燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービン
【課題】発生した熱応力に対して冷却ジャケットの健全性を維持することが可能な燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンを提供することを目的とする。
【解決手段】内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部2と、壁部2の外周に環状に設けられ、壁部2の間に冷媒が通過する冷媒通路17を形成する外筒4と、外筒4と壁部2とを接続する複数のリブ16と、を備え、複数のリブ16は、壁部2に向かって末広がりとなる脚部を有し、脚部が壁部2に溶接接続されることを特徴とする。
【解決手段】内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部2と、壁部2の外周に環状に設けられ、壁部2の間に冷媒が通過する冷媒通路17を形成する外筒4と、外筒4と壁部2とを接続する複数のリブ16と、を備え、複数のリブ16は、壁部2に向かって末広がりとなる脚部を有し、脚部が壁部2に溶接接続されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンに関し、特に、冷却ジャケットの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンの燃焼器は、その内部に高温の燃焼ガスが流れるため燃焼器の壁部が高温となる。そのため、燃焼器の壁部には、高温になった壁部を冷却する冷却ジャケットが設けられている(例えば、特許文献1)。この冷却ジャケットと壁部との間には、冷媒通路が形成されており、冷却媒体として蒸気や水が通過することによって壁部を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4134513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃焼器の尾筒(以下、「燃焼器尾筒」という。)に設けられている冷却ジャケットは、高圧の冷媒である蒸気によって冷媒通路内の圧力が高くなり冷却ジャケットが降伏することを防ぐため、低温側である冷却ジャケットと、高温側である燃焼器尾筒の壁部との間にリブが複数設けられている。しかし、高温側の燃焼器尾筒の壁部に溶接によって接続されているリブの端部が高温となり、低温側の冷却ジャケットに接続されているリブの他端部が低温となるため、この温度差によって壁部に接続されているリブの端部に熱応力が発生する。発生した熱応力が高くなった場合には、低サイクル疲労強度が低くなり、リブの端部と壁部とを接続している溶接に亀裂を生じるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載の発明は、熱伸びの吸収を目的として柔構造(ベローズ構造)となっている燃焼器のライナ部にリブを設けるものであり、燃焼器尾筒のように熱伸びの吸収ができない剛構造に用いた場合には、リブと燃焼器尾筒の壁部とを接続している溶接に亀裂を生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、生じた熱応力に対して冷却ジャケットの健全性を維持することが可能な燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部と、該壁部の外周に環状に設けられ、該壁部の間に冷媒が通過する冷媒通路を形成する外筒と、該外筒と前記壁部とを接続する複数のリブと、を備え、複数の該リブは、前記壁部に向かって末広がりとなる脚部を有し、該脚部が前記壁部に溶接接続されることを特徴とする。
【0008】
外筒と壁部との間に複数のリブを設けることによって、冷媒通路を流れる冷媒の圧力によって冷却ジャケットの外筒に作用する一次応力を低減させることができる。そのため、冷却ジャケットが降伏することを防止することができる。しかし、リブの一端である脚部は、燃焼ガスが流れることによって温度が高くなった壁部に接続されており、他端は、低温の外筒に接続されている。そのため、これらの温度差によって、壁部とリブとを接続している脚部の溶接部分には、熱応力が生じる。
【0009】
そこで、壁部に向かって末広がりとなる脚部を有するリブを用いることとした。これにより、脚部の断面積が増加するので、リブの脚部に生じる熱応力を低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善した冷却ジャケットとすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器の冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、複数の前記リブは、前記外筒に向かって末広がりとなる頭部を有することを特徴とする。
【0011】
壁部に向かって末広がりとなる脚部に加えて、外筒に向かって末広がりとなる頭部を有するリブを用いることとした。そのため、壁部に向かって末広がりとなっている脚部だけを有するリブに比べて、リブの形状加工が容易となる。したがって、容易に冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、前記リブは、切り欠き部を該リブの長手方向における中途位置に有することを特徴とする。
【0013】
応力が集中する切り欠き部をリブに設けることとした。これにより、熱応力を切り欠き部に集中させて、リブの脚部に生じる熱応力を緩和することができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善することができる。したがって、一次応力を低減しつつ、冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る燃焼器によれば、上記のいずれかに記載の冷却ジャケットを備えることを特徴とする。
【0015】
燃焼器には、健全性を向上させた冷却ジャケットを設けることとした。そのため、冷却に伴う冷却ジャケットに生じる一次応力を低減させつつ、燃焼器の信頼性を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明に係るガスタービンによれば、上記に記載の燃焼器と、該燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動するタービンと、を備えることを特徴とする。
【0017】
適切に冷却することが可能で、かつ、信頼性を向上させた燃焼器を有するガスタービンを用いることとした。そのため、ガスタービンの運転の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
壁部に向かって末広がりとなる脚部を有するリブを用いることとした。これにより、脚部の断面積が増加するので、リブの脚部に生じる熱応力を低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善した冷却ジャケットとすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器の冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷却ジャケットを備えたガスタービンの燃焼器尾筒の縦断面図である。
【図2】図1に示した冷却ジャケットの拡大図である。
【図3】図2に示した冷却ジャケットを構成するジャケット内上流側の斜視図である。
【図4】図2に示した冷却ジャケットを構成するジャケット内下流側の斜視図である。
【図5】図4に示したリブ部の拡大図である。
【図6】低サイクル疲労強度と温度とのグラフである。
【図7】各温度における熱応力と低サイクル疲労強度とのグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態に係るリブ部の拡大図である。
【図9】図8に示したリブ部を備えたジャケット内下流側の斜視図である。
【図10】図8に示したリブを備えた冷却ジャケットを有する燃焼器尾筒の横断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るリブ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る冷却ジャケットを備えたガスタービンの燃焼器尾筒の縦断面図が示されている。
燃焼器(図示せず)の一部である燃焼器尾筒1を形成する壁部2は、その外周に冷却ジャケット3を備えている。
燃焼器は、ガスタービン(図示せず)を構成するタービン(図示せず)へと導かれる作動流体である燃焼ガスを発生させるものである。燃焼器は、燃料と空気とを燃焼させて燃焼ガスを生成する筒形状のライナ(図示せず)と、ライナにおいて生成された燃焼ガスをタービンへと導く燃焼器尾筒1とを備えている。
【0021】
燃焼器尾筒1には、その外周に環状に設けられている冷却ジャケット3が設けられている。冷却ジャケット3は、燃焼器尾筒1の長手方向の略中央部に設けられている冷却ジャケット(以下、「中間冷却ジャケット」という。)5と、中間冷却ジャケット5の下流側であって燃焼器尾筒1の長手方向の端であり燃焼ガスの出口近傍に設けられているジャケット(以下、「出口側冷却ジャケット」という)6との2個所に設けられている。
【0022】
燃焼器尾筒1は、筒形状をしており、その内部を燃焼ガスが通過する。燃焼ガスが流入する側の燃焼器尾筒1の壁部2の近傍には、下方から燃焼器尾筒1を支持するサポート部30が設けられている。また、燃焼器尾筒1に設けられている出口側冷却ジャケット6の外周には、ガゼット31が接続されている。ガゼット31は、図示しないタービンケーシングに反対端が固定されている。このガゼット31によって、燃焼器尾筒1をタービンケーシングの内壁に固定することができる。
【0023】
中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6は、後述するジャケット部(外筒)とリブ部とによって各々燃焼器尾筒1の壁部2の外周に環状に設けられている。これにより、中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6と、燃焼器尾筒1の壁部2との間には、冷媒通路7が形成されることとなる。冷媒通路7は、中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6と、壁部2との間であって、壁部2の円周方向に渡って形成されている。冷媒通路7には、冷媒である高圧の蒸気が導かれる。冷媒通路7に蒸気が導かれることによって、燃焼器尾筒1の壁部2の壁温度の上昇を防止することができる。
【0024】
図2には、図1に示した出口側冷却ジャケットの拡大図が示されている。
出口側冷却ジャケット6は、ジャケット内上流側8と、ジャケット内下流側9とを有している。
図3には、図2に示した出口側冷却ジャケットのジャケット内上流側の斜視図が示されている。また、図4には、図2に示した出口側冷却ジャケットのジャケット内下流側の斜視図が示されている。
【0025】
ジャケット内上流側8は、前述したジャケット部4の一部を形成している。ジャケット内上流側8は、図2および図3において下方に向かって湾曲形状となっている湾曲部10と、燃焼器尾筒1(図1参照)の壁部2に対して平行となる上流側平行部11とを有している。湾曲部10は、下方に延在している端が壁部2に溶接によって接続されている。上流側平行部11の延在している端は、後述するジャケット内下流側9に溶接によって接続されている。これにより、壁部2と、ジャケット内上流側8との間には、上流側冷媒通路(冷媒通路)12が形成されることになる。
【0026】
ジャケット内下流側9は、燃焼器尾筒1(図2参照)の壁部2に平行で、かつ、ジャケット部4を形成する下流側平行部13と、下流側平行部13から鉛直上方に延在する鉛直部14と、下流側平行部13および鉛直部14の各端部が接合している接合部(図示せず)から斜め下方に向かって延在するリブ部(リブ)16とを有している。
【0027】
下流側平行部13は、鉛直部14と接合している接合部の反対端が壁部2の出口に設けられているフランジ部2aに溶接によって接続されている。鉛直部14は、下流側平行部13と接合している接合部の反対端が前述したガゼット31(図1参照)に溶接によって接続されている。リブ部16は、接合部から壁部2に向かって延在している。これら下流側平行部13と、リブ部16と、フランジ部2aとによって、下流側冷媒通路(冷媒通路)17が形成されることになる。
【0028】
リブ部16は、壁部2の円周方向に複数設けられている。これにより、上流側冷媒通路12から下流側冷媒通路17へと複数の分岐冷媒通路(冷媒通路)18が形成されることとなる。分岐冷媒通路18によって、上流側冷媒通路12に導かれた蒸気は下流側冷媒通路17へと導かれるようになっている。
【0029】
図5には、図4に示したリブ部の拡大図が示されている。
壁部2と出口側冷却ジャケット6(図2参照)の下流側平行部13との間に設けられているリブ部16は、壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aを有している。末広がりの脚部16aは、壁部2に溶接によって接続されている。下流側平行部13に接続されているリブ部16の頭部16bは、リブ部16の延在方向と同じ太さとなっている。
【0030】
図6には、低サイクル疲労強度(LCF強度)と温度との関係を表すグラフが示されている。図6の縦軸には、低サイクル疲労強度を示し、横軸には、温度を示している。
このグラフより、高温の場合には、低サイクル疲労強度が低下し、温度が低くなるにつれて、低サイクル疲労強度が増加することがわかる。
【0031】
図7には、各温度に対する熱応力と低サイクル疲労強度(LCF)との関係を表すグラフが示されている。図7の縦軸には、熱応力を示し、横軸には、低サイクル疲労強度(回数)を示す。図7中に示されている複数の曲線は、各温度を示している。
熱応力σは、リブ部16に作用する引張力と、リブ部16の断面積とから求めることができる。各冷媒通路12、17、18に高圧の蒸気が流入することによってジャケット部4であるジャケット内上流側8と、ジャケット内下流側9の下流側平行部13と、壁部2とには、例えば、50ataの気圧がかかることとなる。ジャケット部4および壁部2に高圧力がかかることによって、リブ部16には、引張力Pが生じることとなる。リブ部16の脚部16aと頭部16bとの太さが同じ場合には、それらの断面積Aが同じであるため、脚部16aおよび頭部16bには、同じ熱応力σ1が生じる。
【0032】
しかし、燃焼ガスが燃焼器尾筒1内を流れることによって、壁部2に溶接によって接続されているリブ部16の脚部16aは、例えば、500℃となる。一方、ジャケット部4に接続されているリブ部16の頭部16bは、例えば、300℃とされる。脚部16aと頭部16bとの間には、温度差があるため、脚部16aの低サイクル疲労強度N1が頭部16bの低サイクル疲労強度N2に比べて低下する。
【0033】
リブ部16の脚部16aを壁部2に向かって末広がりの形状とした場合には、脚部16aの断面積A’が増加する。脚部16aの断面積A’が増加するので、脚部16aの熱応力がσ1からσ2に低下する。脚部16aの熱応力σ2が低下することによって、脚部16aの温度500℃における低サイクル疲労強度がN1からN1’に増加する。
【0034】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
燃焼器尾筒(燃焼器)1の壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aを有するリブ部(リブ)16を用いることとした。これにより、リブ部16の脚部16aの断面積が増加するので、リブ部16の脚部16aに生じる熱応力σを低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブ部16の脚部16aの疲労寿命を改善した冷却ジャケット3とすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器尾筒1の冷却ジャケット3の健全性を向上させることができる。
【0035】
燃焼器尾筒1には、健全性を向上させた冷却ジャケット3を設けることとした。そのため、冷却に伴い冷却ジャケット3に生じる一次応力を低減させつつ、燃焼器の信頼性を向上させることができる。
【0036】
適切に冷却することが可能で、かつ、信頼性を向上させた燃焼器尾筒1を備えている燃焼器をガスタービンに用いることとした。そのため、ガスタービンの運転の信頼性を向上させることができる。
【0037】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、リブの形状が冷却ジャケットに向かって末広がりである点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図8には、本発明の第2実施形態に係るリブ部の拡大図が示されている。図9には、本発明の第2実施形態に係るリブ部を備えたジャケット内下流側の斜視図が示されている。図10には、図8に示したリブ部を備えた下流側冷却ジャケットを有する燃焼器尾筒の横断面図が示されている。
リブ部(リブ)16は、壁部2に向かって末広がりになっている脚部16aと、ジャケット部(外筒)4の一部である下流側平行部13に向かって末広がりとなっている頭部16bとを有している。脚部16aおよび頭部16bが末広がり形状のため、リブ部16は、その長手方向における中央部が窪んだR形状(湾曲形状)とされる。リブ部16は、燃焼器尾筒(燃焼器)1の円周方向に複数設けられているため、燃焼器尾筒1の壁部2とジャケット部4との間には、図10に示すように複数の分岐冷媒通路18が設けられることになる。
【0039】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
燃焼器尾筒(燃焼器)1の壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aに加えて、ジャケット部(外筒)4に向かって末広がりとなる頭部16bを有するリブ部(リブ)16を用いることとした。そのため、壁部2に向かって末広がりとなっている脚部16aだけを有するリブ部16に比べて、リブ部16の形状加工が容易となる。したがって、容易に燃焼器尾筒1の冷却ジャケット3の健全性を向上させることができる。
【0040】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、リブの長手方向における中途位置に切り欠き部を有する点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図11には、本発明の第3実施形態に係るリブ部の拡大図が示されている。
リブ部(リブ)16は、その長手方向における中途位置にU字形状の切り欠き部16cが設けられている。切り欠き部16cは、リブ部16の長手方向を軸として対象となる位置に1つずつ設けられている。
なお、切り欠き部16cの大きさは、集中した熱応力によって亀裂などが生じないものとされる。
【0042】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
応力が集中する切り欠き部16cをリブ部(リブ)16に設けることとした。これにより、熱応力を切り欠き部16cに集中させて、壁部2に溶接によって接続されているリブ部16の脚部16aに生じる熱応力σを緩和することができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブ部16の脚部16aの疲労寿命を改善することができる。したがって、一次応力を低減しつつ、冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、壁部2に向かって末広がりになっている脚部16aを有しているリブ部16として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、末広がり形状の脚部16aに加えてジャケット部(外筒)4である下流側平行部13に向かって末広がりとなっている頭部16bを有するリブ部16に切り欠き部16cを設けることとしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 燃焼器尾筒(燃焼器)
2 壁部
3 冷却ジャケット
4 ジャケット部(外筒)
6 出口側冷却ジャケット(冷却ジャケット)
12 上流側冷媒通路(冷媒通路)
16 リブ部(リブ)
16a 脚部
17 下流側冷媒通路(冷媒通路)
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンに関し、特に、冷却ジャケットの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンの燃焼器は、その内部に高温の燃焼ガスが流れるため燃焼器の壁部が高温となる。そのため、燃焼器の壁部には、高温になった壁部を冷却する冷却ジャケットが設けられている(例えば、特許文献1)。この冷却ジャケットと壁部との間には、冷媒通路が形成されており、冷却媒体として蒸気や水が通過することによって壁部を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4134513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃焼器の尾筒(以下、「燃焼器尾筒」という。)に設けられている冷却ジャケットは、高圧の冷媒である蒸気によって冷媒通路内の圧力が高くなり冷却ジャケットが降伏することを防ぐため、低温側である冷却ジャケットと、高温側である燃焼器尾筒の壁部との間にリブが複数設けられている。しかし、高温側の燃焼器尾筒の壁部に溶接によって接続されているリブの端部が高温となり、低温側の冷却ジャケットに接続されているリブの他端部が低温となるため、この温度差によって壁部に接続されているリブの端部に熱応力が発生する。発生した熱応力が高くなった場合には、低サイクル疲労強度が低くなり、リブの端部と壁部とを接続している溶接に亀裂を生じるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載の発明は、熱伸びの吸収を目的として柔構造(ベローズ構造)となっている燃焼器のライナ部にリブを設けるものであり、燃焼器尾筒のように熱伸びの吸収ができない剛構造に用いた場合には、リブと燃焼器尾筒の壁部とを接続している溶接に亀裂を生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、生じた熱応力に対して冷却ジャケットの健全性を維持することが可能な燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部と、該壁部の外周に環状に設けられ、該壁部の間に冷媒が通過する冷媒通路を形成する外筒と、該外筒と前記壁部とを接続する複数のリブと、を備え、複数の該リブは、前記壁部に向かって末広がりとなる脚部を有し、該脚部が前記壁部に溶接接続されることを特徴とする。
【0008】
外筒と壁部との間に複数のリブを設けることによって、冷媒通路を流れる冷媒の圧力によって冷却ジャケットの外筒に作用する一次応力を低減させることができる。そのため、冷却ジャケットが降伏することを防止することができる。しかし、リブの一端である脚部は、燃焼ガスが流れることによって温度が高くなった壁部に接続されており、他端は、低温の外筒に接続されている。そのため、これらの温度差によって、壁部とリブとを接続している脚部の溶接部分には、熱応力が生じる。
【0009】
そこで、壁部に向かって末広がりとなる脚部を有するリブを用いることとした。これにより、脚部の断面積が増加するので、リブの脚部に生じる熱応力を低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善した冷却ジャケットとすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器の冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、複数の前記リブは、前記外筒に向かって末広がりとなる頭部を有することを特徴とする。
【0011】
壁部に向かって末広がりとなる脚部に加えて、外筒に向かって末広がりとなる頭部を有するリブを用いることとした。そのため、壁部に向かって末広がりとなっている脚部だけを有するリブに比べて、リブの形状加工が容易となる。したがって、容易に冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る燃焼器の冷却ジャケットによれば、前記リブは、切り欠き部を該リブの長手方向における中途位置に有することを特徴とする。
【0013】
応力が集中する切り欠き部をリブに設けることとした。これにより、熱応力を切り欠き部に集中させて、リブの脚部に生じる熱応力を緩和することができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善することができる。したがって、一次応力を低減しつつ、冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る燃焼器によれば、上記のいずれかに記載の冷却ジャケットを備えることを特徴とする。
【0015】
燃焼器には、健全性を向上させた冷却ジャケットを設けることとした。そのため、冷却に伴う冷却ジャケットに生じる一次応力を低減させつつ、燃焼器の信頼性を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明に係るガスタービンによれば、上記に記載の燃焼器と、該燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動するタービンと、を備えることを特徴とする。
【0017】
適切に冷却することが可能で、かつ、信頼性を向上させた燃焼器を有するガスタービンを用いることとした。そのため、ガスタービンの運転の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
壁部に向かって末広がりとなる脚部を有するリブを用いることとした。これにより、脚部の断面積が増加するので、リブの脚部に生じる熱応力を低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブの脚部の疲労寿命を改善した冷却ジャケットとすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器の冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷却ジャケットを備えたガスタービンの燃焼器尾筒の縦断面図である。
【図2】図1に示した冷却ジャケットの拡大図である。
【図3】図2に示した冷却ジャケットを構成するジャケット内上流側の斜視図である。
【図4】図2に示した冷却ジャケットを構成するジャケット内下流側の斜視図である。
【図5】図4に示したリブ部の拡大図である。
【図6】低サイクル疲労強度と温度とのグラフである。
【図7】各温度における熱応力と低サイクル疲労強度とのグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態に係るリブ部の拡大図である。
【図9】図8に示したリブ部を備えたジャケット内下流側の斜視図である。
【図10】図8に示したリブを備えた冷却ジャケットを有する燃焼器尾筒の横断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るリブ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る冷却ジャケットを備えたガスタービンの燃焼器尾筒の縦断面図が示されている。
燃焼器(図示せず)の一部である燃焼器尾筒1を形成する壁部2は、その外周に冷却ジャケット3を備えている。
燃焼器は、ガスタービン(図示せず)を構成するタービン(図示せず)へと導かれる作動流体である燃焼ガスを発生させるものである。燃焼器は、燃料と空気とを燃焼させて燃焼ガスを生成する筒形状のライナ(図示せず)と、ライナにおいて生成された燃焼ガスをタービンへと導く燃焼器尾筒1とを備えている。
【0021】
燃焼器尾筒1には、その外周に環状に設けられている冷却ジャケット3が設けられている。冷却ジャケット3は、燃焼器尾筒1の長手方向の略中央部に設けられている冷却ジャケット(以下、「中間冷却ジャケット」という。)5と、中間冷却ジャケット5の下流側であって燃焼器尾筒1の長手方向の端であり燃焼ガスの出口近傍に設けられているジャケット(以下、「出口側冷却ジャケット」という)6との2個所に設けられている。
【0022】
燃焼器尾筒1は、筒形状をしており、その内部を燃焼ガスが通過する。燃焼ガスが流入する側の燃焼器尾筒1の壁部2の近傍には、下方から燃焼器尾筒1を支持するサポート部30が設けられている。また、燃焼器尾筒1に設けられている出口側冷却ジャケット6の外周には、ガゼット31が接続されている。ガゼット31は、図示しないタービンケーシングに反対端が固定されている。このガゼット31によって、燃焼器尾筒1をタービンケーシングの内壁に固定することができる。
【0023】
中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6は、後述するジャケット部(外筒)とリブ部とによって各々燃焼器尾筒1の壁部2の外周に環状に設けられている。これにより、中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6と、燃焼器尾筒1の壁部2との間には、冷媒通路7が形成されることとなる。冷媒通路7は、中間冷却ジャケット5および出口側冷却ジャケット6と、壁部2との間であって、壁部2の円周方向に渡って形成されている。冷媒通路7には、冷媒である高圧の蒸気が導かれる。冷媒通路7に蒸気が導かれることによって、燃焼器尾筒1の壁部2の壁温度の上昇を防止することができる。
【0024】
図2には、図1に示した出口側冷却ジャケットの拡大図が示されている。
出口側冷却ジャケット6は、ジャケット内上流側8と、ジャケット内下流側9とを有している。
図3には、図2に示した出口側冷却ジャケットのジャケット内上流側の斜視図が示されている。また、図4には、図2に示した出口側冷却ジャケットのジャケット内下流側の斜視図が示されている。
【0025】
ジャケット内上流側8は、前述したジャケット部4の一部を形成している。ジャケット内上流側8は、図2および図3において下方に向かって湾曲形状となっている湾曲部10と、燃焼器尾筒1(図1参照)の壁部2に対して平行となる上流側平行部11とを有している。湾曲部10は、下方に延在している端が壁部2に溶接によって接続されている。上流側平行部11の延在している端は、後述するジャケット内下流側9に溶接によって接続されている。これにより、壁部2と、ジャケット内上流側8との間には、上流側冷媒通路(冷媒通路)12が形成されることになる。
【0026】
ジャケット内下流側9は、燃焼器尾筒1(図2参照)の壁部2に平行で、かつ、ジャケット部4を形成する下流側平行部13と、下流側平行部13から鉛直上方に延在する鉛直部14と、下流側平行部13および鉛直部14の各端部が接合している接合部(図示せず)から斜め下方に向かって延在するリブ部(リブ)16とを有している。
【0027】
下流側平行部13は、鉛直部14と接合している接合部の反対端が壁部2の出口に設けられているフランジ部2aに溶接によって接続されている。鉛直部14は、下流側平行部13と接合している接合部の反対端が前述したガゼット31(図1参照)に溶接によって接続されている。リブ部16は、接合部から壁部2に向かって延在している。これら下流側平行部13と、リブ部16と、フランジ部2aとによって、下流側冷媒通路(冷媒通路)17が形成されることになる。
【0028】
リブ部16は、壁部2の円周方向に複数設けられている。これにより、上流側冷媒通路12から下流側冷媒通路17へと複数の分岐冷媒通路(冷媒通路)18が形成されることとなる。分岐冷媒通路18によって、上流側冷媒通路12に導かれた蒸気は下流側冷媒通路17へと導かれるようになっている。
【0029】
図5には、図4に示したリブ部の拡大図が示されている。
壁部2と出口側冷却ジャケット6(図2参照)の下流側平行部13との間に設けられているリブ部16は、壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aを有している。末広がりの脚部16aは、壁部2に溶接によって接続されている。下流側平行部13に接続されているリブ部16の頭部16bは、リブ部16の延在方向と同じ太さとなっている。
【0030】
図6には、低サイクル疲労強度(LCF強度)と温度との関係を表すグラフが示されている。図6の縦軸には、低サイクル疲労強度を示し、横軸には、温度を示している。
このグラフより、高温の場合には、低サイクル疲労強度が低下し、温度が低くなるにつれて、低サイクル疲労強度が増加することがわかる。
【0031】
図7には、各温度に対する熱応力と低サイクル疲労強度(LCF)との関係を表すグラフが示されている。図7の縦軸には、熱応力を示し、横軸には、低サイクル疲労強度(回数)を示す。図7中に示されている複数の曲線は、各温度を示している。
熱応力σは、リブ部16に作用する引張力と、リブ部16の断面積とから求めることができる。各冷媒通路12、17、18に高圧の蒸気が流入することによってジャケット部4であるジャケット内上流側8と、ジャケット内下流側9の下流側平行部13と、壁部2とには、例えば、50ataの気圧がかかることとなる。ジャケット部4および壁部2に高圧力がかかることによって、リブ部16には、引張力Pが生じることとなる。リブ部16の脚部16aと頭部16bとの太さが同じ場合には、それらの断面積Aが同じであるため、脚部16aおよび頭部16bには、同じ熱応力σ1が生じる。
【0032】
しかし、燃焼ガスが燃焼器尾筒1内を流れることによって、壁部2に溶接によって接続されているリブ部16の脚部16aは、例えば、500℃となる。一方、ジャケット部4に接続されているリブ部16の頭部16bは、例えば、300℃とされる。脚部16aと頭部16bとの間には、温度差があるため、脚部16aの低サイクル疲労強度N1が頭部16bの低サイクル疲労強度N2に比べて低下する。
【0033】
リブ部16の脚部16aを壁部2に向かって末広がりの形状とした場合には、脚部16aの断面積A’が増加する。脚部16aの断面積A’が増加するので、脚部16aの熱応力がσ1からσ2に低下する。脚部16aの熱応力σ2が低下することによって、脚部16aの温度500℃における低サイクル疲労強度がN1からN1’に増加する。
【0034】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
燃焼器尾筒(燃焼器)1の壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aを有するリブ部(リブ)16を用いることとした。これにより、リブ部16の脚部16aの断面積が増加するので、リブ部16の脚部16aに生じる熱応力σを低減させることができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブ部16の脚部16aの疲労寿命を改善した冷却ジャケット3とすることができる。したがって、一次応力を低減しつつ、燃焼器尾筒1の冷却ジャケット3の健全性を向上させることができる。
【0035】
燃焼器尾筒1には、健全性を向上させた冷却ジャケット3を設けることとした。そのため、冷却に伴い冷却ジャケット3に生じる一次応力を低減させつつ、燃焼器の信頼性を向上させることができる。
【0036】
適切に冷却することが可能で、かつ、信頼性を向上させた燃焼器尾筒1を備えている燃焼器をガスタービンに用いることとした。そのため、ガスタービンの運転の信頼性を向上させることができる。
【0037】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、リブの形状が冷却ジャケットに向かって末広がりである点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図8には、本発明の第2実施形態に係るリブ部の拡大図が示されている。図9には、本発明の第2実施形態に係るリブ部を備えたジャケット内下流側の斜視図が示されている。図10には、図8に示したリブ部を備えた下流側冷却ジャケットを有する燃焼器尾筒の横断面図が示されている。
リブ部(リブ)16は、壁部2に向かって末広がりになっている脚部16aと、ジャケット部(外筒)4の一部である下流側平行部13に向かって末広がりとなっている頭部16bとを有している。脚部16aおよび頭部16bが末広がり形状のため、リブ部16は、その長手方向における中央部が窪んだR形状(湾曲形状)とされる。リブ部16は、燃焼器尾筒(燃焼器)1の円周方向に複数設けられているため、燃焼器尾筒1の壁部2とジャケット部4との間には、図10に示すように複数の分岐冷媒通路18が設けられることになる。
【0039】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
燃焼器尾筒(燃焼器)1の壁部2に向かって末広がりとなる脚部16aに加えて、ジャケット部(外筒)4に向かって末広がりとなる頭部16bを有するリブ部(リブ)16を用いることとした。そのため、壁部2に向かって末広がりとなっている脚部16aだけを有するリブ部16に比べて、リブ部16の形状加工が容易となる。したがって、容易に燃焼器尾筒1の冷却ジャケット3の健全性を向上させることができる。
【0040】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンは、リブの長手方向における中途位置に切り欠き部を有する点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図11には、本発明の第3実施形態に係るリブ部の拡大図が示されている。
リブ部(リブ)16は、その長手方向における中途位置にU字形状の切り欠き部16cが設けられている。切り欠き部16cは、リブ部16の長手方向を軸として対象となる位置に1つずつ設けられている。
なお、切り欠き部16cの大きさは、集中した熱応力によって亀裂などが生じないものとされる。
【0042】
以上の通り、本実施形態に係る燃焼器の冷却ジャケット、これを備えた燃焼器およびこれを備えたガスタービンによれば、以下の作用効果を奏する。
応力が集中する切り欠き部16cをリブ部(リブ)16に設けることとした。これにより、熱応力を切り欠き部16cに集中させて、壁部2に溶接によって接続されているリブ部16の脚部16aに生じる熱応力σを緩和することができる。そのため、低サイクル疲労強度によるリブ部16の脚部16aの疲労寿命を改善することができる。したがって、一次応力を低減しつつ、冷却ジャケットの健全性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、壁部2に向かって末広がりになっている脚部16aを有しているリブ部16として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、末広がり形状の脚部16aに加えてジャケット部(外筒)4である下流側平行部13に向かって末広がりとなっている頭部16bを有するリブ部16に切り欠き部16cを設けることとしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 燃焼器尾筒(燃焼器)
2 壁部
3 冷却ジャケット
4 ジャケット部(外筒)
6 出口側冷却ジャケット(冷却ジャケット)
12 上流側冷媒通路(冷媒通路)
16 リブ部(リブ)
16a 脚部
17 下流側冷媒通路(冷媒通路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部と、
該壁部の外周に環状に設けられ、該壁部の間に冷媒が通過する冷媒通路を形成する外筒と、
該外筒と前記壁部とを接続する複数のリブと、を備え、
複数の該リブは、前記壁部に向かって末広がりとなる脚部を有し、該脚部が前記壁部に溶接接続される燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項2】
複数の前記リブは、前記外筒に向かって末広がりとなる頭部を有する請求項1に記載の燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項3】
前記リブは、切り欠き部を該リブの長手方向における中途位置に有する請求項1または請求項2に記載の燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷却ジャケットを備えた燃焼器。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼器と、
該燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動するタービンと、を備えたガスタービン。
【請求項1】
内部に燃焼ガスが流れる筒状の壁部と、
該壁部の外周に環状に設けられ、該壁部の間に冷媒が通過する冷媒通路を形成する外筒と、
該外筒と前記壁部とを接続する複数のリブと、を備え、
複数の該リブは、前記壁部に向かって末広がりとなる脚部を有し、該脚部が前記壁部に溶接接続される燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項2】
複数の前記リブは、前記外筒に向かって末広がりとなる頭部を有する請求項1に記載の燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項3】
前記リブは、切り欠き部を該リブの長手方向における中途位置に有する請求項1または請求項2に記載の燃焼器の冷却ジャケット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷却ジャケットを備えた燃焼器。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼器と、
該燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機と、
前記燃焼器からの燃焼ガスによって回転駆動するタービンと、を備えたガスタービン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−190717(P2011−190717A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56084(P2010−56084)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
[ Back to top ]