燃料電池
【課題】高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上でき、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での常温域での電圧安定性を向上させることができる燃料電池を提供する。
【解決手段】酸化剤ガス流路の上流側に第1セパレータ22に複数併設された第1溝とMEA20間で区画される第1溝流路を備え、下流側にガス拡散を行う多孔体26が配置される。燃料ガス流路の上流側に第2セパレータ24に複数併設された第2溝とMEA20間で区画される第2溝流路を備え、下流側にガス拡散を行う多孔体28が配置される。互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、空気の流れと平行流となる冷却水の冷却媒体流路50を形成する。冷却媒体流路50の上流側が下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置する。
【解決手段】酸化剤ガス流路の上流側に第1セパレータ22に複数併設された第1溝とMEA20間で区画される第1溝流路を備え、下流側にガス拡散を行う多孔体26が配置される。燃料ガス流路の上流側に第2セパレータ24に複数併設された第2溝とMEA20間で区画される第2溝流路を備え、下流側にガス拡散を行う多孔体28が配置される。互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、空気の流れと平行流となる冷却水の冷却媒体流路50を形成する。冷却媒体流路50の上流側が下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質形燃料電池は、イオン交換膜からなる電解質膜と前記膜の一面に配置されたアノード(燃料極)及び前記電解質膜の他面に配置されたカソード(酸素極)とからなる膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)と、アノード、カソードに燃料ガス(水素)及び酸化剤ガス(酸素、通常は空気)を供給するための流体通路を形成するセパレータとを、交互に配置している。そして、燃料電池は前記MEAとセパレータからなる単電池(単セル)の積層体を締め付けて一体化したスタックからなる。固体高分子電解質形燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること等の利点を有することから、特に、車両等の移動体用電源として注目されている。
【0003】
この種の燃料電池の実用化のためには、小型化及び低コスト化が求められている。このため、冷却・加湿系を簡略化できる高温・無加湿運転条件の下で行うことが可能な燃料電池が望まれている。
【0004】
特許文献1の燃料電池では、最も乾燥しやすいカソード(酸素極)の空気の流れる上流側(入り口側)の水分量が不足している場合は、燃料ガス流量を増加させるか、或いは、燃料ガス圧力を減少させて、酸化剤ガスの入口側の水分量を増加させることにより、高温・無加湿運転を行うようにしている。
【0005】
特許文献2の燃料電池では、図12に示すように、単セル100は、高分子電解質膜102がカソード(酸素極)104及びアノード(燃料極)106により挟持された膜電極接合体(MEA)108と、前記膜電極接合体108を、カソード104及びアノード106の外側から挟みこみした一対のセパレータ110,112とから構成されている。前記セパレータ110,112とカソード104及びアノード106の境界には、カソード104側に酸化剤ガス流路114が設けられるとともにアノード106側には燃料ガス流路116が設けられている。前記カソード104はカソード触媒層104aとガス拡散層104bとが積層されることにより構成されている。又、アノード106はアノード触媒層106aとガス拡散層106bとが積層されることにより構成されている。又、前記セパレータ110と、隣接する単セルのセパレータ112には、互いに相対する溝がそれぞれ形成されて、その溝形状で区画される通路を冷却媒体を通過させるための冷却媒体通路120としている。
【0006】
特許文献2では、MEA近傍に設けられた前記冷却媒体通路120を冷却媒体(例えば冷却水)が流れるため、熱抵抗が小さく効果的に冷却されることにより、燃料電池の高性能化を図っている。
【0007】
又、特許文献3では、図13に示すように、燃料ガス流路116、及び酸化剤ガス流路114にガス拡散性に優れるガス拡散多孔体130,140を配置することにより、燃料ガス流路116及び酸化剤ガス流路114の均一にガス拡散を行わせることによって燃料電池の高性能化を図っている。なお、図13において、図12の構成に相当する構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0008】
又、特許文献4では、導水層を形成したガス拡散多孔体を用いることにより、生成した水の排水性を向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−259758号公報
【特許文献2】特開2003−197222号公報
【特許文献3】特開2007−87768号公報
【特許文献4】国際公開第2010/113252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1、特許文献2では、冷却性に優れるものの、すなわち、高温性能に優れるものの、特に水分の多い空気ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性が悪くなり、常温域での性能が低くなる問題がある。ここで、常温域は、燃料電池の温度が50〜60℃程度であって、負荷が多く掛かっていない領域である。例えばこの種の燃料電池を電気自動車に使用したとき、加速が行われない巡航速度での走行時の電力を供給する場合に上記のことが常温域で発電が行われる。
【0011】
特許文献3では、特に常温域での電圧安定性の性能に優れるものの、高温環境下での冷却性能が不足傾向であって、熱抵抗が大きくて冷めにくく、高温性能が上がらない問題がある。
【0012】
又、特許文献1及び特許文献2では、図12に示すように、酸化剤ガス流路114及び燃料ガス流路116をセパレータ110、112全面において溝で形成したり、或いは図13に示すように膜電極接合体108の全面に酸化剤ガス流路114、燃料ガス流路116を形成するガス拡散多孔体130,140を配置することにより、アノード(燃料極)及びカソード(酸素極)を均等に冷却している。このため、高温性能向上に必要なカソード(酸素極)の入口側(上流側)の積極的な冷却できていない問題がある。
【0013】
本発明の目的は、上記課題を解決して、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上させることができる燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝と前記膜電極接合体間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0015】
請求項2の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝を含むとともに上流及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側を下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0016】
請求項3の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが平行流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路の上流側及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記第1セパレータにおいて、前記冷却媒体流路を形成する上流側の部位は、前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記第1セパレータと第1多孔体間には、該第1多孔体が有する第1連通孔に連通する第1水流路が形成され、前記第1連通孔を介して前記第1水流路に移動した水が、前記酸化剤ガスの流動圧力によって前記第1水流路を流れて排出されることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項において、前記第2セパレータと第2多孔体間には、該第2多孔体が有する第2連通孔に連通する第2水流路が形成され、前記第2連通孔を介して前記第2水流路に移動した水が、前記燃料ガスの流動圧力によって前記第2水流路を流れて排出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上させることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、冷却媒体流路を形成する上流側の部位が、膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されることにより、冷却媒体により、酸化剤ガス流路の上流側を効率的に冷却でき、このことにより、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、酸化剤ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上できるため、電極触媒層に酸化剤ガスを適正に供給して、発電効率を向上できるとともに、常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の燃料電池を構成する単セルの分解斜視図。
【図2】燃料電池において第1セパレータ、第2セパレータの突条間で切断した際の縦断面図。
【図3】燃料電池の第1セパレータ、第2セパレータの突条で切断した際の縦断面図。
【図4】多孔体の斜視図。
【図5】カソード入口側の燃料電池の横断面図。
【図6】燃料電池の全体概略図。
【図7】(a)は第2実施形態の多孔体の部分斜視図、(b)は水流路の説明図。
【図8】第2実施形態の燃料電池の単セルの断面図。
【図9】第3実施形態の図2相当図。
【図10】第3実施形態の図3相当図。
【図11】他の実施形態の図10相当図。
【図12】従来の燃料電池の横断面図。
【図13】他の従来の燃料電池の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の燃料電池を図1〜図6を参照して説明する。図6に示すように、燃料電池10は、単セル12(図2参照)が多数積層されたスタック構造を有し、その両端に一対の集電板11、前記集電板11の外側に絶縁板13及び前記絶縁板13の外側にエンドプレート15を配置して、締め付けボルト17で両端の前記エンドプレート15に挟まれた単セル群等を積層した状態で締め付けされている。
【0026】
燃料電池10には、酸化剤ガス管路系、燃料ガス管路系、及び冷却媒体管路系が接続されている。図6に示すように、酸化剤ガスとしての空気(酸素)をエア(空気)を流通させるための酸化剤ガス管路系は、燃料電池10の図示しない酸化剤ガス供給口に接続された酸化剤ガス供給管51と、燃料電池10の図示しない酸化剤ガス排出口に接続された酸化剤ガス排出管52とを備える。
【0027】
又、燃料ガスとしての水素を流通させるための燃料ガス管路系は、燃料電池10の図示しない燃料ガス供給口に接続された燃料ガス供給管54と、燃料電池10の図示しない燃料ガス排出口に接続された燃料ガス排出管56とを備える。
【0028】
又、燃料電池10の冷却媒体としての水を流通させるための冷却媒体管路系は、燃料電池10の図示しない冷却媒体供給口に接続された冷却媒体供給管58と、燃料電池10の図示しない冷却媒体排出口に接続された冷却媒体排出管60とを備える。
【0029】
(単セル12)
図2に示すように、単セル12は、固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)14の両面に電極であるアノード16とカソード18が配置された膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly、以下MEAという)20と、MEA20を両面から挟み込む第1セパレータ22,第2セパレータ24、及び第1セパレータ22とMEA20間、第2セパレータ24とMEA20間にそれぞれ配置される多孔体26,28とを備えている。
【0030】
MEA20は、電解質膜14の両面が、燃料極であるアノード16と酸素極であるカソード18とにより挟み込みされている。
電解質膜14は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料で作製されている。固体高分子材料としてはフッ素系の高分子膜(例えば、デュポン社製のナフィオン膜等)がある。
【0031】
アノード16及びカソード18は、それぞれ電極触媒層16a,18aとガス拡散層16b,18bとによって構成されている。電極触媒層16a,18aは、電解質膜14に接触する側に位置し、白金微粒子を担持させた導電性カーボンブラックにより形成されている。一方、ガス拡散層16b,18bは、電極触媒層16a,18aに積層され、導電性を有するカーボンペーパーにより構成されている。なお、電極触媒層16a,18aに含まれる白金は、水素をプロトンと電子に分けるのを促進したり酸素とプロトンと電子から水を生成する反応を促進する作用を有するものであるが、同様の作用を有するものであれば白金以外のものを用いてもよい。また、ガス拡散層16b,18bは、カーボンペーパーのほか、炭素繊維からなるカーボンクロス又はカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性及び導電性を有していればよい。
【0032】
(第1セパレータ22及び酸化剤ガス流路30)
第1セパレータ22は、導電性を有するチタンよりなる。なお、第1セパレータ22の材質はチタンに限定されるものではなく、導電性を有する炭素系や金属系を用いることができる。図2、図3に示すように第1セパレータ22とMEA20間は、酸化剤ガス流路30となる。酸化剤ガス流路30は、燃料電池10に設けられた前記酸化剤ガス供給口及び酸化剤ガス排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されている。
【0033】
図2に示すように、第1セパレータ22は、隣接する他の単セル12間の略中間部に位置するように配置された平板部32と、酸化剤ガス流路30の上流側に設けられた段差部33を介して一体に連結された平板状の短片34とを有する。短片34は、平板部32よりも酸化剤ガス流路30が延びる方向(以下、単に第1流路方向Uという)の長さが短くされるとともに、平板部32と平行に形成されている。又、段差部33は、第1流路方向Uに向かって斜状に形成されている。第1流路方向Uは、酸化剤ガスの流れる方向である。
【0034】
平板部32、段差部33及び短片34には、図1、図2に示すように前記第1流路方向Uに延びる複数の突条35が突出されている。突条35は、隣接する第2セパレータ24側に相対する面から図示しない金型によりプレス成形されている。突条35は、平板部32の第1流路方向Uの略中央部から段差部33を経て短片34上の中央部迄延びている。
【0035】
互いに隣接する突条35同士は、等ピッチで配置されることが望ましいが、場合によっては不等ピッチでもよい。
前記突条35がプレス成形されることより、第2セパレータ24側に相対する面には、第1流路方向Uに延びる溝36が形成されるとともに、各突条35間には、図1、図2に示すように複数の第1溝35bが形成されている。又、突条35のMEA20に相対する壁部35aは、図1に示すように平面に形成されるとともに、図2,図3に示すように酸化剤ガス流路30の上流側であるMEA20のカソード18(ガス拡散層18b)に対して密接されている。
【0036】
酸化剤ガス流路30の上流側は、前記第1溝35bとMEA20で区画される第1溝流路で形成されている。又、酸化剤ガス流路30の下流側は、前記多孔体26が配置されている。多孔体26は第1多孔体に相当する。
【0037】
(第2セパレータ24及び燃料ガス流路40)
第2セパレータ24は、導電性を有するチタンよりなる。なお、第2セパレータ24の材質はチタンに限定されるものではなく、導電性を有する炭素系や金属系を用いることができる。
【0038】
図2、図3に示すように単セル12において、第2セパレータ24とMEA20間は、燃料ガス流路40となる。本実施形態では、燃料ガス流路40に流れる燃料ガスは、酸化剤ガス流路30を流れる酸化剤ガスとは対向流となる。燃料ガス流路40は、燃料電池10に設けられた前記燃料ガス供給口及び燃料ガス排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されている。
【0039】
図2に示すように、第2セパレータ24は、隣接する他の単セル12間の略中間部に位置するように配置された平板部42と、燃料ガス流路40の上流側に設けられた段差部43を介して一体に連結された平板状の短片44とを有する。短片44は、平板部42よりも燃料ガス流路40が延びる方向(以下、単に第2流路方向Pという)の長さが短くされるとともに、平板部42と平行に形成されている。又、段差部43は、第2流路方向に向かって斜状に形成されている。なお、本実施形態では、燃料ガスが流れる方向である第2流路方向Pは第1流路方向Uとは180度反対方向である。
【0040】
平板部42、段差部43及び短片44には、図1、図2に示すように前記第2流路方向に延びるように、かつ突条35の数と同数の突条45が突出されている。突条45は、突条35のピッチと合わせるようにして配置されている。
【0041】
突条45は、隣接する第1セパレータ22側に相対する面から図示しない金型によりプレス成形されている。突条45は、平板部42の第2流路方向の略中央部から段差部43を経て短片44上の中央部迄延びている。
【0042】
前記突条45がプレス成形されることより、第1セパレータ22側に相対する面には、図2、図3に示すように第2流路方向に延びる溝46が形成されるとともに、各突条45間には、図2に示すように複数の第2溝45bが形成されている。
【0043】
又、突条45のMEA20に相対する壁部45aは、図2、図3に示すように平面に形成されるとともに、燃料ガス流路40の上流側であるMEA20のアノード16(ガス拡散層16b)に対して密接されている。
【0044】
燃料ガス流路40の上流側は、前記第2溝45bとMEA20で区画される第2溝流路で形成されている。又、燃料ガス流路40の下流側は、前記多孔体28が配置されている。多孔体28は第2多孔体に相当する。
【0045】
又、第2セパレータ24の平板部42と、隣接する第1セパレータ22の平板部32とは、図2に示すように密接されて電気的に接続されている。
又、第2セパレータ24の各溝46と、第1セパレータ22の各溝36とは、図3において、Aの範囲でオーパラップするように配置されている。このオーパラップする部分において、溝36と溝46とが連通されている。
【0046】
(冷却媒体流路50)
このようにして、隣接する第1セパレータ22と第2セパレータ24との間において、溝36,46を流路本体とし、第1セパレータ22の短片34と第2セパレータ24の平板部42間を流路本体の入口とし、第2セパレータ24の短片44と第1セパレータ22の平板部32間を流路本体の出口とする冷却媒体流路50が形成されている。
【0047】
前記冷却媒体流路50(流路本体)において、冷却媒体流路50の上流側に位置する溝36は、冷却媒体流路50の下流側に位置する溝46よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。
【0048】
又、図3に示すように前記冷却媒体流路50(流路本体)において、下流側に位置する溝46は、上流側に位置する溝36よりも、前記溝36が近位となっているMEA20に対して隣接する他のMEA20の燃料ガス流路40側の部位に近位に位置するように配置されている。
【0049】
冷却媒体流路50は、燃料電池10に設けられた前記冷却媒体供給口及び冷却媒体排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されて、酸化剤ガスの流れとは平行流となる冷却水等の冷却媒体が通過するようにされている。図3において、矢印Sは、冷却媒体の流れる方向を示している。
【0050】
上記のように冷却媒体流路50が形成されていることにより、冷却媒体流路50の上流側では、カソード18において酸化剤ガス流路30の上流側が下流側よりもより冷却されるとともに、冷却媒体流路50の下流側ではアノード16において燃料ガス流路40の上流側が下流側よりもより冷却されるようになっている。このようにして、本実施形態では、冷却媒体流路50によって、カソード18とアノード16がそれぞれ均等に冷却されることはなく、カソード18において、酸化剤ガス流路30の上流側、すなわち、最も乾燥しやすい入口側を積極的に冷却することが可能となっている。
【0051】
(多孔体26,28)
次に、多孔体26,28について説明する。多孔体26,28は同一構成であるため、図4を参照して多孔体26について説明する。なお、多孔体28を構成する各部の構成において、多孔体26と同一構成に対しては、多孔体26の各構成に付した番号26のサフィックスの符号を番号28に付す。
【0052】
多孔体26は、図4に示すように、六角形のリング部26a(28a)を千鳥状に多数箇所に形成したラスカットメタルにより形成されている。多孔体26は、各リング部26a(28a)及びその貫通孔26b(28b)が、その第1流路方向U(第2流路方向P)に向かうように配置されるとともに、各リング部26a(28a)及びその貫通孔26b(28b)により形成されたガス流路26c(28c)を通して酸化剤ガス(燃料ガス)が流れてガス拡散を行うようになっている。なお、図4は多孔体26(28)の一部のみを図示したものである。
【0053】
多孔体26は、カソード18と第1セパレータ22にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。又、多孔体28は、アノード16と第2セパレータ24にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。
【0054】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
燃料電池10の発電が行われると、図2に示す酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40には、それぞれ酸化剤ガス(本実施形態では空気)及び燃料ガス(本実施形態では水素ガス)が互いに対向流となるように通過する。又、冷却媒体流路50には、酸化剤ガス流路30を通過する酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体(本実施形態では冷却水)が通過する。
【0055】
図3に示すように、冷却媒体は、第1セパレータ22の短片34と第2セパレータ24の平板部42間の冷却媒体流路50(流路本体)の入口を通過した後、溝36を通過する。溝36を冷却媒体が通過することにより、壁部35aにて密接している酸化剤ガス流路30の上流側のカソード18を冷却する。図3において、矢印Qは、カソード18からの熱の移動方向を示している。
【0056】
この後、冷却媒体は、溝46を通過することにより、壁部45aにて密接している燃料ガス流路40の上流側のアノード16を冷却し、第2セパレータ24の短片44と第1セパレータ22の平板部32間の流路本体の出口から排出される。図3において、矢印Rは、アノード16からの熱の移動方向を示している。このように、本実施形態では、酸化剤ガス流路30の上流側のカソード18を下流側よりもより積極的に冷却する。又、燃料ガス流路40の上流側のアノード16を下流側よりもより積極的に冷却する。
【0057】
一般に無加湿の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して燃料電池を運転する場合、すなわち、無加湿運転の場合には、燃料電池10の単セル12の面内で水分量分布が生じやすくなる。すなわち、酸化剤ガス流路30の入口近傍(上流側)は乾燥しやすく、酸化剤ガス流路30の出口近傍は湿潤状態になりやすい。このため、単セル12の面内で水分量の均質化を図る必要がある。
【0058】
本実施形態では、上記のように酸化剤ガス流路30の入口近傍(上流側)を積極的に冷却することで、燃料電池10の高温性能を上げる。
発電により、酸化剤ガス流路の下流側は、空気中の酸素が消費されて濃度低下を起こすとともに、カソード18側の電極触媒層18a、ガス拡散層18b及び多孔体26において生成水が生成され、この生成水の結露により形成された水滴は、多孔体26のガス流路26cを流れる酸化剤ガス(酸化オフガス)により外部に導出される。上記のように本実施形態では、酸化剤ガス流路30の下流側に多孔体26が配置されているため、生成水によるガス拡散層18bにおけるガス拡散の阻害を抑制して、燃料電池10の発電性能を高めるとともに、排水性が向上することにより生成水が溜まりやすい常温域での電圧安定性を向上させる。
【0059】
又、前記生成水の一部は、電解質膜14を透過して、アノード16側の電極触媒層16a、ガス拡散層16b及び燃料ガス流路40の下流側における多孔体28のガス流路28cへ浸透水として流入する。そして、この浸透水により形成された水滴は、前記多孔体28のガス流路28cを流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出される。
【0060】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、MEA20(膜電極接合体)を、第1セパレータ22及び第2セパレータ24間に配置して、MEA20の両面と両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40を有した単セル12を構成して、前記単セル12を複数積層している。又、酸化剤ガス流路30は、その上流側が第1セパレータ22に複数併設された第1溝35bとMEA20間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体26(第1多孔体)が配置されている。燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bとMEA20間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体28(第2多孔体)が配置されている。又、互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、空気(酸化剤ガス)の流れと平行流となる冷却水(冷却媒体)が通過する冷却媒体流路50が形成されている。冷却媒体流路50の上流側が下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。この結果、本実施形態によれば、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上することができる。又、高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる結果、小型化及び低コスト化できるとともに、小型化ができる。
【0061】
さらには、多孔体26、28は、酸化剤ガス流路30、燃料ガス流路40のそれぞれの下流側にのみ配置していないため、アノード16の全面、及びカソード18の全面に相対するように多孔体を配置する場合に比して、部品の重量の削減、すなわち、多孔体のサイズ削減を行うことができ、軽量化できる。
【0062】
(2) 本実施形態の燃料電池10は、第1セパレータ22において、冷却媒体流路50を形成する上流側の部位は、MEA20の酸化剤ガス流路30側の面に当接されていることにより、冷却水(冷却媒体)により、酸化剤ガス流路30の上流側を効率的に冷却でき、このことにより、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図7(a)、(b)及び図8を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態の構成中、多孔体26の代わりに図7(a)に示す多孔体70が、及び多孔体28の代わりに多孔体80が、燃料電池10において、前記多孔体26,28を配置したスペースにそれぞれ配置されている。なお、多孔体70,80の構成以外は、第1実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0064】
多孔体70は第1多孔体に相当するとともに多孔体80は第2多孔体に相当する。
多孔体70は、第1セパレータ22に近接配置される平板部72)と、カソード18のガス拡散層18bに接触するように前記平板部72に一体に切り起こし成形されて多数の突部74及び水流路形成突部76を備えている。突部74は、第1流路方向Uと直交するQ方向から見て偏平台形状をなす。なお、前記突部74は半円弧状にしてもよい。
【0065】
水流路形成突部76は、第1セパレータ22に接触するように、かつQ矢印方向から見て小さい半円弧状或いは台形状をなすようにプレス成形されている。
図7(a)、図8に示すように、前記水流路形成突部76によって第1セパレータ22と平板部72との間に所定の隙間が形成されている。この隙間が生成水を第1流路方向Uにおいて、下流側から流路本体の出口へ排出するように導くための第1水流路としての水流路78となっている。図7(b)の二点鎖線は、前記水流路形成突部76によって第1セパレータ22と平板部72との間に所定の隙間が形成された水流路78を透視図的に描いたものである。
【0066】
なお、二点鎖線の矢印は、多孔体70の場合の水流路78における生成水の流れる方向を示す。
前記突部74の多数の切り起こしによって、前記流路方向から見て各突部74の左右両側に成形された開口が酸化剤ガス流路30と水流路78を連通する第1連通孔としての連通路75となっている。酸化剤ガス流路30の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路78の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成され、水流路78の毛管作用によって、酸化剤ガス流路30側の生成水が連通路75を通して水流路78に吸い込まれるようにしている。
【0067】
次に、多孔体80について説明するが、説明の便宜上、図7(a)では、多孔体80に関しては括弧内に各部の番号を付す。図7(a)に示すように、多孔体80は、第2セパレータ24に近接配置される平板部82と、アノード16のガス拡散層16bに接触するように前記平板部82に一体に切り起こし成形されて多数の突部84及び水流路形成突部86を備えている。突部84は、第2流路方向Pと直交するQ方向から見て偏平台形状をなす。なお、前記突部84は半円弧状にしてもよい。
【0068】
水流路形成突部86は、第2セパレータ24に接触するように、かつQ矢印方向から見て小さい半円弧状或いは台形状をなすようにプレス成形されている。
図7(a)に示すように、前記水流路形成突部86によって第2セパレータ24と平板部82との間に所定の隙間が形成されている。この隙間が浸透水を第2流路方向Pにおいて、下流側から流路本体の出口へ排出するように導くための第2水流路としての水流路88となっている。
【0069】
図7(b)の二点鎖線は、水流路形成突部86によって第2セパレータ24と平板部82との間に所定の隙間が形成された水流路88を透視図的に描いたものである。
なお、二点鎖線の矢印の向きとは180度反対方向が、多孔体80の場合の水流路88における浸透水の流れる方向となる。
【0070】
前記突部84の多数の切り起こしによって、前記流路方向から見て各突部84の左右両側に成形された開口が燃料ガス流路40と水流路88を連通する第2連通孔としての連通路85となっている。燃料ガス流路40の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路88の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成され、水流路88の毛管作用によって、燃料ガス流路40側の浸透水が連通路85を通して水流路88に吸い込まれるようにしている。
【0071】
(第2実施形態の作用)
上記のよう構成された燃料電池10の作用を説明する。
酸化剤ガス流路30の下流側において水流路78が設けられているため、カソード18側の多孔体70内の生成水が連通路75を通して毛管作用によって、水流路78に吸い込まれる。そして、水流路78内の生成水は、酸化剤ガス流路30を流れる酸化剤ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上し、このため、電極触媒層18aに酸化剤ガスが適正に供給される。そのため、酸化剤ガス欠乏の発生が回避され、発電効率が向上する。又、酸化剤ガス流路30に生成水が残留するのが防止され、酸化剤ガス流路30内を流れる酸化剤ガスの生成水による圧力損失が低減されて発電効率が向上する。又、前述のように生成水の排水性が向上するため、生成水が滞留しやすい常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0072】
又、燃料ガス流路40の下流側に水流路88が設けられているため、アノード16側の多孔体80内の浸透水が連通路85を通して毛管作用によって、水流路88に吸い込まれる。そして、水流路88内の浸透水は、燃料ガス流路40を流れる燃料ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上し、このため、電極触媒層16aに燃料ガスが適正に供給される。そのため、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率が向上する。又、多孔体80において、浸透水が残留することが抑制されるため、該浸透水による燃料ガス流路40の下流側内を流れる燃料ガスの圧力損失が低減されて、発電効率が向上する。
【0073】
アノード16側の電極触媒層16aに水が侵入することが抑制できるため、電極触媒層16aにおいて、燃料ガス欠乏の発生が回避され。従って、燃料ガス欠乏に起因する電極触媒層16aの電位の上昇が防止され、電極触媒層16aの電位上昇による多孔体80の腐食が防止される。
【0074】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、第1セパレータ22と多孔体70(第1多孔体)間には、多孔体70が有する連通路75(第1連通孔)に連通する水流路78(第1水流路)が形成されている。又、連通路75(第1連通孔)を介して水流路78に移動した水が、酸化剤ガスの流動圧力によって水流路78を流れて酸化剤ガス流路30の下流側へ移動させる。このように、水流路78が形成されてその水流路に移動した水を酸化剤ガスの流動圧力によって排出することができ、このため排水性が向上できるとともに電極触媒層に酸化剤ガスが適正に供給でき、その結果、発電効率を向上できるとともに、生成水が滞留しやすい常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0075】
(2) 本実施形態の燃料電池10は、第2セパレータ24と多孔体80(第2多孔体)間には、多孔体80が有する連通路85(第2連通孔)に連通する水流路88(第2水流路)が形成されている。又、連通路85を介して水流路88に移動した水が、燃料ガスの流動圧力によって水流路88を流れて排出される。この結果、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率を向上できる。
【0076】
(第3実施形態:請求項2の実施形態)
次に、第3実施形態の燃料電池10を図9及び図10を参照して説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0077】
第1実施形態の燃料電池10では、第2セパレータ24における突条45の壁部45aが第2セパレータ24に対して密接(接触)していたが、本実施形態の燃料電池10は、第1実施形態の構成中、図9に示すように、第2セパレータ24の突条45の壁部45aが、第2セパレータ24に対して離間して配置されている。又、壁部45aとアノード16間の空間には、第2多孔体としての多孔体29が配置されている。多孔体29は、多孔体28とは図9、図10に示すように深さ方向(図において、)の大きさが異なるだけであり、多孔体28のリング部28a、及び貫通孔28bに相当するリング部、及び貫通孔がそれぞれ同様に多数形成されている。この結果、多孔体29においても、多孔体28のガス流路28cと同様のガス流路が形成される。多孔体29は、アノード16と突条45の壁部45a(すなわち、第2セパレータ24)にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。
【0078】
本実施形態では、このようにして図9、図10に示すように、燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。
【0079】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、酸化剤ガスの流れる方向である第1流路方向Uと、燃料ガスが流れる方向である第2流路方向Pは対向流となる向きとなっている。
本実施形態においても、第2セパレータ24の各溝46と、第1セパレータ22の各溝36とは、図10において、Aの範囲でオーパラップするように配置されている。このオーパラップする部分において、溝36と溝46とが連通されていることにより、冷却媒体流路50が形成されている。そして、冷却水(冷却媒体)の流れる方向は、第1実施形態と同様に酸化剤ガスの流れと平行流となっている。
【0080】
本実施形態では、燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。このため、第1実施形態で説明した多孔体28の作用とともに、多孔体29が同様の作用を行う。
【0081】
すなわち、燃料ガス流路40の上流側において、生成水の一部は、電解質膜14を透過して、アノード16側の電極触媒層16a、ガス拡散層16b及び燃料ガス流路40の下流側における多孔体29のガス流路へ浸透水として流入する。そして、この浸透水により形成された水滴は、前記多孔体29のガス流路を流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出される。他の構成の作用は、第1実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態では、第1実施形態の(1)、及び(2)の効果に加えて、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、MEA20(膜電極接合体)を、第1セパレータ22及び第2セパレータ24間に配置して、MEA20の両面と両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40を有した単セル12を構成して、前記単セル12を複数積層している。又、酸化剤ガス流路30は、その上流側が第1セパレータ22に複数併設された第1溝35bとMEA20間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体26(第1多孔体)が配置されている。燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。又、互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却水(冷却媒体)が通過する冷却媒体流路50が形成されている。又、冷却媒体流路50の上流側を下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。この結果、燃料ガス流路40の上流側において、アノード16からの浸透水が多孔体29のガス流路を流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出できる。
【0083】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 第2実施形態では、燃料ガス流路40において、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と対向流となるようにしたが、第2実施形態において、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにしてもよい。
【0084】
この場合、第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bは、燃料ガス流路40の下流側に位置することになる。この場合、第2溝45bは第3溝に相当する。又、燃料ガス流路40の上流側には、ガス拡散を行う多孔体28が位置し、下流側にはガス拡散を行う多孔体29が位置する。なお、冷却媒体流路50における冷却媒体の流れは第2実施形態と同様にする。他の構成は、第2実施形態と同様に構成するものとする。
【0085】
このように構成した場合においても、第2実施形態と同様の効果を実現することができる。なお、この実施形態は、請求項3の実施形態に相当するものである。
又、上記の実施形態では、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにして、第2溝45b(図2参照)を形成した。この構成に代えて、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにするとともに、図11に示すように第2溝45bを省略し、多孔体29の代わりに多孔体28を、燃料ガス流路40の下流側まで延出するようにしてもよい。この場合においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。この実施形態は請求項3の実施形態に相当する。
【0086】
・ 前記各実施形態では、冷却媒体として冷却水を使用したが、冷却水以外の冷却媒体、例えばオイル、アルコール等を使用してもよい。
・ 第2実施形態では、酸化剤ガス流路30の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路78(88)の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成した。又、燃料ガス流路40の深さ(例えば100μm〜500μm)を、水流路88の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成した。この数値は前記範囲に限定するものではなく、両水流路の深さは10μm〜50μmとし、両ガス流路の深さを30μm〜1000μmの範囲であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…燃料電池、11…集電板、12…単セル、13…絶縁板、
14…固体高分子電解質膜(電解質膜)、15…エンドプレート、
16…電極(カソード)、16a…電極触媒層、16b…ガス拡散層、
17…ボルト、18…電極(アノード)、18a…電極触媒層、
18b…ガス拡散層、20…MEA(膜電極接合体)、
22…第1セパレータ、24…第2セパレータ、26…多孔体、
28…多孔体、30…酸化剤ガス流路、32…平板部、33…段差部、
34…短片、35…突条、36…溝、40…燃料ガス流路、42…平板部、
43…段差部、44…短片、45…突条、46…溝、
50…冷却媒体流路、52…酸化剤ガス排出管、54…燃料ガス供給管、
56…燃料ガス排出管、58…冷却媒体供給管、60…冷却媒体排出管、
70…多孔体、72…平板部、74…突部、76…水流路形成突部、
78,88…水流路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質形燃料電池は、イオン交換膜からなる電解質膜と前記膜の一面に配置されたアノード(燃料極)及び前記電解質膜の他面に配置されたカソード(酸素極)とからなる膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)と、アノード、カソードに燃料ガス(水素)及び酸化剤ガス(酸素、通常は空気)を供給するための流体通路を形成するセパレータとを、交互に配置している。そして、燃料電池は前記MEAとセパレータからなる単電池(単セル)の積層体を締め付けて一体化したスタックからなる。固体高分子電解質形燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること等の利点を有することから、特に、車両等の移動体用電源として注目されている。
【0003】
この種の燃料電池の実用化のためには、小型化及び低コスト化が求められている。このため、冷却・加湿系を簡略化できる高温・無加湿運転条件の下で行うことが可能な燃料電池が望まれている。
【0004】
特許文献1の燃料電池では、最も乾燥しやすいカソード(酸素極)の空気の流れる上流側(入り口側)の水分量が不足している場合は、燃料ガス流量を増加させるか、或いは、燃料ガス圧力を減少させて、酸化剤ガスの入口側の水分量を増加させることにより、高温・無加湿運転を行うようにしている。
【0005】
特許文献2の燃料電池では、図12に示すように、単セル100は、高分子電解質膜102がカソード(酸素極)104及びアノード(燃料極)106により挟持された膜電極接合体(MEA)108と、前記膜電極接合体108を、カソード104及びアノード106の外側から挟みこみした一対のセパレータ110,112とから構成されている。前記セパレータ110,112とカソード104及びアノード106の境界には、カソード104側に酸化剤ガス流路114が設けられるとともにアノード106側には燃料ガス流路116が設けられている。前記カソード104はカソード触媒層104aとガス拡散層104bとが積層されることにより構成されている。又、アノード106はアノード触媒層106aとガス拡散層106bとが積層されることにより構成されている。又、前記セパレータ110と、隣接する単セルのセパレータ112には、互いに相対する溝がそれぞれ形成されて、その溝形状で区画される通路を冷却媒体を通過させるための冷却媒体通路120としている。
【0006】
特許文献2では、MEA近傍に設けられた前記冷却媒体通路120を冷却媒体(例えば冷却水)が流れるため、熱抵抗が小さく効果的に冷却されることにより、燃料電池の高性能化を図っている。
【0007】
又、特許文献3では、図13に示すように、燃料ガス流路116、及び酸化剤ガス流路114にガス拡散性に優れるガス拡散多孔体130,140を配置することにより、燃料ガス流路116及び酸化剤ガス流路114の均一にガス拡散を行わせることによって燃料電池の高性能化を図っている。なお、図13において、図12の構成に相当する構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0008】
又、特許文献4では、導水層を形成したガス拡散多孔体を用いることにより、生成した水の排水性を向上させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−259758号公報
【特許文献2】特開2003−197222号公報
【特許文献3】特開2007−87768号公報
【特許文献4】国際公開第2010/113252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1、特許文献2では、冷却性に優れるものの、すなわち、高温性能に優れるものの、特に水分の多い空気ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性が悪くなり、常温域での性能が低くなる問題がある。ここで、常温域は、燃料電池の温度が50〜60℃程度であって、負荷が多く掛かっていない領域である。例えばこの種の燃料電池を電気自動車に使用したとき、加速が行われない巡航速度での走行時の電力を供給する場合に上記のことが常温域で発電が行われる。
【0011】
特許文献3では、特に常温域での電圧安定性の性能に優れるものの、高温環境下での冷却性能が不足傾向であって、熱抵抗が大きくて冷めにくく、高温性能が上がらない問題がある。
【0012】
又、特許文献1及び特許文献2では、図12に示すように、酸化剤ガス流路114及び燃料ガス流路116をセパレータ110、112全面において溝で形成したり、或いは図13に示すように膜電極接合体108の全面に酸化剤ガス流路114、燃料ガス流路116を形成するガス拡散多孔体130,140を配置することにより、アノード(燃料極)及びカソード(酸素極)を均等に冷却している。このため、高温性能向上に必要なカソード(酸素極)の入口側(上流側)の積極的な冷却できていない問題がある。
【0013】
本発明の目的は、上記課題を解決して、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上させることができる燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝と前記膜電極接合体間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0015】
請求項2の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝を含むとともに上流及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側を下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0016】
請求項3の発明は、固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが平行流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路の上流側及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池を要旨としている。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記第1セパレータにおいて、前記冷却媒体流路を形成する上流側の部位は、前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記第1セパレータと第1多孔体間には、該第1多孔体が有する第1連通孔に連通する第1水流路が形成され、前記第1連通孔を介して前記第1水流路に移動した水が、前記酸化剤ガスの流動圧力によって前記第1水流路を流れて排出されることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項において、前記第2セパレータと第2多孔体間には、該第2多孔体が有する第2連通孔に連通する第2水流路が形成され、前記第2連通孔を介して前記第2水流路に移動した水が、前記燃料ガスの流動圧力によって前記第2水流路を流れて排出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上させることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、冷却媒体流路を形成する上流側の部位が、膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されることにより、冷却媒体により、酸化剤ガス流路の上流側を効率的に冷却でき、このことにより、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、酸化剤ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上できるため、電極触媒層に酸化剤ガスを適正に供給して、発電効率を向上できるとともに、常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の燃料電池を構成する単セルの分解斜視図。
【図2】燃料電池において第1セパレータ、第2セパレータの突条間で切断した際の縦断面図。
【図3】燃料電池の第1セパレータ、第2セパレータの突条で切断した際の縦断面図。
【図4】多孔体の斜視図。
【図5】カソード入口側の燃料電池の横断面図。
【図6】燃料電池の全体概略図。
【図7】(a)は第2実施形態の多孔体の部分斜視図、(b)は水流路の説明図。
【図8】第2実施形態の燃料電池の単セルの断面図。
【図9】第3実施形態の図2相当図。
【図10】第3実施形態の図3相当図。
【図11】他の実施形態の図10相当図。
【図12】従来の燃料電池の横断面図。
【図13】他の従来の燃料電池の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の燃料電池を図1〜図6を参照して説明する。図6に示すように、燃料電池10は、単セル12(図2参照)が多数積層されたスタック構造を有し、その両端に一対の集電板11、前記集電板11の外側に絶縁板13及び前記絶縁板13の外側にエンドプレート15を配置して、締め付けボルト17で両端の前記エンドプレート15に挟まれた単セル群等を積層した状態で締め付けされている。
【0026】
燃料電池10には、酸化剤ガス管路系、燃料ガス管路系、及び冷却媒体管路系が接続されている。図6に示すように、酸化剤ガスとしての空気(酸素)をエア(空気)を流通させるための酸化剤ガス管路系は、燃料電池10の図示しない酸化剤ガス供給口に接続された酸化剤ガス供給管51と、燃料電池10の図示しない酸化剤ガス排出口に接続された酸化剤ガス排出管52とを備える。
【0027】
又、燃料ガスとしての水素を流通させるための燃料ガス管路系は、燃料電池10の図示しない燃料ガス供給口に接続された燃料ガス供給管54と、燃料電池10の図示しない燃料ガス排出口に接続された燃料ガス排出管56とを備える。
【0028】
又、燃料電池10の冷却媒体としての水を流通させるための冷却媒体管路系は、燃料電池10の図示しない冷却媒体供給口に接続された冷却媒体供給管58と、燃料電池10の図示しない冷却媒体排出口に接続された冷却媒体排出管60とを備える。
【0029】
(単セル12)
図2に示すように、単セル12は、固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)14の両面に電極であるアノード16とカソード18が配置された膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly、以下MEAという)20と、MEA20を両面から挟み込む第1セパレータ22,第2セパレータ24、及び第1セパレータ22とMEA20間、第2セパレータ24とMEA20間にそれぞれ配置される多孔体26,28とを備えている。
【0030】
MEA20は、電解質膜14の両面が、燃料極であるアノード16と酸素極であるカソード18とにより挟み込みされている。
電解質膜14は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を有する固体高分子材料で作製されている。固体高分子材料としてはフッ素系の高分子膜(例えば、デュポン社製のナフィオン膜等)がある。
【0031】
アノード16及びカソード18は、それぞれ電極触媒層16a,18aとガス拡散層16b,18bとによって構成されている。電極触媒層16a,18aは、電解質膜14に接触する側に位置し、白金微粒子を担持させた導電性カーボンブラックにより形成されている。一方、ガス拡散層16b,18bは、電極触媒層16a,18aに積層され、導電性を有するカーボンペーパーにより構成されている。なお、電極触媒層16a,18aに含まれる白金は、水素をプロトンと電子に分けるのを促進したり酸素とプロトンと電子から水を生成する反応を促進する作用を有するものであるが、同様の作用を有するものであれば白金以外のものを用いてもよい。また、ガス拡散層16b,18bは、カーボンペーパーのほか、炭素繊維からなるカーボンクロス又はカーボンフェルトによって形成してもよく、十分なガス拡散性及び導電性を有していればよい。
【0032】
(第1セパレータ22及び酸化剤ガス流路30)
第1セパレータ22は、導電性を有するチタンよりなる。なお、第1セパレータ22の材質はチタンに限定されるものではなく、導電性を有する炭素系や金属系を用いることができる。図2、図3に示すように第1セパレータ22とMEA20間は、酸化剤ガス流路30となる。酸化剤ガス流路30は、燃料電池10に設けられた前記酸化剤ガス供給口及び酸化剤ガス排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されている。
【0033】
図2に示すように、第1セパレータ22は、隣接する他の単セル12間の略中間部に位置するように配置された平板部32と、酸化剤ガス流路30の上流側に設けられた段差部33を介して一体に連結された平板状の短片34とを有する。短片34は、平板部32よりも酸化剤ガス流路30が延びる方向(以下、単に第1流路方向Uという)の長さが短くされるとともに、平板部32と平行に形成されている。又、段差部33は、第1流路方向Uに向かって斜状に形成されている。第1流路方向Uは、酸化剤ガスの流れる方向である。
【0034】
平板部32、段差部33及び短片34には、図1、図2に示すように前記第1流路方向Uに延びる複数の突条35が突出されている。突条35は、隣接する第2セパレータ24側に相対する面から図示しない金型によりプレス成形されている。突条35は、平板部32の第1流路方向Uの略中央部から段差部33を経て短片34上の中央部迄延びている。
【0035】
互いに隣接する突条35同士は、等ピッチで配置されることが望ましいが、場合によっては不等ピッチでもよい。
前記突条35がプレス成形されることより、第2セパレータ24側に相対する面には、第1流路方向Uに延びる溝36が形成されるとともに、各突条35間には、図1、図2に示すように複数の第1溝35bが形成されている。又、突条35のMEA20に相対する壁部35aは、図1に示すように平面に形成されるとともに、図2,図3に示すように酸化剤ガス流路30の上流側であるMEA20のカソード18(ガス拡散層18b)に対して密接されている。
【0036】
酸化剤ガス流路30の上流側は、前記第1溝35bとMEA20で区画される第1溝流路で形成されている。又、酸化剤ガス流路30の下流側は、前記多孔体26が配置されている。多孔体26は第1多孔体に相当する。
【0037】
(第2セパレータ24及び燃料ガス流路40)
第2セパレータ24は、導電性を有するチタンよりなる。なお、第2セパレータ24の材質はチタンに限定されるものではなく、導電性を有する炭素系や金属系を用いることができる。
【0038】
図2、図3に示すように単セル12において、第2セパレータ24とMEA20間は、燃料ガス流路40となる。本実施形態では、燃料ガス流路40に流れる燃料ガスは、酸化剤ガス流路30を流れる酸化剤ガスとは対向流となる。燃料ガス流路40は、燃料電池10に設けられた前記燃料ガス供給口及び燃料ガス排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されている。
【0039】
図2に示すように、第2セパレータ24は、隣接する他の単セル12間の略中間部に位置するように配置された平板部42と、燃料ガス流路40の上流側に設けられた段差部43を介して一体に連結された平板状の短片44とを有する。短片44は、平板部42よりも燃料ガス流路40が延びる方向(以下、単に第2流路方向Pという)の長さが短くされるとともに、平板部42と平行に形成されている。又、段差部43は、第2流路方向に向かって斜状に形成されている。なお、本実施形態では、燃料ガスが流れる方向である第2流路方向Pは第1流路方向Uとは180度反対方向である。
【0040】
平板部42、段差部43及び短片44には、図1、図2に示すように前記第2流路方向に延びるように、かつ突条35の数と同数の突条45が突出されている。突条45は、突条35のピッチと合わせるようにして配置されている。
【0041】
突条45は、隣接する第1セパレータ22側に相対する面から図示しない金型によりプレス成形されている。突条45は、平板部42の第2流路方向の略中央部から段差部43を経て短片44上の中央部迄延びている。
【0042】
前記突条45がプレス成形されることより、第1セパレータ22側に相対する面には、図2、図3に示すように第2流路方向に延びる溝46が形成されるとともに、各突条45間には、図2に示すように複数の第2溝45bが形成されている。
【0043】
又、突条45のMEA20に相対する壁部45aは、図2、図3に示すように平面に形成されるとともに、燃料ガス流路40の上流側であるMEA20のアノード16(ガス拡散層16b)に対して密接されている。
【0044】
燃料ガス流路40の上流側は、前記第2溝45bとMEA20で区画される第2溝流路で形成されている。又、燃料ガス流路40の下流側は、前記多孔体28が配置されている。多孔体28は第2多孔体に相当する。
【0045】
又、第2セパレータ24の平板部42と、隣接する第1セパレータ22の平板部32とは、図2に示すように密接されて電気的に接続されている。
又、第2セパレータ24の各溝46と、第1セパレータ22の各溝36とは、図3において、Aの範囲でオーパラップするように配置されている。このオーパラップする部分において、溝36と溝46とが連通されている。
【0046】
(冷却媒体流路50)
このようにして、隣接する第1セパレータ22と第2セパレータ24との間において、溝36,46を流路本体とし、第1セパレータ22の短片34と第2セパレータ24の平板部42間を流路本体の入口とし、第2セパレータ24の短片44と第1セパレータ22の平板部32間を流路本体の出口とする冷却媒体流路50が形成されている。
【0047】
前記冷却媒体流路50(流路本体)において、冷却媒体流路50の上流側に位置する溝36は、冷却媒体流路50の下流側に位置する溝46よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。
【0048】
又、図3に示すように前記冷却媒体流路50(流路本体)において、下流側に位置する溝46は、上流側に位置する溝36よりも、前記溝36が近位となっているMEA20に対して隣接する他のMEA20の燃料ガス流路40側の部位に近位に位置するように配置されている。
【0049】
冷却媒体流路50は、燃料電池10に設けられた前記冷却媒体供給口及び冷却媒体排出口に対して、図示しないマニホールドホールを介して接続されて、酸化剤ガスの流れとは平行流となる冷却水等の冷却媒体が通過するようにされている。図3において、矢印Sは、冷却媒体の流れる方向を示している。
【0050】
上記のように冷却媒体流路50が形成されていることにより、冷却媒体流路50の上流側では、カソード18において酸化剤ガス流路30の上流側が下流側よりもより冷却されるとともに、冷却媒体流路50の下流側ではアノード16において燃料ガス流路40の上流側が下流側よりもより冷却されるようになっている。このようにして、本実施形態では、冷却媒体流路50によって、カソード18とアノード16がそれぞれ均等に冷却されることはなく、カソード18において、酸化剤ガス流路30の上流側、すなわち、最も乾燥しやすい入口側を積極的に冷却することが可能となっている。
【0051】
(多孔体26,28)
次に、多孔体26,28について説明する。多孔体26,28は同一構成であるため、図4を参照して多孔体26について説明する。なお、多孔体28を構成する各部の構成において、多孔体26と同一構成に対しては、多孔体26の各構成に付した番号26のサフィックスの符号を番号28に付す。
【0052】
多孔体26は、図4に示すように、六角形のリング部26a(28a)を千鳥状に多数箇所に形成したラスカットメタルにより形成されている。多孔体26は、各リング部26a(28a)及びその貫通孔26b(28b)が、その第1流路方向U(第2流路方向P)に向かうように配置されるとともに、各リング部26a(28a)及びその貫通孔26b(28b)により形成されたガス流路26c(28c)を通して酸化剤ガス(燃料ガス)が流れてガス拡散を行うようになっている。なお、図4は多孔体26(28)の一部のみを図示したものである。
【0053】
多孔体26は、カソード18と第1セパレータ22にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。又、多孔体28は、アノード16と第2セパレータ24にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。
【0054】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
燃料電池10の発電が行われると、図2に示す酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40には、それぞれ酸化剤ガス(本実施形態では空気)及び燃料ガス(本実施形態では水素ガス)が互いに対向流となるように通過する。又、冷却媒体流路50には、酸化剤ガス流路30を通過する酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体(本実施形態では冷却水)が通過する。
【0055】
図3に示すように、冷却媒体は、第1セパレータ22の短片34と第2セパレータ24の平板部42間の冷却媒体流路50(流路本体)の入口を通過した後、溝36を通過する。溝36を冷却媒体が通過することにより、壁部35aにて密接している酸化剤ガス流路30の上流側のカソード18を冷却する。図3において、矢印Qは、カソード18からの熱の移動方向を示している。
【0056】
この後、冷却媒体は、溝46を通過することにより、壁部45aにて密接している燃料ガス流路40の上流側のアノード16を冷却し、第2セパレータ24の短片44と第1セパレータ22の平板部32間の流路本体の出口から排出される。図3において、矢印Rは、アノード16からの熱の移動方向を示している。このように、本実施形態では、酸化剤ガス流路30の上流側のカソード18を下流側よりもより積極的に冷却する。又、燃料ガス流路40の上流側のアノード16を下流側よりもより積極的に冷却する。
【0057】
一般に無加湿の燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して燃料電池を運転する場合、すなわち、無加湿運転の場合には、燃料電池10の単セル12の面内で水分量分布が生じやすくなる。すなわち、酸化剤ガス流路30の入口近傍(上流側)は乾燥しやすく、酸化剤ガス流路30の出口近傍は湿潤状態になりやすい。このため、単セル12の面内で水分量の均質化を図る必要がある。
【0058】
本実施形態では、上記のように酸化剤ガス流路30の入口近傍(上流側)を積極的に冷却することで、燃料電池10の高温性能を上げる。
発電により、酸化剤ガス流路の下流側は、空気中の酸素が消費されて濃度低下を起こすとともに、カソード18側の電極触媒層18a、ガス拡散層18b及び多孔体26において生成水が生成され、この生成水の結露により形成された水滴は、多孔体26のガス流路26cを流れる酸化剤ガス(酸化オフガス)により外部に導出される。上記のように本実施形態では、酸化剤ガス流路30の下流側に多孔体26が配置されているため、生成水によるガス拡散層18bにおけるガス拡散の阻害を抑制して、燃料電池10の発電性能を高めるとともに、排水性が向上することにより生成水が溜まりやすい常温域での電圧安定性を向上させる。
【0059】
又、前記生成水の一部は、電解質膜14を透過して、アノード16側の電極触媒層16a、ガス拡散層16b及び燃料ガス流路40の下流側における多孔体28のガス流路28cへ浸透水として流入する。そして、この浸透水により形成された水滴は、前記多孔体28のガス流路28cを流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出される。
【0060】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、MEA20(膜電極接合体)を、第1セパレータ22及び第2セパレータ24間に配置して、MEA20の両面と両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40を有した単セル12を構成して、前記単セル12を複数積層している。又、酸化剤ガス流路30は、その上流側が第1セパレータ22に複数併設された第1溝35bとMEA20間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体26(第1多孔体)が配置されている。燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bとMEA20間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体28(第2多孔体)が配置されている。又、互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、空気(酸化剤ガス)の流れと平行流となる冷却水(冷却媒体)が通過する冷却媒体流路50が形成されている。冷却媒体流路50の上流側が下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。この結果、本実施形態によれば、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できるとともに、特に水分の多い酸化剤ガス流路下流側の排水性・ガス拡散性を良好にして、常温域での電圧安定性を向上することができる。又、高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる結果、小型化及び低コスト化できるとともに、小型化ができる。
【0061】
さらには、多孔体26、28は、酸化剤ガス流路30、燃料ガス流路40のそれぞれの下流側にのみ配置していないため、アノード16の全面、及びカソード18の全面に相対するように多孔体を配置する場合に比して、部品の重量の削減、すなわち、多孔体のサイズ削減を行うことができ、軽量化できる。
【0062】
(2) 本実施形態の燃料電池10は、第1セパレータ22において、冷却媒体流路50を形成する上流側の部位は、MEA20の酸化剤ガス流路30側の面に当接されていることにより、冷却水(冷却媒体)により、酸化剤ガス流路30の上流側を効率的に冷却でき、このことにより、高温性能及び高温・無加湿性能の向上及び発電性能を向上できる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図7(a)、(b)及び図8を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態の構成中、多孔体26の代わりに図7(a)に示す多孔体70が、及び多孔体28の代わりに多孔体80が、燃料電池10において、前記多孔体26,28を配置したスペースにそれぞれ配置されている。なお、多孔体70,80の構成以外は、第1実施形態と同一構成又は相当する構成については同一符号を付す。
【0064】
多孔体70は第1多孔体に相当するとともに多孔体80は第2多孔体に相当する。
多孔体70は、第1セパレータ22に近接配置される平板部72)と、カソード18のガス拡散層18bに接触するように前記平板部72に一体に切り起こし成形されて多数の突部74及び水流路形成突部76を備えている。突部74は、第1流路方向Uと直交するQ方向から見て偏平台形状をなす。なお、前記突部74は半円弧状にしてもよい。
【0065】
水流路形成突部76は、第1セパレータ22に接触するように、かつQ矢印方向から見て小さい半円弧状或いは台形状をなすようにプレス成形されている。
図7(a)、図8に示すように、前記水流路形成突部76によって第1セパレータ22と平板部72との間に所定の隙間が形成されている。この隙間が生成水を第1流路方向Uにおいて、下流側から流路本体の出口へ排出するように導くための第1水流路としての水流路78となっている。図7(b)の二点鎖線は、前記水流路形成突部76によって第1セパレータ22と平板部72との間に所定の隙間が形成された水流路78を透視図的に描いたものである。
【0066】
なお、二点鎖線の矢印は、多孔体70の場合の水流路78における生成水の流れる方向を示す。
前記突部74の多数の切り起こしによって、前記流路方向から見て各突部74の左右両側に成形された開口が酸化剤ガス流路30と水流路78を連通する第1連通孔としての連通路75となっている。酸化剤ガス流路30の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路78の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成され、水流路78の毛管作用によって、酸化剤ガス流路30側の生成水が連通路75を通して水流路78に吸い込まれるようにしている。
【0067】
次に、多孔体80について説明するが、説明の便宜上、図7(a)では、多孔体80に関しては括弧内に各部の番号を付す。図7(a)に示すように、多孔体80は、第2セパレータ24に近接配置される平板部82と、アノード16のガス拡散層16bに接触するように前記平板部82に一体に切り起こし成形されて多数の突部84及び水流路形成突部86を備えている。突部84は、第2流路方向Pと直交するQ方向から見て偏平台形状をなす。なお、前記突部84は半円弧状にしてもよい。
【0068】
水流路形成突部86は、第2セパレータ24に接触するように、かつQ矢印方向から見て小さい半円弧状或いは台形状をなすようにプレス成形されている。
図7(a)に示すように、前記水流路形成突部86によって第2セパレータ24と平板部82との間に所定の隙間が形成されている。この隙間が浸透水を第2流路方向Pにおいて、下流側から流路本体の出口へ排出するように導くための第2水流路としての水流路88となっている。
【0069】
図7(b)の二点鎖線は、水流路形成突部86によって第2セパレータ24と平板部82との間に所定の隙間が形成された水流路88を透視図的に描いたものである。
なお、二点鎖線の矢印の向きとは180度反対方向が、多孔体80の場合の水流路88における浸透水の流れる方向となる。
【0070】
前記突部84の多数の切り起こしによって、前記流路方向から見て各突部84の左右両側に成形された開口が燃料ガス流路40と水流路88を連通する第2連通孔としての連通路85となっている。燃料ガス流路40の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路88の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成され、水流路88の毛管作用によって、燃料ガス流路40側の浸透水が連通路85を通して水流路88に吸い込まれるようにしている。
【0071】
(第2実施形態の作用)
上記のよう構成された燃料電池10の作用を説明する。
酸化剤ガス流路30の下流側において水流路78が設けられているため、カソード18側の多孔体70内の生成水が連通路75を通して毛管作用によって、水流路78に吸い込まれる。そして、水流路78内の生成水は、酸化剤ガス流路30を流れる酸化剤ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上し、このため、電極触媒層18aに酸化剤ガスが適正に供給される。そのため、酸化剤ガス欠乏の発生が回避され、発電効率が向上する。又、酸化剤ガス流路30に生成水が残留するのが防止され、酸化剤ガス流路30内を流れる酸化剤ガスの生成水による圧力損失が低減されて発電効率が向上する。又、前述のように生成水の排水性が向上するため、生成水が滞留しやすい常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0072】
又、燃料ガス流路40の下流側に水流路88が設けられているため、アノード16側の多孔体80内の浸透水が連通路85を通して毛管作用によって、水流路88に吸い込まれる。そして、水流路88内の浸透水は、燃料ガス流路40を流れる燃料ガスの流動圧力によって排出されて排水性が向上し、このため、電極触媒層16aに燃料ガスが適正に供給される。そのため、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率が向上する。又、多孔体80において、浸透水が残留することが抑制されるため、該浸透水による燃料ガス流路40の下流側内を流れる燃料ガスの圧力損失が低減されて、発電効率が向上する。
【0073】
アノード16側の電極触媒層16aに水が侵入することが抑制できるため、電極触媒層16aにおいて、燃料ガス欠乏の発生が回避され。従って、燃料ガス欠乏に起因する電極触媒層16aの電位の上昇が防止され、電極触媒層16aの電位上昇による多孔体80の腐食が防止される。
【0074】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、第1セパレータ22と多孔体70(第1多孔体)間には、多孔体70が有する連通路75(第1連通孔)に連通する水流路78(第1水流路)が形成されている。又、連通路75(第1連通孔)を介して水流路78に移動した水が、酸化剤ガスの流動圧力によって水流路78を流れて酸化剤ガス流路30の下流側へ移動させる。このように、水流路78が形成されてその水流路に移動した水を酸化剤ガスの流動圧力によって排出することができ、このため排水性が向上できるとともに電極触媒層に酸化剤ガスが適正に供給でき、その結果、発電効率を向上できるとともに、生成水が滞留しやすい常温域での電圧安定性をも向上させることができる。
【0075】
(2) 本実施形態の燃料電池10は、第2セパレータ24と多孔体80(第2多孔体)間には、多孔体80が有する連通路85(第2連通孔)に連通する水流路88(第2水流路)が形成されている。又、連通路85を介して水流路88に移動した水が、燃料ガスの流動圧力によって水流路88を流れて排出される。この結果、燃料ガスの欠乏の発生が回避され、発電効率を向上できる。
【0076】
(第3実施形態:請求項2の実施形態)
次に、第3実施形態の燃料電池10を図9及び図10を参照して説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0077】
第1実施形態の燃料電池10では、第2セパレータ24における突条45の壁部45aが第2セパレータ24に対して密接(接触)していたが、本実施形態の燃料電池10は、第1実施形態の構成中、図9に示すように、第2セパレータ24の突条45の壁部45aが、第2セパレータ24に対して離間して配置されている。又、壁部45aとアノード16間の空間には、第2多孔体としての多孔体29が配置されている。多孔体29は、多孔体28とは図9、図10に示すように深さ方向(図において、)の大きさが異なるだけであり、多孔体28のリング部28a、及び貫通孔28bに相当するリング部、及び貫通孔がそれぞれ同様に多数形成されている。この結果、多孔体29においても、多孔体28のガス流路28cと同様のガス流路が形成される。多孔体29は、アノード16と突条45の壁部45a(すなわち、第2セパレータ24)にそれぞれ接触して両者間を電気的に導通可能となっている。
【0078】
本実施形態では、このようにして図9、図10に示すように、燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。
【0079】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、酸化剤ガスの流れる方向である第1流路方向Uと、燃料ガスが流れる方向である第2流路方向Pは対向流となる向きとなっている。
本実施形態においても、第2セパレータ24の各溝46と、第1セパレータ22の各溝36とは、図10において、Aの範囲でオーパラップするように配置されている。このオーパラップする部分において、溝36と溝46とが連通されていることにより、冷却媒体流路50が形成されている。そして、冷却水(冷却媒体)の流れる方向は、第1実施形態と同様に酸化剤ガスの流れと平行流となっている。
【0080】
本実施形態では、燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。このため、第1実施形態で説明した多孔体28の作用とともに、多孔体29が同様の作用を行う。
【0081】
すなわち、燃料ガス流路40の上流側において、生成水の一部は、電解質膜14を透過して、アノード16側の電極触媒層16a、ガス拡散層16b及び燃料ガス流路40の下流側における多孔体29のガス流路へ浸透水として流入する。そして、この浸透水により形成された水滴は、前記多孔体29のガス流路を流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出される。他の構成の作用は、第1実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態では、第1実施形態の(1)、及び(2)の効果に加えて、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の燃料電池10は、MEA20(膜電極接合体)を、第1セパレータ22及び第2セパレータ24間に配置して、MEA20の両面と両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路30及び燃料ガス流路40を有した単セル12を構成して、前記単セル12を複数積層している。又、酸化剤ガス流路30は、その上流側が第1セパレータ22に複数併設された第1溝35bとMEA20間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う多孔体26(第1多孔体)が配置されている。燃料ガス流路40は、その上流側が第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bを含むとともに、上流及び下流側にはガス拡散を行う多孔体29及び多孔体28(第2多孔体)が配置されている。又、互いに隣接する単セル12の第1セパレータ22と第2セパレータ24間には、酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却水(冷却媒体)が通過する冷却媒体流路50が形成されている。又、冷却媒体流路50の上流側を下流側よりもMEA20の酸化剤ガス流路30側の部位に近位に位置するように配置されている。この結果、燃料ガス流路40の上流側において、アノード16からの浸透水が多孔体29のガス流路を流れる燃料ガス(燃料オフガス)により外部に導出できる。
【0083】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 第2実施形態では、燃料ガス流路40において、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と対向流となるようにしたが、第2実施形態において、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにしてもよい。
【0084】
この場合、第2セパレータ24に複数併設された第2溝45bは、燃料ガス流路40の下流側に位置することになる。この場合、第2溝45bは第3溝に相当する。又、燃料ガス流路40の上流側には、ガス拡散を行う多孔体28が位置し、下流側にはガス拡散を行う多孔体29が位置する。なお、冷却媒体流路50における冷却媒体の流れは第2実施形態と同様にする。他の構成は、第2実施形態と同様に構成するものとする。
【0085】
このように構成した場合においても、第2実施形態と同様の効果を実現することができる。なお、この実施形態は、請求項3の実施形態に相当するものである。
又、上記の実施形態では、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにして、第2溝45b(図2参照)を形成した。この構成に代えて、第2流路方向P(ガス燃料が流れる方向)を、第1流路方向U(酸化剤ガスが流れる方向)と平行流となるようにするとともに、図11に示すように第2溝45bを省略し、多孔体29の代わりに多孔体28を、燃料ガス流路40の下流側まで延出するようにしてもよい。この場合においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。この実施形態は請求項3の実施形態に相当する。
【0086】
・ 前記各実施形態では、冷却媒体として冷却水を使用したが、冷却水以外の冷却媒体、例えばオイル、アルコール等を使用してもよい。
・ 第2実施形態では、酸化剤ガス流路30の深さ(例えば100μm〜500μm)は、水流路78(88)の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成した。又、燃料ガス流路40の深さ(例えば100μm〜500μm)を、水流路88の深さ(5μm〜30μm)よりも深く形成した。この数値は前記範囲に限定するものではなく、両水流路の深さは10μm〜50μmとし、両ガス流路の深さを30μm〜1000μmの範囲であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…燃料電池、11…集電板、12…単セル、13…絶縁板、
14…固体高分子電解質膜(電解質膜)、15…エンドプレート、
16…電極(カソード)、16a…電極触媒層、16b…ガス拡散層、
17…ボルト、18…電極(アノード)、18a…電極触媒層、
18b…ガス拡散層、20…MEA(膜電極接合体)、
22…第1セパレータ、24…第2セパレータ、26…多孔体、
28…多孔体、30…酸化剤ガス流路、32…平板部、33…段差部、
34…短片、35…突条、36…溝、40…燃料ガス流路、42…平板部、
43…段差部、44…短片、45…突条、46…溝、
50…冷却媒体流路、52…酸化剤ガス排出管、54…燃料ガス供給管、
56…燃料ガス排出管、58…冷却媒体供給管、60…冷却媒体排出管、
70…多孔体、72…平板部、74…突部、76…水流路形成突部、
78,88…水流路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝と前記膜電極接合体間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝を含むとともに上流及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側を下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが平行流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路の上流側及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項4】
前記第1セパレータにおいて、前記冷却媒体流路を形成する上流側の部位は、前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記第1セパレータと第1多孔体間には、該第1多孔体が有する第1連通孔に連通する第1水流路が形成され、前記第1連通孔を介して前記第1水流路に移動した水が、前記酸化剤ガスの流動圧力によって前記第1水流路を流れて排出されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記第2セパレータと第2多孔体間には、該第2多孔体が有する第2連通孔に連通する第2水流路が形成され、
前記第2連通孔を介して前記第2水流路に移動した水が、前記燃料ガスの流動圧力によって前記第2水流路を流れて排出されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項1】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝と前記膜電極接合体間で区画される第2溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが対向流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路は、その上流側が前記第2セパレータに複数併設された第2溝を含むとともに上流及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側を下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
固体高分子電解質膜の両面に電極を配置した膜電極接合体を、第1セパレータ及び第2セパレータ間に配置して、前記膜電極接合体の両面と前記両セパレータ間に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れが平行流となる酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を有した単セルを構成して、前記単セルを複数積層した燃料電池において、
前記酸化剤ガス流路は、その上流側が前記第1セパレータに複数併設された第1溝と前記膜電極接合体間で区画される第1溝流路を備えるとともに下流側にはガス拡散を行う第1多孔体が配置され、前記燃料ガス流路の上流側及び下流側にはガス拡散を行う第2多孔体が配置され、互いに隣接する単セルの第1セパレータと第2セパレータ間には、前記酸化剤ガスの流れと平行流となる冷却媒体が通過する冷却媒体流路が形成されて、前記冷却媒体流路の上流側が下流側よりも前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の部位に近位に位置するように配置されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項4】
前記第1セパレータにおいて、前記冷却媒体流路を形成する上流側の部位は、前記膜電極接合体の酸化剤ガス流路側の面に当接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記第1セパレータと第1多孔体間には、該第1多孔体が有する第1連通孔に連通する第1水流路が形成され、前記第1連通孔を介して前記第1水流路に移動した水が、前記酸化剤ガスの流動圧力によって前記第1水流路を流れて排出されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記第2セパレータと第2多孔体間には、該第2多孔体が有する第2連通孔に連通する第2水流路が形成され、
前記第2連通孔を介して前記第2水流路に移動した水が、前記燃料ガスの流動圧力によって前記第2水流路を流れて排出されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−226914(P2012−226914A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92229(P2011−92229)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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