に覆われる位置となり、給油口開口蓋12を開けないとエアー抜きカバー13を取り外すことはできない。また、止着孔14dと止着孔15cは上下3段に設けたから、エアー抜きカバー13をエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置させることが容易となる。
【0058】
防護カバー10には、油量ゲージ3の表示部3aを覆う油量ゲージガード16を設ける。
【0059】
油量ゲージガード16には、油量ゲージ3の表示基部3bの径より大な孔を有する板である基部16aを設け、油量ゲージ孔11aの径は表示基部3bの径より大としたから、基部16aは油量ゲージ孔11aより大となる。基部16aは油量ゲージ孔11aの下方に位置し、油量ゲージ孔11aから取り出すことはできない。
【0060】
基部16aに固定し、基部16aより上方に油量ゲージ孔11aを通り油量ゲージ3の表示部3aを覆う3本のハット形の丸棒である棒16bを設け、棒16bの間を通して表示部3aを視認できる。
【0061】
防護カバー10を取り付けるには、油量ゲージガード16を油量ゲージ3に被せ、エアー抜きカバー13のエアー抜き固定カバー14とエアー抜き塞ぎカバー15でエアー抜き5の垂直な基部5aを挟み、その係合切欠き14bと係合突起15aにより一体とする。給油口カバー11は通常に取り付けられる向きで、その給油口開口蓋12を開け、給油口開口11cにエアー抜き5を通しエアー抜き孔11bにエアー抜き固定カバー14の凸部を挿入し、油量ゲージ孔11aに油量ゲージガード16を挿入する。
【0062】
給油口カバー11をタンク1上面に載せ、エアー抜きカバー13を持ち上げてその上端部をエアー抜き5の管における内側アール5bの直下に位置させ、適宜な止着孔14dと止着孔15cを用いて給油口カバー11の止着孔11dにネジ止めして固定する。
【0063】
給油口開口蓋12を閉め、錠17を錠孔11eと錠孔12bに通して施錠する。
【0064】
実施例ではエアー抜き5の管端部は油量ゲージ3の方向としているが、実際には水平方向に種々の方向を向いて固定され、エアー抜き5が回り止め突起14a上に位置してしまう場合には、エアー抜き5を僅かに増締めするか緩めれば良い。
【0065】
以上の実施例では、エアー抜きカバー13の下端部が給油口カバー11に止着される例を示したが、エアー抜きカバー13の下端部が給油口カバー11の上に載るようにしても良い。その場合、エアー抜きカバー13が回されないよう、エアー抜きカバー13と給油口カバー11に突起と係合孔を設けて回り止めすると良い。
【0066】
また、エアー抜きカバー13の回り止め突起14aにエアー抜き5の内側アール5bが当たって回り止めする例を示したが、突起形状に限られるものではなく、エアー抜き5の管端部を回り止めするようにしても良い。
【0067】
また、エアー抜きカバー13をエアー抜き固定カバー14とエアー抜き塞ぎカバー15により垂直面で2分割可能とした例を示したが、エアー抜きカバー13は分割不能なものとしても良い。その場合、エアー抜き5の垂直な基部5aを覆うのは上端部のみとし、エアー抜き5の管端部から挿入するようにすると良い。
【0068】
また、錠孔11eと錠孔12bが別に設けた錠17により施錠される例を示したが、給油口開口蓋12に施錠機構を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】燃料油タンクの防護カバーの一実施例を示す正面図である。
【図2】その側面図である
【図3】その要部の平面図である。
【図4】図1の要部を示す部分拡大図である。
【図5】図2の要部を示す部分拡大図である。
【図6】図3の要部を示す部分拡大図である。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図8】給油口カバーの平面図である。
【図9】給油口カバーの正面図である。
【図10】給油口カバーの給油口開口蓋を開けた平面図である。
【図11】給油口カバーの給油口開口蓋を開けた側面図である。
【図12】エアー抜き固定カバーの側面図である。
【図13】エアー抜き塞ぎカバーの側面図である。
【図14】エアー抜きカバーを分解した正面図である。
【図15】エアー抜きカバーを分解した平面図である。
【図16】油量ゲージガードの正面図である。
【図17】油量ゲージガードの基部の平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 タンク
3 油量ゲージ
3a 表示部
4 給油口蓋
5エアー抜き
5a 基部
5b 内側アール
10 防護カバー
11 給油口カバー
11a 油量ゲージ孔
11b エアー抜き孔
11c 給油口開口
12 給油口開口蓋
13 エアー抜きカバー
14a 回り止め突起
16 油量ゲージガード
16a 基部
16b 棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を貯蔵するタンク上面に油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを設けた燃料油タンクにおいて、その油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを防護する防護カバーを設け、防護カバーには、タンク上面に載せる給油口カバーと倒立「J」の字状の管であるエアー抜きの垂直な基部を覆うエアー抜きカバーとを設け、給油口カバーに油量ゲージの表示部を上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜きを上方に突出させるエアー抜き孔と給油口蓋を露出させる給油口開口とを設け、給油口カバーにその給油口開口を塞ぎ開閉可能かつ施錠可能な給油口開口蓋を設け、エアー抜きカバーの上端部の大半はエアー抜きの管における内側アールの直下に位置し、エアー抜きカバーの下端部は給油口カバーの上に載るか止着されている燃料油タンクの防護カバー。
【請求項2】
エアー抜きカバーの上端部の一部にエアー抜きの管における内側アールより上に位置する回り止め突起を設け、エアー抜きカバーを垂直面で2分割可能とし、エアー抜きカバーの下端部を給油口開口蓋に覆われる位置で給油口カバーにネジ止めし、給油口カバーのエアー抜き孔と給油口開口を連通させ、給油口開口をタンクに固定されたエアー抜きが通過できる大きさとした請求項1記載の燃料油タンクの防護カバー。
【請求項3】
給油口カバーの油量ゲージ孔の下方に位置し油量ゲージ孔より大な基部と、基部より上方に油量ゲージ孔を通り設け油量ゲージの表示部を覆う複数本の棒からなる油量ゲージガードを設けた請求項1または2記載の燃料油タンクの防護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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