説明

燃料電池

【課題】この発明は、簡素な構成で不純物質に起因する発電性能低下を防止しつつ発電を行うことができる燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】膜電極接合体のアノード側に取り付ける集電板10に、溝流路12、14、16、18を形成する。溝流路18の下流端部は、集電板10の面内で終端させる。各溝流路は集電板10の面内で相互に合流し、最終的に水素流入口20に接続するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特開2005−353303号公報に開示されているように、通常発電時に燃料ガスをアノード内に滞留させ、定期的にアノード内のパージを行う燃料電池が知られている。この従来の技術によれば、アノード内に燃料ガスを滞留させつつ発電を行うことにより、燃料ガスを効率よく利用することができる。
【0003】
燃料電池のアノード側のガス流路内には、運転時間の経過と共に窒素や水分といった不純物質が蓄積されていく。このような不純物質の蓄積を防止すべくアノード内のパージを行う場合に、パージガスに燃料ガスが含まれると、かえって燃料の利用効率の低下を招いてしまう。そこで、上記従来の技術では、アノードのガス流路の下流に窒素吸着部材を設けるなどして、不純物質である窒素を選択的に除去しつつ燃料ガスの有効利用を図っている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−353303号公報
【特許文献2】特開2006−127770号公報
【特許文献3】特開平9−312167号公報
【特許文献4】特開2005−353569号公報
【特許文献5】特開2005−243477号公報
【特許文献6】特開2006−164762号公報
【特許文献7】特開2006−216426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、アノード側のガス流路の最下流に窒素を集めている。このような場合、窒素除去のタイミングによっては窒素量が過大となって発電反応の低下を招いたり、窒素除去のための特別な部材が求められたりする。その結果、窒素除去タイミングを的確に行うため制御内容を複雑化せざるをえなくなったり、窒素除去専用部材を追加することで構造の複雑化を招いたりするおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で不純物質に起因する発電性能低下を防止しつつ発電を行うことができる燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池であって、
電解質膜の両面に触媒層が形成され、一方の面側の該触媒層に水素を含む燃料ガスの供給を受け、他方の面側の該触媒層に酸素を含む酸化ガスの供給を受けて発電する発電体と、
前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置され、前記燃料ガスが流入するガス流入口と、該一方の面側の該触媒層を向く面に沿って延び、下流側が該面内で終端し上流側が該ガス流入口に合流する複数の溝流路とを備えるガス供給部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明であって、
前記ガス供給部材は前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板を含み、
前記溝流路が、前記集電板の該一方の面側の該触媒層を向く面に形成されることを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、第1の発明であって、
前記ガス供給部材は、前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板と、該集電板と該一方の面側の該触媒層との間に挿入される多孔質体層とを含み、
前記溝流路は、前記ガス流入口から前記集電板の内部を延びる貫通部と、該貫通部と接続し該集電板の該多孔質体層に接する領域内を延びて該多孔質体層側に開口する開口部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第3の発明であって、
前記ガス流入口が前記集電板の外周側に該集電板の厚み方向を貫通して設けられており、
前記集電板の面内の中央側で該集電板の内部を貫通しながら延びる冷却液流路と、
前記集電板の前記外周側であって前記ガス流入口に隣接する位置に、該ガス流入口から延びる前記溝流路を該集電板の面方向に沿って挟むように該集電板の厚み方向に貫通して設けられ、前記冷却液流路に接続する複数の冷却液流通口と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第5の発明は、第1の発明であって、
前記ガス供給部材は、前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板と、該集電板と該一方の面側の該触媒層との間に挿入される多孔質体層とを含み、
前記溝流路は、前記多孔質体層に形成されることを特徴とする。
【0012】
また、第6の発明は、第1乃至5のいずれかの発明であって、
前記複数の溝流路が前記ガス供給部材の前記面内で合流し、該面内で枝分かれする溝を形成していることを特徴とする。
【0013】
また、第7の発明は、第1乃至6のいずれかの発明であって、
前記複数の溝流路のそれぞれの前記下流側の端部は、前記ガス供給部材の前記一方の面側の前記触媒層を向く面の、該一方の面側の該触媒層に重なる領域の全体に渡って配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、第8の発明は、第1乃至7のいずれかの発明であって、
前記溝流路は、前記ガス流入口から見て下流側ほど前記燃料ガスの流通方向の流路断面積が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池であって、
電解質膜の両面に触媒層が形成され、一方の面側の該触媒層に水素を含む燃料ガスの供給を受け、他方の面側の該触媒層に酸素を含む酸化ガスの供給を受けて発電する発電体と、
前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置され、前記燃料ガスが流入するガス流入口を備える集電板と、
前記集電板と前記一方の面側の前記触媒層との間に挿入される多孔質体層と、
を備える燃料電池であって、
前記多孔質体層は、前記集電板に接する側の表面に面方向に沿って形成される複数の溝流路またはその内部を面方向に貫通して延びるように形成される複数の管状流路を備え、
前記複数の溝流路または前記複数の管状流路は、その下流側が前記多孔質体層の面内で終端し上流側が前記ガス流入口に合流することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ガス流入口から流入した燃料ガスを複数の溝流路に分岐して流しつつ、燃料ガスを燃料電池のアノード内に止めて発電を行うことができる。不純物質に起因する電圧低下は、不純物質が燃料電池のアノード面内に局所的に濃縮してしまうことがその要因となっている。第1の発明によれば、燃料ガスが複数の溝流路に分岐して流れることにより溝流路内の不純物質が複数の溝流路に分散されるので、不純物質が一箇所に集中的に濃縮される事態を回避することができる。これにより、集電板に形成する溝流路の構造の工夫により不純物質の濃縮を緩和でき、構成部材の追加や複雑な制御動作を必須としない簡素な構成で、不純物質に起因する発電性能低下を防止することができる。
【0017】
第2の発明によれば、集電板の構造の工夫により、構成部材の追加や複雑な制御動作を必須としない簡素な構成で、不純物質に起因する発電性能低下を防止することができる。
【0018】
第3の発明によれば、集電板の多孔質体層との接触領域を溝流路が延びることで、溝流路から多孔質体層へ燃料ガスが流入したとき、多孔質体層の面内に燃料ガスが行き渡り易くなる。これに応じて、不純物質の濃縮による発電性能低下の発生を防止できる。
【0019】
第4の発明によれば、複数のガス供給部材と複数の発電体とを積層して燃料電池スタックを形成する際に、各集電板のガス流入口を接続してアノードガス供給マニホールドを形成し、各集電板の冷却液流通口を接続して冷却液流通マニホールドを形成することができる。そして、冷却液が流通するスペースを確保して冷却性能を維持しつつ、燃料ガスを供給するための溝流路を集電板の面内の中央側へと導くことができる。
【0020】
第5の発明によれば、多孔質体層に溝流路を形成することにより、構成部材の追加や複雑な制御動作を必須としない簡素な構成で、不純物質に起因する発電性能低下を防止することができる。
【0021】
第6の発明によれば、複数の溝流路が、燃料電池の面内で枝分かれして延びる溝を形成しているので、1つのガス流入口から燃料ガスを流入させるだけで、面内の全体に渡って燃料ガスをバランスよく供給できる。
【0022】
第7の発明によれば、不純物質濃度が最も高い部位である溝流路の下流端部が、燃料電池の面内にバランスよく分散される。燃料電池の面内で不純物質の濃度勾配が生じている場合、不純物質の濃度勾配が平滑化するような拡散が生ずる。第7の発明によれば、このような濃度勾配を効率よく進めて、濃度の平滑化を速やかに進めることができる。
【0023】
第8の発明によれば、燃料ガスの流量が多い溝流路の上流側ほど、燃料ガスの流速を遅くすることができる。このため、溝流路全体で燃料ガスの流速を均一なものに近づけることができ、溝流路内部における不純物質の拡散を促進することができる。
【0024】
第9の発明によれば、ガス流入口から流入した燃料ガスを、多孔質体層に備えられる複数の溝流路または管状流路に分岐して流しつつ、燃料ガスを燃料電池のアノード内に止めて発電を行うことができる。不純物質に起因する電圧低下は、不純物質が燃料電池のアノード面内に局所的に濃縮してしまうことがその要因となっている。第9の発明によれば、燃料ガスが複数の流路に分岐して流れることにより不純物質が複数の領域に分散され、更に多孔質体層内のガス移動により不純物質が分散されるので、不純物質の一箇所への集中的な濃縮を回避することができる。これにより、構成部材の追加や複雑な制御動作を必須としない簡素な構成で、不純物質に起因する発電性能低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
実施の形態1の燃料電池は、電解質膜の両面に電極触媒層が積層された膜電極接合体を有している。そして、膜電極接合体を挟み込むようにガス拡散層、集電板が順次位置して、膜電極接合体の一方の面側がアノード、他方の面側がカソードとして機能する構造となっている。膜電極接合体やガス拡散層などの構成は既に多くの文献が開示されており、新規な構成ではないため、その詳細な説明は省略する。以下、実施の形態1の燃料電池の特徴であるアノード側の集電板の構成について説明する。
【0026】
図1は、実施の形態1の燃料電池がアノード側に備える集電板10の構成を示す図である。図1は、集電板10のアノード側を向く面を示している。つまり、図1に示す面が膜電極接合体のアノード側の構造を向くようにして、集電板10と膜電極接合体とが積層される。
【0027】
図1に符号12、14、16、18を付して示す線は、それぞれ、集電板10に形成される溝流路を示している。図1に示すように、溝流路12、14、16、18は、集電板10の面内の全体に渡って、面方向に延びるように形成される溝である。なお、溝流路のガス流通方向に見た断面積は、実施の形態1では一定とする。溝流路12、14、16、18は、例えば、切削加工やプレス加工により形成できる。
【0028】
溝流路12から複数の溝流路14が分岐し、この溝流路14が集電板10の面内を延びて更に溝流路16に分岐している。そして溝流路16からさらに複数の溝流路18が枝分かれしている。ここで、「溝流路」とは、集電板10の面内を延びる連続した1本の溝を意味するものとする。
【0029】
つまり、図1においては、1つの溝流路16に溝流路18が3つづつ接続(合流)し、溝流路群を形成している。そして、この溝流路群が5つづつ、1つの溝流路14に接続(合流)しているということができる。換言すれば、溝流路12から6本の溝流路14が分岐し、各溝流路14から5本づつ溝流路16が分岐し、各溝流路16から3本づつ溝流路18が分岐しているということができる。
【0030】
溝流路18は集電板10の面内の途中まで延び、末端が終端されている。すなわち、溝流路18は、その下流側端部が面内で行き止まりとなるように形成されている。その結果、図1に示すように、溝流路12、14、16、18が一体となって、面内に多数の行き止まりを有する溝を形成することになる。
【0031】
集電板10は、図1の紙面左方を向く面に向かって開口する水素流入口20を備えている。この水素流入口20は、発電を行う際、図示しない燃料タンクと接続される。溝流路12は、集電板10の左下の部位まで延びて水素流入口20と接続している。
【0032】
実施の形態1の燃料電池は、図示しないカソードの構造を有している。カソードにも、アノードと同様に、電極触媒層、ガス拡散層、集電板が位置している。カソードの集電板には空気を流通させるガス流路が形成されている。本実施形態の燃料電池は、従来公知となっている種々の燃料電池と同様、カソードが開放系とされている。
【0033】
つまり、カソードには空気の入口と出口とが設けられ、当該入口から出口に向かって空気が流れる過程で、カソードのガス流路からガス拡散層、電極触媒層へと、空気が供給される構成となっている。このような開放系のカソードの具体的な構造については、既に公知となっている種々の構造と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
発電時には、水素を含む燃料ガスが水素流入口20から溝流路12に流入し、その後、溝流路14、16、18へと流れ込む。燃料ガスは、溝流路を流通する過程で、ガス拡散層内へと拡散して電極触媒層に至る。アノード側の電極触媒層に水素が、カソード側の電極触媒層の酸素が、それぞれ到達して電気化学的反応を生じ、発電が行われる。
【0035】
なお、アノード側において例えば窒素分圧がある程度まで上昇すると、アノードとカソードの窒素分圧が等しくなり、アノード側の窒素分圧はそれ以上上昇しなくなる。窒素以外のガスにおいても同様である。本実施形態に係る燃料電池は、この点を利用し、窒素分圧が平衡した状態で発電を行う。このとき、発電時のアノードの圧力は、カソードにおける窒素分圧よりも高く保っておく。
【0036】
[反応非関与ガス溜りが発電に及ぼす影響]
燃料電池の発電は、アノードの水素とカソードの空気中の酸素とが電解質膜を介した電気化学的反応を生ずることにより行われる。アノード内に水素を滞留させつつ発電を行う燃料電池においては、発電による水素消費に合わせて、継続的に水素供給が行われている。よって、発電時には、水素の供給口から、アノード内部へと、水素が継続的に流れ込んできている。
【0037】
電解質膜は、ガスを透過する性質を有している。このため、発電中には、カソードの空気中の酸素が発電に消費されるとともに、カソードから電解質膜を透過して、窒素や水蒸気などの発電反応に関与しない不純物質がアノードへと移動してきている。この不純物質は、水素がアノードに流れ込んでくるのに付随して、その下流側に押し流される。
【0038】
図2は、不純物質が押し流され、濃縮する現象を説明するための模式図である。空気には窒素以外にも水蒸気や二酸化炭素等の発電に供されない不純物質が含まれているが、それらの空気中における濃度は窒素に比較すれば極微小であるので、以下は不純物質として窒素にのみ着目して述べる。ただし、本発明が想定する不純物質から窒素以外の物質を除外することを意味するものではない。
【0039】
例えば図2のようなS字形状の流路に矢印方向に沿って燃料ガスが流れる場合、燃料ガスによりガス流路内の不純物質が下流側に向かって押し流され、下流側から窒素が濃縮する(ハッチングを付した領域30で窒素濃縮領域を示す)。不純物質が過度に濃縮すると、当該濃縮した領域が発電不能領域となり、電圧低下による発電性能の低下や、内部構造(具体的には触媒層)への好ましくない影響といった種々の弊害を招いてしまう。
【0040】
[実施の形態1の作用、効果]
これに対し、実施の形態1では、アノードに存在する窒素がアノード面内で分岐する各溝流路へと分配されるため、不純物質が各溝流路を通ってアノード面内に搬送され、一箇所への窒素の濃縮が防止される。各溝流路によってアノード面内に分散された窒素は、ガス拡散層内における拡散などによりさらに面内で分散される。その後、既述したように、カソードとの窒素分圧差との関係で窒素が電解質膜を介してカソードへと戻り、バランスする。このように、本実施形態によれば、窒素などの不純物質による電圧低下を、集電板10の溝流路の構造の工夫によって防止することが出来る。従って、構成部材の追加や複雑な制御動作を必須としないという利点がある。
【0041】
また、本実施形態では、溝流路12、14、16、18が、アノード面内に多数枝分かれするように連続した溝を形成している。このような構成によれば、1つの水素流入口20から水素を流入させるだけで、アノード面内の全体に渡って水素をバランスよく供給できる。また、立体的に貫通穴を設けたりする手法に比して、製造も容易である。
【0042】
また、本実施形態では、溝流路18の下流端部がアノード面内の全体に渡って分散して位置している。アノード面内で濃度勾配が生じている場合、ガス拡散層などアノードの内部の層で、窒素の濃度勾配が平滑化するようなガス拡散が生ずる。本実施形態によれば、窒素濃度が最も高い部位である溝流路18の下流端部が多くの領域にバランスよく分散されるので、このような濃度勾配を効率よく進めて、濃度の平滑化を速やかに進めることができる。
【0043】
また、溝流路内に存在する窒素は、拡散により、下流側から上流側へ向かって(つまり、溝流路18から、溝流路16、14、12を経て水素流入口20へと向かう方向)移動しようとする。そして、溝流路内における水素流速が遅いほど、窒素が溝流路の上流側に拡散していく。本実施形態では、溝流路12、14、16、18の流路断面積を一定にしている。これにより、水素が溝流路内部を流通する過程で発電に消費され、結果的に水素の流通速度が遅くなる。従って、水素の流通速度を抑えて窒素の濃度拡散を促進し、窒素が濃縮するのを抑制することができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態1では、図示しない膜電極接合体が前記第1の発明における「発電体」に、集電板10が前記第1の発明における「ガス供給部材」に、溝流路18が前記第1の発明における「溝流路」に、水素流入口20が前記第1の発明における「ガス流入口」に、それぞれ相当している。また、集電板10は前記第2の発明における「集電板」に相当している。また、集電板10の面内で複数の溝流路18が溝流路16、14、12に合流することにより形成された枝分かれ状の溝が、前記第6の発明の「該面内で枝分かれする溝」に相当している。
【0045】
[実施の形態1の変形例]
なお、本発明にかかる溝流路のパターンは、実施の形態1のパターンに何ら限定されるものではない。たとえば、各溝流路は、必ずしも図に示したように集電板10の面内を直線的に延びていなくともよく、集電板10の面内で曲線を描いてもよい。また、図1のうち、溝流路18を備えず、溝流路16までで下流側が終端するような構成であってもよい。或いは、溝流路12、14のみを備え、溝流路14の下流側端部を行き止まりとしてもよい。これらの構成によっても水素流入口20から流入した水素を分岐させて流し、窒素濃縮を全体に分散させることができるからである。
【0046】
また、例えば、変形例として、図3、4、5のような溝流路のバリエーションが考えられる。図3の集電板50は、実施の形態1と同様のパターンの溝流路において、各位置で流路断面積を変化させたものである。集電板50では、溝流路52、54、更にその下流側に向かって、段階的に流路断面積を小さくしている(図3の線幅が溝流路の幅に相当している)。集電板50にかかる構成によれば、水素の流量が多い上流側ほど水素流速を遅くすることができる。なお、流路断面積の変化は、段階的なものでも連続的なものでもどちらでもよい。例えば、各溝流路を、下流側ほど流路断面積が連続的に小さくなるように形成してもよい。
【0047】
また、図4のように、1つの集電板60に複数の水素流入口68を設け、各水素流入口68にそれぞれ溝流路を形成してもよい。また、図5の集電板70のように、水素流入口78から溝流路72が面内の中央側に向かって伸び、中央の分岐部73から放射状に複数の溝流路74が延びるという構成としてもよい。
【0048】
実施の形態2.
[実施の形態2の構成]
実施の形態2の燃料電池は、実施の形態1と同様に、膜電極接合体、ガス拡散層および集電板を構成要素として含んでいる。但し、実施の形態2の燃料電池は、ガス拡散層と集電板との間に多孔質体層を挿入するタイプの燃料電池である。また、実施の形態2の燃料電池は、実施の形態1と同様に、アノード内に燃料ガス(水素)を滞留させつつ発電を行う。また、実施の形態1と同様、カソードは開放系とされる。
【0049】
なお、内部に多孔質体層を備えるタイプの燃料電池は、既に多くの文献において開示され公知となっている。従って、その詳細な説明は省略する。以下の説明では、実施の形態2の特徴であるアノード側の集電板の構成について説明する。
【0050】
図6は、実施の形態2の燃料電池のアノード側に備えられる集電板の構成を説明するための図である。本実施形態のアノード側の集電板は、図6(a)のプレート100と、図6(b)の中間プレート120と、図6(c)のプレート140とが順次積層されて一体とされたものである。
【0051】
なお、このように3枚のプレートを重ねて一体として集電板を形成する思想自体は、例えば、特開2006−164762号公報、特開2006−216426号公報に開示されているように、既に公知である。従って、以下の説明では、本実施形態の特徴的な構成について述べ、その他上記文献等公知技術と同様の点(例えば、シーリング手法など)は、その説明を省略する。
【0052】
図6(a)は、本実施形態にかかる集電板を構成するプレート100の平面図である。プレート100はアノード側の多孔質体層に接触する。図6(a)のプレート100の面内で破線で囲まれた領域は、アノード側の多孔質体層と接触する領域を示している。プレート100は、水素供給用貫通穴102、104、空気供給用貫通穴106、空気排出用貫通孔108、冷却液供給用貫通穴110、冷却液排出用貫通穴112を備えている。図6(a)でそれぞれハッチングを付した領域が、上記各貫通穴として紙面奥側に貫通している。プレート100は、スリット状の貫通穴103、105を備えている。
【0053】
図6(b)は、本実施形態にかかる集電板を構成する中間プレート120の平面図である。プレート120は、水素供給用貫通穴122、124、空気供給用貫通穴126、空気排出用貫通孔128、冷却液供給用貫通穴130(130a、130b)、冷却液排出用貫通穴132(132a、132b)を備えている。図6(b)でそれぞれハッチングを付した領域は、それぞれ上記各貫通穴として紙面奥側に貫通している。水素供給用貫通穴122は、中間プレート120の面内を延びる分配部122aと分配部122bを備えている。
【0054】
冷却液供給用貫通穴130と冷却液排出用貫通穴は132は、中間プレート120の中央側を延びる複数の線状の貫通穴によって接続している。冷却液供給用貫通穴130は、水素供給用貫通穴122の分配部122bによって、二つの部分(冷却液供給用貫通穴130a、130b)に分断されている。また、冷却液排出用貫通穴132も、分配部124bによって二つの部分に分断されている。
【0055】
図6(c)は、本実施形態にかかる集電板を構成するプレート140の平面図である。プレート140はカソード側の多孔質体層に接触する。図6(c)のプレート140の面内で破線で囲まれた領域は、カソード側の多孔質体層と接触する領域を示している。プレート140は、水素供給用貫通穴142、144、空気供給用貫通穴146、空気排出用貫通孔148、冷却液供給用貫通穴150、冷却液排出用貫通穴152を備えている。図6(c)でそれぞれハッチングを付した領域が、上記各貫通穴として紙面奥側に貫通している。プレート140は、スリット状の貫通穴147、149を備えている。
【0056】
図6(a)〜(c)にそれぞれ図示した3枚のプレートが積層された場合、対応する位置にある貫通穴が連通する。具体的には、水素供給用貫通穴102、122、142が接続し、水素供給用貫通穴104、124、144が接続する。また、貫通穴103は水素供給用貫通穴122の分配部122a、122bにそれぞれ接続し、貫通穴105は水素供給用貫通穴124の分配部124a、124bにそれぞれ接続する。
【0057】
また、空気供給用貫通穴106、126、146が、空気排出用貫通孔108、128、48が、それぞれ接続する。また、冷却液供給用貫通穴110、130、150が、冷却液排出用貫通穴112、132、152が、それぞれ接続する。集電板や膜電極接合体などを交互に積層して燃料電池スタックを形成する際には、各集電板の水素供給用貫通穴を接続してアノードガス供給マニホールドを形成できる。また、各集電板の冷却液供給用貫通穴および冷却液排出用貫通穴をそれぞれ接続して冷却液供給マニホールドおよび冷却液排出マニホールドを形成することができる。
【0058】
図7は、図6(a)〜(c)にそれぞれ図示した3枚のプレートが積層された状態におけるA−A線に沿う断面図である。3枚のプレートが積層された結果、1枚の集電板が形成されている。図7は複数の燃料電池が積層されて燃料電池スタックとされた状態を想定しており、この場合には集電板がセパレータとしても機能している。
【0059】
図7には、1つの燃料電池のアノード側の多孔質体層と、集電板を挟んで位置する他の燃料電池のカソード側の多孔質体層とが、それぞれ破線で示されている。実際には、膜電極接合体、ガス拡散層および多孔質体層が順次積層した積層体と、集電板とが、交互に複数重ねあわされる。図7では、説明の便宜上、本実施形態にかかる集電板及びその近傍の様子を部分的に図示している。
【0060】
図7に示すように、3枚のプレートを重ねた場合、貫通穴103と分配部122a、122bが接続し、貫通穴105と分配部124a、124bが接続する。そして、分配部122a、122b、124a、124bは、プレート140によってアノード側から蓋をされる。その結果、集電板のアノード側の面に沿って(図7では紙面を貫通する方向へ)、貫通穴103、105がそれぞれ溝流路を形成することになる。そして、貫通穴103により形成される2つの溝流路は水素供給用貫通穴122に、貫通穴105により形成される2つの溝流路は水素供給用貫通穴124に、それぞれ合流する。
【0061】
既述したように、分配部122a、122bは水素供給用貫通穴122に、分配部124a、124bは水素供給用貫通穴124に、それぞれ接続している。従って、水素供給用貫通穴122、124に水素を流入させることにより、図7に矢印で示すように、貫通穴103、105から水素を多孔質体層へと供給することができる。カソード側では、図7に矢印に示すように、貫通穴147から多孔質体層へと空気が流れ込む。多孔質体層に流入した水素および空気は、ガス拡散層を経て膜電極接合体における発電反応に供する。なお、カソード側では、その後、多孔質体層から貫通穴149を通って空気(カソードオフガス)が流れ出す。このカソードオフガスは、通常、図示しないカソードの排気系へと排出される。
【0062】
[実施の形態2の作用、効果]
実施の形態2によれば、集電板の面方向に沿って複数の溝流路が延び、一つの水素供給用貫通穴に2つづつ溝流路が接続されている。このため、実施の形態1で水素流入口20から複数の溝流路に水素が流れる場合と同様に、水素供給用貫通穴から各溝流路に水素を流すことで溝流路内部の窒素を各溝流路へと分配し、窒素濃縮を緩和することができる。このように、本実施形態によれば、実施の形態1と同様に、集電板の構造の工夫によりアノード面内の一箇所への窒素の濃縮を効果的に防止することが出来る。
【0063】
また、本実施形態によれば、次のような効果も得られる。図8は、実施の形態2の燃料電池の作用、効果を説明するための図である。図8には、図6(a)にも示したプレート100の平面図が示されている。上述したように、水素供給用貫通穴122、124から水素を流入させると、当該水素は貫通穴103、105から流出する。
【0064】
図7でも述べたように、プレート100が多孔質体層に接触しているときには、貫通穴103、105から流出した水素は多孔質体層内へと流れ込む。多孔質体層内へと流れ込んだ水素は、図8の矢印に示すように、プレート100の面方向に沿って上下方向へ流れる。その結果、多孔質体層内に水素が行き渡り易くなり、これに応じて、窒素濃縮による発電不可能領域の発生を防止できるという利点がある。
【0065】
図9は、実施の形態2に対する比較例であるプレート200の構造を示す図である。プレート200は、プレート100と異なり、多孔質体層が接する領域内の上方端と下方端に、貫通穴203、205をそれぞれ有している。その他の点は、プレート100と同様とする。図9のように多孔質体層の端側から水素を流入させる場合と図8の本実施形態の場合とで水素の流れる距離(矢印方向の距離)を比較すると、図8の本実施形態のように多孔質体層の面内から水素を流入させるほうが、水素の流通距離を短く出来ることがわかる。
【0066】
また、実施の形態2の構成によれば、冷却液供給用貫通穴や冷却液排出用貫通穴が、プレート140の面内で水素供給用貫通穴によって分断されている。これにより、集電板の面内で冷却液が流通するスペースを確保して冷却性能を維持しつつ、水素供給用貫通穴の分岐部を集電板の面内の中央側(つまり多孔質体層の中央側)へと導くことができる。また、中間プレート120の平面方向に見たレイアウトの工夫により、面内のスペースを有効に利用しつつ、水素供給用の貫通穴を多孔質体層の面内の領域へと導くことが可能になるということもできる。
【0067】
なお、上述した実施の形態2では、図示しない膜電極接合体が前記第1の発明における「発電体」に、プレート100、中間プレート120、プレート140が積層されてなる集電板およびこれに重なって位置する多孔質体層が、前記第1の発明における「ガス供給部材」に、それぞれ相当している。また、上述した実施の形態2では、貫通穴103と分配部122a、122bとが、貫通穴105と分配部124a、124bとがそれぞれ接続することにより、前記第1の発明における「溝流路」が形成されている。また、水素供給用貫通穴102、104が、前記第1の発明における「ガス流入口」に相当している。
【0068】
なお、次のようにして、実施の形態2に実施の形態1の思想を組み合わせることができる。例えば、プレート100の貫通穴103、105の面方向の形状を、複数枝分かれして延びるような形状(図1、3、4、5に記載した溝流路のようなパターン)としてもよい。下流側端部の位置を、多孔質体層との接触領域(図6において破線で矩形に囲った領域)の全体に分散されるように、貫通穴を配置しても良い。また、連続的または段階的に貫通穴の幅を変化させて、下流側ほど流路断面積が小さくなるようにしてもよい。
【0069】
なお、実施の形態2では3枚のプレートを重ねて1つの集電板を構成する態様について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られない。2、4、5枚その他の複数枚のプレートを適宜重ねて集電板を構成する態様はもちろん、1つの板状部材に3次元的に貫通穴を形成するなどの手法を利用して、適宜、溝流路を備えるガス供給部材を形成すればよい。
【0070】
実施の形態3.
[実施の形態3の構成、動作]
実施の形態3は、実施の形態2と同様に、ガス拡散層と集電板との間に多孔質体層が挿入されるタイプの燃料電池である。しかしながら、実施の形態3の燃料電池は、集電板ではなく多孔質体層に溝流路を形成する点で、実施の形態2と相違する。なお、集電板は、例えば、特開2006−164762号公報、特開2006−216426号公報に開示されているような公知の構成を用いても良い。但し、集電板には、多孔質体層に形成した溝流路を合流させるための水素流入口を、溝や貫通穴として形成しておく。この水素流入口を利用して外部から溝流路への水素の供給を可能とするためである。
【0071】
多孔質体層には、多孔質体層の膜電極接合体と接する側の面に、その面方向に沿って、実施の形態1と同様に溝流路を形成する。そして、当該溝流路がさらに多孔質体層の厚み方向に延びて、水素流入口に合流する構成とする。その他、膜電極接合体やガス拡散層、カソード側の構成などは、実施の形態2と同様とする。多孔質体層よりも圧損の小さいこの溝流路に水素が流れることにより、上記の各実施形態と同様に窒素濃縮緩和の効果が得られる。
【0072】
上述した実施の形態3では、図示しない膜電極接合体が、前記第1の発明における「発電体」に、図示しない集電板と多孔質体層が、前記第1の発明における「ガス供給部材」に、当該多孔質体層に形成された溝流路が前記第1の発明における「溝流路」に、当該集電板に形成された水素流入口が前記第1の発明における「ガス流入口」に、それぞれ相当している。
【0073】
実施の形態4.
実施の形態3では、多孔質体層の膜電極接合体と接する側の面に溝流路を形成した。これに対し、実施の形態4では、多孔質体層の集電板と接する側の面に溝流路を設けることとする。その他の構成は、実施の形態3と同様とすることができる。複数の溝流路を水素が流れることによって窒素が燃料電池の面内に分散し、実施の形態1乃至3と同様に窒素濃縮緩和の効果が得られる。
【0074】
なお、実施の形態4の変形例として、多孔質体層の層内を貫通して延びるように管状流路を複数形成してもよい。ここで、「管状流路」とは、多孔質体層の内部に面方向に貫通する管状の空間を形成することにより得られる流路である。但し、多孔質体層自体が本来備える微細な孔は管状流路には含まれていない。つまり、管状流路は、少なくとも多孔質体層の細孔径に比して十分に大きな径を有している。
【0075】
管状流路の下流側端部は、実施の形態1乃至3の溝流路と同様に、多孔質体層の面内で終端させる。そして、各管状流路の上流側は、集電板の水素流入口に合流させる。その結果、多孔質体層の面方向に枝分かれしながら延び、面内に多数の行き止まりを有する管状流路が形成されることになる。多孔質体層よりも圧損の小さいこの管状流路に水素が流れ、窒素が面内に分散されることにより、上記の各実施形態と同様に窒素濃縮緩和の効果が得られる。
【0076】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は、上述した実施の形態1乃至4にかかる燃料電池のいずれかを用いて燃料電池システムを構成することにより提供される。
【0077】
実施の形態5にかかる燃料電池システムは、供給されたほぼ全ての燃料ガスをアノードの触媒層(アノード反応部)で消費する態様(以下、この態様を「デッドエンド運転」とも呼称する)を含む燃料電池システムである(以下、このようなシステムを「デッドエンドシステム」とも呼称する)。「ほぼ全ての燃料ガス」とは、いわゆるクロスリークにより電解質膜をカソード側に移動してアノードから減少した燃料ガスを除き、発電に伴って消費される全ての燃料ガスを意味している。
【0078】
換言すれば、デッドエンドシステムとは、アノード極内のガスを排気することなく、連続的に発電する燃料電池システムである。デッドエンドシステムは、アノード極の不純物質(具体的には、例えば、窒素)の分圧が、カソード極の不純物質(具体的には、例えば、窒素)の分圧とつりあった状態で、継続的に発電を行う燃料電池システムである。
【0079】
具体的には、実施の形態5では、先ず、実施の形態1乃至3のいずれかの燃料電池を複数重ねて燃料電池スタックを構成する。当該燃料電池スタックは、燃料電池の積層方向に貫通して伸びるアノードガス供給マニホールドを備える。アノードガス供給マニホールドは、例えば、実施の形態2で述べたように、集電板の厚み方向に貫通穴を形成してこの貫通穴と溝流路とを接続しておき、燃料電池スタックとした際に集電板の各々の貫通穴を連通させることで形成することができる。
【0080】
また、上記構成した燃料電池スタックは、カソードガス供給マニホールド、カソードガス排出マニホールド、冷却液流通マニホールドなど各種マニホールドも備えている。これらのマニホールドも、実施の形態2と同様に、または従来の公知の技術を用いて、適宜、燃料電池スタックに設けておく。
【0081】
このような燃料電池スタックに対し、アノード側の系とカソード側の系をそれぞれ構成する。アノード側の系は、既述したアノードガス供給マニホールドを、インジェクタやバルブなどの燃料供給制御弁を介して水素タンクに接続することで構成できる。また、カソード側の系は、従来の技術と同様に、エアコンプレッサ等を含む開放系として構成することが出来る。
【0082】
発電時には、燃料電池スタックの端に位置するアノードガス供給マニホールドの端部(導入口)から、既述した燃料供給制御弁を制御して、所望の量の水素を供給する。供給された燃料ガスが消費される過程で、上述したように、アノード極の窒素分圧等がカソード極の窒素分圧等とつりあった状態となり、その後発電が継続される。
【0083】
以上説明した実施の形態5によれば、本発明は、実施の形態1乃至4とは異なる観点から、「供給されたほぼ全ての燃料ガスをアノードで消費する態様を含む燃料電池システムであって、燃料電池(発電セル)内に燃料ガス(アノードガス)を導入する導入口(マニホールド連通部)と、前記導入口から供給されたアノードガスを燃料電池の面内方向に導くための互いに分岐した複数の溝流路と、を有し、前記分岐した複数の溝流路の端部は前記燃料電池の前記面内に分散するように配置されていることを特徴とする燃料電池システム」としても提供される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1の燃料電池にかかる集電板の平面図である。
【図2】不純物質が濃縮する現象を説明するための模式図である。
【図3】実施の形態1の変形例を示す図である。
【図4】実施の形態1の変形例を示す図である。
【図5】実施の形態1の変形例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2の燃料電池にかかる集電板を構成する3枚のプレートのそれぞれの平面図である。
【図7】実施の形態2にかかる集電板の断面図である。
【図8】実施の形態2の燃料電池にかかる集電板の平面図である。
【図9】実施の形態2に対する比較例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 集電板
12、14、16、18、52、72、74 溝流路
20、68、78 水素流入口
50、60、70 集電板
73 分岐部
100、140 プレート
102、104、142、144 水素供給用貫通穴
103、105、147、149 貫通穴
106、126、146 空気供給用貫通穴
108、128、148 空気排出用貫通孔
110、130、150 冷却液供給用貫通穴
112、132、152 冷却液排出用貫通穴
120 中間プレート
122 水素供給用貫通穴
122a、122b 分配部
124 水素供給用貫通穴
124a、124b 分配部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両面に触媒層が形成され、一方の面側の該触媒層に水素を含む燃料ガスの供給を受け、他方の面側の該触媒層に酸素を含む酸化ガスの供給を受けて発電する発電体と、
前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置され、前記燃料ガスが流入するガス流入口と、該一方の面側の該触媒層を向く面に沿って延び、下流側が該面内で終端し上流側が該ガス流入口に合流する複数の溝流路とを備えるガス供給部材と、
を備えることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記ガス供給部材は前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板を含み、
前記溝流路が、前記集電板の該一方の面側の該触媒層を向く面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記ガス供給部材は、前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板と、該集電板と該一方の面側の該触媒層との間に挿入される多孔質体層とを含み、
前記溝流路は、前記ガス流入口から前記集電板の内部を延びる貫通部と、該貫通部と接続し該集電板の該多孔質体層に接する領域内を延びて該多孔質体層側に開口する開口部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記ガス流入口が前記集電板の外周側に該集電板の厚み方向を貫通して設けられており、
前記集電板の面内の中央側で該集電板の内部を貫通しながら延びる冷却液流路と、
前記集電板の前記外周側であって前記ガス流入口に隣接する位置に、該ガス流入口から延びる前記溝流路を該集電板の面方向に沿って挟むように該集電板の厚み方向に貫通して設けられ、前記冷却液流路に接続する複数の冷却液流通口と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記ガス供給部材は、前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置される集電板と、該集電板と該一方の面側の該触媒層との間に挿入される多孔質体層とを含み、
前記溝流路は、前記多孔質体層の前記一方の面側の前記触媒層を向く面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記複数の溝流路が前記ガス供給部材の前記面内で合流し、該面内で枝分かれする溝を形成していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記複数の溝流路のそれぞれの前記下流側の端部は、前記ガス供給部材の前記一方の面側の前記触媒層を向く面の、該一方の面側の該触媒層に重なる領域の全体に渡って配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記溝流路は、前記ガス流入口から見て下流側ほど前記燃料ガスの流通方向の流路断面積が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項9】
電解質膜の両面に触媒層が形成され、一方の面側の該触媒層に水素を含む燃料ガスの供給を受け、他方の面側の該触媒層に酸素を含む酸化ガスの供給を受けて発電する発電体と、
前記一方の面側の前記触媒層と重なるように配置され、前記燃料ガスが流入するガス流入口を備える集電板と、
前記集電板と前記一方の面側の前記触媒層との間に挿入される多孔質体層と、
を備える燃料電池であって、
前記多孔質体層は、前記集電板に接する側の表面に面方向に沿って形成される複数の溝流路またはその内部を面方向に貫通して延びるように形成される複数の管状流路を備え、
前記複数の溝流路または前記複数の管状流路は、その下流側が前記多孔質体層の面内で終端し上流側が前記ガス流入口に合流することを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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