説明

燃料電池用セパレータおよびその製造方法

【課題】導電性、耐食性、機械的強度、薄型化等の各種要求特性を満たす燃料電池用セパレータを、容易かつ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】基板21の面に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布して硬化させることにより導電性樹脂下地層22を形成する。次に、導電性樹脂下地層22が基板21の面と反対側に位置する面にフォトレジスト26により凹状溝24、25と同一の幅と長さを有する凸部30を形成することで凹凸面を形成する。次に、導電性樹脂下地層22に形成された凹凸面を覆うように導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布し、凸部30と凸部30の間に位置する凹部32に充填したのち、導電性樹脂インクを硬化させることにより導電性樹脂層23を形成する。次に、導電性樹脂層23を凸部30が露出するまで研磨除去し、フォトレジスト26で形成された凸部30を剥離除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用のセパレータおよびその製造方法に関するものであり、特に基板を有する燃料電池用のセパレータおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は水素などの燃料と空気などの酸化剤を電気化学的に反応させることにより燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出す発電方式である。
燃料電池は、発電効率が高く、静粛性に優れ、大気汚染の原因となるNOx、SOx、また地球温暖化の原因となるCOの排出量が少ない等の利点から、新エネルギーとして期待されている。その適用例は携帯電気機器の長時間電力供給、コジェネレーション用定置型発電温水供給機、燃料電池自動車など、用途も規模も多様である。
【0003】
燃料電池の種類は使用する電解質によって、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、アルカリ型等に分類され、それぞれ運転温度が大きく異なり、それに伴い発電規模や利用分野も異なる。陽イオン交換膜を電解質として用いる固体高分子型燃料電池は比較的低温での動作が可能であり、また、電解質膜の薄膜化により内部抵抗を低減できるため高出力化、コンパクト化が可能である。
【0004】
燃料電池は電解質膜の一方の面にアノード(燃料極)、他方の面にカソード(酸化剤極)を設けた膜電極結合体(以下MEAと称す場合がある)の両側に、セパレータを配した単電池セルを単数設けた構造、あるいは、単電池セルを複数積層した構造を有している。
【0005】
図3は前記電解質膜の両面に電極触媒層を形成した膜電極結合体の一実施態様の断面説明図である。電解質膜1の両面に常法により触媒層2、3を接合、積層して膜電極結合体12が形成される。
【0006】
図4は、この膜電極結合体12を装着した固体高分子型燃料電池の単セル(単電池セル)の一実施態様の構成を示す分解断面図である。
図3および図4に示したように、従来の固体高分子型燃料電池(PEFC)の単セルは、固体高分子電解質膜1(パーフルオロカーボンスルホン酸膜)をそれぞれカーボンブラック粒子に触媒物質[主として白金(Pt)あるいは白金族金属(Ru、Rh、Pd、Os、Ir)]を担持した空気極側触媒層2と燃料極側触媒層3とで挟持し、この空気極側触媒層2と燃料極側触媒層3とをそれぞれ空気極側ガス拡散層4と燃料極側ガス拡散層5で挟持して空気極6および燃料極7を構成した膜電極結合体12を備えている。
そして、膜電極結合体12を一組のセパレータ10により挟持して単セルが構成される。
すなわち、セパレータ10は、空気極側ガス拡散層4と燃料極側ガス拡散層5に面して反応ガス流通用の凹状溝(ガス流路)8を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でかつガス不透過性の材料よりなる。この単セルについて、空気などの酸化剤を空気極6に供給し、水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料を燃料極7に供給して発電するようになっている。
【0007】
すなわち、燃料極7、空気極6のそれぞれに反応ガスが供給されると、各電極触媒層2、3中の触媒粒子表面において、下記の式(1)、(2)の電気化学反応が生じ直流電力を発生する。
燃料極側:2H→4H+4e ……(1)
空気極側:O+4H+4e→2HO ……(2)
燃料極側では水素分子(H)の酸化反応が起こり、空気極側では酸素分子(O)の還元反応が起こることで、燃料極7側で生成されたHイオンは固体高分子電解質膜1中を空気極6側に向かって移動し、e(電子)は外部の負荷を通って空気極6側に移動する。
一方、空気極6側では酸化剤ガスに含まれる酸素と、燃料極7側から移動してきたHイオンおよびe(電子)とが反応して水が生成される。かくして、固体高分子形燃料電池は、水素と酸素から直流電流を発生し、水を生成することになる。
【0008】
前記のように燃料極7に対向するセパレータ10表面には、燃料を流通させるための凹状溝8が設けられている。また、空気極6に対向するセパレータ10表面には、酸化剤ガスを流通させるための凹状溝8が設けられている。
【0009】
燃料としては、水素を主体とした改質ガス(又は水素ガス)や、メタノール水溶液などが用いられている。
【0010】
しかし、前記空気極側の還元反応(酸素分子(O)の4電子還元)は難しく、空気極側において副反応として下記の電気化学反応(酸素分子(O)の2電子還元)が生じて多くのHが発生する。そして不純物としてFe(II)などが存在するとその触媒作用でHが分解され、OH・(OHラジカル)とOHが生成する。
+2H+2e→H
+Fe(II)→OH・+OH+Fe(III)
生成したOH・(OHラジカル)は酸化力が大きく、固体高分子電解質膜1を酸化し分解し劣化する。
【0011】
直接メタノール型燃料電池は、メタノール水溶液を直接MEAに供給する方式の燃料電池であり、ガス改質器が不要、かつ、体積基準のエネルギー密度が高いメタノール水溶液を利用できることから、装置の更なる小型化が可能であり、携帯電気機器(例えば携帯音楽プレーヤー、携帯電話、ノート型パソコン、携帯型テレビ等)のポータブル電源としての展開が期待されている。
【0012】
直接メタノール型燃料電池の発電方法としては、電解質膜1を介して、メタノールと(酸化剤ガスに含まれる)酸素を、燃料極側触媒層3および空気極側触媒層2に含まれる触媒粒子表面において、下記の式(3)〜(5)の電気化学反応を生じさせる方法を用いている。
燃料極側反応:CHOH+HO→CO+6H+6e ……(3)
空気極側反応:6H+(3/2)O+6e→3HO ……(4)
全反応 :CHOH+(3/2)O→CO+2HO ……(5)
【0013】
燃料極7側では、供給されたメタノールおよびその水溶液が、燃料極側触媒層3での式(3)の反応により炭酸ガス、水素イオン、および電子に解離する。この際、蟻酸等の中間生成物も微量発生する。
【0014】
生成された水素イオンは電解質膜1中を燃料極7から空気極側6に移動し、空気極触媒層2において、空気中から供給された酸素ガスおよび電子と、式(4)に従って反応し、水が生成する。
【0015】
単位電池セルの電圧は、室温近傍において理論上約1.2Vであるが、燃料極7で電気化学反応せずに電解質膜1中を空気極側6に移動してしまうメタノールクロスオーバーや、水素イオンが電解質膜1を透過する際の抵抗により、実質的には0.85〜1.0Vとなる。
【0016】
実用上、連続運転条件下で電圧が0.3〜0.6V程度となるように電流密度が設定されるため、実際に電源として用いる場合には、所定の電圧が得られるように、複数の単位電池セル(前記単セル)を直列接続して使用する必要がある。
【0017】
電池構造としては、出力密度の増大と燃料電池全体のコンパクト化を目的として、MEA12をセパレータ10で挟持して成る単電池セルを複数積層(スタック)した構造が用いられている。
必要な電力により、スタック枚数は異なり、一般的に携帯電気機器のポータブル電源では数枚から10枚程度、コジェネレーション用定置型電気および温水供給機では60〜90枚程度、自動車用途では250〜400枚程度といわれている。高出力化のためにはスタック枚数の増大は必然的であり、単セルの厚みやコストが燃料電池本体のサイズや価格に大きく影響することになる。
【0018】
燃料電池用セパレータは燃料電池の単位セルを形成する保持支持体であり、燃料(水素、メタノール等)や酸素を供給する供給経路となる。燃料極に対向するセパレータ表面には、燃料を流通させるための燃料ガス流路である凹状溝が設けられている。また、空気極に対向するセパレータ表面には、酸化剤ガスを流通させるための酸化剤ガス流路である凹状溝が設けられている。
【0019】
燃料電池用セパレータは、燃料や酸素の供給を制御する他、集電体としての役割も有している。このため、全体としての体積抵抗が小さく、MEAとの接触抵抗が低くなるよう、優れた導電性が必要である。また、還元性の水素ガス、空気等の酸化剤ガス、冷却水などの冷却媒体、その他反応副生成物(蟻酸、水蒸気等)に曝され、さらに通電による電気化学反応の作用も受けるため、これらに対する耐食性も重要な特性である。その他、水などの反応生成物の除去、燃料の外部漏出防止等の役割も大きい。
【0020】
燃料電池用セパレータの基材としては、非金属系と金属系に大別できる。非金属系セパレータとしては緻密カーボングラファイト等のカーボン系材料(特許文献1)、樹脂材料がある。カーボン系材料は耐食性に優れているが、機械的耐性に乏しいため薄型化が難しい。また、プレス加工が困難であり、切削加工により流路やマニホールドを成型することになる結果、加工コストが高くなり量産性に問題がある。そこで樹脂材料を使用することでガス不透過性、加工性の問題はある程度解消されるが、導電性フィラーを混入しないと導電性を発現することが困難であり、また導電性フィラーを混入しすぎると十分なガス不透過性を確保するのが困難となる。
【0021】
金属系セパレータの材料としてはステンレス鋼(SUS)、チタン、アルミニウム等が挙げられる(特許文献2)。これらの材料は強度、延性に優れていることから、流路やマニホールドを成型するためのプレス加工が容易であり、加工コストが安価で量産性に優れている。さらには板厚の薄い金属を用いることが可能であり、燃料電池スタックの質量や容積を低減できる効果もある。
【0022】
しかし、金属系セパレータは燃料電池の使用環境雰囲気において耐食性に問題がある。セパレータ基材の電位が活性態域および過不動態域にあたると、金属の腐食が促進され、セパレータとMEAとの接触抵抗が増大する。またセパレータからの溶出金属イオンが電解質膜に捕捉されると、電解質膜のプロトン伝導能が低下する。さらには溶出金属イオンが存在すると空気極において過酸化水素等のラジカル性化学種が発生し、このラジカル性化学種の作用により電解質膜の劣化も引き起こす。セパレータ基材の電位が不動態域であった場合、腐食の進行は小さいが、不動態皮膜が成長する。通常不動態皮膜は水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物等で構成されている。これら化合物の殆どは電気伝導性に乏しいため、金属セパレータの不動態皮膜が成長するに従って、電気抵抗が増大し、電池性能が劣化する。
【0023】
金属系セパレータの改良策として、高い導電性および耐食性を持つ貴金属をめっき、スパッタ等によりコーティングする方法(特許文献3、4)が報告されている。しかし、セパレータ表面全体に対して、ピンホールを生じない程度の膜厚のコーティングを施すには、かなりの金属量が必要であるため、コスト的な問題が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2001−6703号公報
【特許文献2】特開2002−190305号公報
【特許文献3】特開2001−297777号公報
【特許文献4】特開2003−338296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は前述した背景技術における問題点を考慮し、基板上に導電性フィラーを混合した樹脂層を形成することで、導電性、耐食性、機械的強度、薄型化等の各種要求特性を満たす燃料電池用セパレータを、容易かつ安価に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、例えば、基板の少なくとも一方の面上にフォトレジストにより凹部を形成し、その空隙部に導電性樹脂インクを埋込み・硬化後にフォトレジストを剥離除去するというという簡便な方法および構成により、十分な導電性、耐食性、機械的強度(堅牢性)、薄膜化などの特性を一度に兼ね備えた安価な燃料電池用セパレータを提供できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0027】
請求項1に記載の発明は、基板の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用の凹状溝または冷却のための冷媒を供給するための冷却用の凹状溝が形成されてなる燃料電池用セパレータの製造方法であって、前記基板の面に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布して硬化させることにより導電性樹脂下地層を形成する工程と、前記導電性樹脂下地層が前記基板の面と反対側に位置する面にフォトレジストにより平面視した場合に前記凹状溝を形成する箇所と同一の箇所に該凹状溝と同一の幅と長さを有する凸部を形成することで凹凸面を形成する工程と、前記凹凸面を覆うように導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布し前記凸部と凸部の間に位置する凹部に充填したのち、前記導電性樹脂インクを硬化させることにより導電性樹脂層を形成する工程と、前記導電性樹脂層を前記凸部が露出するまで研磨除去する工程と、前記凸部を形成する前記フォトレジストを剥離除去する工程とを含むことを特徴とする。
言い換えると、基板と、前記基板の一方の面に設けられ、反応ガスを電極に供給するためのガス供給用凹状溝が形成されたガス供給用凹状溝部と、前記基板の他方の面に設けられ、冷却のための冷媒を供給するための冷却用凹状溝が形成された冷却用凹状溝部とを備える燃料電池用セパレータの製造方法において、前記ガス供給用凹状溝部および冷却用凹状溝部の少なくとも一方が、下記の工程を用いて形成されることを特徴とする、燃料電池用セパレータの製造方法である。
(1)前記基板上に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布、硬化し、導電性樹脂下地層を形成する工程。
(2)前記導電性樹脂下地層上にフォトレジストにより凹状溝部のパターン形成する工程。
(3)凹状溝部に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを充填、硬化する工程。
(4)フォトレジスト上の硬化した導電性樹脂インクを研磨除去する工程。
(5)フォトレジストを剥離除去し、導電性樹脂凸形状層を形成する工程。
【0028】
請求項2に記載の発明は、前記基板の一方の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用の凹状溝が形成され、かつ、前記基板の他方の面に冷却のための冷媒を供給するための冷却用の凹状溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータの製造方法である。
【0029】
請求項3に記載の発明は、前記フォトレジストが、ドライフィルムレジストからなり、膜厚50um以上700um以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法である。
【0030】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法を用いて形成された燃料電池用セパレータであって、前記導電性フィラーは、カーボン繊維もしくは導電性粉体またはその混合物であることを特徴とする燃料電池用セパレータである。
【0031】
請求項5に記載の発明は、前記導電性フィラーの粉体抵抗は、0.015Ω・cm以下であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータである。
【0032】
請求項6に記載の発明は、前記凹状溝の深さが、50μm以上700μm以下である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の燃料電池用セパレータである。
【0033】
請求項7に記載の発明は、前記基板は、純鉄、鉄合金、純銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、カーボンからなる群から選択される材料を少なくとも1つ以上用いて形成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータである。
【0034】
請求項8に記載の発明は、平面視した場合、前記凹状溝を除く前記導電性樹脂の部分が蛇行状、直線状、碁盤目状または円柱状を呈していることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、平板基板をセパレータの基板として用い、表面に導電性フィラーを混合した樹脂層を形成することで、導電性、耐食性、機械的強度、薄型化等の各種要求特性を満たす燃料電池用セパレータを、容易かつ安価に製造する方法を提供することができる。
【0036】
また本発明の燃料電池用セパレータは、基板の少なくとも一方の面上にフォトレジストにより凹状溝部のパターンを形成し、凹状溝部に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを充填・硬化した後、フォトレジスト上の硬化した導電性樹脂インクを研磨除去、およびフォトレジストを剥離除去する。導電性樹脂を形成することにより、反応ガスや冷却溶媒を供給する流路となる凹状溝の形成と同時に基板表面に発電環境下で十分な耐食性を付与することが簡便にできる。
【0037】
特に、フォトリソグラフィ法によりフォトレジストで凹形状部分を作製することにより、セパレータの凹形状部分の形成が容易にでき、より簡便にセパレータを製造することが可能となる。
また、凸形状の導電性樹脂(凹状溝を除く導電性樹脂の部分)を、蛇行状、直線状、碁盤目状、円柱状等の多岐にわたるパターン、様々な寸法で作製することができる。
さらに、フォトレジストフィルムを逐次積層または、液状フォトレジストを塗膜することで、膜厚制御も可能であり、凸形状部分の高さも様々な要求に対応可能となる。
【0038】
また、導電性樹脂凸形状層と基板との間に導電性樹脂下地層を形成させることにより、導電性樹脂と基板との接触面積が増加し、導電性樹脂の密着性が向上する。また、フォトレジストにより凹状溝部のパターン形成する工程においては、フォトレジストが基板ではなく導電性樹脂下地層と接着されるため、使用する導電性樹脂の樹脂成分、基板材料によっては、フォトレジストと基板側との接着力向上にも効果がある場合もあり、ピッチの狭いパターン形成時に発生しやすいフォトレジストの脱落によるパターン形成欠陥を防止することができる。
【0039】
さらに、ガス供給用凹状溝側においては、ガス供給用凹状溝底部にも耐食性を有する導電性樹脂が被覆されるため、特に金属基材を使用した場合において、電池反応により発生する生成水がガス供給用凹状溝に流れ込んだ場合等、セパレータとガス拡散層が接触する部分以外が腐食環境下に曝された場合においても耐食性を確保することができる。また、冷却用凹状溝においても、冷却水による基材の酸化を防止することが可能であり、電池性能を向上させることができる。
【0040】
また、凹状溝の形成方法としてウェットプロセスを用いることができるためドライプロセスを適用した場合のような高価な設備を必要とすることなく連続的に安価にセパレータの製造をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の燃料電池用セパレータの断面を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の燃料電池用セパレータの製造方法を説明するための図である。
【図3】電解質膜の両面に電極触媒層を形成した膜電極結合体の一実施態様の断面説明図である。
【図4】図3に示した膜電極結合体を装着した燃料電池の単セルの構成を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の燃料電池用セパレータの製造方法について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の燃料電池用セパレータの要部断面を模式的に示す説明図である。
図1に示したように、本発明の燃料電池用セパレータは、基板21の一方の面上に反応ガスを供給するためのガス供給用凹状溝24が、他方の面上に冷却のための冷媒を供給するための冷却用凹状溝25が、導電性フィラーとして例えばカーボン粉末を含有して構成された導電性樹脂下地層22および導電性樹脂凸形状層23によって形成されている。
言い換えると、本発明の燃料電池用セパレータは、基板21と、基板21の一方の面に設けられ、反応ガスを電極に供給するためのガス供給用凹状溝24が形成されたガス供給用凹状溝部24Aと、基板21の他方の面に設けられ、冷却のための冷媒を供給するための冷却用凹状溝25が形成された冷却用凹状溝部25Aとを備えている。
そして、ガス供給用凹状溝部23Aおよび冷却用凹状溝部25Aの少なくとも一方は、導電性フィラーを含有した導電性樹脂下地層22および導電性樹脂凸形状層23により形成されている。
本発明の燃料電池用セパレータは、平滑な基板21上の両側に凹状溝24、25をそれぞれ形成するため、プレス加工にて形成された流路と比較すると、ガス供給用凹状溝24の形状に依存することなく冷却用凹状溝25を形成することができ、それぞれの流路に対して最適な設計を施すことができる。本発明によるセパレータの製造方法によれば、通常の印刷法などでは不可能である、高さ:数100um程度の凸型形状の一括形成が可能となる。
【0043】
図2に本発明による燃料電池用のセパレータの製造方法を示す。
まず、基板21上に導電性樹脂下地層22のインクを塗布し、これを硬化させることで、導電性樹脂下地層22を形成する(図2(a))。
言い換えると、基板21の面に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布して硬化させることにより導電性樹脂下地層22を形成する。
【0044】
基板21の材質としては、導電性を有し、フォトレジストの逐次積層の際に厚さ歪みが生じないように、硬く変形しづらく、平滑であることが好ましいが、この限りではない。
加工性や堅牢性、薄型化への対応のしやすさ等の他に、物理的強度を有しており、さらには、汎用性で入手が容易である基板ならば本発明において使用でき、特に限定するところでない。
本発明で用いる基板21の材料としては、例えば、純鉄、鉄合金、純銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、カーボンからなる群から選択される材料等が挙げられる。
【0045】
導電性樹脂下地層22のインクを塗布する方法としては、ウェットコーティングにより基板上にインクを塗布する方法であれば、特に制限するところではない。具体的には、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の各種印刷方式が挙げられる。
【0046】
本発明おける導電性樹脂下地層22に使用する導電性樹脂は、燃料電池用の燃料(水素や改質ガス、メタノールなど)や酸化剤(酸素やその混合ガス)、強酸性雰囲気に十分な耐性を有する材料で、十分な導電性を有する必要がある。本発明では比較的簡便で、かつ短時間に膜形成を可能とする導電性フィラーを含有する導電性樹脂を採用した。
【0047】
本発明おける導電性樹脂下地層22に使用する導電性樹脂を構成する樹脂成分としては、発電環境下で十分な耐食性を有する樹脂であり、上記塗布方法が可能であれば特に制限はなく、具体的には、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、などから選ばれた1種ないし2種以上の混合物を用いることができる。また、塗布方法に応じて、有機溶剤や添加剤である分散剤、硬化剤、界面活性剤、反応抑制剤、増粘剤などを混合する。
【0048】
本発明おける導電性樹脂下地層22に使用する導電性フィラーとしては、耐食性、導電性、価格などを考慮すると繊維状導電性フィラーあるいは粉体状導電性フィラーが望ましい。繊維状導電性フィラーとしては、具体的には、例えば、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどから選ばれる1種あるいは2種以上のカーボン繊維を挙げることができる。カーボン繊維としては、高い導電性を確保するために粉体抵抗が0.015Ω・cm以下、単繊維比抵抗が1mΩ・cm以下であることが好ましい。
【0049】
また、繊維状導電性フィラーと粉体状導電性フィラーを併用すると導電性樹脂の導電性をさらに低減できる。
粉体状導電性フィラーとしては、十分な導電性を有し、発電環境下で十分な耐食性を有するものであれば特に制限はなく、具体的には、例えば、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック等のカーボン粉体、WC、TiCなどの金属炭化物、TiN、TaNなどの金属窒化物、TiSi,ZrMoSiなどの金属珪化物およびAg,Auなどの耐食性金属などから選ばれた1種ないし2種以上の混合物を挙げることができる。粉体状導電性フィラーとしては、高い導電性を確保するために粉体抵抗が0.015Ω・cm以下、単体の比抵抗が1mΩ・cm以下であることが好ましい。
【0050】
本発明おける導電性樹脂下地層22に使用する導電性樹脂における樹脂成分と導電性フィラーの比率は、用いられる材質により異なるが、導電性フィラーの含有量が少ないとセパレータとして必要な導電性が確保できず、また、導電性フィラーの含有量が多すぎると、ウェットプロセスに不適合なインク粘度の増加、機械的強度の低下が懸念される。具体的な指標としては、膜形成した際に樹脂成分中の導電性フィラーの重量比率が25wt%以上90wt%以下であることが好ましく、さらには、60wt%以上85wt%以下であることが好ましい。
【0051】
導電性樹脂下地層22の厚みについては、厚すぎると導電性の低下を招くため、ピンホールの発生による機械的強度および耐食性の低下のない範囲で、極力薄いことが望ましい。具体的には、インク組成により異なるが、1um以上100μm以下であることが好ましい。
【0052】
導電性樹脂下地層22に使用するインク中の固形分濃度は、導電性樹脂下地層の薄膜化および塗布工程への適性を考慮すると、低いこと、すなわち溶媒含有量が多いほうが良いが、低すぎるとピンホールが発生しやすくなるため、インク組成により適宜調整する必要がある。
【0053】
次に、導電性樹脂下地層22上にネガ型またはポジ型のフォトレジスト26の層を形成する(図2(b))。
そして、透光または遮光部位からなる所望のパターンが形成されたフォトマスクを介して露光、現像を行い、図2(c)に示すように、基板21表面に凹形状のパターンを有するフォトレジスト26を設ける。
言い換えると、導電性樹脂下地層22が基板21の面と反対側に位置する面にフォトレジスト26により平面視した場合に凹状溝24、25を形成する箇所と同一の箇所に該凹状溝24、25と同一の幅と長さを有する凸部30を形成することで凹凸面を形成する。
【0054】
フォトレジストのパターニング工程手順としては、フォトレジストを所望の凹形状高さプラス後工程の研磨除去する厚みとなるまで一括形成または逐次積層させた後、フォトレジストを一括露光、現像してパターン形成する方法と、フォトレジストの層形成、露光、現像を1層ずつ繰り返し、所望の凸形状高さのパターンを形成する方法があるが、特に言及するところではない。
しかし、後者は工程が多い上、第2層以降はパターンのある凹凸面に対してフォトレジスト層を形成する必要があり、パターン位置等の精度が悪化するため、前者のほうが望ましい。
【0055】
フォトレジストの材料としては、導電性樹脂のインクに対しての耐性を有していれば、特に限定されるものでなく、フォトレジストの硬化過程としてはネガ型、ポジ型、フォトレジストの状態としては液状、フィルム状のいずれのレジストも使用可能である。
ネガ型フォトレジストとしては、重クロム酸系やポリケイ皮酸ビニル系や環化ゴムアジド系などが挙げられる。
また、ポジ型フォトレジストとしては、ナフトキノンアジド系やノボラック樹脂系などが挙げられる。
液状フォトレジストを塗布する場合には、スピンコーター、ロールコーター、ディップコーターなど通常使用されるフォトレジストコート方法を用いる。
ドライフィルムレジストを用いる場合にはラミネーターを用いる。しかし、液状フォトレジストを用いる場合、膜厚制御が難しいため、本発明で使用するフォトレジストとしては、ドライフィルムレジストを用いることが好ましい。
【0056】
次に、セパレータの凸状部が形成されるフォトレジストの空隙部に導電性樹脂凸形状層23のインクを充填した後、硬化する(図2(d))。
言い換えると、導電性樹脂下地層22に形成された凹凸面を覆うように導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布し、図2(c)に示す凸部30と凸部30の間に位置する凹部32に充填したのち、導電性樹脂インクを硬化させることにより導電性樹脂層(導電性樹脂凸形状層23)を形成する。
充填方法は、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、インクジェット法などから選択することができる。充填する際、凸部30の頂部が表面張力によりくぼむことを防止するため、フォトレジスト上にも導電性樹脂インクを塗布することが好ましい。その後、必要に応じて、硬化のため熱処理や活性光線照射の処理を行う。
【0057】
導電性樹脂凸形状層23を形成するインク成分については、導電性樹脂下地層22と同様、発電環境下で十分な耐食性を有し、十分な導電性を有していれば特に制限はなく、導電性樹脂下地層22に用いるインクと同様の樹脂、導電性フィラーが同様の配合比で使用可能である。
ただし、固形分濃度が低すぎる、つまり溶媒含有量が多いと、インク硬化の際の体積減少が大きくなり、フォトレジストの凹形状のパターン全体にインク充填するためには、繰り返し充填工程を行わなければならなくなる。
また、固形分濃度が高すぎると、インク粘度が上昇し流動性が失われ、インク硬化時に凹形状中に気泡が残存し、導電性樹脂凸形状層23の形状欠陥が生じる恐れがある。従って、固形分濃度は、導電性樹脂凸形状層23の形成に支障きたさない範囲で、極力高いことが望ましい。
【0058】
導電性樹脂凸形状層23の厚さについては、厚すぎると導電性が低下しすぎる恐れがあり、薄すぎると流動抵抗が増加し反応ガスや冷却媒体の流路として機能しない恐れがあるので、耐食性や機械的強度や電気抵抗や薄型化を考慮すると50〜700μmであることが好ましい。
【0059】
次に、フォトレジスト上の導電性樹脂凸形状層23より余剰の導電性樹脂を機械研磨、ブラスト処理などの方法により研磨除去(図2(e))した後、フォトレジストを剥離液により剥離(図2(f))することにより、導電性樹脂凸形状層23を形成し、本発明の燃料電池用セパレータ10を得ることができる。
言い換えると、導電性樹脂層23(導電性樹脂凸形状層23)を凸部30が露出するまで研磨除去し、フォトレジスト26で形成された凸部30を剥離除去する。
これにより、基板21の一方の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用凹状溝24が形成され、かつ、基板21の他方の面に冷却のための冷媒を供給するための冷却用凹状溝25が形成される。
【0060】
基板21に反応ガス経路としての貫通孔を形成する方法は、ウェットエッチング法などの化学的加工、あるいはプレス法、切削法などの機械加工、あるいは放電加工など基板を部分的に除去できる加工方法であれば適用することが可能である。生産性を考慮すると、一工程で大面積を加工することができるため、プレス法やウェットエッチング法を用いることが好ましい。
【0061】
貫通孔や凹状溝の大きさは、利用される燃料電池の形態で異なるが、必要となる電力を発電するに十分な量の燃料ガスや酸化剤ガスがMEAへ均一に安定的に供給されることが必要である。
そのため、発電部位に網羅的に燃料ガスや酸化剤ガスを供給するためには、少なくともセパレータの一部に反応ガスの流路となる凹状溝を形成することが好ましく、また、面内への均一供給を考慮すると、蛇行状、直線状、碁盤目状、円柱状等のパターン流路や発電部位と接する面内に多数の貫通孔とこれら流路を組み合わせたものがより好ましい。
【実施例】
【0062】
以下に、具体的な実施例により本発明の燃料電池用セパレータおよびその製造方法を説明する。
なお、以下の実施例は本発明の一実施例であり、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
基板21として、貫通孔を所望の位置にプレス打ち抜き加工にて形成したアルミニウム板(JIS1050、厚さ1mm)を用意し、表面処理液C−7401 1wt%溶液(株式会社ADEKA製)を用い、常温にて40秒浸漬後、純水にて洗浄を行い、水分を乾燥した。
この基板21上に、導電性樹脂DY−150H−30(東洋紡株式会社製)をディップコートにより塗布し、熱硬化させ、導電性樹脂下地層22を形成させた。
【0064】
次に、フォトレジスト26として、膜厚50umのネガ型ドライフィルムレジスト(ニチゴーモートン製:ALPHO 411Y50)を用意し、基板21の両面に(導電性樹脂下地層22上に)ロールラミネータを用いロール温度110℃、ロール圧力0.3MPaで計4回貼り合わせた。
これをセパレータの凹部(凹状溝24、25)に相当する部分が露光されるよう設計されたフォトマスクを用いて基板外形もしくは貫通孔をアライメント基準として紫外線露光し、さらにアルカリ水溶液(炭酸ナトリウム1wt%)をスプレー圧力0.1MPaで噴射し現像を行い、基板21にフォトマスクと同寸法のフォトレジストパターンを形成した。言い換えると、凸部30および凹部32を形成した。
形成したパターン(凹部32)は、片面が長さ50mm、開口幅0.2mm、ピッチ0.4mmの平行直線状、もう一方の面が長さ50mm、開口幅0.5mm、ピッチ1.0mmの平行直線状とした。
【0065】
次に、導電性樹脂インクとして、導電性樹脂ドータイトA−3とドータイトC−3 (藤倉化成株式会社製)を1:1の割合で混合したドータイトA−3/C−3を用い、上記の基材上に形成したフォトレジストパターンの開口部およびフォトレジスト上にスクリーン印刷法にて、この導電性樹脂インクを塗布した後、オーブンにて150℃、30分加熱処理し導電性樹脂を硬化させた。
その後、フォトレジスト上の導電性樹脂およびフォトレジスト26を35um機械研磨した後、アミン系剥離剤水溶液に50℃で15分間浸漬してフォトレジストを剥離することにより、所望のセパレータ形状を得ることができた。
言い換えると、導電性樹脂層23を凸部30が露出するまで研磨除去し、フォトレジスト26で形成された凸部30を剥離除去することにより、所望のセパレータ形状を得ることができた。
【0066】
本発明は、基板の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用の凹状溝または冷却のための冷媒を供給するための冷却用の凹状溝が形成されてなる燃料電池用セパレータの製造方法であって、基板の面に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布して硬化させることにより導電性樹脂下地層を形成する工程と、導電性樹脂下地層が基板の面と反対側に位置する面にフォトレジストにより平面視した場合に凹状溝が形成された箇所と同一の箇所に該凹状溝と同一の幅と長さを有する凸部を形成することで凹凸面を形成する工程と、凹凸面を覆うように導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布し凸部と凸部の間に位置する凹部に充填したのち、導電性樹脂インクを硬化させることにより導電性樹脂層を形成する工程と、導電性樹脂層を凸部が露出するまで研磨除去する工程と、凸部を形成するフォトレジストを剥離除去する工程とを含むことを特徴とするものである。
上記特徴により、容易に50um〜700um程度の厚膜パターンによる流路形状をセパレータ両面に形成することができる。また、導電性フィラーとして、粉体状導電性フィラーを用いると導電性耐食皮膜自体の導電性を向上でき、基板を内在しているために高い機械的強度を有し、堅牢性を維持したまま、薄型化および軽量化が可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1…電解質膜、2…空気極側触媒層、3…燃料極側触媒層、4…空気極側ガス拡散層、5…燃料極側ガス拡散層、6…空気極、7…燃料極、8…凹状溝(ガス流路)、9…冷却水流路、10…セパレータ、21…基板、22…導電性樹脂下地層、23…導電性樹脂凸形状層、24…ガス供給用凹状溝(反応ガス流路)、24A…ガス供給用凹状溝部、25…冷却用凹状溝(冷却溶媒流路)、25A…冷却用凹溝部、26…フォトレジスト、30…凸部、32……凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用の凹状溝または冷却のための冷媒を供給するための冷却用の凹状溝が形成されてなる燃料電池用セパレータの製造方法であって、
前記基板の面に導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布して硬化させることにより導電性樹脂下地層を形成する工程と、
前記導電性樹脂下地層が前記基板の面と反対側に位置する面にフォトレジストにより平面視した場合に前記凹状溝を形成する箇所と同一の箇所に該凹状溝と同一の幅と長さを有する凸部を形成することで凹凸面を形成する工程と、
前記凹凸面を覆うように導電性フィラーを含有した導電性樹脂インクを塗布し前記凸部と凸部の間に位置する凹部に充填したのち、前記導電性樹脂インクを硬化させることにより導電性樹脂層を形成する工程と、
前記導電性樹脂層を前記凸部が露出するまで研磨除去する工程と、
前記凸部を形成する前記フォトレジストを剥離除去する工程と、
を含むことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記基板の一方の面に反応ガスを電極に供給するためのガス供給用の凹状溝が形成され、かつ、前記基板の他方の面に冷却のための冷媒を供給するための冷却用の凹状溝が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
前記フォトレジストが、ドライフィルムレジストからなり、膜厚50um以上700um以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法を用いて形成された燃料電池用セパレータであって、
前記導電性フィラーは、カーボン繊維もしくは導電性粉体またはその混合物である、
ことを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記導電性フィラーの粉体抵抗は、0.015Ω・cm以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
前記凹状溝の深さが、50μm以上700μm以下である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
前記基板は、純鉄、鉄合金、純銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、カーボンからなる群から選択される材料を少なくとも1つ以上用いて形成されている、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
平面視した場合、前記凹状溝を除く前記導電性樹脂の部分が蛇行状、直線状、碁盤目状または円柱状を呈している、
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−76738(P2011−76738A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224046(P2009−224046)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】