説明

燃焼機器の燃焼制御装置

【課題】機器内部へのススの付着を防止すると共に、最大燃焼ステップにおけるエネルギー消費効率を高めることのできる燃焼制御装置を提供する。
【解決手段】バーナー16に燃料と燃焼空気を供給する燃料供給手段17と燃焼用空気供給手段18と、燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段25と、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比率を所定値に設定した燃焼ステップを複数段備え、これら燃焼ステップを決定する制御信号に応じて燃焼ステップを制御する制御手段20とを有し、最大燃焼ステップの空気過剰率設定を、最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップでの空気過剰率に比べて低く設定すると共に、最大燃焼ステップにおいて燃焼状態検知手段25からの検知信号が閾値を下回ったときは、制御対象からの要求が最大燃焼ステップであっても一つ下の燃焼ステップへ移行するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用空気と気体燃料または気化した液体燃料とを所定の空燃比で燃焼させる燃焼機器における燃焼制御装置に係り、特に、燃焼排ガスを屋外に排出する密閉燃焼式機器および半密閉燃焼式機器の燃焼制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼制御装置に、バーナーと、このバーナーにガスを供給するガス供給手段と、バーナーに供給するガス量を可変するためガス供給手段に設けられるガス量可変手段と、バーナーに燃焼用空気を供給する空気供給手段と、バーナーに供給する燃焼用空気量を可変するため前記空気供給手段に設けられる空気量可変手段と、ガス量可変手段により可変されたガス量に応じて空気量可変手段により可変される空気量を制御する燃焼制御手段と、バーナーの燃焼状態を検知するバーナー燃焼状態検知手段と、バーナー燃焼状態検知手段からの検知信号が所定の閾値以下になったときガス量と空気量との空燃比を変更する空燃比変更手段とを備えたものがある。
【0003】
そして、上記の空燃比変更手段の具体的方法としては、通常時の空燃比制御線(L0)のバーナー能力最小時と最大時のファン設定回転数(N1,N2)を、酸欠等による燃焼不良が生じたときそれぞれ(N1′,N2′)とすることで、空燃比制御線(L1)に変更するようにしている。
また、同時に、上記空燃比変更手段は、上記燃焼制御手段により制御されるガス量に対する空気量を増加させるように空燃比を変更するものと、空気量を変えずにガス量を低減させることにより空燃比を変更するものが示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−35341号公報(第4−6頁、図1−11)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の省エネルギー政策の推進により、機器のエネルギー消費効率を高めることが望まれている。密閉燃焼式機器および半密閉燃焼式機器などのように屋外に排出される燃焼排ガスの保有するエネルギーを低減することが要求される機器においては、燃焼排ガスの流量が少なくなるほどエネルギー消費効率は高くなり、所定の燃料供給量に対して燃焼用空気供給量を少なく設定することが有効であることは周知である。しかし燃焼用空気量が所定量を下回るとススが発生し、燃焼機器内部への付着により不具合が生じるため、空燃比の設定には限界があった。
【0006】
特許文献1の技術によれば、ススが発生する燃焼状態におけるバーナー燃焼状態検知手段からの検知信号を閾値と比較して、通常時の空燃比制御線から燃焼不良発生時の空燃比制御線へ変更することでスス付着を防止することもできるが、特許文献1に開示されている内容は、燃焼用空気の不足あるいは燃焼用空気として供給される空気中の酸素濃度の低下(酸欠状態)を補正するための燃焼用空気供給手段の回転数増加制御を示しており、通常時の空燃比制御線と燃焼不良発生時の空燃比制御線の2種の制御線を設定することが必要であって、制御が複雑になるという問題があった。
また、燃焼用空気供給手段のファンの回転数を増加させる制御においては、その制御要求を満たすために能力の大きなモーターが必要となることや、このような制御の結果として運転音が増大するという問題があった。
【0007】
一方、機器のエネルギー消費効率を高めようとすると、密閉燃焼式機器および半密閉燃焼式機器などの熱交換器の熱交換性能を高めて熱交換量を増すことが必要であるが、熱交換性能を高めようとして熱伝達率の改善や伝熱面積の増加をすると、一般的には燃焼ガス流路の圧力損失が増大する傾向があり、所要の燃焼用空気量を得るためには能力の大きな燃焼用空気供給手段が必要となり、機器全体が従来より大型化するという問題や、運転音および消費電力が増大するという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、簡単な制御により運転音や消費電力が増大したり燃焼用空気供給手段や機器を大型化することなく、機器内部へのススの付着を防止すると共に、最大燃焼ステップにおけるエネルギー消費効率を高めることのできる燃焼機器の燃焼制御装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る燃焼機器の燃焼制御装置は、バーナーと、該バーナーに燃料を供給する燃料供給手段と、前記バーナーに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段と、前記バーナーの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段と、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比率を所定値に設定した燃焼ステップを複数段備え、これら燃焼ステップを決定する制御信号に応じて前記燃焼ステップを制御する制御手段とを備え、前記燃焼ステップの最大燃焼ステップの燃焼用空気の空気過剰率設定を、前記最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップで供給する燃焼用空気の空気過剰率に比べて低く設定すると共に、前記最大燃焼ステップにおいて前記燃焼状態検知手段からの検知信号と比較する閾値を設け、前記検知信号が該閾値を下回ったときは、制御対象からの要求が最大燃焼ステップであっても一つ下の燃焼ステップへ移行するように制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な制御により運転音や消費電力が増大したり燃焼用空気供給手段および機器を大型化することなく、燃焼機器内部へのススの付着を防止すると共に、最大燃焼ステップにおけるエネルギー消費効率を高めることができ、快適な使用感が得られる燃焼機器の燃焼制御装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は本発明を実施する燃焼機器の一例を示す密閉式の石油ストーブの説明図である。
図1において、室内に設置された本体1の背面上部には室内空気取込口2が、また前面下部には温風吹出口3が設けられており、室内空気取込口2と温風吹出口3を連通するように風路4が形成されている。そして、室内空気取込口2には塵埃等の侵入を防止するフィルター5が配設され、また、風路4内には、室内空気取込口2から温風吹出口3へ向う空気の流れを発生するための対流ファン6が設けられている。
【0012】
また、本体1内には、燃料供給手段である電磁ポンプ17によって送られた燃料を気化し、燃焼ファン18により室外に設けた給気口8から取込まれた空気と混合して燃焼を行うバーナー16が設けられており、このバーナー16と電磁ポンプ17とにより燃焼手段を構成している。25はバーナー16で形成された火炎に挿設され、バーナー16の燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段であるフレームロッドである。
バーナー16の上部には、バーナー16で発生した燃焼排ガスにより風路4を流れる空気を加熱する熱交換器19が設けられており、この熱交換器19は、排気接続部材24により本体排気口15と接続されている。
【0013】
給排気筒トップ7は室内外を隔てる壁に穴をあけて取付けられており、給気口8と連通する給気接続部9と燃焼ファン18に連通する本体給気口11とは給気ホース10により接続されて燃焼用空気供給手段を構成しており、また、排気口12と連通する排気接続部13と本体排気口15とは排気管14により接続されている。
また、本体1の背面下部には機器の周囲温度を検知する室温センサー22が配設されており、熱交換器19と本体排気口15を接続する排気接続部材24には、排気接続部材24の温度を検知する温度センサー23が取付けられている。なお、21は本体1の上面に設けられた操作・表示部である。
【0014】
本体1の下部に設けた制御手段である制御回路20は、操作・表示部21で設定された設定温度と、室温センサー22によって検知された温度(以下、周囲温度という)との差によって後述の燃焼ステップを決定し、この燃焼ステップに基づいた指令信号により電磁ポンプ17及び燃焼ファン18を制御し、排気接続部材24に取付けた温度センサー23によって検知された温度に基づいて対流ファン6を制御して、フレームロッド25からの検知信号(以下、炎電流値という)と、予め設定した閾値との比較を行っている。なお、操作・表示部21は本体1の他の部位に設けてもよく、また、室温センサー22は他の部位あるいは任意の位置に移動しうるようにしてもよい。
【0015】
次に、本実施の形態の作用を説明する前に、図2により、燃焼量を多段階に可変にすること、および燃焼を停止することを組合わせて燃焼量制御を行う密閉燃焼式ストーブの全体的な燃焼量制御について説明する。
【0016】
燃焼機器の室温制御は、一般的に設定温度と室温検知温度との偏差に基づいて段階的に燃焼量制御を行う(以下、燃焼量制御の各段階を燃焼ステップという)。
図2は、例えば最大燃焼ステップが7で、最小燃焼ステップが1という7段階の制御が設けられている場合の、設定温度と室温検知温度との偏差と、燃焼ステップとの関係を示すものである。
【0017】
室温が低い状態から運転を開始すると、設定温度と周囲温度との偏差が大きいため、図2に示すように、最大燃焼ステップ(燃焼ステップ7)で運転を行う。そして、例えば、偏差が−1.0℃になると燃焼ステップ6に切り替わり、偏差が−0.5℃になると燃焼ステップ5に切り替わる。偏差が0になると燃焼ステップは5から4に切り替る。
【0018】
燃焼ステップ4で燃焼を継続したときに周囲温度(室温)の上昇が無くなれば、設定温度と周囲温度が一致した状態でバランスすることになるが、燃焼ステップ4で燃焼してもなお室温が上昇すると、設定温度よりも周囲温度が0.5℃高くなるごとに燃焼ステップが低いステップに切り替り、2℃高くなったときに燃焼を停止する。
このように、暖房負荷(部屋を設定温度に維持するのに必要なエネルギー)と燃焼とにより部屋に放出されるエネルギーがバランスするポイントで燃焼を行って、設定温度前後の温度が維持される。
【0019】
次に、本実施の形態に係る密閉燃焼式ストーブの作用を、図1を用いて説明する。
先ず、操作・表示部21により電源をONし、所望の温度を設定して運転を開始する。これにより、風路4内に設けられたバーナー16が電磁ポンプ17によって送られた燃料を気化し、燃焼ファン18により、給気口8から給気ホース10、本体給気口11を介して取込まれた空気と混合して燃焼し、燃焼排ガスを発生する。そして、発生した排ガスは、熱交換器19、排気接続部24、本体排気口15、排気管14を介して排気口12から室外へ放出される。
一方、燃焼排ガスの熱により、熱交換器19が温度上昇したことを排気接続部材24に設けた温度センサー23が検知すると、対流ファン6が回転を開始して室内空気取込口2から空気を吸い込み、風路4内に温風吹出口3に向う空気を送り込み、温風吹出口3から室内に温風を吹出す。
【0020】
このとき、電磁ポンプ17、燃焼ファン18は、制御回路20により、操作・表示部21に設定された設定温度と、本体1の背面に設けた室温センサー22で検知された室温(周囲温度)とに基づいて制御され、対流ファン6は、排気接続部材24に取付けた温度センサー23で検知された温度にしたがって制御される。
【0021】
次に、図2で説明した各燃焼ステップにおける燃料(灯油)供給量と燃焼用空気供給量の設定値およびバラツキ範囲について、図3を用いて説明する。
図3は横軸に燃焼用空気供給量を、縦軸に灯油供給量を表わす。図に示すように、灯油供給量に対して燃焼用空気供給量を減少させてゆくとススが発生し始める。これをスス発生ラインとして示し、さらに燃焼用空気供給量が減少した領域をスス発生領域とした。スス発生領域には燃焼状態が不完全燃焼となり始めるポイントがあり、これを不完全燃焼ラインとして示した。
【0022】
一方、灯油供給量に対して燃焼用空気供給量が増加してゆくと、バーナー16から火炎がリフトして不完全燃焼が発生し始める。これをリフトラインとして示し、さらに燃焼用空気量が増加した領域をリフト領域とした。したがって、スス発生ラインとリフトラインとの間が良好な燃焼が得られる領域である。
各燃焼ステップにおける灯油供給量と燃焼用空気供給量の設定値を結ぶ線を、燃焼ステップ設定ラインとして示す。燃焼ステップ1から6までは、灯油供給量に対して一定の傾きをもって、ほぼ直線的に燃焼用空気供給量が変化するように各燃焼ステップが設定されるが、最大燃焼ステップ7は、他の燃焼ステップに比べて空気過剰率を低めに設定している。ここで、空気過剰率とは、バーナーに供給される実際の燃焼用空気の量と、燃料の理論燃焼空気量との比を表わす指標であり、バーナーに供給される燃料を燃焼させるのに理論的に必要な空気量に対する倍率で表わされる。
【0023】
このような燃焼機器においては、灯油供給量、燃焼用空気供給量ともに設定値に対してバラツキが生じる。
灯油供給量のバラツキが発生する要因としては、燃料の粘性などの物性値のバラツキ、電磁ポンプ17などの部品の性能のバラツキ、機器の設置場所の標高や気象変化を原因とする気温の変動などが挙げられる。
また、燃焼用空気供給量のバラツキが発生する要因としては、機器の設置場所の標高に起因する気温および大気圧のバラツキ、気象変化に起因する気温および大気圧のバラツキ、燃焼ファン18などの送風性能のバラツキ、電源電圧変動などを含めた制御性能のバラツキ、機器設置時の標高条件や給排気管の長さ条件の設定誤りなどがある。
【0024】
上記のような要因を考慮した設定値に対するバラツキ範囲を、燃焼ステップ1,6,7について示した。
燃焼ステップ7のバラツキ範囲は、一部がスス発生領域に入っている。前述のバラツキの要因が重なり、スス発生領域で燃焼を継続すると、バーナー16等の機器内部にススが付着して、最終的には機器の故障が発生することになる。このような事態の発生を防止するために、燃焼ステップ7のスス発生ラインにおける燃焼状態の燃焼状態検知手段からの検知信号を閾値(以下、スス発生閾値という)として、燃焼ステップ7のときに、燃焼状態検知手段からの検知信号がスス発生閾値を下回った場合は燃焼ステップ6へ移行し、良好な燃焼が得られる領域で燃焼を継続する。
【0025】
次に、図4に示すフローチャートにより詳細な制御作用を説明する。
操作・表示部21により電源をONし、所望の温度を設定して運転を開始すると、室温センサー22が検知した周囲温度と、操作・表示部21で設定された設定温度とにより(周囲温度)−(設定温度)が計算され、その偏差が+2℃未満か否かが判断される(ステップ1−S1と記す。以下同様)。
結果がNOの場合は、燃焼を停止したままS1が繰り返えされる。YESの場合は、燃焼中か否かが判断され(S2)、NOの場合は燃焼を開始する(S3)。
【0026】
その後は燃焼ステップを決定する制御回路20からの制御信号の指令に応じた燃焼ステップで燃焼を行う(S4)。
燃焼中に最大燃焼ステップか否かが判断され(S5)、NOの場合はS1に戻る。YESの場合にはフレームロッド25で検知された炎電流値がスス発生閾値以上か否かが判断され(S6)、YESの場合はS1に戻る。NOの場合は、一つ下の燃焼ステップに移行するように制御してS1に戻る。なお、上記の説明にあたっては、他の安全装置の作用については説明を省略した。
【0027】
最大燃焼ステップから一つ下の燃焼ステップへ移行した後は、設定温度と周囲温度の条件によって、再び最大燃焼ステップを使用してもよい。また、最大燃焼ステップから一つ下の燃焼ステップへ一度移行した場合は、例えば運転スイッチをOFFするまでは、再び最大燃焼ステップを使用しないようにしてもよい。なお、上記フローチャートのS1において、(周囲温度)−(設定温度)によって判断する値を+2℃未満としたが、他の値であってもよい。
【0028】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態においては、最大燃焼ステップにおいて、フレームロッド25で検知した炎電流値がスス発生閾値を下回った場合には、一つ下の燃焼ステップへ移行するように制御することにより、最大燃焼ステップの空気過剰率設定を他の燃焼ステップに比べて低く設定してもススの発生を回避することができ、ススが機器内部に付着して機器が故障するのを防止すると共に、機器の最大燃焼ステップにおけるエネルギー消費効率を向上することができる。
【0029】
また、最大燃焼ステップの燃焼用空気供給量の設定を、このような制御をしない場合に比べて少なくできることにより、燃焼ファンの回転数を増したり、より能力の大きな燃焼ファンを採用したりする必要もないので、運転音や消費電力が増大するのを防止することができる。
なお、最大燃焼ステップで炎電流値がスス発生閾値以下となる領域は、前述した灯油供給量のバラツキと、燃焼用空気供給量のバラツキが重なった領域の最悪側で発生する現象であり、統計的にきわめて少ない確率で発生するため、このような条件において最大燃焼ステップから一つ下の燃焼ステップへ移行することは、きわめて稀にしか発生しない。
【0030】
[実施の形態2]
本実施の形態は、最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの燃料(灯油)供給量を、最大燃焼ステップの燃料供給量の90%以上に設定したもので、このように構成したのは、この種の機器においては、JISの性能規格などから、一般的に灯油供給量のバラツキは、設定値に対して±10%程度に納まるように考慮されているためである。
【0031】
このように最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの灯油供給量を、最大燃焼ステップの灯油供給量の90%以上とした場合、最大燃焼ステップにおいてスス発生閾値以下となるようなバラツキの限界ポイント付近で燃焼しているのは、図5に示すように、灯油供給量が+方向の限界値側であり、この燃焼ステップを一つ下へ移行したときの灯油供給量は、最大燃焼ステップの灯油供給量の中心値とさほど違わないことになり、期待される能力がほぼ発揮できると同時に、良好な燃焼状態が得られる領域で燃焼を継続することができる。
【0032】
本実施の形態によれば、最大燃焼ステップの一つ下の燃焼ステップの燃料供給量を、最大燃焼ステップの燃料供給量の90%以上とし、このような制御を行うことにより期待される能力を損うことなく、ススが機器内部に付着して機器が故障するのを防止できると共に、エネルギー消費効率を高めることができる。
【0033】
[実施の形態3]
本実施の形態は、図6に示すように、最大燃焼ステップの際に供給する燃焼用空気供給量と、一つ下の燃焼ステップで供給する燃焼用空気供給量をほぼ同量に設定したものである。
このような設定とすることにより、炎電流値がスス発生閾値を下回って一つ下の燃焼ステップへ移行した場合であっても、燃焼ファン18の回転数が変化せず、運転音がほとんど発生しない快適な使用感を得ることができる。
【0034】
以上本発明について説明したが、なお、付言すれば、本発明は、特許文献1の発明とは次の点で相違し、前述の効果を得ることができたのである。
(1)燃料供給量と燃焼用空気供給量の設定は、あらかじめ設定した1種類だけしか存在しない。
(2)最大燃焼ステップの空気過剰率の設定を他の燃焼ステップに比べて低く設定し、バラツキが原因でスス発生燃焼となるような場合を、最大燃焼ステップで代表して検出するようにした。
(3)ススの付着を回避するために、燃焼ファンの回転を増加する制御を行っていない。
(4)あらかじめ空気過剰率の設定を変えて設定した複数の燃焼ステップを有し、その燃焼ステップを移行する制御を行うようにした。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を実施する燃焼機器の一例を示す密閉式の石油ストーブの説明図である。
【図2】実施の形態1の多段階の燃焼量制御の説明図である。
【図3】実施の形態1の各燃焼ステップにおける燃料(灯油)供給量と燃焼用空気供給量のバラツキ範囲の説明図である。
【図4】実施の形態1の作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る各燃焼ステップにおける燃料供給量と燃焼用空気供給量のバラツキ範囲の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る各燃焼ステップにおける燃料供給量と燃焼用空気供給量のバラツキ範囲の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 本体、2 室内空気取込口、3 温風吹出口、4 風路、6 対流ファン、8 給気口、11 本体給気口、12 排気口、16 バーナー、17 電磁ポンプ、18 燃焼ファン、19 熱交換器、20 制御回路、21 操作・表示部、22 室温センサー、23 温度センサー、25 フレームロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーと、該バーナーに燃料を供給する燃料供給手段と、前記バーナーに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段と、前記バーナーの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段と、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比率を所定値に設定した燃焼ステップを複数段備え、これら燃焼ステップを決定する制御信号に応じて前記燃焼ステップを制御する制御手段とを備え、
前記燃焼ステップの最大燃焼ステップの燃焼用空気の空気過剰率設定を、該最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップで供給する燃焼用空気の空気過剰率に比べて低く設定すると共に、前記最大燃焼ステップにおいて前記燃焼状態検知手段からの検知信号と比較する閾値を設け、前記検知信号が該閾値を下回ったときは、制御対象からの要求が最大燃焼ステップであっても一つ下の燃焼ステップへ移行するように制御することを特徴とする燃焼機器の燃焼制御装置。
【請求項2】
前記最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの燃料供給量を、前記最大燃焼ステップの燃料供給量の90%以上としたことを特徴とする請求項1記載の燃焼機器の燃焼制御装置。
【請求項3】
前記最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの燃焼用空気供給量を、前記最大燃焼ステップの燃焼用空気供給量とほぼ同量になるように設定したことを特徴とする請求項1記載の燃焼機器の燃焼制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−38374(P2006−38374A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221308(P2004−221308)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】