説明

燃焼装置

【課題】COやNOxの発生を抑制できるとともに、小型な燃焼装置を提供すること。
【解決手段】送風機2により本体1内に取り入れた室内の空気を、バーナ3で形成される火炎に二次空気として供給する燃焼装置において、火炎に二次空気を供給する二次空気供給孔12を燃焼室5の全周に設け、火炎に対して全方向から二次空気を供給するように構成した。これにより、火炎は全周から供給される二次空気により中央に寄せられるため、特定の方向に偏ったりしないので、燃焼室5に火炎が接触することはなく、よって、COやNOxの発生を抑えることができるとともに、燃焼室5を従来に比べて小型に構成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンヒーターなどの燃焼装置に関するものであり、特に火炎に二次空気を供給する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンヒーター等の燃焼装置においては、装置外部から空気を取り入れ、この空気を二次空気として火炎に供給することで、火炎を完全燃焼させるようになっている。
【0003】
図4は従来の燃焼装置の一例であって、本体21の背面には送風機22が設けられており、この送風機22により室内の空気が本体21内部に導入されるように構成されている。そして、送風機22により本体21に導入された空気は、その一部が燃焼室23の背面に設けられた二次空気供給孔24より燃焼室23内に流入し、バーナ25で形成される火炎に二次空気として供給されるようになっており、その他の空気はバーナ25の燃焼により発生する燃焼排ガスと混合され、温風となって吹出口26より排出される(特許文献1)。
【0004】
また、図5は燃焼装置のその他の構成の例であって、本体21の底部に燃焼用空気を本体21内に導入する燃焼用送風機27を設け、燃焼室23底部に設けられた二次空気供給孔24よりバーナ25で形成される火炎に二次空気を供給するように構成されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−240351号公報
【特許文献2】特開2004−286317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図4に示すような燃焼装置は、火炎の先端付近に二次空気を供給するように構成されているため、燃焼の際に発生するNOxを抑えることができる。しかしながら、二次空気供給孔は送風機と対向する燃焼室の後面にのみ設けられており、二次空気は火炎に対して後方から吹き付けるようにして供給されるようになっている。そのため、この二次空気の風圧により火炎は前方に傾き、送風機の風量が大きい場合には傾いた火炎が燃焼室前面に接触することになるため、火炎が冷却されてCOが発生してしまう原因となる。
【0006】
そこで、このようなCOの発生を防ぐためには、火炎が前方に傾いても燃焼室前面に接触しないよう、燃焼室の奥行きを広く取らなければならないが、そうすると燃焼室を小さく形成することが困難となってしまう。
【0007】
一方、図5に示す燃焼装置においては、二次空気の供給が一方向からではないため、先に述べたようなCOが発生する問題は発生しないのだが、二次空気は燃焼室の底部より噴出して火炎の下方から吹き上げるようにして供給されるため、火炎の先端付近に二次空気を供給することは難しく、基炎部に二次空気が流れ込んでしまいやすい。そのため、二次空気が供給された基炎部では燃焼反応が活発となり、これによりNOxが大量に発生してしまうことになる。
【0008】
さらに、二次空気を均一に供給することが難しいため、火炎の完全燃焼に必要な量の二次空気を供給するためには燃焼室に多量の空気を導入しなければならず、多量の空気を導入することで燃焼室内の酸素濃度が高くなってしまい、このこともNOxの発生量増加の原因となる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためのもので、COやNOxの発生を抑制できるとともに、小型な燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナと、前記バーナを囲うように設けられた燃焼室と、本体内に空気を取り入れる送風機と、前記送風機により取り入れられた空気を二次空気として火炎に供給する二次空気供給孔を備えた燃焼装置において、前記二次空気供給孔は前記燃焼室の側壁全周に設けられていることを特徴とする燃焼装置である。
【0011】
また、燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナと、前記バーナを囲うように設けられた燃焼室と、本体内に空気を取り入れる送風機と、前記送風機により取り入れられた空気を二次空気として火炎に供給する二次空気供給孔を備えた燃焼装置において、前記二次空気供給孔は少なくとも燃焼室の前面および後面に設けられていることを特徴とする燃焼装置である。
【0012】
また、前記燃焼室の外周には二次空気通路が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の燃焼装置である。
【0013】
また、前記二次空気通路の端部には、送風機に対向して開口した空気取入口が設けられ、この空気取入口の開口面積は前記二次空気通路の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の燃焼装置である。
【0014】
また、前記二次空気通路は、前記空気取入口と連通する端部を最も幅広とし、空気の流れる方向に向かって徐々に幅が狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の燃焼装置である。
【発明の効果】
【0015】
上述のように構成することにより、火炎に対して全周から均一に二次空気を供給することができるようになるため、火炎が偏ることはなく、COやNOxの発生を抑えた燃焼装置を小型に構成することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好適と考える本発明の最良の形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、送風機により本体内に取り入れた室内の空気を、バーナで形成される火炎に二次空気として供給する燃焼装置であって、火炎に二次空気を供給する二次空気供給孔を燃焼室の側壁全周に設け、火炎に対して全方向から二次空気を供給するようにしたものである。
【0018】
若しくは少なくとも燃焼室の前面と後面に二次空気供給孔を設け、火炎に対して燃焼室の双方向から二次空気を供給するようにしたものである。
【0019】
したがって、火炎は全周もしくは双方向から供給される二次空気により中央に寄せられるため、特定の方向に偏ったりしないので、燃焼室に火炎が接触することはなく、よって、COやNOxの発生を抑えることができるとともに、燃焼室を従来に比べて小型に構成することも可能となる。
【0020】
そして、燃焼室の外周壁に沿って設けられた二次空気通路は、送風機からの空気を取り込んで、燃焼室の全周に空気を流通させるので、火炎に供給される二次空気は二次空気供給孔によってばらつきが生じることなく、全周にわたって均一となる。また、火炎に供給される二次空気の量を制限して空気の過剰供給を抑えることができるため、燃焼室内の酸素濃度が過度に上昇することがなくなり、NOxの発生量を抑えることとなる。
【実施例1】
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の燃焼装置の断面図であって、本体1は、本体1内に外気を取り込んで圧送する送風機2と、灯油等の液体燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナ3と、バーナ3を固定するバーナボックス4と、バーナボックス4上にバーナ3を囲うようにして設けられた略円筒状の燃焼室5を具備する構造であり、バーナ3の燃焼で発生する燃焼排ガスと送風機2によって本体1内に取り込まれた空気とを混合して、本体1の正面下方位置に設けた吹出口6より温風として排出するように構成されている。
【0023】
バーナ3は、有天筒状のバーナヘッド7と、バーナヘッド7の周囲を包囲するように設けられた保炎板8を有し、バーナヘッド7の下部周壁には、気化された液体燃料と一次空気を混合した予混合気が噴出する多数の炎孔9が設けられている。
【0024】
燃焼室5は、バーナ3で発生する燃焼排ガスを燃焼室5外に排出する開口10を有しており、また上端にはこの開口10から燃焼室5内への空気の侵入を防止するためにフランジ部11が延設されている。そして側壁には、送風機2からの空気を取り入れてバーナ3で形成する火炎に二次空気として供給するための二次空気供給孔12が全周にわたって設けられている。
【0025】
なお、二次空気が火炎の基炎部に供給されると、燃焼反応が活発となってNOxが発生してしまう原因となるので、二次空気供給孔12は二次空気が基炎部に供給されないような高さに設ける必要がある。
【0026】
また、燃焼室5の外壁には、燃焼室5を取り囲むようにしてダクト状の二次空気通路13が設けられている。
【0027】
二次空気通路13は、二次空気供給孔12と連通するとともに、端部には送風機2からの空気を取り入れる広口の空気取入口14が送風機2と対向するように設けられている。さらに、この空気取入口14にはテーパ面14aが形成され、二次空気通路13の断面積より二次空気取入口14の開口面積が大きくなるように構成されている。
【0028】
そして燃焼室5の周囲には、燃焼室5を覆うように燃焼室遮熱板15が設けられていて、燃焼室5と燃焼室遮熱板15の間の空間は開口10から排出された燃焼排ガスと送風機2からの空気とを混合して温風とする温風通路16として構成され、温風通路16の下流は吹出口6に連通している。
【0029】
上述の構成によれば、送風機2により本体1内に取り入れられた室内の空気は、送風機2に対向して設けられた空気取入口14から二次空気通路13内に導入されるが、空気取入口14は広口に形成されているため、燃焼に必要な量が効率よく二次空気通路13に取り込まれることになる。
【0030】
そして、二次空気通路13に導入された空気は、二次空気通路13内を通って燃焼室5の外周を流れるようになっており、二次空気通路13内を流れる間に燃焼室5の全周にわたって設けられた二次空気供給孔12から燃焼室5内に噴出し、これが二次空気として火炎の先端付近に供給されて火炎が完全燃焼する。
【0031】
すなわち、二次空気通路13は、送風機2からの空気を取り込んで、全ての二次空気供給孔12に強制的に空気を供給するものであるから、たとえば送風機2から離れた位置に設けられている二次空気供給孔12であっても、ここから噴出する二次空気の量が他の二次空気供給孔12と比べて極端に少なくなることはなく、全周にわたってほぼ均一とすることができる。
【0032】
また、二次空気供給孔12が燃焼室5の全周に設けられていることにより、図中の矢印で示すように、火炎には全方向から均一に二次空気が供給され、この二次空気によって火炎が中央に寄せられるようになる。そのため、火炎が偏って燃焼室5に接触することはなくなるので、火炎が冷却されることが原因であるCOの発生量を少なくするとともに、燃焼室5の径を小さくすることも可能となるので小型な燃焼装置を構成することができる。
【0033】
さらに、火炎には二次空気通路13に導入された空気だけが二次空気として供給されるため、空気の流通量が制限されて過剰な二次空気の供給を抑えることとなる。したがって、燃焼室5内の酸素濃度が上昇し過ぎてしまうことを有効に防止して、NOxの発生量も抑えられるのである。
【0034】
そして、燃焼により発生した燃焼排ガスは燃焼室5内を上昇し、上部に設けられた開口8から温風通路16へ排出される。この温風通路16には空気取入口14に取り込まれなかった送風機2からの空気流も流れ込んでいるので、燃焼排ガスはこの空気と温風通路16で混合されることで温風となって、吹出口6から本体1外へ排出される。
【実施例2】
【0035】
次に図2を用いて本発明の実施例2を説明する。図2は実施例2の燃焼装置の断面図であって、本体1は、本体1内に外気を取り込んで圧送する送風機2と、灯油等の液体燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナ3と、バーナ3を固定するバーナボックス4と、バーナボックス4上にバーナ3を囲うようにして設けられた燃焼室5を具備した構造である。
【0036】
バーナ3は、上部に気化された液体燃料と一次空気を混合した予混合気が噴出する炎孔9が設けられた細長形状のラインバーナである。
【0037】
燃焼室5は、前面と後面に送風機2からの空気を取り入れてバーナ3で形成する火炎に二次空気として供給するための二次空気供給孔12がそれぞれ複数個設けられており、また外壁には、側面から前面にかけて燃焼室5を取り囲むようにしてダクト状の二次空気通路13が設けられている。
【0038】
上述の構成において、送風機2により本体1内に取り入れられた室内の空気は、燃焼室5の後面に設けられた二次空気供給孔12から燃焼室5内に流入し、バーナ3で形成される火炎の後方から二次空気として供給されるだけでなく、空気取入口14から二次空気通路13にも導入される。そして二次空気通路13に導入された空気は、二次空気通路13内を通って燃焼室5の外周を流れるようになっており、二次空気通路13内を流れる間に燃焼室5の前面に設けられた二次空気供給孔12から燃焼室5内に噴出し、これが二次空気として火炎の前方から供給されて火炎が完全燃焼する。
【0039】
すなわち、火炎には前方と後方の双方向から二次空気が供給され、この二次空気によって燃焼室5の中央に火炎が寄せられるようになる。そのため、火炎が偏って燃焼室5に接触することはなくなるので、火炎が冷却されることが原因であるCOの発生量を少なくするとともに、燃焼室5の幅を小さくすることも可能となるので小型な燃焼装置を構成することができる。
【0040】
なお、本実施例では、二次空気供給孔12を燃焼室5の前面と後面に設けているが、側面に二次空気供給孔12を追加する構成としてもよい。
【実施例3】
【0041】
次に図3を追加して本発明の実施例3を説明する。図3は実施例3の燃焼装置を上から見た図であり、燃焼室5の外周に配設された二次空気通路13は、一方の端部には送風機2と対向するように空気取入口14が設けられており、もう一方の端部は閉塞されている。そして、二次空気通路13の幅Lは、空気取入口14と連通する部分が最も広く、空気が流れる方向に向かって徐々に狭くなるように構成されている。
【0042】
したがって、送風機2により本体1内に取り入れられた室内の空気は、広口に形成された空気取入口14から二次空気通路13に導入されるようになっており、このとき、二次空気通路13内を流通する空気は、空気取入口14の近傍ほど圧力が高いのだが、二次空気通路13の幅Lを空気取入口14から空気の流れる方向に向かって徐々に狭くすることにより二次空気通路13内の圧力が全域にわたって均等となる。そのため、二次空気供給孔12から噴出する二次空気は、二次空気供給孔12の位置に関係なくより均一となるので、火炎の偏りをなくしてCOの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1の燃焼装置の断面図である。
【図2】実施例2の燃焼装置の断面図である。
【図3】実施例3の燃焼装置の上面図である。
【図4】従来の燃焼装置の断面図である。
【図5】従来の燃焼装置の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 本体
2 送風機
3 バーナ
5 燃焼室
12 二次空気供給孔
13 二次空気通路
14 空気取入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナと、前記バーナを囲うように設けられた燃焼室と、本体内に空気を取り入れる送風機と、前記送風機により取り入れられた空気を二次空気として火炎に供給する二次空気供給孔を備えた燃焼装置において、前記二次空気供給孔は前記燃焼室の側壁全周に設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
燃料を燃焼させて燃焼排ガスを発生させるバーナと、前記バーナを囲うように設けられた燃焼室と、本体内に空気を取り入れる送風機と、前記送風機により取り入れられた空気を二次空気として火炎に供給する二次空気供給孔を備えた燃焼装置において、前記二次空気供給孔は少なくとも燃焼室の前面および後面に設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
前記燃焼室の外周には二次空気通路が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記二次空気通路の端部には、送風機に対向して開口した空気取入口が設けられ、この空気取入口の開口面積は前記二次空気通路の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記二次空気通路は、前記空気取入口と連通する端部を最も幅広とし、空気の流れる方向に向かって徐々に幅が狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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