説明

燃料流を脱硫するための脱硫システム及び方法

100℃未満の温度で、実質的に脱硫された炭化水素燃料流を製造する方法。この方法は、水を含んでいてもよい脱硫前の炭化水素燃料流を供給する工程と、その燃料流を、Y型ゼオライト吸着剤及び選択的硫黄吸着剤中を通過させる工程を有する。Y型ゼオライト吸着剤は、銅イオンと交換されていてもよい。使用の順番は、燃料流中に存在する特定の硫黄化合物の種類による。この方法により、50ppb未満の硫黄を含む実質的に脱硫された炭化水素燃料流が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硫前の炭化水素燃料流(特に天然ガス、プロパン、又は液化石油ガス(LPG))を、100℃未満の温度で硫黄吸着剤システム中を通過させることで、実質的に脱硫された炭化水素流(特に水素を発生させるためのもの、とりわけ燃料電池駆動装置に用いる水素を発生させるためのもの)を製造する新規な方法に関する。その硫黄吸着剤システムは、Y型ゼオライト吸着剤(好ましくは、銅イオンと交換されたもの)と、少なくとも1つの選択的硫黄吸着剤を含む。脱硫前の炭化水素燃料流を最初に通過させる硫黄吸着剤の選択は、燃料流中に存在する硫黄化合物の種類による。さらに、本発明は、実質的に脱硫された炭化水素燃料流(特に脱硫された天然ガス、プロパン、又はLPG)から燃料電池駆動装置用の水素を製造する方法に関する。その炭化水素流は、上記の硫黄吸着剤システムを用いて脱硫される。さらに、本発明は、水素(特に燃料電池駆動装置用のもの)発生に利用される上記した脱硫システムを包含する。そのシステムは、例え燃料流中に水が存在していても、常温と同じくらい低い温度で炭化水素燃料流(特に天然ガス、プロパン、又はLPGを含むもの)を脱硫する。
【背景技術】
【0002】
水素の発生(設置型装置又は自動車等の車両に好適に用いられ、特にプロトン交換膜(PEM)燃料電池のような従来の低温燃料電池駆動装置に用いるもの)のために、炭化水素燃料流は、従来の燃料源の幾つかから得ることでき、好ましい燃料源は、天然ガス、プロパン、及びLPGである。従来の水素発生システム(特に燃料電池駆動装置)では、炭化水素燃料流は、脱硫システム上及び/又は中を通過して、脱硫される。このような燃料電池駆動装置のための脱硫された炭化水素燃料流は、その後改質装置内に導入されて、燃料流が水素リッチな燃料流に変換される。燃料流は、改質装置から1つ又はそれより多い熱交換器中を通過し、燃料流中のCO量を減らすシフトコンバータに到達する。燃料流は、再度、シフトコンバータから様々な熱交換機中を通過し、次いで1つ又はそれより多い触媒床を持つ選択的酸化剤又は選択的メタン化剤中を通過し、その後、水素リッチな燃料流は、燃料電池スタックに流れ込んで発電に使用される。
【0003】
原料となる燃料(特に天然ガス、プロパン、及びLPG)は、気相又は液相であり、水素発生(特に燃料電池駆動装置用のもの)のための燃料源として有用である。残念なことに、事実上このタイプの全ての原料となる燃料は、様々な元来の硫黄化合物を比較的高いレベル(およそ1,000ppm程度の高いレベル、ただし典型的には1ppm〜500ppmの範囲)で含んでいる。硫黄化合物としては、限定されないが、硫化カルボニル、硫化水素、テトラヒドロチオフェン(THT)等のチオフェン、ジメチルスルフィド(DMS)、エチルメルカプタン(EM)及びターシャリーブチルメルカプタン(TBM)等の各種メルカプタン、ジスルフィド、スルホキシド、他の有機スルフィド、高分子量有機硫黄化合物、及びその組み合わせが挙げられる。加えて、炭化水素燃料流(特に天然ガス、プロパン、及びLPG)は、異なる発生源を持っていてもよいので、燃料流中に存在する硫黄化合物の量及び組成は、大きく変化する可能性がある。さらに、これらの燃料流源は、水を含むこともある。
【0004】
炭化水素燃料流中に硫黄含有化合物が存在すると、燃料電池駆動装置の構成要素(燃料電池スタック自体を含む)に大きな悪影響を与えることがあるので、そのような化合物を実質的に除去しなければならない。実質的に除去されていない場合、硫黄化合物により燃料電池駆動装置の構成要素の寿命予測値を短縮することになる。
【0005】
特に効率的な脱硫システムは、単一の脱硫システムだけを搭載しているような燃料電池駆動装置での使用には必須である。さらに、そのような用途での脱硫システムは、交換せずに長期間使用しなければならないこともあるので、高容量を有している必要がある。加えて、このような脱硫システムは、多種多様な硫黄化合物(及びその組み合わせ)の吸収に適合しなければならない。
【0006】
従来から「脱硫」と称される幾つかのプロセスが、水素生成のための気体及び液体燃料流から硫黄を除去するために使用されてきた。「物理的な」硫黄吸着剤を使用したこれら炭化水素流中の硫黄汚染化合物の吸着は、比較的設備及び運転コストが低いことから、そのような炭化水素燃料流から硫黄化合物を除去する最も一般的な方法である(本明細書では、「吸着」と「吸収」、及び「吸着剤」と「吸収剤」はそれぞれ同じことであり、全て包括的な意味を持つ。)。物理的な吸着剤は有用であるが、ある運転環境においては吸着剤から硫黄化合物が脱着する可能性がある。加えて、しばしば、そのような硫黄吸着剤により吸着可能な硫黄化合物の量に限界がある。
【0007】
脱硫剤として有用であった吸着剤の他のタイプは、「化学的な」硫黄吸着剤である。しかしながら、化学的な脱硫システムにより未脱硫炭化水素燃料流を効果的に脱硫するため、化学的な脱硫には、通常150℃〜400℃の温度まで加熱された脱硫システムが必要とされる。加えて、このような化学的な脱硫プロセスを利用すると、他の運転上の課題が発生することがある。
【0008】
多くの異なる脱硫プロセスが炭化水素燃料流のために提案されているが、広い範囲の硫黄濃度で(特に比較的低い運転温度及び圧力で)、長期間、硫黄成分の高い吸着を達成する改良された脱硫プロセスが未だ必要である。加えて、これらの改良された脱硫プロセスは、燃料流中に水が存在する場合でも、硫黄化合物の高い吸着を達成することができなければならない。さらに、広い範囲でかなりの量及び様々な硫黄化合物の組み合わせで吸着するための改良された脱硫システムも必要である。硫黄化合物としては、特にジメチルスルフィド、エチルメルカプタン及びターシャリーブチルメルカプタン等の様々なメルカプタン、硫化水素、硫化カルボニル、テトラヒドロチオフェン、ジスルフィド、スルホキシド、他の有機スルフィド、様々な高分子量硫黄含有化合物、及びその組み合わせが挙げられる。さらに、これらの改良された脱硫システムでは、幅広い範囲の硫黄化合物を長い期間効率的に吸収し、可能な限り硫黄化合物の「ブレークスルー」を遅延させることが重要である。「ブレークスルー」は、脱硫後の供給流に残存する硫黄化合物のいずれかの量が所定レベルを超えたときに起きる。硫黄化合物における典型的な「ブレークスルー」レベルは、1ppm未満で発生する。炭化水素燃料流中に存在する硫黄化合物の事実上いずれかによるブレークスルーは、事実上全ての硫黄化合物が水素発生システム(特に燃料電池駆動装置用のもの)の構成要素に損傷を与えるため、不利である。
【0009】
加えて、幾つかの先行技術の吸着剤は、幾つかの硫黄化合物の吸着剤としては効果的であるものの、炭化水素燃料流中に存在する元来の硫黄化合物の幾つかを除去するとともに、硫黄化合物生産物を生み出す可能性もある(これらの新たに生産された硫黄化合物は、ここでは「合成硫黄化合物」と称する。)。この脱硫システムでは、可能な限り最も広い範囲で可能な限り最も長い期間、合成硫黄化合物の生産を回避することが重要である。
【0010】
前述の課題は、本発明のプロセス、システム、及び製品の様々な実施形態によって対処される。
【発明の概要】
【0011】
開示された本発明の1つは、実質的に脱硫された炭化水素供給流(特に水素を発生させるためのもの、とりわけ燃料電池駆動装置に用いるもの)を供給するプロセスであり、水を含んでいてもよい未脱硫の炭化水素供給流を供給する工程と、Y型ゼオライト吸着剤(好ましくは銅カチオンで交換されたもの)及び少なくとも1つの選択的硫黄吸着剤を有する硫黄吸着剤システムを含む脱硫システムを準備する工程と、未脱硫の炭化水素供給流を、好ましくは100℃未満の温度で脱硫システム中又は上を通過させ、実質的に脱硫された(従来の検出限界未満の脱硫レベル)炭化水素供給流を製造する工程と、を有する。この脱硫レベルは長期間維持することができ、驚くほどより高い硫黄吸着能力をもたらす。好ましくは、この脱硫レベルは、燃料流中に水が存在するときでも達成される。その組成、吸着剤の使用の順番、及び脱硫システムでの選択的硫黄吸着剤の選択は、燃料流中に存在する硫黄化合物の組成、硫黄除去の程度、及び必要とされるブレークスルー時間に応じて選定すればよい。
【0012】
本発明の別の1つは、実質的に脱硫された炭化水素供給流を用いて、燃料電池駆動装置用の水素を発生させるプロセスであり、前述の脱硫システムを含む燃料電池駆動装置を準備する工程と、水を含んでいてもよい未脱硫の炭化水素燃料電池供給流を、好ましくは100℃未満の温度で脱硫システム中を通過させる工程と、実質的に脱硫された炭化水素供給流を燃料電池駆動装置の他の構成要素に導入する工程とを有する。
【0013】
本発明の別の1つは、脱硫システム(特に水素発生のためのもの、とりわけ燃料電池駆動装置に用いるもの)である。この脱硫システムは、未脱硫の炭化水素燃料流(特に、水を含んでいてもよい天然ガス、プロパン、又はLPG)を受け取る入口と、前述の吸着剤システムと、実質的に脱硫された炭化水素燃料流を、水素発生システムにある残りの構成要素まで下流側に通過させる出口とを有する。
【0014】
さらなる本発明は、硫黄吸着剤システム(特に水素発生に用いるもの、とりわけ燃料電池駆動装置に用いるもの)であり、Y型ゼオライト(好ましくは銅カチオンで交換されたもの)及び1つ又はそれより多い選択的硫黄吸着剤を含む。硫黄吸着剤システムで使用する具体的な選択的硫黄吸着剤の選択、用いる選択的硫黄吸着剤の数、及びその吸着剤の使用の順番は、炭化水素燃料流中に存在する硫黄化合物の組成及び量、硫黄除去の程度、並びに必要とされるブレークスルー時間による。1つの選択的硫黄吸着剤は、1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化銅を含む。別の選択的硫黄吸着剤は、1つ又はそれより多いマンガン化合物と、酸化鉄と、酸化銅を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1及び2の2つの吸着剤システムによる、天然ガス供給流からDMS、HS、COS、及びTBMを除去する能力の比較を示すグラフである。
【図2】実施例3の2つの吸着剤システムによる、天然ガス供給流からDMS及びTBMを除去する能力の比較を示す2つのグラフである。
【図3】実施例4の吸着剤システムによる、エチルメルカプタン供給流を除去する能力を示すグラフである。
【図4】実施例5の吸着剤システムによる、テトラヒドロチオフェン供給流を除去する能力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、限定されないが、実質的に脱硫された炭化水素供給流(特に水素発生システムのもの、とりわけ燃料電池駆動装置に用いるもの)を供給する方法を含む。そのような水素発生システム(特に燃料電池駆動装置)に用いる原料となる燃料(天然ガス、プロパン、及びLPG)は、使用の前に脱硫しなければならない。なぜなら、そのような燃料流は、比較的高いレベルで硫黄化合物を含んでいるからである。硫黄化合物としては、限定されないが、テトラヒドロチオフェン等のチオフェン、ジメチルスルフィド、メルカプタン(エチル、メチル、プロピル、及びターシャリーブチルメルカプタン等)、硫化水素及び硫化カルボニル等の硫化物、様々な高分子量有機硫黄化合物、及びその組み合わせが挙げられる。これらの硫黄化合物は、水素生成システム及び燃料電池駆動装置の構成要素に損傷をあたえる可能性がある。これらの硫黄化合物は多様な組合せ及び量で燃料流中に存在することもあるが、幾つかの条件下では、燃料流中に存在する硫黄化合物は、このような硫黄化合物の1つ又は2つに限られることもある。このような原料となる燃料(特に天然ガス)は、一般的に多量の水を含む。本発明の1つの特徴は、水を含む燃料流から広い範囲で硫黄化合物を効果的に除去する能力である。
【0017】
原料となる燃料流が100℃未満(特に60℃未満)の運転温度においてガス状の天然ガスを含む場合において、硫黄化合物のレベルは、およそ200ppm程度である。ここで、硫黄化合物としては、硫化カルボニル、硫化水素、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルフィド、メルカプタン(エチル、メチル、プロピル、及びターシャリーブチルメルカプタン等)、他の有機硫黄化合物、及びその組み合わせが挙げられる。このような高いレベルで硫黄化合物が存在すると、もし除去されないのであれば、燃料電池駆動装置の構成要素に弊害が生じ、燃料電池スタック自体を汚染することもある。全ての硫黄化合物を実質的に完全に除去することが必要である。なぜなら、その存在は、少量であっても単一の硫黄化合物であっても、燃料電池駆動装置の構成要素に損傷をあたえる可能性があるからである。
【0018】
本発明の一実施形態の脱硫システムは、幾つかの違った水素生成プロセスに利用することができるが、1つの特に好ましい利用が燃料電池処理装置である。本明細書には、この脱硫システムを全ての水素発生システムに用いることを含んでいるが、好ましい一実施形態では、このシステムを燃料電池駆動装置に用いることである。
【0019】
発明者らは、驚くべきことに、脱硫のために、Y型ゼオライト吸着剤(好ましくは銅カチオンで交換されたもの)及び1つ又はそれより多い選択的硫黄吸着剤を有する硫黄吸着剤システムを用いることで、炭化水素燃料流を従来の検出手段未満のレベルとする実質的な脱硫を達成できることを発見した。硫黄吸着剤システムにおいて使用する成分組成及び順番は、炭化水素燃料流中に存在する硫黄化合物の組成及び量、必要とされる硫黄除去の程度、及び必要とされるブレークスルー発生時間に応じて変更できる。
【0020】
好ましい実施形態ではないが、脱硫システムの2つ又はそれより多い成分を部分的に又は完全に一緒に混合してから脱硫システムに配置することで、供給流からの効果的な硫黄除去を達成することができる。しかしながら、これらの成分を一緒に脱硫システムに配置したとき(例えば、これらの成分を物理的な分離をせずに層状に導入したとき)、2成分の境界で最小限の混合が起きるとしても、成分を互いに分離することが好ましい。一実施形態において、Y型ゼオライト吸着剤は脱硫システム全体の容量の10%〜90%、選択的硫黄吸着剤は対応する量(すなわち90%〜10%)、それぞれ含まれる。別の実施形態では、Y型ゼオライト吸着剤は脱硫システム全体の80%含まれ、選択的硫黄吸着剤は残りの20%含まれる。さらに別の実施形態では、Y型ゼオライト吸着剤は脱硫システム全体の20%含まれ、選択的硫黄吸着剤は残りの80%含まれる。
【0021】
本発明の選択的硫黄吸着剤は、多種多様な吸着剤から選択することができる。ここで使用しているように、「選択的硫黄吸着剤」とは、100℃未満(特に60℃未満)の温度、1bar〜18barの圧力下、炭化水素燃料電池燃料流(特に天然ガス、プロパン、又はLPG)中に通常存在する少なくとも1つの硫黄化合物(例えば硫化水素、硫化カルボニル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルフィド、メルカプタン、特にエチル、メチル、プロピル、及びターシャリーブチルメルカプタン、並びにそれらの組み合わせ)を優先して吸収する材料である。
【0022】
各選択的硫黄吸着剤は、炭化水素燃料電池燃料流(好ましくは天然ガス)中に通常存在する1つ又はそれより多い硫黄化合物を選択的に吸着する。しかしながら、これらの吸着剤のそれぞれは、特定の硫黄化合物又はそれらの組み合わせの吸着に対し、他の選択的硫黄吸着剤より効果が低くても高くてもよい。さらに、幾つかの選択的硫黄吸着剤を用いたとき、供給流に問題が発生する可能性もある。硫黄化合物を含む選択的硫黄吸着剤が、利用した特定の選択的硫黄吸着剤では燃料流から除去できない別の高分子量硫黄化合物を合成する可能性もあるからである。
【0023】
驚くべきことに、選択的硫黄吸着剤とともにY型ゼオライト吸着剤(好ましくは銅カチオンで交換されたもの)を利用することによって、脱硫システムを実質的に改良することができるということが発見された。特に、1つ又はそれより多い選択的硫黄吸着剤と銅交換Y型ゼオライト吸着剤の組み合わせは、驚くべきことに、個別に使用した個々の選択的硫黄吸着剤又は銅交換Y型ゼオライトよりも優れた機能を発揮する。硫黄吸着剤システム中の選択的硫黄吸着剤と銅交換Y型ゼオライトの好ましい選択及び配列は、単一の選択的硫黄吸着剤のみを硫黄吸着剤システムに利用したときに生成することがある合成された硫黄化合物の製造の可能性を減らす。
【0024】
さらに、驚くべきことに、硫黄吸着剤システムにおける特定の配列及び吸着剤の選択によって、様々な組み合わせの硫黄化合物の除去を改良できることが発見された。特定の硫黄化合物の除去のためには、選択的硫黄吸着剤の前に銅交換Y型ゼオライトを硫黄吸着剤システムに配置することが好ましい。他の硫黄化合物が燃料流中に存在する場合、選択的銅交換Y型ゼオライトの前に硫黄吸着剤を配置することが好ましい。
【0025】
一実施形態において、このシステムによる硫黄の吸着は、さらに高められる。それは、特定の選択的硫黄吸着剤によって硫黄化合物が多量に合成され、その除去がより困難な状態になる幾つかの硫黄化合物が、選ばれた選択的硫黄吸着剤によって合成される前に、銅交換Y型ゼオライトによって供給流から除去されるからである。
【0026】
さらに、驚くべきことに、供給又は燃料流にジメチルスルフィド及び/又はターシャリーブチルメルカプタンが50ppbを超える量で含まれるとき、選択的硫黄吸着剤は、硫黄吸着剤システムにおいて、Y型ゼオライト(好ましくは銅交換Y型ゼオライト)の前に配置されることが好ましいことが発見された。一実施形態において、選択的硫黄吸着剤は、酸化銅と1つ又はそれより多いマンガン化合物;1つ又はそれより多いマンガン化合物と鉄化合物;及び酸化銅と鉄化合物と1つ又はそれより多いマンガン化合物;並びにこれらの混合物からなる群より選択される。
【0027】
さらに、驚くべきことに、供給又は燃料システムに1つ又は複数の硫黄成分としてテトラヒドロチオフェン及び/又はエチルメルカプタンが少なくとも50ppbの量で含まれるとき、Y型ゼオライト(好ましくは銅交換Y型ゼオライト)は、硫黄吸着剤システムにおいて、選択的硫黄吸着剤の前に配置されることが好ましいことが発見された。一実施形態において、選択的硫黄吸着剤は、酸化銅と1つ又はそれより多いマンガン化合物;1つ又はそれより多いマンガン化合物と鉄化合物;酸化銅と鉄化合物と1つ又はそれより多いマンガン化合物;及びその混合物からなる群から選択される。エチルメルカプタン又はテトラヒドロチオフェンが供給流中に存在するとき、硫黄吸着剤システムの選択的硫黄吸着剤の前にY型ゼオライト(好ましくは銅交換Y型ゼオライト)の存在を必要とする副生物が形成される可能性がある。
【0028】
有用な選択的硫黄吸着剤は、限定されないが、実質的にマンガン化合物を含む吸着剤;1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化銅を含む吸着剤;1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化鉄を含む吸着剤;1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化銅と酸化鉄を含む吸着剤;酸化亜鉛と担体(特にアルミナ)を含む吸着剤;酸化銅とともに活性炭を含む吸着剤;酸化亜鉛/酸化銅混合物(好ましくは少量の炭素及びアルミナを含む)を含む吸着剤;アルミナとともに酸化銅を含む吸着剤;アルミナ(好ましくは水和アルミナ)と混合された酸化銅/酸化亜鉛混合物を含む吸着剤;シリカ又はアルミナ上のニッケルと、銅又は亜鉛等の様々な公知の選択的硫黄吸着剤を含む吸着剤から選択される。これらの選択的硫黄吸着剤の各々の個別成分は様々な量で利用され、個別成分の量は、炭化水素燃料電池流中に存在する特定の硫黄化合物の種類及びその量に応じて、脱硫システム全体の吸着能力を高めるために変更できる。
【0029】
硫黄吸着剤床システムにおいて、Y型ゼオライト吸着剤(好ましくは銅カチオンと交換されたもの)とともに利用される好ましい選択的硫黄吸着剤は、1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化銅を含む。この選択的硫黄吸着剤のマンガン化合物は、前述のように従来の形式のいずれかで利用される。この選択的硫黄吸着剤のマンガン化合物は、この選択的硫黄吸着剤の25重量%〜80重量%、好ましくは60〜75重量%含まれる。酸化銅は、この選択的硫黄吸着剤の15〜40重量%、好ましくは15〜30重量%含まれる。バインダーを用いてもよい。バインダーは、この選択的硫黄吸着剤の5〜20重量%含まれる。好ましい実施形態において、バインダーは、ベントナイト、珪藻土、アタパルジャイト、カオリン、海泡石、イライト、及びその混合物等の多種多様な粘土から選択することができる。より好ましくは、バインダーはベントナイト粘土を含む。運転性能を高めるために、この選択的硫黄吸着剤にプロモータを加えてもよい。この吸着剤は、従来の手順により調製される。このバインダー入りマンガン化合物/酸化銅型選択的硫黄吸着剤の表面積は、100〜300m/g、好ましくは200〜300m/gの範囲である。
【0030】
このマンガン化合物/酸化銅/バインダー型選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、硫化カルボニル、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、及びその混合物の吸着に対し、大きな有用性を示した。加えて、このマンガン化合物/酸化銅/バインダー型選択的硫黄吸着剤は、硫黄吸着床システムにおいて銅交換Y型ゼオライトとともに利用されることで、炭化水素燃料電池供給流中に含まれる硫黄化合物の著しい吸着を示した。この硫黄化合物としては、限定されないが、ジメチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、メルカプタン(メチル、エチル、プロピル、及びターシャリーブチルメルカプタン等)、硫化水素、硫化カルボニル、及び他の硫黄化合物が挙げられる。
【0031】
燃料電池燃料流(特に天然ガス、プロパン、及びLPG)から硫黄化合物を除去するために用いるこの選択的硫黄吸着剤と銅交換Y型ゼオライトの比は、体積で、1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1である。
【0032】
他の選択的硫黄吸着剤(特に同じタイプのもの)は、酸化鉄/マンガン化合物において利用されるのと同じ量で、この選択的硫黄吸着剤及び銅交換Y型ゼオライト吸着剤と一緒に利用して、燃料電池燃料流中に存在する特定の硫黄化合物の吸着を高めるための3成分システムを形成してもよい。使用される特定の1つ又は複数の選択的硫黄吸着剤の選択は、供給流中に存在する特定の硫黄化合物の種類及びその量に応じて調整することができる。
【0033】
吸着剤システム中で銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、酸化鉄と混合された1つ又はそれより多いマンガン化合物を含む。このマンガン化合物は、好ましくは担体(アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、及び他の無機難溶性酸化物)上にある。担体の好ましい量は、この選択的硫黄吸着剤の総量に対して5〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%である。担持材料の1つの主要な機能は、活性金属化合物を堆積するために、広いそして接近しやすい表面積をもたらすことである。
【0034】
この選択的硫黄吸着剤の担体上に堆積した又は担体内部に取り込まれた金属化合物は、1つ又はそれより多いマンガン化合物以外に酸化鉄を含む。好ましい実施形態において、酸化鉄及びマンガン化合物を合わせて、この選択的硫黄吸着剤の少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは80〜90重量%である。
【0035】
酸化鉄とマンガン化合物の比は、重量で、少なくとも6:1〜1:6、好ましくは1:1から6:1でなければならない。好ましい実施形態において、この選択的硫黄吸着剤中に存在する酸化鉄の量は、マンガン化合物の量を超える。担体上への酸化鉄の好ましい導入量は、選択的硫黄吸着剤の総重量の40重量%〜80重量%の範囲、より好ましくは50〜70重量%である。様々な形態の酸化鉄(FeO、Fe、及びその混合物等)を用いることができる。
【0036】
1つ又はそれより多いマンガン化合物は、選択的硫黄吸着剤の総重量の15重量%〜40重量%、好ましくは20重量%〜40重量%である。様々な形態のマンガン化合物(MnO、Mn、Mn、及びMn(OH)、並びにその混合物)を用いることができる。この選択的硫黄吸着剤には、1つ又は複数のプロモータ(好ましくはアルカリ又はアルカリ土類金属酸化物プロモータ、より好ましくは酸化カルシウム)を5〜15重量%の量で加えてもよい。もう一つの方法として、アルカリ又は他のアルカリ土属金属酸化物プロモータ(酸化マグネシウム等)を、酸化カルシウムに組み合わせて利用してもよい。
【0037】
本発明に係る酸化鉄/マンガン化合物型選択的硫黄吸着剤は、共沈殿、分解、含浸、又は機械的混合により調製することができる。好ましくは、この選択的硫黄吸着剤は、共沈殿又は分解により製造される。選択された方法は、選択的硫黄吸着剤の成分の徹底的な混合を保証しなければならない。
【0038】
これらの手順で製造された酸化鉄/マンガン化合物型吸着剤の、水銀ポロシメトリーで測定した細孔容積は、0.3cc/g〜0.6cc/gであることが好ましい(DIN 66133:1993−06(水銀圧入による固体の細孔容積分布及び比表面積の測定)、Hg密度はDIN 51065−1−1985(セラミック材料の試験、成形された製品及び破片のかさ密度の測定)に従って測定)。加えて、この選択的硫黄吸着剤は、0.4〜1.1g/ccの固めかさ密度を有することが好ましい。いったん材料が仮の製品の形態になっているのであれば、ペレット化又は押出によりさらに加工して、最終的な選択的硫黄吸着剤を形成することができる。この選択的硫黄吸着剤は、成型品(特に球体又はペレットの形態のもの)に、好ましくは直径0.1cm〜1cmの範囲のサイズで成形することができる。この選択的硫黄吸着剤の材料は、少なくとも100m/g(より好ましくは100m/g〜300m/g)の表面積を達成するように選択することが好ましい。
【0039】
酸化鉄/マンガン化合物−アルミナ型選択的硫黄吸着剤と銅交換Y型ゼオライト吸着剤の比は、体積で、1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1である。
【0040】
この酸化鉄/マンガン化合物型選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、硫化カルボニル(COS)、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、及びエチルメルカプタン(EM)を含む硫黄化合物が燃料電池燃料流に含まれるとき、特に良好な硫黄吸着性能を示した。この選択的硫黄吸着剤は、銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用されるとき、テトラヒドロチオフェン(THT)及びジメチルスルフィド(DMS)を含む燃料電池燃料流中に通常含まれるさらなる硫黄化合物の吸着に対して、高い有用性を示した。供給流がテトラヒドロチオフェン(THT)を含む場合、銅交換Y型ゼオライトは、硫黄吸着剤床システムにおいて酸化鉄/マンガン吸着剤化合物より前となる順番で配置される。しかしながら、供給流がジメチルスルフィド(DMS)を含む場合、銅交換Y型ゼオライトは、硫黄吸着剤床システムにおいて酸化鉄/マンガン吸着剤化合物より後となる順番で配置される。ただし、幾つかの通常の炭化水素燃料流は、これらの追加的な硫黄化合物を含んでいない。この状況では、銅交換Y型ゼオライト吸着剤を用いずに、酸化鉄/マンガン化合物型選択的硫黄吸着剤のみを用いることも、他の好ましい実施形態である。
【0041】
他の選択的硫黄吸着剤は、炭化水素燃料電池供給流等の水素発生システムから特定の硫黄化合物を吸着するために、この選択的硫黄吸着剤及び銅交換Y型ゼオライト吸着剤と組み合わせて利用することができる。
【0042】
吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、酸化鉄及び酸化銅とともに、1つ又はそれより多いマンガン化合物を含み、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、及び他の無機難溶性酸化物等の担体上にある。担体の好ましい量は、5〜25重量%である。担体材料の1つの主要な機能は、活性金属化合物を堆積するために、広いそして接近しやすい表面積をもたらすことである。好ましい実施形態において、マンガン化合物は選択的硫黄吸着剤の10〜80%含まれ、酸化鉄及び酸化銅が残りの量含まれる。酸化鉄と酸化銅の好ましい比は、気体流中の硫黄化合物のレベル等の変数に基づいて変えることができる。様々な形態の酸化鉄(FeO、Fe、及びその混合物等)を用いることができる。
【0043】
この選択的硫黄吸着剤には、1つ又は複数のプロモータ(好ましくは、酸化カルシウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属酸化物プロモータ)を15重量%までの量で加えてもよい。
【0044】
本発明に係るマンガン化合物/酸化鉄/酸化銅型選択的硫黄吸着剤は、共沈殿、分解、含浸、又は機械的混合により調製することができる。好ましくは、この選択的硫黄吸着剤は、共沈殿又は分解により製造される。選択された方法は、選択的硫黄吸着剤の成分の徹底的な混合を保証しなければならない。
【0045】
これらの手順で製造されたマンガン化合物/酸化鉄/酸化銅型吸着剤の、水銀ポロシメトリーで測定した細孔容積は、0.1cc/g〜0.6cc/gであることが好ましい。加えて、この選択的硫黄吸着剤は、0.4〜1.1g/ccの固めかさ密度を有することが好ましい。いったん材料が仮の製品の形態になっているのであれば、ペレット化又は押出によりさらに加工して、最終的な選択的硫黄吸着剤を形成することができる。この選択的硫黄吸着剤は、成型品(特に小さい押出品)に、好ましくは直径0.1cm〜1cmの範囲のサイズで成形することができる。この選択的硫黄吸着剤の材料は、少なくとも100m/g(より好ましくは100m/g〜300m/g)の表面積を達成するように選択することが好ましい。このマンガン化合物/酸化鉄/酸化銅型選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、硫化カルボニル、及びメルカプタン(メチル、エチル、ブチル、及びターシャリーブチルメルカプタン等)に対し、特に良好な硫黄吸着性能を示した(特に、銅交換Y型ゼオライトが、硫黄吸着剤システムにおいてマンガン化合物/酸化鉄/酸化銅吸着剤化合物より前となる順番で配置されたとき)。
【0046】
他の選択的硫黄吸着剤は、炭化水素燃料電池供給流等の水素発生システムから特定の硫黄化合物を吸着するために、この選択的硫黄吸着剤及び銅交換Y型ゼオライト吸着剤と組み合わせて利用することができる。
【0047】
吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、酸化銅、酸化亜鉛、及びアルミナ(特に水和アルミナ)を含む。存在する酸化銅の量は15〜25重量%、酸化亜鉛の量は5〜15重量%、そしてアルミナの量は65〜85重量%である。吸着剤は、従来の手順により調製される。この選択的硫黄吸着剤となる材料は、その表面積が100〜300m/g(好ましくは150〜300m/g)となるように選択される。この選択的硫黄吸着剤触媒は、従来の手順により調製される。
【0048】
この選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、硫化カルボニル、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、及びその混合物の吸着に対して、特に有用である。この選択的吸着剤は、特に供給流に加水分解剤を添加することなしにブレークスルーが起きるまで、長期間にわたって硫化カルボニルの吸着に対して、特別な有用性を示した。
【0049】
上述した選択的吸着剤に代えて又はそれに加えて、硫黄吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、酸化亜鉛を単独で又は担体と組み合わせて含む。アルミナが好ましい担体であるが、同様の性能特性を有する他の担体を用いることができる。好ましい実施形態において、酸化亜鉛は、この選択的硫黄吸着剤の少なくとも60重量%含まれ、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは70〜90重量%含まれ、好ましくはアルミナが残りの量含まれる。硫黄化合物を吸着する能力又は他の性能特性を高めるために、添加剤をこの選択的硫黄吸着剤に添加することもできる。この選択的硫黄吸着剤の表面積は、5〜75m/gの範囲であり、好ましくは10〜50m/gである。この酸化亜鉛/アルミナ型選択的硫黄吸着剤は、従来の手順により調製される。
【0050】
酸化亜鉛アルミナ型選択的硫黄吸着剤は、燃料電池燃料流に含まれる硫黄化合物が硫化水素及びエチルメルカプタン、並びにその混合物を含むとき、良好な硫黄吸着を示した。
【0051】
硫黄吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、少量の酸化銅を含んでいる活性炭を含む。好ましい実施形態において、活性炭は、この選択的硫黄吸着剤の80〜95重量%、好ましくは85〜95重量%含まれ、酸化銅が残りの量含まれる。性能を高めるために、添加剤を組成物中に添加することもできる。組成物の表面積は、300〜1000m/gの範囲であり、好ましくは500〜1000m/gである。この選択的硫黄吸着剤は、従来の手順により調製される。
【0052】
この酸化銅含有活性炭型選択的硫黄吸着剤は、テトラヒドロチオフェン、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、及びその混合物の吸着に対して、大きな有用性を示した。
【0053】
硫黄吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、アルミナ(好ましくは少量の炭素を含む)とともに酸化銅及び酸化亜鉛を含む。好ましい実施形態において、酸化銅は、選択的硫黄吸着剤の50〜65重量%、より好ましくは50〜60重量%含まれる。酸化亜鉛は選択的硫黄吸着剤の20〜35重量%含まれ、アルミナは選択的硫黄吸着剤の5〜20重量%、好ましくは10〜20重量%含まれる。炭素を用いるときの量は、10重量%未満とすべきであり、好ましくは1〜10重量%である。酸化銅、酸化亜鉛、アルミナ、及び好ましくは少量の炭素を含むこの選択的硫黄吸着剤の表面積は、100〜300m/gであり、好ましくは100〜200m/gである。この選択的硫黄吸着剤を調製する方法は、従前のとおりである。
【0054】
この酸化銅/酸化亜鉛/アルミナ(好ましくは少量の炭素を含む)型選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、硫化カルボニル、及びその混合物の吸着に対して、特に有用である。
【0055】
硫黄吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、単独で用いられるマンガン化合物を含む。マンガン化合物は、MnO、Mn、Mn、及びMn(OH)、又はその混合物等の多くの形態で用いることができる。マンガン化合物の表面積は、100〜300m/gの範囲であり、好ましくは200〜300m/gである。マンガン化合物の性能を高めるために、銅、銀、及びマグネシウム等のさらなる材料をマンガン化合物と組み合わせることもできる。この選択的硫黄吸着剤の形成には、従来の方法が利用される。
【0056】
マンガン化合物型選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、及びその混合物の吸着に対して、大きな有用性を示した。
【0057】
硫黄吸着剤システムにおいて銅交換Y型ゼオライト吸着剤とともに利用できる他の選択的硫黄吸着剤は、アルミナとともに酸化銅を含む。酸化銅の量は5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%であり、アルミナの量は75〜95重量%、好ましくは80〜90重量%である。この選択的硫黄吸着剤の表面積は、100〜300m/gであり、好ましくは150〜300m/gである。この選択的硫黄吸着剤は、従来の手順により調製される。
【0058】
この選択的硫黄吸着剤は、硫化水素、硫化カルボニル、ターシャリーブチルメルカプタン、エチルメルカプタン、及びその混合物の吸着に対して、特別な有用性を示した。
【0059】
燃料流中に存在する特定の硫黄化合物の種類に応じて、脱硫システムにおける吸着剤の使用の好ましい順番は、選択的硫黄吸着剤の前に配置される銅交換Y型ゼオライト吸着剤である。選択的硫黄吸着剤の前に配置される銅交換Y型ゼオライト吸着剤の存在は、テトラヒドロチオフェン及び/又はエチルメルカプタンが燃料流中に存在するとき、特に有用である。別の実施形態では、燃料流中に存在する特定の硫黄化合物の種類に応じて、選択的硫黄吸着剤の後に銅交換Y型ゼオライト吸着剤を配置する。一実施形態において、ジメチルスルフィド及び/又はターシャリーブチルメルカプタンが燃料流中に存在するとき、選択的硫黄吸着剤が、燃料流に存在する銅交換Y型ゼオライト吸着剤の前に配置されることが好ましい。銅交換Y型ゼオライト吸着剤と選択的硫黄吸着剤の好ましい比は、10:1〜1:10であり、好ましくは5:1〜1:5である。
【0060】
発明者らは、銅交換Y型ゼオライトとともに多くの選択的硫黄吸着剤を利用して、供給流から硫黄化合物を除去することができるが、特に供給流中に水が存在する場合に好ましい選択的硫黄吸着剤(特に水素精製のためのもの)は、a)酸化銅(及び好ましくは少量のバインダー)と混合された1つ又はそれより多いマンガン化合物、b)1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化鉄(及び好ましくは担体)、及びc)1つ又はそれより多いマンガン化合物と酸化鉄と酸化銅(及び好ましくは担体)を含むことを発見した。
【0061】
発明者らは、驚くべきことに、様々なタイプのゼオライトをこの硫黄吸着システムのゼオライト吸着剤として利用することができるが、好ましいゼオライトがY型ゼオライトであることを発見した。Y型ゼオライトは、X型ゼオライト等の他のゼオライトに比べて、実質的に疎水性である。Y型ゼオライトは、多くの異なるカチオン(限定されないが、Cu、Ag、Mn、Mg、Fe、Ca、Ce、La、Sr、Pr、及びNd等)と交換されていてもよい。好ましい実施形態では、そのイオン交換ゼオライトは、銅のY型ゼオライトである。本発明の一実施形態では、Y型ゼオライトのカチオンのうちかなりの割合が、銅イオンとイオン交換されている。イオン交換は、従来のイオン交換手順を用いて行うことができ、例えば銅塩(限定されないが、硝酸銅、酢酸銅、及び塩化銅等)、好ましくは硝酸銅を用いたY型ゼオライトの処理が挙げられる。好ましくはY型ゼオライト吸着剤が好ましい最終形態(ビーズ又は押出品等)に形成された後に起こるイオン交換を含む様々な方法が、イオン交換手順に用いることができる。Y型ゼオライトは、その交換能力の少なくとも30%のレベルまでイオン交換されることが好ましく、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも70%である。残りのイオンは、ナトリウムイオン、H及び/又はNH4+イオンでもよい。
【0062】
本発明の一実施形態の銅交換Y型ゼオライトは、一般に、銅イオン交換の後でも銅イオンに加えて若干のナトリウムイオンを含む。しかしながら、一部(これらのナトリウムイオンの実質的に全てまで)は、銅交換Y型ゼオライトの性能特性を高める又は修正するために(特に硫黄吸着のため)、他のカチオンとイオン交換されていることもできる。例えば、その性能を高めるためにY型ゼオライト上に交換される追加的なカチオンとしては、亜鉛、カドミウム、コバルト、ニッケル、鉄、マンガン、銀、金、スカンジウム、リチウム、セリウム、ランタン、マグネシウム、及びその組み合わせが挙げられる。これらの追加的な金属イオンのイオン交換割合は、Y型ゼオライトの銅交換のレベルに応じて、1%程度の少量から50%までの範囲とすることができる。銅交換Y型ゼオライト上でイオン交換された金属イオンの種類は、本発明の硫黄吸着剤システムによって燃料電池燃料流から除去されるべき特定の硫黄化合物の種類に依存する。
【0063】
銅交換Y型ゼオライトは、硫黄吸着剤として利用されるとき、様々な硫黄材料(特に、テトラヒドロチオフェン(THT)、ジメチルスルフィド(DMS)、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、及びエチルメルカプタン(EM))の吸着に対し、顕著な能力を示した。
【0064】
発明者らは、驚くべきことに、アルミナ成分(好ましくは水和アルミナ)が硫黄吸着剤システムの性能を高めることができるということも発見した。本発明では、「アルミナ水和物」又は「水和アルミナ」なる用語は、通常、式Al(OH)又はAlO(OH)を有する水酸化アルミニウムを含む。これらの水和アルミナの結晶形式としては、三水酸化物で、ギブサイト、バイヤーライト、及びノルドストランドが挙げられる。水和アルミナには、ベーマイト、擬ベーマイト、及びダイアスポア等の水酸化酸化アルミニウムも含まれる。本発明の様々な形式のアルミナ成分のうち水和アルミナ好ましい形態としては、ベーマイト、擬ベーマイト、及びギブサイトが挙げられる。アルミナ(上述のタイプの水和アルミナを含む)の割合は、60%より大きく、好ましくは80%より大きく、最も好ましくはほぼ100%に等しい。
【0065】
非活性化水和アルミナが、脱硫システムのための水和アルミナの好ましい形式であるが、「活性」水和アルミナもまた、幾つかの硫黄除去への利用に有用な場合がある。本発明では、水和アルミナの「活性」には、水和アルミナへ1つ又はそれより多いアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンの含浸が必要とされる。その量は、好ましくは0.01〜10重量%である。ここで、重量%は、組成物中のアルカリ金属/アルカリ土類金属とアルミニウムの総重量に対する、含浸アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンの重量割合として計測される。活性水和アルミナは、一般に、アルカリ金属イオン(最も好ましくはナトリウム又はカリウムイオン)の含浸により活性化される。このタイプの活性水和アルミナは、従来技術において認識されている方法によって調製される。それは、例えば米国特許第3,058,800号及び同第4,835,338号に開示されており、その両特許は参照して本願明細書に組み込まれる。
【0066】
驚くべきことに、選択的硫黄吸着剤とともに利用される銅交換Y型ゼオライト及び水和アルミナを使用して、炭化水素燃料電池供給流の脱硫のための硫黄吸着システムを形成することによって、選択的硫黄吸着剤、水和アルミナ、及び銅交換Y型ゼオライトの個々の能力は劇的に高まることが発見された。配置された銅交換Y型ゼオライト、水和アルミナ、及び選択的硫黄吸着剤の組み合わせでの使用により、従来これら成分を単独で使用したときに吸着した範囲より広い範囲で、硫黄含有化合物の吸着を可能にする。例えば、驚くべきことに、銅交換Y型ゼオライト、水和アルミナ、及び選択的硫黄吸着剤の使用により、広い範囲での硫黄化合物の高められた硫黄吸着が可能になることが発見された。この硫黄化合物としては、硫化カルボニル(COS)、硫化水素(HS)、テトラヒドロチオフェン(THT)、ジメチルスルフィド(DMS)、及び様々なメルカプタン(エチル(EM)、メチル、プロピル、及びターシャリーブチルメルカプタン(TBM)等)、並びにその組み合わせが挙げられる。
【0067】
発明者らは、驚くべきことに、本願明細書に記載されている硫黄吸着剤システムが、従来の硫黄吸着剤システムに通常採用される温度よりも低い温度で利用できるということも発見した。従来の化学的硫黄吸着剤では、少なくとも150℃〜400℃の供給流の温度が必要であるが、硫黄吸着剤システムの実施形態を利用することで、100℃未満の温度で硫黄汚染物を効果的に吸着することができる。このような実施形態は、常温から100℃(特に常温から60℃)の温度で幾つかの硫黄化合物を除去するのに特に効果的でありえる。常温の下限は知られていないが、典型的には、硫黄吸着剤システムを用いる常温とは、0℃〜30℃の範囲である。
【0068】
加えて、記載されている硫黄吸着剤システムが用いられるとき、供給流の圧力は、1bar〜18bar、好ましくは1.7bar〜7barの範囲に減圧することができる。これらの圧力範囲は、従来の燃料電池駆動装置において硫黄化合物の吸着のために通常利用される圧力より低い。
【0069】
発明者らは、驚くべきことに、本願明細書において記載されている硫黄吸着剤システムを使用して、実質的に脱硫された炭化水素燃料流を燃料電池処理機構に供給する方法も発見した。この方法では、硫黄汚染炭化水素燃料流は、0℃〜100℃(好ましくは60℃未満、より好ましくは室温又は常温(20℃〜25℃))の温度で燃料電池処理機構の硫黄吸着剤システム上又は中を通過する。例えば、硫黄化合物を500ppmまでのレベルで含んでいる天然ガス、プロパン、又はLPGを含む炭化水素燃料流を通過させることで、それら硫黄化合物の量の実質的な減少(好ましくは50ppb未満のレベルまで)を達成することができる。驚くべきことに、燃料流中に水が1000ppmまで存在するときでさえ、この硫黄の減少は起きることも発見された。
【0070】
発明者らは、本発明の前述の硫黄吸着剤システムは脱硫器(特に燃料電池処理装置に用いるもの)に用いることができることも発見した。この脱硫器は、未脱硫の炭化水素燃料流(天然ガス、プロパン、又はLPG等)を受け取る入口と、その炭化水素燃料流を脱硫する位置に配置される前述の硫黄吸着剤システムと、脱硫された炭化水素燃料流をさらなる処理のために下流側に通過させる出口とを有する。例えば、脱硫された炭化水素燃料流は、燃料電池駆動装置中を通過して、電気発生のための燃料電池スタックに到達することができる。
【0071】
発明者らは、驚くべきことに、実質的に脱硫された炭化水素燃料流を供給するこの方法は、従来の脱硫システムを用いる方法より有利であることも発見した。なぜなら、硫黄化合物の広い範囲での脱硫を可能にし、そのシステムにおける硫黄化合物のブレークスルー時間を長くし、合成硫黄化合物の生産を少なくし、供給流に求められる温度及び圧力を低くし、特定の供給流中に存在する硫黄化合物の種類に応じて硫黄吸着剤システムに使用する他の選択的硫黄吸着剤の選択を可能にするからである。このようなプロセスの組成物及び方法は、従来の脱硫プロセスで実現可能な硫黄のレベルより低い、実質的に脱硫された炭化水素燃料流の生産も可能にする。
【0072】
発明者らは、本願明細書に記載されている硫黄吸着剤システムは、従来の吸着剤よりも長期間、燃料電池処理機構に用いることができ、さらに、高いレベルの硫黄吸収性を実現することができることも発見した。
【0073】
発明者らは、本願明細書に記載されている硫黄吸着剤システムは、硫黄吸着剤システムの周囲の条件が変わったときに従来の硫黄吸着剤がしばしば起こしていたような、吸着した硫黄化合物の脱離を起こすことはないことも発見した。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明の一実施形態を例示することで、当業者にこの実施形態を実行し使用することを教示するためのものである。これらの実施例は、いかなる形式であれ、本発明を限定するものではない。
【0075】
<実施例1及び2>
本発明の一実施形態の操作を例示するために、発明者らは、銅交換Y型ゼオライト及びそれに続く酸化銅を含む選択的硫黄吸着剤を順番に有する第一の硫黄吸着剤システム(実施例1)の性能を、カルシウムイオンで交換されたカルシウム交換X型ゼオライト及び同じ選択的硫黄吸着剤を同じ割合で有する第二の硫黄吸着剤システム(実施例2)と比較した。各システムにおいて、吸着剤の容量は10cmとした。
【0076】
各実施例において、天然ガス供給流は、96%のメタン、2%のエタン、0.3%のプロパン、1%の二酸化炭素、0.5%の窒素、及び200ppmのHOを含むものが利用される。また、この天然ガスには、0.5ppmのDMS、2ppmのTBM、0.2ppmのHS、及び0.1ppmのCOSが含まれる。この天然ガスが、硫黄吸着剤システムを含む反応器中を通過する。各ゼオライト吸着剤は、1/16インチ(15.875mm)押出品の形態である。これら幾つかの成分は反応器に入れられ、天然ガス供給流が反応器中を通過する。供給流の温度は38℃に維持され、ガス空間密度(GHSV)は1500hr−1、圧力は2barである。この試験で「ブレークスルー」とは、吸着剤システム中を通過した後の天然ガス供給流において50ppbより大きい硫黄量が観測されたときに発生する。
【0077】
供給流の気相硫黄濃度を測定するために、Antek7090硫黄分析器が取り付けられたAgilent6890ガスクロマトグラフを用いた分析が行われる。ガスクロマトグラフでは、硫黄化合物の分離のために、60×320ミクロンのDB−1キャピラリーカラムが利用される。Antek7090では、硫黄検出のために、化学発光検出器(SCD)が利用される。このシステムで使用可能な検出限界は、おおよそ50ppbである。試験装置は、自動化ソフトウェアによって制御される。
【0078】
実施例1において、天然ガスは、銅交換Y型ゼオライト及び選択的硫黄吸着剤を順番に有する反応器中を通過する。Y型ゼオライトの銅交換は58%であり、残りの金属イオンはナトリウムを含む。選択的硫黄吸着剤は、70重量%のマンガン化合物と、CuOを含む21%の酸化銅と、9%のシリカを含む。全吸着材料の80容量%は、銅交換Y型ゼオライトである。このシステムにおけるDMSのブレークスルーを図1に示す。HS、COS、又はTBMのブレークスルーは、2444時間後でも発生しない。
【0079】
実施例2においては、さらなる試験が行われ、ここではゼオライトがカルシウム交換X型ゼオライトを含み、実施例1の選択的硫黄吸着剤が反応器中に用いられる。成分の80容量パーセント(80%)はカルシウムX型ゼオライトであり、20%は選択的硫黄吸着剤である。供給流が反応器中を通過すると、DMSのブレークスルーが図1に示すように発生する。HS、COS、又はTBMのブレークスルーは、763時間後でも発生しない。
【0080】
これらの実施例から明らかなように、銅交換Y型ゼオライト及び選択的硫黄吸着剤の組み合わせは、カルシウム交換X型ゼオライト及び同じ選択的硫黄吸着剤の使用に比べ、硫黄ブレークスルー時間を増加させ、硫黄吸着剤システムの寿命を延ばす。
【0081】
<実施例3>
実施例1及び2において用いたものと同じ天然ガス供給流を用いて、他の実施例が行われる。供給流の温度は常温に維持され、圧力は1.3barである。他の全ての条件は、同じである。その結果を図2に示す。
【0082】
2つの異なる吸着剤床が使われる。図2の左側に示す1つ目の床では、図2の左側に示すように、実施例1で用いたものと同じタイプの酸化銅及び酸化マンガンを含む選択的硫黄吸着剤が、銅交換Y型ゼオライトと順番に配置される。図2の右側に示す2つ目の硫黄吸着剤システムは、銅交換Y型ゼオライトが選択的硫黄吸着剤より前に置かれた状態で調製され、試験される。
【0083】
これらの結果を図2に示す。各々のグラフにおける1つ目の棒は、それぞれの硫黄材料で50ppbのブレークスルーが検出されるときまでに吸収されるターシャリーブチルメルカプタン(TBM)又はジメチルスルフィド(DMS)の各成分の割合を表す。3つ目の棒は、最初のブレークスルーの時点までに吸着される総硫黄材料を示し、これは最初の硫黄成分が50ppbの硫黄材料を超えたときに吸収されている総硫黄材料である。
【0084】
<実施例4及び5>
実施例4及び5は、実施例1及び2において用いたものと同様の天然ガス供給流を用いて行われる。ただし、実施例4では、供給流は、20ppmのエチルメルカプタンを含む。実施例5では、供給流は、実施例1及び2と同様の天然ガス中に10ppmのテトラヒドロチオフェンを含む。各供給流の温度は38℃に維持され、圧力は15psig(1.0bar)である。ガス空間密度(GHSV)は10,000hr−1である。実施例1についての試験成績をエチルメルカプタンのppmで示したものを図3に示す。供給流がテトラヒドロチオフェンを含む実施例5の結果を図4に示す。
【0085】
発明の概念を逸脱しない範囲で、開示された実施形態において多くの変更及び変形がなされてもよく、この説明によって本発明は限定されるものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄化合物により汚染された炭化水素供給流を供給する工程と、
前記硫黄汚染供給流を、Y型ゼオライト吸着剤及び選択的硫黄吸着剤中を通過させ、ここで前記供給流が実質的に脱硫される工程と
を有する炭化水素供給流の脱硫方法。
【請求項2】
前記Y型ゼオライト吸着剤が、Cu、Ag、Mn、Mg、Fe、Ca、Ce、La、Sr、Pr、Nd、及びその混合物からなる群より選択されるカチオンとイオン交換されたY型ゼオライト(好ましくは銅交換Y型ゼオライト)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Y型ゼオライト吸着剤が、さらに、亜鉛、カドミウム、コバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、銀、金、スカンジウム、リチウム、セリウム、ランタン、マグネシウム、及びその組み合わせからなる群より選択される金属イオンと交換された銅交換Y型ゼオライトである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択的硫黄吸収剤が、酸化銅と、1つ又はそれより多いマンガン化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択的硫黄吸収剤が、1つ又はそれより多いマンガン化合物と、鉄化合物(好ましくは酸化鉄)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記選択的硫黄吸収剤が、酸化銅と、鉄化合物と、1つ又はそれより多いマンガン化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記Y型ゼオライト吸着剤及び前記選択的硫黄吸着剤の温度を100℃未満(好ましくは60℃未満)に維持する工程をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記供給流を、水和アルミナ吸着剤上を通過させる工程をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記硫黄汚染炭化水素供給流が、さらに水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記炭化水素供給流が、少なくとも50ppbの量で、ジメチルスルフィド、ターシャリーブチルメルカプタン、又はこれらの混合物を含む硫黄化合物により汚染されている場合、前記硫黄汚染供給流を、最初に前記選択的硫黄吸着剤中を通過させ、次いで、前記供給流を、前記Y型ゼオライト吸着剤中を通過させる請求項1に記載の炭化水素供給流の脱硫方法。
【請求項11】
前記炭化水素供給流が、少なくとも50ppbの量で、テトラヒドロチオフェン、エチルメルカプタン、又はこれらの混合物を含む硫黄化合物により汚染されている場合、前記硫黄汚染供給流を、最初に前記Y型ゼオライト吸着剤中を通過させ、次いで、前記供給流を、前記選択的硫黄吸着剤中を通過させる請求項1に記載の炭化水素供給流の脱硫方法。
【請求項12】
前記Y型ゼオライト吸着剤が、Cu、Ag、Mn、Mg、Fe、Ca、Ce、La、Sr、Pr、Nd、及びその混合物からなる群より選択されるカチオンとイオン交換されたY型ゼオライト(好ましくは銅交換Y型ゼオライト)を含む請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択的硫黄吸着剤が、酸化銅と1つ又はそれより多いマンガン化合物;1つ又はそれより多いマンガン化合物と鉄化合物(好ましくは酸化鉄);酸化銅と鉄化合物(好ましくは酸化鉄)と1つ又はそれより多いマンガン化合物;及びその混合物からなる群より選択される請求項10〜12に記載の方法。
【請求項14】
燃料電池駆動装置において水素を発生させるための、請求項1に記載の方法で得られた実質的に脱硫された炭化水素供給流の使用。
【請求項15】
前記燃料電池駆動装置が、請求項1に記載の脱硫システムを有している請求項14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−530790(P2012−530790A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514175(P2012−514175)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037415
【国際公開番号】WO2010/141825
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(505241038)ズードケミー インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】