説明

燃焼機器

【課題】本発明は、壁貫通釜本体1の寸法の制約に対応しつつ、排気室8の内部における排気ガス温度の放熱による低下を抑制し、高効率な二次熱交換器9を有する燃焼機器を提供することを目的とする。また、壁貫通釜本体1の寸法の制約から、二次熱交換器9を排気室8内部へ設置した場合でも、排気圧損の低減化を図った排気室8を有する燃焼機器を提供することを目的とする。さらには、単独で追焚運転を行う時でも、排気ガスによる二次熱交換器9への加熱を排除し、出湯温度の異常が生じない、使い勝手のよい給湯機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、本発明は、追焚熱交換器と、給湯熱交換器と、上記追焚熱交換器および給湯熱交換器へ同時送風するファンを備え、上記追焚熱交換器を通過した排気ガスと、給湯熱交換器を追加した排気ガスを独立した流路で排気する燃焼機器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトで熱効率を向上させた潜熱回収型の燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
追焚機能付給湯器の一種で、主に集合住宅用に設置され、浴槽横に設置されるバランス式ふろ釜(以下、「BF釜」と言う。)は、浴室内に設置スペースが必要で、その分浴槽スペースが狭くなる。このため、このBF釜の取替え用として、浴室壁面に開口されたBF釜の給排気筒設置部にBF釜の機能を全て移管し、従来BF釜が存在したスペースを空き空間とすることにより、浴槽が大きくできるといった浴室リフォーム商品が開発されている。このような風呂釜は、壁貫通型の追焚機能付給湯器(以下、「壁貫通釜」と言う。)と言われている。
【0003】
従来の壁貫通釜の第1の例を図15に示す。壁貫通釜本体1には上述したような設置形態の独自性から本体寸法の制約が大きい。このため、給湯および追焚ともに共通の送風ファン2にて空気の供給を受け、排気室8についても給湯熱交換器5および追焚熱交換器7を通過した排気ガスを、一体型の排気室8にて排気することにより、壁貫通釜本体1のコンパクト化を図った構成となっている(特許文献1)。
【0004】
このような一体型の排気室8の斜視図を図16に、そのA−A断面図を図17に示す。給湯燃焼部4を単独で燃焼した場合は、給湯熱交換器5を通過した最大約200℃の排気ガスと、追焚熱交換器7を通過した冷たい外気(空気)が排気室8内にて混合し放熱するため、排気口39付近での排気ガス温度は低下する。また、温度低下は排気ガス温度が低い燃焼条件になればなるほど顕著になる。さらには追焚燃焼部6を単独で燃焼した場合においても同様の現象が発生する。
【0005】
従来の壁貫通釜の第2の例を図18に示す。1つの燃焼部20が、給湯燃焼部と追焚燃焼部を兼ねており、給湯機能と追焚機能を有している。したがって、送風ファン2、燃焼部20、二次熱交換器9、排気室8は、何れも1つであるという構成をとっている。
【0006】
図18において、まず、給湯運転時においては、水は、排気ガスの熱により二次熱交換器9を用いた潜熱回収で加熱され、次に、燃焼部20の燃焼熱により給湯熱交換器5を用いて加熱された後、給湯水栓へと流れる。また、排気ガスは、水の流れとは逆で、燃焼部20で発生した排気ガスは、まず給湯熱交換器5を加熱し、次に排気室8を経て二次熱交換器9を加熱した後、排気される。
また、追焚運転時においては、水は、燃焼部20の燃焼熱により追焚熱交換器7を用いて加熱された後、浴槽へと流れる。つまり、二次熱交換器9は使用しない。一方、上述したように、送風ファン2、燃焼部20、二次熱交換器9、排気室8は、何れも1つであるため、追焚運転時の排気ガスの流れは、給湯運転時の排気ガスの流れと同じである。
【特許文献1】特開2005−321165
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まず、従来の壁貫通釜の第1の例(図15)のように、共通の送風ファン2にて給湯熱交換器5および追焚熱交換器7へ同時送風し、かつ一体型の排気室8を有した追焚機能付給湯器においては、潜熱回収用の二次熱交換器9を排気室8の外側に設置した場合、排気ガスが二次熱交換器9に到るまでの放熱が大きいため、排気ガス温度の低下により十分な潜熱を得られず、二次熱交換器9としての効率が十分でない場合がある。
また、追焚燃焼部6を単独で稼動した場合でも、必ず二次熱交換器9内を排気ガスが通過するため、潜熱回収を行わないにも関わらず、二次熱交換器9内の残水が加熱されることになる。このため、その後で給湯運転を行う場合は、二次熱交換を行うため、二次熱交換器9内の加熱された残水により、出湯温度の制御が難しい場合がある。
【0008】
次に、従来の壁貫通釜の第2の例(図18)のように、1つの燃焼部20が、給湯燃焼部と追焚燃焼部を兼ねており、給湯機能と追焚機能を有している場合、追焚運転のみを行う時でも、使用しない二次熱交換器9も加熱されることになり、二次熱交換器9内に残水があれば加熱されてしまう。このため、その後で給湯運転を行う際は、二次熱交換を行うため、給湯温度の異常を防ぐために、この加熱された残水が冷めるのを待つか、あるいは、排水する操作が必要であり、制御が複雑になったり、使い勝手が悪い問題がある。
【0009】
さらに、従来の壁貫通釜の第1の例(図15)、第2の例(図18)の何れについても、壁貫通釜本体1の寸法の制約から、二次熱交換器9を排気室8内部へ設置しようとした場合には、二次熱交換器9の下側に凝縮水の落下防止のためのドレン受け皿を設ける必要があるため、このドレン受け皿により、二次熱交換器9への流入口が塞がれ、排気ガスの圧力損失が増加し、燃焼性能の確保が困難な場合がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、壁貫通釜本体1の寸法の制約に対応しつつ、排気室8の内部における排気ガス温度の放熱による低下を抑制し、高効率な二次熱交換器9を有する燃焼機器を提供することを目的とする。また、壁貫通釜本体1の寸法の制約から、二次熱交換器9を排気室8内部へ設置した場合でも、排気圧損の低減化を図った排気室8を有する燃焼機器を提供することを目的とする。さらには、単独で追焚運転を行う時でも、排気ガスによる二次熱交換器9への加熱を排除し、出湯温度の異常が生じない、使い勝手のよい給湯機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、次のものに関する。
(1) 燃焼部と、この燃焼部に送風するファンと、前記燃焼部の燃焼熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器からの排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器とを備え、給湯運転と追焚運転の機能を有する燃焼機器において、追焚運転を単独で行う時の排気ガスが、異なる流路で排気される燃焼機器。
(2) 追焚熱交換器と、給湯熱交換器と、上記追焚熱交換器および給湯熱交換器へ同時送風するファンを備え、上記追焚熱交換器を通過した排気ガスと、給湯熱交換器を追加した排気ガスを独立した流路で排気する燃焼機器。
(3) 項(1)、または、項(2)において、追焚運転を単独で行う時の排気ガスが、二次熱交換器へは流入されない燃焼機器。
(4) 項(2)、または、項(3)において、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器へと流入される燃焼機器。
(5) 項(3)から項(4)の何れかにおいて、独立した流路が、隔壁にて形成される燃焼機器。
(6) 項(5)において、隔壁断面が、略Z型である燃焼機器。
(7) 項(2)から項(6)の何れかにおいて、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器へと流入され、追焚熱交換器を通過した燃焼用空気が、二次熱交換器と追焚熱交換器との間を通過する燃焼機器。
(8) 項(7)において、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器と追焚側排気室との間を通過する燃焼機器。
(9) 項(1)から項(8)の何れかにおいて、排気偏向板を二次熱交換器内の排気ガス流路に設けた燃焼機器。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、壁貫通釜本体1の寸法の制約に対応しつつ、排気室8の内部における排気ガス温度の放熱による低下を抑制し、高効率な二次熱交換器9を有する燃焼機器を提供することが可能となる。また、壁貫通釜本体1の寸法の制約から、二次熱交換器9を排気室8の内部へ設置した場合でも、排気圧損の低減化を図った排気室8を有する燃焼機器を提供することが可能となる。さらには、単独で追焚運転を行う時でも、排気ガスによる二次熱交換器9への加熱を排除し、出湯温度の異常が生じない、使い勝手のよい給湯機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の対象となる燃焼機器は、潜熱回収型の追焚機能付き給湯器である。特に、壁貫通釜等の寸法制約が大きい追焚機能付給湯器が望ましい。このような、寸法制約が大きい追焚機能付給湯器の場合には、上述したように、二次熱交換器9の熱効率が低下し易い等の問題があるため、本発明の効果がより大きく発揮できる。
【0014】
図2は、本発明の壁貫通釜本体1の一例の正面図であり、図3は、その側面図である。図4は、本発明の壁貫通釜本体1を浴室に設置した浴室ユニットの設置例図であり、浴槽37の短手側から見た透視図を示す。BF釜の給排気筒設置部は浴室壁36に存在する規定の貫通穴内部に設置されるため、代替品である壁貫通釜本体1は貫通穴寸法の制約を受ける。
【0015】
図5に、本発明の壁貫通釜の構成図の一例を示す。なお、図5は、独立した給湯燃焼部4および追焚燃焼部6を有する場合を示したが、図14に示すように、一つの燃焼部20で給湯燃焼部と追焚燃焼部を兼用してもよい。
【0016】
まず、以下に、図5の構成の壁貫通釜を例として説明する。
【0017】
壁貫通釜においては、BF釜の機能を全て貫通穴内へ移管する必要性から、本体のコンパクト化が必須条件となる。コンパクト化を図るために、図5に示すように、給湯燃焼部4および追焚燃焼部6へ送風する送風ファン2は共通のものとし、上記の給湯燃焼部4および追焚燃焼部6へ同時送風する構成となっている。
【0018】
給湯燃焼部4を単独で稼動させた場合においては、ファン2から供給された空気(外気)と給湯電磁弁3を通して供給された排気ガスにより、給湯燃焼部4にて約1000℃以上の排気ガスを生成し、給湯熱交換器5にて約200℃まで顕熱を回収する。その後、この排気ガスは排気室8へ到る。
一方、これと同時に、追焚燃焼部6へは、給湯燃焼部4と同様にファン2から空気(外気)が供給され、この空気は、そのまま追焚熱交換器7を通過して排気室8へ到る。
【0019】
排気室8は、給湯燃焼部4からの排気ガスと、追焚燃焼部6からの排気ガスが混合せず、独立して排気できる構造であれば、特に限定はない。ただし、寸法制約から、図6または図10に示すように、一つの排気室8を給湯側排気室10と追焚側排気室11に分けた、一体型の排気室8とするのが望ましい。
これにより、排気室8を給湯熱交換器5および追焚熱交換機7の上に、別々に配置する方法に比べて、コンパクト化が図れ、また排気面積を大きくとれる点で有利となる。
【0020】
排気室8の内部構造は、寸法の制約を満足し、給湯燃焼部4と追焚燃焼部6からの排気ガスが混合しない構造であれば制限はない。図6と図10は、排気室8の内部構造の一例を示す斜視図、図7と11図はこれらのC−C断面図、図8と図12はこれらのB−B断面図、図9と図13はこれらのA−A断面図である。
【0021】
二次熱交換器9の配置は、排気室8の給湯排気口30の外側に設けてもよいが、コンパクト化に対応するため、および、給湯燃焼部4からの距離を短くして、排気ガスの放熱を可能な限り抑制するため、図5に示すように、排気室8の中に配置することが望ましい。
【0022】
さらに、二次熱交換器9は、図5に示すように、排気室8を上下に分けて、上部に設けるのが望ましい。また、給湯熱交換器5から二次熱交換器9への排気通路である給湯側排気室10と、追焚熱交換器7からの追焚排気流路である追焚側排気室11は、排気室8を上下に分けて、その下部に設けるのが望ましい。これにより、図5に示すように、排気室8が横長となり、二次熱交換器9を横方向に置くことができるため、制約された寸法の下においても、二次熱交換器9を大きくすることができる。
【0023】
二次熱交換器流入口17は、図6、図8に示すように、給湯側排気室10の上の下部排気室天井面13に設けるのが望ましい。これにより、給湯熱交換器5から二次熱交換器9への排気ガスの流路が形成される。また、図10、図12に示すように、給湯側排気室10を追焚側排気室11の上部まで拡大するのが望ましい。この場合は、二次熱交換器流入口17は、大きさがその分拡大するため、二次熱交換器9に流入する排気ガスの圧力損失が低減し、また、排気ガスの流れが幅方向でより均一になる。さらに、圧力損失が低下した分、二次熱交換器流入口17の長さ(L)が短くできるため、二次熱交換器9をより大きくでき、熱交換効率が向上する。
【0024】
排気室8内の給湯側排気室10及び追焚側排気室11の高さ、さらには給湯熱交換機5、および、追焚熱交換器7の高さは、可能な限り縮小することが望ましい。これにより、壁貫通釜本体1の高さを増加させることが出来ないという寸法制約に対応することができる。
【0025】
図5に示すように、排気室8内の二次熱交換器9では強酸のドレン水40が発生するため、図8、図9、図12、図13に示すように、二次熱交換器9の下部には、このドレン水40を受け止め、ドレン排水口へ流す勾配をつけたドレン受け皿12が必要となる。部品点数の削減から二次熱交換器9の底面に勾配を付け、ドレン受け皿12とする構造が望ましい。
【0026】
図8、図9、図12、図13に示すように、下部排気室天井面13は二次熱交換器9の勾配に合わせるのが望ましい。これにより、ドレン受け皿12を兼ねた二次熱交換器9の勾配のついた底面を、下部排気室天井面13として利用でき、部品点数を減らすことができる。
【0027】
図6、図10に示すように、給湯側排気室10と追焚側排気室11の構造は、給湯熱交換器5を通過した排気ガスと追焚熱交換器7を通過した排気ガスとを混合させないため、互いに独立流路とする。
【0028】
独立流路とする方法としては、給湯熱交換器5からの排気ガスと追焚熱交換器7からの排気ガスが、混合しないようにする方法であれば限定はないが、図6および図7、または、図10および図11に示すように、その内部にて、給湯側排気室10と追焚側排気室11を1枚の隔壁15、18によって、それぞれの排気ガスの流路を独立化させる構造が望ましい。このように、一体型の排気室8を隔壁15、18で区切るだけなので、コンパクトかつ簡易な構造で独立流路が得られる。
【0029】
隔壁15、18は、図6、図7に示すように、排気室天井面13の勾配に合わせた断面Z型の隔壁15とするのが望ましい。これにより、1つの部品で排気室8を給湯側排気室10と追焚側排気室11のそれぞれに独立化することが可能である。
【0030】
また、隔壁15、18は、図10、図11に示すように、断面が凸型の凸型隔壁18と凸型隔壁天井面19で構成し、凸型隔壁天井面19は水平、または、下部排気室天井面13の勾配とは逆の勾配とするのが、より望ましい。これにより、図11に示すように、追焚側排気室11の上にも、給湯側排気室10が形成されるため、図10に示すように、二次熱交換器流入口17を拡大することができる。このため、排気ガスの圧力損失を低減することができる。また、追焚側排気室11を流れる排気ガスは、図13に示すように、排気ガスの流れ方向に対して、水平、または、上勾配となるため、追焚側排気室11においても、圧力損失を低減することができる。
【0031】
さらには、図8、図12に示すように二次熱交換器9を有する上部排気室において、排気ガスを水管へ効率よく接触させるための排気整流板21を設けることにより、二次熱交換器9での伝熱効率を増加させることが望ましい。
【0032】
略Z型隔壁15、および、凸型隔壁18の固定方法は、特に限定するものではなく、ネジ止めや溶接、その他の方法が使用でき、二次熱交換器9との勘合性や気密性から、溶接が望ましい。
【0033】
図7、図11に示すように、下部排気室天井面13は、給湯熱交換器5上部から追焚熱交換器7上部まで一体型とするのが望ましい。これにより、二次熱交換器9を追焚熱交換器7側まで拡張することが可能となり、二次熱交換器9での伝熱効率の増加が見込まれる。
【0034】
以上の構成をとることにより、本発明に係る燃焼機器を用いれば、給湯燃焼部4を単独で稼動させた場合、送風ファン2により給湯燃焼部4へ送風された燃焼用空気は、排気ガスとなって給湯熱交換器5と給湯側排気室10を通過後、二次熱交換器9へと導かれることになる。一方、同時に追焚燃焼部6へ送風された空気は、追焚熱交換器7と追焚側排気室11を通過後、そのまま外部へ排出され、二次熱交換器9とは接触しないことになる。このため、給湯熱交換器5を通過した排気ガスと追焚熱交換器7を通過した燃焼用空気が排気室8内で混合することはない。
また、単独で追焚運転を行った場合でも、追焚燃焼部6へ送風された燃焼用空気は、排気ガスとなって追焚熱交換機7と追焚側排気室11を通過後、そのまま外部へ排出され、二次熱交換器9とは接触しないことになる。このため、二次熱交換器9に残水があっても、この残水が加熱されることがない。したがって、その後で給湯運転を行う場合でも、出湯温度が異常に高温になることがなく、制御が容易で使い勝手のよい給湯機器を提供することが可能となる。
【0035】
次に、図14の構成の壁貫通釜を例として説明する。
【0036】
排気室8は、図5の構成の場合と同様に、排気室8を上下に2分し、上部に二次熱交換器9を取り付け、下部に給湯側排気室10と追焚側排気室11を設け、二次熱交換器9の底面に勾配を付け、ドレン受け皿12とする構造が望ましい。また、二次熱交換器流入口17を、下部排気室天井面13に設けるのが望ましい。これにより、排気ガス流路から、二次熱交換器流入口17を通して二次熱交換器9に通じる排気ガスの流路を形成することができる。
【0037】
一方、図14の構成の壁貫通釜の場合、1つの燃焼部20が、給湯燃焼部4と追焚燃焼部6を兼ねており、給湯機能と追焚機能を有している。このため、排気ガスの流路ももともと1つであり、図5の構成の壁貫通釜の場合のように、略Z型隔壁15や凸型隔壁18によって、給湯運転時の排気ガスと追焚運転時の排気ガスを独立流路に分離することは難しい。
【0038】
このため、特にその方法に制限はないが、単独で追焚運転を行う時の排気ガスが、単独で給湯運転を行う時、および、給湯運転と追焚運転を同時に行う時の何れとも異なる流路を形成するため、例えば、以下の方法が考えられる。すなわち、二次熱交換器流入口17にダンパー35を設け、単独で追焚運転を行う時だけ、ダンパー35を閉じて、二次熱交換器9に排気ガスが導入されないようにし、それ以外の時はこのダンパー35を開いて、排気ガスを二次熱交換器9に導入する手段が考えられる。
これにより、単独で追焚運転を行う時は、使用しない二次熱交換器9が異常に加熱されることがなく、残水があっても加熱されることがない。このため、その後で二次熱交換器9を使用する給湯運転を行う際にも、加熱された残水が冷めるのを待ったり、あるいは、排水する操作が不要となる。したがって、制御が複雑さが解消するとともに使い勝手が向上する。
なお、ダンパー35には、排気ガスの温度を感知して開閉する機構を設けるのが望ましく、例えば、温度に対応した形状を記憶する形状記憶合金を使用する方法が考えられる。これにより、ダンパー35を開閉する制御が容易となる。
【実施例1】
【0039】
図5に本発明の実施例1の壁貫通釜本体1の構成図を、図6に排気室8の斜視図を、図7に排気室8のC−C断面図を、図8に排気室8のB−B断面図を、図9に排気室8のA−A断面図を示す。
【0040】
コンパクト化を図るために、給湯燃焼部4および追焚燃焼部6へ送風するファン2は共通のものとし、上記両燃焼部へ同時送風する構成となっている。給湯燃焼部4を単独で運転した場合でも、追焚燃焼部6へ給湯燃焼部4と同様にファンから空気(外気)が供給され、この空気は、追焚熱交換器7を通過して排気室8へ至る。
【0041】
二次熱交換器9の配置は、寸法制約から本体高さを増加させることは困難であるため、また、給湯熱交換器5からの排気ガスの放熱を可能な限り抑制するため、排気室8内の上部へ配置した。これにより、排気室8の高さ及び給湯熱交換器5、追焚熱交換器7の高さを二次熱交換器9の高さ分縮小することができた。
【0042】
また、図5に示すように、二次熱交換器9下部では強酸のドレン水40が発生するため、このドレン水40を受け止め、ドレン排水口へ流す勾配をつけたドレン受け皿12として二次熱交換器9の底面に勾配を付けた構造とした。この勾配はドレン排水性から約3°とした。
【0043】
排気室8は、下部排気室天井面13及び下部排気室後面14において給湯、追焚の区別がない一体型排気室とし、下部排気室天井面13には二次熱交換器9の底面と同じ勾配を設け、接触させる。
【0044】
さらに、図6、図7に示すように、給湯熱交換器5を通過した排気ガスと追焚熱交換器7を通過した排気ガスとを混合させないため、給湯排気流路と追焚排気流路を1枚の断面略Z型隔壁15によって排気ガス流路を独立化させる。このときの断面略Z型隔壁15の上面と排気室天井面13との固定はスポット溶接にて行う。断面略Z型隔壁15の下面と排気室底面16との固定も同様である。
【0045】
これにより、1部品にて排気室8内部を給湯側排気室10と追焚側排気室11とを独立させることが可能となる。また、下部排気室天井面13を給湯側排気室10から追焚側排気室11まで一体型としているため、二次熱交換器9を追焚熱交換器7側まで拡張可能となり、伝熱効率の増加を図っている。
【0046】
二次熱交換器9への流入口17は、排気室天井面13の断面略Z型隔壁15の上面より給湯側に設ける。結果として、追焚側排気室11は二次熱交換器9と追焚熱交換器7との間に位置し、追焚燃焼部6を単独で稼動させた場合、燃焼用空気はこの流路(追焚側排気室11)を通過する。さらには二次熱交換器9内部に排気ガスを水管へ効率よく接触させる排気整流板21を設けることにより、二次熱交換器9での伝熱効率の増加を図っている。
【0047】
以下、本発明の実施例1の燃焼機器の動作を、図1を用いて説明する。
【0048】
壁貫通釜本体1は給水配管接続部22から給水され、前記給水配管接続部22は給水された水の量を検出する水量センサ23に配管接続される。前記水量センサ23は潜熱回収部である二次熱交換器9に配管接続され、さらに前記二次熱交換器9から燃焼排気ガスの顕熱を回収する給湯熱交換器5に配管接続される。
【0049】
前記給湯熱交換器5の出口は二方に分岐され、一方は浴室内へ給湯する給湯配管接続部24に配管接続され、もう一方は浴槽37にお湯を張るための注湯電磁弁25に配管接続される。
【0050】
前記注湯電磁弁25の出口は二方に分岐され、一方は浴槽水を沸かす追焚熱交換器7に入口に配管接続され、もう一方は、追焚往き配管26に接続される。
【0051】
前記追焚熱交換器7の出口は、浴槽水を循環させるための循環ポンプ27に接続され、前記循環ポンプ27は、追焚戻り配管接続部28に接続される。
【0052】
給湯燃焼は、ガス配管接続部29から供給される燃料ガスが給湯電磁弁3を経由して、給湯燃焼部4へ供給され燃焼し、高温の排気ガスを発生させる。その排気ガスは前記給湯熱交換器5を通過し、さらに前記二次熱交換器9を通過し、給湯排気口30から器具外へ排気する。
【0053】
このとき、前記二次熱交換器9を通過する排気ガスの温度は200℃程度と低温のため、前記二次熱交換器9には結露水が発生する。その結露水はPH2程度の強酸性のため、それを回収し中和して排出しなければならない。前記二次熱交換器9で発生した結露水は滴下し、それを回収するためのドレン受け皿12にて回収し、それがドレン水40となり、ドレン配管31に流入してドレン配管接続部32を介して炭酸カルシウム33を充填した中和容器34の入口部に流入する。前記中和容器34にて中和されたドレン水40は中和容器34の出口部からPH7程度となり排出される。
【実施例2】
【0054】
本発明の実施例2の壁貫通釜本体1の構成図は、実施例1と同様であり、図5に示すものである。図10に排気室8の斜視図を、図11に排気室8のC−C断面図を、図12に排気室8のB−B断面図を、図13に排気室8のA−A断面図を示す。
【0055】
排気室8は、下部排気室天井面13及び下部排気室後面14において、給湯側排気室10と追焚側排気室11の区別がない一体型の排気室8とし、下部排気室天井面13には、二次熱交換器9の底面と同じ勾配を設け、接触させる。さらに、給湯熱交換器5を通過した排気ガスと追焚熱交換器7を通過した排気ガスとを混合させないため、給湯側排気室10と追焚側排気室11を凸型隔壁18によって分割し、給湯熱交換器5からの排気ガスと追焚熱交換器7からの排気ガスの流路を独立化させる。図12に示すように、このときの凸型隔壁天井面19は水平とした。凸型隔壁18と排気室底面16との固定はスポット溶接にておこなった。その他の構成は実施例1と同様である。
【0056】
これにより、図11に示すように、前記隔壁18の天井面19上部を給湯熱交換器5を通過した排気ガスが通過可能となるため、図10に示すように、二次熱交換器流入口17の幅(W)を追焚側排気室11の上部まで拡張することが可能となり、排気ガスの圧力損失が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1の壁貫通釜の動作を示すものである。
【図2】本発明の実施例1の壁貫通釜本体の正面図を示す。
【図3】本発明の実施例1の壁貫通釜本体の側面図を示す。
【図4】本発明の実施例1の壁貫通釜本体を浴室に設置した浴室の設置例図であり、浴槽短手側から見た透視図を示す。
【図5】本発明の実施例1の壁貫通釜本体の構成図を示す。
【図6】本発明の実施例1に用いる排気室の斜視図を示す。
【図7】本発明の実施例1に用いる排気室のC−C断面図を示す。
【図8】本発明の実施例1に用いる排気室のB−B断面図を示す。
【図9】本発明の実施例1に用いる排気室のA−A断面図を示す。
【図10】本発明の実施例2に用いる排気室の斜視図を示す。
【図11】本発明の実施例2に用いる排気室のC−C断面図を示す。
【図12】本発明の実施例2に用いる排気室のB−B断面図を示す。
【図13】本発明の実施例2に用いる排気室のA−A断面図を示す。
【図14】本発明の壁貫通釜本体の構成図の一例を示す。
【図15】従来の壁貫通釜本体の第1の例の構成図を示す。
【図16】従来の壁貫通釜本体の排気室の斜視図を示す。
【図17】従来の壁貫通釜本体の排気室の断面図を示す。
【図18】従来の壁貫通釜本体の第2の例の構成図を示す。
【符号の説明】
【0058】
1…壁貫通釜本体
2…送風ファン
3…給湯電磁弁
4…給湯燃焼部
5…給湯熱交換器
6…追焚燃焼部
7…追焚熱交換器
8…排気室
9…二次熱交換器
10…給湯側排気室
11…追焚側排気室
12…ドレン受け皿
13…下部排気室天井面
14…下部排気室後面
15…略Z型隔壁
16…排気室底面
17…二次熱交換器流入口
18…凸型隔壁
19…凸型隔壁天井面
20…燃焼部
21…排気整流板
22…給水配管接続部
23…水量センサ
24…給湯配管接続部
25…注湯電磁弁
26…追焚往き配管
27…循環ポンプ
28…追焚戻り配管接続部
29…ガス配管接続部
30…給湯排気口
31…ドレン配管
32…ドレン配管接続部
33…炭酸カルシウム
34…中和容器
35…ダンパー
36…浴室壁
37…浴槽
38…吸気口
39…排気口
40…ドレン水



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼部と、この燃焼部に送風するファンと、前記燃焼部の燃焼熱を回収する一次熱交換器と、この一次熱交換器からの排気ガスから潜熱を回収する二次熱交換器とを備え、給湯運転と追焚運転の機能を有する燃焼機器において、追焚運転を単独で行う時の排気ガスが、異なる流路で排気される燃焼機器。
【請求項2】
追焚熱交換器と、給湯熱交換器と、上記追焚熱交換器および給湯熱交換器へ同時送風するファンを備え、上記追焚熱交換器を通過した排気ガスと、給湯熱交換器を追加した排気ガスを独立した流路で排気する燃焼機器。
【請求項3】
請求項1、または、請求項2において、追焚運転を単独で行う時の排気ガスが、二次熱交換器へは流入されない燃焼機器。
【請求項4】
請求項2、または、請求項3において、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器へと流入される燃焼機器。
【請求項5】
請求項3から請求項4の何れかにおいて、独立した流路が、隔壁にて形成される燃焼機器。
【請求項6】
請求項5において、隔壁断面が、略Z型である燃焼機器。
【請求項7】
請求項2から請求項6の何れかにおいて、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器へと流入され、追焚熱交換器を通過した燃焼用空気が、二次熱交換器と追焚熱交換器との間を通過する燃焼機器。
【請求項8】
請求項7において、給湯熱交換器を通過した排気ガスが、二次熱交換器と追焚側排気室との間を通過する燃焼機器。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかにおいて、排気整流板を二次熱交換器内の排気ガス流路に設けた燃焼機器。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−218526(P2007−218526A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41019(P2006−41019)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(301050924)株式会社日立ハウステック (234)
【Fターム(参考)】