説明

燃焼装置

【課題】 較的簡単な構成により、ガラス板などの透過板の表面に煤などが付着するのを抑制することにある。
【解決手段】 炎1を形成するバーナ2を有する燃焼室3と、前記燃焼室3へ燃焼用空気を送る風箱4を介して、または直接前記炎1を検出する炎検出器5と、炎検出用開口6を形成し前記炎検出器5を取り付ける取付板7と、前記炎検出用開口6に装着され前記炎1の光10を透過する透過板8とを備え、前記透過板8を透過する前記光10を前記炎検出器5にて検出する燃焼装置において、一端側に前記透過板8が設けられ他端側が前記風箱4または前記燃焼室3内へ突出する筒部材9を設けたことを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炎検出器を備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラなどの燃焼装置の炎検出器としては、硫化カドミウムセル(
CdS),紫外線検知管などが用いられている。これらの炎検出器は、バーナの風箱に取り付けられる(特許文献1参照)。こうした炎検出装置においては、煤や油煙の汚れから保護するようにガラス板を介して炎を検出するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−5440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした構成の従来の炎検出器においては、検知不良を防止するために定期的に炎検出器を取り外し、ガラス板の表面を拭いて掃除する必要があった。
この発明の課題は、比較的簡単な構成により、ガラス板などの透過板の表面に煤などが付着するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、炎を形成するバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室へ燃焼用空気を送る風箱を介して、または直接、前記炎を検出する炎検出器と、炎検出用開口を形成し前記炎検出器を取り付ける取付板と、前記炎検出用開口に装着され前記炎の光を透過する透過板とを備え、前記透過板を透過する前記光を前記炎検出器にて検出する燃焼装置において、一端側に前記透過板が設けられ、他端側が前記風箱または前記燃焼室内に臨む筒部材を備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記筒部材の他端側が前記風箱または前記燃焼室内へ突出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、前記筒部材を設けていることにより、汚染気体に含まれる煤などの汚染物質の殆どが前記筒部材の内面に付着するとともに、汚染空気が前記透過板へ到達し難くなる。その結果、前記透過板表面の汚れを抑制でき、長期に亘って炎検知を良好に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施の形態)
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、炎を形成するバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室へ燃焼用空気を送る風箱を介して前記炎を検出するか、または前記風箱を介することなく直接前記炎を検出する炎検出器と、炎検出用開口を形成し前記炎検出器を取り付ける取付板と、前記炎検出用開口に装着され前記炎の光を透過する透過板とを備え、前記透過板を透過する前記光を前記炎検出器にて検出する燃焼装置において、一端側に前記透過板が設けられ他端側が前記風箱または前記燃焼室内に臨む筒部材を設けたことを特徴とする燃焼装置である。
【0009】
この実施の形態においては、前記バーナにより形成される炎(火炎)の光は前記筒部材
、前記透過板を介して前記炎検出器へ到達する。前記筒部材内には流れが無い状態であり、前記風箱または前記燃焼室内の汚染気体に含まれる煤や油分の汚染物質の前記透過板へ到達が抑制される。そして、汚染気体が前記筒部材内へ流入しても汚染物質は前記前記筒部材の内壁面に付着するので、前記透過板の表面への付着は極微量となる。その結果、何も対策を施していない従来例と比較して、前記透過板への汚染物質の付着を少なくでき、長期に亘り、炎検出不良を防止できる。
【0010】
ここで、この実施の形態の構成について説明する。前記バーナは、その形式、構造を問わないものであり、好ましくは、油炊きバーナとするが、ガス焚きバーナとすることができる。また、前記燃焼室も特定の構造のものに限定されないものであり、例えば環状の水管壁により構成されるものとする。
【0011】
また、前記炎検出器は、炎センサとも称することができ、例えば紫外線検知管(紫外線光電管)を内蔵するものとするが、その他の形式の検出器とすることができる。この検出器は、前記炎検出用開口を形成した取付板に装着される。この炎検出用開口は、炎の光を通過させ、前記炎検出器へ到達させるための開口である。
【0012】
前記取付板は、つぎの二つの態様を含む。一つの態様は、前記炎検出器が前記燃焼室内の炎の光を前記バーナへ燃焼用空気を送る前記風箱を介して検出する態様である。この態様においては、前記取付板を前記風箱を構成する壁とすることができる。前記風箱は、通常燃焼用空気だけであり、汚染物質を含んでいない。この実施の形態が好適に適用される燃焼装置は、前記バーナの排ガスを前記風箱へ供給する、所謂排ガス再循環型の燃焼装置である。排ガス再循環型の燃焼装置で無い場合も、前記バーナの燃焼停止時に、前記バーナのノズルから油が前記燃焼室内に垂れて、その油分が前記風箱内へ侵入して、前記透過板を汚す構造の燃焼装置にも適用される。
【0013】
前記取付板の他の態様は、前記風箱を介することなく前記炎の光を検出する態様であり、この態様においては、前記取付板を前記燃焼室を構成する壁とすることができる。
【0014】
また、前記透過板は、前記炎検出器を紫外線検知管とする場合は、紫外線を透過する石英ガラス板とするが、前記炎検出器をCdSとする場合は、紫外線を透過しないガラス板とすることができる。この透過板は、前記炎検出器の一部を構成する態様のもの,前記炎検出器を一つのユニットとして、このユニットと別構成部材として設ける態様のものを含む。前記透過板は、前者の態様の場合、通常、前記取付板の前記風箱または前記燃焼室の外側に位置することになるが、後者の態様の場合は、前記取付板の前記風箱または前記燃焼室の内側に位置するように構成することができる。要するに、前記透過板は、前記取付板の外側、内側のいずれであっても良い。また、前記透過板を前記検出用開口に装着するとは、前記検出用開口に直接装着する態様と、シール部材などを介して間接的に装着する態様とを含んで意味している。
【0015】
この発明の特徴部分である前記筒部材について説明する。この筒部材は、汚染物質から前記透過板を保護するという意味において、保護筒と称することができる。この筒状部材は、前記炎の光を前記筒部材−前記透過板−前記炎検出器の順に通過させるように、一端側に前記透過板が設けられ、他端側が前記風箱または燃焼室内に臨むように設けられる。前記他端側は、前記風箱または燃焼室内へ所定の長さ突出する筒状の突出部である保護部としている。この筒部材の一端側には、前記取付板へ取り付けるための取付フランジ部を設けている。この筒部材は、好ましくは、取付取り外しを容易とするために、前記取付板の外側から着脱するように構成する。また、前記筒部材の長さは、長いほど汚染物質付着防止効果が良くなるが、長すぎると視野が狭くなり炎検出機能が低下するので、炎検出効果と汚染物質付着防止効果とを考慮して適切な長さに設定される。さらに、この筒部材は
、その形状は円筒状(楕円を含む),角筒状(多角形を含む)のいずれであっても良く、その材質は、鉄などとするが、好ましくは、紫外線を透過するものとする。前記筒部材は、前記風箱または燃焼室の外側に位置させることができる。
【実施例1】
【0016】
以下、この発明の具体的実施例1の燃焼装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、同実施例1の概略構成を示す断面の説明図であり、図2は、図1の要部拡大の概略構成を示す図である。
【0017】
前記燃焼装置は、炎1を形成するバーナ2を有する燃焼室3と、前記燃焼室3へ燃焼用空気を送る風箱4を介して前記炎1を検出する炎検出器5と、第一炎検出用開口6(図2参照)を形成し前記炎検出器5を取り付ける取付板7と、前記第一炎検出用開口6に装着され前記炎1の光10を透過する透過板8と、一端側に前記透過板8が設けられ他端側が前記風箱4内へ突出する筒部材9とを主要部として備えている。前記炎検出器5は、前記筒部材9を通過し、前記透過板8を透過する前記光10を検出するように構成されている。
【0018】
つぎに、この実施例1の各構成要素について詳細に説明する。前記バーナ2は、周知の油焚きバーナであり、油を噴出するノズル11、このノズル11の周囲に設けられ一次空気流路12を形成する内筒13と、この内筒13の外側にこれと同心状に設けられる外筒14とから主として構成され、前記内筒13および前記外筒14の間の環状通路を二次空気流路15としている。
【0019】
前記風箱4は、送風ダクト16を介して送風機(図示省略)に接続されている。この風箱4には、前記バーナ2の排ガスが供給されるように、前記送風機の吸い込み側に排ガス循環路(図示省略)を形成している。そして、この風箱4は、その上壁を前記炎検出器5の取付板7とし、この取付板7に前記第一炎検出用開口6を形成し、この第一炎検出用開口6に円筒状の前記筒部材9を装着している。また、この風箱4の底壁18には、前記第一炎検出用開口6と対向する位置に第二炎検出用開口19を形成している。
【0020】
この筒部材9は、一端側に前記透過板8が装着され、他端側を前記風箱4内へ所定の長さ突出する筒状の保護部21としている。この筒部材9の一端側には、前記取付板17へ取り付けるための取付フランジ部22を形成している。この筒部材9は、前記取付板17の外側(前記風箱4の外側)から着脱するように構成され、前記取付フランジ部22との間に環状のシール部材(図示省略)を挟んで前記取付フランジ部22が着脱自在に螺子(図示省略)により固定されている。
【0021】
前記透過板8は、紫外線を透過する石英ガラス板から構成され、前記筒部材9の一端開口を塞ぐように、前記炎検出器5と前記取付顎部22間に位置するように装着される。図2においては、前記透過板8は、前記炎検出器5のケース(符号省略)から飛び出すように取り付けられているが、前記ケース内に埋め込まれるように取り付けることができる。前記炎検出器5内には、紫外線センサ部23が装着されている。
【0022】
以上の構成における実施例1の動作を説明する。前記バーナ1により形成される炎1の光10は、前記第二炎検出用開口19→前記筒部材9→前記透過板8を介して前記炎検出器5の紫外線センサ部23へ到達する。前記保護部21内には流れが無い状態であり、前記筒部材9の存在により、前記風箱4の汚染気体に含まれる煤や油分の汚染物質が前記ガラス板8へ到達されるのを抑制する。そして、汚染気体が前記保護部21内へ流入しても汚染物質は前記保護部21の内壁面に付着するので、前記透過板9の表面への付着は極微量となる。
【0023】
この実施例1によれば、前記透過板8への汚染物質の付着を少なくでき、長期に亘り、炎検出不良を防止できる。また、実質的に前記筒部材9を追加するだけで良いので、構成を簡略化できる効果を奏する。前記筒部材9は、保護部21と取付フランジ部とからなる極めて簡単な構成であり、容易,且つ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の概略構成を説明する断面の説明図である。
【図2】図1の要部拡大の断面の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 炎
2 バーナ
3 燃焼室
4 風箱
5 炎検出器
6 炎検出用開口
7 取付板
8 ガラス板
9 筒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎を形成するバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室へ燃焼用空気を送る風箱を介して、または直接、前記炎を検出する炎検出器と、炎検出用開口を形成し前記炎検出器を取り付ける取付板と、前記炎検出用開口に装着され前記炎の光を透過する透過板とを備え、前記透過板を透過する前記光を前記炎検出器にて検出する燃焼装置において、一端側に前記透過板が設けられ、他端側が前記風箱または前記燃焼室内に臨む筒部材を備えたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記筒部材の他端側が前記風箱または前記燃焼室内へ突出することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−78204(P2007−78204A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263433(P2005−263433)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】