説明

燃料電池

【課題】燃料電池セル集合体を構成する全ての燃料電池セルに対して、反応ガスを均等に効率よく供給することが可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】反応ガスにより作動すると共に立設された複数の燃料電池セル4と、複数の燃料電池セル4からなる燃料電池セル集合体30の外側に配設された第1の側壁71及び72を備え、第1の側壁71及び72には、燃料電池セル集合体30に反応ガスを供給する反応ガス供給穴713aが形成され、燃料電池セル4は、反応ガス供給穴713aから噴出される反応ガスの噴出方向に沿って列状に配設されており、反応ガス供給穴713aは、ここから噴出される反応ガスの一部が、少なくとも第1の側壁71及び72に最も近い位置に配設されている燃料電池セル4に掠り、反応ガスの残りの部分が、当該最も近い位置に配設されている燃料電池セル4を掠らないよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応ガスにより作動する複数の燃料電池セルを備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池の一種として、反応ガスにより作動する複数の燃料電池セルを備えた固体電解質形燃料電池(以下、「SOFC」ともいう)がある。この固体電解質形燃料電池は、燃料電池セルのアノード電極に燃料ガスとしての水素ガスを供給し、カソード電極に酸化剤ガスとしての空気を供給することで、発電反応を起こすことができるように構成されている。そして、この燃料電池は、通常、複数の燃料電池セルが並設されてなる燃料電池セル集合体を有している。
【0003】
このような固体電解質形燃料電池として、例えば、複数の燃料電池セルに空気を供給するための空気供給管を、前記燃料電池セル間に、当該燃料電池セルの長手方向に沿って平行に配設した構成を有するものが紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数の燃料電池セルが収容される発電室(セル室)の壁面に配設され、当該発電室内に突出した空気供給管を有し、当該空気供給管に形成された複数の噴出穴から前記燃料電池セルに向けて空気を送出することで、前記燃料電池セルのカソード電極に空気を供給する固体電解質形燃料電池も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
そしてまた、複数の燃料電池セルが並設されてなる燃料電池セル集合体を両側面から挟むように発電室内に配設された反応ガス導入部材を有し、当該反応ガス導入部材の下部に設けられた複数の導入開口から発電室内に空気を排出し、前記燃料電池セル集合体の側面に空気を噴き当てるようにした固体電解質形燃料電池も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−179884号公報
【特許文献2】特開2008−300276号公報
【特許文献3】特開2008−34205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃料電池には、安定した発電反応を効率よく行うことが求められているが、この要求を満たす方法の1つとして、前記燃料電池セル集合体全体を構成する燃料電池セルの各々に対し、反応ガスを均等に供給することが挙げられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1には、複数の燃料電池セルの各々に対し、反応ガスを均等に供給することについては、何ら言及されていない。また、特許文献1に記載された燃料電池は、空気供給管を燃料電池セル同士の間に配設するためのスペースが必要となるため、発電室の小型化を向上させることが困難となる。さらにまた、燃料電池の組み立て時に燃料電池セルと空気供給管とが衝突し、燃料電池セルを破損する等の不具合が生じる虞がある。
【0009】
また、特許文献2に記載された燃料電池も特許文献1に記載された燃料電池と同様に、空気供給管を配設するためのスペースが必要となると共に、組み立て時に燃料電池セルと空気供給管とが衝突し、燃料電池セルを破損する等の不具合が生じる虞がある。この燃料電池では、発電室内に空気を満遍なく分散させる目的で、空気供給管に複数の噴出穴を開口しているが、燃料電池セル集合体のうち、前記噴出口の近くに配置された燃料電池セルや、遠くに配置された燃料電池セル、あるいは燃料電池セル集合体の中程に配置された燃料電池セルの各々に対し空気を効率よく確実に均等に供給するためのさらなる構成については検討がなされていない。
【0010】
さらにまた、特許文献3に記載された燃料電池は、反応ガス導入部材の下部に複数の導入開口を設け、当該導入開口から燃料電池セル集合体の側面に空気を噴き当てる構成を備えているが、特許文献2に記載された燃料電池と同様に、前記導入開口の近くに配置された燃料電池セルや、遠くに配置された燃料電池セル、あるいは燃料電池セル集合体の中程に配置された燃料電池セルの各々に対し空気を効率よく確実に均等に供給するためのさらなる構成については検討がなされていない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、複数の燃料電池セルが収容された収容室内に反応ガスを満遍なく供給可能であることは勿論のこと、燃料電池セル集合体を構成する全ての燃料電池セルに対して、反応ガスを均等に効率よく供給することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため本発明は、反応ガスにより作動すると共に立設された複数の燃料電池セルと、前記複数の燃料電池セルからなる燃料電池セル集合体の外側に配設された第1の側壁とを備え、前記第1の側壁には、前記燃料電池セル集合体に前記反応ガスを供給する第1の反応ガス供給穴が形成されてなり、前記燃料電池セルは、前記第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの噴出方向に沿って列状に配設されており、前記第1の反応ガス供給穴は、当該第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの一部が、少なくとも前記第1の側壁に最も近い位置に配設されている燃料電池セルに掠り、当該反応ガスの残りの部分が、当該最も近い位置に配設されている燃料電池セルを掠らないよう形成されてなる燃料電池を提供するものである。
【0013】
この構成を備えた燃料電池は、燃料電池セルが、第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの噴出方向に沿って列状に配設されており、且つ当該反応ガスの一部が、少なくとも前記第1の側壁に最も近い位置に配設されている燃料電池セル(以後、「第1の側壁側燃料電池セル」ともいう)を掠るため、第1の側壁側燃料電池セルを掠った反応ガスは、当該第1の側壁側燃料電池セルに直接供給される(当たる)ことになる。また、前記反応ガスのうち、前記第1の側壁側燃料電池セルを掠らなかった部分は、当該第1の側壁側燃料電池セルよりも奥に流れるが、この時、前記反応ガスの一部が第1の側壁側燃料電池セルを掠ったことにより生じた気流により、前記奥に流れた反応ガスの一部が、当該第1の側壁側燃料電池セルの次に奥に配設されている燃料電池セル(以後、「次の燃料電池セル」ともいう)を掠ることになる。そして、前記次の燃料電池セルを掠らなかった反応ガスは、前記と同様に順次、掠る部分と掠らない部分とに分かれて、さらに奥へ到達させることができる。したがって、第1の側壁の近くに配設されている燃料電池セルと、第1の側壁から離れた位置(燃料電池セルの列に沿った奥側の位置)に配設されている燃料電池セルに対し、前記反応ガスを均等に効率よく供給することができる。
【0014】
なお、「掠る」とは、「わずかに触れる」ということであり、本発明では、反応ガスの一部が、燃料電池セルを掠るため、当該燃料電池セルに反応ガスの一部がわずかに触れることになる。
【0015】
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1の反応ガス供給穴は、当該第1の反応ガス供給穴を前記反応ガスの噴出方向に投影した際に、前記燃料電池セルの軸線に干渉しないように形成することができる。
【0016】
ここで、第1の反応ガス供給穴から噴出された反応ガスは、前記燃料電池セルに直接当たる部分(掠る部分)が大きくなり過ぎると、当該燃料電池セルの前記反応ガスが直接当たった位置において、当該反応ガスの流れに乱れが生じ、当該反応ガスが直接当たった燃料電池セルよりも列方向奥側に配列されている燃料電池セルに反応ガスが届き難くなることが考えられる。本発明では、前述したように、第1の反応ガス供給穴が燃料電池セルの軸線に干渉しないよう形成されているため、当該第1の反応ガス供給穴から噴出された反応ガスのうち、当該燃料電池セルに直接当たる部分を、より確実に掠る程度とすることができる。したがって、前記第1の反応ガス供給穴から噴出された反応ガスのうち、当該燃料電池セルに直接当たる部分(掠る部分)が大きくなり過ぎることがなく、反応ガスの流れに乱れが生じることを、さらに確実に抑制することができる。このため、前記利点に加え、反応ガスを各々の燃料電池セルに、さらに均等に効率よく供給することができる。
【0017】
また、本発明に係る燃料電池は、前記燃料電池セル集合体の外側に、前記反応ガスの噴出方向に沿って形成された第2の側壁が配設されてなり、前記第1の側壁には、前記第2の側壁と、前記燃料電池セル集合体の当該第2の側壁に最も近い列との間に形成される空間に対向する位置に、第2の反応ガス供給穴が形成されてなり、前記第2の反応ガス供給穴は、前記空間に向けて前記反応ガスを噴出させると共に、当該第2の反応ガス供給穴の径が、前記第1の反応ガス供給穴の径よりも小さく形成されてなるよう構成することができる。
【0018】
ここで、前記燃料電池セル集合体が収容されている収容室(例えば、発電室)では、前記第2の側壁と、燃料電池セル集合体のうち、当該第2の側壁に最も近い列との間に形成される空間には、反応ガスが供給され難く、反応ガス不足が生じ易くなることが考えられる。したがって、前記第2の側壁に最も近い列を構成する燃料電池セルに、他の燃料電池セルと同様に均等な反応ガスを供給することが難しい場合が生じることが考えられる。本発明では、第1の側壁に、前記空間に向けて反応ガスを噴出させる第2の反応ガス供給穴を形成したため、当該空間に、第2の反応ガス供給穴からも反応ガスを供給することができる。このため、前記空間に反応ガス不足が生じることを抑制でき、反応ガスを他の領域と同様に供給させることができ、前記第2の側壁に最も近い列を構成する燃料電池セルにも他の燃料電池セルと同様に均等な反応ガスを供給することができる。また、前記第2の反応ガス供給穴の径が、第1の反応ガス供給穴の径よりも小さいため、第2の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの流速が、第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの流速よりも速くなる。したがって、前記空間に供給される反応ガスを、前記燃料電池セルの列の奥側に位置している燃料電池セルに対しても効率よく到達させることができる。このため、前記利点に加え、反応ガスを各々の燃料電池セルに、より一層均等に効率よく供給することができる。
【0019】
そしてまた、本発明に係る燃料電池では、第2の反応ガス供給穴を前記反応ガスの噴出方向に投影した際に、前記第2の反応ガス供給穴が前記燃料電池セルに干渉しないよう形成することができる。このように第2の反応ガス供給穴を構成することで、第2の反応ガス供給穴から噴出された反応ガスが燃料電池セルに直接当たることがないため、当該反応ガスの流れが遮られることがなく、前記燃料電池セルの列の奥側に配列されている燃料電池セルに対して当該反応ガスを到達させる際の抵抗を低減させることができる。したがって、前記列の奥側に配列されている燃料電池セルにも、第1の側壁の近くに配列されている燃料電池セルと同様に、効率よく反応ガスを到達させることができる。
【0020】
さらにまた、本発明に係る燃料電池では、前記第1の側壁には、前記燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列に対向する位置に、第3の反応ガス供給穴が形成されてなり、前記第3の反応ガス供給穴は、前記第2の側壁に最も近い列に配設された燃料電池セルに向けて前記反応ガスを噴出させるよう構成することができる。ここで、前記第2の反応ガス供給穴の径は、第1の反応ガス供給穴の径よりも小さく、当該第2の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの量が少ないが、このように第3の反応ガス供給穴を形成し、この第3の反応ガス供給穴から反応ガスを噴出させることで、反応ガスの噴出量を補うことができる。なお、第3の反応ガス供給穴は、前記反応ガスの噴出方向に投影した際に、当該第3の反応ガス供給穴の径と、燃料電池セルの軸線とがほぼ一致する位置に形成することが、燃料電池セルに空気を適切に供給するうえで好ましい。
【0021】
また、本発明に係る燃料電池は、前記第1の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成し、前記第2の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成することができる。ここで、空気は、上昇流となる性質があるため、前記第1の反応ガス供給穴を介して、当該反応ガスを燃料電池セルの下部から供給することで、個々の燃料電池セルの下から上へ、高さ方向全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。一方、燃料電池セル集合体に着目すると、前記第2の側壁に最も近い列の上部において反応ガス不足が生じ易いため、前記第2の反応ガス供給穴を介して、流速の速い反応ガスを燃料電池セルの上部から供給することで、燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【0022】
そしてまた、本発明に係る燃料電池は、前記第1の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成し、前記第2の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成することもできる。このように構成することで、第1の反応ガス供給穴を介して、個々の燃料電池セルの上下方向全体に、反応ガスをより効率よく供給することができることに加え、反応ガス不足が生じ易い燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列には、反応ガスを下部と上部から供給することができるため、燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【0023】
さらにまた、本発明に係る燃料電池は、前記第1の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成し、前記第2の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成し、前記第3の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成することもできる。このように構成することで、第1の反応ガス供給穴を介して、個々の燃料電池セルの上下方向全体に、反応ガスをより効率よく供給することができることに加え、反応ガス不足が生じ易い燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列のうちでも、特に反応ガス不足が生じ易い上部に、第2の反応ガス供給穴及び第3の反応ガス供給穴を介して、反応ガスを上部から供給することができるため、燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【0024】
また、本発明に係る燃料電池は、前記第1の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成し、前記第2の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成し、前記第3の反応ガス供給穴を前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成することもできる。このように構成することで、第1の反応ガス供給穴を介して、個々の燃料電池セルの上下方向全体に、反応ガスをより効率よく供給することができることに加え、反応ガス不足が生じ易い燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列に、第2の反応ガス供給穴及び第3の反応ガス供給穴を介して、反応ガスを上部及び下部から供給することができるため、燃料電池セルの配設位置に関わらず、燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【0025】
そしてまた、本発明に係る燃料電池では、前記第1の側壁には、前記第2の側壁と、前記燃料電池セル集合体の当該第2の側壁に最も近い列との間に形成される空間に対向し且つ前記燃料電池セルの高さ方向中央部に対向する位置に、第4の反応ガス供給穴が形成されてなり、前記第4の反応ガス供給穴は、前記空間の前記燃料電池セルの高さ方向中央部に対向する位置に向けて前記反応ガスを噴出させるよう構成することができる。このように構成することで、第1の反応ガス供給穴を介して、燃料電池セルの下部に反応ガスを噴出すると共に、第2の反応ガス供給穴を介して、燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列の特に反応ガス不足が生じ易い上部に反応ガスを噴出することに加え、第4の反応ガス供給穴を介して、燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列に配設されている燃料電池セルの中央部にも反応ガスを噴出させることができる。したがって、個々の燃料電池セルの上下方向全体及び燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【0026】
また、本発明に係る燃料電池は、第4の反応ガス供給穴の径を、前記第1の反応ガス供給穴の径より小さく形成し、前記第2の反応ガス供給穴の径よりも大きく形成することができる。このように構成することで、反応ガス不足が生じ易い領域である燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列の上部に行く程、流速の速い反応ガスが供給されることになる。したがって、個々の燃料電池セルの上下方向全体に反応ガスを効率よく供給することができることに加え、燃料電池セルの配設位置に関わらず、燃料電池セル集合体の全体に反応ガスをより効率よく供給することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、燃料電池セル集合体を構成する全ての燃料電池セルに対して、反応ガスを均等に効率よく供給することが可能であり、優れた発電性能を備えた燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本願発明の実施形態である燃料電池を含む燃料電池システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す燃料電池モジュールを、カバー部材を外した状態で示す斜視図である。
【図3】図2に示す燃料電池モジュールを矢印A方向と垂直な方向に切った断面図である。
【図4】図2に示す燃料電池モジュールを矢印B方向と垂直な方向に切った断面の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図5】図4に示す燃料電池に供給される空気の流れの一部を模式的に示す平面模式図である。
【図6】図1に示す燃料電池システムの制御的な構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示す燃料電池システムの起動時における各部の温度や各部の制御電圧を示すグラフである。
【図8】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図9】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図10】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図11】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図12】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図13】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す断面模式図ある。
【図14】本発明の他の実施形態に係る燃料電池の一部を模式的に示す平面模式図である。
【図15】図14に示す燃料電池に供給される空気の流れの一部を模式的に示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態に係る燃料電池について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0030】
図1は、本願発明の実施形態である燃料電池を含む燃料電池システムの全体構成を示す概略構成図、図2は、図1に示す燃料電池モジュールを、カバー部材を外した状態で示す斜視図、図3は、図2に示す燃料電池モジュールを矢印A方向と垂直な方向に切った断面図、図4は、図2に示す燃料電池モジュールを矢印B方向と垂直な方向に切った断面の一部を模式的に示す断面模式図、図5は、図4に示す燃料電池に供給される空気の流れの一部を模式的に示す平面模式図、図6は、図1に示す燃料電池システムの制御的な構成を示すブロック図、図7は、図1に示す燃料電池システムの起動時における各部の温度や各部の制御電圧を示すグラフである。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0031】
図1に示すように、本発明に係る燃料電池を含む燃料電池システムFCSは、燃料電池モジュールFCMと、補器ユニットADUと、貯水タンクWP2と、温水製造装置HWとを備えている。
【0032】
燃料電池モジュールFCMは、図1〜図3及び図6に示すように、燃料電池FCと、改質器RFと、制御ボックスCBと、一酸化炭素検知器CODと、可燃ガス検知器GD1とを備えている。この燃料電池モジュールFCMは、カバー部材100(図3に、その外形を二点鎖線で示す)を有しており、このカバー部材100は、正面側の側壁と、長手方向の一対の側壁と、背面側の側壁と、天井とによって直方体状に形成されている。そして、各側壁の下端部には、フランジ部が形成され、そのフランジ部をベース部材2に当接させることで、カバー部材とベース部材2とによって密閉される空間が形成されている。カバー部材とベース部材2とはボルト101によって固定され、そのボルト101がカバー部材100に設けられた取り付け穴を貫通し、ベース部材2に設けられた取り付け穴2aを貫通することで固定されている。
【0033】
カバー部材100とベース部材2とによって形成される内部空間は、仕切り板15によって二つの空間に分離されており、この分離されている空間のうち、上部に位置している空間には、燃料電池FCと及び改質器RFが配設されており、下部に位置している空間が排気ガス室17である。この仕切り板15は、ベース部材2に設けられた支持部材15aに戴置され、ベース部材2と所定距離を保って保持されている。支持部材15aは、仕切り板15を長手方向の両端において支持するように一対設けられている。従って、一対の支持部材15a、15a間には隙間15b(流入口)が形成されている。カバー部材の壁面に設けられた排気ガス通路(図示しない)を通った排気ガスは、この隙間15bから排気ガス室17へと導入される。排気ガス室17へと導入された排気ガスは、排気口(図示せず)から外部へと排出される。
【0034】
また、仕切り板15には、ガスタンク3が載置されており、燃料電池FCは、このガスタンク3上に配設されている。燃料電池FCは、固体電解質形の燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)であって、図1〜図3に示すように、発電室FC1と燃焼室FC2とを備えている。発電室FC1には、複数本の燃料電池セル4が立設配置されてなる燃料電池セル集合体30が配設されている。具体的には、燃料電池セル集合体30は、図2に示す矢印B方向に複数本(本実施の形態では、図3に示すように8本)の燃料電池セル4が列状に配設されており、この燃料電池セル4の列が、図2に示す矢印A方向に複数本(図4では簡易的に8列を示している)配設された構成を備えている。
【0035】
燃料電池セル4は、中空の円筒形を有し、電解質を挟んで内側に燃料極が設けられ、外側に空気極が設けられているものであって、燃料極側に燃料ガスを通し、空気極側に酸化剤ガスとしての空気を通すことで発電反応を起こすことができるように構成されている。なお、本実施の形態では、ガスタンク3から燃料ガスが、各々の燃料電池セル4の燃料極に供給されるようになっており、後に詳述する空気供給穴723aから空気が、各々の空気極に供給されるようになっている。なお、本実施の形態では、燃料電池セル4の管内(燃料極)を流れるガスは、都市ガス等を改質した改質ガスや水素等の燃料ガスであり、燃料電池セル4の管外(空気極)を流れるガスは、酸素を含む空気等の酸化剤ガスである。
【0036】
本実施形態の燃料電池FCは、固体電解質形燃料電池(SOFC)であるので、電解質を構成する材料としては、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートといった酸素イオン導電性酸化物を用いている。
【0037】
燃料極を構成する材料としては、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートとの混合体といった材料が用いられる。空気極を構成する材料としては、例えば、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀といった材料が用いられる。もっとも、電解質や燃料極及び空気極を構成する材料はこれらに限られるものではない。
【0038】
発電室FC1において発電された電気は、電力取出ラインEP1によって発電電力として取り出されて利用される。燃焼室FC2は、発電室FC1の上部に位置し、発電室FC1に配置された燃料電池セル4によって発電反応に利用された残余の燃料ガスを燃焼させる部分である。燃焼室FC2において燃料ガスが燃焼した結果生じる排気ガスは、改質器RFと熱交換をした後に、後述する排気ガス室17に送られ、温水製造装置HWへと供給される。温水製造装置HWへと供給された排気ガスは更に熱交換を行い、水道水を昇温して温水とした後に外部へと排出される。
【0039】
改質器RFは、被改質ガスを改質して燃料ガスとし、燃料電池FCの発電室FC1へと供給する部分である。被改質ガスの改質態様としては、部分酸化改質反応(POX;Partial Oxidation Reforming)、オートサーマル改質反応(ATR;Auto Thermal Reforming)、水蒸気改質反応(SR;Steam Reforming)があり、運転状況に応じて選択的に実行される。改質器RFは、改質部RF1と、蒸発部RF2とを備えている。
【0040】
改質部RF1は、補器ユニットADU側から供給される被改質ガス、空気及び蒸発部RF2から供給される水蒸気を用いて被改質ガスを改質して燃料ガスとする部分である。これらの被改質ガス、空気及び水蒸気は、燃料電池モジュールFCMの長手方向一端部に配設された配管6C(管路)を介して供給される。この改質部RF1には、改質触媒が封入されている。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したもの、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したもの、が適宜用いられる。本実施形態の場合、これらの改質触媒は球体である。また、改質部RF1には、改質器RFにおいて改質された燃料ガスをガスタンク3に供給するための配管6Dが連通されている。この配管6Dは、燃料電池モジュールFCMの長手方向他端(配管6Cと対向した位置)に配設されている。
【0041】
改質部RF1に供給される都市ガス及び空気は、被改質ガス供給管6Aを通って燃料電池モジュールFCM内に導入される。また、蒸発部RF2から供給される水蒸気は、改質部RF1に水蒸気供給管6B(管路)を通って燃料電池モジュールFCM内に導入される。被改質ガス供給管6A及び水蒸気供給管6Bは、仕切り板15を挟んで配管6Cとは反対側に設けられている混合室15cに繋がっており、被改質ガス供給管6Aから供給される都市ガス及び空気と、水蒸気供給管6Bから供給される水蒸気とは、この混合室15cにおいて混合され、配管6Cへと供給される。なお、蒸発部RF2は、補器ユニットADU側から供給される純水を蒸発させて水蒸気とし、その水蒸気を改質部RF1に供給する部分である。
【0042】
改質器RFの上方には、流路部材7が設けられている。流路部材7は、空気流路側壁71及び72と、空気分配室73と、空気集約室74及び75と、空気流路管76a、76b、77a及び77bと、側壁78及び79を有している。流路部材7は、長手方向に空気流路側壁71及び72が、短手方向に側壁78及び79が、それぞれ配置され、それらの部材によって箱状となるように形成されている。流路部材7は、改質器RF及び燃料電池セル集合体30を覆うように、仕切り板15に立設されている。
【0043】
空気分配室73は、側壁79の外側上方に取り付けられている。即ち、空気分配室73は、空気流路側壁71及び72と側壁78及び79とによって形成される箱状体の外側且つ短手側の上方に取り付けられている。空気分配室73には、ここに空気を供給するための空気供給管7Aが連通されている。また、空気分配室73には、空気流路管76a、76b、77a及び77b連通されている。
【0044】
空気流路管76a及び76bは、空気流路側壁71及び72と側壁78及び79とによって形成される箱状体の内側且つ長手側の上方に、空気流路側壁71に沿うように配置されている。空気流路管76aは、空気流路側壁71側に、空気流路管76bは、空気流路管76aよりも内側に、それぞれ配置されている。空気流路管76a及び76bの一端は側壁79を貫通して空気分配室73に連通されており、他端は空気集約室74に連通されている。したがって、空気分配室73に流入した空気は、空気流路管76a及び76bを通り、空気集約室74へと流れ込んで再合流する。
【0045】
空気流路管77a及び77bは、空気流路側壁71及び72と、側壁78及び79とによって形成される箱状体の内側且つ長手側の上方に、空気流路側壁72に沿うように配置されている。空気流路管77aは、空気流路側壁72側に、空気流路管77bは、空気流路管77aよりも内側に、それぞれ配置されている。空気流路管77a及び77bの一端は、側壁79を貫通して空気分配室73に連通されており、他端は、空気集約室75に連通されている。したがって、空気分配室73に流入した空気は、空気流路管77a及び77bを通り、空気集約室75へと流れ込んで再合流する。
【0046】
空気集約室74及び75は、側壁78の内側上方に取り付けられている。即ち、空気集約室74及び75は、空気流路側壁71及び72と、側壁78及び79とによって形成される箱状体の内側且つ短手側の上方に取り付けられている。空気集約室74は、空気流路側壁71と密着するように配置されており、空気集約室74に流れ込んだ空気、空気流路側壁71へと流れ出すように構成されている。一方、空気集約室75は、空気流路側壁72と密着するように配置されており、空気集約室75に流れ込んだ空気は、空気流路側壁72へと流れ出すように構成されている。
【0047】
空気流路側壁71及び72は、それぞれが二重壁構造となっていて、各々の内部を空気が流れることができるように構成されている。空気流路側壁71の燃料電池セル集合体30に対向する壁面713には、燃料電池セル4に空気を供給するための空気供給穴713a(第1の反応ガス供給穴)が水平方向(図2に示す矢印A方向)に所定間隔をおいて複数開口されている。具体的には、これらの空気供給穴713aは、図4に示すように、壁面713に対し垂直な方向(空気が噴出する方向)に投影した際に、燃料電池セル集合体30を構成する燃料電池セル4の複数列(図4では8列で示す)のうち、空気流路側壁71に最も近い位置に配設されている互いに隣接した燃料電池セル4の両方の下部を掠るように、両燃料電池セル4の間に跨って形成されている。即ち、空気供給穴713aは、ここから噴出される空気が、燃料電池セル4の下部に掠る部分と掠らない部分とを有するように形成されている。なお、空気供給穴713aから噴出される空気は、空気流路側壁71及び72に対し平行な方向(即ち、壁面713に対し垂直な方向)に噴出される。
【0048】
この空気供給穴713aは、図4に示すように、燃料電池セル4の軸線Xに干渉しない程度の面積で燃料電池セル4を掠るサイズで形成されている。したがって、空気供給穴713aから噴出された空気は、燃料電池セル4に直接当たる部分が大きくなり過ぎることがなく、掠る程度の量が燃料電池セル4に直接当たることになる。このため、図5に示すように、燃料電池セル4に空気が直接当たった際に、この位置で、空気の流れ(矢印で示す)に乱れが生じることを抑制することができ、空気流路側壁72側(空気流路側壁71側から見て奥側)に配設されている燃料電池セル4に空気を十分に到達させることができる。また、空気供給穴713aは、燃料電池セル4の下部に向けて空気を噴出させるため、ここから噴出された空気が上昇流となり、個々の燃料電池セル4の高さ方向全体に空気を効率よく均等に供給することができる。
【0049】
また、壁面713には、燃料電池セル4に空気を供給するための4つの空気供給穴714a(第2の反応ガス供給穴)が開口されている。これらの空気供給穴714aは、壁面713に対し垂直な方向(空気が噴出する方向)に投影した際に、側壁78と、燃料電池セル集合体30のうち、側壁78に最も近い列にとの間に形成される空間S1(図4参照)に対向する位置であり、燃料電池セル4の下部と上部に相当する位置に、各々1つずつ形成されている。残りの2つの空気供給穴714aは、壁面713に対し垂直な方向に投影した際に、側壁79と、燃料電池セル集合体30のうち、側壁79に最も近い列との間に形成される空間S2(図4参照)に対向する位置であり、燃料電池セル4の下部と上部に相当する位置に、各々1つずつ形成されている。空気供給穴714aから噴出される空気は、空気流路側壁71及び72に対し平行な方向(即ち、壁面713に対し垂直な方向)に噴出される。
【0050】
これらの空気供給穴714aは、図4からも判るように、空気供給穴713aよりも小さな径を有している。このため、各々の空気供給穴714aから噴出された空気は、空気供給穴713aから噴出された空気よりも速い速度で奥まで到達することができる。したがって、空気不足が生じ易くなる空間S1及びS2の上部及び下部には、空気供給穴714aから流速の速い空気を供給することができるため、空気不足が解消され、燃料電池セル集合体30の全体に空気を効率よく均等に供給することができる。
【0051】
さらにまた、壁面713には、燃料電池セル4に空気を供給するための4つの空気供給穴715a(第3の反応ガス供給穴)が開口されている。これらの空気供給穴715aは、壁面713に対し垂直な方向(空気が噴出する方向)に投影した際に、燃料電池セル集合体30のうち、側壁78に最も近い列を構成する燃料電池セル4に対向する位置であり、燃料電池セル4の下部と上部に相当する位置に、各々1つずつ形成されている。残りの2つの空気供給穴715aは、壁面713に対し垂直な方向に投影した際に、燃料電池セル集合体30のうち、側壁79に最も近い列を構成する燃料電池セル4に対向する位置であり、燃料電池セル4の下部と上部に相当する位置に、各々1つずつ形成されている。空気供給穴715aから噴出される空気は、空気流路側壁71及び72に対し平行な方向(即ち、壁面713に対し垂直な方向)に噴出される。
【0052】
これらの空気供給穴715aは、図4に示すように、空気供給穴715aを壁面713に対し垂直な方向(空気が噴出する方向)に投影した際に、空気供給穴715aの中心が燃料電池セル4の軸線Xとほぼ一致するように形成されている。燃料電池セル集合体30のうち、反応ガス不足が生じ易くなる部分(即ち、側壁78に最も近い列及び側壁79に最も近い列)には、空気供給穴713a及び714aから供給される空気に加え、空気供給穴715aからも空気を供給することができるため、空気不足が解消され、燃料電池セル集合体30の全体に空気を効率よく均等に供給することができる。
【0053】
空気流路側壁72の燃料電池セル集合体30に対向する壁面723は、壁面713と対称であり、この壁面723には、壁面713と同様に、空気供給穴713aと同様の空気供給穴723a、空気供給穴714aと同様の空気供給穴724a、空気供給穴715aと同様の空気供給穴725aが形成されている。空気流路側壁72の燃焼室FC2に対応する部分には、点火装置挿入穴724が設けられ、燃焼ガスと空気との燃焼を開始させるための点火装置(図示しない)が点火装置挿入穴724から燃焼室FC2に突出されている。この点火装置により燃料ガスと空気とが混合して燃焼し、各々の燃料電池セル4は、燃焼室FC2によって上方から加熱される。また、空気供給穴713〜715a及び723a〜725aを介して流れ込む空気も、空気流路管76a、76b、77a、77b、空気流路側壁71及び72を通る間に、燃焼室FC2における燃焼によって加熱される。
【0054】
制御ボックスCBは、燃料電池システム制御部をその内部に収納し、操作装置や表示装置、報知装置が設けられているものである。
【0055】
一酸化炭素検知器CODは、本来排気ガス通路等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュールFCM及び補器ユニットADUを覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。可燃ガス検知器GD1は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュールFCM及び補器ユニットADUに取り付けられている。
【0056】
補器ユニットADUは、燃料電池モジュールFCMに水、被改質ガス、及び空気を供給するための補器を備えるユニットである。補器ユニットADUは、空気供給部として空気ブロワや流量調整弁等を含む流量調整ユニットAP1a及びAP1bと、電磁弁AP2と、燃料供給部として燃料ポンプや流量調整弁等を含む流量調整ユニットFP1と、脱硫器FP2と、ガス遮断弁FP4及びFP5と、水供給部として水ポンプや流量調整弁等を含む流量調整ユニットWP1と、可燃ガス検知器GD2と、を備えている。
【0057】
外部の空気供給源から供給される空気は、電磁弁AP2が閉じていれば流量調整ユニットAP1a、AP1bに供給されず、電磁弁AP2が開いていれば流量調整ユニットAP1a、AP1bに供給される。流量調整ユニットAP1aによって流量調整された空気は改質用空気として、ヒータAH1によって昇温され、被改質ガスとの混合部MVに供給される。流量調整ユニットAP1bによって流量調整された空気は発電用空気として、ヒータAH2によって昇温され、燃料電池モジュールFCMの発電室FC1に供給される。発電室FC1に供給された発電用空気は、燃料電池セル4の空気極に供給される。
【0058】
外部の燃料供給源から供給される都市ガスは、2連電磁弁であるガス遮断弁FP4及びガス遮断弁FP5によってその流入が制御される。ガス遮断弁FP4、FP5のいずれもが開いていれば、都市ガスは脱硫器FP2に供給され、ガス遮断弁FP4、FP5のいずれかが閉じていれば、都市ガスは遮断される。脱硫器FP2に供給された都市ガスは、硫黄成分を除去されて被改質ガスとなり、流量調整ユニットFP1に供給される。流量調整ユニットFP1によって流量調整された被改質ガスは、改質用空気との混合部MVに供給される。混合部MVにおいて混合された被改質ガスと改質用空気とは、燃料電池モジュールFCMの改質器RFに供給される。
【0059】
外部の水供給源から供給される水道水は、純水とされてから貯水タンクWP2に貯水される。貯水タンクWP2に貯水されている純水は、流量調整ユニットWP1によって流量が調整されて燃料電池モジュールFCMの改質器RFへと供給される。
【0060】
可燃ガス検知器GD2は、燃料供給部としての系統であるガス遮断弁FP5、ガス遮断弁FP4、脱硫器FP2、流量調整ユニットFP1において、ガス漏れが発生していわゆる生ガスが外部に放出されないか検知するためのセンサである。
【0061】
次に、本実施形態に係る燃料電池FCを有する燃料電池システムFCSの制御的な構成について説明する。図6は、燃料電池システムFCSの制御的な構成を示すブロック図である。図6に示すように、燃料電池システムFCSは、燃料電池モジュールFCMと、燃料電池モジュールFCMに空気を供給する空気供給部APと、燃料電池モジュールFCMに燃料ガスとなる被改質ガスを供給する燃料供給部FPと、燃料電池モジュールFCMに水を供給する水供給部WPと、燃料電池モジュールFCMから電力を取り出す電力取出部EPとを備えている。空気供給部AP、燃料供給部FP、水供給部WP、及び電力取出部EPは補器ユニットADUに収められている。
【0062】
燃料電池モジュールFCM、空気供給部AP、燃料供給部FP、水供給部WP、及び電力取出部EPは、燃料電池システム制御部CSから出力される制御信号に基づいて制御される。燃料電池システム制御部SCは、CPU、ROM及びRAMといったメモリ、及び制御信号やセンサ信号を授受するためのインターフェイスによって構成されている。燃料電池システム制御部SCには、操作装置CS1、表示装置CS2、及び報知装置CS3が取り付けられている。操作装置CS1から入力される操作指示信号は、燃料電池システム制御部CSに出力され、燃料電池システム制御部CSは、その操作指示信号に基づいて、燃料電池モジュールFCM等を制御する。燃料電池システム制御部CSが制御した情報や、所定の警告情報は、表示装置CS2及び報知装置CS3に出力される。燃料電池システム制御部CSは、制御ボックスCBに収められており、操作装置CS1、表示装置CS2、報知装置CS3は、図示しないボックスに収められている。
【0063】
燃料電池システム制御部CSには、燃料電池システムFCSの各所に設けられたセンサからセンサ信号が出力される。燃料電池システム制御部CSに信号を出力するセンサとしては、改質器温度センサDS1、スタック温度センサDS2、排気温度センサDS3、改質器内圧力センサDS4、水位センサDS5、水流量センサDS6、燃料流量センサDS7、改質用空気流量センサDS8、発電用空気流量センサDS9、電力状態検出部DS10、貯湯状態検出センサDS11、一酸化炭素検出センサDS12、可燃ガス検出センサDS13が設けられている。
【0064】
改質器温度センサDS1は、改質器RFの温度を測定するためのセンサであって、本実施形態の場合は2つ設けられている。スタック温度センサDS2は、発電室FC1に配置されている燃料電池セル4の温度を測定するためのセンサであって、複数の燃料電池セル4からなる燃料電池セル集合体の近傍に配置されている。排気温度センサDS3は、燃焼室FC2から排出される排気ガスの温度を測定するためのセンサであって、燃焼室FC2から改質器RF近傍を通って温水製造装置HWに至る経路に配置されている。改質器内圧力センサDS4は、改質器RF内の圧力を測定するためのセンサである。
【0065】
水位センサDS5は、貯水タンクWP2の水位を測定するためのセンサであって、本実施形態の場合は4つ設けられている。水流量センサDS6は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される純水の流量を測定するためのセンサである。燃料流量センサDS7は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される被改質ガスの流量を測定するためのセンサである。改質用空気流量センサDS8は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMの改質器RFへと供給される改質用空気の流量を測定するためのセンサである。発電用空気流量センサDS9は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される発電用空気の流量を測定するためのセンサである。
【0066】
電力状態検出部DS10は、センシング手段の集合体であって、燃料電池モジュールFCMから取り出す発電電力の状態を検出する部分である。貯湯状態検出センサDS11は、センシング手段の集合体であって、温水製造装置HWの貯湯状態を検出する部分である。
【0067】
一酸化炭素検出センサDS12は、一酸化炭素検知器CODに備えられているセンサであって、燃料電池モジュールFCM内における一酸化炭素のハウジング内への漏れを検出するセンサである。可燃ガス検出センサDS13は、可燃ガス検知器GD1、GD2に備えられているセンサであって、燃料電池モジュールFCM及び補器ユニットADU内における可燃ガスの漏洩を検出するセンサである。
【0068】
続いて、燃料電池システムFCSの起動時(起動モード)における各種改質反応の切り替えについて図7を参照しながら説明する。図7は、燃料電池システムFCSの起動時における各部の温度や各部の制御電圧を示すグラフである。
【0069】
本実施例における燃料電池システムFCSの起動モードにおいては、燃焼運転と、部分酸化改質反応(POX)と、第1オートサーマル改質反応(ATR1)と、第2オートサーマル改質反応(ATR2)と、水蒸気改質反応(SR)とを順次切り替えながら改質反応を進行している。
【0070】
部分酸化改質反応(POX)は、改質器SRに被改質ガスと空気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(1)に示す反応が進行する。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応(POX)は発熱反応であるので起動性が高く、燃料電池システムFCSの起動当初において好適な改質反応である。但し、部分酸化改質反応(POX)は、水素収率が理論上少なく、発熱反応を制御するのも難しいことから、燃料電池モジュールFCMへ熱供給が必要な起動当初においてのみ利用されるのが好ましい改質反応である。なお、部分酸化改質反応(POX)のみに着目すれば、空間速度を高く設定するので、例えば改質器RFを分割形成して部分酸化改質反応(POX)専用の改質器を設ける場合には、その専用の改質器を小型化することができる。
【0071】
水蒸気改質反応(SR)は、改質器SRに被改質ガスと水蒸気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(2)に示す反応が進行する。
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
水蒸気改質反応(SR)は、水素収率が最も高く、高効率な反応である。ただし、水蒸気改質反応(SR)は、吸熱反応であるので熱源が必要であり、燃料電池システムFCSの起動当初よりはある程度温度が上昇した段階において好適な改質反応である。なお、水蒸気改質反応(SR)のみに着目すれば、空間速度を低く設定するので、改質器RFが大型化する傾向にある。
【0072】
第1オートサーマル改質反応(ATR1)と第2オートサーマル改質反応(ATR2)とからなるオートサーマル改質反応(ATR)は、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)とが併用された改質反応であって、改質器RFに被改質ガスと空気と水蒸気とを供給して行われる改質反応であり、化学反応式(3)に示す反応が進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
オートサーマル改質反応(ATR)は、水素収率が部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)との併用であり、反応熱のバランスが取り易く、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)とを繋ぐ反応として好適な改質反応である。本実施例の場合は、水を少なく供給して部分酸化改質反応(POX)により近い第1オートサーマル改質反応(ATR1)を先に行い、温度が上昇した後に水を増やすように供給して水蒸気改質反応(SR)により近い第2オートサーマル改質反応(ATR2)を後に行っている。
【0073】
次に、燃料電池システムFCSの起動モードについて説明する。図7は、横軸に起動開始後の経過時間を取り、左縦軸には各部の温度を取っている。制御電圧であるため特段の目盛りは付していないが、各種電圧及び温度は、図中上方に行くほど高くなる(供給量が増える)ように示している。
【0074】
まず、改質用空気を増やすように流量調整ユニットAP1a、電磁弁AP2、ヒータAH1、及び混合部MVを制御し、改質器RFに空気を供給する。また、被改質ガスの供給を増やすように流量調整ユニットFP1、ガス遮断弁FP4、FP5、及び混合部MVを制御し、改質器RFに被改質ガスを供給する。このように、空気と被改質ガスを供給し、点火装置挿入穴724を介して点火装置によって着火して燃焼運転を実行する。この時、発電室FC1には、前述したように、空気供給穴713a〜715a及び723a〜725aから発電用の空気が供給される。
【0075】
空気供給穴713a(723a)から噴出された空気の一部は、図4及び図5に示すように、先ず、燃料電池セル集合体30のうち、空気流路側壁71(72)に最も近い位置に配設されている燃料電池セル4(図5に示す4a)の下部に対し掠る程度に直接当たり、残りの部分(掠らなかった部分)は、図2に示す矢印B方向に沿って配列された燃料電池セル4の列に沿って奥に流れる。この時、図5に示すように、空気の一部が、燃料電池セル4aの下部を掠ったことにより生じた気流により、燃料電池セル4aから奥へ流れた空気の一部が、燃料電池セル4aの次に奥に配設されている燃料電池セル4(図5に示す4b)の下部を掠ることになる。そして、図5に示すように、燃料電池セル4bの下部を掠らなかった残りの空気は、さらに燃料電池セル4の列に沿って奥に流れ、一部が、燃料電池セル4bの次に奥に配設されている燃料電池セル4(図5に示す4c)の下部を掠ることになる。さらに残りの空気は、同様に順次、燃料電池セルに対し掠る部分と掠らない部分とに分かれて、さらに奥へ到達される。したがって、空気流路側壁71(72)の近くに配設されている燃料電池セル4と、空気流路側壁71(72)から離れた位置(燃料電池セルの列に沿った奥側の位置)に配設されている燃料電池セル4に対し空気を均等に効率よく供給することができる。なお、空気供給穴713a及び723aから噴出した空気は、上昇流となり、燃料電池セル4の下部から上部まで均等に供給される。
【0076】
空気供給穴714a及び724aから噴出された空気は、空間S1及びS2を、空気供給穴713a及び723aから噴出された空気よりも高速で奥まで流れ、空気不足になり易い空間S1及びS2に空気を、他の領域と同様に供給することができる。したがって、燃料電池セル集合体30のうち、空気不足になり易い、側壁78及び79に最も近い列を構成する燃料電池セル4にも、他の燃料電池セル4と同様に空気を均等に供給することができる。なお、燃料電池セル4の下部に相当する位置から噴出された空気は、上昇流となり、燃料電池セル4の下部から上部まで均等に供給される。一方、燃料電池セル4の上部に相当する位置から噴出された空気は、特に空気不足となり易い空間S1及びS2の上部に速やかに到達し、空気不足を補って、燃料電池セル集合体30に空気を均等に供給する役割を果たす。
【0077】
空気供給穴715a及び725aから噴出された空気は、燃料電池セル集合体30のうち、側壁78及び79に最も近い列であって、空気流路側壁71(72)に最も近い位置に配設されている燃料電池セル4に直接当たることになる。したがって、燃料電池セル集合体30のうち、空気不足になり易い領域である、側壁78及び79に最も近い列にも、空気を効率よく均等に供給することができる。
【0078】
なお、空気供給穴714a、724a、715a及び725aは、空気供給穴713a及び723aよりも径が小さいため、噴出される空気の量が空気供給穴713a及び723aよりも少ないが、前述した空気不足になり易い領域や空間に対応する位置に、径の小さな4つの空気供給穴714a、724a、715a及び725aを設けたことで、これらの領域や空間に供給される空気量を確保することができる。
【0079】
このように、発電用の空気は、発電室FC1内に収容されている各々の燃料電池セル4に対し均等に供給されると共に、個々の燃料電池セル4の上下方向にも均等に供給されることになる。したがって、優れた発電性能を発揮することができる。この発電用空気は、後に詳述する部分酸化改質反応運転(POX運転)、第1オートサーマル改質反応(ATR1)、第2オートサーマル改質反応(ATR2)、水蒸気改質反応(SR)の際も同様に均等に供給される。
【0080】
なお、燃焼運転の実行は、燃焼室FC2の温度を上昇させて、空気と被改質ガスを自然着火させることで行ってもよい。また、発電室FC1上方の燃焼室FC2においては、改質器RFを通過した燃料ガスと発電用空気とが混合して燃焼しており、燃焼室FC2の温度が徐々に上昇する。
【0081】
続いて、改質器RFの温度が約300℃程度になると、部分酸化改質反応(POX)が進行する。部分酸化改質反応(POX)は発熱反応なので、各部の温度が上昇する。部分酸化改質反応(POX)を開始してから所定時間が経過した後、改質用空気の供給量を更に増やして部分酸化改質反応(POX)をより進行させる。
【0082】
続いて、改質器RFの温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セル集合体30の温度が約250℃を超えたことを条件として、第1オートサーマル改質反応(ATR1)へと移行させる。第1オートサーマル改質反応(ATR1)では、改質器RFに供給する改質用空気の流量を減らし、改質器RFに供給する被改質ガスの流量はそのまま維持し、極微量な純水を改質器RFに供給する。オートサーマル改質反応(ATR)は、部分酸化改質反応(ATR)と水蒸気改質反応(SR)とを混合した反応であって、熱的に内部バランスが取れるので改質器RF内では熱自立しながら反応が進行する。また、第1オートサーマル改質反応(ATR1)は、空気が比較的多く部分酸化改質反応(POX)に近い反応であり、発熱が支配的な反応となっている。
【0083】
続いて、改質器RFの温度が600℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体30の温度が約400℃を超えたことを条件として、第2オートサーマル改質反応(ATR2)へと移行させる。第2オートサーマル改質反応(ATR2)では、改質器RFに供給する改質用空気の流量を減らし、改質器RFに供給する被改質ガスの流量も減らし、微量な純水を改質器RFに供給する。第2オートサーマル改質反応(ATR2)は、空気が比較的少なく水が多いため水蒸気改質反応(SR)に近い反応であり、吸熱が支配的な反応となっている。しかしながら、発電室FC1内の温度が約400℃を超えているため、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を招くことはない。
【0084】
続いて、改質器RFの温度が650℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体30の温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応(SR)へと移行させる。水蒸気改質反応(SR)では、改質器RFに供給する改質用空気は遮断し、改質器RFに供給する被改質ガスの流量を減らし、所定量の純水を改質器RFに供給する。この水蒸気改質反応(SR)は、吸熱反応であるので、燃焼室FC2からの燃焼熱による熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、既に起動の最終段階であるため、発電室FC1内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応を主体としても大幅な温度低下を招くことはない。また水蒸気改質反応(SR)が進行しても燃焼室FC2では継続して燃焼反応が持続する。
【0085】
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室FC1内の温度が徐々に上昇する。発電室FC1の温度が、燃料電池モジュールFCMを安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュールFCMを含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュールFCMは発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。燃料電池セル4の発電により、燃料電池セル4自体も発熱し、更に、燃料電池セル4の温度が上昇する。その結果、燃料電池モジュールFCMを作動させる定格温度、例えば700〜800℃になる。
【0086】
その後、定格温度を維持するために、燃料電池セル4で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い量の燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室FC2での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応(SR)で発電が進行する。水蒸気改質反応(SR)自体は、厳密には400〜800℃程度で行われるが、燃料電池セル4との組み合わせにおいては500〜700℃程度で反応が進行する。
【0087】
なお、本実施形態では、空気流路側壁71に空気供給穴713a〜715aを形成し、空気流路側壁72に空気供給穴723a〜725aを形成した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図8に示すように、空気供給穴714a、715a、724a及び725aを形成せず、空気流路側壁71及び72に、空気供給穴713a及び723aのみを各々形成してもよい。この構成の場合、空気供給穴713aは、空気が噴出する方向に投影した際に、空間S1側に配列されている燃料電池セル4に掠り、掠らない部分が空間S1に向けて噴出される位置、及び、空間S2側に配列されている燃料電池セル4に掠り、掠らない部分が空間S2に向けて噴出される位置にも形成することが、燃料電池セル集合体30全体に均等に空気を供給する上で望ましい。
【0088】
また、本発明の他の実施態様としては、例えば、図9に示すように、空気流路側壁71に、図4に示す空気供給穴713aを形成すると共に、燃料電池セル4の下部に相当する位置に空気供給穴714aを形成してもよい。なお、空気流路側壁72も同様の構成である。
【0089】
そしてまた、本発明の他の実施態様としては、例えば、図10に示すように、空気流路側壁71に、図9に示す空気供給穴713a及び714aを形成すると共に、燃料電池セル4の下部に相当する位置に空気供給穴715aを形成してもよい。なお、空気流路側壁72も同様の構成である。
【0090】
また、本発明の他の実施態様としては、例えば、図11に示すように、空気流路側壁71に、図8に示す空気供給穴713aを設けると共に、燃料電池セル4の上部に相当する位置に空気供給穴714aを形成してもよい。なお、空気流路側壁72も同様の構成である。
【0091】
さらにまた、本発明の他の実施態様としては、例えば、図12に示すように、空気流路側壁71に、図11に示す空気供給穴713a及び714aを形成すると共に、空間S1及びS2に対向し且つ燃料電池セル4の中央部に相当する位置に、空気供給穴716aを各々形成してもよい。これらの空気供給穴716aは、図12に示すように、空気供給穴713aよりも径が小さく、空気供給穴714aよりも径が大きいサイズを有している。なお、空気流路側壁72も空気供給穴716aと同様の空気供給穴726aを形成してもよい。このように、図11に示す構成に加え、空気流路側壁71に空気供給穴716aを追加で形成(空気流路側壁72には、空気供給穴726aを形成)することで、空間S1及びS2の燃料電池セル4の中央部に相当する位置に、空気を噴出させることができる。したがって、燃料電池セル集合体30のうち、空気不足になり易い側壁78及び79に最も近い列を構成する燃料電池セル4の中央部にも空気を供給することができ、燃料電池セル集合体30の全体に空気を均等により効率よく供給することができる。また、空気供給穴の径は、上部に配設されている空気供給穴ほど小さく形成されているため、上部に行く程、流速の速い空気が供給されることになる。このため、特に空気不足となる空間S1及びS2の上部にも空気を確実に到達させることができるため、燃料電池セル4の配設位置に関わらず、空気を均等により効率よく供給することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、図2に示す矢印A方向に隣接した2本の燃料電池セル4に跨った形状の空気供給穴713a及び723aを形成した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図13に示すように、壁面713に対し垂直な方向(空気が噴出する方向)に投影した際に、空気供給穴713a(723a)は、空気供給穴713a(723a)から噴出された空気が、1列の燃料電池セル4に対し、掠る部分と、掠らない部分とを有するような形状(サイズ)で形成してもよい。この構成の場合、本実施形態よりも空気供給穴713a(723a)の開口面積が小さくなるため、空気供給穴713a(723a)から噴出される空気供給量を確保する目的で、1列の燃料電池セル4の図13でいう右側に掠る部分を有する空気供給穴713a(723a)と、1列の燃料電池セル4の図13でいう左側に掠る部分を有する空気供給穴713a(723a)を形成する等、空気供給穴713a(723a)の形成数を多くしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、燃料電池モジュールFCM内に、空気流路側壁71及び72を配設し、これらの壁面713及び723に空気供給穴を形成した場合について説明したが、これに限らず、空気供給穴は、所望により、壁面713及び723のいずれか一方にのみ形成してもよい。この場合、空気供給穴を形成しない側壁は、配設しなくてもよい。
【0094】
そしてまた、本実施形態では、二重壁構造を有する空気流路側壁71及び72を配設した場合について説明したが、これに限らず、空気流路側壁71及び72は、空気供給穴を形成可能な壁面を有し、不必要な領域に空気を漏らすことなく、発電室FC1内に空気を供給することが可能であれば、他の構成を備えていてもよい。例えば、カバー部材100との間に密閉空間を形成する側壁をカバー部材100に設け、当該密閉空間に供給された空気を、側壁に形成された空気供給穴から噴出させるようにしてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、壁面713及び723に対し垂直な方向(側壁78及び79に対し平行な方向)に空気が噴出されるによう、各々の空気供給穴を形成した場合について説明したが、これに限らず、例えば、図14に示すように、空気供給穴713aは、ここから噴出される空気が、空気流路側壁71の壁面713に対し斜め方向(図14に示す角度α)に噴出されるよう、空気供給穴713aを画定する内壁を壁面713に対し斜めに形成してもよい。この場合、各々の燃料電池セル4は、空気供給穴713aから噴出される空気の噴出方向に沿って、壁面713に対し斜めに列状に配設され、空気供給穴713aは、ここから噴出される空気が燃料電池セル4に掠る部分と掠らない部分とを有するよう形成される。この構成では、図15に示すように、空気供給穴713aから噴出される空気は、燃料電池セル4の列方向に沿って、壁面713に対し斜めに流れ、前述した形態と同様の効果を得ることができる。なお、空気供給穴714a、715a、724a及び725aについても同様に壁面に対し斜めに形成してもよい。
【0096】
そしてまた、本実施形態では、円筒形状の燃料電池セル4を配設した場合について説明したが、これに限らず、燃料電池セル4は、例えば、平板型であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
4…燃料電池セル、 30…燃料電池セル集合体、 71、72…空気流路側壁、 78、79…側壁、 713、723…壁面、 713a、714a、715a、716a、723a、724a、725a…空気供給穴、 FC…燃料電池、 FCM…燃料電池モジュール、 FC1…発電室、 FC2…燃焼室、 FCS…燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ガスにより作動すると共に立設された複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルからなる燃料電池セル集合体の外側に配設された第1の側壁と、
を備え、
前記第1の側壁には、前記燃料電池セル集合体に前記反応ガスを供給する第1の反応ガス供給穴が形成されてなり、
前記燃料電池セルは、前記第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの噴出方向に沿って列状に配設されており、
前記第1の反応ガス供給穴は、当該第1の反応ガス供給穴から噴出される反応ガスの一部が、少なくとも前記第1の側壁に最も近い位置に配設されている燃料電池セルに掠り、当該反応ガスの残りの部分が、当該最も近い位置に配設されている燃料電池セルを掠らないよう形成されてなる燃料電池。
【請求項2】
前記第1の反応ガス供給穴は、前記反応ガスの噴出方向に投影した際に、当該燃料電池セルの軸線に干渉しないよう形成されてなる請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記燃料電池セル集合体の外側に、前記反応ガスの噴出方向に沿って形成された第2の側壁が配設されてなり、
前記第1の側壁には、前記第2の側壁と、前記燃料電池セル集合体の当該第2の側壁に最も近い列との間に形成される空間に対向する位置に、第2の反応ガス供給穴が形成されてなり、
前記第2の反応ガス供給穴は、前記空間に向けて前記反応ガスを噴出させると共に、当該第2の反応ガス供給穴の径が、前記第1の反応ガス供給穴の径よりも小さく形成されてなる請求項1または請求項2記載の燃料電池。
【請求項4】
前記第2の反応ガス供給穴は、前記反応ガスの噴出方向に投影した際に、前記燃料電池セルに干渉しないよう形成されてなる請求項3記載の燃料電池。
【請求項5】
前記第1の側壁には、前記燃料電池セル集合体の前記第2の側壁に最も近い列に対向する位置に、第3の反応ガス供給穴が形成されてなり、
前記第3の反応ガス供給穴は、前記第2の側壁に最も近い列に配設された燃料電池セルに向けて前記反応ガスを噴出させる請求項4記載の燃料電池。
【請求項6】
前記第1の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成されてなり、前記第2の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成されてなる請求項4記載の燃料電池。
【請求項7】
前記第1の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成され、前記第2の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成されてなる請求項4記載の燃料電池。
【請求項8】
前記第1の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成され、前記第2の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成され、前記第3の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部に相当する位置に形成されてなる請求項5記載の燃料電池。
【請求項9】
前記第1の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの下部に相当する位置に形成され、前記第2の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成され、前記第3の反応ガス供給穴は、前記燃料電池セルの上部及び下部に相当する位置に形成されてなる請求項5記載の燃料電池。
【請求項10】
前記第1の側壁には、前記第2の側壁と、前記燃料電池セル集合体の当該第2の側壁に最も近い列との間に形成される空間に対向し且つ前記燃料電池セルの高さ方向中央部に対向する位置に、第4の反応ガス供給穴が形成されてなり、
前記第4の反応ガス供給穴は、前記空間の前記燃料電池セルの高さ方向中央部に対向する位置に向けて前記反応ガスを噴出させる請求項6記載の燃料電池。
【請求項11】
前記第4の反応ガス供給穴の径は、前記第1の反応ガス供給穴の径より小さく、前記第2の反応ガス供給穴の径よりも大きい請求項10記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−18604(P2011−18604A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163543(P2009−163543)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】