説明

燃料電池車用の排気管

【課題】燃料電池から排出されるオフガスを車外に放出する際の水滴の飛散、白煙の発生および路面への排水を抑制可能な燃料電池車用の排気管を提供する。
【解決手段】燃料電池車用の排気管1は、燃料電池から排出されるオフガスが流通する排気経路2に吸水性を備えた吸水部材3を外気と連通可能に配設して構成されている。排気経路の一部を通水性を備えた通水管で形成するとともに、通水管の外周に吸水部材を配設しても良い。また、吸水部材の外周に通気性を備えた保護部材を配設しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池を動力源とした車両から排出されるオフガスを車外に導くための排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池から排出されるオフガスには、加湿器により加湿された水分や反応によって生成された水分などが含まれている。オフガスは排気管を流通して車外に導かれるが、車外に放出される際に水滴の飛散や白煙の発生などの問題が生じることがあった。このため、例えば特許文献1には、遠心力により分離した水分(液相)を消音器に設けた排液孔より排出することが提案されている。しかし、このように水分(液相)を路面に排出することは、路面が濡れるなどの面で好ましいものとは言えなかった。
【特許文献1】特開2005−160187
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、燃料電池から排出されるオフガスを車外に放出する際の水滴の飛散、白煙の発生および路面への排水を抑制可能な燃料電池車用の排気管を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、燃料電池から排出されるオフガスが流通する排気経路に吸水性を備えた吸水部材を外気と連通可能に配設したことを特徴とする燃料電池車用の排気管である。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、排気経路の一部を通水性を備えた通水管で形成するとともに、前記通水管の外周に前記吸水部材を配設したことを特徴とする燃料電池車用の排気管である。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記吸水部材の外周に通気性を備えた保護部材を配設したことを特徴とする燃料電池車用の排気管である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池車の排気管からの水滴の飛散、白煙の発生および路面への排水を抑制することができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1に係る燃料電池車用の排気管1を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるA−A断面図である。排気管1は、燃料電池から排出されるオフガスが流通する排気経路を形成する管体2の終端に、中空かつ有底の筒状に形成された吸水部材3が配設されて形成されている。管体2は金属、樹脂などのパイプから成り、マフラ(図示せず)や水素希釈器(図示せず)を介して燃料電池(図示せず)に接続される。吸水部材3は、金属、セラミック、ガラスなどの無機材料、有機材料、高分子材料など任意の材質から選択することができ、これらの材質を発泡体などの多孔状や、繊維状にした後に不織布状または織布状にすることにより、吸水性を備えるようにしたものから任意に選択することができる。また、吸水部材3は上記したものを単体または、異なる材質や密度などのものを任意に組合せて用いることができる。また、吸水部材3は、中実状に形成されていてもよいし、底部を備えない筒状に形成されていても良い。さらに、より表面積を大きくするため、下流方向に末広状に形成したり、断面形状を楕円形など形成したりしも良い。
【0010】
以上のように構成することで、オフガス中に含まれる水分は吸水部材に吸収されるために、水滴の飛散や白煙の発生などを抑制することができる。また、吸収された水分は走行風により吸水部材の外表面から効率的に蒸散させることができるため、路面への排水を抑制することができる。
【実施例2】
【0011】
図2は、本発明の実施例2に係る燃料電池車用の排気管11を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるB−B断面図である。排気管11は、オフガスが流通する管体12の一部が多数の小孔15が設けられ通水性を備えた通水管14で形成されるとともに、通水管14の外周に吸水部材13が配設されて形成されている。管体12および吸水部材13の材質などに関しては実施例1と同様のものを採用することができる。通水管14は多数の小孔以外にもスリットなどを設けても良く、金属粉末を焼結するなどして多孔質に形成したものを管体に接合しても良い。実施例2においても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0012】
図3は、本発明の実施例3に係る燃料電池車用の排気管21を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるC−C断面図である。排気管21においては、管体22は離間して配置された上流側管体22aと下流側管体22bとで構成されている。また、吸水部材23は筒状に形成されており、両管体22aと22bとを接続するように設けられている。さらに、吸水部材23の外周に離間して、多数の小孔27を備えた板材で形成され通気性を備えた保護部材26が設けられている。保護部材26は、金属または樹脂などのネットや、通気性を備えた樹脂フィルム、樹脂コーティングなどを任意に離間または密着するように設けても良い。実施例3においても実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、吸水部材が保護されるため耐久性を向上させることができる。
【0013】
以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る燃料電池車用の排気管を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるA−A断面図。
【図2】本発明の実施例2に係る燃料電池車用の排気管を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるB−B断面図。
【図3】本発明の実施例3に係る燃料電池車用の排気管を示す図で、(a)縦断面図、(b)(a)におけるC−C断面図。
【符号の説明】
【0015】
1,11,21 排気管
2,12,22a,22b 管体(排気系路)
3,13,23 吸水部材
14 通水管
26 保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池から排出されるオフガスが流通する排気経路に吸水性を備えた吸水部材を外気と連通可能に配設したことを特徴とする燃料電池車用の排気管。
【請求項2】
排気経路の一部を通水性を備えた通水管で形成するとともに、前記通水管の外周に前記吸水部材を配設したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池車用の排気管。
【請求項3】
前記吸水部材の外周に通気性を備えた保護部材を配設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池車用の排気管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−37994(P2009−37994A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221744(P2007−221744)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(390010227)株式会社三五 (148)
【Fターム(参考)】